(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980876
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】体液を抜き取る装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20160818BHJP
A61B 5/15 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
A61B5/14 300D
A61B5/14 300J
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-216593(P2014-216593)
(22)【出願日】2014年10月23日
(62)【分割の表示】特願2010-545505(P2010-545505)の分割
【原出願日】2009年2月11日
(65)【公開番号】特開2015-42290(P2015-42290A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2014年10月23日
(31)【優先権主張番号】08151294.9
(32)【優先日】2008年2月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リスト、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】レーデル、ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ホラウフ、クリスチアン
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/073870(WO,A2)
【文献】
特表2006−517804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/151
A61B 5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の部分(17)の皮膚を穿刺できる切開エレメント(14)を備えた、体液抜き取り装置であって、
皮膚の穿刺から得られた体液のための受け取り構造(18)と、
前記切開エレメント(14)の前進動作および引き抜き動作のための切開駆動部(12)とを有し、
前記切開エレメント(14)の先端(16)が、前記前進動作によって、皮膚表面から、前記皮膚(17)の性質に応じて選択される最大の切開の深さ(d)まで貫入し、
前記切開駆動部(12)が、前記引き抜き動作の第1引抜段階(R1)の間に、前記最大の切開の深さ(d)から、前記最大の切開の深さ(d)に関わらず一定の第1部分の距離(Δd)だけ、前記切開エレメント(14)の先端(16)を前記皮膚表面の下の中間位置まで引き抜くように設計され、
前記切開駆動部(12)が、前記第1引抜段階(R1)の後に、体液を前記受け取り構造(18)に集める第2引抜段階(R2)の間に、前記皮膚から前記切開エレメント(14)を引き抜くように設計され、
前記体液中の検体を検出するように設計される検査エレメント(20)が、前記体液を前記受け取り構造(18)から前記検査エレメント(20)へ移動させる移動時間が1.5s未満であるように配置され、
前記切開エレメント(14)の前記引き抜き動作の開始から、前記検査エレメント(20)に前記体液を載せるまでの所要時間の合計が5s未満である装置。
【請求項2】
前記受け取り構造構造(18)が、毛管として作用する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記体液を前記受け取り構造(18)から前記検査エレメント(20)へ移動させる移動時間が0.5s未満であり、
前記切開エレメント(14)の前記引き抜き動作の開始から、前記検査エレメント(20)に前記体液を載せるまでの所要時間の合計が1〜2s未満である請求項1または2記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の一部の皮膚を穿刺できる切開エレメントを用いて、体液を抜き取るための装置に関する。この切開エレメントは、皮膚の穿刺から得られる体液のための受け取り構造(とりわけ、毛管として働くもの)、および切開エレメントの前進動作および引き抜き動作のための切開駆動部を備え、引き抜き動作の所要時間は前進動作の所要時間よりも長い(好適には何倍も長い)。本発明は付加的に、体液を抜き取るための対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血糖検査に関して、切開エレメントを用いた穿刺による皮膚からの自動的なサンプルの抜き取りは、検査に充分な量のサンプルが確実に採取されるように、前進動作よりも相当に低速な引き抜き動作を実行することで達成され得るということがすでに提案されてきた。これを実行するにあたって、迅速な動作からより低速な動作へ推移する位置は、切開エレメントに組み込まれる受け取り構造が、依然として漏出する液体と確実に接触するような深さの組織中の場所にのみあるべきである。切開システムは特許文献1で開示され、これは切開の深さが変化しても移行の位置を一定に保つことを可能にするが、相当の技術的複雑さを伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/073870号
【発明の概要】
【0004】
上記のことから、本発明の目的は先行技術で提案されたシステムおよび方法をさらに改善すること、および限られた構造的複雑さを伴う確実なサンプル採取を確かにし、実行にあたって処置の痛みを軽減することである。
【0005】
独立請求項に記述される特徴の組み合わせは、この目的を達成するために提案される。有利な実施形態および本発明のさらなる発展は、従属請求項に由来する。
【0006】
本発明は、採取の開始位置を相当に迅速な速度で到達され得る皮膚下の中間位置に位置づける考えに基づき、この位置は選択された最も深い穿刺位置の後の、一定の引き抜き距離で定められる。これに関連して、切開エレメントは引き抜き動作の第1引抜段階において、0.02m/sよりも速い最大引抜速度で動かされるということが定められる。この指標は、充分な毛細血管を穿刺によって開きつつも、迅速な第1引き戻し動作によってこの特に激しい痛みを伴う段階を最小限に抑えるような方式で、個体の皮膚の性質に応じて最大の切開の深さを選択することを可能にする。採取工程は、その後連続する第2引抜段階においてのみ行われ、第2引抜段階は、体液が受け取り構造へと流れるように設計される。このため皮膚穿刺の所要時間は、要求されるサンプル量を摂取できるように充分な長さでなければならない。しかしながら、過度にゆっくりとした切開エレメントの動作は、血液の摂取を妨げるということが意外にも判明した。さらに切開の深さに関する境界条件も満たすために、採取段階は所定の時間間隔内に終えられるべきである。したがって本発明によれば、切開稼働部が体液を受け取り構造へと集める第2引抜段階の間に、切開エレメントを皮膚から抜き取るように設計されることが提案され、第2引抜段階は、引抜速度が0.6〜2mm/sおよび/または採取期間が0.3〜0.8sの範囲であるような方式で、第1引抜段階に続く。
【0007】
好適な実施形態によれば、切開エレメントは第1引抜段階の間に、最も深い穿刺位置から皮膚表面の下に定められた中間位置へと、好適には0.5mmまでの所定の第1部分の距離分だけ引き抜かれる。これに関連して、皮膚表面は例えば、身体の部分の位置決めまたは皮膚検知器または所定の切開の深さなどに基づく適当な基準位置を用いた装置によって決定され得る。さらに、一定の第1引抜距離は技術的に複雑な動作管理を不要にするので、針の方向が振動臨界の制止構造なしに反転する領域における調和のとれた動作順序を可能にする。
【0008】
切開エレメントが戻る動作は好適には、受け取り構造が少なくとも採取期間の間体液によって充分に満たされ、一方で切開エレメントが依然として皮膚へと突き出しているような形式で行われる。これに関連して、体液の相当な摂取量が穿刺の創傷部へと放出されることは、第1の迅速な引抜段階の後までは生じないということが記されるべきである。
【0009】
とりわけ前進動作の所要時間および第1引抜段階の所要時間が0.3〜3ms、好適には0.3〜0.7msの場合が好都合であって、最初の穿刺工程のための調和のとれた動作手順を可能にする。
【0010】
体液を受け取り構造へと集めるための採取期間は、有利には0.4〜0.5sであるべきである。これに関連して、第2引抜段階の間の切開エレメントの平均引抜速度が、1〜1.5mm/sの範囲である場合も特に有利である。
【0011】
ユーザに関連する採取プロフィールのために、切開の深さの最大値は1〜2.5mmの間で調整可能であるべきである。
【0012】
切開エレメントが戻る動作の間の速度の時間的経過は、切開エレメントが所定の滞留時間の間皮膚に挿入された状態を維持するような形式で、変化する切開の深さに応じて有利に適合される。これは、所要時間のサイクルを絶えず変更することなく、穿刺の深さを個体ごとに調整することを可能にする。
【0013】
より単純な動作管理については、切開エレメントの引き抜き動作の間の速度の時間的経過が、切開の深さと関係なく存在する場合に有利な場合がある。
【0014】
サンプル採取に関するその他の改善は、第2引抜段階における切開エレメントの速度が、原則的に一定であるという事実によって達成される。
【0015】
受け取り構造から体液が加えられる検査エレメントは、集積システムにおける操作を簡易化するために提供される。
【0016】
サンプルにおける不利益な変化を充分に排除するために、切開エレメントの引き抜き動作の開始から
、検査エレメント
に体液
を載せるまでの所要時間の合計は、5s未満であるべきであって、好適には1〜2s未満である。
【0017】
本発明の補助的または選択的なもう1つの側面は、体液中の検体を検出するように設計された検査エレメントが、体液を受け取り構造から検査エレメント(20)上に移動させる移動時間が1.5s未満、好適には1s未満、より好適には0.5s未満であるように配置されるということである。意外にも、この時間枠を厳守することが検査の質にとって特に重要であるということが判明した。検査エレメントは切開エレメントの上に直接設置することができ、任意に、流路を通して受け取り構造と流体的に接続され得る。また、検査エレメントを受け取り構造から分離して、とりわけ物理的に分離して配置し、例えば構造変形を備えるものなどの適切な作動によって液体を移動させることも可能である。例として、WO2005/084530およびWO2007/025713に関して参照がなされる。
【0018】
切開エレメントは有利には、皮膚の穿刺の間に痛みの少ない方法で、皮膚へと貫入する鋭利な切開部材を有し、とりわけ単一のニードルチップを有する。
【0019】
穿刺中に皮膚において存在し得る圧痕を考慮に入れるために、皮膚検知器によって皮膚表面を記録することおよび/または位置決めユニットによって身体の部分に対する位置を決定することが可能である。
【0020】
皮膚を穿刺する間に、少なくとも遠心端の部分で体液と接触するチャネル構造、とりわけ溝状またはスロット状のチャネル構造が、切開エレメントに組み込まれるという事実によって、サンプル採取は相当に単純化される。
【0021】
本発明のその他の利点となる側面は、駆動機構が切開エレメントの前進動作および第1引抜段階の間の引き抜き動作を制御する一方で、駆動モーターが引き抜き動作の第2引抜段階において皮膚から切開エレメントを抜き取るという事実である。これは、都合のよい動作プロフィールが単純な技術手段によって達成されることを可能にする。このことは、検査装置が数多く要求される場合にとりわけ重要である。駆動機構は迅速な動作のために効果的に設計され、低速な残留動作のために提供されるモーターは小型かつ省エネである。
【0022】
駆動モーターは、自動的な動作制御を行う機械力を備えた駆動機構を有利に供給する。
【0023】
その他の改良点は、駆動モーターが第2引抜段階において、駆動機構を切開エレメントと共に連結したものとして抜き取るという事実によって達成される。
【0024】
構造上とりわけ有利な実施形態は、駆動機構がバネによって駆動されるコントロールカムを有するということを提供する。
【0025】
本発明はまた、体液を抜き取る方法に関する。ここで切開エレメントの前進および引き抜き動作は、切開エレメントが引き抜き動作の第1段階において、0.02m/sよりも速い最大引抜速度で抜き取られるような形式で切開駆動部によって制御され、切開エレメントは、受け取り構造において体液を採取する第2引抜段階の間に皮膚から抜き取られる。第2引抜段階は、採取期間が0.2〜0.8sの範囲および/または引抜速度が0.8〜1.5mm/sであるような方法で、第1引抜段階に続く。
【0026】
本発明は、図面で図解的に示される実施例に基づき、以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】簡易化した部分的な図で表した、多段階の切開駆動部を備える血糖検査のための装置を示す。
【
図2】
図1記載の装置を用いる場合の切開プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示される装置は、ユーザが分析的な目的、とりわけ血糖のモニタリングのために自身で血液サンプルを取り除くことを可能にする。この装置は、血液抜き取りのための単用部品として使用される切開エレメント14を自動的に操作するために、切開駆動部12を備えた手で握られる大きさの装置10を含む。
【0029】
切開エレメント14は、身体の部分17、とりわけ指先から少量の血液を採取するための、いわゆる「マイクロ・サンプラー」として設計される。切開エレメントは単一の一体成形品として、薄いステンレス鋼板から構成することができ、穿刺による創傷を作り出すための切開部材として末端に成形される先端16を有する。遠位端の部分が先端16の領域へと伸びる溝状またはスロット状の毛管チャネル18は、穿刺による創傷から体液(血液および/または組織液)を摂取することを可能にする。皮膚穿刺の後に適切な流れのつながりを作ることによって、受け取り構造18からの体液
を載せることができる、検査成分を備える検査エレメント20は、体液中に存在するターゲット物質(グルコース)を検出するために用いられ得る。とりわけ接触のない視覚的な方法による血糖の検出は、先行技術において公知であるのでここでは詳細に説明しない。
【0030】
切開駆動部12は、切開軸22に沿った切開エレメント14の制御された前進および引き抜き動作を可能にし、ここで切開の深さは調整ユニット24を用いて、様々な皮膚の種類に適合するようにユーザによって1〜2.5mmの範囲で有利に選択され得る。皮膚表面の位置は、任意に位置決めユニット26を用いて身体の部分17へとあらかじめ定められ得る。
【0031】
多面的な動作制御のために、切開駆動部12は電気的な駆動モーター28、および当該モーターによってあらかじめ張力をかけられ、純粋に機械的に作動する駆動機構30を含む。駆動機構30が迅速な前進動作および引き戻し動作の第1の迅速な段階を制御する一方で、駆動モーター28は第2引抜段階において、駆動機構30を介して皮膚から切開エレメント14を低速で抜き取る。これにより採取工程は最適化され、とりわけ使い勝手がよいように作られる。
【0032】
機械的な駆動機構30は、テンションローター32および駆動ローター34を有し、これらのローターはあらかじめ張力をかけられたトーションバネ36によって互いに接続される。駆動機構30は付加的に、カム駆動部またはスライディングノズル駆動部38を有し、これはコントロールカム40を用いて、駆動ローター34の回転動作を連動した切開エレメント14の直動動作または穿刺動作へと変換する。このため、駆動ローター34から伸びるコントロールアーム42の自由端は、カムスライダー44によって周方のコントロールカム40と係合する。駆動ローター34が回転するとカムの傾斜に対応してストロークが生み出され、それによりカム駆動部38は、装置ハウジング48内でリニアガイド46によってガイドされる。
【0033】
2つのローター32,34の相対的な回転は、バネ36にあらかじめかけられた張力を取り込むため、および所望の回転角の位置で駆動ローター34を制止するために、制止エレメント50、52によって互いに制限される。事前の張力をかける段階において、駆動ローター34はハウジング48に関する回転に対して固定される。これはバネ36が、制止エレメント50、52が当初の位置に到達するまで、モーター28を回転することによってテンションローター32により張力をかけられるようにするためである。駆動ローター34の固定は、図示されていないトリガーによって、テンションローター32の所定の角度位置で解除される。これは駆動ローター34が、駆動ローター側の制止部材50がテンションローター側の制止溝52の別の端部にぶつかるまで、バネ駆動方法で即座に回転するためである。この方法では、前進動作および引き抜き動作の第1引抜段階を相当迅速に実行するために、コントロールカム40の角度範囲を通して移動することが可能である。
【0034】
適切な駆動機構のさらなる詳細についてはEP−A1 669028に記載され、この件については参照の目的で本出願の主題とされる。
【0035】
前述のように、駆動モーター28の駆動側は、事前の張力をかける段階において機構30に機械的エネルギーを提供するために、テンションローター32と連動する。駆動モーター28のもう1つの重要な機能は、第2引抜段階の間において、切開エレメント14を制御された低速で引き戻す動作である。この工程において、制止エレメント50、52は残存したバネ張力によって前述の端の位置で保持される。結果として駆動機構30は、コントロールカム40の残留部分を通して移動し、その間に切開エレメント14が所定の引抜速度で抜き取られるように、ユニットとしてさらに回転され得る。この段階において、依然として皮膚下に位置する切開部材16は採取構造18を用いて、部分的にあけられた穿刺の創傷から充分な血液を引き上げることができる。採取された血液はその後移動工程において、好適には0.5s以内に適切な作動によって検査エレメント20上へと移動させられる。このため検査エレメント20は、液体の輸送が達成可能な輸送率を勘案して規定時間で行われるように、受け取り構造に充分に近い場所に配置される。
【0036】
図2に示される切開プロフィールはとりわけ、可能な限り効果的かつ痛みのない血液採取に好都合である。これに関して「切開プロフィール」という用語は、時間の経過による穿刺の深さの関数として示される穿刺動作の時間的経過として理解されたい。
【0037】
前進動作の段階vにおいて、切開エレメント14の先端16はt=0の時点で高速で皮膚を突き、単一動作で所望の穿刺の深さdまで貫入する。この深さは、表皮を通して伸び毛細血管を含有する真皮に到達するために、個々に最適化されなければならない。前進動作の所要時間は好適には0.3〜0.7msの間である。
【0038】
その後第1引抜段階R1において、先端16は0.5mmほどの所定の距離Δd分だけ、皮膚表面の下の中間位置まで引き抜かれる。この引抜位置は、好適には表皮の角質層に位置づけられる。この第1の引抜R1は、可能な限り迅速に行わなければならない。なぜなら、急激な方向転換によって振動するように刺激される切開エレメント14は、血液を運搬し刺激される真皮において過剰な振動時間を置くべきではないからである。ゆえに、動作が反転された後すぐに達せられる最大引抜速度は、0.02m/sよりも速くあるべきである。したがって、第1引抜段階の所要時間は、0.3〜3msの範囲に制限される。上部で説明したように、均一かつ調和のとれた動作手順は駆動機構30によって、段階vおよびR1において達成される。
【0039】
採取工程が後に続く引抜段階R2の間に行えるように、切開エレメント14の引き抜きは段階R1の最後には相当に減速される。これに関連して、引抜速度は最小値以下に下がるべきではなく、依然として皮膚組織が容易に液体を放出するのに充分な高さの引抜速度であるべきだということが意外にも判明した。一方で採取期間は、受け取り構造または毛管18が製品の耐性および老朽の影響を勘案して、500msまでの液体を採取できるのに充分な長さであるべきである。また、切開エレメントが皮膚中に挿入される状態の所要時間が過度であることは、ユーザにとって不愉快であるということを心に留めておかなければならない。充分な血液を受け取り構造18へ集めることを達成するために、第2引抜段階における切開エレメントの速度は原則的に一定であるべきであって、1〜1.5mm/sの数値が好ましい。このような比較的低速な引き抜きは、単純な方法により一定に保たれる電圧を小型の駆動モーター28に印加することによって、省エネな方法で達成され得る。
【0040】
穿刺プロフィールは、穿刺の深さに関係なくあらかじめ定められる。より深い穿刺については、
図2に示される曲線が、いわば、プロフィールを変更することなく上向きに変化する。あるいは、選択的に変更される切開の深さに依存する速度の時間的経過を、所定の所要時間が穿刺された状態において到達されるような方法で適合させることが有利であろう。
【符号の説明】
【0041】
10 装置
12 切開駆動部
14 切開エレメント
16 先端
17 体の部分
18 受け取り構造
20 検査エレメント
22 切開軸
24 調整ユニット
28 駆動モーター
30 駆動機構
32 テンションローター
34 駆動ローター
36 バネ
38 カム駆動部
40 コントロールカム
42 コントロールアーム
44 カムスライダー
46 リニアガイド
48 装置ハウジング