特許第5980809号(P5980809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980809
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】均質化バルブ
(51)【国際特許分類】
   B01F 5/06 20060101AFI20160818BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B01F5/06
   B01F3/08 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-545318(P2013-545318)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-502918(P2014-502918A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】EP2011073455
(87)【国際公開番号】WO2012084986
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】1001213-6
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】593205554
【氏名又は名称】テトラ・ラヴァル・ホールディングス・アンド・ファイナンス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】TETRA LAVAL HOLDINGS & FINANCE S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・マルムバリ
(72)【発明者】
【氏名】ヨゾ・ヴァレンクク
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/096825(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0296363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 5/06
B01F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された、可動式の2つ以上のバルブコーン(5)と、2つ以上のバルブシート(6)と、前記バルブコーン(5)とバルブシート(6)とを取り囲んだバルブハウジング(2)と、を具備し、
前記バルブコーン(5)と前記バルブシート(6)とは、それらの間に狭窄部が形成されて、該狭窄部が2つ以上の均質化ギャップ(7)を構成するように配列され、前記バルブコーン(5)は前記バルブハウジング内の中心に設けられたネジロッドにネジ結合され、前記バルブコーンは該バルブコーンが前記ネジロッドと一体に調節されるように配列された均質化バルブ(1)において、
1つ1つの前記バルブシートとバルブコーンとの間には径方向に配列された均質化ギャップと、軸方向に配列された均質化ギャップと、が形成されており、
前記径方向に配列された均質化ギャップと前記軸方向に配列された均質化ギャップとは、互いに独立していることを特徴とする均質化バルブ(1)。
【請求項2】
前記バルブコーン(5)と前記バルブシート(6)とは回転対称であることを特徴とする請求項1に記載の均質化バルブ(1)。
【請求項3】
前記バルブコーン(5)は、該バルブコーンがピストン(14)を利用して前記ネジロッド(12)と一体に調節され、すべての径方向均質化ギャップ(7)が常に同一のギャップ高さ(h)を有するように配列されていることを特徴とする請求項1に記載の均質化バルブ(1)。
【請求項4】
前記バルブシート(6)は前記バルブハウジング(2)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の均質化バルブ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧された、可動式の2つ以上のバルブコーンと、2つ以上のバルブシートと、バルブコーンとバルブシートとを取り囲んだバルブハウジングと、を具備し、バルブコーンとバルブシートとは、それらの間に狭窄部が形成されて、狭窄部が2つ以上の均質化ギャップを構成するように配列され、バルブコーンはバルブハウジング内の中心に設けられたネジロッドにネジ結合され、バルブコーンはバルブコーンがネジロッドと一体に調節されるように配列された均質化バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
均質化は長く使用されている産業プロセスであり、このプロセスは、例えば牛乳のような脂肪乳剤において、最も大きい脂肪球をより小さい脂肪球へと分割し、これによって脂肪乳剤を安定化させることを目的としている。例えば牛乳に関しては、このことはクリーム化が防止されることを意味しており、全消費者向けの牛乳の大部分が今日では均質化されている。
【0003】
均質化は通常は機械的処理によって実行され、高い入力圧力を有する脂肪乳剤は非常に狭いギャップを高速で通過させられ、そこで、脂肪乳剤の脂肪球は高速において生じた乱流および液体内で破裂したキャビテーション気泡によって破壊される。処理は非常に短時間の間に生じ、この時間中に発生することは、通過する際の脂肪乳剤の速度が、圧力の減少のために増加し、このことが液体を沸騰させることである。
【0004】
均質化器は基本的に高い圧力を発生する大型のピストンポンプと、その内部において実際の均質化が生じる対抗圧力デバイスと、から成る。対抗圧力デバイス、または言い換えると均質化バルブは、加圧された弾性バルブコーン、バルブシート、および摩耗リング、ならびにバルブコーンとバルブシートとを取り囲んだバルブハウジングから成る。バルブコーンとバルブシートとは通常は回転対称であり、均質化ギャップを構成する径方向狭窄部がこれらの2つの部品の間に生じるように配列されている。ギャップの高さ、幅、および長さは、均質化が生じる容積を決定している。この容積は、効果的な均質化を得るために十分に小さくなければならない。ギャップ高さは、均質化される液体により高い圧力がかかっている場合には減少され、それと同時に、より大量の流れはギャップ高さが増加したことを意味している。
【0005】
特に殺菌された牛乳の均質化においては、超高温処理された牛乳と比較して、より低い圧力が採用され、それと同時に流量を増加させることが望まれている。このことは、このより低い圧力および増加した流れにおいて良好な均質化を得るために、ギャップ高さが減少するように、均質化バルブがより大きく形成される必要があることを意味している。しかしながら、良好に機能している既存の均質化バルブの大型化は、実際には常にとりわけ良好に作用するものではないことが示されている。獲得した加圧される面が大きくなればなるほど、発生する力は大きくなり、均質化バルブはより大型化されなければならない。それと同時に、そのような均質化バルブのコストは何倍にも上昇する。
【0006】
問題を解決する別の方法は、特許文献1に示されたように、複数の均質化ギャップを並列に接続することである。この方法において、ギャップ長さの延長、したがってギャップ高さの減少が得られる。しかしながら、並列接続された均質化ギャップを備えたこのタイプの均質化バルブは、実質的には固定されたギャップ高さを有する。変化することなく、その均質化バルブは1つのみの流れおよび1つのみの均質化圧力を許容している。そのバルブは、均質化の成果に悪影響を与える、不均一な且つ制御不能な様式において均質化ギャップが摩耗するという欠点も有する。
【0007】
特許文献2は、ネジロッドがバルブハウジング内の中心に配置されることによって、およびバルブコーンがネジロッドと一体で調節可能であることによって、並列接続された複数の均質化ギャップがどのように配列されることが可能であるかを開示している。この均質化バルブは異なった流れに関して調節されることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第034 675号明細書
【特許文献2】スウェーデン国特許出願公開第531 925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、ギャップ長さに関して良好な調節性を提供する均質化バルブを得ることであり、それと同時により低いギャップ高さが得られることである。均質化ギャップは小さいギャップ高さを有し、高い容量および低い均質化圧力が兼ね備えられる。
【0010】
本発明のさらなる目的は、圧力および流れが変化した場合に、ギャップ高さが調節されることが可能であることである。
【0011】
本発明の別の目的は、均質化バルブをより短くすることによって、均質化バルブがより安価に製造できるようになることである。
【0012】
さらに、本発明の別の目的は、均質化バルブが効果的な洗浄を可能とし、その一方で、食品の取り扱いの厳しい要求を満足することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらのおよび他の目的は、導入部に記載されたタイプの均質化バルブが、各バルブシートとバルブコーンとの間に、径方向に配列された均質化ギャップおよび軸方向に配列された均質化ギャップが形成されている特徴を与えられているという事実によって、本発明により達成されている。
【0014】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項から明らかとなる特徴をさらに与えられている。
【0015】
本発明の好適な実施形態は、添付図を参照するとともに、ここにより詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】装置の斜視図である。
図2】装置の部分的な断面を示した斜視図である。
図3】生産中の装置の部分的な断面を示した側面図である。
図4】洗浄中の装置の部分的な断面を示した側面図である。
図5図3の詳細Aを拡大した、部分的な断面を示した図である。
図6図4の詳細Bを拡大した、部分的な断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図は、本発明の理解のために重要なバルブの詳細および均質化器内における均質化バルブの位置のみを示しており、当業者に周知の詳細は省略されている。
【0018】
図1図3に示されたように、本発明による均質化バルブ1は基本的に、均質化される液体のための流入口3と流出口4とを備えたバルブハウジング2と、複数のバルブコーン5と、複数のバルブシート6と、から成る。
【0019】
バルブコーン5とバルブシート6とは、それらの間に均質化ギャップである狭窄部が形成されるように配列されている。各バルブシート6と各バルブコーン5との間には、径方向に配列された均質化ギャップ7および軸方向に配列された均質化ギャップ8の、2つの均質化ギャップが形成されている。
【0020】
バルブコーン5とバルブシート6との間において密封を形成するシールであるOリングが排除されたという事実は、追加の均質化ギャップ7、8が各バルブシート6とバルブコーン5とに関して個々に得られることを意味している。しかしながら、下部Oリング9はバルブハウジングに対するシールを形成するために残存している。
【0021】
Oリングは大部分が排除されたという事実は、各バルブコーン5とバルブシート6とに関してより多くの均質化ギャップ7、8が得られることを意味している。したがって、均質化バルブ1はより短くされることが可能であり、従来6つの均質化ギャップの容量を有する均質化バルブ1は、6つのバルブコーン5と6つのバルブシート6とを必要とする一方で、新しい実施形態においては、均質化バルブは4つのバルブコーン5と4つのバルブシート6とのみを必要とし、7つの均質化ギャップ7、8に相当する容量を与える。
【0022】
好適な実施形態において、バルブシート6は回転対称であり、均質化される液体を通過させることが可能な開口部10を備えている。バルブシート6は1つのバルブシートが他のバルブシートの上に載置されており、バルブハウジング2に固定されている。
【0023】
同様に回転対称であるバルブコーン5は、均質化バルブ1の中心に向かったネジ面11を備えている。均質化バルブ1の中心にはネジロッド12が設けられており、そのネジはバルブコーン5のネジ面11に最終的に係合する。一体にネジ結合した部分は、Oリングタイプの衛生的なシール13を利用して、バルブコーン5を通過する製品から密封される。
【0024】
ネジロッド12と一体にネジ結合されたバルブコーン5は、通常は油圧または空気圧ピストン14によって加圧されるが、より簡素な実施形態ではバネを介して作用する位置決めネジによって加圧されることが可能である。均質化される液体中に発生する急速な流れの変化を緩和することを可能にするために、バルブコーン5も例えばシリンダ内のオイルを手段として可動式とされている。ピストンポンプ内に自然に発生する流れの変化に対処するために、弾性が必要である。
【0025】
バルブコーン5とネジロッド12とはバルブハウジング2内に配置されており、バルブコーン5の径方向面15とバルブシート6の径方向面16との間には、高さhの径方向均質化ギャップ7が形成されている。均質化ギャップ7の高さは、バルブコーン5がバルブシート6に接近またはバルブシート6から離間するように移動されることによって変化した圧力および流れにともなって、変化されることが可能である。バルブコーン5がネジロッド12にネジ結合されているので、均質化バルブ1内においてすべての径方向均質化ギャップ7に関する同一の高さhを確実に得ることが可能である。
【0026】
バルブコーン5の軸方向面17とバルブシート6の軸方向面18との間にも、均質化ギャップ8が形成されている。しかしながら、これらの軸方向均質化ギャップ8は固定されており、ネジロッド12によって調節不可能である。
【0027】
均質化バルブ1のハウジング2内には、複数のバルブコーン5と複数のバルブシート6とが配列されている。図1図3において、4つのバルブコーン5と4つのバルブシート6とが示されている。4つの径方向ギャップと3つの軸方向ギャップ8とから成る7つの均質化ギャップが、これによって得られている。本発明による均質化バルブ1は、所望の容量および用途に依存して、より多くのまたはより少ないバルブコーン5およびバルブシート6を収容していてもよい。バルブハウジング2を分けて製造することによって、より多い数のまたはより少ない数のバルブコーン5およびバルブシート6を容易に組み立てることが可能となる。
【0028】
通常は牛乳である、均質化される液体は均質化器内に導入され、そこで約10MPa〜25MPaに加圧される。牛乳は通常は0.5%〜3.5%の脂肪分を有し、55℃〜80℃の温度である。
【0029】
液体は流入口3を通じて導入され、バルブコーン5内に存在する孔19を通過する。この後、液体は、均質化が生じる異なった均質化ギャップ7、8の1つを通過する。液体はその次にバルブシート内の開口部10を通じて出て行き、その後液体はチャネル20内に収集される。液体は常に最も単純な経路を進もうとするので、異なった均質化ギャップ7、8を通じた液体の比較的均一な分配が得られる。均質化の後、液体は流出口4を通じて均質化バルブ1から流出する。
【0030】
ギャップ高さは通常は50μm〜200μmである。通過の際、0MPaに向かう非常に急速な圧力降下が得られ、それと同時に液体の速度が増加し、液体を沸騰させ始める。液体が均質化ギャップ7、8を離れたとき、速度は減少し、圧力は再度上昇する。液体は沸騰を止め、液体内の蒸気の泡は破裂する。全体の処理はわずか数秒にわたって行われ、激しい処理においては、高速が乱流およびキャビテーションを引き起こし、液体内に存在する脂肪球は、より小さい粒子へと分割される。
【0031】
異なった均質化ギャップ7および8の間において液体の均一な分配が得られるので、非常に良好な用途が、増加したギャップ長さから作り上げられ、本発明による均質化バルブ1を備えた均質化器は従来の均質化バルブよりも何倍も多くの流れを処理することが可能である。それと同時に、ピストンがバルブシート6に関してバルブコーン5を変位させることが可能であり、これによって径方向均質化ギャップ7の異なった高さを得ることが可能であるため、均質化バルブは製品の流れの変化に関して調節可能である。バルブコーン5はネジロッド12にネジ結合されているので、すべての径方向均質化ギャップ7は同一のギャップ高さhを有する。ネジロッド12と同様にすべてのバルブコーン5はユニットとして調節され、すべての径方向均質化ギャップ7は同一のギャップ高さhを常に有する。
【0032】
図4および図6において、均質化バルブ1はその洗浄位置において示されている。バルブコーン5への圧力は空気圧または油圧ピストンが緩和することによって解放され、次いで、その内部に均質化ギャップ7、8が通常は見られる開口部21、22を提供する。洗浄液はこれらの開口部21、22を通じて自由に通過することが可能であるので、製品と接触する均質化バルブのすべての部品は、効果的に洗浄されることが可能である。
【0033】
上述の記載から明確にされたように、既存の均質化器に組み込むために使用されるが、対応した従来の均質化バルブよりも非常に大量の流れを処理することが可能な均質化バルブは、本発明を用いて実現される。それと同時に、均質化バルブは圧力および流れにおける瞬間的な変化に関して調節されることが可能である。均質化バルブの調節性は、そのバルブがこれまでに既知の均質化バルブよりも摩耗および引き裂きに関してより良好な特性を示すことも意味している。均質化バルブの長さおよび構造も、バルブの製造を比較的安価にしている。
【符号の説明】
【0034】
1 ・・・均質化バルブ
2 ・・・バルブハウジング
3 ・・・流入口
4 ・・・流出口
5 ・・・バルブコーン
6 ・・・バルブシート
7,8 ・・・均質化ギャップ
9 ・・・Oリング
10 ・・・開口部
11 ・・・ネジ面
12 ・・・ネジロッド
13 ・・・シール
14 ・・・ピストン
20 ・・・チャネル
21,22 ・・・開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6