(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980820
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電動スキンブラシ器具のためのブラシヘッド
(51)【国際特許分類】
A46B 7/08 20060101AFI20160818BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20160818BHJP
A46B 9/02 20060101ALI20160818BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
A46B7/08
A46B13/02
A46B9/02
A45D44/22 B
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-558054(P2013-558054)
(86)(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公表番号】特表2014-508008(P2014-508008A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】US2012028083
(87)【国際公開番号】WO2012125370
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】13/047,611
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513233425
【氏名又は名称】パシフィック・バイオサイエンス・ラボラトリーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ブルワー,ジェラルド・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】アクリッジ,ロバート・イー
(72)【発明者】
【氏名】ピルチャー,ケネス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】レイシュス,リチャード・エイ
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6032313(US,A)
【文献】
特表2008−503325(JP,A)
【文献】
特表2010−502899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00−17/08
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の駆動部材を有する駆動装置を含む動力スキンブラシ器具で使用されるブラシヘッドであって、
前記駆動装置に取付け可能であって、動作時に、前記駆動装置に応答して、選択された角度にわたり及び選択された周波数で、往復するように揺動する移動部を有する基部アセンブリと、
前記基部アセンブリの前記移動部に取り付けられた、少なくとも第1および第2の同軸環状揺動フィラメント毛束群とを備え、前記第1および第2の揺動フィラメント毛束群は同じ前記移動部に取り付けられ、前記第1および第2の揺動フィラメント毛束群の各々は、フィラメント毛束の少なくとも1つのリングを備え、前記第1および第2の揺動フィラメント毛束群内の前記フィラメント毛束がそれぞれ異なる物理的特徴を有することによって前記第1および第2の揺動フィラメント毛束群を構成するフィラメント間に剛性の差が生じ、濡れたときに前記第1の揺動フィラメント毛束群のフィラメント先端と前記第2の揺動フィラメント毛束群のフィラメント先端との間に異位相の動きを生じる、ブラシヘッド。
【請求項2】
前記基部アセンブリが、内側の前記移動部の周囲に固定環状外側部を含み、前記ブラシヘッドが、前記固定環状外側部に環状リングを形成するように取り付けられる固定毛束群を含む、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記異位相の動きが、前記揺動フィラメント毛束群を構成する前記フィラメントの先端間において、相対的に横方向の0.06インチ(0.152cm)の変位を生じるのに十分である、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
前記異位相の動きが少なくとも15°である、請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項5】
前記異位相の動きが逆回転である、請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項6】
前記基部アセンブリの前記移動部に取り付けられた第3の同軸環状揺動フィラメント毛束群を含み、各揺動フィラメント毛束群がフィラメント毛束の2つの隣接環状リングを含み、3つの前記揺動フィラメント毛束群間で異なる前記物理的特徴が、1つのフィラメント毛束群のフィラメント先端を他の2つの揺動フィラメント毛束群のフィラメント先端に対して実質的に逆向きに揺動させる、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項7】
前記物理的特徴がフィラメントの直径であり、前記第1の揺動フィラメント毛束群が、最も外側の群であって、3ミル(0.076mm)の直径を有するフィラメントを備え、前記第2の揺動フィラメント毛束群が、中央の群であって、4ミル(0.102mm)の直径を有するフィラメントを備え、前記第3の揺動フィラメント毛束群が、最も内側の群であって、5ミル(0.127mm)の直径を有するフィラメントを備え、前記第3の揺動フィラメント毛束群内のフィラメントの先端が前記第1および第2の揺動フィラメント毛束群内の前記フィラメントの先端に対して逆向きに揺動するように前記第1、第2、および第3の揺動フィラメント毛束群が構成される、請求項6に記載のブラシヘッド。
【請求項8】
前記フィラメントの長さが約0.375mmである、請求項7に記載のブラシヘッド。
【請求項9】
前記第1の揺動フィラメント毛束群が、その各環状リング内に約24本の毛束と148〜160本のフィラメントとを備え、前記第2の揺動フィラメント毛束群が、その各環状リング内に約14本の毛束と85〜95本のフィラメントとを備え、前記第3の揺動フィラメント毛束群が、その各環状リング内に約10本の毛束と50〜60本のフィラメントとを備える、請求項7に記載のブラシヘッド。
【請求項10】
前記物理的特徴が、前記フィラメントを構成する材料であり、前記揺動フィラメント毛束群内のフィラメントの間で異なる材料が、前記第1の揺動フィラメント毛束群のフィラメント先端と前記第2の揺動フィラメント毛束群のフィラメント先端との間に前記異位相の動きを生じる剛性の差をもたらす、請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項11】
前記物理的特徴が長さであり、前記基部アセンブリは、連続する前記揺動フィラメント毛束群の間で異なるフィラメントの長さが、前記剛性の差を生じさせるように構成される、請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項12】
前記基部アセンブリが凹状の形態を有する、請求項11に記載のブラシヘッド。
【請求項13】
前記基部アセンブリが凸状の形態を有する、請求項11に記載のブラシヘッド。
【請求項14】
前記物理的特徴が、以下の特徴、すなわち、(1)フィラメントの直径、(2)フィラメントの材料、および(3)フィラメントの長さのうちの少なくとも2つを含む、請求項2に記載のブラシヘッド。
【請求項15】
同一の物理的特徴が、3つの前記揺動フィラメント毛束群のうちの少なくとも2つの間で異なる、請求項6に記載のブラシヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は一般に、動力スキンブラシ器具に関し、より詳細には、当該器具のブラシヘッド部に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]動力スキンケアブラシ、たとえば顔面部位の洗浄に有用な動力スキンケアブラシは、典型的に、1つまたは複数の駆動軸、伝動装置、およびモータなどにより直接駆動される。スキンブラシは、典型的に、一斉に動く複数のブラシ用毛(bristle)/フィラメントの毛束を備えた単一のブラシヘッドを含む。ブラシヘッドの中には、一方向に連続して回転(360°)するものもあれば、選択された角度にわたって揺動するものもある。高周波スキンブラシは、しばしば、音波ブラシまたは音波周波ブラシと称される。典型的に、このようなブラシの周波数範囲は120〜300Hzであり、通常、毛の揺動に加え、毛の先端に多少のわずかな撓みまたは鞭打つような動きが生じる。このような別個の毛先端の運動は、通常、低速の摺洗式(scrub-type)ブラシでは生じない。このような音波スキンブラシ器具およびブラシヘッドの例は、本発明の譲受人により所有され、その内容が引用により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,320,691号に記載されている。
【0003】
[0003]場合により、ブラシヘッドおよび駆動装置は、ブラシヘッドの毛領域の部分が、他の部分とは異なる方向に動くか、または異位相の態様で動くように構成される。このような独特の運動は、不快感をより低減しつつ、より良好な洗浄を生じ得ることを含め、顔面の清浄に利点を有することが考えられる。このような動作を生じるための器具が、米国特許第6,032,313号に示されている。ブラシヘッドアセンブリは、いくつかの同軸ブラシ領域部を含み、これらは別個の機械的手段により個別に駆動される。しかしながら、これは、複雑な駆動構造であるばかりか、雑音および摩耗が生じることから、音速器具に特に適しているとも言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]ブラシヘッド構造が、ブラシ用毛の毛束の異なる群間で異位相のおよび/または逆回転の動作をもたらしつつ、単一の駆動機構により駆動されることが、やはり望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]したがって、単一の駆動部材を有する駆動装置を含む動力スキンブラシ器具で使用されるブラシヘッドは、駆動装置に取付け可能であって、動作時に、駆動装置に応答して、選択された角度にわたり、かつ、選択された周波数で、往復するように揺動する移動部を有する基部アセンブリと、基部アセンブリの移動部上に取り付けられた、少なくとも第1および第2の同軸環状揺動フィラメント毛束群とを備え、第1および第2の揺動フィラメント毛束群の各々は、フィラメント毛束の少なくとも1つのリングを備え、第1および第2の揺動フィラメント毛束群内のフィラメント毛束はそれぞれ、十分に異なる物理的特徴を有することにより、第1および第2の揺動フィラメント毛束群を構成するフィラメント間に剛性差を生じ、濡れたときにその先端に異位相の動きを生じる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0006]毛領域ブラシヘッドを含む動力スキンブラシ器具の等角図である。
【
図2】[0007]本明細書に開示され、かつ、本明細書の請求項に係るブラシヘッドの配置を示す上面図である。
【
図3】[0008]
図1と同様の駆動機構上に位置付けられた、
図2のブラシヘッドの断面図である。
【
図4】[0009]実際のブラシ用毛の毛束を備えたブラシヘッドを示す斜視図である。
【
図5】[00010]
図2の実施形態の毛の動作の位相図である。
【
図6】[00011]ブラシヘッドが乾いた状態および「濡れた」状態のとき、負荷下および無負荷下の両方における、ブラシヘッドの振幅差を示す図である。
【
図7】[00012]様々な長さのブラシ用毛の毛束のためのブラシヘッドを示す断面図である。
【
図8】[00013]
図7のブラシヘッドに対する代替的ブラシヘッドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[00014]
図1は、動力スキンブラシ器具の全体を10で示す。この器具は、把持部12および着脱可能ブラシヘッド部14を含む。ブラシヘッド部14の配置および構成が、本説明および請求項の焦点である。分かりやすくするため、把持部12内に描かれているのは、充電式電池18により給電される駆動モータアセンブリ16などの、器具の動作構造である。器具の動作は、マイクロプロセッサ制御装置20により制御される。この器具はまた、オン/オフボタン22と、動力またはモード制御ボタン24とを含む。
図1の器具は、典型的には166〜186Hzの範囲の音波周波数でブラシヘッド14を作動させるように設計され、6〜12°の範囲内でブラシヘッドを往復するように揺動させる。しかしながら、これは、1つのこのような器具の構造および動作の一例であること、また、このような器具の構造、動作周波数、および揺動角を変化させてよいことが理解されるべきである。
【0008】
[00015]
図2〜
図4は、新規のブラシヘッド14と、特に、現時点で好ましい当該ブラシヘッドの一実施形態を示す。
図3を参照すると、ブラシヘッド14は、固定外側環状部30と可動中心部32とを含む基部アセンブリ28を含む。図示するこの実施形態において、固定環状部30は、1.97インチ(5.004cm)の外径と、1.26インチ(3.2cm)の内径とを有するが、これらの寸法は変化させてよい。ブラシヘッド基部アセンブリ28は、単一駆動軸38を介してモータ36により駆動される駆動ハブ34上に着脱可能に位置付けられるように配置される。このような構造は、本発明の譲受人によって所有され、その内容が引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,786,628号に、より詳細に図示および記載される。この配置において、駆動ハブ34と基部アセンブリ28との間の連結は、可動部32が、選択された音波の動力および周波数で、選択された角度にわたり、往復するように揺動する一方で、環状部30が定位置に固定されたままであるような連結である。固定部30が飛沫よけなどの一定の利点を有するものの、本件のブラシヘッドに必ずしも必要ではないことが理解されるべきである。
【0009】
[00016]好ましい実施形態のブラシヘッド14は、ブラシヘッドの固定部30内に取り付けられた、毛(bristle)/フィラメントの毛束の2つの固定環状リング42、44(
図2)を含む。典型的には、1つの配置において、各リングは約40本の毛束を含むものとするが、この数は変化させてよい。個々のフィラメントは、その直径および材料を含め、以下に記載するブラシヘッドの所望の動作に影響を及ぼさずに変化させることができる。一例が、0.004の直径を有し、DuPont Hytrel(登録商標) Supersoft(ポリエステル)材料でできたフィラメントである。2つの固定リング42および44を固定毛束リング群45と称する。
【0010】
[00017]このブラシヘッドは、3つの揺動毛束リング群も含み、これらの揺動毛束リング群は同軸であって、各々が、フィラメント毛束の2つの個々の完全な環状リングを備える。これらは、第1の揺動毛束リング群47と、第2の揺動毛束リング群49と、第3の毛束リング群51とを含む。第1の揺動毛束リング群47は、外側揺動毛束リング群とも称され、第1の揺動毛束リング群を構成するフィラメント毛束の2つの環状リング52と54との間において、約0.5インチ(1.27cm)の中央値直径(midpoint diameter)を有する。外側揺動毛束リング群は、約3ミル(0.076mm)の直径を有するフィラメントを備えた個々の毛束を有する。各環状リングは、約24本の毛束を有し、全部で148〜160本のフィラメントを有する。外側揺動毛束リング群内のフィラメントの直径(3ミル(0.076mm))により、比較的柔らかでやさしい感触が皮膚にもたらされる。
【0011】
[00018]第2の揺動毛束リング群49は、中央揺動毛束リング群とも称され、同じくフィラメント毛束の2つの同軸環状リング58および60を備える。図示する実施形態における中央揺動毛束リング群のフィラメントは、約4ミル(0.102mm)の直径を有する。中央揺動毛束リング群の中央値直径は、約0.35インチ(0.889cm)である。各環状毛束リングは、図示する実施形態において、14本の毛束と85〜95本のフィラメントとを備える。
【0012】
[00019]第3の揺動毛束リング群51は、内側揺動毛束リング群とも称され、約5ミル(0.127mm)の直径を有する個々のフィラメントを備えた2つの同軸環状毛束リング68および70を備える。図示する実施形態において、内側揺動毛束リング群の中央値直径は、約0.196インチ(0.498cm)である。各環状リングは、図示する実施形態において、約10本の毛束と50〜60本のフィラメントとを備える。
【0013】
[00020]内側揺動毛束リング群のフィラメントは、他の揺動毛束リング群内のフィラメントよりも高い剛性を有し、効果的な清浄の成果を生じるのに役立つ。図示する実施形態において、フィラメント材料は、DuPont Hytrel(登録商標) supersoft(ポリエステル)であり、フィラメントは0.375mmの長さを有するが、これは変化させてよい。たとえば0.325mmの長さもまた、所望の作用をもたらす。
【0014】
[00021]外側、中央、および内側の揺動毛束リング群の配置、構成、および構造はそれぞれ、1つの揺動毛束リング群内の毛束間において、他の揺動毛束リング群の1つまたは両方内にある毛束に対し、剛性差をもたらすようなものとする。毛束およびフィラメントの剛性の差は、1つの揺動毛束リング群が、他の揺動毛束リング群に対して異位相の運動を生じ、場合によっては逆回転を生じるのに十分である。上述の実施形態では、上記の材料で3つの異なる直径のフィラメントを用いると、内側揺動毛束リング群において、濡れたときに、フィラメント間、特にフィラメントの先端間に、中央および外側の揺動毛束リング群に対してほぼ逆回転が生じる。外側および中央の揺動毛束リング群は、比較的小さな量、典型的には30°〜40°ほどにすぎないが、互いに対して若干異位相の状態にある。しかしながら、一般的には、構成、寸法、または材料の差により、それぞれの揺動毛束リング群内のフィラメント間に剛性差が生じ、濡れた状態にあるフィラメントの先端間に異位相の関係を生じ、それによって0.06インチ(0.152cm)の相対的な(異位相の)先端変位が生じて、結果的に0.6グラムの横力を皮膚に生じれば十分である。所望の先端変位を生じるような異位相の配置が有する1つの利点とは、動作時に同様の先端変位を生じる他のブラシと比較すると、内側揺動毛束群の動作の改善により、ブラシの表面全体にわたってより均一な洗浄が得られる点である。また、異位相の配置は、外側揺動毛束群内のフィラメントの直径がより小さいことにより、より良好で、より効果的な皮膚の毛穴の洗浄をも生じる。フィラメント(毛)先端の異位相の動作により、フィラメントの隣接列同士の間の剪断力も高められる。
【0015】
[00022]図示する実施形態において、1つまたは複数の揺動毛束群の、他の揺動毛束群に対する異位相の動作は、快適さを維持しつつ所望の清浄効果をもたらすように、少なくとも15°、好ましくは、少なくとも50〜60°である。
図6は、濡れた状態と乾いた状態との間、および負荷下/無負荷下の間での、特定のブラシヘッド(6リング、0.375mm)におけるフィラメント先端の動作の差を示す。このブラシヘッドの配置により生じる、異位相の動作は、ブラシヘッドのフィラメントが濡れていて負荷下にある(皮膚に接して位置付けられる)ときに最も顕著である。
図2〜
図4の実施形態のフィラメントの構成/寸法は、上述の通り、皮膚の効果的な清浄に伴い、やさしく快適な感触を生じる。このことは、
図2〜
図4の実施形態の場合、外側毛束リング内のフィラメントが3ミル(0.076mm)の直径で比較的柔軟であること、中央リングのフィラメント毛束が4ミル(0.102mm)で若干より高い剛性を有すること、および内側リングのフィラメントが5ミル(0.127mm)の直径で適度に剛性を有することにより達成される。フィラメントが束ねられている穴は、典型的に同一の直径を有するが、わずかに異なる毛束曲げ効果を得るように、直径を若干変化させてもよい。±50%の変動は、ステープル打ち込み技術の毛束穴の変更例として珍しいものではない。溶融またはインモールド成形のブラシ製造技術を用いる場合、毛束穴の、より大きな穴のサイズおよび形状が可能である。穴内におけるフィラメントのパッキングファクタ(packing factor)は、穴の形状と同じく、剛性に影響を及ぼし得る。パッキングは、毛束内に好ましい数のフィラメントを保つのに重要である。同一効果が得られる範囲で、上記のフィラメントの直径を若干変化させてよい。
【0016】
[00023]
図5は、動作中における、
図2〜
図4のブラシヘッドの異位相の関係を示す。フィラメントが濡れた状態で、個々のフィラメントの先端に関する異位相の関係が示されている。ブラシヘッド基部アセンブリの揺動部の外側部および中心部の運動を、それぞれ76および78に表示する。揺動ブラシヘッド基部アセンブリの中心部および外側部の動きは、予想通り全く同じ位相であるが、ブラシヘッド基部アセンブリの当該2つの部分の半径が異なるため、当該動きの振幅は異なる。ブラシヘッド基部アセンブリは、動作時に、静止位置からその揺動する行程の一方端まで進んで静止位置に戻り、次にその揺動する行程の他方端まで進んでから、最後に静止位置に戻るように、駆動装置により揺動する。
【0017】
[00024]揺動する3つの毛束リング群内のフィラメントの直径が異なると、中央および外側の毛束リング群内のフィラメントの濡れた先端は、80および82の線図で示すように、おそらく30°〜40°だけ互いに異位相であり、その一方で、内側揺動毛束リング群内の濡れたフィラメントの先端は、線図の84に示すように、中央および外側リング群のフィラメントと十分に異位相であるため、基本的に逆向きの揺動を生じる。これ以外の異位相の関係を、フィラメントの直径を若干異なるように変化させることによって得ることができるが、所望の効果を生じるように少なくとも15°の異位相の関係を生じることが重要である。
【0018】
[00025]フィラメント間で必要な剛性差を生じてフィラメント先端に所要の異位相の運動を生じる要因となる、直径差および毛束当たりの毛の数の差に加え、フィラメントの他の物理的特徴を変化させて、必要な剛性差を生じることもできる。他の物理的特徴には、フィラメントの材料と、フィラメントの個々の長さとが含まれる。しかしながら、この差は、揺動毛束リング群の1つと、他の揺動毛束リング群の少なくとも1つとの間に少なくとも15°の異位相の関係をもたらして効果的な結果を生じるために、十分なものでなければならない。一例として、濡れたときに毛の先端が所望の異位相の運動を生じるように、3つの揺動毛束リング群内のフィラメントをそれぞれ、中実で円形(断面)のナイロン材料(最も剛性が高い)、中実で円形のポリエステル材料、および中空で円形のポリエステル材料(最も柔軟)で構成することができる。
【0019】
[00026]別の変更例は、個々のフィラメントの長さに関する。毛の先端が実質的に同一平面上にあることが望ましいため、個々の毛の長さは、基部アセンブリの構成を変化させることによって得られる。たとえば1つの配置において、基部要素は、
図8に示すように凸状構成を有する。基部を90に示し、個々のフィラメントを92に示す。この場合、所望の異位相の関係を得るために、フィラメントの直径は4ミル(0.102mm)であり、DuPont Hytrel(登録商標) supersoftのポリエステル材料を使用し、第1(内側)の揺動毛束群93の概算長さは0.325インチ(0.826cm)であり、第2の揺動毛束リング群95の概算長さは0.375インチ(0.953cm)であり、第3(外側)の揺動毛束リング群97の概算長さは0.460インチ(1.168cm)であるものとする。所望する皮膚の洗浄効果または所望のピーリング効果に応じて、
図7に示す、基部94およびフィラメント96を備える凹状の基部アセンブリ構成により、逆の剛性効果を得てもよい。凹状および凸状の基部アセンブリ構成の双方について、階段状の基部アセンブリ構成を用いてもよい。
【0020】
[00027]さらに別の変更例として、好ましい実施形態では3つの揺動毛束リング群が存在する一方で、2つの揺動毛束リング群、または4つ以上、たとえば4つ、あるいは6つに及ぶ毛束リング群が存在してよいことが理解されるべきである。またさらには、図示する配置が、固定毛束リング群および各揺動毛束リング群を構成する2つの個々の毛束リングを用いているが、1つもしくは複数の毛束リング群内に単一の毛束リングを、または、これ以外の場合、3つ以上の毛束リングを用いることができる。ここでも同様に、配置は、各毛束リング群を構成するフィラメント(濡れたとき)の先端間に異位相の運動を生じるように、揺動毛束リング群内のフィラメント間に剛性の十分な差を得るものでなければならない。場合によっては、異位相の関係が、1つの揺動毛束リング群内のフィラメントと、他の揺動毛束リング群内のフィラメントとの間で逆回転を生じるために十分なものである。
【0021】
[00028]
図2〜
図4の配置と、開示されたフィラメントの特定的な直径とが、皮膚、特に顔面領域の洗浄に効果的でありながらも、皮膚にやさしい結果的作用を生じるが、これ以外の皮膚効果を生じるように、異なる剛性配置を有する他のフィラメント配置を用いてよいことが理解されるべきである。たとえば、フィラメントは、効果的な清浄が得られるよう異位相の先端の動きを依然として有しつつも、効果的なピーリングをもたらすよう、外側揺動毛束リング群内のより大きな直径のフィラメントのように、剛性をより高くすることができる。
【0022】
[00029]このようにして、複数の同軸揺動毛束リング群を用い、それぞれのリング群内の毛束間に剛性差をもたらすように製造または構成されたフィラメントを有する個々の毛束が、濡れたときに毛の先端に異位相の効果、さらには逆回転効果をも生じ、顔面の洗浄にやさしく快適な感触を生じながらも、ブラシヘッドの効果性が結果的に高まる、新規のブラシヘッド装置を開示した。
【0023】
[00030]この発明の好ましい実施形態を例示の目的で開示したが、添付の請求項により規定されるこの発明の精神から逸脱することなく、種々の変更、改良、および置換が実施形態に組み込まれてよいことが理解されるべきである。