(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は遊技盤10の模式的な説明図である。遊技盤10の略中央部には、3つ(左、中、右)の表示部の夫々が独立して数字による図柄で構成される識別情報を変動表示可能であり、またキャラクタ等も表示可能な特別図柄表示装置100が配設されており、その真下には特別図柄始動口104が配設されていて、この特別図柄始動口104の両側には普通図柄作動ゲート102、102が配設されている。また、一対の開閉部材120、120が特別図柄始動口104を形成するように離間して開閉可能に設けられている。
【0010】
さらに、特別図柄始動口104の下方には、大入賞口106、普通図柄表示装置108、アウト口114がこの順で配設されており、さらに、特別図柄始動口104の両斜め上方にはランプ表示装置110、110が配設されていると共に、遊技盤10の両側端部近傍にもランプ表示装置(より具体的にはLED装置)112、112が配設されている。そして、特別図柄始動口104に遊技玉が入賞されて乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が大当り値である時には、各表示部が変動表示状態となった後、所定パターン(例えば「7、7、7」)の表示が特別図柄表示装置100によって行われ、大入賞口106が所定パターンで開閉制御されて遊技者にとって有利な大当り遊技状態となる。
【0011】
また、普通図柄作動ゲート102が遊技玉の通過を検出すると、乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が小当り値である時には、普通図柄表示装置108の表示部を所定パターン(例えば「7」や「3」)で表示させ、その後に、開閉部材120が開状態となって遊技玉が特別図柄始動口104に入賞した場合にも、同様に乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が大当り値である時には、各表示部が変動表示状態となった後、所定表示パターン(例えば「7、7、7」)の表示が特別図柄表示装置100によって行われ、大入賞口106が所定パターンで開閉制御されて遊技者にとって有利な大当り状態となる。一方、入賞されない打玉はアウト口114を介して排出される。
【0012】
図2は、このような遊技の進行状況に応じた遊技機制御が行われる遊技機の主要部のみを示した制御ブロック図である。主制御部200(遊技制御手段)は、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載していて、後に説明する、特別図柄表示装置100を制御するための各種のコマンドを、少なくとも含む多種多様な制御コマンドを格納するコマンドデータテーブル領域202および一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データ等を格納するROM201とワークエリアが形成されるRAM203とが設けられていて、一体型のワンチップマイコンとなっている。
【0013】
主制御部200には、入力ポート210を介して、特別図柄始動口104内部に設けられ遊技玉の特別図柄始動口104への入賞を検出する特別図柄始動スイッチ304、普通図柄作動ゲート102の内部に設けられ遊技玉のゲート通過を検出する普通図柄作動スイッチ306、および、大入賞口106の内部に設けられ遊技玉の大入賞口106への入賞を検出する大入賞口スイッチ308が接続され、主制御部200は各検出信号を受信可能となっている。
【0014】
また、主制御部200には、出力ポート215を介して、特別図柄やキャラクタを表示する表示部を3つ有して夫々を独立して可変表示可能でLCD等で実現される特別図柄表示装置100、ランプを点灯制御するランプ表示装置110、112、効果音を発生する効果音発生装置116、例えば7セグメント表示デバイスで実現される普通図柄表示装置108、始動口の開閉部材120を開閉制御するための始動口作動ソレノイド300、および、大入賞口106の幅広な開閉部材を開閉制御するための大入賞口作動ソレノイド302が接続され、主制御部200は各装置を制御するための制御信号を送信可能となっている。そして、主制御部200は、特に特別図柄表示装置100に対しては所定数個の表示制御用のコマンドを所定のタイミングで送信可能となっていて、特別図柄表示装置100は受け取ったコマンドに基いて、主制御部200に頼らずに自身内のCPUが細かな表示制御を行うようになっている。
【0015】
また、主制御部200には、電源供給を行うための電源回路212と所定時間毎にリセット信号を出力するリセット回路213とが接続されていて、さらに、リセット回路213には、主制御部200から周期的タイマカウンタによって生成されたパルス信号が入力されると共に、電源回路212からの電流供給状況を監視するためのモニタ信号が入力される。
【0016】
図12に示すように、主制御部200から特別図柄表示装置100に送られる表示制御用のコマンドは、コマンドの分類を識別するための識別子で1バイト長のデジタル情報であるモード(MODE)と、実行されるコマンドの内容(機能)を示す1バイト長のデジタル情報であるイベント(EVENT)とでなっており、
図6乃至
図9は、ROM201に格納されたコマンドデータテーブル領域202上の表示制御用コマンドデータの一部を示している。
【0017】
図6乃至
図9に示すように、表示制御用のコマンドには、「特別図柄を変動させ、変動開始後、どれだけ時間経過してから特別図柄(識別情報)を停止させるかを指示するためのコマンド」、「特別図柄左の停止図柄を指定するコマンド」、「特別図柄中の停止図柄を指定するコマンド」、「特別図柄右の停止図柄を指定するコマンド」がある。これらのコマンドは、遊技状況に応じて変動表示の変動態様がどのように変化しても必ず必要なものであり、後にタイミングチャートを用いて説明するように、主制御部200は、図柄変動表示を開始させるような遊技状況となったとき、これらの4つのコマンドを1回の変動表示制御において所定のタイミングで特別図柄表示装置100に送信する。したがって、図柄の変動表示速度変化等の細かな表示制御は、特別図柄表示装置100側が担うことになるので、主制御部200用のプログラムが簡素化され表示内容が変更してもプログラム変更をしなくても良くなり汎用的なプログラムを構築できる。しかも、主制御部200は、図柄の変動表示を開始してから停止させるまでの時間を定義したコマンドと、図柄を指定するためのコマンドとを送信するだけなので、一層、主制御部200の制御負荷低減とプログラムの簡素化が図れる。
【0018】
図3は、特別図柄表示装置100のブロック構成図である。特別図柄表示装置100は、主制御部200からのストローブ信号やコマンドを受信するためのデータ受信回路1140(データレベルを変換する電圧変換回路を含む)と、この電圧変換回路等に電源供給を行う電源回路1160と、受信したコマンドに基づいて表示制御を行うために必要な制御データを生成して画像処理用LSI(VDP)1060に出力するCPU1020(表示制御手段)と、CPU1020の動作手順を記述したプログラムを内蔵するプログラムROM1040と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM1090と、画像展開処理を行う画像処理用LSI(VDP)1060と、画像処理用LSI(VDP)1060が展開した画像データを一時的に記憶するビデオRAM1080と、画像処理用LSI(VDP)1060が画像展開するために必要なデータを格納したキャラクタROM1180と、ビデオRAM1080に一時的に記憶された画像データを受け取って送出するLCDパネル用インターフェイス回路1100と、このLCDパネル用インターフェイス回路1100から送出された画像データを用いて表示画像を出力するLCDパネル1120とを有している。
【0019】
図4(a)に示すように、キャラクタROM1180は、ROMタイトル領域、ROM管理情報領域、実際のキャラクタデータを格納したキャラクタイメージデータ領域、キャラクタの色彩データを格納したパレットデータ領域、および、キャラクタの動きを定義した情報を格納したシナリオデータ領域を有していて、キャラクタデータは、特定の圧縮方法で圧縮された状態でキャラクタイメージデータ領域に格納されており、さらに、
図4(b)に示すように、パレットデータ領域は、色番号とカラーコードとが対となったものが複数種類格納されている。
【0020】
そして、特別図柄表示装置100のCPU1020は、データ受信回路1140が受信したコマンドに応じて生成した制御データを画像処理用LSI(VDP)1060に与えると、画像処理用LSI(VDP)1060は、キャラクタイメージデータ領域から獲得したキャラクタデータを解凍してパレットデータ領域から獲得した色彩データで色付けして、シナリオデータ領域から獲得した情報で指定されたビデオRAM1080上の位置に画像展開したデータを一時的に格納し、一時的に格納したデータをLCDパネル用インターフェイス回路1100に送ることによって、LCDパネル1120によって、変動表示速度変化等を含む様々な画像表示が細かに行われる。
【0021】
また、
図5は、コマンド送受信タイミングを示したタイミングチャートである。前述したように、コマンドは1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなっていて、この例では、主制御部200は、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号(DUSTB)の1つ目の立ち上がりを契機として、モード(MODE)情報を送信し、次いでストローブ信号(DUSTB)の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)情報を送信する。すると、これに対応して、特別図柄表示装置のCPU1020は、ストローブ信号(DUSTB)が送信されてくると割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドを受信してRAM1090に格納する。
【0022】
次に、主制御部200や特別図柄表示装置100のCPU1020が行う制御動作を
図10(遊技制御のゼネラルフローチャート)や
図11を参照して説明する。なお、
図10に示す一連の処理は主制御部200が実行するが、リセット回路213から所定時間(例えば4msec)毎に供給されるリセット信号をトリガとして先頭のステップから実行する。
まず、図示しない電源スイッチによって電源回路212を起動状態とすると主制御部200が起動状態となるが、この電源投入が行われてから初めての処理が実行されたか否かを判定する(ステップS110)。電源投入後、初めての処理の場合には(Yes)ステップS200に移行する一方、これ以外の場合には(No)ステップS120に移行する。
【0023】
ステップS200では、RAM203の初期化処理として記憶エリアのクリア処理を実行し、次いで、ステップS210では、初期制御処理を行うためのデータをRAM203の所定の領域にセットする。一方、ステップS120では、RAM203内に形成される図示しない、大当り判定用、小当り判定用等の各種の乱数生成用ループカウンタのカウント値をインクリメントし、ステップS130では、遊技機制御に用いる各種のタイマのタイマ値を更新する。
【0024】
次に、ステップS140において、特別図柄始動スイッチ304、普通図柄作動スイッチ306、大入賞口スイッチ308が出力した検出信号を入力ポート203を介して図示しない自身内のレジスタに読み込み格納する入力ポート処理を実行し、次いで、ステップS150に移行してポート入力処理で読み込み格納したデータを把握するためのスイッチチェック処理を実行する。
次に、ステップS160にて各スイッチ304、306、308等の断線や短絡の有無のチェックを行い、これらの障害が発生している場合には(Yes)ステップS220に移行する一方、これ以外の場合には(No)ステップS180に移行する(ステップS170)。
【0025】
そして、ステップS180において、普通図柄表示装置107の表示制御に必要なデータをRAM203の所定領域に格納すると共に、特別図柄表示装置100の表示制御に必要なコマンド(先に
図6乃至
図9にて説明したコマンドを含む)をRAM203の所定領域に格納して、前記各種のタイマのタイマ値を減じる(ステップS190)。なお、ステップS180において、主制御部200は、遊技制御に応じて必要なモード、イベントのコマンドをコマンドデータテーブル領域202を参照して決定し、決定したモード、イベントを示すデジタル情報をRAM203の所定エリアに格納する。
【0026】
次に、ステップS195において、大入賞口106と特別図柄始動口104の開閉部材120とを所定パターンで開閉制御するために、始動口作動ソレノイド300と大入賞口作動ソレノイド302とを駆動制御し、次いで、ステップS220において、図示しない賞球払出装置に払出し動作を行わせるための制御情報を出力するための賞球セット処理を実行し、さらにステップS230、240、250において、図示しない遊技機管理装置に各種の遊技データを出力する外部情報処理、ランプ表示装置110、112を遊技状態に対応させて点灯制御するためのコマンドをRAM203の所定エリアに格納する表示灯制御処理、効果音発生装置116を遊技状態に対応させて効果音発生制御するためのコマンドをRAM203の所定エリアに格納する効果音処理を実行する。
【0027】
次に、ステップS260では、各処理でRAM203に格納したデータを出力ポート215を介して対応する装置に出力し(ポート出力処理)、これを受け取った装置側はこれに基づいた制御動作を行う。そして、特別図柄表示装置100に対して、まず、ストローブ信号(DUSTB)を出力し、ステップS180にてRAM203に格納されたモード(MODE)、イベント(EVENT)のデータを先に
図7に示したようにして送信する。これによって、特別図柄表示装置100には、例えば
図6乃至
図9にて示したコマンドが主制御部200から送信され受信することになる。
【0028】
ステップS270では、リセット回路213からリセット信号が入力されるまでリセット待機処理を実行すると共に、リセット信号が入力された場合にはステップS110に移行して遊技機制御を継続する。なお、このリセット待機処理としては、先に述べた各種の乱数生成用のカウンタの更新等が挙げられる。
【0029】
次に、コマンドを受け取った特別図柄表示装置100のCPU1020の動作について、
図11を参照しつつ説明する。まず、ステップS1100において、CPU1020は自身のスタックポインタの設定、RAM1090の初期化、レジスタクリア等の自身の初期化等を行いステップS1102において、新しいコマンドが入力されたか否かを判断する。新たな表示制御のためのコマンドが入力されたと判断された場合には(Yes)ステップS1104に移行する一方、これ以外の場合には(No)ステップS1108に移行する。
【0030】
ステップS1104では、
図5において説明した割り込み処理において、データ受信回路1140が受信したコマンドをRAM1090にコピーし、コマンドが正常か否かのチェック等を行う。そして、CPU1020は、主制御部200とは独立して細かな表示制御を行うための必要なコマンドを得るべく、処理テープル(図示せず)の先頭アドレスを決定し、次いでステップS1106において、画像処理用LSI1060へ出力するためにRAM1090の必要なエリアのデータを更新する。
【0031】
次に、ステップS1008において、図柄速度制御に必要なデータを、プログラムROM1040に内蔵されている速度テーブル(図示せず)から取得してRAM1090にセットし、次にステップS1110において、速度データに基づいて図柄オフセット値を更新する。
【0032】
次に、ステップS1112において、RAM1090にセットされている図柄制御用データに基づいて、画像処理用LSI1060へ出力するためのスクロールデータを求めてRAM1090にセットし、次にステップS1114において、RAM1090にセットされているアニメーション処理用データが格納されているアニメーション処理用テーブル(図示せず)からアニメーションデータを取得し、RAM1090内のVDP出力用バッファにセットし、出力許可フラグが「1」か否かを判断する(ステップS1116)。
【0033】
そして、出力許可フラグが「1」でない場合(No)にはステップS1102に戻って一連の処理を繰り返す一方、出力許可フラグが「1」の場合(Yes)にはステップS1118にて、VDP出力用バッファにセットされているデータを画像処理用LSI1060に出力する。画像処理用LSI1060はこれに応じてキャラクタROM1180のデータを獲得して画像展開し、画像展開されたデータはビデオRAM1080に一時的に記憶された後、LCDパネル用インターフェイス回路1100に送られLCDパネル1120による画像表示が行われる。以上説明してきたような処理を実行することによって、CPU1020は、主制御部200から出力されてきたコマンドに基づいて、主制御部200とは独立して特別図柄表示装置100の細かな表示制御を行うので、主制御部200側の制御負担が大幅に軽減できることになる。
【0034】
次に、
図13、
図14を参照して主制御部200から特別図柄表示装置100へのコマンド出力の一例を説明する。
図13は特別図柄の変動開始から全図柄確定までに、主制御部200が特別図柄表示装置100へ送信するコマンドの送信タイミングを示すタイミングチャートであり、図面の右側に行くにしたがって時間経過するように示されている。
【0035】
一方、
図14には、送信コマンドの内容を示しており、この例では図柄変動指定(変動を開始し、変動開始から停止するまでの時間を指定するためのコマンド)、左停止図柄指定(左図柄を指定するためのコマンド)、中図柄指定(中図柄を指定するためのコマンド)、右図柄指定(右図柄を指定するためのコマンド)の4つのコマンドを用意していて、これ以外の表示制御用のコマンドを送らないようにしている。これらのコマンドは変動表示の態様がどのようなものであっても変動表示制御に必要なコマンドの一例であり、もちろん、ここで挙げたコマンド以外のコマンドを採用しても良いことは言うまでもない。
【0036】
図13を参照すれば分かるように、主制御部200は、まず、変動を開始し変動開始から停止するまでの時間を指定するためのコマンドを送信し(1)、これからT1時間経過後に左停止図柄を指定するためのコマンドを送信し(2)、さらに、これからT2時間経過後に中停止図柄を指定するためのコマンドを送信し(3)、さらに、これからT3時間経過後に右停止図柄を指定するためのコマンドを送信する(4)。なお、T1〜T3は例えば一定値で40msecであり、固定的なタイミングで表示制御用のコマンドが送信されることになる。
【0037】
そして、これらのコマンドを受信した特別図柄表示装置100のCPU1020は、(1)にて指定された時間が経過するまでに、変動速度変化等の細かな表示制御を行って一連の変動表示制御を行い、変動開始からT時間経過後に変動表示制御を終了する。
【0038】
このように、主制御部200は、図柄変動表示が開始されるような遊技状態となる毎に、所定数個の予め定められた表示制御用のコマンドを所定のタイミングで、特別図柄表示装置100に送信するのみで、細かな表示制御は特別図柄表示装置がこれらのコマンドを受けとって行うので、主制御部200の制御負荷が大幅に低減されることになる。しかも、主制御部200は、図柄の変動表示態様に関わらず、変動表示制御に必要なコマンドのみを特別図柄表示装置200に送信するだけで、図柄の変動表示速度変化等の細かな表示制御は特別図柄表示装置100側が担うことになるので、主制御部200用のプログラムが簡素化され表示内容が変更してもプログラム変更をしなくても良くなり汎用的なプログラムを構築できる。さらに、送信するコマンドが、図柄変動の開始や変動表示を開始してから停止させるまでの時間を定義したコマンドと、停止図柄を指定するためのコマンドだけなので、一層プログラムの簡素が図れる。
【0039】
なお、以上の説明では、遊技機としてパチンコ機を例にとり説明してきたが、パチスロ機はもちろんのこと、識別情報を変動表示可能な表示部を備える他の遊技機に対しても適用可能であることはいうまでもない。