特許第5980815号(P5980815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980815架橋されてエラストマーを形成することができる自己接着性シリコーン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980815
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】架橋されてエラストマーを形成することができる自己接着性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20160818BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20160818BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20160818BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20160818BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   C09J11/00
   C09J183/05
   C09J183/07
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-550915(P2013-550915)
(86)(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公表番号】特表2014-508826(P2014-508826A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】EP2012052730
(87)【国際公開番号】WO2012113717
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2013年7月26日
【審判番号】不服2014-17596(P2014-17596/J1)
【審判請求日】2014年9月4日
(31)【優先権主張番号】102011004789.1
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オクス,クリステイアン
【合議体】
【審判長】 加藤 友也
【審判官】 菊地 則義
【審判官】 小野寺 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−217262(JP,A)
【文献】 特開昭51−031749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C09D183/00-183/16
C09J183/00-183/16
C09K 3/10
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン組成物であって、架橋されてエラストマーを形成することができ、ならびに
(1)脂肪族炭素−炭素多重結合を有するSiC結合基を有し、ならびに式
SiO(4−a−b)/2 (I)
の単位を含む、有機ケイ素化合物であって、
式中
基Rは同一または異なっていてもよく、およびそれぞれ場合により置換された、SiC結合、脂肪族飽和炭化水素基であり、
基Rは同一または異なっていてもよく、およびそれぞれ場合により置換された、SiC結合、脂肪族不飽和炭化水素基であり、
aは0、1、2または3であり、ならびに
bは0、1、2または3であり、
ただし和a+bは3以下であり、ならびに分子1個当たり少なくとも2個の基Rが存在することを条件とする
有機ケイ素化合物
(2)Si結合水素原子を有し、ならびに式
SiO(4−c−d)/2 (II)
の単位を含む、オルガノポリシロキサンであって、
式中
基Rは同一または異なっていてもよく、それぞれRについて上で与えた意味を有し、
cは0、1、2または3であり、および
dは0、1または2であり、
ただし和c+dは3以下であり、およびc=d=1である式(II)の単位が分子1個当たり平均で少なくとも3個存在して、ここでSi結合水素の含有率が1重量%を超えることを条件とする
オルガノポリシロキサン
(3)末端Si結合水素原子を有する本質的に直鎖のオルガノポリシロキサンであって、式
HSiO(SiRO)SiRH (III)
のオルガノポリシロキサンであって、
式中
基Rは同一または異なっていてもよく、およびそれぞれ場合により置換された、SiC結合、脂肪族飽和炭化水素基であり、ならびに
pは0または1から250の整数であり、
最大1%のT単位および/またはQ単位のモル割合を有するオルガノポリシロキサン、
および
(4)脂肪族多重結合へのSi結合水素の付加を促進する触媒
を含み、
ただし、成分(3)と成分(2)との重量比が25:1から1:1の範囲であり、成分(3)に由来して、組成物の100重量部を基準とするSi結合水素の、成分(2)および(3)に由来して、それぞれの場合に組成物の100重量部を基準とするSi結合水素の和に対するモル比が0.05から1の範囲にあることを条件とするシリコーン組成物。
【請求項2】
分(1)が、式(I)の単位の少なくとも35%において和a+bが0または1であるオルガノポリシロキサン樹脂と、本質的に直鎖のシロキサンとを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分(2)が直鎖シロキサンまたは環状シロキサンを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
分(2)および(3)の全SiH基の、成分(1)の脂肪族炭素−炭素多重結合を有するSi結合基に対するモル比が1.0から5である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
個別の成分をいずれかの順序で混合することによって、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の組成物または請求項に記載されているように製造された組成物を架橋することによって製造される成形物。
【請求項7】
材料複合物である請求項に記載の成形物であって、前記複合物の少なくとも一部が請求項1からのいずれか一項に記載のシリコーン組成物または請求項に記載されているように製造されたシリコーン組成物から製造されならびに少なくとも1つの基材材料に堅固に接合されている、シリコーンエラストマーより成る、成形物。
【請求項8】
材料複合物を製造する方法であって、求項1からのいずれか一項に記載のまたは請求項に記載されているように製造されたシリコーン組成物が少なくとも1つの基材に塗布され、および続いて架橋される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋されてエラストマーを形成することができる自己接着性シリコーン組成物およびこれの使用に関するものである。本発明は、本発明の自己接着性付加架橋シリコーン組成物から製造されたシリコーンエラストマーおよび材料複合物を含む。
【背景技術】
【0002】
通例の基材材料、例えばガラス、金属または有機プラスチックと接触させて、続いて加硫される白金架橋シリコーンゴム配合物は、有するとしても、ごく低い接着強度を有するため、得られたシリコーンエラストマーは一般に、比較的低い引張力の印加によって関係する基材材料から再度層間剥離する可能性があることが公知である。
【0003】
シリコーンエラストマーと基材材料との間に強力で耐久性のある結合を生じさせる多数の技術が文献から公知である。
【0004】
原則として、シリコーンエラストマーと基材材料との間の接着強度を改善するために、基材材料の化学的および物理的性質を変更することが可能である。例示的な方法は、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理またはピロシル(登録商標)による、基材材料表面の事前処理である。このような事前処理ステップにおいて、基材材料の表面または表面に近接する層が物理的または化学的に活性化され、即ち、官能基は結合の形成を可能にし、このようにしてシリコーンエラストマーと基材材料の永続的に安定した軟質−硬質−材料複合物の実現に寄与する。
【0005】
永続的に強力な材料複合物を製造する別の方法は、基材材料にプライマーを塗布することである。このようなプライマーは、接着促進添加剤およびプライマーの基材材料への塗布後に再び除去する必要のある溶媒も含む。
【0006】
永続的に強力な複合材を製造するさらに考えられる方法は、基材材料の体積中または表面上への好適な官能基を提供することであり、この基は付加架橋シリコーン組成物の加硫時のより高い接着力に寄与する。この主題については、例えばEP−A 601 882およびEP−A 143 994が参照され得る。
【0007】
記載した技術の重大な欠点は、基材材料の事前処理または製造のための少なくとも1つの追加の加工ステップが必要なことであり、このことが再度、原則として望ましくないのは、かなり低い生産性とこれに関連するより高い加工コストのためである。
【0008】
この理由で、付加架橋シリコーン組成物の場合に1つ以上の特異的な結合添加剤および/または特定の架橋剤の使用によって多様な基材での接着の改善を引き起こすことができる多くの手法が、過去に記載されてきた。未架橋組成物中に混合されるこれらの添加剤は通例、熱の作用によって加硫の間にまたは加硫後に、おそらく貯蔵後にのみ基材材料への接着性の向上を引き起こす。これらの例は、例証として、WO−A 09/037156およびここで引用されているさらなる参考文献に見出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第601882号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第143994号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/037156号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特異的な結合添加剤または特異的な架橋剤は、幾つかの理由で不都合である。
【0011】
接着力を向上させるためによく使用される有機官能性アルコキシシラン/アルコキシシロキサンは、加硫の間にアルコールを排除する。反応性の理由で、毒性のメタノールを遊離させるメトキシシラン誘導体が通例好ましい。揮発性解離生成物の遊離(アルコールの排除)と共に、一般に望ましくない、シリコーンエラストマーのわずかとは言えない収縮も観察される。排除されたアルコールも良好な接着に対して不利に作用し得るのは、アルコールがシリコーン表面に蓄積し、従って基材への界面にも蓄積して、この結果としてシリコーンと基材表面との間の接触が減少するためである。加えて、官能性アルコキシシランの場合、「風解」(efflorescence)および「発汗」のリスクがある。
【0012】
さらに、特定の結合添加剤がシリコーン組成物のレオロジーに悪影響を有し得ることが公知である。通例の影響は、未加硫配合物の濃厚化から固化または完全な硬化であり、このことによって使用、とりわけコーティング、キャスティングまたは封止工程に対する配合物の適合性が著しく制限されることがある。
【0013】
使用される結合添加剤は、熱の作用の下でのみ有効であることが多いため、特定の最低加硫温度を用いる必要がある。しかし、このことによって、とりわけ工業用接着結合または積層工程が室温での加工を目的としている場合、関係するシリコーン組成物の考えられる使用分野が狭くなる。
【0014】
使用される添加剤または架橋剤は、これの化学的構成のために、シリコーン組成物の残りの構成要素とやや不適合であり、このため加硫の間にシリコーン/基材相界面に蓄積する。しかし、この十分に望ましく、固有のミクロ相分離は、クリアおよび透明でないが、乳白色から不透明である問題のシリコーン組成物と関連している。高透明自己接着性シリコーンエラストマー組成物はこのようにして得ることはできない。
【0015】
示された添加剤の幾つかは、これの比較的高い反応性のために、SiH分解の高速化を引き起こすか、架橋速度を著しく低下させるか、または(非可逆性)阻害影響をもたらすことさえある。加えて多くの場合で、幾つかの非常に特異的な結合剤または結合剤ポリマーの貯蔵安定的な製造は非常に複雑であり、従って費用がかかり、このことは最終的に経済的側面に有害な影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、シリコーン組成物であって、架橋されてエラストマーを形成することができ、
(1)脂肪族炭素−炭素多重結合を有するSiC結合基を有し、式
SiO(4−a−b)/2 (I)
の単位を含む、有機ケイ素化合物であって、
式中
基Rは同一または異なっていてもよく、およびそれぞれ場合により置換された、SiC結合、脂肪族飽和炭化水素基であり、
基Rは同一または異なっていてもよく、およびそれぞれ場合により置換された、SiC結合、脂肪族不飽和炭化水素基であり、
aは0、1、2または3であり、ならびに
bは0、1、2または3であり、
ただし和a+bは3以下であり、分子1個当たり少なくとも2個の基Rが存在することを条件とする
有機ケイ素化合物
(2)Si結合水素原子を有し、式
SiO(4−c−d)/2 (II)
の単位を含む、オルガノポリシロキサンであって、
式中
基Rは同一または異なっていてもよく、それぞれRについて上で与えた意味の1つを有し、
cは0、1、2または3であり、および
dは0、1または2であり、好ましくは0または1であり、
ただし和c+dは3以下であり、およびc=d=1である式(II)の単位が分子1個当たり平均で少なくとも3個存在して、ここでSi結合水素の含有率が0.7重量%以上であることを条件とする
オルガノポリシロキサン
(3)末端Si結合水素原子を有する本質的に直鎖のオルガノポリシロキサンおよび
(4)脂肪族多重結合へのSi結合水素の付加を促進する触媒を含み、
ただし成分(3)に由来して、本発明による組成物の100重量部を基準とするSi結合水素の、成分(2)および(3)に由来するSi結合水素の和に対するモル比が、それぞれの場合で本発明による組成物の100重量部を基準として0.05から1の範囲にあることを条件とする、シリコーン組成物を提供する。
【0017】
本発明の目的のために、オルガノポリシロキサンという用語は、ケイ素原子の一部が酸素以外の基、例えば−C−を介して相互に結合されることもできる、ポリマー性、オリゴマー性、および同じくダイマー性のシロキサンを包含する。
【0018】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基;へキシル基、例えばn−へキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルフェニル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロへキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリル基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基;ならびにアラルキル基、例えばベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0019】
置換基Rの例は、ハロゲン原子によって置換された炭化水素基である。
【0020】
基Rは、好ましくは1から18個の炭素原子を有する基、特に好ましくは1から8個の炭素原子を有する基、とりわけメチル基である。
【0021】
基Rは好ましくは、脂肪族多重結合および2から18個の炭素原子を有する炭化水素基、例えばビニル基、アリル基、メタリル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、ブタジエニル基、ヘキサジエニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、エチニル基、プロパギル基および2−プロピニル基であり、2から6個の炭素原子を有する基R、とりわけビニル基およびアリル基が特に好ましい。
【0022】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(1)は、ヒドロシリル化によって架橋することができる組成物においてもこれまで使用されている、いずれの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物でもあることができる。
【0023】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(1)は、直鎖、分枝または環状シロキサンであることができる。
【0024】
有機ケイ素化合物(1)は、好ましくは本質的に直鎖のオルガノポリシロキサンであって、構造
(RSiO1/2)(RRSiO)0−50(RSiO)0−2000(RSiO1/2),
(式中、RおよびRは上で定義した通りである。)を有する、本質的に直鎖のオルガノポリシロキサンである。
【0025】
上の式では示されていないが、本発明によって使用される直鎖シロキサン(1)は、調製方法の結果として、最大1%の、好ましくは最大1000ppmの分枝の、即ちT単位および/またはQ単位のモル割合を有する。
【0026】
直鎖有機ケイ素化合物(1)の例は
(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)110(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)160(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)210(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)440(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)620(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)1050(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)1750(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)110(ViMeSiO)0.5(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)176(ViMeSiO)44(ViMeSiO1/2)、
(ViMeSiO1/2)(MeSiO)608(ViMeSiO)12(ViMeSiO1/2
(式中、Meはチル基であり、およびViはビニル基である。)である。
【0027】
本発明によって使用される直鎖有機ケイ素化合物(1)は、それぞれの場合で25℃において、好ましくは0.5から10mPasの、特に好ましくは0.5から500000mPasの、とりわけ0.5から100000mPasの粘度を有する。
【0028】
さらに好ましい有機ケイ素化合物(1)は、オルガノポリシロキサン樹脂、例えば式(I)の単位の少なくとも35%、好ましくは少なくとも50%において和a+bが0または1、特に好ましくは0であるオルガノポリシロキサン樹脂である。
【0029】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン樹脂(1)は、式(I)の単位に加えて、Si結合基−OR’(ここでR’は、水素原子または1価の場合により置換された炭化水素基、例えばSi結合ヒドロキシ基およびアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基またはブトキシ基である。)を有するシロキシ単位(I’)を有することもできる。シロキシ単位(I’)は、基Rおよび/またはR(ここでRおよびRはそれぞれ、上で挙げた意味の1つを有する。)を加えて有することができる、M単位、D単位、T単位またはQ単位であることができる。
【0030】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン樹脂(1)は、とりわけ調製方法の結果として、好ましくは10重量%未満の、特に好ましくは0.01から5重量%の、Si結合基−OR’(ここでR’は、上述の意味の1つを有する。)の全割合を有する。
【0031】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン樹脂(1)は、好ましくは1000から100000g/molの、特に好ましくは1500から10000g/molの重量平均分子量Mを有し、25℃および周囲雰囲気の圧力、即ち900から1100hPaにおいて液体または固体であることができる。
【0032】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン樹脂(1)が液体である場合、これらは25℃にてそれぞれの場合で、好ましくは20から1000000mPasの、特に好ましくは20から500000mPasの粘度を有する。
【0033】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン樹脂が固体である場合、これらは、それぞれの場合で周囲雰囲気の圧力、即ち900から1100hPaにおいて、好ましくは30℃を超える、特に好ましくは40℃を超える軟化温度を有し、および23℃において0.95から2.5g/cmの範囲の密度を有する。
【0034】
オルガノポリシロキサン樹脂(1)の例は、アリル基またはビニル基によって官能化されたシルセスキオキサンならびに同様にアリル基またはビニル基によって官能化され、例えば式(CHSiO1/2−、R(CHSiO1/2−およびSiO4/2−の単位で、ならびに場合により同様に(R’O)SiO1/2−、(R’O)SiO2/2−および(R’O)SiO3/2−の単位で構成されるMQ樹脂であり、ここでM単位(CHSiO1/2−およびR(CHSiO1/2−のモル割合は35から65mol%であり、ならびにQ単位SiO4/2−および存在する場合には(R’O)SiO1/2−、(R’O)SiO2/2−および(R’O)SiO3/2−のモル割合は35から65mol%であり、ここでRはビニル基またはアリル基である。
【0035】
有機ケイ素化合物(1)がオルガノポリシロキサン樹脂である場合、M単位、好ましくはRSiO1/2−およびRSiO1/2−、ならびにQ単位、即ちSiO4/2−より本質的に成るオルガノポリシロキサン樹脂が好ましく、樹脂のすべての単位の少なくとも50%がQ単位であり、ビニルジメチルシロキシ基によって官能化されたMQ樹脂が好ましく、ならびにビニルジメチルシロキシ基によって官能化され、M単位((CHSiO1/2−およびR(CHSiO1/2−)のモル割合が35から50mol%であり、およびQ単位(SiO4/2−および存在する場合には加えて(R’O)SiO1/2−、(R’O)SiO2/2−および(R’O)SiO3/2−)のモル割合が50から65mol%であり、および5重量%未満の、調製方法から得られたSi結合基OR’の割合を有するMQ樹脂がとりわけ好ましい。
【0036】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(1)は、好ましくは式(I)および場合により(I’)の単位より成る。
【0037】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(1)中の脂肪族不飽和炭化水素基の含有量は、それぞれの場合で成分(1)100gを基準として、好ましくは0.001から1.3molの、特に好ましくは0.003から1.3molの、とりわけ0.004から1.3molの基Rである。
【0038】
直鎖シロキサン(1)の場合、これは鎖長と共に変化して、それぞれの場合で成分(1)100gを基準として、好ましくは0.001から1.3molの、特に好ましくは0.003から1.3molの、とりわけ0.004から1.3molの基Rである。
【0039】
オルガノポリシロキサン樹脂(1)の場合、それぞれの場合で成分(1)100gを基準として、これは好ましくは0.001から1.0molの、特に好ましくは0.01から0.6molの、とりわけ0.02から0.1molの基Rである。
【0040】
成分(1)は好ましくは、本質的に直鎖のシロキサンで、またはオルガノポリシロキサン樹脂との混合物において本質的に直鎖のシロキサンで構成され、成分(1)は特に好ましくは、本質的に直鎖のシロキサンとオルガノポリシロキサン樹脂との混合物である。
【0041】
本質的に直鎖のシロキサンとオルガノポリシロキサン樹脂との混合物(1)において、樹脂の重量による割合は、好ましくは0.1から80重量%、特に好ましくは10から55重量%である。
【0042】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(1)は市販製品であるか、またはケイ素化学において慣例の工程によって調製することができる。
【0043】
基Rの例は、Rについて上で与えた例である。
【0044】
基Rは、好ましくは1から18個の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくは1から6個の炭素原子を有する炭化水素基、とりわけ1から6炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、非常に特に好ましくはメチル基である。
【0045】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(2)は、ヒドロシリル化によって架橋することができる組成物においてもこれまで使用されている、側鎖にSiHを含有するいずれのオルガノシロキサンでもよい。
【0046】
式(II)では示されていないが、構成要素(2)は、従来技術で慣例の合成経路の結果としてならびにとりわけ高温でのおよび/または好適な触媒および反応パートナーの存在下で、SiH基固有の不安定性の結果として、少量の、通例100重量ppm未満のSi結合OH基を有することができる。
【0047】
本発明によって使用される有機ケイ素化合物(2)は、好ましくは式(II)の単位より成る。
【0048】
有機ケイ素化合物(2)は好ましくは、25℃にてそれぞれの場合で、2から1000mPasの、特に好ましくは10から500mPasの粘度を有するオルガノポリシロキサンである。
【0049】
オルガノ水素ポリシロキサン(2)の例は、例えば式(CHSiO1/2−、H(CH)SiO2/2−、(CHSiO2/2−および(CH)SiO3/2−の単位で構成することができる、直鎖、分枝および環状オルガノ水素ポリシロキサンである。
【0050】
分枝オルガノポリシロキサン(2)の例は、CHSiO3/2−、(CHSiO2/2−およびH(CH)SiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を含有するシロキサンである。
【0051】
環状オルガノポリシロキサン(2)の好ましい例は、H(CH)SiO2/2−および(CHSiO2/2−単位を含有するコポリマーまたは全くH(CH)SiO2/2−単位のみを含有するホモポリマーであり、ホモポリマー、例えばペンタメチルシクロペンタシロキサン(SiMe(H)O);Dまたはヘキサメチルシクロヘキサシロキサン(SiMe(H)O);D、またはヘプタメチルシクロヘプタシロキサン(SiMe(H)O);D、またはオクタメチルシクロオクタシロキサン(SiMe(H)O);Dが特に好ましい。
【0052】
好ましい直鎖オルガノポリシロキサン(2)は、H(CH)SiO2/2−単位を含有し、および(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン、
H(CH)SiO2/2−および(CHSiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン、
(Et)SiO2/2−およびH(CH)SiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン、
(Et)SiO2/2−、(CHSiO2/2−およびH(CH)SiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン、
(Et)(CH)SiO2/2−、(CHSiO2/2−およびH(CH)SiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン、ならびに
(Et)(CH)SiO2/2−およびH(CH)SiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン(ここでEtはエチル基である。)であり、
H(CH)SiO2/2−単位を含有し、および(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサンならびに同じくH(CH)SiO2/2−および(CHSiO2/2−単位を含有し、ならびに(CHSiO1/2−末端基を有するシロキサン、とりわけ3−3.5:1または0.9−1.1:1の、H(CH)SiO2/2−の(CHSiO2/2−単位に対するモル比を有するシロキサンが特に好ましい。
【0053】
オルガノポリシロキサン(2)は好ましくは、SiH側基を有する直鎖シロキサンまたは環状シロキサンであり、直鎖シロキサンであって、構造
SiO(SiHRO)(RSiO)SiR
(式中、Rは上で定義した通りであり、mは3から100の整数であり、およびnは0または1から150の整数である。)を有する直鎖シロキサンが特に好ましい。
【0054】
上の式では示されていないが、本発明によって使用される直鎖シロキサン(2)は、調製方法の結果として、最大1%の、好ましくは最大1000ppmの分枝の、即ちT単位および/またはQ単位のモル割合を有する。
【0055】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン(2)は、好ましくは分子1個当たり平均で5から60個のSiH基を含有する。
【0056】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン(2)は、0.7重量%以上の、好ましくは1重量%を超えるSi結合水素の含有率を有する。
【0057】
成分(2)の割合は、それぞれの場合で本発明による組成物の100重量部を基準として、好ましくは1から10重量部の、特に好ましくは1から5重量部の範囲にある。
【0058】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン(2)は市販製品であるか、またはケイ素化学において慣例の工程によって調製することができる。
【0059】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン(3)は、好ましくは式
HSiO(SiRO)SiRH (III),
のオルガノポリシロキサンであり、
式中
基Rは同一または異なっていてもよく、およびそれぞれ場合により置換された、SiC結合、脂肪族飽和炭化水素基であり、ならびに
pは0または1から250の整数である。
【0060】
基Rの例は、Rについて上で与えた例である。
【0061】
基Rは、好ましくは1から18個の炭素原子を有する脂肪族飽和炭化水素基、特に好ましくは1から6個の炭素原子を有する脂肪族飽和炭化水素基、とりわけメチル基である。
【0062】
式(III)では示されていないが、本発明によって使用される直鎖シロキサン(3)は、調製方法の結果として、最大1%の、好ましくは最大1000ppmの分枝の、即ちT単位および/またはQ単位のモル割合を有する。
【0063】
本発明によって使用されるシロキサン(3)は好ましくは式H(CHSiO1/2−および(CHSiO2/2−の単位を含有し、ジシロキサンH(CHSiOSi(CHHならびに式H(CHSiO1/2−および(CHSiO2/2−の単位より成るオルガノポリシロキサンが特に好ましい。
【0064】
オルガノポリシロキサン(3)の例は
H(CHSiOSi(CHH、
H(CHSiO[(CHSiO]Si(CHH、
H(CHSiO[(CHSiO]12Si(CHH、
H(CHSiO[(CHSiO]15Si(CHH、
H(CHSiO[(CHSiO]50Si(CHH、
H(CHSiO[(CHSiO]60Si(CHHおよび
H(CHSiO[(CHSiO]220Si(CHHである。
【0065】
本発明によって使用されるシロキサン(3)は、それぞれの場合で25℃において、好ましくは0.4から5000mPasの、特に好ましくは2.5から1500mPasの粘度を有する。
【0066】
本発明によって使用されるオルガノポリシロキサン(3)は市販製品であるか、またはケイ素化学において慣例の方法によって調製することができる。
【0067】
成分(3)の割合は、それぞれの場合で本発明による組成物の100重量部を基準として、好ましくは3から60重量部の、特に好ましくは5から50重量部の、とりわけ10から50重量部の範囲にある。
【0068】
本発明の組成物において、成分(3)の成分(2)に対する重量比は、好ましくは60:1から0.3:1の、特に好ましくは50:1から0.5:1の、とりわけ25:1から1:1の範囲にある。
【0069】
成分(3)に由来して、本発明による組成物の100重量部を基準とするSi結合水素の、成分(2)および(3)に由来して、それぞれの場合で本発明による組成物の100重量部を基準とするSi結合水素の和に対するモル比は、好ましくは0.05から1の、特に好ましくは0.1から1の、とりわけ0.2から1の範囲にある。
【0070】
本発明の組成物において、成分(2)および(3)中の全SiH基の、成分(1)の脂肪族炭素−炭素多重結合を有するSi結合基に対するモル比は、0.8から15の範囲で変化することが可能であり、1.0から5のモル比が好ましく、および1.25から3.5のモル比が特に好ましい。
【0071】
脂肪族炭素−炭素多重結合を有する基とSi結合水素との間の付加反応(ヒドロシリル化)を促進する構成要素(4)として、本発明の組成物において以前に公知のヒドロシリル化触媒すべてを使用することが可能である。
【0072】
ヒドロシリル化触媒(4)として、微粉化支持材料、例えば活性炭、金属酸化物、例えば酸化アルミニウムおよび二酸化ケイ素、または白金金属族からの化合物もしくは錯体に固定され得る、白金金属族の金属、例えば白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウム、好ましくは白金およびロジウムを使用することが好ましい。
【0073】
白金および白金化合物、とりわけ触媒(4)としてポリオルガノシロキサンに溶解性である白金化合物を使用することが特に好ましい。溶解性白金化合物(4)として、例えば式(PtClオレフィン)およびH(PtClオレフィン)の白金−オレフィン錯体を使用することが可能であり、2から8個の炭素原子を有するアルケン、例えばエチレン、プロピレン、ブテンおよびオクテンの異性体、または5から7個の炭素原子を有するシクロアルケン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロヘプテンを使用することが好ましい。さらなる溶解性白金触媒は、式(PtClの白金−シクロプロパン錯体、ヘキサクロロ白金酸とアルコール、エーテルおよびアルデヒドもしくはこれの混合物との反応生成物またはエタノール性溶液中の重炭酸ナトリウムの存在下でのヘキサクロロ白金酸とメチルビニルシクロテトラシロキサンとの反応生成物である。リン配位子、硫黄配位子およびアミン配位子を有する白金触媒、例えば(PhP)PtClも使用することができる。白金とビニルシロキサン、例えばsym−ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体が非常に特に好ましい。
【0074】
特定の実施形態において、白金触媒はUV感受性形で存在することができ、これによって本発明による配合物のUV活性化硬化が可能となる。このような触媒の例は、DE 102008000156 A1、2ページ、段落[0006]から3ページ、段落[0012]まで([0012]を含む。)、3ページ、段落[0016]から6ページ、段落[0025]まで([0025]を含む。)および同じく6ページ、段落[0030]から7ページ、段落[0031]まで([0031]を含む。)に開示され、これは本発明の開示内容に参照により組み入れられている。
【0075】
使用されるヒドロシリル化触媒(4)の量は、所望の架橋速度および経済的側面にも依存する。通例、それぞれの場合において、本発明による組成物の100重量部当たりの白金金属として計算された1×10−5から5×10−2重量部の、特に好ましくは1×10−4から1×10−2重量部の、とりわけ5×10−4から5×10−3重量部の白金触媒が好ましい。
【0076】
成分(1)から(4)とは別に、本発明の組成物は、付加架橋性組成物を製造するためにもこれまで使用されているさらなる材料すべても含むことができ、ただしさらなる材料が成分(1)から(4)とは異なるという条件である。
【0077】
このため本発明の組成物は、さらなる構成要素、例えば抑制剤(5)、充填剤(6)、添加剤(7)およびさらなる成分(8)を含有することができる。
【0078】
場合により使用される抑制剤(5)は、標的化された方法における本発明の組成物の処理時間、開始温度および架橋速度を設定する役割を果たす。
【0079】
抑制剤(5)の例は、アセチレンアルコール、例えば1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−メチル−3−ブチン−2−オールおよび3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール、トリアルキルシアヌレート、アルキルマレアート、例えばジアリルマレアート、ジメチルマレアートおよびジエチルマレアート、アルキルフマレート、例えばジアリルフマレートおよびジエチルフマレート、有機ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシドおよびピナンヒドロペルオキシド、有機ペルオキシド、有機スルホキシド、有機アミン、ジアミンおよびアミド、ホスファンおよびホスファイト、ニトリル、トリアゾール、ジアジリジンおよびオキシムである。これらの抑制剤(5)の作用はこれらの化学構造に依存するので、個別に決定する必要がある。
【0080】
抑制剤(5)が本発明によるシリコーン組成物で使用される場合、これらはそれぞれの場合で本発明のシリコーン組成物100重量部を基準として、好ましくは1から50000ppm、特に好ましくは20から2000ppm、とりわけ100から1000ppmの量で使用される。本発明の組成物は、好ましくは抑制剤(5)を含有する。
【0081】
本発明の組成物において、組成物の他の構成要素がある抑制剤効果を呈する場合には、抑制剤(5)の添加は省略できるか、または使用量を削減することができる。
【0082】
場合により使用され得る充填剤(6)の例は、非補強充填剤、即ち最大50m/gのBET表面積を有する充填剤、例えば石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄もしくは酸化亜鉛またはこれの混合物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素ガラス粉末およびポリマー粉末、例えばポリアクリロニトリル粉末;補強充填剤、即ち50m/gを超えるBET表面積を有する充填剤、例えば焼成シリカ、沈降シリカ、沈降炭酸石灰、カーボンブラック、例えばファーネスブラックおよびアセチレンブラック、ならびに大きいBET表面積を有するケイ素−アルミニウム混合酸化物;繊維状充填剤、例えばアスベストおよびポリマーファイバーである。言及した充填剤は、例えばオルガノシランもしくはオルガノシロキサンを用いたまたはステアリン酸を用いた処理によって、またはアルコキシ基を形成するためのヒドロキシル基のエステル化によって疎水化する(hydrophobicized)ことができる。
【0083】
場合により使用され得る充填剤(6)のさらなる例は、いずれのシリコーン樹脂でもよいオルガノポリシロキサン樹脂、例えば式(I)(式中、b=0およびa=0、1または3)の単位ならびにおそらく調製方法の結果として、ヒドロキシおよび/またはオルガニルオキシ基を有する単位を含有するもの、例えば好ましくは25℃および周囲雰囲気の圧力にて好ましくは固体であるシルセスキオキサン型のオルガノシリコーン樹脂ならびに好ましくは100から1000kg/mのバルク密度および好ましくは30℃を超える、特に好ましくは40℃を超える軟化点を有するMQ樹脂である。
【0084】
充填剤(6)が使用される場合、沈殿および焼成シリカ、石英および炭酸石灰が好ましい。
【0085】
場合により使用され得るシリカ(6)のBET比表面積は、好ましくは少なくとも50m/g、特に好ましくは(preference)100から400m/gである。
【0086】
充填剤(6)が使用される場合、これらは、それぞれの場合で本発明による組成物100重量部を基準として、好ましくは0.1から75重量部の、特に好ましくは1から50重量部の量で使用される。本発明の組成物において、脂肪族不飽和シリコーン樹脂が成分(1)として使用されない場合に、充填剤(6)が好ましくは使用される。しかし、脂肪族不飽和シリコーン樹脂が成分(1)として使用される場合、充填剤(6)の添加をこれに応じて削減することができるか、または完全に省略することができ、このことは高透明封止組成物の製造では特に好ましい。
【0087】
接着力に関連せず、および本発明により場合により使用され得る添加剤(7)の例は、分散剤、顔料、染料、抗真菌剤、芳香剤、酸化抑制剤、火炎防護剤および燃焼遅延剤、レオロジー調整剤、UV安定剤および熱安定剤である。
【0088】
添加剤(7)が使用される場合、これらは、それぞれの場合で本発明による組成物100重量部を基準として、好ましくは0.0001から5重量部の、特に好ましくは0.01から2.5重量部の量で使用される。本発明の組成物を製造するためには、添加剤(7)を使用しないことが好ましい。
【0089】
場合により使用され得るさらなる成分(8)の好ましい例は、有機溶媒および同じく可塑剤、例えば有機ポリマーおよびシリコーン油である。
【0090】
さらなる成分(8)が使用される場合、これらは、それぞれの場合で本発明による組成物100重量部を基準として、好ましくは0.1から70重量部の、特に好ましくは1から40重量部の量で使用される。本発明の組成物を製造するためには、さらなる成分(8)を使用しないことが好ましい。
【0091】
本発明の組成物は好ましくは、成分(1)から(8)を超えるさらなる材料をいずれも含有しない。
【0092】
架橋性本発明の組成物で使用される個別の成分は、それぞれの場合で、これらの成分の1種類、さもなければこれらの成分の少なくとも2種類の混合物であることができる。
【0093】
本発明の組成物の密度は、それぞれの場合で23℃および周囲雰囲気の圧力、即ち900から1100hPaにおいて、好ましくは0.8から3g/cmの、特に好ましくは0.9から1.5g/cmの範囲にある。
【0094】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、公知の方法によって、例えば個別の成分をいずれかの順序でいずれかの混合装置を使用して混合することによって、製造することができる。
【0095】
本発明は、個別の成分をいずれかの順序で混合することによって、本発明による組成物を製造する方法をさらに提供する。
【0096】
本発明の組成物が1成分シリコーンゴム組成物である場合、本発明の方法は好ましくは、有機ケイ素化合物(1)をオルガノ(水素)ポリシロキサン(3)と、続いて任意のさらなる構成要素(6)、(7)および(8)、オルガノ(水素)ポリシロキサン(2)と、ならびに場合により抑制剤(5)およびヒドロシリル化触媒(4)と混合することによって好ましくは行われ、混合は好ましくは、非連続および/または連続混合装置、例えば捏和機、高速ミキサまたは遊星ミキサによって行われる。
【0097】
本発明の組成物が付加架橋2成分シリコーンゴム組成物である場合、本発明の組成物の2つの成分は、すべての構成要素をいずれの組み合せおよび比でも含有することができ、ただし成分は構成要素(2)、(3)および(4)を、とりわけ構成要素(1)、(2)、(3)および(4)を同時に含有しないという条件である。2つの成分の一方が構成要素(1)および(4)を含有して、他方の成分が構成要素(2)および(3)ならびに場合によりさらなる(1)を含むことが好ましい。
【0098】
本発明の組成物が2成分シリコーンゴム組成物である場合、第1の混合成分(例えば成分Xと呼ぶ)を製造するための本発明の方法は好ましくは、有機ケイ素化合物(1)を場合により充填剤(6)、場合により抑制剤(5)、場合によりさらなる構成要素(7)および(8)ならびにヒドロシリル化触媒(4)と混合することによって行われ、混合は好ましくは、非連続および/または連続混合装置、例えば捏和機、高速ミキサまたは遊星ミキサによって行われる。本発明による第2の混合成分(例えば成分Yと呼ぶ)を製造するために、場合によりさらなる有機ケイ素化合物(1)をオルガノ(水素)ポリシロキサン(2)および(3)ならびに場合によりさらなる構成要素(5)、(6)、(7)および(8)と混合することが好ましく、この場合も、混合は好ましくは、非連続および/または連続混合装置、例えば捏和機、高速ミキサまたは遊星ミキサによって行われる。
【0099】
本発明の方法のさらなる好ましい変形において、構成要素(1)および構成要素(2)が同じ成分中に存在する場合、構成要素(1)は、成分(2)、(4)および場合により(5)を除く他のすべての構成要素(存在する場合)によって常に最初に希釈され、この後にのみ成分(2)、(4)および場合により(5)が添加される。この手順は、成分(1)の少なくとも一部がオルガノポリシロキサン樹脂で構成されている場合に特に好都合である。
【0100】
好ましい方法の変形において、構成要素(1)から(8)は2つの成分(X)および(Y)に分けられる。成分(X)の成分(Y)に対する混合比は、100:1から1:100であることができる。
20:1から1:20の混合比、とりわけ15:1から1:15の混合比が好ましい。
【0101】
本発明の方法は、連続的にまたはバッチ式で行うことができる。
【0102】
本発明の方法は好ましくは、−20から+100℃の範囲の、特に好ましくは0から+80℃の範囲の、とりわけ+10から+60℃の温度にて行われる。さらに、本発明の方法は周囲雰囲気の圧力、即ち900から1100hPaの圧力にて行われる。
【0103】
本発明の方法は、湿気を排除してまたは保護ガス雰囲気下で行うことができるが、これは好ましくない。
【0104】
本発明の組成物中の成分(4)がUV感受性触媒である場合、本発明の方法は好ましくは、光の非存在下で、とりわけUV光、即ち1から550nmの波長を有する光の非存在下で行われる。
【0105】
Si結合水素の脂肪族多重結合への付加によって架橋することができる本発明の組成物は、ヒドロシリル化反応によって架橋することができる、以前に公知の組成物と同じ条件下で架橋させることができる。
【0106】
架橋されてエラストマーを形成することができ、同時に接着力の上昇を伴う、自己接着性シリコーン組成物の本発明による架橋は、好ましくは−30から+80℃の、さらに好ましくは0から+60℃の、特に好ましくは+10から+30℃の温度にて、とりわけ室温、即ち23℃にて行われる。しかし硬化は、他の温度でも、例えば最高250℃まで加熱することによっても行えるが、これは好ましくない。
【0107】
本発明の組成物が付加架橋2成分シリコーンゴム組成物である場合、ポットライフ(オープン処理時間)は、室温(23℃)および50%雰囲気相対湿度に基づいて、24時間以内、好ましくは6時間以内、特に好ましくは120分以内である。
【0108】
特定の実施形態において、架橋されてエラストマーを形成することができ、同時に接着力の上昇を伴う、自己接着性シリコーン組成物の本発明による架橋は、DE 102008000156 A1に記載されているようにUV活性化によって行われる。ここで、適切な方法で塗布されている本発明による組成物は、好ましくは少なくとも0.1秒、好ましくは少なくとも2秒、最大2分まで、好ましくは最大1分にわたって、230から400nmの波長範囲を有するUV光を例えば鉄ランプによって生成され得るように、好ましくは少なくとも25mW/cmの、好ましくは70から150mW/cmの照射強度にて照射される。架橋時間は、UV放射の強度およびUV照射の期間によって変わる。使用するUV放射源は市販製品であり、当業者に公知の販売元から調達できる。
【0109】
本発明は、本発明の組成物の架橋によって製造される成形物をさらに提供する。
【0110】
本発明の成形物は乳白色から透明であるが、好ましくは透明である。
【0111】
本発明の成形物は、いずれのエラストマー、例えばシール、加圧品、押出異形材、コーティング、含浸、封止、レンズ、フレネルレンズ、プリズム、多角形構造、積層または接着層でもよい。
【0112】
本発明の成形物が透明成形物である場合、これらは好ましくは、空気に対する透過率にて、それぞれの場合で層厚2mmに基づいて、DIN 5036,part3,chapter 6.3.1に従って測定された、波長300nm超にて80%を超える、特に好ましくは300nmにて85%を超える、400nmにて90%を超える、および500−800nmにて92%を超える透過率を有する。
【0113】
本発明の成形物は、それぞれの場合でDIN 53505−Aに従って測定された、好ましくは5を超える、特に好ましくは10を超える、とりわけ20から60のショアA硬度を有するエラストマーである(23℃、厚さ6mmを有する試験片)。
【0114】
本発明の成形物の密度は、それぞれの場合で23℃および周囲雰囲気の圧力、即ち900から1100hPaにおいて、好ましくは0.8から3g/cmの、特に好ましくは1から1.5g/cmの範囲にある。
【0115】
本発明の成形物は、それぞれの場合で、DIN ISO 2137(1997−08edition)のsection 4.2.1およびfigure 3に記載されているように、DIN ISO 2137に従う針入度計によって150g標準コーン(可動付属品(acutrement)、例えば落下ロッドを含む。)を使用して、対流オーブン内で100℃にて1時間の加硫によって製造された試験片に対して測定された、好ましくは100 1/10mm未満の、特に好ましくは60 1/10mm未満の、とりわけ25 1/10mm未満の、非常に特に好ましくは0から20 1/10mmのコーン貫入値を有する。
【0116】
本発明の成形物は、好ましくは5重量%未満の、特に好ましくは2.5重量%未満の、とりわけ1重量%未満の有機ケイ素化合物(1)、(2)および(3)を含む、抽出可能な構成要素を有する。抽出可能な構成要素を決定するために、本発明による組成物2gを150℃にて1時間加硫し、次にオーバーヘッド振とう機を使用してヘプタン35mlによって24時間振とうして、ヘプタンを捨て、シリコーン残渣を150℃にて恒量まで乾燥させる;ヘプタン添加前の初期重量からの重量差が抽出可能な構成要素の割合である。
【0117】
本発明の成形物は、それぞれの場合で厚さ少なくとも10mm、直径25mmを有する円筒状試験片に基づいて後述する方法に従って測定された、好ましくは0.5Nを超える、特に好ましくは1Nを超える、とりわけ3Nを超える、非常に特に好ましくは4Nを超える押し込み力(indentation force)、即ち測定装置が本発明による試験片中に測定プローブを所定の程度まで押込むことができるように加えなければならない力を必要とする。
【0118】
本発明による試験片は、好ましくは低い表面粘着力を有する。測定プローブを試験片から離脱させるために必要なモーメントは、それぞれの場合で厚さ少なくとも10mm、直径25mmを有する円筒状試験片を基準として後述する方法に従って測定して、好ましくは−1.2から0N・mm、特に好ましくは−1から0N・mm、とりわけ−0.5から0N・mmである。
【0119】
測定プローブが試験片表面から離脱するまでの本発明による成形物の表面粘着力の決定により測定することができる変位差は、それぞれの場合で厚さ少なくとも10mm、直径25mmを有する円筒状試験片を基準として後述する方法に従って測定して、好ましくは3mm未満、特に好ましくは1mm未満、とりわけ0から0.5mmである。
【0120】
押し込み力、変位差および表面粘着性は、例えばテクスチャーアナライザ(モデル:TA HDiテクスチャーアナライザ、ステーブル・マイクロ・システムズ、ゴダルマイニング、UK)によって次のように決定する:標準化測定プローブ(ステンレス鋼製で、直径4mmを有する円筒状貫入パンチ、ステーブル・マイクロ・システムズ、ゴダルマイニング、UKよりモデル名称P/4として市販)を、高さ18mmおよび内径25mmを有する円筒状アルミニウムるつぼ内に位置する試験片の中央へ垂直に所定の変位(1mm)まで1mm/秒の速度にて押し付け(試験片は、最小高さ10mmから18mmを有する加硫物であり、アルミニウムるつぼ内で室温、50%雰囲気相対湿度および大気圧での14日間の加硫によって製造される。)、この位置で60秒保持する。この緩和時間の後、測定プローブを2mm/秒の速度にて、試験片表面から完全に離脱するまで垂直に引き出す。これらの事象の間に測定プローブに作用する力を、力−時間のグラフとして記録および評価する。緩和時間の開始前の測定プローブの試験片中への押し込みの間のピーク力は、押し込み力に一致する;このことは正の単位で報告されている。試験片表面からの測定プローブの離脱の間の負の力のピークは接着力であり、表面粘着性は、試験片表面からの測定プローブの完全な離脱が起きるまでの負の力の範囲における離脱工程の間の力−時間曲線によって囲まれた、力−時間グラフの面積として定義される。さらに、試験片表面からの完全な離脱が起きるまでの負の力の範囲における測定プローブの変位は、上述の変位差である。
【0121】
本発明の成形物は、それぞれの場合でISO 6721−1および−4に従った動的機械分析(DMA)によって測定した、好ましくは0.5未満の、特に好ましくは0.3未満の、とりわけ0.2未満の、1Hzおよび23℃における損失係数を呈する。
【0122】
本発明の成形物は、それぞれの場合ASTM D 2240に従って測定した、好ましくは20を超える、特に好ましくは45を超える、とりわけ70から95の硬度Sh 00を有する(23℃、厚さ6mmを有する試験片)。
【0123】
本発明の成形物は材料複合物であってもよく、該複合材の少なくとも一部は本発明によるシリコーン組成物から製造され、および少なくとも1つの基材材料に堅固に接合されているシリコーンエラストマーより成る。
【0124】
本発明は、本発明のシリコーン組成物が少なくとも1つの基材に塗布され、続いて架橋される、材料複合物を製造する方法をさらに提供する。
【0125】
例はコーティング、封止、成形物品、複合材および複合成形物の製造である。本目的では、複合成形物は、本発明のシリコーン組成物から製造されたシリコーンエラストマー部分および少なくとも1つの基材から2つの部分の間に強い耐久性結合が存在するような方法で構成される複合材で作られた、均質成形物品である。
【0126】
材料複合物を製造するための本発明の方法において、例えば接着結合、積層物または封止の場合に、本発明のシリコーン組成物を少なくとも2つの同一のまたは異なる基材の間で加硫させることができる。
【0127】
本発明の自己接着性シリコーン組成物は、付加架橋シリコーンエラストマーと、好ましくは有機ポリマー、金属、合金、有機および無機ガラス、セラミック、ガラス−セラミックおよびエナメルより成る少なくとも1つの基材との間に良好な接着強度が望まれる場合には必ず、とりわけ好都合に使用することができる。基材は好ましくは、金属、合金、無機ガラス、セラミック、ガラス−セラミックおよびエナメルである。アルミニウム材料、鋼鉄材料、無機ガラス、ガラス−セラミックおよびエナメルが特に好ましい。基材は、成形物、フィルムまたはコーティングとして存在することができる。
【0128】
本発明の自己接着性付加架橋シリコーン組成物は、コーティング、接着結合およびキャスティングによって材料複合物を製造するために、ならびにキャスティング、封止、射出成形物、押出および成形物工程によって基材支持成形物品を製造するためにも好適である。
【0129】
本発明の自己接着性付加架橋シリコーン組成物は、多くの美術および工業用途に、例えば電気、電子、家電、消費財、建設、ガラス、自動車、光起電または光学工業の分野において、医療技術において、スポーツおよびレジャー用品の製造において、輸送の分野などにおいて好適である。例は、織布および布シートのコーティング;金属材料、ガラス、ガラス−セラミック、セラミック、エナメルおよび光起電電池のコーティング;電気および電子部品の封止またはコーティング;太陽電池の封止;光学部品の接合および接着結合;ガラス支持光学部品の製造、ソーラーモジュールの積層ならびに美術ガラス工芸分野での接着結合および積層である。
【0130】
本発明の組成物は、室温(23℃)にて好ましくは7日以内、特に好ましくは3日以内の、とりわけ24時間以内の加硫中に自己接着をもたらす。
【0131】
本発明の組成物は、これらの製造が簡単であり、従来の結合剤が不要であるという利点を有する。
【0132】
本発明の組成物は、これらが良好な貯蔵安定性および要求される場合には、流動性を有するという利点を有する。
【0133】
本発明の組成物は、これらが低温においても高い架橋速度を有するという利点を有する。
【0134】
さらに本発明の組成物は、これらが高レベルの使用特性、例えば透明性、耐食性および簡単な使用を有するという利点を有する。
【0135】
本発明の組成物は、機械的に強く、また場合により高透明性の工業用途用の材料複合物がこれらから室温にて満足な方式で製造できるという利点を有する。
【0136】
本発明の組成物は、これらから製造された成形物が選択された基材上で高い接着強度を、室温でも増強される接着力および同じく高温での非常に良好な耐加水分解性と共に有するという利点も有する。
【0137】
驚くべきことに、文献から公知の結合剤の非存在下でも、多様な基材材料での所望の優れた自己接着をもたらすのは、SiH含有シロキサン(2)とSiH末端オルガノポリシロキサン(3)との組み合せのみである。結果として、室温でも製造することができる、高透明(これらが結合剤を含んでいないためである。)材料複合物を得ることが可能である。
【0138】
本発明の自己接着性付加架橋シリコーン組成物は、以下の利点も有する:
−レオロジーに悪影響を有するいずれの結合剤添加剤も存在しないので、未架橋シリコーン組成物のレオロジー特性および流動性を自由に選ぶことができる;
−架橋速度(およびこのため加硫特徴)を抑制剤の含有率によって自在に設定できる;
−架橋エラストマーは、金属材料、無機ガラス、ガラス−セラミック、セラミックおよびエナメルに対して高い接着強度を有する、
−架橋エラストマーは、適切に調合されたシリコーン組成物の場合に優れた透明性を有する、
−架橋中に、収縮に悪影響を有する毒性解離生成物または揮発性構成要素の遊離なし。
【0139】
以下の実施例において、すべての部およびパーセンテージは、別途指摘しない限り、重量である。別途指摘しない限り、以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力にて、即ち約1000hPaにて、および室温、即ち約23℃、または追加の加熱もしくは冷却なしに室温にて反応物質を配合するときに設定される温度にて行われる。実施例で言及する粘度はすべて、25℃の温度に関連する。
【0140】
極限引張強度はDIN 53504−S1に従って決定する。
【0141】
破断時伸びはDIN 53504−S1に従って決定する。
【0142】
ショアA硬度はDIN(Deutsche Industrie Norm)53505−A(August 2000 edition)に従って決定する。
【実施例】
【0143】
[比較例1](C1)
ミュンヘンのワッカーケミーAGから商標名エラストジル(登録商標)RT 601 A/Bで市販されている2成分シリコーンが比較としての役割を果たす。A成分のB成分に対する混合比は9:1である(重量による。)。混合物を5ミリバールの圧力にて2分間脱気し、続いて、事前に内表面が水性離型剤(ワッカーケミーAG、ミュンヘンにより商標名エラストジル(登録商標)AUX FORMTRENNMITTEL 32で市販)によって処理された寸法200mm×300mm×2mmの凹部を有するステンレス鋼金型(表面:高光沢、研磨)に注入する。混合物を室温にて24時間加硫させて、シリコーンエラストマーシートを金型から取り外して、標準条件(23℃、50%雰囲気相対湿度)下でさらに7日間調整を行う。これにより中程度の硬度の高透明エラストマー性加硫物が得られる。この封止組成物の代表的な使用分野は、例えば積層ガラスおよび光学機械構造の分野である。
【0144】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0145】
[比較例2](C2)
ミュンヘンのワッカーケミーAGから商標名エラストジル(登録商標)RT 604 A/Bで市販されている2成分シリコーンが比較としての役割を果たす。A成分のB成分に対する混合比は9:1である(重量による。)。混合物を5ミリバールの圧力にて2分間脱気し、続いて、事前に内表面が水性離型剤(ワッカーケミーAG、ミュンヘンにより商標名エラストジル(登録商標)AUX FORMTRENNMITTEL 32で市販)によって処理された寸法200mm×300mm×2mmの凹部を有するステンレス鋼金型(表面:高光沢、研磨)に注入する。混合物を室温にて24時間加硫させて、シリコーンエラストマーシートを金型から取り外して、標準条件(23℃、50%雰囲気相対湿度)下でさらに7日間調整を行う。これにより低硬度の高透明エラストマー性加硫物が得られる。この封止組成物の代表的な使用分野は、例えば積層ガラスおよび光学機械構造の分野、ならびに光起電モジュールの積層および封止の分野でもある。
【0146】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0147】
[実施例1]
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂49.85gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン49.85gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物99.7gを、1重量%のPt含有率を有し、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する触媒溶液0.3gと混合する。
【0148】
B成分の製造
1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン32.3gを、1000mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン61.25g、1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー6.1gならびに同じく1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させたエチニルシクロヘキサノールより成る抑制剤溶液0.15gおよびジビニルテトラメチルジシロキサン0.2gと混合する。
【0149】
成分AおよびBを1:1(重量による。)のA成分のB成分に対する混合比で相互に混合する。混合物を5ミリバールの圧力にて2分間脱気し、続いて、事前に内表面が水性離型剤(ワッカーケミーAG、ミュンヘンにより商標名エラストジル(登録商標)AUX FORMTRENNMITTEL 32で市販)によって処理された寸法200mm×300mm×2mmの凹部を有するステンレス鋼金型(表面:高光沢、研磨)に注入する。混合物を室温にて24時間加硫させて、シリコーンエラストマーシートを金型から取り外して、標準条件(23℃、50%雰囲気相対湿度)下でさらに7日間調整を行う。
【0150】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0151】
[実施例2]
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂26.85gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン26.85gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物53.7gを、ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のMQモル比を有するMQ樹脂23gならびに1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン23gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物46.0gならびに同じく1重量%のPt含有率を有し、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する触媒溶液0.3gと混合する。
【0152】
B成分の製造
100000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン4.45gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン27.81g、1000mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン61.3g、1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー6.1gならびに同じく1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させたエチニルシクロヘキサノールより成る抑制剤溶液0.14gおよびジビニルテトラメチルジシロキサン0.2gと混合する。
【0153】
成分AおよびBを1:1(重量による。)のA成分のB成分に対する混合比で相互に混合して、次に実施例1で記載されたように加硫する。
【0154】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0155】
[実施例3]
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂30.85gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン30.85gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物61.7gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン30.25gおよびジビニルテトラメチルジシロキサン0.07gと混合する。次に3.5mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン4.35g、続いて1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー3.63gを撹拌しながら添加して、混合物を均一にする。
【0156】
B成分の製造
1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン99.5gを、1重量%のPt含有率を有し、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する触媒溶液0.5gと混合する。
【0157】
成分AおよびBを相互に混合して、A成分のB成分に対する混合比は9:1(重量による。)であり、次に実施例1で記載されたように加硫する。
【0158】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0159】
[実施例4]
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂26.38gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン26.37gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物52.75gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン24.25gおよびジビニルテトラメチルジシロキサン0.05gと混合する。次に60mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン19.6gおよび同じく1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー3.35gを撹拌しながら添加して、混合物を均一にする。
【0160】
B成分の製造
1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン99.5gを、1重量%のPt含有率を有し、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する、触媒溶液0.5gと混合する。
【0161】
成分AおよびBを9:1(重量による。)のA成分のB成分に対する混合比で相互に混合して、次に実施例1で記載したように加硫する。
【0162】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0163】
[実施例5]
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂39.9gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン39.9gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物79.8gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1gおよび同じく1重量%のPt含有率を有し(while)、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する触媒溶液0.1gと混合する。
【0164】
B成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂11.05gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン11.05gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物22.10gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン48.2gと混合する。60mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン6.3g、1000mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン15.8gおよび同じく1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー7.6gを続いて添加して、混合物を均一にする。
【0165】
成分AおよびBは、1:1(重量による。)のA成分:B成分の混合比で相互に混合され、次に実施例1で記載したように加硫する。
【0166】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0167】
[実施例6]
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(粘度:20000mPas/25℃)38.19gならびに300m/gのBET比表面積および3.9から4.2重量%の炭素含有率を有する疎水性焼成シリカ(ワッカーケミーAG、ミュンヘンから商標名「HDK(登録商標)H30」で市販)16.36gより成る塩基性組成物54.55gならびに同じくビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂13.64gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン13.63gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物27.27gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン17.53g、ジビニルテトラメチルジシロキサン0.55gおよび1重量%のPt含有率を有し、1000mPas(25℃)の粘度を有するシリコーンポリマービニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する触媒溶液0.11gと撹拌しながら混合する。
【0168】
B成分の製造
ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(粘度:1000mPas/25℃)24.55g、水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(粘度:1000mPas/25℃)15gならびに300m/gのBET比表面積および3.9から4.2重量%の炭素含有率を有する疎水性焼成シリカ(ワッカーケミーAG、ミュンヘンから商標名「HDK(登録商標)H30」で市販)15gより成る塩基性組成物54.55gを、ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂13.64gおよび20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン13.63gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物27.27gと混合して、均一な化合物を得る。75mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン10.91gおよび3.5mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン3.64gを撹拌しながら添加する。最後に、1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー3.64gを添加して、混合物を再度十分に均一にする。
【0169】
成分AおよびBを相互に混合して、A成分のB成分に対する混合比は1:1(重量による。)であり、次に実施例1で記載したように加硫する。
【0170】
材料特性の結果は、表1および2に見出すことができる。
【0171】
【表1】
【0172】
【表2】
【0173】
[実施例7]
定性的接着
実施例の上記の組成物を、それぞれの場合で示されたA成分のB成分に対する混合比で相互に混合し、短時間排気して(1分、5ミリバール)、封入されたいずれの空気も除去する。このように得られた反応性混合物を表3で示された基材にドクターブレードによって厚さ約0.5mmで塗布して、室温にて加硫させ、示された時間(室温および50%相対湿度にて維持)の後に剥離することによって、接着および層間剥離傾向について定性的に試験を行う。この目的のために、シリコーンエラストマーと基材との間に可能な限り基材表面の付近を通る深さ約1cmの切れ目をナイフで入れる。次にスパチュラを基材表面とシリコーンエラストマーの切れ目部分との間に押し付け、基材に接着している加硫物をはぎ落とし、次にスパチュラによって試験を行い、接着の品質を決定する;加えて、破断の性質を定量的に評価する(凝集破壊または凝集破断)。
【0174】
【表3】
【0175】
[実施例8]
定量的接着
実施例の上記の組成物を、それぞれの場合で示されたA成分のB成分に対する混合比で相互に混合し、短時間排気して(2分、5ミリバール)、封入されたいずれの空気も除去する。このように得られた反応性混合物を次に別個のガラス板(窓ガラス、70mm×90mm×3.0mm)に、直径約15から20mmを有する円形スポットが得られるような方法でただちに塗布する。続いて、接着結合される端面がプライマー(ワッカーケミーAG、ミュンヘンによるワッカー(登録商標)GRUNDIERUNG G790という名称で入手可能)によって事前処理した小型アルミニウム立方体(辺長:10mm×10mm×10mm)を、スペーサーを用いてこの上に0.5mmまで正確に置き、ガラスと立方体との間のスペースを架橋性組成物で完全に満たし、組立体を室温にて7日加硫させる。
【0176】
接着の定量的測定は、テクスチャーアナライザ(モデル:TA HDiテクスチャーアナライザ、ステーブル・マイクロ・システムズ、ゴダルマイニング、英国)によって行う。この目的のために、アルミニウム立方体をガラス板から規定の引き離し速度(2mm/秒)にて引き離し、アルミニウム/シリコーン/ガラス複合材を分離するために必要とされる力を測定する。加えて、破断表面を定性的に目視検査した(シリコーン中の凝集破断または接着結合された表面の1つにおける接着破壊)。結果を表4に示す。
【0177】
【表4】
【0178】
[実施例9]
ガラス−ガラス複合材の引張剪断強度
引張剪断強度をDIN EN 1465に基づく方法によって測定する。使用した試験片は、平行にスペーサーによって0.5mmの間隔にて固定されるように接合された2枚のガラス板(窓ガラス、85mm×25mm×3.8mm)より成り、2枚のガラス板の間に300mmの接着面積を得るために12mmの重複を有する。
【0179】
実施例の上記の組成物を、それぞれの場合で示されたA成分のB成分に対する混合比で相互に混合し、短時間排気して(2分、5ミリバール)、封入されたいずれの空気も除去する。このように得られた反応性混合物を続いて、空気が含まれるのを防止しながら、ピペットによって2枚のガラス板の間の中間スペース中に導入する。
【0180】
実施例6におけるこの手順の変更形態として、反応混合物を最初に2枚のガラス板の一方の片面に塗布して、次にスペーサーの適用後に、空気が一切含まれるのを防止しながら、中間スペースが完全に充填されるように第2のガラス板に接合する。
【0181】
組立体を室温にて3日加硫させて、示された時間の後、試験片の定性的な試験を行い、引張剪断強度を決定する(ツウィックUPM 144503引張試験機、試験スピード:10mm/分)。結果を表5に示す。実施例1から6の組成物は例外なく凝集破壊を呈するが、比較例1および2の場合の測定によって全面積にわたって接着破壊が生じた。
【0182】
[実施例10]
ガラス−アルミニウム複合材の引張剪断強度
実施例9に記載した手順を、2枚のガラス板の一方を同じサイズのアルミニウム板(しかし厚さはわずか1.5mm)で置き換えるという変更形態によって繰り返す。結果を表5に示す。実施例1から6の組成物は例外なく凝集破壊を呈するが、比較例1および2の場合の測定によって全面積にわたって接着破壊が生じた。
【0183】
【表5】
【0184】
[実施例11]
太陽電池の封止
A成分の製造
ビニルジメチルシロキシ基によって部分官能化され、0.65mmol/gのビニル含有量、約5300g/molの重量平均分子量Mおよび42:58のM/Qモル比を有するMQ樹脂34.67gならびに20000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン34.67gより成るシリコーン樹脂ベース塩基性組成物69.34gを、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン30.52g、ジビニルテトラメチルジシロキサン0.08gおよび同じく1重量%のPt含有率を有し、1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンに溶解させた白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を含有する触媒溶液0.06gと混合する。
【0185】
B成分の製造
1000mPas(25℃)の粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン15.88gを、1000mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン46.36gおよび60mPas(25℃)の粘度を有する水素ジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン34.33gと混合する。1:3のモル比のジメチルシロキシ単位およびメチル水素シロキシ単位より成り、40mPasの粘度および1.1%のSi−H含有率を有するトリメチルシロキシ−エンドキャップコポリマー3.43gを添加して、混合物を均一にする。
【0186】
上述の組成物を1:1の混合比で混合し、短時間排気して(5分、15ミリバール)、封入されたいずれの空気も除去する。このように得られた反応性混合物を次に、寸法15cm×15cmおよび厚さ0.4cmを有する、例えばインターフロートコーポレーション、Liechtensteinより商標名AFG Solatexで入手できるような低鉄板ガラス上に注ぎ、ドクターブレードによってガラス表面全体に慎重に分布させる。次に多結晶ケイ素で構成され、寸法10cm×10cmを有する市販の配線済み太陽電池をまだ未加硫のシリコーン層中に、封入されたいずれの空気も完全に排出され、太陽電池全体がシリコーンによって完全に包囲されるような方法で、ただちに慎重に配置する。次に追加の反応性混合物を太陽電池表面上に注ぎ、ドクターブレードによって分布させて、さらなるプレートを重ねるときに封入されたいずれの空気も完全に排出できるように注意しながら、さらなる低鉄板ガラスの板(上の通りの寸法)を上に配置する。続いて、サンドイッチ体を500gの荷重下で室温にて1日加硫させた。続いて、太陽電池積層体によって生じた電流の比較測定を行った。
純太陽電池(100cm):100%
太陽電池+低鉄ガラス:95%
太陽電池+シリコーン層+低鉄ガラス:94%
【0187】
このように得られた太陽電池は、亀裂または破断なしに、シリコーンによってガラス板に接合された。ガラス、シリコーンおよび太陽電池の複合材は、完全に透明で(シリコーン層の透明度:約99%)、気泡がなく、高い強度であった。
【0188】
[実施例12]
2個の光学ガラス体の接合
2個のガラスロッド(およそ長さ:100mm、直径:20mm)の端面を、特殊ホルダーによって1mmの間隔で平行にした。
【0189】
実施例の上記の組成物を、それぞれの場合で示されたA成分のB成分に対する混合比で相互に混合し、短時間排気して(1分、5ミリバール)、封入されたいずれの空気も除去する。このように得られた反応性混合物を続いて、空気が含まれるのを防止しながら、ピペットによってガラスロッドの端面の間の中間スペース中に導入する(毛管作用によって、完全な湿潤および空隙の完全な充填がもたらされる。)。
【0190】
本手順の変形形態において、実施例6に記載した組成物に相当する反応性混合物を、接合される2個のガラスロッドの一方の端面に最初に塗布して、この後にのみ、第2のガラスロッドに1mmの平行間隔で一切の空気の包含を避けながら接合させる。
【0191】
組成物の加硫後(室温にて7日)、接着結合させたガラスロッドを分離する試みを行う。結果を表6に示す。
【0192】
【表6】