特許第5980816号(P5980816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980816
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】口腔ケア装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20160818BHJP
   A61C 17/02 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61C17/00 T
   A61C17/02 J
   A61C17/02 H
【請求項の数】13
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-551284(P2013-551284)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-511199(P2014-511199A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】US2012022326
(87)【国際公開番号】WO2012103066
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2015年1月22日
(31)【優先権主張番号】61/435,862
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/353,487
(32)【優先日】2012年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506105814
【氏名又は名称】ジヨンソン・アンド・ジヨンソン・コンシユーマー・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マクドナウ・ジャスティン・イー
(72)【発明者】
【氏名】フシ・ザ・セカンド・ロバート・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】フゼア・リチャード・ジェイ
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/097709(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0208898(US,A1)
【文献】 米国特許第03840992(US,A)
【文献】 実開平06−064522(JP,U)
【文献】 特開昭59−151952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/00 − A61C17/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の口腔に有益効果を提供するためのシステムであって、
該口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段であって、該流体が該有益効果をもたらすのに有効である、手段と、
該口腔の該複数の表面上に該流体を方向付けるための該手段に、該流体を提供するために好適であり、細長い形状を有する手持ち式装置であって、
該複数の表面にわたって該流体の往復運動を提供するための手段と、
該流体の該往復運動を制御するための手段と、
該システムを通過して該流体を移送するための手段と、
該流体を収容するリザーバと、
該流体の該往復運動を提供するための該手段を駆動するための手段と、
該システムを駆動するためのリニアモーターと、を備える、手持ち式装置と、を含み、
該流体の該往復運動を提供するための該手段は、流体を収容するシリンダー、及び、該シリンダー内で往復運動するピストンを有し、
前記リザーバは、前記シリンダーに流体を供給し、前記手持ち式装置のハウジング内に配置され、前記手持ち式装置の長手方向において、該流体の該往復運動を提供するための該手段と同一の位置に、且つ、前記手持ち式装置の長手方向に対し直交方向において、該流体の該往復運動を提供するための該手段に隣接する位置に、配置される、システム。
【請求項2】
前記制御手段が、前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段へ、また、その前記手段から前記流体を移送するための手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段に、前記手持ち式装置を取り付けるための手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の表面にわたって前記流体の往復運動を提供するための前記手段、前記流体の前記往復運動を制御するための前記手段、前記システムを通過して前記流体を移送するための前記手段、前記流体を収容する前記リザーバ、前記流体の前記往復運動を提供するための前記手段を駆動するための前記手段、及び前記システムを駆動するための前記リニアモーターが、ハウジング内に収容される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記手持ち式装置に取り外し可能に又は固定して取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記ハウジングに取り外し可能に又は固定して取り付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段に、該流体を提供するために好適であり、細長い形状を有する手持ち式装置であって、該流体が該口腔に有益効果を提供するのに有効であり、
該複数の表面にわたって該流体の往復運動を提供するための手段と、
該流体の該往復運動を制御するための手段と、
手持ち式装置を通過して該流体を移送するための手段と、
該流体を収容するリザーバと、
該流体の該往復運動を提供するための該手段を駆動するための手段と、
該装置を駆動するためのリニアモーターと、を含み、
該流体の該往復運動を提供するための該手段は、流体を収容するシリンダー、及び、該シリンダー内で往復運動するピストンを有し、
前記リザーバは、前記シリンダーに流体を供給し、前記手持ち式装置のハウジング内に配置され、前記手持ち式装置の長手方向において、該流体の該往復運動を提供するための該手段と同一の位置に、且つ、前記手持ち式装置の長手方向に対し直交方向において、該流体の該往復運動を提供するための該手段に隣接する位置に、配置される、手持ち式装置。
【請求項8】
前記制御手段が、前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段へ、また、その前記手段から前記流体を移送するための手段を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段に、前記手持ち式装置を取り付けるための手段を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の表面にわたって前記流体の往復運動を提供するための前記手段、前記流体の前記往復運動を制御するための前記手段、前記手持ち式装置を通過して前記流体を移送するための前記手段、前記流体を収容する前記リザーバ、前記流体の前記往復運動を提供するための前記手段を駆動するための前記手段、及び前記装置を駆動するための前記リニアモーターが、ハウジング内に収容される、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記手持ち式装置に取り外し可能に又は固定して取り付けられる、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記ハウジングに取り外し可能に又は固定して取り付けられる、請求項10に記載の装置
【請求項13】
前記リニアモーターを複数含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本出願は、2011年1月25日に出願された、米国仮特許出願第61/435,862号の利益を主張し、この完全な開示は、全ての目的のために本明細書に参考として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、哺乳類の口腔に有益効果を提供するために使用するのに好適な家庭用用途の口腔ケア装置及びシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
定期的な専門家による歯科検診に加え、日常的な口腔衛生が一般的に、歯周病、歯肉炎及び/又は虫歯の発現、進行及び/又は悪化に対する効果的な予防措置として認識されている。しかし残念なことに、十分な歯磨きやデンタルフロスの実施を行っている最も注意深い個人でさえも、多くの場合、歯茎の奥及び/又は歯間深くの食物微粒子、歯垢又はバイオフィルムに届き、緩めかつ除去することができていない。ほとんどの個人は、歯石(tarter)堆積物を除去するために、半年ごとに専門家による歯の洗浄を受ける。
【0004】
長年にわたり、単純な歯の家庭洗浄を促進するために、製品が考案されてきたが、使用が簡単でかつ歯及び/又は歯肉若しくは歯肉縁下部の全ての表面を同時に洗浄するための単一の装置は未だ入手可能でない。従来的な歯ブラシは広範に使用されているがこれは、効果的であるためには多大な労力を投じることを必要とし、更に従来の歯ブラシは隣接歯間領域を十分に洗浄することができない。歯間領域の洗浄は現在、歯ブラシ以外に、フロス、楊枝、又はいくつかのそのような他の追加的な装置を必要とする。
【0005】
電気歯ブラシは非常な人気を博しており、これらは歯ブラシを使用するために必要な労力の投入を低減するものの、これらは依然として適切な隣接歯間の洗浄を確実にするためには不十分である。口腔イリガートルは、歯の間の隣接歯間領域を洗浄するものとして既知である。しかしながら、このような装置は、細片を除去するために、関連する正確な歯間領域に向けられなくてはならない単一の噴出口を有する。ウォーターポンプ式洗浄機はそのため、典型的には、大きな食物微粒子をそこに捉えるブレースを有する歯に関してのみ、有意義である。細片及び歯垢の両方が歯から除去されるべき場合においては、現在、多くの装置が組み合わせて使用されなくてはならず、これは非常に時間がかかり、不便であることが理解される。
【0006】
加えて、このような実施及び装置が効果的であるためには、消費者が技術及び/又は指示を高度に遵守することが要求される。時間、洗浄/処理方式、技術等のユーザー間における違いは、歯の洗浄に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、既存の口腔衛生装置及び方法を用いて上記の不利点の1つ以上を改善するか、又は少なくとも既知の技術よりも有利な代替技術を市場にもたらし、かつまた有害な状態を改善するか、若しくは口腔の美的外観を改善するために使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、哺乳類の口腔に有益効果を提供するためのシステムを含み、このシステムは、口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段であって、流体が有益効果をもたらすのに有効である、手段と、口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段に、流体を提供するために好適な手持ち式装置と、を含む。本発明はまた、手持ち式装置も含む。手持ち式装置は、複数の表面にわたって流体の往復運動を提供するための手段と、流体の往復運動を制御するための手段と、システムを通過して流体を移送するための手段と、流体を収容するリザーバと、流体の往復運動を提供するための手段を駆動するための電源と、装置及びシステムを駆動するためのリニアモーターと、を含む。流体を方向付けるための手段を、手持ち式装置、又は手持ち式装置の要素を収容するハウジングに、取り外し可能に又は固定して取り付けてよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による装置の代替実施形態の概略図。
図2】本発明による適用トレーの、第1実施形態の上面前方斜視図。
図3図2の適用トレーの実施形態の底面後方斜視図。
図4図2の適用トレーの垂直断面図。
図5図2の適用トレーの水平断面図。
図6】本発明による適用トレーの第2実施形態の、上面後方斜視図。
図7図6の適用トレーの実施形態の上面前方斜視図。
図8図6の適用トレーの平面図。
図9図6の適用トレーの切り欠き図。
図10a】本発明によるシステムの実施形態の後方上面斜視図。
図10b図10aのシステムの前方上面斜視図。
図10c】基部ステーションに取り付けられた基部ステーション流体リザーバを有する、図10aのシステムの後方上面斜視図。
図10d】基部ステーションに取り付けられた基部ステーション流体リザーバを有する、図10aのシステムの前方上面斜視図。
図11a】本発明によるハンドピースの実施形態の上面斜視図。
図11b図11aのハンドピースの切り欠き図。
図12a】本発明によるハンドピースの第2実施形態の後方上面斜視図。
図12b図12aのハンドピースの切り欠き図。
図12c図12aのハンドピースの分解図。
図12d図12aのハンドピースの上方区分の後方上面分解図。
図12e図12aのハンドピースの上方区分の後方底面分解図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語「流体の往復移動」及び「流体の往復運動」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書において使用するとき、双方の用語とも、哺乳類の口腔表面にわたって、第1の流れ方向から第1の流れ方向と反対の第2の流れ方向へと、流体の流れ方向を前後に変更することを意味する。
【0011】
「有効な密着又は封止」とは、口腔内の複数の表面上に、又は表面の周りに、流体を方向付けるための手段、例えば、適用トレーとの間の封止のレベルが、使用中の、そのトレーから口腔内への流体の漏出の量が十分に低いものであることにより、使用される流体の量が低減されるか、又は最小限に抑えられ、かつユーザーの快適性が維持される、例えば、窒息又は嘔吐が回避されるようなものであることを意味する。制限を意図しないが、嘔吐とは、軟口蓋、咽頭壁、扁桃領域又は舌の付け根の刺激によって生じる咽喉の奥の反射的な(すなわち、意図的な運動ではない)筋肉収縮であり、異物が咽頭及び気管に侵入することを防ごうとする防御運動を意図するものとして理解される。嘔吐運動は個人によってばらつきがある(例えば、口のどの領域がこれを刺激するか)。嘔吐の身体的な原因に加え、嘔吐に対する心理的要素が存在し得る(例えば、窒息に対する恐怖がある人々は、口内に何かが入ると容易に嘔吐し得る)。
【0012】
本明細書で使用するとき、「流体を移送するための手段」とは、それを通じて、流体が、本発明によるシステム及び装置の全体にわたって移行するか、又は輸送されることが可能な構造を含み、経路、導管、管、ポート、ポータル、チャネル、ルーメン、パイプ、及びマニホールドが挙げられるが、これらに限定されない。流体を移送するためのこのような手段は、流体の往復運動を提供する装置及び口腔表面上及びその周囲に流体を方向付けるための手段に使用され得る。このような移送手段はまた、流体を収容するためのリザーバから、方向付け手段に流体を提供し、かつ往復運動手段に流体を提供する(リザーバが往復運動手段を収納する手持ち式装置内に収容されていても又は基部ユニットに収容されていても)。この移送手段はまた、基部ユニットから、手持ち式装置内部に収容される流体リザーバにも、流体を提供する。本明細書に記載される発明は、例えば、ヒトなどの哺乳類の口腔に有益効果を提供するために有用な装置及びシステムを含む。
【0013】
方法は、口腔の複数の表面を、所望の有益効果を口腔に提供するために有効な流体と接触させることを含む。そのような方法では、口腔の複数の表面にわたる流体の往復運動が、所望の有益効果を口腔に提供するために有効な条件下で提供される。複数の表面の、流体との接触は、実質的に同時に遂行することができる。実質的に同時とは、口腔の複数の表面の全てが、流体によって必ずしも同時に接触されるわけではないが、それらの表面の大部分が、同時に、又は短期間のうちに接触して、全ての表面が同時に接触する場合の効果と同様の、全体的効果を提供することを意味する。
【0014】
口腔内に所望の有益効果を提供するための条件は、求められる特定の環境、状況及び効果によって変化し得る。それらの種々の変数は、それらが、流体の特定の速度を生じさせるという点で、相互依存的である。速度要件は、いくつかの実施形態における配合の関数であり得る。例えば、速度、添加物(例えば、研磨剤、ずり減粘剤など)、及び配合物の一般的な流量特性の変化により、同じレベルの有効性を生成するための噴出口の速度要件は変化し得る。求められる特定の有益効果を達成するための適切な条件を提供するために検討され得る要因としては、非限定的に、流体蒸気の速度及び/又は流量及び/又は圧力、流体の脈動、流体のスプレー形状又はスプレーパターン、流体の温度及び流体の往復運動周期の周波数が挙げられる。
【0015】
流体圧力、すなわち、噴出口を通じて出る前のマニホールド圧力は、約3.4kPa(0.5psi)〜約206.8kPa(30psi)、又は約20.7〜約103.4kPa(約3〜約15psi)、又は約34.5kPa(5psi)であり得る。流体の流量は、約10mL/s〜約60mL/s、又は約20mL/s〜約40mL/sであり得る。より大きくかつより高品質の噴出は、所与の圧力/速度においてより高い流量を必要とすることに留意すべきである。パルス周波数(パルス長さ及び供給量(mL/パルス))は、約0.5Hz〜約50Hz、又は約5Hz〜約25Hzであり得る。供給パルスデューティーサイクルは、約10%〜100%、又は約40%〜約60%であり得る。100%ではパルスは存在しないが、代わりに、連続的な流体の流れが存在することに留意されたい。供給パルス容積(全ての噴出口/ノズルを通じた合計容積)は、約0.2mL〜約120mL、又は約0.5mL〜約15mLであり得る。噴出されるパルスの速度は、約4cm/s〜約400cm/s、又は約20cm/s〜約406.4cm/s(160インチ/s)であり得る。真空デューティーサイクルは、約10%〜100%、又は約50%〜100%であり得る。真空は常に100%であることに留意する。容量供給と真空比率は、約2:1〜約1:20、又は約1:1〜1:10であり得る。
【0016】
本開示の利益を一度有すると、当業者は、特定の状況及び求められる所望の利益によって、様々な要因が調節及び選択され得ることを認識する。
【0017】
流体は、求められる有益効果を提供するために有効な少なくとも1つの成分又は薬剤を、口腔表面と接触したときに有益効果を提供するために有効な量で含む。例えば、この流体は、限定するものではないが、洗浄剤、抗菌剤、石灰化剤、減感剤、界面活性剤、及び白化剤からなる群から選択される成分を含み得る。いくつかの実施形態において、2種類以上の流体が単一の期間に使用され得る。例えば、洗浄溶液が口腔に適用され得、その後、例えば、白化剤又は抗菌剤を含有する第2溶液が続く。溶液はまた、単一の適用によって2種類以上の利益を達成するために複数の薬剤を含み得る。例えば、以下で更に記載されるように、溶液は洗浄剤及び有害な状態を改善するための薬剤の両方を含み得る。加えて、口腔に2つ以上の有益効果を提供するために、単一の溶液が有効であり得る。例えば、溶液は口腔を洗浄し、抗菌剤として作用するか、又は口腔を洗浄し、歯を白化する単一の薬剤を含み得る。
【0018】
口腔の美的外観を改善するために有用な流体は、口腔内で歯を白化するための、白化剤を含み得る。このような白化剤としては、非限定的に、過酸化水素及び過酸化カルバミド、又は歯に適用される際に過酸化水素水を生成し得る他の薬剤が挙げられる。このような薬剤は、リンス、歯磨き粉及び白化ストリップなどの口腔ケア白化製品に関連する分野において周知である。他の白化剤としては、シリカ、重炭酸ナトリウム、アルミナ、アパタイト及びバイオグラスなどの研磨剤を含み得る。
【0019】
研磨剤は歯を洗浄及び/又は白化するように作用し得る一方で、いくつかの研磨剤はまた、エナメルの欠損及び歯の小管の露出により生じる歯の過敏症を改善するように作用し得る。例えば、バイオグラスなどのいくつかの物質の粒径(例えば、直径)は、露出した小管を遮蔽し、したがって歯の感度を低減するために有効であり得る。
【0020】
一部の実施形態では、流体は、3〜6個の炭素原子を有するアルコールを含有する、抗菌組成物を含み得る。この流体は、抗菌口内洗浄組成物、特に、低減されたエタノール含有量を有するか、又は実質的にエタノールを含まずに、歯垢、歯肉疾患、及び口臭の防止に高いレベルの有効性を提供するものとすることができる。3〜6個の炭素原子を有するアルコールは、脂肪族アルコールであることに留意する。3つの炭素を有する特定の脂肪族アルコールは、1−プロパノールである。
【0021】
一実施形態において、流体は、(a)抗菌有効量のチモール及び1つ以上の他の精油、(b)約0.01%〜約70.0% v/v、約0.1%〜約30% v/v、約0.1%〜約10% v/v、又は約0.2%〜約8% v/vの、3〜6個の炭素原子を有するアルコール、及び(c)ビヒクルを含む、抗菌組成物を含み得る。アルコールは1−プロパノールであり得る。流体ビヒクルは、水性又は非水性とすることができ、組成物に特定の稠度を提供するための、増粘剤又はゲル化剤を含み得る。水及び水/エタノール混合物は、好ましいビヒクルである。
【0022】
流体の別の実施形態は、(a)抗菌有効量の抗菌剤、(b)約0.01%〜約70% v/v、約0.1%〜約30% v/v、又は約0.2%〜約8% v/vのプロパノール、及び(c)ビヒクルを含む、抗菌組成物である。本実施形態の抗菌組成物は、従来技術のエタノールシステムと比較して意外な優れた供給システムを呈する。利用され得る代表的な抗菌剤としては、非限定的に、精油、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、ヘキセチジン、キトサン、トリクロサン、臭化ドミフェン、フッ化第一スズ、可溶性ピロリン酸塩、酸化亜鉛が挙げられるがこれに限定されない酸化金属、ペパーミント油、セージ油、血根草、二カルシウム水和物、アロエ、ポリオール、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及びクエン酸亜鉛などが挙げられるがこれに限定されない金属塩などが挙げられる。本実施形態の特に好ましい態様は、例えば、約30% v/v以下、約10% v/v以下、又は約3% v/vの1−プロパノールを有する口腔洗浄剤などの、抗菌口腔組成物を対象とする。
【0023】
流体の更に別の実施形態は、(a)抗菌有効量のチモール及び1種類以上の他の精油、(b)約0.01〜約30.0% v/v、約0.1%〜約10% v/v、又は約0.2%〜約8% v/vの、3〜6個の炭素原子を有するアルコール、(c)約25% v/v以下の量のエタノール、(d)少なくとも1種類の界面活性剤、及び(e)水を含む、エタノールが低減された抗菌口内洗浄組成物である。好ましくは、エタノール及び3〜6個の炭素原子を有するアルコールの合計濃度は、30% v/v以下、25% v/v以下、又は22% v/v以下である。
【0024】
別の実施形態において流体は、(a)抗菌有効量のチモール及び1つ以上の他の精油、(b)約0.01〜約30.0% v/v、約0.1%〜約10% v/v、又は約0.2%〜約8% の3〜6個の炭素原子を有するアルコール、(c)少なくとも1種類の界面活性剤、並びに(d)水を含む、エタノールを含まない抗菌口腔洗浄組成物である。
【0025】
3〜6個の炭素原子を有するアルコールは好ましくは、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、第三級ブタノール及び対応するジオールから選択される。1−プロパノール及び2−プロパノールが好ましく、1−プロパノールが最も好ましい。
【0026】
例えば、歯垢の形成、食物微粒子、バイオフィルムなどの除去又は分解など、洗浄によって口腔の口内衛生を一般的に改善することに加えて、本発明は口腔内の有害な状態を改善し、口腔の美的外観を改善する(例えば、歯の白化)ために有用である。有害な状態としては、非限定的に、虫歯、歯肉炎、炎症、歯周病と関連する症状、口臭、歯の感度及び菌感染などが挙げられる。流体自体は様々な形態であり得るが、ただしこれらは本発明の装置及び方法の使用に好適な流動特性を有する。例えば、流体は、溶液、エマルション及び分散液からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、流体は流体相(例えば、水相)中に分散した微粒子(例えば、研磨剤)を含み得る。このような場合において、研磨剤は、口腔表面に適用されるために、水相中に実質的に均一に分散する。他の実施形態において、水中油型又は油中水型エマルションが使用され得る。そのような場合には、流体は、連続的な水相内部で実質的に均一に分散する非連続的な油相、又は連続的な油相内部で実質的に均一に分散する非連続的な水相を、それぞれの場合に応じて含む。更に他の実施形態において、流体は、薬剤がキャリア中に溶解しているか又はキャリア自体が所望の有益効果を提供するための薬剤とみなされ得る(例えば、通常内部に他の薬剤が溶解しているアルコール又はアルコール/水混合物)溶液であり得る。
【0027】
本発明は、家庭用用途に好適であり、歯及び/又は歯肉領域の複数の表面上に流体を方向付けるように適合された装置、例えば、口腔衛生装置、例えば、歯洗浄装置を含む。いくつかの実施形態では、口腔表面は、流体によって実質的に同時に接触される。本明細書において使用するとき、歯肉領域への言及は、非限定的に歯肉縁下部ポケットへの言及を含む。口腔の洗浄及び/若しくは美的外観の全般的な改善、並びに/又は歯及び/若しくは歯肉領域の有害な状態の改善を提供するために有効な条件下で、適切な流体が、往復作用で歯及び/又は歯肉領域の複数の表面上に、実質的に同時に方向付けられることにより、歯及び/又は歯肉領域の口腔衛生の全般的な改善が提供される。例えば、1つのそのような装置は、適切な洗浄液を使用して、歯の前面及び裏面、並びに隣接歯間領域にわたって、前後に流体を往復させることにより、洗浄周期を作り出すと共に、使用される洗浄液の量を最小限に抑えることによって、歯及び/又は歯肉領域を洗浄して歯垢を除去する。
【0028】
流体の往復運動を提供する本発明の装置は、流体の往復運動を制御する手段を含む。制御手段は、流体を口腔の複数の表面上に方向付けるための手段へ、また、その手段から流体を移送するための手段を含む。本明細書において以下でより詳細に記載されるように、いくつかの実施形態において、流体の往復運動を提供するための手段は、流体を受容及び排出するための複数のポータル、流体がそれを通じて移送される複数の経路又は導管、及び流体の往復運動を提供するために流体の流れ方向を変えるための手段を含む。制御手段は、論理回路及び/又は機械的に制御された回路によって制御され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、往復運動を提供するための装置は、流体を収容するためのリザーバに、その装置を取り付けるか又は接続するための手段を含み得る。リザーバは装置に取り外し可能に取り付けられ得る。この場合において、リザーバ及び装置は、一方を他方に取り付けるための手段を含み得る。プロセスの完了後、リザーバは廃棄されて別のリザーバと交換されてもよく、又は再充填されて再使用されてもよい。他の実施形態において往復運動する装置は装置と一体のリザーバを含む。本明細書において記載される、装置が基部ユニットに取り付けられ得る実施形態において、リザーバは、装置と一体であっても又は装置に取り外し可能に取り付けられていても、基部ユニットの一部を形成する供給リザーバから充填され得る。基部ユニットが使用される場合、装置及び基部ユニットは一方を他方に取り付けるための手段を含む。
【0030】
装置は、流体を往復させるための手段を駆動するための電源を含む。例えば、電池(再充電可能又は使い捨て)などの電源が、装置内(例えば、装置のハンドル内)に収容され得る。基部ユニットが利用され得る場合、基部は装置に出力を提供するための手段を含み得る。他の実施形態において基部ユニットは、装置内に含まれる再充電可能な電池を再充電するための手段を含み得る。
【0031】
流体の往復運動を提供するための装置は、装置を、口腔の複数の表面に流体を方向付けるための手段(例えば、適用トレー又はマウスピース)に取り付けるための手段を含む。いくつかの実施形態では、この方向付け手段は、口腔の複数の表面の、流体との実質的に同時の接触を提供する。取り付け手段は、マウスピースの装置への取り外し可能な取り付けを提供し得る。いくつかの実施形態において、多数のユーザーが自らのマウスピースを、往復運動手段を含む単一の装置と共に使用し得る。他の実施形態において、取り付け手段はマウスピースに取り外し不可能な取り付けを提供してもよく、よってマウスピースは装置の一体部分である。上述のような往復運動を提供するための装置を、以降で説明するように、他の装置構成要素と共にハウジング内に収容することにより、方向付け手段に流体を提供するために好適な手持ち式装置を提供することができる。
【0032】
口腔の表面上に流体を方向付けるための手段(例えば、適用トレー又はマウスピース)は、複数の構成要素を含む。方向付け手段は、流体を複数の表面に近接するように維持するためのチャンバ(すなわち、流体接触チャンバ(LCC))を含む。「近接して」とは、流体が、表面と接触した状態に維持されることを意味する。LCCは、マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部、並びにマウスピースの前方内側壁部と後方内側壁部との間に延び、これと一体の壁部又は膜、及びいくつかの実施形態においては後方歯肉封止膜によって境界される空間によって画定される。前方及び後方内側壁部と共に、その間に延びる壁部及び後方歯肉封止膜がLCCM(LCCM)を形成する。流体との均一かつ最適な接触を提供するために、歯に適合するマウスピースの配置によって、LCCMの一般的形状は、「U」又は「n」の形状である。LCCMは、特定の方向付け手段によって、可撓性又は剛性であり得る。膜は、LCCMの基底膜として配置され得る。LCCMの前方及び後方内側壁部はそれぞれ、複数の開口部又はスロットを含み、流体がこれらを通じて口腔の複数の表面と接触するように方向付けられる。
【0033】
LCCMの設計は、快適性を提供し、ユーザーの嘔吐反射を最小限に抑えるために、サイズ、形状、厚さ、材料及び歯/歯肉の周囲に作り出される容積、ノズルの設計及び配置(これはマニホールド及び歯肉縁部封止と共に、口腔及び歯と関連する)と関連して、最大有効性のために最適化することができる。上記の組み合わせが、歯及び歯肉領域と流体との有効な接触を提供する。
【0034】
LCCMは、既知の体積を有する、制御され、分離された環境(すなわち、LCC)を提供し、歯及び/又は歯肉領域を流体と接触させ、その後、消費された流体、並びに細片、歯垢などをLCCから、口腔全体を流体、細片等に曝露することなく除去する。これは、流体の摂取の可能性を低減する。LCCMはまた、例えば、十分な洗浄を提供するために著しい流量が必要とされるとき、個別のノズルを引くことなく、流体の流量及び圧力の増加を可能にする。LCCMはまた、必要な場合、流体の量及び流量の低減も可能にするが、これは、口腔全体ではなく、LCC内部の領域のみが流体と接触しているためである。LCCMはまた、歯及び歯肉領域上、これらを通じて、及びこれらの周囲の流体との接触の制御された供給量及び持続時間を可能にし、流体と接触する領域上の流体のより高い濃度を可能にし、それによって流体のより有効な制御及び供給を提供する。
【0035】
LCCMはまた、検出又は診断での使用のための口腔ケア空洞内の、マウスピースの正確な位置決めによる、口腔の制御されたサンプル採取も可能にし得る。また、様々な方法を通じて、歯肉の健康状態の撮影及び/又は診断能も提供できる。本システムはまた、限定するものではないが、舌、頬、歯肉などのような、他の口腔領域を洗浄及び/又は処理するための機能性を拡張する能力も提供する。
【0036】
LCCMの壁部の厚さは、必要な物理的性能特性を提供する一方で含有材料を最小化し性能を最適化するため、0.2mm〜1.5mmの範囲であり得る。LCCMの内側壁部と歯との間の距離は、最大快適性を提供する一方でカスタマイズ及びLCC容積要件を最小化するため、約0.1mm〜約5mmであってもよく、より典型的には、約2.5mmの平均距離である。
【0037】
マウスピースの寸法及び形状は、好ましくは、上の歯及び下の歯の両方のための3つの基本的な自在寸法(小、中、及び大)を利用するが、設計は、個別のユーザーに快適性及び機能性を保証するために必要に応じて、異なるレベルのカスタマイズを可能にする機構を提供する。装置は、これが口の中で正しい位置にあるときのみ動作することを可能にする、スイッチ機構を組み込んでもよい。マウスピースは、口腔の複数の表面と流体との実質的に同時の接触を提供するために、上方区分及び下方区分の両方を含み得る。別の実施形態において、上方区分及び下方区分は、ユーザーの上の歯又は下の歯及び歯肉上で使用され得る単一のブリッジを使用して洗浄され得る(最初に洗浄のために一部分に配置され、その後、洗浄のために他の部分に配置される)。
【0038】
流体が通過して方向付けられる、マウスピースの内側壁部の内部に収容される、本明細書ではスロット、噴出口、又はノズルとも称される開口部の、数及び場所は様々であり、使用の状況及び環境、具体的なユーザー、並びに求められている有益効果に基づいて決定される。開口部の断面形状は、円形、楕円形、台形、又は口腔表面と流体との効果的な接触を提供する他の任意の形状を提供する他の形状であり得る。開口部の場所及び数は、所望の有益効果を提供するために有効な様々な噴霧パターンで、流体の噴出口を方向付けるように設計することができる。開口部直径は、効果的な洗浄、並びに平均噴出速度及び適用範囲を提供するために、約0.1〜約3mm、又は約0.2mm〜約0.8mm、又は約0.5mmであり得る。
【0039】
口腔と流体とが接触する場合、最適な開口部の配置及び方向/角度は、歯間、上部、側部、後部、及び歯肉ポケット表面が挙げられるが、これらに限定されない領域の実質的に全ての歯表面を適用範囲とすることを可能にする。別の実施形態において、開口部は、速度、密度及びファンパターン(完全な円錐、扇型、部分的円錐、噴出)を調節するために、又は配合の検討により、異なる洗浄、適用範囲及びスプレーパターンを提供するために、異なる寸法及び異なる形状であり得る。ノズルはまた、管状に設計されてもよく、及び/又はLCCMから延びて方向付けられたスプレーを提供してもよく、又はホーススプリンクラーシステムと同様に歯にわたって拡張した適用範囲を提供するためにスプリンクラー様の機構として機能してもよい。ノズルは好ましくは、LCCMの内側壁部と一体であり、任意の数のアセンブリ又は当該技術分野において既知の形成技術によって内側壁部内に組み込まれ得る(機械加工、射出成型などを通じて膜内にインサート成型される)。
【0040】
LCCMは、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、又はシリコーンなどのエラストマー材料であってもよく、内側壁部の移動を可能にし、最小限の機械的構造でより大きな噴出適用領域を提供し、最適な性能を達成するための体積流量要件を低減する一方で、歯と直接接触した際に歯を保護するためにより柔軟でより可撓性の材料を提供する。可撓性膜はまた、その歯に適合する能力のために、広範なユーザーにとって許容可能な嵌合具を提供し得る。あるいは、LCCMは、剛性又は半剛性の材料(例えば、限定されないが熱可塑性)で作製され得る。
【0041】
必須ではないが、歯に対する、LCCMの動きを有することが望ましい場合がある、一部の実施形態では、LCCMの動きは、マニホールドを通過する流体の加圧、脈動、及び移動を通じて提供される。代替的実施形態では、この動きは、振動機構、音波機構、又は超音波機構を通じて達成することができる。この動きはまた、LCC内部に構築されるか、又はLCCに取り付けられる、管及び/マニホールドの別個のネットワークを通じて提供することもでき、このネットワークに、流体及び/又は空気を注入又は排出させて、この膜の所望の動きを作り出すことができる。更には、LCCMの動きは、ユーザーの顎又は歯の動きの結果とすることができる。
【0042】
代替的実施形態では、LCCM運動システムはまた、軌道のような誘導往復運動を介して、LCCMを機械的に移動させることも含み得、この軌道は、歯によって作り出される。別の代替的実施形態では、所望のLCCMの動きは、1つ又は複数のリニアモーターシステムを使用することによって作り出すことができ、このシステムは、マウスピース上の戦略的な場所内に配置される、複数の永久磁石/コイルの対を介した、連続的な動きを可能にして、噴出口及び洗浄要素の方向付けに関して、最適化された洗浄及び処理の連続を提供する。更に別の代替的実施形態では、形状記憶材料又は圧電体によって、動きを作り出すことができる。
【0043】
別の実施形態において、LCCMはまた研磨要素、例えば、フィラメント、テクスチャ、磨き要素、添加物(シリカなど)、他の洗浄及び/又は処理要件、加えて限定されないが処理、洗浄、及び配置のために歯とLCCMとの間の最小限の距離を保証するために使用され得る他の形状要素を含む。
【0044】
一部の実施形態では、LCCMは、感知装置及び/又はスイッチを収容することができ、これは、マウスピースが口腔内の歯の上で正しい位置にあるか否かを判定し、そのスイッチ/センサーを通じて、この位置が検証されない限り本装置が起動することを許可しない。また、マウスピースが、使用中に、この位置から移動又は取り除かれた場合にも、機能することを即座に停止させる。オーバーライドスイッチを、適用トレー洗浄中に組み込むことができる。
【0045】
LCCMは、限定されないが、機械加工、射出成型、吹込み成形、押出成形、圧縮成型及び/又は真空成型などの、様々な方法により形成され得る。これはまたマニホールドと共に形成されつつマニホールド回路をLCC内に組み込む及び/又はマニホールド上にオーバーモールドされて最小アセンブリで一体構成を提供し得る。
【0046】
一実施形態において、LCCMは別個に作製されて、その後、接着剤、エポキシ、シリコーン、ヒートシール、超音波溶接、及び熱接着材を含む任意の数の組み立て及び封止技術を使用して、マニホールドに組み立てられてもよい。LCCMは、マニホールドと組み立てた際に、これがいずれの追加的構成要素も用いずに好ましいデュアルマニホールド設計を効果的かつ効率的に形成するような方法で設計される。
【0047】
いくつかの実施形態において、LCCMは、歯肉封止領域を生成するように設計又は使用され得る。いくつかの実施形態において、LCC内に真空が適用されるが、これはマウスピースとの係合を改善して口腔内で歯肉との正の封止を形成する。他の実施形態では、口腔内でLCCMの外側に圧力が適用されるが、これはマウスピースの係合を改善し、口腔内で歯肉との正の封止を形成する。更に別の実施形態において、特定のユーザーに関して口腔内に挿入された際にカスタム再使用可能な弾力的封止を提供するために、最初の使用中にマウスピースの周囲に義歯様接着剤が適用され得る。これはその後、歯肉に対し及び以降の用途において、適合しかつ正の封止を提供するために弾性的に剛性となる。別の実施形態において、封止は適用され及び/又は各使用の後に交換又は処分され得る。
【0048】
方向付け手段はまた、流体を収容し、かつ前方内側壁部の開口部を通じてその流体をLCCに提供するための第1マニホールドと、流体を収容し、かつ後方内側壁部の開口部を通じてその流体をチャンバに提供するための第2マニホールドと、を含む。この設計は、どの操作が行われているかによって、多くの異なる選択肢を提供する。例えば、洗浄動作において、流体噴出をLCC内に、歯に直接、LCCの一方の側部から第1マニホールドから供給し、その後、歯の周囲の流体を、LCCの他方の側部から第2マニホールドへと排出し/引き、制御された歯間、歯肉ライン及び表面の洗浄を提供することが好ましい場合がある。LCCの一方の側部からの流れは、脈動作用で多数回繰り返され得、その後、流れが逆転されて、一定期間及び/又は多数の周期にわたり、第2マニホールドから流体噴出を供給し、歯の裏側を通じて第1マニホールド内へと流体を排出する/引く。このような流体作用は、乱流の、反復可能の及び可逆の流れを生じ、したがって口腔表面付近で流体の往復運動を提供する。
【0049】
処理、前処理、又は後処理の動作では、一方又は双方のマニホールドを通じて、流体を同時に供給してチャンバを充満させ、一定期間歯を浸漬して、次いで設定期間の後に、一方又は双方のマニホールドを通じて、チャンバから排出させることが好ましい場合がある。
【0050】
別の実施形態において、マニホールドは、単一マニホールド設計であり、同じ噴出口の対を通じて同時に流体の押し引きを提供できる、又は任意の数のマニホールド区画であり、流体供給、並びに洗浄及び流体処理剤の除去における更に高い制御を提供できる。複数マニホールドにおいてまた、専用供給及び除去マニホールドを有するように設計され得る。マニホールドはまた、LCCMと一体である及び/又はその内部にあるように設計され得る。
【0051】
マニホールドの材料は、半剛性熱可塑性樹脂であり、これは流体の制御された流れの間に崩壊又は破裂しないために必要な剛性を提供するが、マウスピースの挿入、封止/配置及び除去のためにユーザーの口内にフィットする際に一定の柔軟性を提供する。製作の複雑性、構成要素の数及び金型費用を最小化するため、LCCMと組み合わせる際にデュアルマニホールドが生成される。マニホールドはまた、適合性のある熱可塑性エラストマー(TPE)が挙げられるがこれらに限定されない、より低いジュロ硬度のエラストマー材を使用し、歯/歯肉に、より柔軟な外側の「感触」を提供するために多成分であってもよい。マニホールドは、限定されないが、機械加工、射出成型、吹込み成形、圧縮成型、又は真空成型などの、様々な方法により形成され得る。
【0052】
方向付け手段はまた、流体を第1マニホールドに及びここから移送するための第1ポートと、流体を第2マニホールドに及びここから移送する第2ポートと、口腔内の方向付け手段の効果的な封止(すなわち、歯肉封止)を提供するための手段と、を含む。いくつかの実施形態において、第1ポート及び第2ポートは、第1マニホールド及び第2マニホールドに及びここから流体を移送するように、かつ流体をマウスピースに提供する手段にマウスピースを取り付けるように、機能し得る。他の実施形態において、方向付け手段は、方向付け手段を、流体を方向付け手段に提供するための手段に取り付けるための手段を更に含み得る。
【0053】
図1は、本発明による方法及びシステムの一実施形態の概略図である。この図は、口腔内の流体の往復運動を提供するための手段302、流体リザーバ370、流体供給リザーバ390、並びに口腔内の複数の表面上及び表面の周りに流体を方向付けるための手段(この例では、適用トレー100として示す)を含む構成要素を有する、システム300を示す。流体の往復運動を提供する手段としては、供給装置310、回収装置320、往復式流量制御装置330、管312、322、372、376、及び392、並びに溶液一方向弁314、324、374、378、及び394を含み得る。管332及び334は、往復式流量制御装置330から適用トレー100への流体の移送を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態において供給装置310及び回収装置320は、個別の単動ピストンポンプであり得る。他の実施形態において、供給装置310及び回収装置320は、複動ピストンポンプとして一緒に収容され得る。流体供給リザーバ390及び流体リザーバ370は、ガラス、プラスチック又は金属で作製することができる。流体供給リザーバ390は、システム300と一体であり、かつ再充填可能とすることができる。一部の実施形態では、流体供給リザーバ390は、システム300に取り外し可能に接続される、交換可能な流体供給源とすることができる。
【0055】
一部の実施形態では、流体供給リザーバ390、流体リザーバ370、又は管312、372、392のいずれかが、口腔内の複数の表面への適用のために適用トレー100内に方向付ける前に、流体を予備加熱するための、熱源を含み得る。温度は、使用中にユーザーに快適性を提供するために有効な範囲内に維持されるべきである。
【0056】
適用トレー100は、管332、334、及び他の取り付け手段(図示されない)により、洗浄往復運動手段302と一体であるか又はこれに取り外し可能に接続され得る。
【0057】
流体供給リザーバ390内の流体は、管392を通って、流体リザーバ370に流れる。リザーバ370内の流体は、管372を通って、供給装置310に流れる。管372を通じた流体流量は、一方向弁374によって制御される。供給装置310から、流体は管312を通じて往復式流量制御装置330に流れる。一方向弁314が、管312を通過する流体流を制御する。流体は、流量制御装置330の流れ方向設定によって、管332又は334を通じて往復式流量制御装置330から適用トレー100に流れる。流体は、適用トレー100から、管334又は管332を通って、往復式流量制御装置330に戻り、管322を通って、往復式流量制御装置330から回収装置320に流れる。一方向弁324が、管322を通過する流体流を制御する。最終的に洗浄液は、回収装置320から管376を通じて流体リザーバ370に流れる。一方向弁378が、管376を通過する流体流を制御する。
【0058】
供給装置310及び回収装置320は、論理回路によって制御され、これは往復運動周期を開始するプログラム、往復運動周期を実行するプログラム(すなわち、溶液を口腔の複数の表面の周囲で往復運動させ、それによって口腔に有益効果を提供する)、往復運動周期、及び使用間、又はプリセット若しくは自動洗浄期間にシステムを洗浄するための自己洗浄周期の最後に適用トレー100を内容排出するプログラム含み得る。
【0059】
システム300はまた、例えば、ON/OFF、適用トレー100の充填、洗浄プログラムの実行、システム300の内容排出、及びシステム300の洗浄などのスイッチ、並びに電源投入、充電、周期プログラムの実行、装置内容排出、結果又はフィードバック及び操作中の自己洗浄周期が挙げられるが、これらに限定されないインジケータ又はディスプレイライトを含み得る。適用トレー100への方向付けの前に流体が予備加熱される実施形態において、ディスプレイライトは、流体が使用のために適切な温度にあることを示すために使用され得る。
【0060】
歯を洗浄するためにシステム300を使用する1つの方法は以下である。使用の前に、流体供給チャンバ390内の洗浄液が、管392及び一方向弁394を通って、洗浄液リザーバ370に流れる。一部の実施形態では、流体供給リザーバ390は、ここで、システム300から分離される。
【0061】
第1工程において、ユーザーは適用トレー100を口腔内で歯及び歯肉領域の周囲に位置付ける。ユーザーはトレー100を閉じ、それによって歯肉と、歯とトレー100と、の間の効果的なフィット又は封止を達成する。ユーザーはスタートボタンを押して洗浄プロセスを開始する。洗浄プロセスは以下のとおりである。
1.供給装置310が起動されて、洗浄液リザーバ370から、管372及び一方向弁374を通じて洗浄液を引き込み始める。
2.供給装置310が十分に充填されると、供給装置310が起動されて、管312、一方向弁314、往復式流量制御装置330、及び管332を通じて、適用トレー100に洗浄液を分配し始める。
3.回収装置320が、供給装置310の起動の後に、又はこれと同時に起動されて、適用トレー100から、管334、往復式流量制御装置330、管322、及び一方向弁324を通じて洗浄液を引き込み始める。一方向弁374により、洗浄溶液が管372を通じて流れるのを妨げる。一部の実施形態において、供給装置310及び回収装置320は、論理回路により、同容量の洗浄液流が供給装置310から分配されて、回収装置320内に引き込まれるように、協調して機能するように制御される。
4.回収装置320は、管376及び一方向弁378を通じて、洗浄液リザーバ370への洗浄溶液の分配を開始するように起動される。一方向弁324により、洗浄溶液が管322を通じて流れるのを妨げる。更に、供給装置310も起動されて、洗浄液リザーバ370から、管372及び一方向弁374を通じて洗浄液を引き込み始める。
5.洗浄液を往復運動させるために、流れ方向が反転された後に、ステップ2及びステップ3を繰り返して、それぞれ、管334及び332を使用して、供給/回収装置320と適用トレー100との間で洗浄液を循環させる。
6.洗浄液を循環させるため、ステップ2〜4が繰り返され、洗浄液リザーバ370と適用トレー100との間で洗浄液を循環させる。
7.洗浄に必要とされる時間が経過するまで、又は所望の周期数が達成されるまで、プロセスを実行し続ける。
【0062】
この手順は、各供給リザーバに追加的に流体を供給して、無制限に繰り返され得ることに留意するのが重要である。加えて、最終的な流体供給リザーバは水又は他の洗浄液を含んでもよく、システムは洗浄のためにパージされ得る。
【0063】
口腔衛生システムは、基部ステーション、口腔内の複数の表面の周囲の流体の前後運動を提供する手段を含むハンドピース、及び適用トレー、又はマウスピースが挙げられるが、これらに限定されないいくつかの主要構成要素を含み得る。システムは家庭用用途に好適であり、歯の複数の表面上に流体を同時に方向付けるように適合される。装置は洗浄溶液を使用して歯を洗浄し、歯垢を除去し、洗浄溶液は前後に往復運動されて、洗浄周期を生じ、使用する洗浄溶液を最小化する。装置は、手持ち式であり得、又は卓上若しくはカウンタートップ装置の形態であり得る。
【0064】
基部ステーションは、ハンドピース内の再充電可能電池を充電し、流体リザーバを保持し、診断構成要素を収容し、ユーザーにフィードバックを提供し、場合によってはマウスピースを洗浄する。
【0065】
ハンドピースは、リザーバからマウスピースに流体を供給する、動力ポンプを有する。流れ方向は、専用ポンプ(その方向を逆転するなど)、可逆性逆止弁、又は他の同様の手段による流体制御弁調節で、往復運動し得る。周期の各段階における周期時間及び流速は可変であり、いくつかの実施形態においては、各個別のユーザーに対してカスタマイズされる。ハンドピースは、充填プロセス、並びに洗浄及び/又はパージプロセスを実行する。ハンドピース及び/又は基部ステーションは、プロセスの各段階においてユーザーにフィードバックを提供してもよく、場合によって診断情報を報告してもよい。
【0066】
ハンドピースは審美的に心地よいものであり、ユーザーの手にとって快適な把持/感触を有する。重量及びバランスは、高質の感触を提供する一方で快適かつ効率的な使用に良好に適している。快適性、把持、感触、並びにハンドピースの適切な位置付け及び把持位置の補助のために、指グリップ及び/又はタッチポイントが適切に位置付けられる。基部ステーションはまた、審美的に心地よいものであり、ハンドピースが容易かつ確実に適所に結合することを可能にする。基部ステーションは、ハンドピースが一度結合されるとこれを適所に固定しても、しなくてもよい。
【0067】
装置の第3の主要構成要素は、適用トレー又はマウスピースである。
【0068】
図2は、本発明による、口腔内の複数の表面上に流体を方向付けるための手段、例えば、適用トレー100の、第1実施形態の上面斜視図である。図3は、図2の適用トレー100の底面斜視図である。図面は、外側前方壁部112、外側後方壁部114、内側前方壁部116、内側後方壁部118、及び基底膜(例えば、バイトプレート156)を有する適用トレー100を示す。内側前方壁部噴出スロット132は、内側前方壁部116上に位置し、一方で内側後方壁部噴出スロット134は、内側後方壁部118上に位置する。図2及び図3に示す、内側前方壁部噴出スロット132及び内側後方壁部噴出スロット134は、噴出スロット構成の一実施形態に過ぎない。第1ポート142及び第2ポート144は、外側前方壁部112を通じて適用トレー100に入る。
【0069】
図2及び図3は、適用トレー100の実施形態を表し、ユーザーの上の歯及び下の歯並びに/又は歯肉領域は、所望の有益効果を提供するために実質的に同時に流体と接触する。他の実施形態において、適用トレー100は、ユーザーの上の歯若しくは下の歯及び/又は歯肉領域のみを洗浄及び/又は処理するように設計され得ることが理解される。
【0070】
図4及び図5は、それぞれ、図2の適用トレー100の、垂直断面図及び水平断面図である。図面は、外側前方壁部112及び内側前方壁部116によって境界される空間として画定される第1マニホールド146を示す。第2マニホールド148は、外側後方壁部114及び内側後方壁部118によって境界される空間として画定される。流体接触チャンバ(LCC)154は、内側前方壁部116、内側後方壁部118、及び基底膜156によって画定される。
【0071】
動作の一実施形態では、流体が、圧力によって、第1ポート142を通って第1マニホールド146に入り、次いで、内側前方壁部噴出スロット132を通ってLCC 154に入る。真空が第2ポート144上で引かれ、内側後方壁部噴出スロット134を通じ、第2マニホールド148内及び最終的には第2ポート144内に流体を引く。この実施形態では、流体噴出は、最初に、LCC 154の一方の側から、歯及び/又は歯肉領域の前方表面上に方向付けられ、LCC 154の他方の側から第2マニホールド内へと、歯及び/又は歯肉領域の表面を通過し、表面の間、及び表面の周囲に方向付けられて、制御された、歯間、歯肉線、表面及び/又は歯肉領域の、洗浄若しくは処理を提供する。次に、マニホールド内の流れが逆転される。洗浄液は、圧力によって第2ポート144を通じて第2マニホールド148に入り、その後、内側後方壁部噴出スロット134を通じてLCC 154に入る。真空が、第1ポート142に引かれ、内側前方壁部噴出スロット132を通じて、第1マニホールド146内へ、最終的には第1ポート142内へと、流体を引き込む。この実施形態の第2部分では、流体噴出は、歯及び/又は歯肉領域の後方表面上に方向付けられ、歯及び/又は歯肉領域の表面を通過して、表面の間、及び表面の周囲に方向付けられる。数多くの周期にわたる、この圧力/真空の交互性は、乱流の、反復可能な可逆の流れを作り出し、口腔の複数の表面の周りに流体の往復運動を提供し、口腔の表面を、実質的に同時に流体と接触させることにより、所望の有益効果を提供する。
【0072】
別の実施形態では、一方又は双方のマニホールドを通じて、流体を同時に供給して、LCC 154をあふれさせ、一定期間歯を浸漬して、次いで設定期間の後に、一方又は双方のマニホールドを通じて、LCC 154から排出させることが好ましい場合がある。ここで、洗浄液又は処理液は圧力により、第1ポート142を通じて第1マニホールド146に、第2ポート144を通じて第2マニホールド148に入り、その後、内側前方壁部噴出スロット132及び内側後方壁部噴出スロット134を通じて同時にLCC 154に入る。LCC 154を空にするため、第1ポート142を通じて第1マニホールド146に、第2ポート144を通じて第2マニホールド148に、真空が同時に引かれる。洗浄又は処理液は、内側前方壁部噴出スロット132及び内側後方壁部噴出スロット134を通じて、第1マニホールド146及び第2マニホールド148に引き込まれる。
【0073】
第1マニホールド146及び第2マニホールド148に、異なる流体組成物を供給することも可能である。改善された洗浄有効性又は処理効果のために、異なる流体組成物が、その後、LCC内で混合され得る。
【0074】
図6は、本発明による適用トレー1100の第2実施形態の、上面後方斜視図である。図7は、図6の適用トレー1100の上面前方斜視図であり、図8は、図6の適用トレーの平面図である。図面は適用トレー1100を示し、上部1102、底部1104、第1部分1142、第2部分1144、及び上記適用トレーの前部に固定して取り付けられた支持プレート1108を有する。第1部分1142及び第2部分1144は、適用トレー1100に入り、支持プレート1108を通じて延びる。
【0075】
任意の急速脱着構造、例えば、返し部1110が、支持プレート1108に取り付けられ、適用トレーに流体を提供するための手段に、適用トレー1100を、急速かつ容易に取り付けて、次いで分離することを可能にする。ハウジングは、このような急速脱着返し部又は同様の急速脱着構造を取り付け可能な係合により受容するための効果的な構造を含み、これは適用トレーをハウジングに取り外し可能に接続する。使用された若しくは着用された適用トレーを置換するため、又は別のユーザーのために適用トレーを交換するために、急速脱着オプションは使用され得る。いくつかの実施形態において単一のユーザーが、異なるオプションの流れ特性、例えば、洗浄ノズルの数、ノズル速度、スプレーパターン、及び位置、適用範囲など、を変更するために、適用トレーを交換してもよい。
【0076】
図6〜9は、ユーザーの上下の歯、及び/又は歯肉領域が、実質的に同時に流体と接触する、適用トレー1100の実施形態を示す。他の実施形態では、適用トレー1100は、ユーザーの上の歯若しくは下の歯、又は歯肉領域のみを、流体と接触させるように設計することができる点を理解するべきである。
【0077】
上部1102は、前方流体ルーメン1102a、1102b、1102c、及び1102d、後方流体ルーメン1102e、1102f、及び1102g、第1マニホールド1146、第2マニホールド1148、基底膜1156、並びに後方歯肉封止膜1158を有する。前方流体ルーメン1102a、1102b、1102c、及び1102dは、全て、第1マニホールド1146によって接続され、任意に(図16〜19に示すように)、それらの長さの全て又は一部に沿って互いに接続される。同様に、後方流体ルーメン1102e、1102f、及び1102gは、全て、第2マニホールド1148によって接続され、任意に、これらの長さの全て又は一部に沿って互いに接続される。
【0078】
底部1104は、上部1102の鏡像であってもよく、前方流体ルーメン1104a、1104b、1104c、及び1104d、後方流体ルーメン1104e、1104f、及び1104g、第1マニホールド1146、第2マニホールド1148、基底膜1156、並びに後方歯肉封止膜1158を有する。前方流体ルーメン1104a、1104b、1104c、及び1104dは、全て、第1マニホールド1146によって接続され、任意に(図6〜9に示すように)、それらの長さの全て又は一部に沿って互いに接続される。同様に、後方流体ルーメン1104e、1104f、及び1104gは、全て、第2マニホールド1148によって接続され、任意に、これらの長さの全て又は一部に沿って互いに接続される。
【0079】
図6及び図7は、4つの前方流体ルーメン(1102a、1102b、1102c、及び1102d)及び3つの後方流体ルーメン(1102e、1102f、及び1102g)を有する上部1102を示すが、上部1102はまた、2つ、3つ、5つ、6つ、又は更に7つの、前方流体ルーメン又は後方流体ルーメンで形成することもできる。同様に、底部1104は4つの前方流体ルーメン(1104a、1104b、1104c、及び1104d)及び3つの後方流体ルーメン(1104e、1104f、及び1104g)を有するものとして示され、底部1104はまた、2つ、3つ、5つ、6つ、又は更に7つの前方流体ルーメン又は後方流体ルーメンで形成され得る。
【0080】
上記の流体接触チャンバ(LCC)1154aは、前方流体ルーメン(1102a、1102b、1102c、及び1102d)、後方流体ルーメン(1102e、1102f、及び1102g)、基底膜1156、及び後方歯肉封止膜1158によって画定される上部1102に位置する。図示されないが、底部1104はまた、前方流体ルーメン(1104a、1104b、1104c、及び1104d)、後方流体ルーメン(1104e、1104f、及び1104g)、基底膜1156、及び後方歯肉封止膜1158によって画定されるLCC 1154bを有する。
【0081】
複数ルーメン設計は、流れ及び真空のための双方向又は専用ルーメンを提供し、これらは自己強化性であり、したがって使用中に真空下で崩壊するか、又は圧力下で破裂せず、構造的一体性を最大化する一方で、挿入中、使用中、及び除去の際にユーザーの快適性のために、全体的な適用トレー1100の大きさを最小化する。この低減した大きさはまた、口腔内の適用トレーの向上した効果的な封止を提供する。
【0082】
複数のルーメン(1102a、1102b、1102c、1102d、1102e、1102f、1102g、1104a、1104b、1104c、1104d、1104e、1104f、及び1104g)が、上述のように接続される場合には、それらのルーメンは、ルーメンヒンジ区分(図7の1103)を形成する。これは、各ルーメンの間のルーメンヒンジ区分1103の柔軟性のために、X、Y及びZ方向への適合性を提供する複数ルーメン設計を生じ得る。この設計は、多種多様なユーザーの歯及び歯肉のトポグラフィーに対する、有効かつ実行可能な適合性を可能にし、歯肉を刺激することなく、有効な歯肉封止を提供し、近接及び歯間の洗浄作用を獲得するための、それぞれの歯の周囲での流体洗浄噴出口の動的な位置決めを可能にする。複数のルーメンがまた、第1マニホールド1146及び第2マニホールド1148に取り付けられる。これは、生じ得る異なる咬合に適応するため、更なる2段階の動きを提供する、二次可撓性関節部を形成する。
【0083】
後方歯肉封止膜1158は、可撓性及び自在封止機構を提供し、口腔内への漏れを最小化する一方で、流れを歯の上及び周囲に向け直し、届きにくい場所(HTRP)に達する処理/洗浄領域を最大化する。膜は歯及び歯肉の周囲に形成するために、ルーメン長手方向軸にわたり弾性機能を提供し得る。
【0084】
基底膜1156は、口腔内の効果的なフィット又は封止に必要とされる可撓性を提供し、噴出口が歯及び/又は歯肉表面に戻るように向け直され、流れることを可能にする。
【0085】
任意に、適用トレー1100はまた、必要に応じて歯肉封止構成要素を含む場合があり、これは前方流体ルーメン1102a、1102b、1104a、及び1104b、並びに後方流体ルーメン1102e及び1104e(歯から最も遠い部材)に取り付けられ得る。
【0086】
任意に、フィラメントタフトなどの摩擦要素はまた、顕著に適用トレー1100の大きさを増加させるか、又はユーザーの快適性若しくは適用トレー1100内の流体流に影響することなく、ルーメンヒンジ区分1103のいずれかを通じて配置又は固定され得る。
【0087】
内側前方壁部噴出スロット1132は、上部1102及び底部1104の内側前方壁部上に位置し、一方で内側後方壁部噴出スロット1134は、上部1102及び下部1104の内側後方壁部上に位置する。1つの内側前方壁部噴出スロット1132及び内側後方壁部噴出スロット1134が図13〜16に示されるが、内側前方壁部噴出スロット1132及び内側後方壁部噴出スロット1134の数、形状及び大きさは、歯及び歯肉の洗浄に影響し、洗浄液の噴出口を様々なスプレーパターンに方向付けるように設計され得る。図16図19に示される内側前方壁部噴出スロット1132及び内側後方壁部噴出スロット1134は、噴出スロット構成の一実施形態にすぎない。
【0088】
図6及び図7は、ユーザーの上下の歯、及び/又は歯肉領域の表面が、実質的に同時に流体と接触して、所望の有益効果を提供する、適用トレー1100の実施形態を示す。他の実施形態において、適用トレー1100は、ユーザーの上の歯若しくは下の歯及び/又は歯肉領域とのみ接触するように設計され得ることが理解されるべきである。
【0089】
図9は、図6の適用トレー1100の切り欠き図である。図はマニホールド1146及び第2マニホールド1148を示す。洗浄動作の一実施形態では、洗浄液は、第1ポート1142を通ってポンプ圧送され、第1分流器1143を通過して、第1マニホールド1146に入る。流体は、前方流体ルーメンポート1147を通じて、前方流体ルーメン1102a、1102b、1102c、1102d、1104a、1104b、1104c及び1104dに入る。洗浄液は、次いで、内側前方壁部噴出スロット1132を通って、LCC 1154a及びLCC 1154bに入る。真空が第2ポート1144上で引かれ、内側後方壁部噴出スロット1134を通じて、後方流体ルーメン1102e、1102f、1102g、1104e、1104f、及び1104g内に洗浄液を引く。流体は、後方流体ルーメンポート1149を通じて第2マニホールド1148に入り、次に第2分流器1145を通じ、最終的には第2ポート1144に入る。
【0090】
この実施形態では、洗浄液噴出口は、最初に、LCCの一方の側から、第1マニホールド1146から歯及び/又は歯肉領域の前方表面に方向付けられ、LCCの他方の側から第2マニホールド1148内へと、歯及び/又は歯肉領域の表面を通過して、表面の間、及び表面の周囲に方向付けられて、制御された、歯間、歯肉線、表面及び/又は歯肉領域の、洗浄若しくは処理を提供する。
【0091】
次に、マニホールド内の流れが逆転される。洗浄液は、第2ポート1144を通ってポンプ圧送され、第2分流器1145を通過して、第2マニホールド1148に入る。流体は、後方流体ルーメンポート1149を通じて後方流体ルーメン1102e、1102f、1102g、1104e、1104f、及び1104gに入る。洗浄液は、次いで、内側後方壁部噴出スロット1134を通って、LCC 1154a及びLCC 1154bに入る。真空が第1ポート1142に引かれ、内側前方壁部噴出スロット1132を通じて、前方流体ルーメン1102a、1102b、1102c、1102d、1104a、1104b、1104c及び1104dに洗浄液を引き込む。流体は、前方流体ルーメンポート1147を通って第1マニホールド1146に入り、次いで、第1分流器1143を通過して、最終的に、第1ポート1142内に入る。
【0092】
この実施形態の第2部分では、洗浄液噴出口は、歯及び/又は歯肉領域の後方表面上に方向付けられ、歯及び/又は歯肉領域の表面を通過して、表面の間、及び表面の周囲に方向付けられる。数多くの周期にわたる、この圧力/真空の交互性は、乱流の、反復可能な可逆の流れを作り出し、口腔の複数の表面の周りに流体の往復運動を提供し、口腔の表面を、実質的に同時に流体と接触させることにより、所望の有益効果を提供する。
【0093】
別の実施形態において、一方又は双方のマニホールドを通じて流体を同時に供給し、LCC 1154a及び1154bをあふれさせ、一定時間歯を浸漬して、次いで設定時間の後に、一方又は双方のマニホールドを通じてLCCから排出されることが好ましい場合がある。ここで、洗浄又は処理液は、第1ポート1142を通じて第1分流器1143を介して第1マニホールド1146に、及び第2ポート1144を通じて第2分流器1145を介して第2マニホールド1148に同時にポンプ移送される。流体はその後、前方流体ルーメンポート1147を通じて前方流体ルーメン1102a、1102b、1102c、1102d、1104a、1104b、1104c及び1104dに、後方流体ルーメンポート1149を通じて後方流体ルーメン1102e、1102f、1102g、1104e、1104f、及び1104gに、同時に入る。洗浄液は、次いで、内側前方壁部噴出スロット1132及び内側後方壁部噴出スロット1134を通って、LCC 1154a及びLCC 1154bに入る。LCCを空にするため、第1ポート1142を通じて第1マニホールド1146に、及び第2ポート1144を通じて第2マニホールド1148に、真空が同時に引かれる。洗浄又は処理液は、内側前方壁部噴出スロット1132及び内側後方壁部噴出スロット1134を通じて、第1マニホールド146及び第2マニホールド148に引かれる。
【0094】
第1マニホールド1146及び第2マニホールド1148に、異なる流体組成物を供給することも可能である。改善された洗浄有効性又は処理効果のために、異なる流体組成物が、その後LCC内で混合される。デュアルマニホールド設計においては、各マニホールドに別個の流体供給リザーバから供給することが好ましい場合があり(例えば、複動ピストンポンプ構成)、一方の供給ラインが第1マニホールド1146に供給するように接続し、他方のピストン供給ラインが第2マニホールド1148に流体を供給し、ここから取り除く(例えば、一方のマニホールドが流体を供給され、第2マニホールドが流体を取り除く、及びその逆)。
【0095】
他の実施形態では、前方流体ルーメン1102a、1102b、1102c、1102d、1104a、1104b、1104c及び1104dの、前方流体ルーメンポート1147に、あるいは後方流体ルーメン1102e、1102f、1102g、1104e、1104f、及び1104gの、後方流体ルーメンポート1149に弁を定置して、ルーメンが、異なる時間に(洗浄/処理周期中の異なる時点で)、パルス間隔で関与することを可能にすることによって、改善された機能を提供することができる。例として、一実施形態において、全てのルーメンが流体ポンプ/真空機能と関わらない。主に歯肉と係合する、前方流体ルーメン1102a及び1104a、並びに後方流体ルーメン1102e及び1104eは、流体真空機能とのみ関わる。これは、流体の口腔内への漏れを防ぐために役立つ。弁はまた、可変の流れを可能にし、流体真空機能に対するより低い抵抗を可能にし、流体供給中においてポンプ移送を増し、それにより流体速度の増加を可能にする。
【0096】
更に他の実施形態において、個別の内側前方壁部噴出スロット1132又は内側後方壁部噴出スロット1134は、ダックビル弁又は傘状弁などの一体化された一方向弁を有してもよく、これらの特定の噴出口からの一方向のみの流れを可能にする。これは、LCC内の圧力/供給に対して真空を増加させるために有効であり得る。
【0097】
一部の実施形態において、上記の摩擦要素の歯に対する移動は、流体(噴出スロット又は乱流による)、可撓性適用トレー1100の脈動による膜の移動、摩擦要素を振動させるための外部振動機構、ユーザーの顎の動き又は外部駆動手段による歯の周囲の適用トレー1100の線形又は回転移動が挙げられるが、これらに限定されない単一又は組み合わせた機構によって適用され得る。
【0098】
他の実施形態において、ゲルなどの柔軟性のある基材が、後方歯肉封止膜1158の近位に配置されてもよく、適用トレー1100が、口の奥に快適にフィットすることを可能にする。あるいは、適用トレー1100の端部は、マウスピースの長さを各個別のユーザーのための適切な長さに延長又は減少させるための機構又は取り付け部材を有してもよく、セミカスタムフィットを提供する。
【0099】
複数ルーメン設計の製造は、押出成形、射出成型、真空、吹込み、又は圧縮成形などの既存の利用可能な製造及び組み立てプロセスを利用して実行可能である。他の実行可能な技術としては、急速原型製造技術、例えば、3D印刷及び他の加法技術加えて減法技術が挙げられる。
【0100】
適用トレーは、各個別のユーザーのためにカスタム製造されてもよく、又は個別のユーザーによって使用前にカスタム可能であってもよい。適用トレーのカスタム製造のために、真空成形型がユーザーの歯及び歯肉印象から直接又は間接的に作製されてもよく、これは歯の模型を形成し、次に必要なクリアランス及び流路を形成するために修正され得る。これらの真空成型型は、CAD及び急速原型製造プロセスを使用して低費用で作製することができる。
【0101】
1つの作製方法は、真空成型を通じて個別の構成要素シェルを作製することである。低費用の方法により、非常に薄い壁部構造の真空成型が可能である。構成要素の形状は、適用トレーの大きさの最小化を可能にする連結機構及び構造的形状を提供するように設計される。組み立てられるとき、製造された構成要素は、必要なマニホールド及び流れ構造(双方向及び/又は専用マニホールド)を形成し、歯を処理/洗浄するために必要な性能特性を提供する。
【0102】
カスタマイズされたマウスピースは、ユーザーの歯の形状に基づいており、したがってマウスピースと歯との間の一定の距離を生成し、より一定した洗浄/処理経験を提供し得る。二部分シェルのそれぞれの材料は異なってもよく、したがって、これが歯/歯肉と接触する部分における柔軟な材料(内部シェル上)、及び外部シェル上における、剛性及び全体形状を維持するためのより硬い材料を可能にする。
【0103】
カスタマイズ可能な適用トレーにおいて、予備製造されたマニホールド、ノズル及びチャネルを含むトレー予備成形品(スポーツガード又は歯ぎしり装具と同様)は大量生産される。トレー予備成形品は、吹込み成形、真空成型、射出成型及び/又は圧縮成形が挙げられるが、これらに限定されない様々な既知の製造技術によって製作され得る。予備成形品に使用される材料は、低温で変形可能なプラスチック材料である。予備成形品は、必要なクリアランス、洗浄及び/又は処理性能を提供するために、歯の上に適用される必要なスペーサーと共に使用される。一度クリアランス構成要素が歯に適用されると、柔軟にするために予備成形品は電子レンジによって又は熱湯の中に配置することによって加熱される。柔軟な予備成形品は、ユーザーの歯及び歯肉領域上に適用されて、カスタマイズされた適用トレーを生じる。
【0104】
適用トレーは、適用中及び使用中の、位置付け、快適性及び性能を最大化するための弾性適合性を可能にするため、圧迫機構と一体化され得る。例えば、ばね様要素、例えば、シム(shins)、クリップ及び弾性バンドが、歯肉上及び歯肉に対するフィットを提供し得る。
【0105】
MPルーメンの材料は、より低いジュロ硬度の可撓性材料(25ショアA)から、より硬い材料より剛性の材料(90ショアA)の範囲であり得、好ましくは30〜70ショアAである。
【0106】
材料は、所望の設計及び性能属性を達成するため、シリコーン、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、又は多成分(材料及び硬度の組み合わせ)であり得る。
【0107】
噴出開口部又はスロットは、穴あけ又は穿孔などの二次操作によって作製され得るか又は成形中に形成され得る。あるいは、噴出開口部又はスロットは適用トレーに挿入されて、増加した耐摩耗性及び又は異なる噴出性能特性を提供する場合があり、摩擦洗浄要素又は他の構成要素と組み合わされて洗浄及び/又は処理効果を向上させ得る。
【0108】
歯肉封止
この歯肉封止は、洗浄処理チャンバ(CTC)の底部部分を形成し、歯肉縁下ポケットを含めた、歯肉領域を洗浄するような方法で、歯肉組織と接触する。一実施形態では、この歯肉封止は、口腔及び歯に対するマウスピースの位置決めを提供し、動作中の最小限の/許容可能な漏出を伴う、比較的隔離された環境を作り出す一方で、嘔吐要因を最小限に抑え、ユーザーに対する不快感を和らげるように設計される。一実施形態では、歯肉封止は、エラストマー材量の、歯肉との摩擦係合及び圧縮によって作り出される。この封止は、内部の流体の排出中、並びに洗浄及び処理周期中に、強化される。この封止はまた、マニホールド及びCTC膜の取り付け並びに組み立てのための、二次機構としても機能する。歯肉又は歯茎の封止のサイズ及び形状は、好ましくは、3つの基本的なサイズ(小、中、及び大)を利用するが、快適性及び洗浄/処理の有効性のために、ユーザーの必要に応じて、種々のレベルのカスタマイズを可能にするように設計される。これらのサイズは、マニホールド及びCTC膜の構成要素の、3つの基本的なサイズと組み合わせられる。
【0109】
歯肉封止を得るための代替的実施形態としては、以下のものが挙げられ、互いに組み合わせて、又は上記の実施形態と共に使用することができる。
【0110】
・実施形態#1:マウスピースを、口腔内部で、歯肉上に位置決めする。軽度の咬合圧が、咬合スタンドオフ/位置決めブロックに対して加えられると、封止及び位置が、歯及び歯肉に対して固定される。マウスピースは、単一の材料から、あるいは異なる硬度及び弾性の材料の組み合わせから作製される。好ましい実施形態では、この「H」形状のマウスピースは、「H」の脚部のそれぞれの末端部に、柔軟な弾性ガスケット様の材料(独立気泡シリコーン、ゲル充填封止など)を有する、可撓性の壁部(「H」の垂直縁部)を有する。「H」の水平パッドは、歯及び歯肉に対して、X、Y、及び/又はZの場所で、マウスピースを位置決めするための、咬合ブロック/スタンドオフを含む。マウスピースが口腔内で位置決めされた後、この咬合ブロックと係合するための上下の顎の閉鎖により、マウスピースの、口腔に対する確実かつ堅固な位置決めが提供され、その一方で、ガスケット様の材料と歯肉材料との干渉が提供され、動作の持続時間の間の、洗浄、処理、及び/又は診断の空洞の、有効な封止並びに形成が提供される。
【0111】
・実施形態#2:マウスピースに力を加えて、側壁部の内側方向への移動を生じさせ、歯肉組織に対して、柔軟な弾性縁部を封止する。実施形態#1で説明されるものと同様のマウスピースはまた、封止の係合を改善するための、能動的係止機構も含む。この機構の1つの可能な実行は、本装置が係合されない場合に、中空の区分が、水平の脚部分の内部、及びマウスピースの上方区分と下方区分との間の、一部若しくは全てのスタンドオフの間に設計されることを必要とする。マウスピースを口腔内に定置した後、ユーザーが、中空区分を噛み締めて圧縮すると、その中空区分が圧壊することにより、全ての咬合ブロックが接触する。このことは一方で、外側壁部(垂直の脚の部分)を、歯肉組織に向けて内側方向に折り曲げる。これらの壁部に取り付けられた弾性ガスケットが、歯肉に対して係合して圧縮し、封止と、上下の歯を取り囲む、洗浄、診断、及び/又は処理チャンバと、を作り出す。
【0112】
・実施形態#3:マウスピースを口腔内に位置決めする際に、空気圧袋が膨張又は加圧され、歯肉と共に、封止及び空洞を作り出す。実施形態#1で説明されるものと同様のマウスピースはまた、マウスピース内部での袋の膨張を通じて、能動的封止を提供することもできる。この空気はまた、歯/空洞の洗浄及び/又は乾燥のために、並びに/あるいは処理、洗浄及び/又は診断に関する、処理(気体及び/又は気体中に混入される粒子)を提供するために、その後、利用することもできる。
【0113】
・実施形態#4:マウスピースを口腔内に位置決めする際に、水圧袋が膨張又は加圧され、歯肉と共に、封止及び空洞を作り出す。実施形態#1で説明されるものと同様のマウスピースはまた、マウスピース内部での袋の加圧を通じて、能動的封止を提供することもできる。この流体組成物はまた、洗浄、処理、又は診断に関する、気体又は混入粒子の有無に関わりなく、歯及び/又は歯肉組織を、洗浄及び/又は処理するために、その後、利用することもできる。
【0114】
・実施形態#5:マウスピースを口腔内に位置決めした後、歯肉の周囲を封止する材料の拡張の有無に関わりなく、流体の吸収(ヒドロゲルを利用するなど)による、歯肉と係合する材料の順応性の変化を通じて、封止を作り出す。
【0115】
・実施形態#6:マウスピースを口腔内に位置決めした後、マウスピース内に埋め込まれたニチノールワイヤー又は他の形状記憶材料が、口腔内の体温の変化により、側壁部を歯肉に係合させて、歯肉と共に、正の封止を作り出す。
【0116】
・実施形態#10:マウスピース領域内に、泡様の材料を、最初に、あるいは毎回の使用中に押し出して、マウスピースの封止並びにその後の洗浄、処理、及び診断の空洞を作り出す。
【0117】
・実施形態#11:使い捨て又は溶解可能な挿入具を提供して、マウスピースの複数回又は毎回の使用のための、歯肉組織への封止を提供する。
【0118】
・実施形態#12:歯肉封止接触表面上に、唾液又は水で活性化させることができる接着剤を含有させる。接着剤は、潜在的な封止の改善を提供し、製剤に応じて、単一の使用又は複数回の使用に適用することができる。封止システムは、論じられる他の封止システムの任意の組み合わせと共に使用することができる。
【0119】
・実施形態#13:封止接触領域(吸着カップ)内に、係合中のこの領域内での真空の生成を通じて、吸着のような効果を作り出す、接触領域上の材料と境界面での形状との組み合わせを通じて、歯肉の封止を作り出す。
【0120】
・実施形態#14:歯肉に対して定置及び位置決めすることができ、次いで、ユーザーに関する永久歪みを呈する、変型可能材料を利用することによって、歯肉封止領域を作製し、ユーザーの口に合わせてカスタマイズすることができる。この歯肉封止領域は、煮沸して、口内に定置し、顎の閉鎖及び/又は同様の方法によって歯肉に対して押し付け、次いで、口腔から取り外すことを通じて(マウスガードと同様に)、作り出すことができる。封止材料が冷却すると、その封止材料は、永久歪みを呈する。
【0121】
・実施形態#15:汎用的又は半汎用的な袋を取得して、所望の歯肉封止接触領域に極めて近接させて、口腔内に定置することによって、歯肉封止領域を作り出すことができる。次いで、この袋を充填して、歯肉に対して係合及び適合するように、方向付けて支持することができる。充填材料は、カスタマイズされた封止形態を提供して、次いで、この特定ユーザーによって再使用可能となるように固化する、速硬性材料である。この袋は、TPE及び/又は薄いシリコーンベースの材料とすることができ、充填材料は、RTV、エポキシ、ポリウレタン、又は硬化若しくは固化すると、剛性、半剛性、若しくは可撓性の永久歪みを提供する、同様の材料とすることができる。
【0122】
構成要素
本システムの全体は、本質的にモジュラー式であるため、個別の構成要素は、ユーザーによって容易に交換することができる。交換の理由としては、磨耗、機能不全、及び生物学的危害が挙げられるが、これらに限定されない。一部の構成要素はまた、本来、使い捨て及び交換可能(再充填カートリッジなど)であることにより、モジュラー式であり、ユーザーによって容易に交換することもできる。
【0123】
ポンプシステム
好ましい実施形態では、流体は、動力ポンプを介して、マウスピースのハンドル又は基部ステーション内のリザーバから供給することができる。このポンプは、論理システム(人工知能、すなわち、AI)からの入力に応答して、圧力、周期時間(各段階及びプロセス全体に関して)、往復運動要件及び/又はタイミング、流れの方向、流体の速度/圧力、パージの仕様などを変更することが可能な場合がある。このポンプは、ピストンポンプ、無弁回転ピストンポンプ、隔膜ポンプ、蠕動ポンプ、歯車ポンプ、回転ポンプ、複動ピストンポンプ、ベーンポンプなどとすることができる。給気気圧シリンダー又は空気圧縮機もまた、代替的実施形態として、本システムを駆動することができる。プロセス全体に関する周期時間、個別段階に関する周期時間、及びその周期の各段階に関する流速は、可変とすることができ、各個別ユーザー/曜日/口腔の健康状態に対して、潜在的にカスタマイズすることができる。特定のユーザー及び特定の処理要件に応じて、本システムの種々の提供での、1行程当り又は一定期間にわたって供給される、流体の体積を変化させることもまた可能である。ポンプシステムは、ハンドピース内に、又は基部ステーション内に存在し得る。ピストンポンプの1行程当りの流体の体積は、マウスピース内の流体の脈動の効果を生じさせるために、比較的大きくすることができる。代替的実施形態は、低い脈動を有するか又は脈動を有さない、一定の流量を提供する、ポンプを有する。好ましい実施形態では、前進行程が、特定のノズルを通じて、マウスピースに流体を供給し、戻り行程が、真空を作り出し、マウスピース内の特定のノズルを通じて、流体を吸引してポンプへと戻す。マウスピースとの間で往復する流体の方向は、回転無弁ポンプ内のモーター、方向弁、又は他の手段の方向を変化させることによって、反転させることができる。この流体駆動システムは、マウスピースが適切に挿入され、歯肉に対して封止されるまで、開始することはない。このシステムは、マウスピースが口から取り出される(歯肉に対する封止が中断される)と、分配を自動的に停止して、口から残留液を除去することができる。このことにより、ユーザーは、洗浄/処理製剤中の活性成分の濃度を増大させることが可能になる。このシステムは、マウスピースが歯肉に対して封止するまで、開始することはない。一実施形態では、ポンプシステムは、ハンドピース内に完全に収容され、別の実施形態では、ポンプシステムは、基部ステーション内に収納される。
【0124】
弁/流体制御&流体流入口/流出口
マウスピースが1つの入口及び1つの出口を有する、マウスピースの実施形態を使用する場合には、マウスピースへの流れの方向を変化させることが望ましい場合がある。歯を通過する流体流の方向は、マウスピースへの入口及び出口の流れの方向を変化させることによって反転し、それゆえ、洗浄プロセスの有効性及び感覚的影響を増大させる。マウスピースは、歯の両側にノズルを有し得、一方の側の噴出口が加圧され、反対側が負の圧力差で引き込む。このことにより、流体は、歯を「通過して」/歯の「間に」、押しやられる。次いで、各セットのノズル上で、流れが反転され、流体を、反対方向で歯に通過させて移動させる。次いで、この流体を前後に往復運動させることができる。流れの方向は、回転無弁ポンプなどの、専用のポンプの方向を反転させることによって、反転及び/又は往復運動させることができる。別の実施形態としては、限定するものではないが、可逆性の逆止弁が挙げられ、この逆止弁の、ポンプに対する配向を反転させることにより、システムの全体にわたって、流れの方向が反転される。別の実施形態としては、駆動時に、流れの方向を反転させる、論理(AI)システムを有する制御(2)3方弁が挙げられる。更なる実施形態は、ポンプからの1つの流入口と、ポンプへの戻りと、所望により流れ方向を反転させることができる2つの出口と、を有する制御(1)4方弁に対する、論理(AI)システムを有する。別の実施形態は、システムの流れを反転させるために、特定の管に対して、ピンチ弁を使用して流れを遮断するように、配管を構成することを伴う。別の実施形態としては、流体制御切り替えボックスの開発が挙げられるが、これは、ボックスの一方の側上の2つの管を、ボックスの他方の側上の2つの管に接続する。1つの向きでは、流体流は、1つの共線の管から次の管へと、ボックスを直接横断して移動するが、他の位置では、流体流が「X」の方向で移動することにより、流体流の方向は、切り替えボックス内で「交差」する。別の実施形態では、流れは、複動ピストンポンプを使用することによって往復運動し、2つのピストンポンプヘッド部の間で、流れは常に、前後に往復運動する。
【0125】
一実施形態では、流体制御システムは、ハンドピース内に完全に収容され、別の実施形態では、流体制御システムは、基部ステーション内に収納される。本システム内で使用される配管は、加圧状態及び真空状態の双方に耐えなければならない。
【0126】
個別のリザーバからの、1つ以上の種類の流体を、マウスピースを通じて、個別に、又は組み合わせて供給することができる。任意の組み合わせ及び濃度の変動を使用することができる。リザーバは、ハンドピース内に、又は基部ステーション内に存在し得る。
【0127】
本システムは、手動及び/又は自動の空気パージ、並びに/あるいはシステムの圧縮性を提供するための蓄圧器を含み得る。
【0128】
インターフェース(電気的及び流体)
ハンドピースは、基部ステーションとインターフェースする電気システム及び/又は情報伝達システムを有し得る。このシステムとしては、再充電可能電池の充電、ユニット間での診断情報の転送、ユニット間でのカスタムプロファイル情報の転送、及びユニット間でのプログラム関連情報の転送が挙げられるが、これらに限定されない。情報は、無線(RFID、802.11、赤外線など)で、又はハード接続を通じて転送することができる。この電気システムは、本システムの機能、開始、及び停止を、事前設定された判定基準に基づいて制御するための論理を含む。この判定基準としては、マウスピースと歯肉との間に封止が作り出された後にのみ開始させること、適切に注入された流体システムを確保すること、最低限の電池の充電レベルを確保すること、流体のレベルを特定の範囲内に確保すること、などを挙げることができる。本装置の様々な構成要素と情報伝達することができる論理システムが存在し得、その論理システムとしては、弁の順序付け、ピストンの動き、またそれゆえ流体の動きを制御するためのアルゴリズム、消費者からの入力を受け取るためのアルゴリズム、温度センサーからの入力を受け取るためのアルゴリズム、診断入力を受け取るためのアルゴリズム、歯肉に対するマウスピースの封止の係合を検出するためのアルゴリズムなどを開始することが挙げられるが、これらに限定されない。この論理システムは、入力に対する処理及び応答、並びに適切なデータの出力が可能でなければならない。このシステムは、冗長回路機構を含み、フェイルセーフ設計を提供することができる。
【0129】
このシステムは、ライト、ディスプレイ、タッチスクリーン、録音メッセージ、振動、音、臭気などのような、ユーザーへのフィードバックを提供するための手段を含み得る。このシステムはまた、スイッチ、タッチスクリーン、ボタン、音声コマンドなどのような、システムを操作してプロセス/設定を選択するための手段も有し得る。
【0130】
このシステムは、使用の間隔時間、使用/周期の長さ、使用の総計、レジメンの詳細(毎回の流体/処理の量及び時間)、特定のシステム構成要素を交換する時期などのような統計を追跡するための手段を含み得る。このシステムは、磨耗、使い捨て、若しくは交換可能な構成要素を、交換又は補充する時期を指示するための、ユーザーへのフィードバックを提供することができる。
【0131】
流体供給の方法が存在し、この方法は、流体リザーバ、ホース供給システムなどとすることができる。この流体供給は、基部ステーション内に配置され、ハンドピースが基部ステーション内に結合されると、ハンドピース内のリザーバに転送することができる。次いで、流体は、洗浄プロセスの間、マウスピースを通じて供給され、供給及び/又は洗浄プロセスの後、システムからパージすることができる。別の実施形態では、ハンドピースは、流体接続手段で基部ステーションに接続され、流体は、基部ステーション内のリザーバから、ハンドピースを通って、マウスピースに直接供給される。
【0132】
処理溶液、洗浄溶液、診断溶液などを収容することができる、消耗カートリッジが存在し得る。このカートリッジは、ユーザーによって容易に交換可能であるように、モジュラー式の設計にすることができる。
【0133】
このシステムは、歯の上の歯垢のレベルを検出する手段を含み得る。1つのそのような検出の方法は、歯垢に固着することが判明しているフルオレセイン溶液で歯をコーティングして、そのフルオレセインでコーティングされた歯垢から放出される光波を、コーティングされていない歯の領域から放出される光波と比較して監視することによるものである。光波は、それぞれの領域によって異なるため、歯垢が、歯の上で、どの領域に、またどの程度存在するかを識別することができる。視覚システムなどの、他の同様の歯垢検出の方法もまた使用することができる。
【0134】
洗浄/パージ/注入
流体システムは、使い捨てカートリッジ、チャンバの再充填、基部ステーション内の主リザーバへの、配管を使用したアクセス、又は流体転送の他の手段(重量式、手動ポンプ、サイフォンポンプ、リザーバを充填/注入するための主ポンプ駆動又は二次システムの使用など)で、注入することができる。流体リザーバは、種々の液体の組み合わせで充填して、種々の流体濃度の、独特の組み合わせを作り出すことができる。別の実施形態では、成分は、最初は流体以外の形態(ゲル、粉末、錠剤など)にすることができ、更なる処理及び/又は洗浄の利益のための液体と組み合わせることができる。
【0135】
ハンドピースは、洗浄プロセス中及び/又は洗浄プロセス後に、ユーザーによって単純かつ容易に起動されるパージ設定を有する。これは、ハンドピースから流体及び廃棄物をパージする、ユーザーによって押される単一ボタンなどの方法で達成することができる。別の実施形態では、過剰な流体及び廃棄物は、ハンドピースから、基部ステーションの外部の、若しくは基部ステーション内に結合される廃棄物リザーバ又は排水管へと転送される。汚染物質から構成要素を保護するための、濾過システムが存在し得る。更なる実施形態では、ハンドピースは、使い捨ての廃棄物カートリッジを収容する。代替的実施形態では、マウスピースは、使用の合間に基部ステーション内で洗浄される。洗浄方法としては、UV洗浄、アルコール浴、代替洗浄液浴、又は他の同様の方法が挙げられるが、これらに限定されない。この流体洗浄浴は、マウスピース内及び/又はマウスピースの周囲で、循環しても、あるいは循環しなくてもよい。
【0136】
駆動システム
流体システムは、リニアモーター、又は一連のリニアモーターによって駆動してよい。本明細書で用いるとき、「リニアモーター」は、回転子と固定子との間の動きが電磁気力により線形であり、歯車を介する代わりに、直接誘導によって直線状の推力をもたらすモーターである。このことにより、流体システムのサイズを低減し、流体の真空を通じた、流体供給の更なる制御が得られる可能性がある。このモーターは、並進運動方式で、上下に直接ピストンを駆動することができる。
【0137】
本装置の設計を最適化し、本装置のサイズを最小限に抑えるために、この直線駆動装置の構成要素は、ポンプシステム内に統合することができる。ピストン自体に、磁石を組み込むことができ、外側のピストンチャンバの壁部内、又は壁部の周囲にコイルを埋め込むことができる。あるいは、ピストン、及び/又はピストンに対する固定取り付け手段を、移動部分とすることができ、磁石は、静止状態(すなわち、ピストンの壁部を取り囲むか、又は壁部の内部)にすることができる。更には、真空ピストン及び供給ピストンの双方が、互いに対抗して作用する埋め込み磁石を有して、ピストンの移動を生じさせるか、又は補助することができる。
【0138】
モーターはまた、往復式流量制御装置の移動も駆動する。リニアモーターは、ゼネバ機構のような運動転移などの、ラチェット方式又は歯車方式で、FDMを駆動することができる。
【0139】
一部の実施形態では、ポンプ圧送区分及び真空区分は、互いに直列方式に配向することができる。あるいは、それらの区分は、互いに並列に配向することができる。それぞれの配向は、コンパクト性に関して、異なる有利点を有する。ポンプ圧送区分及び真空区分は、一体に接続されるか、あるいは、独立して動作することができ、周波数、及び/又は周波数の一部の因子で同期される(すなわち、真空区分は、供給区分の容積測定の変位を有するが、異なる速度で移動することができる)か、あるいは非同期的に動くことができる。供給区分及び真空区分が、互いに直列方式に配向される場合には、それらの区分は、ロッドを介して互いに接続することができる。このことにより、供給ピストン及び真空ピストンを同時に駆動することが可能になり、ポンプ圧送行程と真空行程との同期を確実にすることができる。
【0140】
供給ピストンは、真空ピストンを駆動するものと同じロッドによって駆動することができるが、そのピストンに取り付けられるスロットなどの、何らかの制動手段も有し、かつ/又は一方を他方に対して遅延させることもできる。このことにより、駆動ピストン内の追加の遊びが可能になり、真空行程を、供給行程の若干前に開始させ、供給行程の若干後まで継続させる。このことは、装具から流体を除去する更なる機会を、真空行程に与えることができるが、これは、供給ピストンが一時停止している間にも、その装具が、依然として真空を作り出していることに加えて、口腔内への、重力及び装具の位置による漏出を最小限に抑えているためである。
【0141】
装置の動作中の、真空システム及び供給システムの順序及びタイミングを制御し、ユーザーの快適性、利便性、及び装置の洗浄有効性を改善できる。例えば、これら2つのシステム間の1つのタイミングの順序は以下のとおりとしてよい。装置は、最初、真空システム及び供給システムの双方が係合解除の状態で設置される。口腔ケア洗浄及び/又は処理のため、ユーザーによって装置が正しく配置される。ユーザーは、例えば、装置上のスタートボタンを押して、洗浄/処理プロセスを開始する。このプロセスが開始されると、真空システムを作動させるプログラムが起動する。供給システムは、一定時間、係合解除されたままである。
【0142】
この時間中、供給システムが係合されない(流体が口腔に適用されていない)場合、流体接触チャンバ(LCC)外部の口腔に対してLCC中に陰圧が生じ、可撓性適用トレー又はマウスピースの形状が動的に変化して、ユーザーの歯及び歯肉への適合性を改善でき、フィット、機能、及びユーザーの快適性が向上する。またこの陰圧により、流体供給が始まると、真空ポート内へ流体が引き込まれるのを促進できる。歯肉にぴったりと一致するカスタム、剛性、又は半剛性マウスピースでは、真空を利用して、マウスピースは歯肉に対して効果的な正の封止を作り出すことができる。
【0143】
次に、事前設定した時間後、流体供給システムを自動的に作動させてよい。陰圧は形成したマウスピースと共に、口腔内への全ての残留流体の漏れを最小化し、及び/又はその改善された制御をもたらし、LCCから口腔内への流体漏出の影響を最小限に抑える。このとき、真空システム及び供給システムの双方が平行して動作していてよい。また、真空システムは様々な速度で稼働し、必要に応じて上昇させて十分な/標的とする真空をもたらしてもよい。予めプログラムされた設定時間後、真空システムが係合したままで、流体供給システムは自動的に係合解除されてよい。これにより、システムが、口腔内に漏出され得た流体を除去することを可能にする。また、LCC及びマウスピースから残留流体を排出してもよい。
【0144】
続いて、設定時間後、真空システムを係合解除してよく、また洗浄/処理周期を完了してよい。その後、ユーザーは、口腔からマウスピースを取り外すことができる。MPからの流体のたれ落ち、及び/又は口腔内への不必要な漏出を制御し、ユーザーに改善された体験をもたらすことができる。
【0145】
場合によっては、制御した量の流体を口腔内に供給することが望ましい場合がある。これを達成するため、供給システムと真空システムとの間の制御された順序タイミングは、以下の通りであってよい。上記洗浄及び/又は処理プロセスが完了すると、供給システムが自動的に設定時間起動し、真空システムが係合解除されたままの状態で一定量の流体を供給する。正の流圧により、流体はLCCから口腔内へ漏出/流出する。必要量の流体が口腔内に分配されると、供給システムを自動的又は手動的に係合解除できる。次に、真空システムを自動的に分離して、LCC及びマニホールドを空にしてよいが、このとき、後続の口腔のリンス及び/又は処理のために口腔内に一定量の流体を残しておく。
【0146】
所望される場合、信号を送るセンサーをマウスピース内に設置し、口腔内でのマウスピースの正しい位置を確認できる。あるいは、センサーをハンドル上の位置(限定されないが、マウスピースの真下など)に置くことができる。この場合、口腔内のマウスピースの正しい配置と相関する顎及び/又は唇の近接によって、センサーを作動してよい。また、使用周期の間、マウスピースが口から除かれたり、不適切な場所にあったりした場合、このセンサーによってプログラム/ハードウェアに警告してもよい。このような変化によって、供給が直ちに係合解除され、一方、真空システムの係合が維持又は開始されて、過剰な流体を口腔及びマウスピースから除去する結果となり得る。
【0147】
真空システム及び供給システムの順序タイミングシステムは、単一駆動(共有モーター)及び多重駆動(個別モーター)システムの双方で機能できる。真空システム及び供給システムの双方が同じモーターで動く場合、様々な方法で、相対システムの係合タイミングを達成できる。1つの方法は、真空及び供給ポンプシステムの一方又は双方において、ポンプ駆動システムとモーターとの間にクラッチを提供することである。使用可能で当該技術分野において既知の一般的なクラッチの種類は、遠心的、電子工学的、又は電磁気的なものである。クラッチは、供給システム、又は独立して真空システム(必須ではない)が動作すると係合解除され、システムの一方又は双方が必要とされると係合される。
【0148】
別の方法として、マウスピースの流入口又は流出口から、供給システム及び/又は真空システムの流出口を別の経路に切り替える、つまりバイパスすることでもよい。これは、駆動カム若しくは歯車システムにより、又は圧力リリーフバルブ(一定の相対圧力に達したときのみ作動する弁)により、又はこの双方の組み合わせにより機械的に作動する、弁付きシステムによって実施され得る。また、ソレノイド又はモーター駆動弁システムを用いて、電気的に作動させてもよい。
【0149】
更に別の方法として、ポンプ機構中に機械的遅延を起こすことでもよい。これは、ピストンポンプの供給行程を、真空ピストン係合に対して遅らせることによって達成できる。この例は、ピストンのシリンダーとの係合における摩擦成分が打ち勝つ前に、ピストンクランクに対して設定距離で供給ピストンを浮かし、その結果供給ピストンが移動し、流体供給が作動するものである。この例では、真空ピストンはクランクアームと強固に連結でき、クランクアームの移動に応じて直ちに開始される。真空及び供給の双方のクランクアームの移動は、モーターと確実に連携し、モーターの電源が入ると同時に移動を開始する。しかしながら、内蔵ピストンの遅延により、供給ピストンは真空を遅らせることができ、タイミング例で記載の様な利益をもたらす。
【0150】
真空及び供給ポンプシステムが別個の電源を有する場合、真空システム及び供給システムを別々に制御し、上述の同期化タイミング利益をもたらすことができる。1つの設計では、ユーザーによってスタートボタンが作動されると、真空ユニットモーターが電子制御を介して作動してよい。モーターは、設定した時間作動し、マウスピース内に陰圧を生じさせる。このとき、供給システムモーターは、作動され得ない。設定時間後、供給モーターも作動でき、供給ポンプシステムが駆動する。続いて、供給モーター及び真空モーターが、設定時間同時に作動する。設定時間後、供給システムモーターの動作を停止でき、ポンプ作用が止まる。設定時間、真空システムモーターは依然として係合したままであってよく、口腔及びマウスピースを空にする。設定時間経過後、真空システムモーター及び関連するポンプシステムも動作を停止でき、プロセスが完了する。ユーザーの口からマウスピースを外すことができ、結果として、たれ落ちや漏れが最小限となる。
【0151】
また上記例は、回転ポンプ、隔膜ポンプ、&蠕動ポンプが挙げられるが、これらに限定されない、独立して駆動するポンプシステムの任意の数、又は組み合わせによって達成することもできる。
【0152】
真空ピストン及び供給ピストンは、装置の構成要素(モーター、弁、封止など)の早期故障をもたらす恐れがある、あらゆる種類の部分的又は完全な閉塞を、いずれかが経験する場合に、リザーバ内に安全に液体を放出処分するための手段を有し得る。このことにより、安全かつ制御された動作が可能になり、主要な流れポートが損なわれている場合の過剰圧力を防止して、有効性に関する反復可能な装置の性能を可能にする。環境に対してではなく、局部リザーバ内に放出処分することによって、装置の外側への漏出可能性が最小限に抑えられる。
【0153】
温度制御
一実施形態では、流体の温度は、特定の範囲内に制御することができる。流体が過度に冷たい場合には、その液体は、ユーザーの口内で、不快感及び刺激感応性を引き起こす恐れがある。流体の温度が過度に高い場合には、その液体は、不快感、刺激感応性、及びユーザーの口に対する損傷を引き起こす恐れがある。本システムは、流体の温度が特定の限度を上回る場合には、実行しないことを確認することができる。温度が、特定の最小限度よりも低い場合には、発熱体が、温度を上昇させることができる。本システムは、流体の温度が特定の範囲内にない限りは、実行しないことを確認することができる。温度のフィードバックは、サーミスタ、熱電対、IR、又は他の温度監視手段で提供することができるが、これらに限定されない。この情報は、論理(AI)システムにフィードバックすることができる。
【0154】
駆動システムは、特定の温度範囲に流体を加熱するための手段を含み得る。流体は、本システムの1つ以上の場所で、加熱することができる。流体を加熱する方法としては、誘導素子、放射素子、セラミック素子、管状封止発熱体(例えば、ステンレス鋼又は黄銅で作製された管の内部に封止される、絶縁結合剤(MgO、アルミナ粉末)中のニッケルクロム線の微細コイル)、シリコーンヒーター、マイカヒーター、又は赤外線ヒーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
流体分離
装置の効率を最適化するために、空気/流体分離が必要である。空気は、真空システムによって装置内に流体が分配されると引き込まれ、供給システムを通じてマウスピースに再送される前に流体から分離されなければならない。システム内に存在する空気が多すぎる場合、ポンプシステムのプライミングが欠如する可能性がある。また、システム中の流体に対する空気の圧縮率により、流体速度及びポンプ効率の低下が起こることもある。1回の洗浄行為に要する流体量を最小限にしようとすると、この問題がより深刻になり得る。この流体量が少なくなると、空気を流体から分離できる時間が少なくなる。動作中、流体に混入される空気量に対処し、制御するために、以下の方法及び手技の一部を単独で又は組み合わせて、並びに当該技術分野において既知ではあるが本明細書では言及していない他の方法を利用し、装置寸法及び用いる流体量を最小限にしつつも、流体中空気含量の制御において所望の結果を達成することができる。
【0156】
場合によっては、洗浄液及び又は処理液は、消泡剤を含有する。これらの剤は、空気の混入が起こるのを妨げることにより、泡が流体中に形成されるのを防ぐ。また、消泡剤を用いて、泡が形成された場合に発泡(気泡)を壊してもよい。この目的で通常用いられる剤の1つは、シメチコンとしても知られるポリ(ジメチルシロキサン)、二酸化ケイ素である。シメチコンは、気泡の表面張力を低下させて、より大きい泡に集約し、流体からより容易に除去すること/破裂させることができる。Listerine Cool Mintマウスウォッシュに対するシメチコンの影響を、200mLのListerine Cool Mintマウスウォッシュで試験した。300mL容の瓶2本に、マウスウォッシュを入れた。1本の瓶では、250mgのシメチコンをマウスウォッシュに加えた。2本目の瓶には何も加えなかった(対照)。空気漏れがないように両方の瓶に蓋をしてしっかりと締め、200mLのマウスウォッシュに対しておおよそ100mLの空気を捕捉した。両方の瓶を激しく10秒間振盪した。その結果、対照(マウスウォッシュのみ)を振盪すると相当量の空気が混入され、振盪停止直後に測定したとき、おおよそ80mLの体積の泡が形成された。比較して、シメチコン処理マウスウォッシュは、2mL未満の泡が測定され、実質上泡形成がなかった。
【0157】
シリコーン消泡添加剤も、処方中で泡の破壊に一般に用いられる。低粘度の流体は、典型的に発泡に対する耐性が高い。なお、消泡(defoaming)剤及び消泡(antifoaming)剤は、よく互換的に使用される。いくつかの現在知られている消泡剤は、油系、シリコーン系、エチレンオキシド系、プロピレンオキシド系、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールコポリマー(copolymes)、並びに/又はアルキルポリアクリレートを含む消泡剤(defomers)であってよい。
【0158】
また、装置における機械的気泡/泡破裂及び空気解放構造を用いて、流れ内の気泡を破裂、解放させてもよい。機械的構造として、スクリーン及び流れバリアが挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
流体分離器とも呼ばれる遠心分離器、及び機械的分離器を用いて、装置中で泡を壊してもよい。これらの装置は、遠心運動及び重力を利用して、空気から流体を追い出す。凝縮物が、供給システムによってくみ取られるまで溜められる分離器の皿、つまりリザーバの底に落ちるのに足る質量を獲得すると、回転によって、流体が遠心分離器の壁部に集められる。このシステムは、サイクロン分離器又は液体サイクロンと記載されることもある。
【0160】
また、空気を自由に通過させられるが流体流は通過させない通気性膜を用いて、装置内で泡を壊してもよい。
【0161】
一実施形態では、ハンドピースは、再充電可能な電池を有する内蔵型携帯ユニットであり、流体供給のためのモーター駆動ピストンポンプを有し、流体流を制御するための機構を有し、特定の範囲内に温度を維持し、モジュラー式の設計であり、ユーザーの手に非常に適したエルゴノミクスを有する。ハンドピースが、基部ステーション内にある場合、そのハンドピースは、電池を再充電し、基部ステーション内の液体リザーバからハンドピース内の液体リザーバに再充填し、サンプル及び/又は診断情報を基部ステーションと交換する。これはまた洗浄プロセスを経てもよい。
【0162】
図10a〜10dは、本発明による歯洗浄システム2000の実施形態の代表例を示す。図は、歯洗浄システム2000を示し、ハンドピース2220、基部ステーション2240、及び基部ステーション流体リザーバ2250を示す。基部ステーション流体リザーバ2250を使用して、ハンドピース2220内の流体リザーバを再充填する。適用トレー2100が、ハンドピース2220に取り付けられて示される。
【0163】
この実施形態では、基部ステーション流体ポート2245は、洗浄液又は処理液が、基部ステーション流体リザーバ2250から、ハンドピース2220内の流体リザーバへと通過する、導管である。流体は、基部ステーション流体リザーバポート2255を通って、基部ステーション流体リザーバ2250を出て、ハンドピースポート2225を通って、ハンドピース2220内の流体リザーバに入る。
【0164】
基部ステーション2240内にあるとき、ハンドピース2220の内部電池が再充電され、ハンドピース2220内の流体リザーバが、基部ステーション2240内の流体リザーバから再充填される。ハンドピース2220内のあらゆる診断情報が、基部ステーション2240と交換される。ハンドピース2220はまた、洗浄プロセスを経ることもできる。
【0165】
他の実施形態において、逆止弁を有するピストンポンプは、流体供給のために使用される。
【0166】
更に他の実施形態において、回転ピストンポンプが流体供給のために使用される。ポンプは当業者にとって既知であり、ピストンはこれが往復運動するとともに回転し、したがって動作にいずれの弁も必要としない。駆動モーターの回転方向を反転させると、流体流の方向が反転する。
【0167】
更に他の実施形態では、隔膜ポンプ、歯車ポンプ、又は複動ピストンポンプが、流体供給のために使用される。複動ピストンポンプの場合、流体システムが充填される際に、このポンプの種類はマウスピースへの流体流の方向を往復運動させる利益を有する。給気気圧シリンダー、ハンドポンプ、又は回転ポンプが、システムを駆動するために使用され得る。
【0168】
本発明によるハンドピースの別の実施形態を、図11a〜11bに示す。この実施形態では、ハンドピース4000は、ポンプ部分、真空部分、往復運動部分、流体貯蔵部分、並びにポンプ部分及び真空部分の双方を駆動する単一駆動ポンプを含む、モジュラー式の設計である。この実施形態では、手持ち式流体口腔ケア洗浄装置の改善された制御性、快適性、簡素化、及び小型化を可能にする。本発明はまた、流体手持ち式システムの改善されたエルゴノミクス、コンパクト性、審美性、及び携帯性ももたらす。また、流体流切り替えシステムは、リニアモーターの直線運動を回転式流れ切り替えディスクの駆動に必要な回転運動に変換することによって、最大限に機能を提供しながら、必要な空間及び電力を最小限とするように設計される。
【0169】
ハンドピース4000は、分離プレート4426で分けられる上部及び下部を有する外殻4002を備える。ハンドピース4000の上部は、マウスピース収容部4004と、入口/出口パイプ4010a及び4010bと、上部制御弁アセンブリ4030と、底部制御弁アセンブリ4040と、往復式流量制御装置4050と、供給シリンダー4062と、真空シリンダー4072と、真空流管4082及び4084と、供給流管4086と、を備える。供給シリンダー4062は、供給ロッド4066に接続される供給ピストン4064を備える。真空シリンダー4072は、真空ロッド4076に接続される真空ピストン4074を備える。
【0170】
ハンドピース4000の下部は、リニアモーター4420と、電源4430と、を備える。リニアモーター4420は、駆動ロッド4422に接続され、順に駆動プレート4424に接続される。図11bに示すように、駆動プレート4424は、供給ロッド4066と真空ロッド4076の双方に接続されるため、単一のリニアモーター4420がポンプ部分及び真空部分の双方を駆動する。供給ロッド4066及び真空ロッド4076の双方は、分離プレート4426を通過する。
【0171】
この実施形態では、供給シリンダー4062及び真空シリンダー4072は横並びの構成で示されるが、これらのシリンダーを上下に並んだ構成としてもよい。この実施形態では、供給システム体積流量は、駆動ロッド4422の1回の行程で示される真空のおおよそ3分の1である。
【0172】
リニアモーター4420の駆動ロッド4422は、図11a及び11bに示すように、可動コイル/固定磁石、又は可動磁石/固定コイルのいずれかに接続できる。リニアモーターは単極、双極、又は多極であってよく、電子制御装置によって駆動してもよい。
【0173】
図11a及び11bでは、電源4430が電池の形状で示される。電池は使い捨てであっても充電式であってもよい。また、電源4430は、交流(AC)を直流(DC)に変換する変圧器の形態であってもよいことが理解される。この場合、ハンドピース4000は電力コードを備える。
【0174】
局部リザーバは、供給シリンダー4062、真空シリンダー4072、及び流管(4082、4084、及び4086)の外側と、上部制御弁アセンブリ4030と底部制御弁アセンブリ4040との間の外殻4002の内側と、で囲むように位置される体積として画定される。この設計は、外殻4002内部の空隙の利用を最大限にし、ハンドピース4000の寸法を最小限にする。
【0175】
動作中、局部リザーバは、供給流管4086、及び上部制御弁アセンブリ4030中の一方向弁を通って、供給シリンダー4062に流体を供給する。これによって、局部リザーバから一方向の流れができ、駆動ロッド4422の戻り行程中に供給シリンダー4062を充填する。流体は、駆動ロッド4422の上り行程中に、上部制御弁アセンブリ4030中に位置する第2一方向弁を通過して、供給シリンダー4062から押し出される。流体は、往復式流量制御装置4050を流れ、ハンドピース4000のマウスピース収容部4004内に位置する二方向性入口/出口パイプ4010a及び4010bのいずれかから出て、マウスピース(図示せず)内に入る。
【0176】
図11a及び11bでは単動式で示しているが、供給シリンダー4062は単動式であっても複動式であってもよい。単動式の場合、供給ピストン4064上部の供給シリンダー4062の体積の流体が、マウスピースに供給される。複動式供給シリンダー4062は、マウスピースに流体を供給するのに、供給ピストン4064の上部及び下部の供給シリンダー4062の体積を利用する。これにより、上部制御弁アセンブリ4030又は底部制御弁アセンブリ4040のいずれかについて、一部変更が必要となる。
【0177】
図11a及び11bは、真空シリンダー4072を複動式として示す。複動式真空シリンダー4072は、マウスピースから流体を引くのに、真空ピストン4074の上部及び下部の真空シリンダー4072の体積を利用する。単動式の場合、真空ピストン4074上部の真空シリンダー4072の体積の流体が、マウスピースから引かれる。これにより、上部制御弁アセンブリ4030又は底部制御弁アセンブリ4040のいずれかについて、一部変更が必要となる。
【0178】
動作中、及び真空ピストン4074の戻り行程運動中、真空シリンダー4072は、二方向性入口/出口パイプ4010a及び4010bの一方を通って、マウスピースから流体及び空気を引く。流体は、往復式流量制御装置4050を通過し、上部制御弁アセンブリ4030中に位置する一方向弁を通過して流れ、真空ピストン4074上部の真空シリンダー4072の一部に入る。真空ピストン4074の上り行程において、真空ピストン4074上部の真空シリンダー4072の一部中の流体及び空気は、上部制御弁アセンブリ4030を通って押され、局部リザーバ内に流れが直接戻る。空気を大気に放出すると、流体を再び供給に利用できる。
【0179】
図11a及び11bに示す真空システムは複動式であるため、上り行程で真空ピストン4074が移動すると、二方向性入口/出口パイプ4010a及び4010bの一方を通って、マウスピースから流体及び空気が引かれる。流体は、往復式流量制御装置4050を通過し、上部制御弁アセンブリ4030中に位置する一方向弁を通過し、真空流管4084を通過して流れ、真空ピストン4074下部の真空シリンダー4072の一部に入る。次に、真空ピストン4074下部の真空シリンダー4072の一部は、戻り行程において空になり、真空流管4082を通過し、流体及び空気が再び上部制御弁アセンブリ4030を通って押され、局部リザーバ内に直接戻る。空気を大気に放出すると、流体を再び供給に利用できる。
【0180】
往復式流量制御装置4050は、流体を供給シリンダー4062から、及び真空を真空シリンダー4072から二方向性入口/出口パイプ4010a及び4010bの一方又は他方へ方向付けし、続いて、特定時間動作後、流れ方向を切り替える。これにより、適用トレーの液体接触チャンバ(LCC)内で往復運動する流体作用が生み出される。往復式流量制御装置4050は、リニアモーター4420によって駆動される。リニアモーター4420の直線運動を、当該技術分野において既知の技術を用いて、往復式流量制御装置4050中で回転運動に変換してよい。
【0181】
本発明によるハンドピースの実施形態を、図12a〜12eに示す。この実施形態では、ハンドピース5000は、ポンプ部分、真空部分、往復運動部分、流体貯蔵部分、並びにポンプ部分及び真空部分を駆動する二重駆動ポンプを含む、モジュラー式の設計である。この実施形態では、手持ち式流体口腔ケア洗浄装置の改善された制御性、快適性、簡素化及び小型化を可能にする。本発明はまた、流体手持ち式システムの改善されたエルゴノミクス、コンパクト性、審美性、及び携帯性ももたらす。加えて、供給及び真空ポンプシステムと比例的な寸法の多重リニアモーターを利用することにより、各個別システムの性能及び電力を向上させつつも、更なる寸法の縮小が可能である。また、流体流切り替えシステムは、リニアモーターの直線運動を回転式流れ切り替えディスクの駆動に必要な回転運動に変換することによって、最大限に機能を提供しながら、必要な空間及び電力を最小限とするように設計される。
【0182】
図12aは、本発明によるハンドピース5000の実施形態の上面後方斜視図である。図12bは、図12aの実施形態の切り欠き図であり、図12cは図12aの実施形態の分解図である。
【0183】
ハンドピース5000を示す図は、分離プレート5430で分けられる上部及び下部を有する外殻5002を備える。ハンドピース5000の上部は、マウスピース収容部5004と、入口/出口パイプ5010a及び5010bと、制御弁アセンブリ5300と、往復式流量制御装置5200と、供給体積5062と、供給リニアモーター5420と、真空体積5072と、真空リニアモーター5425と、を備える。供給体積5062は、供給ピストン5064を備える。真空体積5072は、真空ピストン5074を備える。
【0184】
外殻5002は、前方外殻部品5002a及び後方外殻部品5002bを有して示される。当然のことながら、外殻5002は単一の部品であってよい。
【0185】
ハンドピース5000の下部は、電源5530と、電子制御装置5535と、を備える。
【0186】
供給体積5062は、ここでは円筒として示される供給リニアモーター5420の開いた状態の体積として画定される。真空体積5072は、真空リニアモーター5425の開いた状態の体積として画定される。
【0187】
この実施形態では、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425は横並びの構成で示されるが、これらを上下に並んだ構成としてもよい。更に、真空体積5072は、供給体積5062より大きく示されている。しかしながら、真空体積5072は供給体積5062より小さくてもよく、又は体積は等量であってもよい。
【0188】
供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425は単極、双極、又は多極であってよく、電子制御装置によって駆動してもよい。真空システム又は供給システムのいずれかのモーターは、図に示すように可動磁石−固定コイルであっても、又は可動コイル−固定磁石、又はこの2つの組み合わせであってもよい。コイル及び磁石は、示されるように単極、双極であってよく、必要に応じて多極であってよい。この実施形態では、供給ピストン5064及び真空ピストン5074は、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425の可動磁石である。また、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425の外壁部は、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425の固定コイルによって取り囲まれる。
【0189】
図12bは、上り行程の最上部に同期する供給ピストン5064及び真空ピストン5074を示す。しかしながら、ピストンは同期して、つまり同じ周波数で動作させる必要はない。供給ピストン5064及び真空ピストン5074は、磁石ピストンに取り付けられる耐久性かつ耐摩耗性材料を備え、磁石をコイル内に誘導し、シリンダーへの所望の係合を提供して、真空及び供給圧力のためのピストン/シリンダー機能をもたらす。ピストンは、極間の電位差を連動かつ変化させて往復運動行動を引き起こすことによって、駆動される。パルス幅変調(PWM)を利用して、LM発熱を最小限にしつつも、システムに対するLM力を最大化し、電力消費を管理してよい。所望の周波数、行程及び力要件について最適化されるバネ及びその他構成要素を用いて、エネルギーシステムの対話を導入してよい。
【0190】
周波数、速度、供給システムに対する真空の加速を、独立して最適化できるため、各システムの制御性及び性能を上げることも可能である。システムを同期して、又は同期せずに動作させてよい。また、真空システムを供給システムとは異なる周波数で、互いに独立して、又は互いに同期して動作させてもよい。例えば、真空システムを供給システムの2倍の周波数で動作させ、必要に応じて真空度を増してよい。また、この独立システムに上記遅延を組み込むこともでき、真空システムが供給システムよりある程度前に開始され、その後供給システムの係合解除後しばらくしてから係合解除するようにしてよい。
【0191】
図12a及び12bでは、電源5530が電池の形状で示される。電池は使い捨てであっても充電式であってもよい。また、電源5530は、交流(AC)を直流(DC)に変換する変圧器の形態であってもよいことが理解される。この場合、ハンドピース5000は、電力コード、又は各使用前に充電されるコンデンサの形態を備える。
【0192】
局部リザーバ5086は、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425の外側、並びに上部制御弁アセンブリ5300と分離プレート5430との間の外殻5002の内側で囲むように位置される体積として画定される。この設計は、外殻5002内部の空隙の利用を最大限にし、ハンドピース5000の寸法を最小限にする。
【0193】
動作中、局部リザーバ5086は、供給体積5062に流体を供給する。これによって、局部リザーバ5086から一方向の流れができ、供給ピストン5064の下り行程中に供給体積5062を充填する。流体は、供給ピストン5064の上り行程中に、上部制御弁アセンブリ5300中に位置する一連の一方向弁を通過して、供給体積5062から押し出される。流体は、往復式流量制御装置5200を流れ、ハンドピース5000のマウスピース収容部5004内に位置する二方向性入口/出口パイプ5010a及び5010bのいずれかから出て、マウスピース(図示せず)内に入る。
【0194】
図12a及び12bでは単動式で示しているが、供給リニアモーター5420は単動式であっても複動式であってもよい。単動式の場合、供給ピストン5064上部の供給体積5062中の流体が、マウスピースに供給される。複動式供給リニアモーター5420は、マウスピースに流体を供給するのに、供給ピストン5064の上部及び下部の供給体積5062中の流体を利用する。これにより、制御弁アセンブリ5300について、一部変更が必要となる。
【0195】
図は更に、真空リニアモーター5425も単動式として示している。単動式シリンダーは、マウスピースから流体を引くのに、真空ピストン5074の上部の真空体積5072中の流体を利用する。複動式真空リニアモーター5425は、マウスピースから流体を引くのに、真空ピストン5074の上部及び下部の真空体積5072中の流体を利用する。これにより、制御弁アセンブリ5300のいずれかについて、一部変更が必要となる。
【0196】
動作中、供給ピストン5064の下り行程運動の間、供給体積5062は、局部リザーバ5086から流体を引き、制御弁アセンブリ5300中に位置する一方向弁を通過して、供給体積5062に入る。供給ピストン5064の上り行程において、供給体積5062中の流体は制御弁アセンブリ5300を通って押し出され、流れが、往復式流量制御装置5200を通過して方向づけられて、二方向性入口/出口パイプ5010a及び5010bの一方を通ってマウスピースに入る。
【0197】
真空ピストン5074の下り行程中、真空体積5072は、二方向性入口/出口パイプ5010a及び5010bの一方を通って、マウスピースから流体及び空気を引く。流体は、往復式流量制御装置5200を通過し、制御弁アセンブリ5300中に位置する一方向弁を通過して流れ、真空体積5072に入る。真空ピストン5074の上り行程において、真空体積5072中の流体及び空気は、制御弁アセンブリ5300を通って押され、局部リザーバ5086の上部に流れが直接戻る。空気を大気に放出すると、流体を再び供給に利用できる。
【0198】
往復運動流を伴う実施形態では、往復式流量制御装置5200は、流体を供給体積5062から、及び真空を真空体積5072から二方向性入口/出口パイプ5010a及び5010bの一方又は他方へ方向付けし、続いて、特定時間動作後、流れ方向を切り替える。これにより、適用トレーの流体接触チャンバ(LCC)内で往復運動する流体作用が生み出される。往復式流量制御装置5200は、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425によって駆動される。いずれかのリニアモーターの直線運動を、当該技術分野において既知の技術を用いて、往復式流量制御装置5200中で回転運動に変換してよい。
【0199】
図12dは、ハンドピース5000の局部リザーバ5086、往復式流量制御装置5200、制御弁アセンブリ5300、及びマウスピース収容部5004の上面後方分解図である。図12eは、ハンドピース5000の同一区分の底面後方分解図である。往復式流量制御装置5200は、分流ディスク5210、位置調節器5220、及び基部5240を有する。基部5240は、基部5240を横断する基部ポート5242及び5244、並びに基部5240の底面に位置する流路5246及び5248を有する。分流ディスク5210及び位置調節器5220は、基部5240とマウスピース収容部5004との間に配置され、供給ピストン5064の運動によって駆動され得る歯車状である。分流ディスク5210は、流体流を迂回させるパネル5216、並びに流路5212及び5214を有する。
【0200】
動作中、入ってくる流体、例えば、図1の管312中の流体は、基部ポート5244を通って往復式流量制御装置5200に入る。往復式流量制御装置5200の位置に応じて、流体は、流路5212又は5214のいずれかを通って流れ、マウスピース収容部5004の入口/出口パイプ5010a又は5010bいずれかを通過して往復式流量制御装置5200を出ていく。戻ってくる流体、例えば、図1の管334中の流体は、マウスピース収容部5004の入口/出口パイプ5010a又は5010bいずれかを通過して、往復式流量制御装置5200に再流入する。往復式流量制御装置5200の位置に応じて、流体は、流路5212又は5214のいずれかを通って流れ、図1の管322中の流体のように、基部ポート5242を通過して往復式流量制御装置5200を出ていく。
【0201】
図1の適用トレー100内の流体の往復運動は、往復式流量制御装置5200を第1位置と第2位置との間で切り替えることによって達成される。
【0202】
基部ポート5242及び5244の直径に対するパネル5216の幅が、往復式流量制御装置5200の性能にとって重要であることが見出された。パネル5216の幅が、いずれかの直径以上である場合、基部ポート5242及び5244の1つ以上が、往復運動の一部の間において、遮蔽又は分離される場合があり、最適以下の性能又は装置の故障を生じる。この状態を回避するために、パネル5216内にチャネルが位置してもよい。
【0203】
図12d及び12eは、制御弁アセンブリ5300の分解図も示す。制御弁アセンブリ5300は、第1プレート5320、第2プレート5340、第3プレート5360、及び第4プレート5390、並びに第1ガスケット5310、第2ガスケット5330、第3ガスケット5350、及び第4ガスケット5380を備える。第1ガスケット5310は、往復式流量制御装置5200の基部5240と第1プレート5320との間に配置される。第2ガスケット5330は、第1プレート5320と第2プレート5340との間に配置される。第3ガスケット5350は、第2プレート5340と第3プレート5360との間に配置される。第4ガスケット5380は、第3プレート5360と第4プレート5390との間に配置される。
【0204】
第1ガスケット5310は、第1ガスケット5310を横断するポート5312及び5314を有する。第1プレート5320は、第1プレート5320を横断するポート5322及び5324、並びに第1プレート5320の底面に位置する流路5326を有する。
【0205】
第2ガスケット5330は、第2ガスケット5330を横断するポート5332及び5336、並びに一方向フラップ弁5334を有する。第2プレート5340は、第2プレート5340を横断するポート5342、5344、及び5346、並びに第2プレート5340の底面に位置する流路5347及び5348を有する。
【0206】
第3ガスケット5350は、第3ガスケット5350を横断するポート5352、5354、5356及び5358を有する。第3プレート5360は、第3プレート5360を横断するポート5362、5364、5365、5366、5367、及び5368を有する。
【0207】
第4ガスケット5380は、第4ガスケット5380を横断するポート5384及び5386、並びに一方向フラップ弁5382、5385、5387、及び5388を有する。第4プレート5390は、第4プレート5390を横断するポート5392、5394、5395、5397、及び5398、並びに第4プレート5390の底面に位置する溝5391及び5393を有する。
【0208】
供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425は、第4プレート5390と供給分離プレート5430との間に配置される。供給リニアモーター5420の上部5421は、第4プレート5390の溝5391にフィットし、一方供給リニアモーター5420の底部5422は、供給分離プレート5430の孔5432にフィットする。真空リニアモーター5425の上部5426は、第4プレート5390の溝5393にフィットし、一方真空リニアモーター5425の底部5427は、供給分離プレート5430の孔5434にフィットする。局部リザーバ5086は、供給リニアモーター5420及び真空リニアモーター5425の外側、並びに第4プレート5390と分離プレート5430との間の外殻5002の内側で囲むように位置される体積として画定されることに留意されたい。
【0209】
動作中、供給ピストン5064の下り行程の間、流体は、局部リザーバ5086から、第4プレート5390のポート5395、第4ガスケット5380のフラップ弁5385、第3プレート5360のポート5365、及び第3ガスケット5350のポート5354を通過する。続いて流体は、第2プレート5340の流路5347に沿って伝わり、第3プレート5360のポート5364、第4ガスケット5380のポート5384、第4プレート5390のポート5394を通過してながれ、供給体積5062内に到達する。
【0210】
供給ピストン5064の上り行程において、供給体積5062中の流体は、第4プレート5390のポート5394、第4ガスケット5380のポート5384、第3プレート5360のポート5364、第3ガスケット5350のポート5354、第2プレート5340のポート5344、第2ガスケット5330のフラップ弁5334、第1プレート5320のポート5324、及び第1ガスケット5310のポート5314を通って押される。次に、流れは、基部5240の流路5248を介して往復式流量制御装置5200を通って方向づけられ、基部ポート5244、その後分流ディスク5210の流路5212又は5214のいずれかを通過して往復式流量制御装置5200を出て、二方向性入口/出口パイプ5010a及び5010bの一方を通ってマウスピースに入る。
【0211】
第4ガスケット5380上の一方向フラップ弁5385、及び第2ガスケット5330上の一方向フラップ弁5334は、供給ピストン5064の下り行程中における、局部リザーバ5086から供給体積5062への流体の一方向の流れ、及び供給ピストン5064の上り行程中における、供給体積5062から往復式流量制御装置5200への一方向の流れを確実にする。
【0212】
真空ピストン5074の下り行程中、流体は、マウスピースから二方向性入口/出口パイプ5010a及び5010bの一方を通って引かれ、分流ディスク5210の流路5212又は5214のいずれかを通って往復式流量制御装置5200に方向づけられ、基部5240の基部ポート5242を通過する。基部5240の流路5246を通過して流れた後、流体は往復式流量制御装置5200を出る。流体は、第1ガスケット5310のポート5312、第1プレート5320のポート5322、第2ガスケット5330のポート5332、第2プレート5340のポート5342、第3ガスケット5350のポート5352、第3プレート5360のポート5362、第4ガスケット5380の一方向フラップ弁5382、及び第4プレート5390のポート5392を通過し、真空体積5072内に到達する。
【0213】
真空ピストン5074の上り行程において、供給体積5062中の流体は、第4プレート5390のポート5398、第4ガスケット5380の一方向フラップ弁5388、第3プレート5360のポート5368、及び第3ガスケット5350のポート5358を通って押される。流体は、プレート5340の流路5348を通過し、第2ガスケットのポート5336内へ、第1プレート中のポート5326内へ流れ、続いて第2プレートのポート5346を通過し、第3ガスケットのポート5356を通過し、第3プレート中のポート5356を通過し、第4ガスケット中のポート5386を通過して、局部リザーバ5086内に到達する。
【0214】
第4ガスケット5380の一方向フラップ弁5382、5387、及び5388は、真空ピストン5074の下り行程中における、往復式流量制御装置5200から真空体積5072への流体の一方向の流れ、及び真空ピストン5074の上り行程中における、真空体積5072から局部リザーバ5086への一方向の流れを確実にする。
【0215】
〔実施の態様〕
(A)哺乳類の口腔に有益効果を提供するためのシステムであって、
該口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段であって、該流体が該有益効果をもたらすのに有効である、手段と、
該口腔の該複数の表面上に該流体を方向付けるための該手段に、該流体を提供するために好適であり、細長い形状を有する手持ち式装置であって、
該複数の表面にわたって該流体の往復運動を提供するための手段と、
該流体の該往復運動を制御するための手段と、
該システムを通過して該流体を移送するための手段と、
該流体を収容するリザーバと、
該流体の該往復運動を提供するための該手段を駆動するための手段と、
該システムを駆動するためのリニアモーターと、を備える、手持ち式装置と、を含み、
該流体の該往復運動を提供するための該手段は、流体を収容するシリンダー、及び、該シリンダー内で往復運動するピストンを有し、
前記リザーバは、前記シリンダーに流体を供給し、前記手持ち式装置の長手方向において、該流体の該往復運動を提供するための該手段と同一の位置に、且つ、前記手持ち式装置の長手方向に対し直交方向において、該流体の該往復運動を提供するための該手段に隣接する位置に、配置される、システム。
(1) 哺乳類の口腔に有益効果を提供するためのシステムであって、
該口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段であって、該流体が該有益効果をもたらすのに有効である、手段と、
該口腔の該複数の表面上に該流体を方向付けるための該手段に、該流体を提供するために好適な手持ち式装置であって、
該複数の表面にわたって該流体の往復運動を提供するための手段と、
該流体の該往復運動を制御するための手段と、
該システムを通過して該流体を移送するための手段と、
該流体を収容するリザーバと、
該流体の該往復運動を提供するための該手段を駆動するための手段と、
該システムを駆動するためのリニアモーターと、を備える、手持ち式装置と、を含む、システム。
(2) 前記制御手段が、前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段へ、また、その前記手段から前記流体を移送するための手段を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段に、前記手持ち式装置を取り付けるための手段を含む、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記複数の表面にわたって前記流体の往復運動を提供するための前記手段、前記流体の前記往復運動を制御するための前記手段、前記システムを通過して前記流体を移送するための前記手段、前記流体を収容する前記リザーバ、前記流体の前記往復運動を提供するための前記手段を駆動するための前記手段、及び前記システムを駆動するための前記リニアモーターが、ハウジング内に収容される、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記手持ち式装置に取り外し可能に又は固定して取り付けられる、実施態様1に記載のシステム。
【0216】
(6) 前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記ハウジングに取り外し可能に又は固定して取り付けられる、実施態様4に記載のシステム。
(7) 口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段に、該流体を提供するために好適な手持ち式装置であって、該流体が該口腔に有益効果を提供するのに有効であり、
該複数の表面にわたって該流体の往復運動を提供するための手段と、
該流体の該往復運動を制御するための手段と、
該システムを通過して該流体を移送するための手段と、
該流体を収容するリザーバと、
該流体の該往復運動を提供するための該手段を駆動するための手段と、
該装置を駆動するためのリニアモーターと、を含む、手持ち式装置。
(8) 前記制御手段が、前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段へ、また、その前記手段から前記流体を移送するための手段を含む、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段に、前記手持ち式装置を取り付けるための手段を含む、実施態様7に記載の装置。
(10) 前記複数の表面にわたって前記流体の往復運動を提供するための前記手段、前記流体の前記往復運動を制御するための前記手段、前記システムを通過して前記流体を移送するための前記手段、前記流体を収容する前記リザーバ、前記流体の前記往復運動を提供するための前記手段を駆動するための前記手段、及び前記装置を駆動するための前記リニアモーターが、ハウジング内に収容される、実施態様7に記載の装置。
【0217】
(11) 前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記手持ち式装置に取り外し可能に又は固定して取り付けられる、実施態様7に記載の装置。
(12) 前記口腔の前記複数の表面上に前記流体を方向付けるための前記手段が、前記ハウジングに取り外し可能に又は固定して取り付けられる、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記リニアモーターを複数含む、実施態様1に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e