特許第5980812号(P5980812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980812
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】PASKの阻害のための複素環化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20160818BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 5/50 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   C07D401/04CSP
   C07D405/14
   A61K31/498
   A61P43/00 111
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P1/16
   A61P3/04
   A61P5/50
【請求項の数】14
【全頁数】100
(21)【出願番号】特願2013-548530(P2013-548530)
(86)(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公表番号】特表2014-505053(P2014-505053A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】US2012020281
(87)【国際公開番号】WO2012094462
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/430,013
(32)【優先日】2011年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/449,020
(32)【優先日】2011年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512054920
【氏名又は名称】バイオエナジェニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム・マッコール
(72)【発明者】
【氏名】ドナ・エル・ロメロ
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5696856(JP,B2)
【文献】 国際公開第2011/028947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/04
C07D 405/14
A61K 31/498
A61P 1/16
A61P 3/04
A61P 3/06
A61P 3/10
A61P 5/50
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-(1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
3-(1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸;
2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸;
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
から選択される、化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸である請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボン酸である化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の化合物またはその医薬上許容される塩を医薬上許容される担体とともに含む医薬組成物。
【請求項5】
求項1〜3のいずれか記載の化合物またはその医薬上許容される塩を含む、PASKを阻害するための医薬
【請求項6】
求項1〜3のいずれか記載の化合物またはその医薬上許容される塩を含む、癌および代謝性疾患から選択される疾患の治療用医薬
【請求項7】
該疾患が代謝性疾患である請求項6記載医薬
【請求項8】
該代謝性疾患が、メタボリック・シンドローム、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肥満、およびインスリン抵抗性から選択される、請求項7記載の医薬
【請求項9】
該糖尿病が2型糖尿病である請求項8記載の医薬
【請求項10】
該脂質異常症が高脂血症である請求項8記載の医薬
【請求項11】
患者において効果を達成するための医薬であって、請求項1〜3のいずれか記載の化合物またはその医薬上許容される塩を含み、ここで、該効果が、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、およびヘモグロビン A1cの低下からなる群から選択される、医薬
【請求項12】
該コレステロールが、LDLおよびVLDLコレステロールから選択される請求項11記載医薬
【請求項13】
該トリグリセリドが、血漿トリグリセリドおよび肝臓トリグリセリドから選択される請求項11記載医薬
【請求項14】
以下を含PASK-媒介疾患の治療用組合せ剤:
a. 請求項1〜3のいずれか記載の化合物またはその医薬上許容される塩;および、
b.別の治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、あたかもそれらの全体が本明細書中に記載されているかのようにその開示を引用により本明細書に含める、2011年1月5日出願の米国仮出願第61/430,013号および2011年3月3日出願の第61/449,020号の優先権の利益を主張する。
【0002】
新規な複素環化合物および組成物およびそれらの疾患の治療のための医薬としての適用が本明細書に開示される。疾患、例えば、糖尿病の治療のために、ヒトまたは動物対象においてPAS キナーゼ(PASK) 活性を阻害する方法もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
グリコーゲン代謝の調節は、哺乳類におけるグルコースおよびエネルギー恒常性の維持のために重要である。グルコースの大きな分岐ポリマーであるグリコーゲンは、様々な生物において炭素およびエネルギーの蓄えとして作用する。哺乳類において、最も重要な貯蔵所は肝臓および骨格筋においてみられる(1)。肝臓グリコーゲンは、絶食時の血糖値を効率的に緩衝する(buffer)ために必要であり、一方、筋グリコーゲンは、主として筋肉収縮のための燃料としてその場で(locally) 用いられる(2)。グリコーゲン代謝の異常調節は、2型糖尿病を含む多くの疾患の進行において関与してきた (3、4)。
【0004】
グリコーゲンの合成は、主として、バルクグリコーゲン合成を触媒する酵素であるグリコーゲン合成酵素 (GYS、様々なアイソフォーム)の調節を介して制御される(5、6、7)。グリコーゲン合成酵素 (GYS1)の筋肉アイソフォームは、酵素内の9の異なる部位において起こる可逆的リン酸化により不活性化される(8、9、10)。グリコーゲン合成酵素の最も特徴決定された形態において、リン酸化部位は、NおよびC 末端に集まっている (14)。グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3 (GSK-3)は、Ser-640 (哺乳類グリコーゲン合成酵素における最も重要な内因性調節(regulatory)リン酸化部位の一つ (15、32))およびSer-644を含む、グリコーゲン合成酵素のC 末端における4つの鍵となる部位の段階的リン酸化において長く関与してきたインスリン依存性キナーゼである(10、11-13、24、25)。GSK-3はしかし、C-末端調節部位をリン酸化する唯一のキナーゼではなく; GSK-3-非依存性機構も存在する。というのは、Ser-7 およびSer-10のセリンからアラニンへの置換は、重要な調節部位である Ser-640 および Ser-644のGSK-3-媒介リン酸化をブロックし、これらの部位でのリン酸化が依然として起こるからである。
【0005】
PASK (プリン類似体感受性キナーゼ、PAS キナーゼ)は、PAS ドメイン-含有セリン/トレオニンキナーゼであり、サッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae) 酵母における遺伝実験により、PASKはグリコーゲン合成酵素およびグリコーゲン蓄積の生理的調節因子であることが示唆された(16、17)。グリコーゲン合成酵素調節系全体と同様に、PASK は、酵母からヒトまで高度に保存されている。ヒトPASK (hPASK)は、グリコーゲン合成酵素を主としてSer-640においてリン酸化し、ほぼ完全な不活性化を引き起こす。PASK-依存性リン酸化の正確な部位は、酵母および哺乳類グリコーゲン合成酵素において似ているが同一ではないということに注目することは興味深い(18、19); 酵母 PASKは、グリコーゲン合成酵素をSer-644に類似した部位、4残基の C-末端においてリン酸化する (18)。hPASK 中央領域(mid region)(残基444-955)が、グリコーゲン合成酵素のインビトロでの効率的なリン酸化および細胞におけるグリコーゲン合成酵素との相互作用のために必要であるようである:非触媒 N 末端を欠くhPASK 突然変異体 (Δ955)は、効率的にグリコーゲン合成酵素をリン酸化することができなかった。この領域は一般的な、非生理的基質、例えば、ヒストンおよび合成ペプチドのリン酸化には必要ではないため、hPASKの中央領域が基質-標的化(targeting)のために必須であると提案されてきた。類似の基質領域が、多くのタンパク質キナーゼにおいて発見されてきた (26-29)。GSK-3と異なり、hPASKの活性は、インスリン非依存性であることが示されており、おそらくその代わりにより直接的な代謝シグナルによって調節されているのであろう (23)。
【0006】
酵母 PASKを用いた遺伝子およびプロテオーム(proteomic)スクリーニングにより、多数の基質が同定され、炭水化物代謝および翻訳の調節においてこのキナーゼが関与しているとされた(18)。以前に、酵母 PASKはグリコーゲン合成酵素をインビトロでリン酸化することおよび PASK遺伝子を欠く株 (PSK1 およびPSK2)ではグリコーゲン合成酵素活性が上昇しており、野生型株と比較してグリコーゲンがおよそ 5- から10-倍蓄積することが示されており、インビボでグリコーゲン合成酵素をリン酸化する能力の低下と一致している(18)。グリコーゲン合成および翻訳は、栄養素利用性に応答して緊密に調節されている2つのプロセスであるため、そしてPAS ドメインはしばしば代謝センシングに関与しているため、代謝状態に対する細胞応答におけるPASK の役割が提案されてきた。実際、最近、哺乳類PASKが、栄養素に対する細胞応答において役割を果たしていることが実証された。膵島β-細胞におけるPASKの触媒活性は、グルコース添加に応答して迅速に上昇し、PASKは、プレプロインスリンを含むいくつかのβ-細胞遺伝子のグルコース-応答性発現のために必要である(23)。
【0007】
しかし、PASK 触媒活性はグルコースのみに応答性であるわけではない。hPASK 中央領域とグリコーゲン合成酵素との間の相互作用は、少なくとも二つの因子によって調節されている。第一に、PAS キナーゼのPAS ドメインは、この相互作用の調節において負の役割を果たしている。PAS ドメインが欠失または破壊されると、hPASKはグリコーゲン合成酵素とより安定に結合する(associate)。PAS ドメイン機能は、PASK PAS ドメインについて示唆されてきたように、通常、宿主細胞の代謝状態によって制御される(23)。この観察は、 hPASK-グリコーゲン合成酵素相互作用が細胞の代謝状態によって調節され、それによりグリコーゲン合成の代謝調節のさらなる層を可能としているという興味深い可能性を生じさせる。第二に、グリコーゲンはhPASK-グリコーゲン合成酵素相互作用を負に調節し、これは最初は直観に反しているようにみえる。というのは、グリコーゲンはそれによりその独自の継続した合成を刺激するようであるからである。しかし、この機構がグリコーゲンの合成を空間的に協調させるために存在するという可能性はある。グリコーゲンが高度に組織だった空間的パターンにおいて細胞において合成されているということが次第に明らかになってきた (30)。おそらくhPASKの一つの機能は、遊離の、局在化されていないグリコーゲン合成酵素を、それが既存の正しく組織だったグリコーゲン粒子へと正しく局在化されるまで、リン酸化された、不活性形態に維持することである。これらのデータは、 hPASK 中央領域が、細胞内の特異的基質へのhPASK 触媒活性の標的化において重要な役割を果たしていることを強く示唆している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最近、hPASKは、グルコース-センシングおよびグルコース-応答性転写に関係づけられてきたので、hPASKによるグルコースシグナル伝達がグリコーゲン 代謝にインビボで影響を与えているように見受けられる。グリコーゲン代謝における乱れが、1型および2型糖尿病の両方 (20)ならびに関連症状(21)、例えば、一連の(a panoply of)生命を脅かす心血管疾患(22)の特徴の一つであることがよく確立されている。PASK1 マウスを用いて、PASKが実際に膵臓 β 細胞による正常なインスリン分泌のために必要であること、および PASK 欠失の結果、高脂肪食によってもたらされる表現型、例えば、肥満、インスリン抵抗性および肝臓脂肪蓄積に対するほぼ完全な抵抗性が生じることがさらに実証されてきた。それゆえ、PASK 阻害は、哺乳類細胞におけるグルコース利用および貯蔵の代謝制御のためのシステムを構成し得、そして代謝性疾患、例えばこれらに限定されないが、糖尿病およびその合併症、メタボリック・シンドローム、インスリン抵抗性、および様々な心血管疾患の治療のための新しい方法を提供しうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのなかのいくつかはPASKを阻害することが判明した新規化合物および医薬組成物、それとともに該化合物を合成および使用する方法、例えば、該化合物を投与することにより患者におけるPASK-媒介疾患を治療する方法が見出された。
【0010】
本発明の特定の態様において、化合物は構造式 I:
【化1】
(I)
[式中:
R1 は、そのいずれも(either of which)が、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテラリールアルキル(heterarylalkyl)、CN、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、 NHSO2R12、NHSO2NHR12、NHCOR12、NHCONHR12、CONHR12、CONR12aR12b、ヒドロキシ、CF3、CHF2、CH2F、SO2R12、SO2NHR12、OCF3、OCHF2およびOCH2Fから選択される一以上の置換基により置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
R3 は、水素およびヒドロキシルから選択され;
R12、R12aおよびR12bは、独立して、水素、C1-C6 アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルから選択され、あるいは一緒になって、R12aおよびR12b は、そのいずれもが(any of which)置換されていてもよい、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールを形成していてもよく;
R19 は、水素、低級アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、CF3、CHF2、CH2F、-COOH、OCF3、OCHF2、OCH2F、ハロ、アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、NHSO2R12、NHSO2NHR12、NHCOR12、NHCONHR12、CONHR12、CONR12aR12b、SO2NR12aR12b、アリール、およびヘテロアリールから選択され;
X3 は、CH2、NR12、およびOから選択され; および
nは、0 - 4の整数である]
を有するか、またはその医薬上許容される塩、エステル、またはプロドラッグである。
【0011】
本明細書に開示される特定の化合物は、有用な PASK 調節活性を有し得、PASKが積極的役割(active role)を果たす疾患または症状の治療または予防において使用することができる。したがって、広い側面において、特定の態様はまた、本明細書に開示される一以上の化合物を医薬上許容される担体とともに含む医薬組成物、ならびに、該化合物および組成物を製造および使用する方法を提供する。特定の態様は、PASKを調節する方法を提供する。別の態様は、かかる治療を必要とする患者におけるPASK-媒介障害を治療する方法を提供し、該方法は、該患者に治療上有効量の本発明による化合物または組成物を投与することを含む。PASKの阻害によって改善する (ameliorated) 疾患または症状の治療のための医薬の製造における使用のための、本明細書に開示される特定の化合物の使用もまた提供される。
【0012】
一つの態様において、nが0-2の整数である式 Iの化合物が提供される。
【0013】
一つの態様において、R1がフェニルである式 Iの化合物が提供される。
【0014】
一つの態様において、R1 が一以上のハロ置換基により置換されている式 Iの化合物が提供される。
【0015】
一つの態様において、該ハロ置換基がフルオロである式 Iの化合物が提供される。
【0016】
一つの態様において、R1が4-フルオロフェニルである式 Iの化合物が提供される。
【0017】
一つの態様において、R3 が水素である式 Iの化合物が提供される。
【0018】
一つの態様において、X3がCH2である式 Iの化合物が提供される。
【0019】
医薬として使用するための上記の化合物がさらに提供される。
【0020】
PASKの阻害によって改善する疾患または症状の予防または治療のための医薬の製造における使用のための、上記の化合物がさらに提供される。
【0021】
上記の化合物を医薬上許容される担体とともに含む医薬組成物がさらに提供される。
【0022】
PASK と上記の化合物とを接触させることを含む、PASKを阻害する方法がさらに提供される。
【0023】
治療上有効量の上記の化合物のそれを必要とする患者への投与を含む、疾患の治療方法がさらに提供される。
【0024】
該疾患が、癌および代謝性疾患から選択される上記の方法がさらに提供される。
【0025】
該疾患が代謝性疾患である上記の方法がさらに提供される。
【0026】
該代謝性疾患が、メタボリック・シンドローム、糖尿病、脂質異常症(dyslipidemia)、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肥満、およびインスリン抵抗性から選択される上記の方法がさらに提供される。
【0027】
該糖尿病が2型糖尿病である上記の方法がさらに提供される。
【0028】
該脂質異常症が高脂血症(hyperlipidemia) である上記の方法がさらに提供される。
【0029】
治療上有効量の上記の化合物の患者への投与を含む、患者において効果を達成する方法がさらに提供され、ここで、該効果は、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、およびヘモグロビン A1cの低下からなる群から選択される。
【0030】
該コレステロールが、LDLおよびVLDL コレステロールから選択される上記の方法がさらに提供される。
【0031】
該トリグリセリドが血漿トリグリセリドおよび肝臓トリグリセリドから選択される上記の方法がさらに提供される。
【0032】
以下:
a.治療上有効量の上記の化合物;および、
b.別の治療薬
の投与を含むPASK-媒介疾患の治療方法がさらに提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書において用いる場合、以下の用語は示された意味を有する。
【0034】
値の範囲が開示され、そして「n1 から・・・ n2まで」という表記が用いられ、n1 およびn2が数である場合、特に断りのない限り、この表記は、それらの数自体およびそれらの間の範囲を含む意図である。この範囲は末端の値の間およびそれらを含む整数(integral)または連続(continuous)であり得る。例えば、「2から6の炭素」という範囲は、2、3、4、5、および6の炭素を含む意図である。というのは、炭素は整数単位で存在するからである。比較として、例えば、 「1から3 μM (micromolar)」という範囲は、1 μM、3 μM、およびあらゆる有効数字の間にあるすべて (例えば、1.255 μM、2.1 μM、2.9999 μM等)を含む意図である。
【0035】
「約」という用語は、本明細書において用いる場合、それが修飾する数値の表現を弱める(限定する)意図であり、かかる値を誤差の範囲内にある変数として示すものである。特定の誤差の範囲、例えば、データのチャートまたは表に与えられた平均値に対する標準偏差が示されていない場合、「約」という用語は、示された値および有効数字を考慮して四捨五入することにより、同様にその数(figure)になることによって含まれようになる範囲を包含する範囲を意味すると理解すべきである。
【0036】
本明細書において用いる場合、「アシル」という用語は、単独でまたは組み合わせにおいて、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環、またはいずれかのその他の部分に結合したカルボニルであって、カルボニルに結合した原子が炭素であるものをいう。「アセチル」基は、-C(O)CH3 基をいう。「アルキルカルボニル」または「アルカノイル」基は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基をいう。かかる基の例としては、メチルカルボニルおよびエチルカルボニルが含まれる。アシル基の例としては、ホルミル、アルカノイルおよびアロイルが挙げられる。
【0037】
「アルケニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、一以上の二重結合を有し、2から20の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルをいう。特定の態様において、該アルケニルは、2 から6の炭素原子を含むであろう。「アルケニレン」という用語は、2以上の位置にて結合した炭素-炭素二重結合系をいい、例えば、エテニレン [(-CH=CH-)、(-C::C-)]が挙げられる。好適なアルケニルラジカルの例としては、エテニル、プロペニル、2-メチルプロペニル、1,4-ブタジエニル等が挙げられる。特に断りのない限り、「アルケニル」という用語は、「アルケニレン」基を含みうる。
【0038】
「アルコキシ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アルキルエーテルラジカルをいい、ここで、アルキルという用語は、以下に定義する通りである。好適なアルキルエーテルラジカルの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。
【0039】
「アルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、1から20の 炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキルラジカルをいう。特定の態様において、該アルキルは1から10の炭素原子を含むであろう。さらなる態様において、該アルキルは、1から6の炭素原子を含むであろう。アルキル基は、本明細書において定義する通り、置換されていてもよい。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチル、ノイル(noyl) 等が挙げられる。「アルキレン」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、2以上の位置にて結合した直鎖または分枝鎖飽和炭化水素に由来する飽和脂肪族基をいい、例えば、メチレン (-CH2-)である。特に断りのない限り、「アルキル」という用語は、「アルキレン」基を含みうる。
【0040】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アミノ基を介して親分子部分に結合したアルキル基をいう。好適なアルキルアミノ基は、モノ-またはジアルキル化、形成(forming)基であり得、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノ等が挙げられる。
【0041】
本明細書において用いる場合、「アルキリデン」という用語は、単独でまたは組み合わせにおいて、炭素-炭素二重結合の一つの炭素原子がアルケニル基が結合している部分に属しているアルケニル基をいう。
【0042】
本明細書において用いる場合、「アルキルチオ」という用語は、単独でまたは組み合わせにおいて、アルキルチオエーテル (R-S-) ラジカルをいい、ここで、アルキルという用語は上記の通りであり、硫黄は、一重または二重に(singly or doubly)酸化されていてもよい。好適なアルキルチオエーテルラジカルの例としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、メタンスルホニル、エタンスルフィニル等が挙げられる。
【0043】
「アルキニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、一以上の三重結合を有し、2から20の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルをいう。特定の態様において、該アルキニルは2 から 6 の炭素原子を含む。さらなる態様において、該アルキニルは、2から4の炭素原子を含む。「アルキニレン」という用語は、二つの位置にて結合した炭素-炭素三重結合をいい、例えば、エチニレン (-C:::C-、-C≡C-)が挙げられる。アルキニルラジカルの例としては、エチニル、 プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチン-1-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシン-2-イル等が挙げられる。特に断りのない限り、「アルキニル」という用語は、「アルキニレン」基を含みうる。
【0044】
「アミド」および「カルバモイル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、カルボニル基を介して親分子部分に結合している以下に記載するアミノ基またはその逆をいう。本明細書において用いる場合、「C-アミド」という用語は、単独でまたは組み合わせにおいて、Rが本明細書において定義する通りである-C(=O)-NR2 基をいう。「N-アミド」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、RC(=O)NH- 基をいい、Rは本明細書において定義する通りである。「アシルアミノ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、親部分にアミノ基を介して結合したアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の例としては、アセチルアミノ (CH3C(O)NH-)が挙げられる。
【0045】
「アミノ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-NRRをいい、ここで、RおよびR は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択され、そのいずれもそれら自体置換されていてもよい。さらに、R およびR’は一緒になってヘテロシクロアルキルを形成していてもよく、そのいずれも置換されていてもよい。
【0046】
「アリール」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、1、2または3の環を含む炭素環芳香族系を意味し、ここで、かかる多環式(polycyclic)環系は共に縮合している。「アリール」という用語は、芳香族基を包含し、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントリルが挙げられる。
【0047】
「アリールアルケニル」または「アラルケニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アルケニル基を介して親分子部分に結合しているアリール基をいう。
【0048】
「アリールアルコキシ」または「アラルコキシ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アルコキシ基を介して親分子部分に結合しているアリール基をいう。
【0049】
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アルキル基を介して親分子部分に結合しているアリール基をいう。
【0050】
「アリールアルキニル」または「アラルキニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アルキニル基を介して親分子部分に結合しているアリール基をいう。
【0051】
「アリールアルカノイル」または「アラルカノイル」または「アロイル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アリール-置換アルカンカルボン酸に由来するアシルラジカルをいい、例えば、ベンゾイル、ナフトイル、フェニルアセチル、3-フェニルプロピオニル (ヒドロシンナモイル)、4-フェニルブチリル、(2-ナフチル)アセチル、4-クロロヒドロシンナモイル等が挙げられる。
【0052】
アリールオキシという用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、オキシを介して親分子部分に結合しているアリール基をいう。
【0053】
「ベンゾ(benzo)」および「ベンゾ(benz)」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、ベンゼンに由来する二価ラジカル C6H4= をいう。例としては、ベンゾチオフェンおよびベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0054】
「カルバメート(carbamate)」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、窒素または酸末端(acid end)から親分子部分に結合していてよく、本明細書において定義する通りに置換されていてもよい、カルバミン酸 (-NHCOO-)のエステルをいう。
【0055】
「O-カルバミル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-OC(O)NRR’をいい、R およびR’という基は本明細書において定義する通りである。
【0056】
「N-カルバミル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、ROC(O)NR’- 基をいい、RおよびR’は本明細書において定義する通りである。
【0057】
「カルボニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独の場合ホルミル [-C(O)H]を含み、組み合わせにおいては-C(O)- 基である。
【0058】
「カルボキシル」または「カルボキシ」という用語は、本明細書において用いる場合、-C(O)OHまたは対応する「カルボキシラート(carboxylate)」アニオンをいい、例えばカルボン酸塩におけるものである。「O-カルボキシ」 基はRC(O)O- 基をいい、ここでRは本明細書において定義する通りである。「C-カルボキシ」基は、 -C(O)OR 基をいい、ここで、Rは本明細書において定義する通りである。
【0059】
「シアノ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-CNをいう。
【0060】
「シクロアルキル」あるいは「炭素環(carbocycle)」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、飽和または部分的に飽和の単環式、二環式または三環式アルキル基であって、各環状部分が3 から12の炭素原子環メンバーを含み、本明細書において定義する通りに置換されていてもよいベンゾ縮合環系であってもよい基をいう。特定の態様において、該シクロアルキルは、3から 7の炭素原子を含む。かかるシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチル等が挙げられる。「二環式」および「三環式」は、本明細書において用いる場合、縮合環系、例えば、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンならびに飽和または部分的に不飽和のタイプの多環式(multicyclic) (多中心(multicentered)) の両方を含む意図である。後者のタイプの異性体は、一般的に、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、樟脳、アダマンタン、およびビシクロ[3,2,1]オクタンにより例示される。
【0061】
「エステル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、炭素原子において連結している2つの部分を架橋するカルボキシ基をいう。
【0062】
「エーテル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、炭素原子において連結している2つの部分を架橋するオキシ基をいう。
【0063】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素をいう。
【0064】
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、酸素原子を介して親分子部分に結合しているハロアルキル基をいう。
【0065】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、上記の通りの意味を有するアルキルラジカルであって、一以上の水素がハロゲンにより交換(replaced)されているラジカルをいう。具体的に含まれるのとしては、モノハロアルキル、ジハロアルキルおよびポリハロアルキルラジカルが挙げられる。モノハロアルキルラジカルは、一例として、ラジカル内に、ヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子を有しうる。ジハロおよびポリハロアルキルラジカルは、二以上の同一のハロ原子または異なるハロラジカルの組み合わせを有しうる。ハロアルキルラジカルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルが挙げられる。「ハロアルキレン」とは、2以上の位置にて結合したハロアルキル基をいう。例としては、フルオロメチレン (-CFH-)、ジフルオロメチレン (-CF2-)、クロロメチレン (-CHCl-) 等が挙げられる。
【0066】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、安定な直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカル、またはその組み合わせであって、完全に飽和であるかまたは1から3の不飽和度を含み、規定された数の炭素原子および1から3のO、N、およびSから選択されるヘテロ原子からなり、窒素および硫黄原子が酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が置換されていても四級化されていてもよいラジカル、またはその組み合わせをいう。ヘテロ原子である O、NおよびS は、ヘテロアルキル基のいずれの内部位置に位置していてもよい。2までのヘテロ原子は連続していてもよく、例えば、-CH2-NH-OCH3が挙げられる。
【0067】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、3から7員の不飽和ヘテロ単環式環、または縮合単環式、二環式、または三環式環系であって、縮合環の少なくとも一つが芳香族であり、O、S、および N から選択される少なくとも一つ原子を含むものをいう。特定の態様において、該ヘテロアリールは5から7の炭素原子を含む。該用語はまた、縮合多環式(polycyclic)基であって、複素環がアリール環に縮合しており、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環に縮合しており、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環に縮合しているか、またはヘテロアリール環がシクロアルキル環に縮合しているものをいう。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル(chromonyl)、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル(tetrazolopyridazinyl)、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル(thienopyridinyl)、フロピリジニル(furopyridinyl)、ピロロピリジニル等が挙げられる。例示的な三環式複素環基としては、カルバゾリル、ベンゾイドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、 アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニル等が挙げられる。
【0068】
「ヘテロシクロアルキル」および、互換的に、「複素環」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、それぞれ、飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、単環式、二環式、または三環式複素環基であって、環メンバーとして少なくとも一つのヘテロ原子を含み、該ヘテロ原子のそれぞれが窒素、酸素、および硫黄から独立してから選択されうるものをいう。特定の態様において、該ヘテロ(heter)シクロアルキルは、環メンバーとして1から4のヘテロ原子を含む。さらなる態様において、該ヘテロシクロアルキルは、環メンバーとして1から 2のヘテロ原子を含む。特定の態様において、該ヘテロシクロアルキルは、各環において3から8の環メンバーを含む。さらなる態様において、該ヘテロシクロアルキルは、各環において3から7の環メンバーを含む。さらに別の態様において、該ヘテロシクロアルキルは、各環において5から6の環メンバーを含む。「ヘテロシクロアルキル」および「複素環」は、スルホン、スルホキシド、三級窒素環メンバーのN-オキシド、および炭素環縮合およびベンゾ縮合環系を含む意図である; さらに、両方の用語はまた、複素環が本明細書において定義する通りのアリール基または、さらなる複素環基に縮合している系をも含む。複素環基の例としては、 アジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、 ピペラジニル、 ピロリジニル、 テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニル、3,4-メチレンジオキシフェニル等が挙げられる。複素環基は、特に禁止されていない限り置換されていてもよい。
【0069】
「ヒドラジニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、単結合によって連結した2つのアミノ基、即ち、-N-N-であって、環中に統合されて(embodied)いないものをいう。
【0070】
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-OHをいう。
【0071】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、アルキル基を介して親分子部分に結合しているヒドロキシ基をいう。
【0072】
「イミノ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、=N-をいう。
【0073】
「イミノヒドロキシ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、=N(OH)および=N-O-をいう。
【0074】
「主鎖において」という表現は、本明細書に開示される式のいずれかの化合物への基の結合点から開始する炭素原子の最も長い連続または隣接する鎖をいう。
【0075】
「イソシアナート」という用語は、-NCO 基をいう。
【0076】
「イソチオシアナート」という用語は、-NCS 基をいう。
【0077】
「原子の直鎖」という表現は、炭素、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される原子の最も長い直鎖をいう。
【0078】
「低級」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、特に具体的な定義が他にない限り、1から6の炭素原子を含むという意味である。
【0079】
「低級アリール」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、規定されている場合(as provided)、置換されていてもよいフェニルまたはナフチルを意味する。
【0080】
「低級ヘテロアリール」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、以下のいずれかを意味する: 1)5または6の環メンバーを含み、そのなかの1から4の該メンバーがO、S、およびNから選択されるヘテロ原子であってもよい単環式ヘテロアリール、または、2)縮合環のそれぞれが、O、S、およびNから選択される1から4のヘテロ原子をその間に含む、5または6の環メンバーを含む、二環式ヘテロアリール。
【0081】
「低級シクロアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、3から6の環メンバーを有する単環式シクロアルキルを意味する。 低級シクロアルキルは不飽和であってもよい。低級シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0082】
「低級ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、3から6の環メンバーを有し、そのなかで1から4がO、S、およびNから選択されるヘテロ原子であってもよい、単環式ヘテロシクロアルキルを意味する。低級ヘテロシクロアルキルの例としては、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、 ピペラジニル、およびモルホリニルが挙げられる。低級ヘテロシクロアルキルは不飽和であってもよい。
【0083】
「低級アミノ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-NRRをいい、ここで、R および R は、独立して、そのいずれも置換されていてもよい、水素、低級アルキル、および低級ヘテロアルキルから選択される。さらに、低級アミノ基のR および R’は一緒になって、そのいずれも置換されていてもよい、5または6員ヘテロシクロアルキルを形成していてもよい。
【0084】
「メルカプチル(mercaptyl)」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、RS-基をいい、ここでRは本明細書において定義する通りである。
【0085】
「ニトロ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-NO2 をいう。
【0086】
「オキシ」または「オキサ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-O-をいう。
【0087】
「オキソ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、=Oをいう。
【0088】
「ペルハロアルコキシ」という用語は、水素原子のすべてがハロゲン原子によって置換されているアルコキシ基をいう。
【0089】
「ペルハロアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、水素原子のすべてがハロゲン原子によって置換されているアルキル基をいう。
【0090】
「スルホン酸塩」、「スルホン酸」および「スルホン基(sulfonic)」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-SO3H 基、およびスルホン酸が塩形成において用いられる場合、そのアニオンをいう。
【0091】
「スルファニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-S-をいう。
【0092】
「スルフィニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-S(O)-をいう。
【0093】
「スルホニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-S(O)2-をいう。
【0094】
「N−スルホンアミド」という用語は、RS(=O)2NR’- 基をいい、 RおよびR’は、本明細書において定義する通りである。
【0095】
「S−スルホンアミド」という用語は、-S(=O)2NRR’基をいい、R および R’は本明細書において定義する通りである。
【0096】
「チア」および「チオ」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-S- 基または酸素が硫黄に置換されているエーテルをいう。チオ基の酸化された誘導体、すなわち、スルフィニルおよびスルホニルは、チアおよびチオの定義に含まれる。
【0097】
「チオール」という用語は、本明細書において用いる場合、単独でまたは組み合わせにおいて、-SH 基をいう。
【0098】
「チオカルボニル」という用語は、本明細書において用いる場合、単独の場合、チオホルミル -C(S)Hを含み、組み合わせにおいては-C(S)- 基である。
【0099】
「N−チオカルバミル」という用語は、ROC(S)NR’-基をいい、R および R’は本明細書において定義する通りである。
【0100】
「O−チオカルバミル」という用語は、-OC(S)NRR’基をいい、 R および R’は本明細書において定義する通りである。
【0101】
「チオシアナート」という用語は、-CNS 基をいう。
【0102】
「トリハロメトキシ」という用語は、X3CO- 基をいい、ここでXはハロゲンである。
【0103】
本明細書中のあらゆる定義は、複合構造基を説明するあらゆるその他の定義と組み合わせて用いることができる。慣例により、あらゆるかかる定義の末尾の (trailing)要素は、親部分に結合している要素である。例えば、複合基であるアルキルアミドは、アミド基を介して親分子に結合しているアルキル基を表し、アルコキシアルキルという用語は、アルキル基を介して親分子に結合しているアルコキシ基を表す。
【0104】
基が「空白(null)」であると定義されている場合、該基が存在しないことを意味する。
【0105】
「置換されていてもよい」という用語は、先行する(anteceding) 基が置換されていても非置換であってもよいことを意味する。置換されている場合、「置換されていてもよい」基の置換基には、限定されないが、単独でまたは組み合わせにおいて、以下の基または特定の示された基のセットから独立して選択される一以上の置換基が挙げられる: 低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホン酸エステル(suofonate)、スルホン酸、トリ置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバメート、および低級ウレア。2つの置換基は一緒になって結合して、0から3のヘテロ原子からなる縮合5-、6-、または7員炭素環または複素環を形成していてもよく、例えばメチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成していてもよい。置換されていてもよい基は非置換 (例えば、-CH2CH3)、完全に置換(例えば、-CF2CF3)、モノ置換 (例えば、-CH2CH2F)のいずれであってもよいし、あるいは、完全に置換およびモノ置換の間のいずれかのレベルにて置換されていてもよい (例えば、-CH2CF3)。置換についての限定なしに置換基が記載されている場合、置換および非置換の両方の形態が包含される。置換基が「置換されている」と限定されている場合、置換された形態が具体的に意図される。さらに、特定の部分に対する任意の置換基の様々なセットが必要である場合規定されうる; これらの場合では、任意の置換は、しばしば「により置換されていてもよい」という表現の直後に規定される通りとなろう。
【0106】
Rという用語またはR’ という用語は、単独で現れて数の指定がない場合、特に断りのない限り、そのいずれも置換されていてもよい、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルから選択される部分をいう。かかるR およびR’ 基は本明細書において定義する通り置換されていてもよいと理解されるべきである。R 基が数の指定を有しても有さなくても、あらゆるR 基、例えば、 R、R’およびRn 、ここでn=(1、2、3、...n)、すべての置換基、およびすべての用語は群からの選択に関して互いに非依存性であると理解すべきである。いずれかの変数、置換基、または用語 (例えば、アリール、複素環、R等)が式または一般構造において2回以上現れる場合、存在するたびにその定義はそれぞれの存在の定義について非依存性である。当業者であれば、特定の基が親分子に結合しうることまたは記載されたいずれかの末端から元素の鎖におけるある位置を占有しうることをさらに認識している。したがって、単に例示的に、非対称基、例えば -C(O)N(R)-は、親部分に炭素または窒素のいずれかにおいて結合しうる。
【0107】
本明細書に開示される化合物において不斉中心が存在する。それらの中心は、キラル炭素原子のまわりの置換基の立体配置に応じて、記号「R」または「S」により示される。本発明は、すべての立体化学異性体形態、例えば、ジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー形態、ならびにd-異性体および1-異性体、およびそれらの混合物を包含することが理解されるべきである。個々の化合物の立体異性体は、不斉中心を含む市販の出発物質から合成により調製することができるし、または、エナンチオマー生成物の混合物の調製、次いで、分離、 例えばジアステレオマー混合物への変換に次ぐ分離または再結晶、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラム上でのエナンチオマーの直接分離、または当該技術分野において公知のいずれかのその他の好適な方法により調製することができる。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているか、または当該技術分野において公知の技術によって製造し、分割することができる。さらに、本明細書に開示される化合物は幾何異性体として存在しうる。本発明はすべての、シス、トランス、シン、アンチ、エントゲーゲン(entgegen) (E)、およびツザンメン(zusammen) (Z) 異性体ならびにそれらの適当な混合物を含む。さらに、化合物は互変異性体として存在しうる; すべての互変異性体が本発明により提供される。さらに、本明細書に開示される化合物は、非溶媒和ならびに医薬上許容される溶媒との溶媒和形態において存在し得、医薬上許容される溶媒としては、例えば、水、エタノール等が挙げられる。一般的に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
【0108】
「結合」という用語は、2つの原子、または結合により連結される原子がより大きい部分構造の一部とみなされる場合は2つの部分の間の共有結合をいう。結合は、特に断りのない限り、単結合、二重結合、または三重結合でありうる。分子の図における2つの原子の間の破線は、その位置においてさらなる結合が存在しても非存在であってもよいことを示す。
【0109】
「疾患」という用語は、本明細書において用いる場合、正常な機能を損なうヒトまたは動物体またはその部分の一つの異常な症状が、典型的には特徴的な兆候および症候により呈され、ヒトまたは動物の寿命または生活の質を低下させることを、いずれの用語も反映する点で、一般的に「障害」および「症状」 (医学的状態における)という用語と同義である意図であり、互換的に用いられる。
【0110】
「併用療法」という用語は、本開示において記載される治療学的症状または障害を治療するための二以上の治療薬の投与を意味する。かかる投与は、例えば、固定された比の活性成分を有する単一カプセルにおいて、 またはそれぞれの活性成分のための複数の、分離したカプセルにおいての実質的に同時の様式におけるこれら治療薬の共-投与を包含する。さらに、かかる投与はまた、逐次的方法における各タイプの治療薬の使用も包含する。いずれの場合においても、治療計画は本明細書において記載される症状または障害の治療において薬物の組み合わせの有益な効果を提供するであろう。
【0111】
「PASK 阻害剤」は、本明細書において用いる場合、本明細書において一般的に以下に記載されるPASK アッセイにおいて測定して、PASK 活性についてわずか 約 100μM およびより典型的には 多くて 約 50 μM の(IC50 / EC50)を示す化合物をいう。IC50 は、PASK活性を最大半量レベルまで低下させる阻害剤の濃度である。本明細書に開示される特定の化合物は、PASKに対する阻害を示すことが判明した。
【0112】
「治療上有効な」という表現は、疾患または障害の治療において使用する活性成分の量を限定する(qualify)意図である。この量は、該疾患または障害を低減または解消する目的を達成するものであろう。
【0113】
「治療上許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、およびアレルギー反応がなく患者の組織と接触させることにおいて使用するために好適であり、合理的なリスク対効果比に相応であり、それらの意図された使用のために有効な化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性体、両性イオン形態等)をいう。
【0114】
本明細書において用いる場合、患者の「治療」という言及は、予防を含む意図である。「患者」という用語は、ヒトを含むすべての哺乳類を意味する。患者の例としては、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギが挙げられる。好ましくは、患者はヒトである。
【0115】
「プロドラッグ」という用語は、インビボにおいてより活性とされる化合物をいう。本明細書に開示される特定の化合物はまた、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism : Chemistry、Biochemistry、and Enzymology (Testa、Bernard and Mayer、Joachim M. Wiley-VHCA、Zurich、Switzerland 2003) において記載されるように、プロドラッグとしても存在しうる。本明細書において記載される化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を経て当該化合物を提供する化合物の構造的に修飾された形態である。さらに、プロドラッグは、生体外(ex vivo)環境において化学的または生化学的方法によって化合物へと変換されうる。例えば、プロドラッグは、経皮パッチ貯蔵所に配置された場合、好適な酵素または化学的試薬によってゆっくりと化合物へと変換されうる。プロドラッグは、いくつかの状況においては、化合物、即ち親薬物よりも投与が容易であり得るので、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグは、医薬組成物において、親薬物よりも改善された溶解度を有しうる。多種多様なプロドラッグ誘導体が当該技術分野において公知であり、例えば、プロドラッグの加水分解または酸化的活性化に依存するものが挙げられる。プロドラッグの一例は、限定されないが、エステル (「プロドラッグ」)として投与されるが、その後代謝的に加水分解されて活性実体であるカルボン酸となる化合物であろう。さらなる例としては、化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0116】
本明細書に開示される化合物は、治療上許容される塩として存在しうる。本発明は、塩、例えば、酸付加塩の形態における先に列挙した化合物を含む。好適な塩としては、有機および無機酸の両方により形成されるものが含まれる。かかる酸付加塩は通常は医薬上許容されるものであろう。しかし、医薬上許容されない塩も、問題の化合物の調製および精製において有用であり得る。塩基(basic)付加塩も形成され得、医薬上許容されるものであり得る。塩の調製および選択のより完全な議論については、Pharmaceutical Salts: Properties、Selection、and Use (Stahl、P. Heinrich. Wiley-VCHA、Zurich、Switzerland、2002)を参照されたい。
【0117】
「治療上許容される塩」という用語は、本明細書において用いる場合、水溶性または油溶性または分散性であり、本明細書において定義する通り治療上許容される、本明細書に開示される化合物の塩または両性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終的な単離および精製の際に調製され得るか、または別々に遊離塩基の形態における適当な化合物を好適な酸と反応させることによって調製され得る。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩 (ベシル酸塩)、硫酸水素塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩 (イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロプリオネート(phenylproprionate)、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩 (p-トシラート)、およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、本明細書に開示される化合物における塩基性基は、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、および塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、および臭化ブチル、およびヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル; 硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミル; 塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、および塩化ステリル(steryl)、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、および臭化ステリル(steryl)、およびヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステリル(steryl) ; および臭化ベンジルおよび臭化フェネチルによって四級化することができる。治療上許容される付加塩の形成のために用いることができる酸の例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸、および有機酸、例えば、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸が挙げられる。塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類イオンによる化合物の配位によっても形成されうる。したがって、本発明は、本明細書に開示される化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウム塩等を意図する。
【0118】
塩基付加塩は、化合物の最終的な単離および精製の際に、カルボキシ基と好適な塩基、例えば、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩またはアンモニアまたは有機一級、二級、または三級アミンとを反応させることによって、調製され得る。治療上許容される塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびに非毒性四級アミンカチオン、例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン(ephenamine)、およびN,N’-ジベンジルエチレンジアミンが挙げられる。塩基付加塩の形成のために有用なその他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
【0119】
本発明の化合物を化学原料(raw chemical)として投与することは可能であるが、それらを製剤処方として提供することも可能である。したがって、本明細書に開示される一以上の特定の化合物、またはその一以上の医薬上許容される塩、エステル、プロドラッグ、アミド、または溶媒和物を、一以上のその医薬上許容される担体とともに含み、所望により一以上のその他の治療成分を含んでいてもよい製剤処方が本明細書において提供される。(一または複数の)担体は、製剤のその他の成分と適合性であり、かつ、その受容者に有害でない、という意味で「許容される」ものでなければならない。適切な製剤は選択された投与経路に依存する。周知技術、担体、および賦形剤のいずれも好適なものとして使用することができ、当該技術分野において、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて理解されている通りである。本明細書に開示される医薬組成物は、当該技術分野において公知のあらゆる方法によって製造され得、例えば、常套の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル封入、封入 または圧縮プロセスによる方法が挙げられる。
【0120】
製剤には、経口、非経口 (例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸および局所 (例えば、皮膚、口腔、舌下および眼球内) 投与のために好適なものが含まれるが、もっとも好適な経路は、例えば、受容者の症状および障害に依存しうる。製剤は、便宜には単位用量形態において存在し得、薬学の技術分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。典型的には、これらの方法は、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは溶媒和物 (「活性成分」) と一以上の補助的成分を構成する担体とを一緒にする工程を含む。一般的に、製剤は、活性成分と、液体担体または微粉化した固体担体あるいはその両方とを均一にかつ密接に一緒にし(bringing into association)、次いで、必要である場合、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0121】
経口投与のために好適な本明細書に開示される化合物の製剤は、不連続単位、例えば、それぞれあらかじめ決められた量の活性成分を含有する、カプセル、カシェーまたは錠剤として;粉末または顆粒として;溶液または水性液体または非-水性液体における懸濁液として; あるいは水中油型液体乳濁液または油中水滴型液体乳濁液として存在しうる。活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとしても存在しうる。
【0122】
経口的に使用されうる医薬調製物としては、錠剤、ゼラチンでできた押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールでできた軟らかい、密封されたカプセルが挙げられる。錠剤は、所望により一以上の補助的成分とともに圧縮または成形することにより製造されうる。圧縮錠は、好適な機械において、自由流動性形態、例えば、粉末または顆粒における活性成分を圧縮し、所望により、結合剤、不活性希釈剤、または平滑剤、界面活性剤または分散剤と混合することにより調製されうる。湿製錠は、好適な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を成形することによって製造されうる。錠剤は所望によりコーティングされてもよいし、スコア付け(scored)されてもよく、そのなかの活性成分の遅延または制御放出を提供するように製剤してもよい。経口投与のための製剤はすべて、かかる投与に好適な用量におけるものでなければならない。押し込み型カプセルは、充填材、例えば、ラクトース、結合剤、例えば、でんぷん、および/または、潤滑剤、例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムおよび、所望により、安定剤と混合して活性成分を含有していてもよい。軟カプセルにおいて、活性化合物は、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁されうる。さらに、安定剤を添加してもよい。糖衣錠の芯は好適なコーティングとともに提供される。この目的のために、濃縮糖(concentrated sugar) 溶液を使用してもよく、これは所望により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有していてもよい。染料または顔料を、活性化合物用量の異なる組み合わせを同定または特徴付けるために錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0123】
化合物は、注射による、例えば、ボーラス注射または持続注入による、非経口投与のために製剤してもよい。注射のための製剤は、単位用量形態において、例えば、アンプル中または複数回投与容器中において、保存料を添加して提供されうる。組成物は、油性または水性媒体中の、懸濁液、溶液または乳濁液などの形態をとるものであり得、製剤化剤、例えば、懸濁、安定および/または分散剤を含有していてもよい。製剤は、単位用量または複数回投与容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルにおいて提供することができ、使用直前に、無菌液体担体、例えば、生理食塩水または発熱性物質除去蒸留水を添加することだけを必要とする粉末形態または凍結乾燥 (lyophilized) 状態において保存されうる。即時注射溶液および懸濁液は、以前に記載された類いの無菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0124】
非経口投与のための製剤は、活性化合物の水性および非-水性 (油性) 無菌注射溶液を含み、それは抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬および、製剤を意図される受容者の血液と等張にするための溶質を含んでいてもよく;ならびに水性および非-水性無菌懸濁液を含み、それは懸濁剤および増粘剤を含んでいてもよい。好適な親油性溶媒または媒体としては、脂肪油、例えば、ごま油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を上昇させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランを含有していてもよい。所望により、懸濁液はまた、高濃縮の溶液の調製を可能とするために、好適な安定剤または化合物の溶解度を上昇させる剤を含んでいてもよい。
【0125】
以前に記載された製剤に加えて、化合物はまた、持効性製剤としても製剤されうる。かかる長時間作用型の製剤は、埋め込みにより(例えば、皮下または筋肉内に) または筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー性または疎水性材料(例えば、 許容される油中の乳濁液として) またはイオン交換樹脂とともに、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤することができる。
【0126】
口腔または舌下投与のために、組成物は、常套の方法で製剤された錠剤、薬用キャンディー、トローチ、またはゲルの形態を取り得る。かかる組成物は、風味付けされた基剤(basis)、例えば、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含みうる。
【0127】
化合物はまた、直腸組成物、例えば、常套の坐薬基剤、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、またはその他のグリセリドを含有する坐薬または停留かん腸において製剤することもできる。
【0128】
本明細書に開示される特定の化合物は、局所的に、即ち、非全身投与により投与されうる。これには、本明細書に開示される化合物の外部から表皮または口腔への適用およびかかる化合物の耳、眼および鼻への点滴が含まれ、化合物が有意に血流に入らないようにされる。一方、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内および筋肉内投与をいう。
【0129】
局所投与のために好適な製剤としては、炎症部位への皮膚を介しての浸透に好適な液体または半-液体調製物、例えば、ゲル、塗布薬、ローション、クリーム、軟膏またはペースト、および、眼、耳 または鼻への投与に好適な点滴薬が挙げられる。局所投与のための活性成分は、例えば、製剤の0.001% から 10% w/w (重量%)を構成しうる。特定の態様において、活性成分は、10% w/wと同程度の量を構成しうる。別の態様において、それは5% w/w未満を構成しうる。特定の態様において、活性成分は2% w/w から5% w/wを構成しうる。別の態様において、それは製剤の0.1% から1% w/wを構成しうる。
【0130】
吸入による投与のために、化合物は便宜には、吸入器、ネブライザー加圧パックまたはエアゾール・スプレーを送達するその他の便利な手段から送達されうる。加圧パックは、好適な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の好適なガスを含みうる。加圧エアゾールの場合、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって測定されうる。あるいは、吸入または吹送による投与のために、本発明による化合物は、乾燥粉末組成物、例えば、化合物および好適な粉末ベース(base)、例えば、ラクトースまたはでんぷんの粉末混合物(mix)の形態を取り得る。粉末組成物は、単位用量形態において、例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチンまたはブリスター・パックにおいて提供され得、そこから粉末が吸入具または吸入器の補助により投与されうる。
【0131】
好ましい単位用量製剤は、本明細書において下記に記載する活性成分の有効な用量、またはその適当な画分を含むものである。
【0132】
先に具体的に言及した成分に加えて、上記の製剤は、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野において常套のその他の剤を含んでいてもよく、例えば、経口投与のために好適な製剤は香料添加剤を含んでいてもよいということを理解すべきである。
【0133】
化合物は、経口的にまたは注射を介して0.1 から500 mg/kg/日の用量にて投与されうる。成人のための用量範囲は一般的に5 mg から 2 g/日である。不連続単位において提供される錠剤またはその他の提示形態は便宜にはかかる用量またはその倍数として有効な量の一以上の化合物を含み得、例えば、5 mgから500 mg、通常 約 10 mg から200 mgを含む単位が挙げられる。
【0134】
担体材料と一緒にして単一用量形態を生じさせ得る活性成分の量は、治療すべき宿主および特定の投与方法に応じて変動する。
【0135】
化合物は様々な方法にて投与することができ、例えば、経口的、局所的、または注射により投与できる。患者に投与すべき化合物の正確な量は主治医の責任であろう。 いずれかの特定の患者のための特定の用量レベルは様々な因子に依存し、因子としては、例えば、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬物組み合わせ、治療すべき正確な障害、および治療すべき兆候または症状の重篤度が挙げられる。また、投与経路も症状およびその重篤度に依存しうる。
【0136】
特定の例において、本明細書において記載される化合物 (またはその医薬上許容される塩、エステル、またはプロドラッグ) の少なくとも一つを別の治療薬と組み合わせて投与することが適当なことがあり得る。単なる例として、もし本明細書における化合物の一つを与えられた際に患者によって経験された副作用の一つが高血圧である場合、初期治療薬と組み合わせて抗高血圧薬を投与することが適当であり得る。あるいは、単なる例として、本明細書において記載される化合物の一つの治療的有効性がアジュバントの投与により増進されうる場合がありうる(即ち、単独でアジュバントは最小の治療的有用性しか有さないが、別の治療薬と組み合わせると、患者に対する全体としての治療的有用性が増進しうる)。あるいは、単なる例として、患者によって経験される利益が本明細書において記載される化合物の一つと治療的有用性を同様に有する別の治療薬 (治療計画も含む)とを投与することにより増進されうる場合がある。単なる例として、本明細書において記載される化合物の一つの投与を伴う糖尿病の治療において、患者に糖尿病のための別の治療薬も提供することにより治療的有用性が上昇しうる場合がある。いずれの場合においても、治療すべき疾患、障害または症状にかかわらず、患者によって経験される全体としての利益は単に2つの治療薬の相加的なものである場合もあるし、患者が相乗的利益を経験しうる場合もある。
【0137】
可能な併用療法の具体的かつ非限定的な例としては、本明細書に開示される化合物、および以下を含む群から選択される少なくとも一つのその他の剤の使用が挙げられる:
a) 抗糖尿病薬、例えば、インスリン、インスリン誘導体および模倣薬; インスリン分泌促進剤、例えば、スルホニル尿素、例えば、グリピジド、グリブリドおよびアマリール; インスリン分泌促進スルホニル尿素受容体リガンド、例えば、メグリチニド、例えば、ナテグリニドおよびレパグリニド; インスリン増感剤、例えば、タンパク質チロシンホスファターゼ-lB (PTP-1B) 阻害剤、例えば、PTP-112; GSK3 (グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3) 阻害剤、例えば、SB-517955、SB-4195052、SB-216763、NN-57-05441および NN-57-05445; RXR リガンド、例えば、 GW-0791 および AGN-194204; ナトリウム-依存性グルコース共輸送体阻害剤、例えば、T-1095; グリコーゲンホスホリラーゼ A 阻害剤、例えば、BAY R3401; ビグアニド、例えば、メトホルミン; アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、例えば、アカルボース; GLP-1 (グルカゴン様ペプチド-1)、GLP-1 類似体、例えば、エキセンジン-4およびGLP-1 模倣薬; DPPIV (ジペプチジルペプチダーゼ IV) 阻害剤、例えば、DPP728、LAF237 (ビルダグリプチン - WO 00/34241の実施例 1)、MK-0431、サクサグリプチン、GSK23A ; AGE 遮断剤(breaker);チアゾリジンジオン誘導体 (グリタゾン)、例えば、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾン; および非-グリタゾン型 PPARδ アゴニスト、例えば、GI-262570;
b) 脂質低下薬、例えば、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル補酵素 A (HMG-CoA) レダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチン; スクアレンシンターゼ阻害剤; FXR (ファルネソイド X 受容体)およびLXR (肝臓X 受容体) リガンド; コレスチラミン ; フィブラート; ニコチン酸およびアスピリン;
c)抗肥満薬または食欲制御剤、例えば、フェンテルミン、レプチン、ブロモクリプチン、デクスアンフェタミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、シブトラミン、オルリスタット、デクスフェンフルラミン、マジンドール、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フルオキセチン、ブプロピオン、トピラマート、ジエチルプロピオン、ベンズフェタミン、フェニルプロパノールアミンまたはエコピパム、エフェドリン、プソイドエフェドリンまたはカンナビノイド受容体アンタゴニスト;
d) 抗高血圧薬、例えば、ループ利尿薬、例えば、エタクリン酸、フロセミドおよびトラセミド; 利尿薬、例えば、 チアジド誘導体、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、アミロリド; アンギオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害剤、例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル(perinodopril)、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル; Na-K-ATPase 膜ポンプの阻害剤、例えば、ジゴキシン; 中性エンドペプチダーゼ (NEP) 阻害剤、例えば、 チオルファン、テルテオ(terteo)- チオルファン、SQ29072; ECE 阻害剤、例えば、SLV306; ACE/NEP 阻害剤、例えば、 オマパトリラト、サムパトリラトおよびファシドトリル; アンジオテンシン n アンタゴニスト、例えば、 カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テーニサルタン(tehnisartan)およびバルサルタン、特に、バルサルタン; レニン阻害剤、例えば、アリスキレン、テルラキレン、ジテキレン、RO 66-1132、RO-66-1168; β-アドレナリン受容体遮断薬、例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、トプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール; 変力薬、例えば、ジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノン; カルシウムチャンネル遮断薬、例えば、 アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル; アルドステロン受容体アンタゴニスト; およびアルドステロンシンターゼ阻害剤;
e) HDL 上昇化合物;
f) コレステロール吸収調節剤、例えば、エチジミベ(etizimibe)およびKT6-971;
g) Apo-Al 類似体および模倣薬;
h) トロンビン阻害剤、例えば、キシメラガトラン;
i) アルドステロン阻害剤、例えば、アナストラゾール(anastrazole)、ファドラゾール(fadrazole)、およびエプレレノン;
j)血小板凝集の阻害剤、例えば、アスピリン、およびクロピドグレル硫酸水素塩;
k) エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲン受容体調節剤、および選択的アンドロゲン受容体調節剤;
1)化学療法剤、例えば、アロマターゼ阻害剤、例えば、フェマーラ、抗-エストロゲン、トポイソメラーゼ I 阻害剤、トポイソメラーゼ II 阻害剤、微小管活性薬剤、アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗物質、白金(platin)化合物、およびタンパク質キナーゼ活性を低下させる化合物、例えば、PDGF 受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ミアチニブ(miatinib); および
m) 5-HT3 受容体と相互作用する剤および/または5-HT4 受容体と相互作用する剤、 例えば、米国特許第5510353号において実施例 13として記載されるテガセロド、マレイン酸水素テガセロド、シサプリド、およびシランセトロン。
【0138】
いずれの場合においても、複数の治療薬 (少なくともその一つは、本明細書に開示される化合物である)は、あらゆる順序でまたは同時にさえ投与することができる。同時に投与する場合、複数の治療薬は、単一の、統合された形態において提供してもよいし、あるいは複数の形態において提供してもよい(単なる例として、単一の丸薬として、または2つの別々の丸薬として)。治療薬の一方を複数用量において与えてもよいし、あるいは両方を複数用量として与えてもよい。同時に投与しない場合は、複数の用量の間のタイミングは、数分間から四週間の範囲のいずれの時間(duration of time)であってもよい。
【0139】
したがって、別の側面において、特定の態様は、ヒトまたは動物対象におけるPASK-媒介障害を治療する方法を提供し、該方法は、対象における該障害を低減または防止するために、かかる治療を必要とする該対象に、所望により当該技術分野において公知の少なくとも一つの追加の剤と組み合わせて、有効な量の本明細書に開示される化合物を投与することを含む。関連する側面において、特定の態様は、本明細書に開示される少なくとも一つの化合物を、PASK-媒介障害の治療のための一以上の追加の剤と組み合わせて含む治療用組成物を提供する。
【0140】
最近の研究により、上昇した培地のグルコース濃度はPASKの翻訳後活性化を引き起こすことが判明した。PASK1 マウスにおける研究によって示されるように、グルコース-刺激インスリン発現のためにPASK 活性が必要であることも実証された。 PASK 欠失により高脂肪食によりもたらされる表現型、例えば、肥満、インスリン抵抗性および肝臓脂肪蓄積に対するほぼ完全な抵抗性がもたらされることも実証された。この保護は、関連組織のそれぞれにおけるAMPK 発現の上昇に起因する可能性があると仮定された。PASK 欠失は、高脂肪食に関連する不適応な表現型のほとんどすべてを、おそらくは部分的には AMPK 発現の維持を介して取り消す。AMPK シグナル伝達の上昇は、リン酸化の上昇およびAMPKの活性化により作用する、メトホルミンによって例証されるように、証明された治療戦略である。PASK シグナル伝達の阻害は類似の有益な効果を引き起こすが、異なる機構を介するものである。この補完的治療戦略は、単独でまたは組み合わせにおいて、代謝性疾患の治療において有効であり得る。いずれの場合においても、PASK 阻害は、疾患、例えば、2型糖尿病、一般的にインスリン抵抗性、およびメタボリック・シンドロームの治療のための有効な治療戦略を提供することができるようである。
【0141】
メタボリック・シンドローム (メタボリック・シンドローム Xとしても知られる)は、以下の症候の少なくとも三つを有することによって特徴付けられる: インスリン抵抗性; 腹部脂肪 -男性においてはこれは 40 インチ以上のウエストとして規定されており、女性においては 35 インチ以上のウエストとして規定されている; 高血糖レベル- 少なくとも絶食後110 ミリグラム/ デシリットル (mg/dL); 高トリグリセリド- 少なくとも血流中150 mg/dL; 低 HDL- 40 mg/dL未満; 血栓形成前状態(pro-thrombotic state) (例えば、血液中の高フィブリノゲンまたはプラスミノゲン活性化因子阻害剤); または130/85 mmHg以上の血圧。メタボリック・シンドロームとその他の症状、例えば、肥満、高血圧および高レベルのLDL コレステロールとの間の関連性が判明しており、これら症状のすべては、心血管疾患の危険因子である。例えば、メタボリック・シンドロームとアテローム性動脈硬化との間の関連性の上昇が示されている。メタボリック・シンドロームの人々はまた、2型糖尿病、ならびに女性においてはPCOS (多嚢胞性卵巣症候群)および男性においては前立腺癌を発症する傾向がより強い。
【0142】
上記のように、インスリン抵抗性は様々なように呈されることがあり得、例えば、2型糖尿病が挙げられる。2型糖尿病は、インスリン抵抗性ともっとも明白に関連づけられる症状である。代償性高インスリン血症は、正常なグルコースレベルを維持することを - しばしば数十年間、顕性糖尿病が発症する前に助ける。最終的に、膵臓のベータ細胞が過剰分泌を介してインスリン抵抗性を克服することができなくなる。グルコースレベルは上昇し、糖尿病の診断がなされうる。2型糖尿病患者は疾患の進行期におけるまで高インスリン血症のままである。上記のように、インスリン抵抗性はまた、高血圧とも相関しうる。本態性高血圧患者の半数はインスリン抵抗性および高インスリン血症であり、血圧がインスリン抵抗性の程度と関連づけられるという証拠がある。高脂血症もまた、インスリン抵抗性に関連する。2型糖尿病患者の脂質プロフィールは、上昇した血清超低密度リポタンパク質コレステロールおよびトリグリセリドレベルおよび、時折、低下した低密度リポタンパク質コレステロールレベルを含む。インスリン抵抗性は低レベルの高密度リポタンパク質を有するヒトにおいて判明した。インスリンレベルはまた、超低密度リポタンパク質合成および血漿トリグリセリドレベルとも関連している。
【0143】
したがって、対象においてインスリン抵抗性を治療する方法も開示され、該方法は、インスリン抵抗性の治療を必要とする対象を選択すること;および、PASKを阻害するのに有効量の化合物を対象に投与することを含む。
【0144】
本明細書に開示される化合物、組成物、および方法によって治療される特定の疾患は、少なくとも部分的にはPASKによって媒介されるものである。したがって、以下の方法が本明細書に開示される: 対象におけるグリコーゲン蓄積を低下させる方法; HDLまたは HDLcを上昇させる方法、LDL またはLDLcを低下させる方法、LDL 粒径を低密度 から正常LDLへとシフトさせる方法、VLDLを低下させる方法、トリグリセリドを低下させる方法、または対象におけるコレステロール吸収を阻害する方法;インスリン抵抗性を低下させる方法、対象においてグルコース利用を増進する方法または血圧を低下させる方法; 対象における内臓脂肪を低下させる方法; 対象における血清アミノ基転移酵素を低下させる方法;または、疾患を治療する方法;これら方法はすべて、治療的量の本明細書において記載される化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む。さらなる態様において、治療される疾患は代謝性疾患であり得る。さらなる態様において、代謝性疾患は以下から選択され得る: 肥満、糖尿病(diabetes melitus)、特に2型糖尿病、高インスリン血症、耐糖能障害、メタボリック・シンドローム X、脂質異常症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、および肝脂肪変性。別の態様において、治療される疾患は以下から選択され得る: 心血管疾患、例えば、血管疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患、脳血管疾患、心不全および末梢血管疾患。好ましい態様において、上記方法は低血糖状態の誘導 または維持をもたらさない。
【0145】
さらに、本明細書に開示されるPASK 調節剤は、増殖性疾患、例えば、癌を治療するために用いることができる。治療または予防されうる血液および非血液癌としては、これらに限定されないが、多発性骨髄腫、急性および慢性白血病、例えば、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性リンパ性白血病 (CLL)、および慢性骨髄性白血病 (CLL)、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫 (低悪性度、中程度悪性度、および高悪性度)、脳、頭頸部、胸部、肺、生殖器官、上部消化管、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺 および結腸/直腸の悪性腫瘍が挙げられる。
【0146】
ヒト治療のために有用であるのみならず、本明細書に開示される特定の化合物および製剤は、ペット、珍しい動物および家畜、例えば、哺乳類、齧歯類等の獣医学的治療のためにも有用であり得る。より好ましい動物としては、ウマ、イヌ、およびネコが挙げられる。
【0147】
引用文献
以下は、必ずしも網羅的ではないが、読者の便宜のために提供される、本明細書において引用される文献のリストである。本明細書において引用されるすべての引用文献、特許、および特許出願は、あたかも本明細書においてそれらの全体が記載されているかのように引用により本明細書に含まれる。これら引用文献の教示が本明細書において明確に提示されている教示と矛盾する場合は、本開示が優先する。
【0148】
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【0149】
化合物を調製するための一般的合成方法
以下のスキームを一般的に本発明を実施するために用いることができる。
【0150】
スキーム I
【化2】
【0151】
工程 1.メチル 4-フルオロ-3-ニトロベンゾエート(benzoate)の合成
塩化チオニル (6.5 g、54.62 mmol、1.01 当量) を、250-mL の丸底フラスコ中の4-フルオロ-3-ニトロ安息香酸 (10 g、54.05 mmol、1.00 当量)のメタノール溶液 (60 mL)に、撹拌しながら0℃で滴下し、次いで油浴中で3時間還流しながら(at reflux)攪拌した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮し、100 mLのEtOAcで希釈し、溶液のpHをNaHCO3水溶液(飽和)を用いて7-8に調整した。溶液を次いで6x50 mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、12.42 g (粗)の メチル 4-フルオロ-3-ニトロベンゾエートを白色固体として得た。
【0152】
工程 2. メチル 4-(2-メトキシ-2-オキソ-1-フェニルエチルアミノ)-3-ニトロベンゾエートの合成
DMF (30 mL)中のメチル 2-アミノ-2-フェニルアセテート塩酸塩 (2.5 g、12.38 mmol、1.00 当量)の溶液、メチル 4-フルオロ-3-ニトロベンゾエート (5 g、25.13 mmol、2.00 当量)、およびDIEA (5 g、38.76 mmol、3.13 当量) を100-mLの丸底フラスコ中で一晩30℃で反応させた。反応を次いで200 mLの水の添加によりクエンチし、固体をろ過により収集した。シリカゲルカラム (石油エーテル /EtOAc (50:1))での精製により、3.82 g (90%)のメチル 4-(2-メトキシ-2-オキソ-1-フェニルエチルアミノ)-3-ニトロベンゾエート を黄色固体として得た。LC-MS (ES、m/z): 345 [M+H]+
【0153】
工程 3.メチル 3-オキソ-2-フェニル-1,2,3,4- テトラヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートの合成
鉄 (34.89 g、623.04 mmol、5.00 当量) をメタノール (300 mL)中の、メチル 4-(2-メトキシ-2-オキソ-1-フェニルエチルアミノ)-3-ニトロベンゾエート (42.87 g、124.62 mmol、1.00 当量)およびNH4Cl水溶液(32.1 g、600.00 mmol、5.00 当量、80 mL) の攪拌溶液に一部ずつ添加した。結果として得られた溶液を還流しながら5時間加熱した。冷却すると、固体がろ過により除かれた。結果として得られたろ液を減圧下で濃縮し、19.81 g (56%)のメチル 3-オキソ-2-フェニル-1,2,3,4- テトラヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体として得た。 LC-MS (ES、m/z): 283 [M+H]+
【0154】
工程 4. メチル 3-オキソ-2-フェニル-3,4-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートの合成
DDQ (21.25 g、93.6 mmol、2.62 当量) を、ジオキサン (750 mL)中の、メチル 3-オキソ-2-フェニル-1,2,3,4- テトラヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (10.07 g、35.7 mmol、1.00 当量) の攪拌溶液に添加し、撹拌しながら、一晩室温で反応させた。固体をろ過により収集した。ろ過ケーキを2x500 mLの K2CO3水溶液(飽和) により洗浄した。この結果、7.29 g (粗)の メチル 3-オキソ-2-フェニル-3,4-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートがオフホワイト固体として得られた。 LC-MS (ES、m/z): 281 [M+H]+
【0155】
工程 5.メチル 3-ブロモ-2-フェニルキノキサリン-6-カルボキシラートの合成
1000-mLの丸底フラスコ中のCH3CN (120 mL)中の、メチル 3-オキソ-2-フェニル-3,4-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (2.1 g、7.50 mmol、1.00 当量)およびPOBr3 (21.5 g、74.91 mmol、10.00 当量)の溶液を油浴中で還流しながら一晩加熱した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮し; pH 値を重炭酸ナトリウム水溶液 (飽和)を用いて7-8に調整し、溶液を4x100 mLのジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、2 g (78%)の メチル 3-ブロモ-2-フェニルキノキサリン-6-カルボキシラートを白色固体として得た。LC-MS (ES、m/z): 343 [M+H]+1H-NMR (300 MHz、DMSO-d6) 8.620-8.615 (d、J=1.5Hz、1H)、8.38-8.35 (q、J=3.3Hz、1H)、8.28-8.25 (d、J=8.7Hz、1H)、7.85-7.82 (q、J=6Hz、2H)、7.60-7.58 (t、J=2.4Hz、3H)、3.99 (s、3H)。
【0156】
スキーム II
【化3】
ここで、 R5 および R6 および R2はそれぞれ独立して、そのいずれも置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアミノから選択され; およびR3 は、水素および置換されていてもよいアルキルから選択される。
【0157】
スキーム III
【化4】
試薬および条件;(a)SOCl2、MeOH、還流、3時間、93%;(b)PMBNH2、DIEA、DMF、室温、3時間、78%;(c)Pd/C、H2、MeOH、室温、0.5時間、73%;(d)還流、3時間、74%;(e)POCl3、N,N-ジメチルアニリン(analine)、トルエン、還流、一晩、72%;(f)H2SO4(濃)、室温、10分間;(g)150℃、3時間、42.6%;(h)Tf2O、ピリジン、DCM、室温、一晩;(i)K3PO4、Pd(PPh3)4、ジオキサン、90℃、40分間;(j)NaOH、H2O、MeOH、室温、一晩。
【実施例】
【0158】
本発明をさらに以下の実施例により例証するが、これらは本明細書において記載される方法によりまたは当業者により過度の実験なく作ることができ、あるいは市販源から購入することができる。実験プロトコールを通じて、以下の略語が使用されうる。以下のリストは便宜のために提供するものであり、包括的なものであることを意図する訳ではない。
【0159】
【表1】
【0160】
中間体 1
メチル 3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート(carboxylate)
【化5】
【0161】
工程 1. メチル 4-フルオロ-3-ニトロベンゾエート
【化6】
【0162】
塩化チオニル (191.4 g、1.61 mol) を、メタノール (500 ml)中の4-フルオロ-3-ニトロ安息香酸 (150.0 g、810.81 mmol) の溶液に0℃で添加した。結果として得られた溶液を一晩還流しながら加熱し、減圧下で濃縮し、生成物を石油エーテル (200 ml) の添加により沈殿させ、固体をろ過により収集して、メチル 4-フルオロ-3-ニトロベンゾエートを明黄色固体 (150 g、93%)として得た。
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.74 - 8.77 (m、1H)、8.31 - 8.37 (m、1H)、7.37 - 7.43 (m、1H)、3.99 (s、3H)。
【0163】
工程 2. メチル 4-(4-メトキシベンジルアミノ)-3-ニトロベンゾエート
【化7】
【0164】
DIEA (389.0 g、3.02 mol) を、N,N-ジメチルホルムアミド (2 L)中のメチル 4-フルオロ-3-ニトロベンゾエート (200.0 g、1.00 mol) の溶液に室温で添加した。次いで、(4-メトキシフェニル)メタンアミン (275 g、2.00 mol) を滴下した。 2時間後、反応を水 (5 L)で希釈し、固体をろ過により収集し、メチル 4-(4-メトキシベンジルアミノ)-3-ニトロベンゾエートを黄色固体 (250 g、78 %)として得た。
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.91 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.64 (b、1H)、8.02 - 8.06 (m、1H)、7.26 - 7.30 (m、2H)、6.88 - 6.95 (m、3H)、4.53 (d、J = 5.4 Hz、1H)、3.91 (s、3H)、3.83 (s、3H)。
【0165】
工程 3. メチル 3-アミノ-4-(4-メトキシベンジルアミノ)ベンゾエート
【化8】
【0166】
メタノール (3 L) 中の、メチル 4-(4-メトキシベンジルアミノ)-3-ニトロベンゾエート (35.0 g、110.65 mmol)およびパラジウム炭素 (5 g)の混合物を30分間室温で水素化した。触媒をろ過により除き、ろ液を減圧下で濃縮し、メチル 3-アミノ-4-(4-メトキシベンジルアミノ) ベンゾエートを白色固体 (23.1 g、76 %)として得た。
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.57 - 7.60 (m、1H)、7.44 (d、J = 1.8 Hz、1H)、7.28 - 7.33 (m、2H)、6.90 - 6.94 (m、2H)、6.63 (d、J = 8.1 Hz、1H)、4.33 (s、2H)、3.86 (s、3H)、3.83 (s、3H)。
【0167】
工程 4. メチル 1-(4-メトキシベンジル)-2,3-ジオキソ-1,2,3,4- テトラヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化9】
【0168】
メチル 3-アミノ-4-(4-メトキシベンジルアミノ)ベンゾエート (3 g、10.48 mmol)およびシュウ酸ジエチル (100 ml) の混合物を3時間還流しながら攪拌し、次いで水/氷浴で冷却し、エーテル (500 ml) で希釈した。生成物をろ過により収集し、メチル 1-(4-メトキシベンジル)-2,3-ジオキソ-1,2,3,4- テトラヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを緑色固体 (2.64 g 、74 %)として得た。
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 12.22 (s、1H)、7.80 (s、1H)、7.61 - 7.62 (d、J = 1.8 Hz、1H)、7.25 - 7.33 (m、3H)、6.86 - 6.89 (d、J = 8.7 Hz、1H)、5.31 (s、2H)、3.83 (s、3H)、3.70 (s、3H)。
【0169】
工程 5. メチル 3-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化10】
【0170】
POCl3 (2 g、13.25 mmol)およびN,N-ジメチルベンゼンアミン (2.13 g、17.60 mmol) を、トルエン (100 ml)中のメチル 1-(4-メトキシベンジル)-2,3-ジオキソ-1,2,3,4- テトラヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (3 g、8.81 mmol) の溶液に添加した。結果として得られた反応を一晩110℃で攪拌し、減圧下で濃縮した。 残渣をメタノール (50 ml) で粉砕し(triturated)、ろ過により収集し、メチル 3-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを緑色固体 (2.27 g、72 %)として得た。
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.25 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.07 - 8.11 (m、1H)、7.61 (d、J = 9.0 Hz、1H)、7.27 - 7.30 (d、J = 8.7 Hz、2H)、6.86 - 6.90 (m、2H)、5.46 (s、2H)、3.83 (s、3H)、3.71 (s、3H)。
【0171】
工程 6. 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化11】
【0172】
メチル 3-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (13 g、36.31 mmol) を硫酸 (濃、15 ml) に数バッチにおいて撹拌しながら室温で添加し、次いでさらに10分間攪拌した。結果として得られた溶液を氷-水 (100 ml)でクエンチし、水酸化ナトリウム水溶液 (10 N)を用いてPH=7 に調整し、1-ブタノール (3 x 200 ml) で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、メチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート を黄色固体 (12.4 g、粗)として得た。
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 13.20 (b、1H)、8.21 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.10 - 8.12 (m、1H)、7.43 (d、J = 8.7 Hz、1H)、3.88 (s、3H)。
【0173】
工程 7. メチル 3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化12】
【0174】
メチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (300 mg、1.26 mmol) を8 mLの 1,2,3,4- テトラヒドロキノリンに添加し、3時間 150℃で攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、生成物を酢酸エチルの添加により沈殿させ、固体をろ過により収集し、3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを明黄色固体 (180 mg、 42.6%)として得た。
C19H17N3O3について計算値: 335.13. (ES、m/z): [M+H]+ 336.0。
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 12.49 (s、1H)、7.99 (d、J = 1.8 Hz、1H )、7.84 - 7.88 (m、1H )、7.30 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.13 - 7.16 (m、1H)、6.89 - 7.04 (m、3H)、3.88 - 3.93 (t、J = 6.3 Hz、2H)、3.85 (s、3H)、 2.73 - 2.78 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.91 - 1.99 (m、2H)。
【0175】
工程 8. メチル 3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化13】
【0176】
トリフルオロメタンスルホン酸無水物 (315.6 mg、1.12 mmol) を、ジクロロメタン (50 ml)中のメチル 3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (200.0 mg、粗) およびピリジン (176.8 mg、2.24 mmol) の溶液に添加した。一晩室温で攪拌した後、反応を水 (50 ml) でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 80 ml) で抽出した。次いで、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、メチル 3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色油 (300 mg、粗)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0177】
実施例 1
3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化14】
【0178】
工程 1. メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル) キノキサリン-6-カルボキシラート
【化15】
【0179】
4-フルオロフェニルボロン酸 (188.8 mg、1.35 mmol)、K3PO4 (284.8 mg、1.35 mmol) およびPd(PPh3)4 (25.9 mg、0.02 mmol) を、ジオキサン (5.0 mL) および3滴の水中の、メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ) キノキサリン-6-カルボキシラート (中間体 1、210 mg、0.45 mmol)の溶液に添加した。反応を、油浴中にて窒素の不活性雰囲気下で1時間95℃で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、石油中2 % 酢酸エチルを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (70 mg、36 %)として得た。
C25H20FN3O2について計算値: 413.15. (ES、m/z): [M+H]+ 414.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.74 (s、1H)、8.21 - 8.24 (dd、J1 = J2 = 1.5 Hz、1H)、8.12 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.72 - 7.76 (m、2H)、6.93 - 7.02 (m、3H)、6.79 - 6.83 (m、2H)、6.62 (s、1H)、4.02 (s、3H)、3.93 - 3.97 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.79 - 2.84 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.09 - 2.14 (t、J = 6.3 Hz、2H)
【0180】
工程 2. 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化16】
【0181】
水 (1 mL)およびテトラヒドロフラン (15 mL )中のメチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (70 mg、0.17 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (27 mg、0.68 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL)に溶解し、塩化水素 (3 N)でpH 4に調整し、沈殿を得、これをろ過により収集し、3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (50 mg、70%)として得た。
C24H18FN3O2について計算値: 399.14 (ES、m/z): [M+H]+ 400.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 8.36 (s、1H)、8.09 (d、J = 2.10 Hz、2H)、7.72 - 7.78 (m、2H)、7.06 - 7.12 (t、J = 9.0 Hz、2H)、6.98 - 7.00 (m、1H)、6.69 - 6.73 (m、2H)、6.57 - 6.59 (m、1H)、3.81 - 3.85 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.70 - 2.81 (t、J = 6.3 Hz、2H)、1.98 - 2.02 (t、J = 6.3 Hz、2H)
【0182】
実施例 2
2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化17】
【0183】
工程 1. メチル 2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化18】
【0184】
ベンゾフラン-2-イルボロン酸 (217.2 mg、1.35 mmol)、K3PO4 (284.8 mg、1.35 mmol)、Pd(PPh3)4 (25.9 mg、0.02 mmol)および水 (3 滴) を、ジオキサン (5.0 mL)中のメチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート (中間体 1、210 mg、粗) の溶液に添加し、反応を油浴中にて窒素の不活性雰囲気下で1時間 95℃で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、石油中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル) キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (60 mg)として得た。
C27H21N3O3について計算値: 435.16. (ES、m/z): [M+H]+ 436.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.75 (s、1H)、8.18 - 8.28 (m、2H)、7.35 - 7.42 (m、2H)、7.17 - 7.20 (m、1H)、7.04 - 7.07 (m、2H)、6.74 - 6.76 (t、J = 4.5 Hz、2H)、6.57 (s、1H)、4.11 - 4.18 (m、5H)、3.00 - 3.03 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.22 - 2.26 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0185】
工程 2. 2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化19】
【0186】
メタノール (25 mL)および水 (1 mL)中の、メチル 2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル) キノキサリン-6-カルボキシラート (60 mg、0.14 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (22 mg、0.55 mmol)を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL)に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 4に調整して沈殿を得、これをろ過により収集して、2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を赤色固体 (45 mg、74 %)として得た。
C26H19N3O3について計算値: 421.14. (ES、m/z): [M+H]+ 422.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.36 (s、1H)、8.16 - 8.20 (dd、J1 = J2 = 1.8 Hz、1H)、8.11(d、J = 8.7 Hz、1H)、7.53 - 7.66 (m、3H)、7.33 - 7.38 (m、1H)、7.20 - 7.25 (m、1H)、7.06 - 7.09 (m、1H)、6.66 - 6.73 (m、2H)、6.50 - 6.53 (dd、J1 = J2 = 0.9 Hz、1H )、3.87 - 3.92 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.90 - 3.00 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.08 - 2.17 (m、2H)
【0187】
実施例 3
3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化20】
【0188】
工程 1. メチル 2-(ベンゾフラン-2-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)メチル 3-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化21】
【0189】
5-フルオロベンゾフラン-2-イルボロン酸 (242.8 mg、1.35 mmol)、K3PO4 (284.8 mg、1.35 mmol)、Pd(PPh3)4 (25.9 mg、0.02 mmol) および水 (3 滴) を、ジオキサン (5.0 mL)中のメチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート (中間体 1、210 mg、0.45 mmol) の溶液に添加した。反応を油浴中にて窒素の不活性雰囲気下で1時間 95℃で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、石油エーテル中2 % 酢酸エチルを用いる シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (70 mg、33 %)として得た。
C27H20FN3O3について計算値: 453.15. (ES、m/z): [M+H]+ 454.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.65 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.19 - 8.27 (m、2H)、7.50 - 7.56 (m、3H)、7.34 - 7.37 (m、1H)、7.19 - 7.25 (m、1H)、7.09 - 7.13 (m、1H)、6.75 - 6.80 (m、2H)、6.59 - 6.61 (m、1H)、4.02 (s、3H)、3.96 - 3.98 (t、J = 6.0 Hz、2H)、3.00 - 3.04 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.19 - 2.24 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0190】
工程 2. 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化22】
【0191】
水酸化ナトリウム (24.7 mg、0.62 mmol) を、メタノール (25 mL)および水 (1 mL )中のメチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (70 mg、0.15 mmol) の溶液に添加した。反応を一晩室温で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL)に溶解し、塩化水素 (3 N)によりpH 4に調整し、沈殿を得、これをろ過により収集し、3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を赤色固体 (50 mg、70 %)として得た。
C26H18FN3O3について計算値: 439.13. (ES、m/z): [M+H]+ 440.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 12.40 (s、1H)、8.36 (s、1H)、8.15 (s、2H)、7.44 - 7.59 (m、3H)、7.17 - 7.22 (t、J = 6.9 Hz、1H)、7.06 (d、J = 5.4 Hz、1H )、6.57 - 6.69 (m、3H)、3.85 - 3.92 (m、2H)、2.85 - 2.93 (m、2H)、212 - 2.22 (m、2H)
【0192】
実施例 4
2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化23】
【0193】
工程 1. メチル 2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化24】
【0194】
ジオキサン (5.0 ml)および水 (3 滴)中の、メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (中間体 1、300 mg、粗)、(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)ボロン酸 (231.0 mg、1.29 mmol)、Pd(PPh3)4 (37.0 mg、0.03 mmol)および K3PO4 (405.1 mg、1.92 mmol)の混合物を90℃で40 分間窒素雰囲気下で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明黄色固体 (65 mg、粗)として得た。
C27H23N3O4について計算値: 453.17. (ES、m/z): [M+H]+ 454.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.70 (s、1H)、8.14 - 8.22 (m、2H)、7.29 - 7.34 (m、2H)、7.05 - 7.25 (m、2H)、6.83 - 6.86 (m、2H)、6.76 (d、J = 8.4 Hz 、1H)、4.21 - 4.25 (m、4H)、4.01 (s、3H)、3.87 - 3.91 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.82 - 2.86 (t、J = 6.6 Hz、2H),2.07 - 2.11 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0195】
工程 2. 2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化25】
【0196】
水酸化ナトリウム (21.6 mg、0.54 mmol) を、メタノール (5 ml)および水 (1 ml)中のメチル 2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (65 mg、粗) の溶液に添加し、反応を一晩 室温で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水 (30 ml) に溶解し、pH=5 に塩酸 (3 N) で調整し、沈殿をろ過により収集し、2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (31.8 mg)として得た。
C26H21N3O4について計算値: 439.15. (ES、m/z): [M+H]+ 440.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 13.25 (b、1H)、8.31 (d、J = 1.2 Hz、1H)、8.03 - 8.11 (m、2H)、7.25 - 7.30 (m、2H)、7.02 - 7.05 (t、J = 3.6 Hz、1H)、6.75 - 6.79 (m、3H)、6.61 - 6.64 (m、1H)、4.19 (d、J = 2.1 Hz、4H)、3.70 - 3.74 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.73 - 2.77 (t、J = 6.3 Hz、2H)、1.94 - 1.98 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0197】
実施例 5
2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化26】
【0198】
工程 1. メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化27】
【0199】
NMP (2 mL)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (700 mg、粗)の溶液に、6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1.0 g、6.13 mmol) を3時間 150℃で撹拌しながら添加した。反応混合物を室温まで冷却した。生成物を酢酸エチルの添加により沈殿させ、固体をろ過により収集し、メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを明黄色固体 (450mg)として得、これを次の工程にさらに精製せずに用いた。
(ES、m/z): [M+H]+ 366.0
【0200】
工程 2. メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化28】
【0201】
ジクロロメタン (50 mL)中のメチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (250 mg、0.68 mmol)の溶液に、ピリジン (161.88 mg、2.05 mmol)および Tf2O (288.91 mg、1.02 mmol) を一晩撹拌しながら添加し、室温で窒素の不活性雰囲気に維持した。反応を次いで水 (20 mL)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 20 mL) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色油(350 mg、粗)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0202】
工程 3. メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化29】
【0203】
ジオキサン (5.0 mL)および水 (3滴)中の、メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (350 mg、粗)の溶液に、4-フルオロフェニル ボロン酸 (140.85 mg、1.01 mmol)、K3PO4 (318.4 mg、1.51 mmol)および Pd(PPh3)4 (29.02 mg、0.03 mmol)を1時間 90℃で撹拌しながら添加し、油浴中にて窒素の不活性雰囲気下で維持した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (80 mg)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 444.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.76 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.17 - 8.21 (dd、J1 = J2 = 1.8 Hz、1H)、8.08 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.68 - 7.73 (m、2H)、6.93 - 6.99 (t、J = 8.7 Hz、2H)、6.56 - 6.60 (m、2H)、6.35 - 6.39 (m、1H)、4.01 (s、3H)、3.93 - 3.97 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.75 - 2.79 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.06 - 2.12 (m、2H)
【0204】
工程 4. 2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化30】
【0205】
水 (1 mL)およびMeOH (15 mL )中の、メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (80 mg、0.18 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (29 mg、0.72mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL) に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 5に調整して沈殿を得、これをろ過により収集し、2-(4-フルオロフェニル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (50 mg、64.6 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 430.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.31 (s、1H)、8.04 (s、2H)、7.71 - 7.76 (m、2H)、7.07 - 7.13 (t、J = 8.7 Hz、2H)、6.57 - 6.62 (m、2H)、6.30 - 6.33 (m、2H)、3.74 - 3.79 (t、J = 6.6 Hz、2H)、3.61 (s、3H)、2.68 - 2.73 (t、J = 6.3 Hz、2H)、1.94 - 1.99 (t、J = 6.3 Hz、2H)
【0206】
実施例 6
3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化31】
【0207】
工程 1. 6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン
【化32】
【0208】
シアノ水素化ホウ素ナトリウム (6.45 g、103 mmol ) を、周囲温度で氷酢酸 (100 ml)中の、6-フルオロ キノリン (5 g、34 mmol) の溶液に徐々に添加した。 12時間攪拌した後、反応混合物を水にてクエンチし、EtOAc (3 x 50 mL) で抽出した。合わせた有機層を 水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下でろ過および蒸発させ、残渣を石油エーテル中1%から5%の酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリンを明黄色液体 (3.65 g、71.6 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 152.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 6.68 - 6.74 (m、2H)、6.43 - 6.48 (m、1H)、3.27 - 3.31 (m、2H)、2.74 - 2.79 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.91 - 1.99(m、2H)
【0209】
工程 2. メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化33】
【0210】
6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1.5 g、9.9 mmol)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (500.0 mg、2.10 mmol) の溶液を、1時間 150℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した。生成物を酢酸エチルの添加により沈殿させ、固体をろ過により収集し、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (369.0 mg、50%)を得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 354.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 12.50 (s、1H)、7.98 (d、J = 1.5 Hz,1H)、7.83 - 7.87 (m、1H)、7.31 (d、J = 8.7 Hz、1H)、6.95 - 7.03 (m、2H)、6.83 - 6.89 (m、1H)、3.85 - 3.93 (m、5H)、2.73 - 2.77 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.91 - 1.95 (t、J = 6.3 Hz、2H)
【0211】
工程 3. メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化34】
【0212】
ジクロロメタン (40 mL)中のメチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (200 mg、0.54 mmol)の溶液に、ピリジン (180 mg、2.28 mmol)およびTf2O (321 mg、1.14 mmol)を一晩撹拌しながら添加し、室温で窒素の不活性雰囲気下で維持した。反応を次いで水(50 mL)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 50 mL) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート (274 mg、粗)を得、これを次の工程に直接用いた。
【0213】
工程 4. メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化35】
【0214】
ジオキサン (5.0 mL)および水 (3 滴)中の、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート (274 mg、粗)の溶液に、4-フルオロフェニルボロン酸 (200 mg、1.43 mmol)、K3PO4 (360 mg、1.71 mmol) およびPd(PPh3)4 (33 mg、0.03 mmol) を1時間 90℃で撹拌しながら添加し、油浴中にて窒素の不活性雰囲気下に維持した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1% から 2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (88 mg)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 432.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.67 (s、1H)、8.19 - 8.23 (m、1H)、8.10 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.72 - 7.77 (m、2H)、6.96 - 7.14 (m、2H)、6.74 - 6.78 (m、1H)、6.49 - 6.60 (m、2H)、4.02 (s、3H)、3.86 - 3.90 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.77 - 2.81 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.07 - 2.11(t、J = 6.9 Hz、2H)
【0215】
工程 5. 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化36】
【0216】
メタノール (25 mL)および水 (1 mL )中の、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (88 mg、0.18 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (24.5 mg、0.61 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (10 mL) に溶解し、塩酸 (3 N)を用いてpH 4に調整して沈殿を得、これをろ過により収集し、3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を黄色固体 (63 mg、79%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 418.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.34 (d、J = 1.2Hz、1H)、8.05 - 8.11 (m、2H)、7.72 - 7.77 (m、2H)、7.09 - 7.16 (m、2H)、6.85 - 6.89 (m、1H)、6.64 - 6.69 (m、1H)、6.51 - 6.57 (m、1H)、3.77 - 3.82 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.71 - 2.76 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.95 - 2.00 (t、J = 6.3 Hz、2H)
【0217】
実施例 7
2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化37】
【0218】
工程 1. メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化38】
【0219】
ジクロロメタン (50 mL)中のメチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (100 mg、0.27 mmol)の溶液に、ピリジン (64.8 mg、0.82 mmol) およびTf2O (115.6 mg、0.41 mmol) を一晩撹拌しながら添加し、室温で窒素の不活性雰囲気下に維持した。反応を次いで水 (20 mL)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 15 mL) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色油(150mg、粗)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0220】
工程 2. メチル 2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化39】
【0221】
ジオキサン (5.0 mL)および水 (3滴)中の、メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (150 mg、粗)の溶液に、(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)ボロン酸 (94 mg、0.52 mmol)、K3PO4 (165.8 g、781.08 mmol)およびPd(PPh3)4 (15.3 mg、13.08 mmol) を90℃で1時間撹拌しながら添加し、油浴中にて窒素の不活性雰囲気下に維持した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (40 mg)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 484.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.61 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.13 - 8.22 (m、2H)、7.36 - 7.42 (m、2H)、7.17 - 7.21 (m、1H)、7.01 - 7.08 (m、1H)、6.65 (d、J = 2.7 Hz、1H)、6.56 (d、J = 8.7 Hz、1H)、 6.33 - 6.37 (m、1H)、4.01 (s、3H)、3.95 - 3.99 (t、J = 6.3 Hz、2H)、3.63 (s、3H)、2.93 - 2.98 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.13 - 2.21 (m、2H)
【0222】
工程 3. 2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化40】
【0223】
メタノール (20 mL)および水 (3滴)中の、メチル 2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (40 mg、0.083 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (16.5 mg、0.41 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL) に溶解し、塩化水素 (3 N)によりpH 5に調整し、沈殿を得、これをろ過により収集して、2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (23 mg、44 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 470.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 13.38 (s、1H)、8.30 (s、1H)、8.07 - 8.13 (t、J = 8.7 Hz、2H)、7.55 - 7.59 (m、1H)、7.42 - 7.46 (m、2H)、7.16 - 7.23 (m、1H)、6.67 (d、J = 2.7 Hz、1H)、6.59 (d、J = 8.7 Hz、1H)、 6.30 - 6.34 (m、1H)、3.84 - 3.88 (t、J = 6.3 Hz、2H )、3.53 (s、3H)、2.87 - 2.91 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.01 - 2.09 (m、2H)
【0224】
実施例 8
2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化41】
【0225】
工程 1. メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化42】
【0226】
ジクロロメタン (40 mL)中のメチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (150 mg、0.43 mmol)の溶液に、ピリジン (136 mg、1.72 mmol)およびTf2O (242 mg、0.86 mmol) を一晩撹拌しながら添加し、室温で窒素の不活性雰囲気下に維持した。反応を 次いで水 (50 mL)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 10 mL) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート (274 mg、粗)を得、これを次の工程に直接用いた。
【0227】
工程 2. メチル 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化43】
【0228】
ジオキサン (5.0 mL) および水(0.5 mL)中の、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (274 mg、粗)の溶液に、 (5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)ボロン酸 (210 mg、1.07 mmol)、K3PO4 (272 mg、1.29 mmol) およびPd(PPh3)4 (25 mg、0.02 mmol) を1時間 90℃で撹拌しながら添加し、窒素の不活性雰囲気下に維持した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を得、これを石油エーテル中1% から5% の酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明赤色固体 (53 mg)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 488.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.63 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.18 - 8.26 (m、2H)、7.53 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.37 - 7.41 (t、J = 4.2 Hz、2H)、7.30 (d、J = 2.1 Hz、1H)、6.81 - 6.85 (m、1H)、6.46 - 6.58 (m、2H)、4.02 (s、3H)、3.96 - 4.00 (m、2H)、2.96 - 3.00 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.15 - 2.24 (m、2H)
【0229】
工程 3. 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化44】
【0230】
メタノール (25 mL)および水 (1 mL)中の、メチル 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (53 mg、0.11 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (12.0 mg、0.30 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (10 mL) に溶解し、塩化水素 (3 N) を用いてpH を5に調整し、沈殿を得、これをろ過により収集し、2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸 (37.5 mg、73 %)を得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 374.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.30 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.07 - 8.17 (m、2H)、7.75 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.61 (d、J = 9.0Hz、1H)、7.49 (s、1H)、7.36 - 7.39(m,1H)、6.91 - 6.96 (m、1H)、6.52 - 6.68 (m、1H)、3.85 - 3.89 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.90 - 2.95 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.05 - 2.10 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0231】
実施例 9
2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化45】
【0232】
工程 1. メチル 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化46】
【0233】
ジオキサン (5.0 mL)および水 (3滴)中の、メチル 3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (実施例5、工程 2より、130 mg、粗)の溶液に、 (5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)ボロン酸 (103 mg、0.52 mmol)、K3PO4 (165.8 mg、0.78 mmol) およびPd(PPh3)4 (15.2 mg、0.01 mmol) を1時間 90℃で撹拌しながら添加し、油浴中にて窒素の不活性雰囲気下に維持した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (40 mg)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 500.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.61 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.13 - 8.22 (m、2H)、7.51 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.25 - 7.40 (m、3H)、6.65 (d、J = 2.7 Hz、1H)、6.56 (d、J = 8.7 Hz、1H)、 6.32 - 6.36 (m、1H)、4.01 (s、3H)、3.96 - 3.99 (t、J = 6.3 Hz、2H)、2.93 - 2.98 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.13 - 2.21 (m、2H)
【0234】
工程 2. 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化47】
【0235】
メタノール (25 mL)および水 (1 mL)中のメチル 2-(5-クロロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (40 mg、0.08 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (12.6 mg、0.32 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (5 mL) に溶解し、塩酸 (3 N) を用いてpH 5に調整し、沈殿を得、これをろ過により収集し、2-(5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル)-3-(6-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (30.0 mg、77 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 486.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 13.35 (s、1H)、8.30 (d、J = 1.2 Hz、1H)、8.09 (s、1H)、7.71 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.56 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.42 (s、1H)、7.34 - 7.38 (m、1H)、6.67 (d、J = 2.7 Hz、1H)、6.59 (d、J = 8.7 Hz、1H)、 6.29 - 6.33 (m、1H)、3.84 - 3.88 (t、J = 6.3 Hz、2H)、3.53 (s、3H)、2.86 - 2.90 (t、J = 6.30 Hz、2H)、2.03 - 2.09 (m、2H)
【0236】
実施例 10
2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボン酸
【化48】
【0237】
2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボン酸
メタノール (30 mL)中のメチル 2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (50 mg、0.15 mmol) の溶液に、水酸化カリウム (33.33 mg、0.60 mmol) および水 (1 mL)を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL) に溶解し、HCl (3 N)を用いてpH 4に調整し、沈殿を得、これをろ過により収集し、 2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (40.0 mg、79 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 322.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) 7.98 (d、J = 1.5 Hz、1H )、7.83 - 7.86 (dd、J1 = J2 = 1.80 Hz、1H )、7.31 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.13 - 7.15 (dd、J1 = J2 = 1.5 Hz、1H)、6.87 - 7.04 (m、3H)、3.88 - 3.92 (t、J = 6.3 Hz、2H)、 2.73 - 2.78 (t、J = 6.6Hz、2H)、1.91 - 1.99 (s、2H)
【0238】
実施例 11
3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化49】
【0239】
工程 1. メチル 2-(5-フルオロ-1H-インデン-2-イル)-3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化50】
【0240】
ジオキサン (5.0 mL)および3滴の水中の、メチル 3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート (実施例6、工程 3より、200 mg、粗)の溶液に、 5-フルオロベンゾフラン-2-イルボロン酸 (210 mg、1.07 mmol)、K3PO4 (272 mg、1.29 mmol)およびPd(PPh3)4 (25 mg、0.02 mmol) を添加した。反応を油浴中にて窒素の不活性雰囲気下で1時間 90℃で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油中1 % から 5 % の酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-(5-フルオロ-1H-インデン-2-イル)-3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明赤色固体 (59 mg)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 472.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.65 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.16 - 8.27 (m、2H)、7.37 - 7.43 (m、2H)、7.19 - 7.23 (m、1H)、7.03 - 7.10 (m、1H)、6.80 - 6.84 (m、1H)、6.47 - 6.59 (m、2H)、4.02 (s、3H)、3.98 - 4.00 (m、2H)、2.96 - 3.01 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.15 - 2.24 (m、2H)
【0241】
工程 2. 3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化51】
【0242】
水酸化ナトリウム (15.6 mg、0.39 mmol) を、メタノール (25 mL)およびテトラヒドロフラン (5 mL )中のメチル 2-(5-フルオロ-1H-インデン-2-イル)-3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (59 mg、0.13 mmol) の溶液に添加した。反応を一晩室温で攪拌し、減圧下で濃縮し、水 (30 mL) に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 5に調整した。沈殿をろ過により収集し、3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-フルオロベンゾフラン-2-イル)キノキサリン-6-カルボン酸 (32.5 mg、57 %)を得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 458.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.33 (s、1H)、8.10 - 8.17 (m、2H)、7.57 - 7.62 (m,1H)、7.52 (s、1H)、7.45 - 7.49 (m、1H)、7.17 - 7.25 (m、1H)、6.92 - 6.96 (m,1H)、6.66 - 6.71 (m、1H)、6.53 - 6.59 (m、1H)、3.85 - 3.90 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.90 - 2.95 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.06 - 2.09 (m、2H)
【0243】
実施例 12
3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化52】
【0244】
メタノール (20 mL) および水 (1 mL)中の、メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (実施例14、工程 5より、50 mg、0.11 mmol)の溶液に、水酸化リチウム(lithiumol hydroxide) (10 mg、0.40 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮し、水 (10 mL) に溶解し、AcOH を用いて7 に調整し、ろ過により収集し、3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を黄色固体 (14.7 mg、30 %)として得た。
[M+H]+ 425.1
1H-NMR (300 MHz、CD3OD) δ 8.56 (d、J = 1.2 Hz、1H)、8.30 - 8.33 (m、1H)、8.07 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.77 - 7.82 (m、2H)、7.33 (d、J = 1.8 Hz、1H)、7.06 - 7.12 (m、3H)、6.52 (d、J = 8.4 Hz、1H)、3.92 - 3.96 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.84 - 2.88 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.08 - 2.12 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0245】
実施例 13
7-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-6-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-2-カルボン酸
【化53】
【0246】
工程 1. メチル 2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化54】
【0247】
NMP (20 ml)中の1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1.0 g、7.51 mmol) の溶液に、メチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (670 mg、2.81 mmol) を油浴中にて130℃で3時間撹拌しながら添加した。生成物を水 (80 ml)で沈殿させ、ろ過により収集し、メチル 2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (700 mg 、28 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 338.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 10.67 (s、1H)、8.41 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.93 - 7.96 (m、1H)、7.14 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.02 - 7.09 (m、3H)、6.88 - 6.93 (m、1H)、4.10 - 4.14 (m、2H)、3.96 (s、3H)、2.84 - 2.89 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.99 - 2.15 (m、2H)
【0248】
工程 2. メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化55】
【0249】
ジクロロメタン (40 ml)中のメチル 2-オキソ-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (700 mg、2.09 mmol)の溶液に、ピリジン (660 mg、8.34 mmol) を添加し、次いで Tf2O (1179 mg、4.18 mmol) を0℃で窒素雰囲気下で滴下した。反応を一晩室温で攪拌し、次いで氷-水 (300 ml) の添加によりクエンチした。有機層を分離し、水層をジクロロメタン (3 x 50 ml)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で低温で濃縮し、メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (1.33 g、粗)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0250】
工程 3. メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化56】
【0251】
1,4-ジオキサン (20 ml)および水 (1 ml)中の、メチル 3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (1.33 g、粗)の溶液に、(4-フルオロフェニル)ボロン酸 (1.19 g、8.55 mmol)、K3PO4 (1.20 g、5.65 mmol)およびPd(PPh3)4 (164 mg、0.14 mmol) を1時間 90℃で窒素雰囲気下で撹拌しながら添加した。反応混合物を濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (560 mg、48% 2 工程)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 416
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.66 (d、J = 1.5 Hz 、1H)、8.19 - 8.23 (m、1H)、8.08 (d、J = 8.7 Hz 、1H)、7.72 - 7.79 (m、2H)、7.02 - 7.05 (m、3H)、6.76 - 6.82 (m、2H)、6.59 - 6.63 (m、1H)、4.02 (s 、3H)、3.86 - 3.90 (m、2H)、2.79 - 2.84 (t、J = 6.3Hz、2H)、2.08 - 2.12 (t、J = 6.3Hz、2H)
【0252】
工程 4. メチル 3-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化57】
【0253】
N,N-ジメチルホルムアミド (20 ml)中の、メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (300 mg、0.73 mmol)の溶液に、窒素の不活性雰囲気下でNBS (193 mg、1.08 mmol) を添加した。結果として得られた溶液を1.5時間 -10℃で攪拌した。次いで水 (150 ml) を添加し、反応を酢酸エチル (3 x 50 ml)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、残渣を得、これを石油エーテル中1 % - 2 % 酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (200 mg、56%)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 495
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.64 (d、J = 1.8 Hz 、1H)、8.22 - 8.25 (m、1H)、8.09 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.76 - 7.81 (m、2H)、7.18 (s、1H)、7.00 - 7.05 (m、2H)、6.92 - 6.95 (m、1H)、6.51 (d、J = 8.7 Hz、1H)、4.01 (s、3H)、3.77 - 3.81 (t、J = 6.3Hz、2H)、2.78 - 2.79 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.05 - 2.10 (m ,2H)
【0254】
工程 5. 7-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-6-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-2-カルボン酸
【化58】
【0255】
水酸化ナトリウム (39 mg、0.97 mmol) を、メタノール (30 ml)および水 (2 ml)中のメチル 7-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-6-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-2-カルボキシラート (120 mg、0.24 mmol) の溶液に添加した。結果として得られた溶液を一晩室温で攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣を水 (20 ml)に溶解し、塩酸 (3 N)を用いてpH 4に調整して沈殿を得、これをろ過により収集し、7-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-6-(4-フルオロフェニル)ナフタレン-2-カルボン酸を黄色固体 (80 mg、69 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 480.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.37 (s、1H)、8.07 - 8.36 (m、2H)、7.75 - 7.80 (m、2H)、7.13 - 7.20 (m、3H)、6.85 - 6.89 (m、1H)、6.58 (d、J = 8.7 Hz、1H)、3.76 - 3.80 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.73 - 2.77 (t、J = 6.3Hz、2H)、1.95 - 1.99 (t、J = 6.0 Hz、2H)
【0256】
実施例 14
3-(6-カルバモイル-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化59】
【0257】
工程 1. 6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン
【化60】
【0258】
NBS (28 g、158 mmol) を、四塩化炭素 (200 mL)中の1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (20 g、150.16 mmol) の溶液に添加した。結果として得られた溶液を3時間 0℃で攪拌し、ジクロロメタン(3 x 50 mL) で抽出し、減圧下で濃縮して残渣を得、これを 、石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにアプライし、6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリンを黄色固体 (11 g、35%)として得た。
LC/MS(ES、m/z):[M+H]+ 212.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.03 - 7.07 (m、2H)、6.35 - 6.38 (m、1H)、3.51 - 3.55 (m、2H)、2.73 - 2.80 (m、2H)、1.89 - 1.99 (m、2H)
【0259】
工程 2. 1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリル
【化61】
【0260】
N,N-ジメチルホルムアミド (80 mL)中の6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (10 g、47.15 mmol)の溶液に、 Pd(PPh3)4 (2.8 g、2.42 mmol)、および亜鉛ジ(zincdi)カルボニトリル (6.4 g、54.49 mmol) を添加し、反応を油浴中にて2時間 120℃で攪拌した。反応を水 (400 mL) の添加によりクエンチし、ジクロロメタン(3 x 50 mL) で抽出し、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % - 20 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリルを黄色固体 (6 g、80 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 159.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.20 - 7.23 (m、2H)、6.40 (d、J = 8.1 Hz、1H)、3.36 - 3.40 (t、J = 5.7 Hz、2H)、2.72 - 2.77 (t、J = 6.3Hz、2H)、1.90 - 1.97 (m、2H)
【0261】
工程 3. メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化62】
【0262】
NMP (0.5 mL)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (300 mg、1.26 mmol)の溶液に、1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリル (597 mg、3.77 mmol)を油浴中にて1時間 150℃で撹拌しながら添加した。結果として得られた溶液を水 (100 mL)で希釈し、固体をろ過により収集し、メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (200 mg、44 %)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 361.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 12.67 (s、1H)、8.07 (d、J = 1.8 Hz、1H)、7.92 - 7.96 (m、1H)、7.60 (d、J = 1.8 Hz、1H)、7.35 - 7.43 (m、2H)、7.04 (d、J = 8.7 Hz、1H)、3.89 - 3.94 (m、2H)、3.87 (s、3H)、2.80 - 2.83 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.95 - 1.99 (t、J = 6.9 Hz、1H)
【0263】
工程 4. メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化63】
【0264】
ジクロロメタン (20 mL)中のメチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (350 mg、0.97 mmol)の溶液に、ピリジン (547 mg、6.92 mmol)、次いで (トリフルオロメタン)スルホニルトリフルオロメタンスルホナート (307 mg、1.09 mmol) を添加し、反応を2時間室温で攪拌した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % - 6 % の酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (440 mg、粗)として得た。
【0265】
工程 5. メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化64】
【0266】
1,4-ジオキサン (8 mL)中のメチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ] キノキサリン-6-カルボキシラート (440mg、粗)の溶液に、(4-フルオロフェニル)ボロン酸 (251 mg、1.79 mmol)、Pd(PPh3)4 (51 mg、0.04 mmol)、K3PO4 (377 mg、1.79 mmol) を油浴中にて2時間 90℃で撹拌しながら添加した。反応を次いで水 (30 mL )の添加によりクエンチし、クロロメタン (3 x 20 mL) で抽出し、減圧下で濃縮して、メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (200 mg、47 % 2 工程)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 439.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.67 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.30 - 8.33 (m、1H)、8.15 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.78 - 7.82 (m、2H)、7.33 (s、1H)、6.93 - 7.14 (m、3H)、6.60 (d、J = 8.4 Hz、1H)、4.13 (s、3H)、3.78 - 3.82 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.84 - 2.88 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.03 - 2.11 (m、2H)
【0267】
工程 6. 3-(6-カルバモイル-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化65】
【0268】
DMSO (1.6 mL)およびEtOH (6.4 mL)中の、メチル 3-(6-シアノ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (150 mg、0.34 mmol)の溶液に、H2O2 (1.2 mL、40%)、NaOH (0.4 mL、1M) を一晩室温で撹拌しながら添加した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮し、水 (15 mL) で希釈し、AcOHを用いてpH を7に調整した。固体をろ過により収集して、3-(6-カルバモイル-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を固体 (131 mg、87 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 443.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.40 (d、J = 1.2 Hz、1H)、8.11 - 8.19 (m、2H)、7.79 - 7.83 (m、2H)、7.66 (s、1H)、7.55 (d、J = 1.2 Hz、1H)、7.27 - 7.30 (m、1H)、7.12 - 7.18 (m、2H)、7.03 (s、1H)、6.61 (d、J = 8.4 Hz、1H)、3.80 - 3.84 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.74 - 2.81 (m、J = 6.6 Hz、2H)、1.99 - 2.03 (m、J = 6.60 Hz、2H)
【0269】
実施例 15
2-(4-フルオロフェニル)-3-[6-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]キノキサリン-6-カルボン酸
【化66】
【0270】
工程 1. メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-[6-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化67】
【0271】
ジオキサン (25 ml)中のメチル 3-(6-ブロモ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (130 mg、0.26 mmol)の溶液に、モルホリン (35 mg、0.40 mmol)およびPd(dppf)2Cl2 (6.7 mg、0.05mmol)を、5Atm下でCO(g) 雰囲気を維持しつつ100℃で一晩撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これをジクロロメタン中1 % メタノールを用いるシリカゲルカラムにアプライし、メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-[6-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (107 mg、77 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 527.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 8.43 (s、1H)、8.13 (s、2H)、7.68 - 7.73 (m、2H)、7.04 - 7.12 (m、3H)、6.69 (d、J = 8.4 Hz、1H)、6.57 (d、J = 8.1 Hz、1H )、3.96 (s、5H)、3.57 (s、4H)、 2.74 - 2.78 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.02 - 2.06 (t、J = 5.7 Hz、2H)
【0272】
工程 2. 2-(4-フルオロフェニル)-3-[6-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]キノキサリン-6-カルボン酸
【化68】
【0273】
メタノール (30 ml)および水 (2.0 ml)中のメチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-[6-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]キノキサリン-6-カルボキシラート (107 mg、0.20 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (32 mg、0.8 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (20 ml) に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 4に調整した。固体をろ過により収集し、2-(4-フルオロフェニル)-3-[6-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (90 mg、86 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 513.2
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 8.41 (s、1H)、8.12 (s、2H)、 7.66 - 7.71 (m、2H)、7.02 - 7.10 (m、3H)、6.68 (d、J = 6.6 Hz、1H)、6.53 (d、J = 8.4 Hz、1H)、3.93 - 3.97 (t、J = 6.3Hz、2H)、3.56 (s、4H)、3.38 (s、3H)、2.73 - 2.77 (m、2H)、2.01 - 2.05 (m、2H)
【0274】
実施例 16
3-[6-(ジメチルスルファモイル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化69】
【0275】
工程 1. メチル 3-[6-(クロロスルホニル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化70】
【0276】
クロロホルム (50 mL)中のメチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (300 mg、0.73 mmol)の溶液に、硫酸 (213.6 mg、2.18 mmol)および塩化チオニル (514 mg、4.36 mmol)を油浴中にて85℃で3時間撹拌しながら滴下した。反応を次いで氷-水の添加によりクエンチし、ジクロロメタン (3 x 80 mL) で抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、残渣を得、これを石油中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにアプライし、メチル 3-[6-(クロロスルホニル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (260 mg、70 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 512.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.70 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.35 - 8.38 (m、1H)、 8.18 (d、J = 4.2 Hz、1H)、7.77 - 7.82 (m、2H)、7.71 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.48 - 7.52 (m、1H)、7.11 - 7.16 (m、2H)、6.67 (d、J = 9.0 Hz、1H)、4.04 (s、3H)、3.76 - 3.80 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.92 - 2.96 (t、J = 6.3Hz、2H)、2.07 - 2.12 (m、2H)
【0277】
工程 2. メチル 3-[6-(ジメチルスルファモイル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化71】
【0278】
ジクロロメタン (50 mL)中のジメチルアミン塩酸塩 (49.66 mg、0.61 mmol) の溶液に、トリエチルアミン (102 mg、1.01 mmol) を添加し、10分間攪拌した。次いで、ジクロロメタン (20 mL)中のメチル 3-[6-(クロロスルホニル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (260 mg、0.51 mmol)を30 分間室温で撹拌しながら滴下した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中2 % - 5 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにアプライし、メチル 3-[6-(ジメチルスルファモイル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (240 mg、91 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 521.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.68 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.28 - 8.31 (m、1H)、 8.14 (d、J = 5.7 Hz、1H)、7.72 - 7.78 (m、2H)、7.43 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.15 - 7.19 (m、1H)、6.96 - 7.02 (m、2H)、6.57 (d、J = 8.4 Hz、1H)、4.04 (s、3H)、3.95 - 3.99 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.87 - 2.91 (t、J = 6.9 Hz、2H)、2.61 (s、6H)、2.09 - 2.18 (m、2H)
【0279】
工程 3. 3-[6-(ジメチルスルファモイル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化72】
【0280】
メタノール (30 mL)および水 (2 mL)中の、メチル 3-[6-(ジメチルスルファモイル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (120 mg、0.23 mmol) の溶液に、水酸化ナトリウム (36.9 mg、0.92 mmol) を一晩室温で撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 mL) に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 5に調整した。固体をろ過により収集して、3-[6-(ジメチルスルファモイル)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (43.5 mg、37 %)として得た。
(ES、m/z): [M+H]+ 507.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 8.43 (s、1H)、8.22 - 8.25 (m、1H)、 8.04 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.70 - 7.75 (m、2H)、7.30 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.08 - 7.14 (t、J = 9.0 Hz、2H)、6.97 - 7.01 (m、1H)、6.62 (d、J = 8.4 Hz、1H)、3.99 - 4.03 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.82 - 2.86 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.51 (s、6H)、2.04 - 2.18 (m、2H)
【0281】
実施例 17
3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化73】
【0282】
工程 1. tert-ブチル N-(キノリン-6-イル)カルバメート
【化74】
【0283】
トルエン (250 ml)中のキノリン-6-カルボン酸 (5 g、28.87 mmol)の溶液に、トリエチルアミン (14.6 g、144.28 mmol)、DPPA (15.9 g、57.78 mmol)を1時間水/氷浴中で0℃で撹拌しながら添加した。次いで 2-メチルプロパン-2-オール (6.4 g、86.34 mmol) を一晩油浴中にて90℃で撹拌しながら添加し、次いで水 (300 ml) で希釈し、ジクロロメタン (3 x 100 ml ) で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ 、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % - 5 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、tert-ブチル N-(キノリン-6-イル)カルバメートを黄色固体 (1.3 g、18 %)として得た。
(ES、m/z):[M+H]+ 245.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.80 - 8.82 (m、1H)、8.01 - 8.14 (m、2H)、7.47 - 7.51 (m、1H)、7.30 - 7.38 (m、1H)、6.90 - 7.10 (m、1H)、1.56 (s、9H)
【0284】
工程 2. キノリン-6-アミン
【化75】
【0285】
DCM (40 ml)中のtert-ブチル N-(キノリン-6-イル)カルバメート (1.3 g、5.32 mmol)の溶液に、TFA(10 ml)を一晩室温で撹拌しながら添加した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 ml) で希釈し、NaHCO3 溶液を用いてpH を 8に調整し、ジクロロメタン (2 x 20 ml) で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、キノリン-6-アミンを黄色固体 (666 mg、87 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z):[M+H]+ 145.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.67 - 8.69(m、1H)、7.91 - 7.95(m、2H)、7.28 - 7.31(m、1H)、7.16 - 7.20(m、1H)、6.92 (s、1H)、3.96 (s、2H)
【0286】
工程 3. N,N-ジメチルキノリン-6-アミン
【化76】
【0287】
CH3OH(15 ml)中のキノリン-6-アミン (666 mg、4.62 mmol) の溶液に、40% 含水ホルムアルデヒド (1 ml)、NaBH3CN (400 mg、6.37 mmol)を3 日間室温で撹拌しながら添加し、水 (150 ml)で希釈し、酢酸エチル(3 x 30 ml) で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中の5 % - 20 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N,N-ジメチルキノリン-6-アミンを固体 (400 mg、50 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z):[M+H]+ 173.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.59 - 8.61 (m、1H)、7.94 - 8.00 (m、2H)、7.37 - 7.41 (m、1H)、7.27 - 7.32 (m、1H)、6.81 (d、J = 2.7 Hz、1H)、3.07 (s、6H)
【0288】
工程 4. N,N-ジメチル-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-6-アミン塩酸塩
【化77】
【0289】
メタノール (20 ml)中のN,N-ジメチルキノリン-6-アミン (400 mg、2.32 mmol)の溶液に、水素下でPtO2 (10 mg)およびHCl (濃、1 滴) を添加し、反応を一晩室温で攪拌した。反応をろ過し、減圧下で濃縮して、N,N-ジメチル-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-6-アミン塩酸塩を赤色油 (400 mg、粗)として得た。
LC/MS (ES、m/z):[M+H]+ 177.1
【0290】
工程 5. メチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化78】
【0291】
NMP (3 mL)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (420 mg、1.76 mmol)の溶液に、DIEA (343 mg、2.65 mmol)、N,N-ジメチル-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-6-アミン塩酸塩 (400 mg、粗) を添加し、反応を2時間油浴中にて 130℃で攪拌した。結果として得られた溶液を水 (100 mL)で希釈し、固体をろ過により収集して、メチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (260 mg、39 %)として得た。
LC/MS(ES、m/z):[M+H]+ 378.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 10.29 (s,1H)、8.28 (d、J = 1.5 Hz、1H)、7.84 - 7.91 (m、1H)、7.02 - 7.07 (m、1H)、6.85 (d、J =8.7 Hz、1H)、6.62 (s、2H)、4.06 - 4.16 (m、2H)、3.95 (s、3H)、2.98 (s,6H)、2.81 - 2.91 (m、2H)、2.38 - 2.41 (m、2H)
【0292】
工程 6. メチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ] キノキサリン-6-カルボキシラート
【化79】
【0293】
ジクロロメタン (50 ml)中のメチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (260 mg、0.69 mmol)の溶液に、ピリジン (270 mg、3.41 mmol)および(トリフルオロメタン)スルホニルトリフルオロメタンスルホナート (390 mg、1.38 mmol) を添加し、反応を2時間室温で攪拌し、次いで水 (100 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、メチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (400 mg、粗)として得た。
【0294】
工程 7. メチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化80】
【0295】
1,4-ジオキサン (3 ml)中のメチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (400 mg、0.78 mmol)の溶液に、K3PO4 (331 mg、1.56 mmol)、Pd(PPh3)4 (45 mg、0.04 mmol)、および(4-フルオロフェニル)ボロン酸 (214 mg、1.53 mmol) を添加し、反応を2時間油浴中で90℃で攪拌した。結果として得られた溶液を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中の1 % - 20 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (30 mg、8 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z):[M+H]+ 456.1
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.56 (s、1H)、8.13 - 8.20 (m、1H)、8.02 - 8.05 (m、1H)、7.73 - 7.85 (m、2H)、6.91 - 6.99 (m、3H)、6.75 - 6.85 (m、1H)、6.30 - 6.40 (m、2H)、4.01 - 4.03 (s、3H)、3.75 - 3.80 (m、2H)、2.86 (s、6H)、2.75 - 2.79 (m、2H)、2.02 - 2.06 (m、2H)
【0296】
工程 8. 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化81】
【0297】
メタノール (20 ml)および水 (2 ml)中のメチル 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (30 mg、0.07 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (10 mg、0.25 mmol) を添加し、反応を 一晩室温で攪拌した。結果として得られた溶液を水 (100 ml)で希釈し、AcOHを用いてpH を5に調整し、酢酸エチル (3 x 20 ml) で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ 、減圧下で濃縮して、 3-[6-(ジメチルアミノ)-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を赤色固体 (3 mg、10 %)として得た。
LCMS (ES、m/z):[M+H]+ 443.1
1H-NMR (300 MHz、CD3OD): δ 8.48 (s、1H)、8.11 - 8.15 (m、1H)、7.96 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.67 - 7.71 (m、2H)、6.91 - 6.97 (t、J = 9.0 Hz、2H)、6.20 - 6.60 (m、3H)、3.85 - 4.05 (m、2H)、2.60 - 2.90 (m、8H)、2.07 - 2.11 (t、J = 6.6 Hz、2H)
【0298】
実施例 18
3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化82】
【0299】
工程 1. 6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン
【化83】
【0300】
C2H5OH (50 ml)中の6-クロロキノリン (1.5 g、9.17 mmol) の溶液に、PtO2 (41.5 mg、0.18 mmol) および濃 HCl (0.1 ml) を水素ガス雰囲気下で添加した。反応を一晩室温で攪拌し、次いで減圧下で濃縮し、水 (100 ml) で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてpH 8に調整した。結果として得られた溶液をジクロロメタン (3 x 80 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリンを無色油 (1.2 g、78 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 168.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 6.90 - 6.98 (m、2H)、6.39 - 6.42 (t、J = 1.2 Hz、1H)、3.23 - 3.35 (m、2H)、2.73 - 2.81 (m、2H)、1.91 - 1.96 (m、2H)
【0301】
工程 2. メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化84】
【0302】
NMP (10.0 ml)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (1.0 g、4.19 mmol)の溶液に、6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1.20 g、7.16 mmol) を添加し、反応を油浴中にて150℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水 (100 ml)により沈殿させた。固体をろ過により収集し、減圧下でオーブン中で乾燥させ、メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを灰色固体 (1.0 g、粗)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 370.0
【0303】
工程 3. メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化85】
【0304】
ジクロロメタン (80 ml)中のメチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (1.0 g、粗)の溶液に、ピリジン (850 mg、10.75 mmol)およびTf2O (1.50 g、5.32 mmol)を一晩窒素雰囲気下で室温で撹拌しながら添加した。次いで、反応混合物を水 (100 ml)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 20 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機物(organics)を減圧下で濃縮して、メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (1.0 g、粗)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0305】
工程 4. メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化86】
【0306】
DME (5.0 ml)および水 (1 ml)中の、メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ] キノキサリン-6-カルボキシラート (400 mg、粗)の溶液に、(4-フルオロフェニル)ボロン酸 (134 mg、0.96 mmol)、Pd(PPh3)4 (45.5 mg、0.04 mmol)、Na2CO3 (251 mg、2.37 mmol)を窒素雰囲気下で95℃で1時間撹拌しながら添加した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明黄色固体 (125 mg)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 448.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.39 (s、1H)、8.12 (d、J = 1.2 Hz、2H)、7.75 - 7.80 (m、2H)、7.07 - 7.18 (m、3H)、6.65 - 6.77 (m、2H)、3.95 (s、3H)、3.79 - 3.92 (m、2H)、2.72 - 2.77 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.94 - 2.02 (m、2H)
【0307】
工程 5. 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化87】
【0308】
メタノール (30 ml)および水 (1.0 ml)中の、メチル 3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (125 mg、0.28 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (44.6 mg、1.11 mmol) を添加した。反応を一晩室温で攪拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 ml) に溶解し、塩酸水溶液 (3 N)を用いてpH 5に調整して沈殿を得、これをろ過により収集して、3-(6-クロロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (90 mg、74 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 434.0
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.37 (s、1H)、8.05 - 8.16 (m、2H)、7.75 - 7.79 (m、2H)、7.07 - 7.19 (m、3H)、6.62 - 6.70 (m、1H)、6.73 - 6.77 (m、1H)、3.77 - 3.81 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.72 - 2.77 (t、J = 6.3Hz、2H)、1.95 - 2.01 (m、2H)
【0309】
実施例 19
3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化88】
【0310】
工程 1. 5-フルオロキノリン
【化89】
【0311】
48% HBF4 (40 mL)中の5-アミノキノリン (10.0g、0.069 mol) の懸濁液に、0℃で亜硝酸ナトリウムを一部ずつ添加した。これを1時間攪拌し、次いで 1:1 酢酸エチル/ジエチルエーテル (50 mL) に注いだ。結果として得られた懸濁液をろ過し、固体を乾燥させた。この固体を一部ずつ還流しているキシレン (80 mL)に添加し、2時間攪拌し、 次いで 冷却した。キシレンを別の容器へ移し(decanted off)、残渣を1N 塩酸水溶液 (100 mL)に溶解した。炭酸ナトリウムによる中和の後、混合物を酢酸エチル (3 x 80 mL) で抽出した。抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、揮発性物質を減圧下で除いた。残渣を、石油エーテル中2 % 酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5-フルオロキノリンを無色油 (2.5 g、24.5%)として得た。
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.93 - 8.98 (m、1H)、8.43 - 8.46 (m、H)、7.92 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.62 - 7.78 (m、1H)、7.41 - 7.49 (m、1H)、7.22 - 7.26 (m、1H)
【0312】
工程 2. 5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン
【化90】
【0313】
パラジウム炭素 (10%、1.25 g) を、メタノール中の5-フルオロキノリン (2.5 g、16.99 mmol) の溶液に添加し、反応を一晩室温で水素雰囲気下で行った。反応混合物をCeliteでろ過し、減圧下で濃縮して、 5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリンを無色油 (1.80 g、70 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 152.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 6.87 - 6.95 (m、2H)、6.26 - 6.40 (m、2H)、3.28 - 3.31 (m、2H)、2.72 - 2.77 (t、J = 6.60 Hz、2H)、1.92 - 1.98 (m、2H)
【0314】
工程 3. メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化91】
【0315】
NMP (10.0 mL)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (1.0 g、4.19 mmol)の溶液に、5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1.5 g、9.92 mmol) を油浴中にて150℃で1時間撹拌しながら添加した。反応混合物を室温まで冷却し、水 (100 mL)により沈殿させた。固体をろ過により収集し、オーブン中で減圧下で乾燥させて、メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを灰色固体 (1.0 g、粗)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 354.0
【0316】
工程 4. メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化92】
【0317】
ジクロロメタン (80 mL)中のメチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (1.0 g、粗)の溶液に、ピリジン (890 mg、11.25 mmol)およびTf2O (1.58 g、5.60 mmol)を添加し、反応を一晩窒素雰囲気下で室温で攪拌した。反応混合物を次いで水 (50 mL)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 80 mL)で抽出した。次いで、有機層を合わせ 、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート を黄色固体 (1.0 g)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0318】
工程 5. メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化93】
【0319】
ジオキサン (5.0 mL)および水 (3 滴)中の、 メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (200 mg、0.41 mmol)の溶液に、(4-フルオロフェニル)ボロン酸 (173 mg、1.24 mmol)、Pd(PPh3)4 (23.77 mg、0.02 mmol)、および K3PO4 (262 mg、1.23 mmol)を添加した。反応を1時間 95℃で窒素雰囲気下で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(5-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明黄色固体 (140 mg、78 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 432.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.63 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.22 - 8.26 (m、1H)、8.09 (d、J = 2.7 Hz、1H)、7.82 - 7.88 (m、2H)、7.01 - 7.09 (m、2H)、6.76 - 6.84 (m、1H)、6.45 - 6.58 (m、2H)、4.01 (s、3H)、3.71 - 3.77 (m、2H)、2.81 - 2.85 (t、J = 6.9 Hz、2H)、2.02 - 2.10 (m、2H)
【0320】
工程 6. 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化94】
【0321】
水酸化ナトリウム (52.0 mg、1.30 mmol) を、メタノール (30 mL) および水 (1.0 mL)中の、メチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (140 mg、0.32 mmol) の溶液に添加した。反応を一晩室温で攪拌し、次いで減圧下で濃縮し、水 (30 mL) に溶解し、塩酸水溶液 (3 N)を用いてpH 5に調整して沈殿を得、これをろ過により収集し、3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (100 mg、74%)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 418.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.54 (s、1H)、8.09 - 8.38 (m、2H)、7.81 - 7.90 (m、2H)、7.16 - 7.22 (m、2H)、6.73 - 6.80 (m、1H)、6.46 - 6.59 (m、2H)、3.73 - 3.76 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.71 - 2.75 ( t、J = 6.6 Hz、2H)、1.97 - 2.06 (m、2H)
【0322】
実施例 20
3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(2-メチル-1H-インドール-5-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化95】
【0323】
工程 1. メチル 2-ブロモ-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化96】
【0324】
トルエン (30 mL) 中のメチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (1.0、2.06 mmol) の溶液に、Bu4NBr (1.33 g、4.12 mmol) を添加した。反応を5時間 120℃で窒素の不活性雰囲気下で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製し、メチル 2-ブロモ-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (540 mg、63%)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 417.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.60 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.20 - 8.23 (m、1H)、7.99 (d、J = 8.7 Hz、1H)、6.93-6.98 (m、1H)、6.78 - 6.85 (m、1H)、6.57 (d、J = 4.8 Hz、1H)、4.02(s、3H)、3.92 - 3.96 (m、2H)、2.87 - 2.92 (m、2H)、2.13 - 2.17 (m、2H)
【0325】
工程 2. メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(2-メチル-1H-インドール-5-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化97】
【0326】
エチレングリコールジメチルエーテル (7 ml)中のメチル 2-ブロモ-3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (200 mg、0.48 mmol)の溶液に、2-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インドール (124 mg、0.48 mmol)、炭酸ナトリウム (101.8 mg、0.96 mmol) およびPd(PPh3)4 (28 mg、0.02 mmol)および水 (3 ml) を添加した。反応を40 分間 90℃で攪拌した。次いでそれを酢酸エチル (3 x 50 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(2-メチル-1H-インドール-5-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明赤色固体 (118 mg、53 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 467.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.62 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.20 - 8.26 (m、2H)、7.99 - 8.02 (m、2H)、7.60 (d、J = 9.0 Hz、1H)、7.22 (d、J = 6.6 Hz、1H)、6.79 - 6.83 (m、1H)、6.72 - 6.75 (m、1H)、6.57 - 6.71 (m、1H)、6.23 (s、1H)、4.01(s、3H)、3.68 - 3.72 (m、2H)、2.72 - 2.83 (m、2H)、2.46 (s、3H)、1.98 - 2.02 (m、2H)
【0327】
工程 3. 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(2-メチル-1H-インドール-5-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化98】
【0328】
メタノール (20 ml)および水 (1.0 ml)中の、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(2-メチル-1H-インドール-5-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (118 mg、0.25 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (40 mg、1.00 mmol) を添加した。反応を一晩室温で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (20 mL) に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 4に調整した。固体をろ過により収集し、3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(2-メチル-1H-インドール-5-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (81 mg、71%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 453.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 10.99 (s、1H)、8.24 (s、1H)、8.09 - 8.12 (m、1H)、7.91 - 7.95 (m、2H)、7.51 (d、J =1.5 Hz、1H)、7.48 (d、J = 1.5 Hz、1H)、6.81 - 6.85 (m、1H)、6.71 - 6.75 (m、1H)、6.56 - 6.62 (m、1H)、6.15 (s、1H)、3.61 - 3.68 (m、2H)、2.74 - 2.81 (m、2H)、2.49 (s、3H)、1.92 - 1.95 (m,2H)
【0329】
実施例 21
3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(1H-インダゾール-5-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化99】
【0330】
工程 1. メチル 3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化100】
【0331】
ジクロロメタン (30 mL)中のメチル 3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (150 mg、0.43 mmol)の溶液に、ピリジン (136 mg、1.72 mmol) を添加し、次いで Tf2O (243 mg、0.86 mmol) を0℃で撹拌しながら滴下した。結果として得られた溶液を4時間室温で攪拌し、次いで水 (3 x 50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、メチル 3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色油 (200 mg、粗)として得た。
【0332】
工程 2. メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(1H-インダゾール-5-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化101】
【0333】
エチレングリコールジメチルエーテル (5 mL)中のメチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (200 mg、粗)の溶液に、tert-ブチル 5-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-1-カルボキシラート (282 mg、0.82 mmol)、Pd(PPh3)4 (24 mg、0.02 mmol)、炭酸ナトリウム (109 mg、1.03 mmol)および水 (2 mL)を添加した。結果として得られた溶液を1時間 90℃で攪拌し、次いでCH2Cl2 (20 mL) の添加によりクエンチし、水 (3 x 50 mL) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中5 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(1H-インダゾール-5-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (60 mg)として得た。
LC/MS (ES、m/z):[M+H]+ 454.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.61 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.19 - 8.26 (m、2H)、8.08 - 8.18 (m,2H)、7.87 - 7.95 (m、1H)、7.43 - 7.49 (m、1H)、6.66 - 6.71 (m、2H)、6.47 - 6.53 (m、1H)、4.02 (s、3H)、3.76 - 3.80 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.78 - 2.82 (t、J = 6.3Hz、2H)、 2.01 - 2.09 (m、2H)
【0334】
工程 3. 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(1H-インダゾール-5-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化102】
【0335】
メタノール (20 mL)中のメチル 3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(1H-インダゾール-5-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (60 mg、0.13 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (15.8 mg、0.40 mmol)および水 (1 mL) を添加した。結果として得られた溶液を3時間室温で攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣を水 (20 mL)に溶解し、塩酸 (3 N)を用いてpH 5に調整した。固体をろ過により収集して、3-(6-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(1H-インダゾール-5-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を黄色固体 (27 mg、47 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 440.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO) δ 13.11(s、1H)、8.33 (s、1H)、8.20 (s、1H)、8.05 - 8.10 (m,3H)、7.74 - 7.77 (m、1H)、7.46 (d、J = 8.7 Hz、1H)、6.72 - 6.81 (m、2H)、6.49 - 6.56 (m、1H)、3.71 - 3.75 (t、J = 6.0 Hz、2H)、2.74 - 2.78 (t、J = 6.3Hz、2H)、 1.93 - 1.97 (t、J = 6.3Hz、2H)
【0336】
実施例 22
2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化103】
【0337】
工程 1. 7-メトキシキノリン
【化104】
【0338】
N,N-ジメチルホルムアミド (150 ml)中の水素化ナトリウム (5.5 g、137.50 mmol、60%)の溶液に、キノリン-7-オール (8 g、55.11 mmol) を添加した。反応を1時間水/氷浴中で0℃で攪拌した。次いで、 CH3I (7.84 g、55.23 mmol) を添加し、溶液をさらに1時間室温で攪拌した。反応を次いで水/氷 (700 ml) の添加によりクエンチし、酢酸エチル (3 x 200 ml) で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中6 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムにより精製して、7-メトキシキノリンを赤色油 (5.5 g、63%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 160.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.84 - 8.86 (m、1H)、8.07 - 8.11 (m、1H)、7.70 - 7.73 (t、J = 5.1 Hz、1H)、7.44 (d、J = 2.4 Hz、1H)、7.20 - 7.30 (m、2H)、3.95 (s、3H)
【0339】
工程 2. 7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン
【化105】
【0340】
メタノール (60 ml)中の7-メトキシキノリン (2.0 g、12.56 mmol)の溶液に、PtO2 (180 mg、0.79 mmol)を添加した。H2 (g)を上記溶液に導入し、反応を一晩室温で攪拌し、次いで固体をろ過して除いた。有機物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中3 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリンを明黄色油 (1.5 g、73%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 164.0
1H-NMR (300 MHz、CD3OD): δ 6.76 (d、J = 8.4 Hz、1H)、6.09 - 6.17 (m、2H)、3.69 (s、1H)、3.19 - 3.23 (m、2H)、2.64 - 2.69 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.85 - 1.93 (m、2H)
【0341】
工程 3. メチル 3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化106】
【0342】
NMP (5 ml)中の7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1.34 g、8.21 mmol)の溶液に、メチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (1.1 g、4.61 mmol)を添加した。結果として得られた溶液を1時間油浴中にて150℃で攪拌し、次いで水 (300 ml)で希釈した。固体をろ過により収集し、メチル 3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを赤色固体 (844 mg、28%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 366.1
1H-NMR (300 MHz、CD3OD): δ 8.21 (d、J = 1.8 Hz、1H)、7.93 - 7.96 (m、1H)、7.28 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.05 (d、J = 8.4 Hz、1H)、6.60 - 6.63 (m、1H)、6.43 (d、J = 2.4 Hz、1H)、3.92 - 4.02 (m、1H)、3.88 (s、3H)、3.69 (s、3H)、2.76 - 2.81 (t、J = 6.6 Hz、2H)、1.99 - 2.09 (m、2H)
【0343】
工程 4. メチル 3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化107】
【0344】
ジクロロメタン (80 ml)中のメチル 3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (690 mg、1.89 mmol)の溶液に、DIEA (1.5 g、11.61 mmol) を添加した。次いで Tf2O (1.4 g、4.96 mmol) を滴下した。結果として得られた溶液を一晩室温で攪拌し、次いで水/氷 (100 ml) の添加によりクエンチし、ジクロロメタン (3 x 20 ml) で抽出した。次いで有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色油 (870 mg、93%)として得た。
【0345】
工程 5. メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化108】
【0346】
1,4-ジオキサン (3 ml)中のメチル 3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ] キノキサリン -6-カルボキシラート (400 mg、0.80 mmol)の溶液に、K3PO4 (338 mg、1.59 mmol)、Pd(PPh3)4 (47 mg、0.04 mmol)、および(4-フルオロフェニル)ボロン酸 (224 mg、1.60 mmol) を添加した。結果として得られた溶液を油浴中にて90℃で1時間攪拌し、次いで水 (80 ml) の添加によりクエンチし、ジクロロメタン (3 x 30 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中5 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (100 mg、28%)として得た。
LC/MS(ES、m/z): [M+H]+ 444.0
1H-NMR (300 MHz、CD3OD): δ 8.64 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.19 - 8.23 (m、1H)、8.08 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.72 - 7.80 (m、2H)、6.92 - 7.02 (m、3H)、6.35 - 6.39 (m、1H)、6.13 (d、J = 2.4 Hz、1H)、4.02 (s、3H)、3.77 - 3.90 (m、2H)、3.59 (s、3H)、2.74 - 2.78 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.02 - 2.11 (m、2H)
【0347】
工程 6. 2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化109】
【0348】
メタノール (30 ml)中のメチル 2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボキシラート (88 mg、0.20 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム (32 mg、0.80 mmol)および水 (2 ml) を添加した。反応を2 日間室温で攪拌した。結果として得られた溶液を水 (15 ml)で希釈し、AcOHを用いてpH 5に調整し、酢酸エチル (2 x 20 ml) で抽出し、有機層を合わせ、減圧下で濃縮して、2-(4-フルオロフェニル)-3-(7-メトキシ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)キノキサリン-6-カルボン酸を黄色固体 (59 mg、69%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 430.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ δ 8.37 (s、1H)、8.10 (s、1H)、7.73 - 7.78 (m、2H)、7.08 - 7.14 (m、2H)、6.87 (d、J = 8.4Hz、1H)、6.28 - 6.31 (m、1H)、6.13 (d、J = 2.4Hz、1H)、3.80 - 3.85 (m、2H)、3.47 (s,3H)、2.65 - 2.71 (m、2H)、1.90 - 2.10 (m、2H)
【0349】
実施例 23
3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化110】
【0350】
工程 1. 3-クロロ-N-(3-フルオロフェニル)プロパンアミド
【化111】
【0351】
アセトン (40 ml)中の3-フルオロアニリン (10 g、90.00 mmol)の溶液に、 ピリジン (18 g、227.56 mmol)および3-クロロプロパノイルクロリド (13.73 g、108.14 mmol)を添加し、反応を3時間 55℃で攪拌した。結果として得られた溶液を酢酸エチル (3 x 50 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、3-クロロ-N-(3-フルオロフェニル)プロパンアミドを黄色固体 (13.21 g、73 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 202.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 7.51 - 7.62 (m、1H)、7.31 - 7.41 (m、1H)、7.16 (d、J = 8.1 Hz、1H)、6.83 - 6.89 (m、1H)、3.89 - 3.93 (m、2H)、2.82 - 2.87 (m、2H)
【0352】
工程 2. 7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-2-オン
【化112】
【0353】
3-クロロ-N-(3-フルオロフェニル)プロパンアミド (3 g、14.88 mmol)の固体に、AlCl3 (6.3 g、0.047 mmol)を添加し、窒素の不活性雰囲気下で撹拌しながら5時間 120℃で維持した。反応を次いで氷-水でクエンチし、酢酸エチル (3 x 50 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を石油エーテル中4 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-2-オンを白色固体 (1.5 g、61 %)として得た。
LCMS (ES、m/z): [M+H]+ 166.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.73 (s、1H)、7.10 - 7.19 (m、1H)、6.71 - 6.79 (m、1H)、6.56 - 6.70 (m、1H)、2.98 - 3.05 (m、2H)、2.64 - 2.69 (m、2H)
【0354】
工程 3. 7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン
【化113】
【0355】
テトラヒドロフラン (50 ml)中の7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-2-オン (1.5 g、9.08 mmol)の溶液に、THF (1M、90 ml)中のBH3を滴下し、溶液を24時間60℃で攪拌した。反応混合物を冷却し、次いでメタノール (15 ml)およびHCl (濃) (5ml) の添加によりクエンチし、次いで1時間 60℃で攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム (4 mol/L)を用いて pH 12に調整し、 (3 x 15 ml)の酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中3 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、 7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリンを黄色固体 (0.9 g、66%)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 152.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 6.86 - 6.94 (m、1H)、6.15 - 6.26 (m、1H)、6.27 - 6.35 (m、1H)、3.92 (s、1H)、3.29 - 3.33 (m、2H)、2.72 - 2.78 (m、2H)、1.91 - 2.00 (m、2H)
【0356】
工程 4. メチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化114】
【0357】
NMP (30 ml)中の7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン (1 g、6.61 mmol)の溶液に、メチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (900 mg、3.77 mmol) を添加し、次いで2時間 150℃で攪拌した。結果として得られた溶液を水 (900 ml)で希釈した。固体をろ過により収集し、メチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを褐色固体 (900 mg、39 %)として得た。
【0358】
工程 5. メチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート
【化115】
【0359】
ジクロロメタン (50 ml)中のメチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (900 mg、2.55 mmol)の溶液に、ピリジン (802 mg、10.14 mmol) を添加し、反応を0℃に冷却した。次いで、Tf2O (2149 mg、7.62 mmol) を滴下し、反応を一晩室温で攪拌した。次いで、混合物を水 (100 ml)により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % - 2 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (819 mg、66 %)として得た。
【0360】
工程 6. メチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化116】
【0361】
水 (2 ml)中のK3PO4 (682 mg、3.21 mmol)の溶液を、ジオキサン (25 ml)中のメチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (500 mg、1.03 mmol) (4-フルオロフェニル)ボロン酸 (173 mg、1.24 mmol) の溶液に添加した。次いで Pd(PPh3)4 (60 mg、0.05 mmol) を添加し、反応を20 分間90℃で攪拌した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % - 3 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル) キノキサリン-6-カルボキシラートを黄色固体 (200 mg、45 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 432.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.67 (d、J = 1.8 Hz、1H)、8.23 - 8.27 (m、1H)、8.12 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.76 - 7.81 (m、2H)、6.93 - 7.05 (m、2H)、6.46 - 6.53 (m、1H)、6.28 - 6.33 (m、1H)、4.03 (s、3H)、3.81 - 3.85 (m、2H)、2.76 - 2.81 (m、2H)、2.03 - 2.11 (m、2H)
【0362】
工程 7. 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化117】
【0363】
メタノール (20 ml)中のメチル 3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (120 mg、0.28 mmol)の溶液に、水 (3 ml)中の水酸化ナトリウム (44 mg、1.10 mmol) の溶液を添加した。反応を一晩室温で攪拌した。結果として得られた混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを水 (20 ml)に溶解し、塩化水素 (3 N)を用いてpH 4に調整した。固体をろ過により収集し、3-(7-フルオロ-1,2,3,4- テトラヒドロキノリン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を黄色固体 (101 mg、87 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 418.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 8.39 (d、J = 1.2 Hz、1H)、8.09 - 8.17 (m、2H)、7.76 - 7.81 (m、2H)、7.14 - 7.20 (m、2H)、6.98 - 7.03 (m、1H)、6.49 - 6.54 (m、2H)、6.75 - 6.79 (m、2H)、2.70 - 2.74 (m、2H)、1.94 - 1.98 (m、2H)
【0364】
実施例 24
3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化118】
【0365】
工程 1. エチル 2-(トリフェニル-[5]-ホスファニリデン)アセテート
【化119】
【0366】
PPh3 (57 g、217.32 mmol) を、CH3CN (200 ml)中の2-ブロモ酢酸エチル(30 g、179.64 mmol) の溶液に添加した。反応を一晩120℃で攪拌した。次いでそれを減圧下で濃縮し、残渣を水 (200 ml) に溶解し、炭酸水素ナトリウム (aq)を用いてpH 8に調整し、酢酸エチル (3 x 150 ml)で抽出し、有機層を合わせ、減圧下で濃縮して、エチル 2-(トリフェニル- [5]-ホスファニリデン)アセテートを明黄色固体 (41 g、粗)として得た。
【0367】
工程 2. (E)-エチル 3-(6-ニトロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)アクリレート(acrylate)
【化120】
【0368】
ベンゼン (100 ml)中の6-ニトロ-2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルバルデヒド (10 g、51.25 mmol)の溶液に、エチル 2-(トリフェニル-[5]-ホスファニリデン)アセテート (36 g、103.34 mmol) を添加し、 反応を6時間還流しながら攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、 これを石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、(E)-エチル 3-(6-ニトロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)アクリレートを黄色固体 (7.5 g、55 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 266.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.10 (d、J = 15.9 Hz、1H)、7.57 (s、1H)、7.01 (s、1H)、6.25 (d、J =15.6 Hz、1H)、6.15 (d、J = 8.7 Hz、2H)、4.27 - 4.34 (m、2H)、1.34 - 1.39 (t、J = 7.2 Hz、3H)
【0369】
工程 3. 2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-6-オン
【化121】
【0370】
パラジウム炭素 (340 mg) を、AcOH (60 ml)中の(E)-エチル 3-(6-ニトロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)アクリレート (500 mg、1.89 mmol) の溶液に添加した。次いで H2 (g)を5 Atmにて導入し、反応を一晩70℃で攪拌した。反応混合物を飽和 NaHCO3水溶液を用いてpH 8に調整し、酢酸エチル (3 x 80 ml) で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-6-オンを褐色固体 (316 mg、粗)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 192.0
1H-NMR (300 MHz、CD3OD): δ 6.69 (s、1H)、6.45 (d、J = 5.4 Hz、1H)、5.90 (s、2H)、2.83 - 2.88 (m、2H)、2.49 - 2.55 (m、2H)
【0371】
工程 4. 5,6,7,8- テトラヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン
【化122】
【0372】
テトラヒドロフラン (50 ml)中の2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-6-オン (250 mg、粗)の溶液に、THF (1 N、26 ml)中のBH3を滴下した。反応を60℃で一晩攪拌した。次いで反応混合物を塩化水素 (3 N)でクエンチし、炭酸水素ナトリウムを用いてpH 8に調整し、酢酸エチル (3 x 50 ml) で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、5,6,7,8- テトラヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリンを固体 (180 mg)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 178.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 6.48 (s、1H)、6.12 (s、1H)、5.82 (s、2H)、3.24 - 3.27 (m、2H)、2.68 - 2.72 (t、J = 6.3Hz、2H)、1.88 - 1.96 (m、2H)
【0373】
工程 5. メチル 3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート
【化123】
【0374】
NMP (5 ml)中のメチル 3-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (161 mg、0.67 mmol)の溶液に、2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン (180 mg、1.02 mmol) を添加し、反応を1時間 140℃で攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、生成物を水の添加により沈殿させ、ろ過し、メチル 3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラートを褐色固体 (140 mg、55 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 380.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ10.31 (s、1H)、8.30 - 8.36 (m、1H)、7.92 - 9.95 (m、1H)、7.06 (d、J = 8.7 Hz、1H)、6.68 (d、J = 9.0 Hz、1H)、6.50 (d、J = 7.5 Hz、1H)、5.92 (s、2H)、4.02 - 4.08 (m、2H)、3.96 (s、3H)、2.75 - 2.79 (t、J = 6.3Hz、2H)、2.00 - 2.08 (m、2H)
【0375】
工程 6. メチル 3-(7,8-ジヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5(6H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化124】
【0376】
ジクロロメタン (80 ml)中のメチル 3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキサリン-6-カルボキシラート (140 mg、0.37 mmol)の溶液に、ピリジン (175 mg、2.21 mmol) およびTf2O (510 mg、1.81 mmol) を添加した。反応を一晩窒素雰囲気下で室温で攪拌した。次いで、反応混合物を水 (200 ml)でクエンチし、ジクロロメタン (3 x 20 ml) で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、メチル 3-(7,8-ジヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5(6H)-イル)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)キノキサリン-6-カルボキシラートを赤色油 (150mg、粗)として得、これを次の工程に直接用いた。
【0377】
工程 7. メチル 3-(7,8-ジヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5(6H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート
【化125】
【0378】
ジオキサン (5.0 ml)および水 (3 滴)中の、メチル 3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-[(トリフルオロメタン)スルホニルオキシ]キノキサリン-6-カルボキシラート (150 mg、粗)の溶液に、 (4-フルオロフェニル)ボロン酸 (124 mg、0.89 mmol)、Pd(PPh3)4 (17 mg、0.01 mmol)、K3PO4 (186 mg、0.88 mmol) を添加した。反応を40 分間90℃で窒素雰囲気下で攪拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル中1 % 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル 3-(7,8-ジヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5(6H)-イル)-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラートを明黄色固体 (100mg)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 458.0
1H-NMR (300 MHz、CDCl3): δ 8.69 (d、J = 1.5 Hz、1H)、8.17 - 8.21 (m、1H)、8.07 (d、J = 8.7 Hz、1H)、7.72 - 7.76 (m、2H)、6.98 - 7.04 (m、2H)、6.53 (s、1H)、6.19 (s,1H)、5.80 (s、2H)、4.02 (s、3H)、3.80 - 3.85 (t、J = 6.6 Hz、2H)、2.68 - 2.73 (t、J = 6.3Hz、2H)、2.02 - 2.06 (t、J = 6.6 Hz、2H)
【0379】
工程 8. 3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸
【化126】
【0380】
水酸化ナトリウム (35 mg、0.88 mmol)を、メタノール (30 ml)および水 (1.0 ml)中の、メチル 3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボキシラート (100 mg、0.22 mmol) の溶液に添加し、反応を一晩室温で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水 (30 ml) に溶解し、塩酸 (3 N)を用いてpH 5に調整して沈殿を得、これをろ過により収集し、3-[2H,5H,6H,7H,8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-5-イル]-2-(4-フルオロフェニル)キノキサリン-6-カルボン酸を明黄色固体 (70.0 mg、72 %)として得た。
LC/MS (ES、m/z): [M+H]+ 444.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO): δ 8.30 (s、1H)、8.08 (d、J = 8.7l Hz、1H)、7.98 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.73 - 7.77 (m、2H)、7.13 - 7.19 (m、2H)、6.61 (s、1H)、6.39 (s、1H)、5.79 (s、2H)、3.62 - 3.66 (t、J = 6.3Hz、2H)、2.61 - 2.66 (t、J = 6.3Hz、2H)、1.87 - 1.91 (t、J = 6.3Hz、2H)
【0381】
以下の化合物は、一般的に当該技術分野において公知の方法および上記の方法を用いて作ることができる。これらの化合物を製造した場合、上記実施例において製造された化合物と類似の活性を有することが期待される。
【0382】
【表2】
【0383】
【表3】
【0384】
【表4】
【0385】
【表5】
【0386】
【表6】
【0387】
【表7】
【0388】
【表8】
【0389】
【表9】
【0390】
【表10】
【0391】
PASK 調節剤としての実施例 1- 24における化合物の活性を、以下のアッセイにおいて例証する。先に列挙したが未だに製造および/または試験していないその他の化合物は、同様にこれらのアッセイにおいて活性を有すると予測される。以下のアッセイにおいて活性を有する化合物は、その開示を引用により本明細書に含めるWO 2011/028947に示されているようなその他のインビトロおよびインビボアッセイにおいても活性を有することが期待される。
【0392】
hPASK 活性についての生化学的アッセイ
PAS キナーゼFRET アッセイ
FRET アッセイの目的は、被験化合物の標的化(targeted)キナーゼに対する阻害能力を決定することである。このアッセイプラットフォームは、キナーゼ反応の後の溶液におけるホスホ-基質の量を定量することにより、キナーゼ活性を測定するための均質なスクリーニング方法を提供する。
【0393】
キナーゼおよびATPの存在下において、Ulight-ペプチドはリン酸化され、抗-ホスホ-基質抗体によって捕獲され、それは、Eu キレートドナーとUlight アクセプター色素を非常に近接させる。340 nmでの励起により、Eu キレートはそのエネルギーをUlight 色素へと移動させ、その結果、665 nmでの蛍光発光が生じる。
【0394】
1 mM ATPにおけるキナーゼのタイトレーション(Titration) は、以下のプロトコールによって達成した。プレートにわたって反応バッファー中にPASK (Invitrogen)の段階三倍希釈を作成した後; 5 μlのキナーゼ希釈物および5 μlの基質/ATP ミックス(mix) を白色 Optiplate-384 (PerkinElmer)のウェルに添加した。プレートの内容物を室温で1時間インキュベートした。反応を5 μlのストップ溶液を各試験ウェルに添加することにより停止させ、次いで、混合および室温で10 分間インキュベーションを行った。5 μl の検出ミックス (検出バッファー中に希釈された検出抗体) を添加し;プレートの内容物を混合し、次いで暗で1時間室温でインキュベートした。シグナルをTR-FRET モード(665nm/615nm)で記録した。結果をグラフ化してEC50を算出した。
【0395】
ATP Km,app.を決定するために、キナーゼのEC50 濃度でのATPのタイトレーションを以下の方法を用いて行った。ATP (Invitrogen)の段階希釈の作成後、5 μlのATP 希釈物および5 μlの基質/キナーゼミックスを、白色 Optiplate-384 (PerkinElmer)のウェルに添加した。プレートの内容物を室温で1時間インキュベートした。反応を5 μlのストップ溶液を各試験ウェルに添加することにより停止させ、次いで、混合および室温で10 分間インキュベーションを行った。5 μlの検出ミックス (検出バッファー中に希釈した検出抗体) を添加し;プレートの内容物を混合し、次いで暗で 1時間室温でインキュベートした。シグナルをTR-FRET モード (665nm/615nm)にて記録した。結果をグラフ化し、ATP Km,app.としてEC50を算出した。
【0396】
化合物スクリーニングを以下の方法によって行った。DMSO 中10 mMの被験化合物のストック溶液を、被験化合物をDMSOに室温で1時間溶解させ、次いで 100% 出力で8 分間超音波処理することにより調製した。化合物がこの条件下で可溶性でない場合、それを3 mMまで希釈した。10 mM MgCl2、50 mM HEPES、1 mM EGTA、0.01% TWEEN-20、2 mM DTTを含有するキナーゼ反応バッファーを調製した。被験化合物の段階希釈をFreedom EVO200(登録商標) 分配装置を用いて以下のように4 × 最終アッセイ濃度にて調製した: 12×10-5 M、4×10-5 M、1.33×10-5 M、4.44×10-6 M、1.48×10-6 M、4.92×10-7 M、1.65×10-7 M、5.48×10-7 M、1.82×10-8 M、6.09×10-9、2.03×10-9 M。被験化合物 (4 ×最終アッセイ濃度にて2.5 μl) をFreedom EVO200(登録商標) 分配装置を用いてウェルに添加した。陽性対照として、2.5 μl の陽性化合物をアッセイウェルに添加し、2.5 μlのDMSO をアッセイウェルに媒体対照として添加した。キナーゼ溶液を反応バッファー中に2 × 最終アッセイ濃度にて調製した。キナーゼ溶液 (5 μl) をアッセイプレートの各ウェルに添加した。基質およびATP 溶液をキナーゼ反応バッファー中に4 × 最終アッセイ濃度にて調製した。キナーゼ反応は、2.5 μlの基質 + ATP ミックス 溶液をアッセイプレートの各ウェルに添加することによって開始した。プレートをプレートシェーカー上で混合する; 次いでカバーをかけ、2時間暗で25℃で攪拌せずに反応させる。反応を 5 μl のストップ溶液を各試験ウェルに添加することにより停止させ、次いで、混合し、10 分間暗で室温でインキュベーションした。5 μlの検出ミックス (検出バッファー中に希釈された検出抗体) を添加し;プレートの内容物を混合し、次いで暗で1時間室温でインキュベートした。シグナルをTR-FRET モード (665nm/615nm)にて記録した。
【0397】
結果を表1において以下に示す。
【0398】
表1
【表11】
【表12】
【0399】
以上の記載から、当業者は容易に本発明の必須の特徴を解明することができ、その精神と範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に適合するように本発明の様々な改変および修飾を施すことができる。