【実施例】
【0096】
(実施例1)
材料および方法
本治験のために、厳密な基準に従って測定された、明確な筋肉の不耐症表現型を示す患者コホートから被験者を選択した。
【0097】
被験者の選択基準には以下を用いた:
・治験への参加の文書によるインフォームド・コンセント;
・18歳以上の男性または女性;
・以下のいずれかによって明らかにされるスタチン関連筋毒性の証拠資料:
スタチン治療中に生じ、使用中止もしくは用量減少後に止む筋肉痛;または
スタチン治療開始後に始まり、スタチン投与を停止するのが不可能と考えられる患者においてなお治療されている間持続する筋肉痛;または
スタチンで患者が治療されている間生じ、男性/女性医師の意見で、明確にスタチン関連と考えられる筋肉痛;または
筋肉痛、筋力低下、筋障害もしくは横紋筋融解症によるスタチン不耐症のために、スタチンからエゼチミブに脂質低下レジメンが変更される患者;または
異常を説明する他の原因が無い場合の、スタチンで治療されている間の正常上限値の1.5倍を超える血漿CK値の上昇;または
異常を説明する他の原因が無い場合の、スタチンで治療されている間のミオグロビン尿症もしくは高ミオグロビン血症の存在;
他に責任を負うべき原因が無い場合の、スタチンで治療されている間の横紋筋融解症の臨床診断。
【0098】
被験者の除外基準には以下を用いた:
医師の判断で、筋肉痛がスタチンの使用と明確には関連しない患者;
安定用量のサプリメントで少なくとも直前の3ヶ月間抑制されず、筋毒性の間存在した甲状腺機能低下症;
前年において既知であり、筋毒性の間存在した甲状腺機能亢進症;
前年において存在し、筋毒性の間存在したアルコール乱用または薬物乱用の病歴;
筋毒性時に200μmol/L以上の血清クレアチニン値を示す既知の腎機能障害(横紋筋融解症に続発したものでない);
筋毒性時の、硬変、胆道閉塞、急性または慢性の感染性肝炎を伴う既知の重篤な肝疾患;
既知の遺伝性または後天性筋疾患;
医師の意見で、患者を治験に不適当な志願者とする原因となる任意の健康状態または精神状態;
リクルートメントの30日以内の任意の他の薬物治験の関与。
【0099】
対照の選択基準には以下を用いた:
治験への参加の文書によるインフォームド・コンセント;
18歳以上の男性または女性;
スタチンの安定用量で少なくとも3ヶ月間治療された既知の脂質異常症;
現在または過去におけるスタチン関連副作用の非存在。
【0100】
対照の除外基準には以下を用いた:
スタチンによる筋毒性の非存在が状態の前に確定されている場合を除く、安定用量のサプリメントで少なくとも直前の3ヶ月間抑制されない甲状腺機能低下症;
スタチンによる筋毒性の非存在が状態の前に確定されている場合を除く、前年において知られている甲状腺機能亢進症;
スタチンによる筋毒性の非存在が状態の前に確定されている場合を除く、前年におけるアルコール乱用または薬物乱用の病歴;
スタチンによる筋毒性の非存在が状態の前に確定されている場合を除く、リクルートメント時において200μmol/L以上の血清クレアチニン値を示す既知の腎機能障害;
スタチンによる筋毒性の非存在が状態の前に確定されている場合を除く、リクルートメント時に硬変、胆道閉塞、急性または慢性の感染性肝炎を示す既知の重篤な肝疾患;
既知の遺伝性または後天性筋疾患;
医師の意見で、患者を治験に不適当な志願者とする原因となる任意の健康状態または精神状態。
リクルートメントの30日以内の任意の他の薬物治験の関与。
【0101】
【表2】
【0102】
解析方法
質量分析法によるリピドミクス
直接注入/タンデム質量分析法(すなわちショットガンリピドミクス)および2つの液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)アプローチ(すなわち、セラミドおよびセレブロシドリピドミクスおよびエイコサノイドリピドミクス)を用いてヒト血漿中の脂質分子種を分析することによってスタチン誘発性筋毒性を同定した。適用方法は、特に、分子のコレステリルエステル(CE)、ホスファチジルコリン(PC)、リゾホスファチジルコリン(LPC)および他のリゾリン脂質(LPL)、エーテル結合型ホスファチジルコリン(PC O)および他のエーテル結合型リン脂質(PL O)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジン酸(PA)、ジアシルグリセロール(DAG)、セラミド(Cer)、グルコシルセラミド(GlcCer)、ラクトシルセラミド(LacCer)、遊離脂肪酸(FFA)ならびにエイコサノイドの定量のために最適化された。
【0103】
本方法に従って以下の材料を用いた。HPLCまたはLC-MSグレードのクロロホルム、メタノール、水、アセトニトリル、ギ酸、メタノール、イソプロパノール、酢酸アンモニウム、酢酸、塩化カリウムおよびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)は、Sigma-Aldrich社(セントルイス、ミズーリ州、米国)から購入した。
【0104】
HPLCカラム(Acquity BEH C18、2.1×50mm id. 1.7μm)はWaters社(ミルフォード、マサチューセッツ州、米国)から購入した。HPLCプレカラム(Widepore C18 4x2.0mm)はPhenomenex社(トランス、カリフォルニア州、米国)から購入した。抽出に用いたすべての実験器具はクロロホルムに耐性を示した。エアゾール耐性フィルターチップ(Molecular Bioproducts社)およびEppendorf 2ml safe-lock tube、96ウェルtwin.tec PCRプレートならびにPierce-it-lite thermo-seal foilはVWR International社(ウエストチェスター、ペンシルべニア州、米国)から購入した。CO-RE Filter Tipおよび96ウェル2ml Whatman Uniplateは、Hamilton Robotics社(Bonaduz、スイス)から購入した。合成脂質標準品は、Avanti Polar Lipids社(アラバスター、アラバマ州、米国)、Matreya社(Pleasant Gap、ペンシルべニア州、米国)およびCayman Chemical社(アナーバー、ミシガン州、米国)から購入した。
【0105】
脂質は、以下のプロトコルに従ってクロロホルム:メタノールで抽出した。データの正規化および内因性脂質定量のために、既知量の非内因性合成内部標準で試料をスパイクした。非内因性合成外部標準品でスパイクしたポスト抽出物を品質管理(quality controlling)に用いた。適切に計量した量の各標準品をクロロホルム:メタノール(2:1、v/v)に溶解して最終濃度500μMにすることによって標準品の原液を調製した。標準原液のそれぞれを含む内部標準混合物を作成し、脂質抽出に用いた。
【0106】
ショットガンリピドミクスのために血漿5μlを用い、セラミドおよびセレブロシドリピドミクスのために血漿10μlを用いた。Hamilton MICROLAB STARシステム(Hamilton Robotics社、スイス)を用い、自動で脂質抽出を行った。十分に混合した試料を、氷冷したメタノールおよび0.1%BHTを含む96ウェル2ml Whatman Uniplateに分注した。抽出プロトコルにおける各段階後に試料を十分に混合した。適切な量の内部標準混合物およびクロロホルムおよびメタノールを加えることによって室温で抽出を行った。ショットガンリピドミクスならびにセラミドおよびセレブロシドリピドミクスにおいて、20mM酢酸を加えることによって有機相分離を促進し、500×gで5分間プレートを遠心分離した。この有機相を新規の96ウェル2ml Whatman Uniplateに移した。残りの含水相に適切な量のクロロホルムを加えて洗浄し、次いで遠心分離した。2つの有機相をプールし、N
2下で乾燥するまで蒸発させた。次いで、合成外部標準品を添加したクロロホルム:メタノール(1:2、v/v)に脂質抽出物を再溶解した。MS分析の前に、-20℃で、抽出物を2ml safe-lock Eppendorf tubeに保存した。脂質抽出物の必要量を、Eppendorf96ウェルtwin.tec PCRプレートに分注し、蒸発を避けるためにアルミホイルでプレートをヒートシールした。
【0107】
ショットガンリピドミクスにおいて、自動ナノフローイオン源(NanoMate HD、Advion Biosciences社)を備えたハイブリッドトリプル四重極/リニアイオントラップ質量分析計(QTRAP5500、AB Sciex社)で脂質抽出物を分析した。この機械を陽イオンモードおよび陰イオンモードで操作した。陽イオンモードにおいて、スプレー電圧は1.0〜1.4kVに設定し、陰イオンモードにおいて、-1.0〜-1.4kVに設定した。0.3〜0.8psiのガス圧を用い、界面ヒーターは60℃に設定した。合成標準品を用い、衝突エネルギー(CE)およびデクラスタリング電位(DP)を各脂質クラスに最適化した。スキャン速度200Da/秒を用い、単位分解能モードでこの質量分析計を操作した。Stahlmanら(Stahlman M, et al: High-throughput shotgun lipidomics by quadrupole time-of-flight mass spectrometry. J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci 2009)の記載に基づいて、陽イオンモードおよび陰イオンモードの両方で、多重前駆体イオン走査(MPIS)および中性種脱離走査(NLS)を用いて脂質分子を分析した。
【0108】
セラミドおよびセレブロシドリピドミクスにおいて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は以下の方法で行った。クロマトグラフ装置には、CTC HTC PALオートサンプラー(CTC Analytics社、スイス)、Rheos Allegro UHPLCポンプ(Flux Instruments社、スイス)、セラミドおよびセレブロシドリピドミクスのために60℃に設定された外部カラムヒーターならびにインラインプレカラムを備えたAcquity BEH C18カラムからなるものを用いた。抽出された試料、各10μlをプレカラムに注入し、分析用カラムを通過させて、500μl/分の流速で質量分析計に射出させた。セラミドおよびセレブロシドリピドミクスにおいて、脂質検体分離のために、0.1%ギ酸を含むHPLCグレード水中に10mM酢酸アンモニウムを含む溶媒Aと、0.1%ギ酸を含むアセトニトリル:イソプロパノール(4:3、v/v)中に10mM酢酸アンモニウムを含む溶媒Bとでグラジエントを用いた。グラジエントは以下のように構築した:0分-65%B;2分-65%B;2.5分-75%B;17.5分-100%B;22.5分-100%B;22.6分-65%B;25分-65%B。
【0109】
脂質抽出物をHPLC-MS/MSによって分析した。MS分析は、Turbo V(登録商標)イオン源(4000 QTRAP、AB Sciex社)を備えたハイブリッドトリプル四重極/リニアイオントラップ質量分析計で行った。この機械は陽イオンモードで操作した。イオン源電圧は、セラミドおよびセレブロシドリピドミクスに関しては5500Vに設定し、ガングリオシドリピドミクスに関しては-4500Vに設定し、イオン源温度は400℃に設定した。合成標準品を用い、衝突エネルギー(CE)およびデクラスタリング電位(DP)を各脂質クラスに最適化した。各スキャンに20秒の滞留時間を用いた。Sullardsら(Sullards MC, et al: Structure-specific, quantitative methods for analysis of sphingolipids by liquid chromatography-tandem mass spectrometry: "inside-out" sphingolipidomics. Methods Enzymol 2007)の記載に基づいて、マルチプルリアクションモニタリング(MRM)スキャンモードを用いた。
【0110】
エイコサノイドは固相抽出(SPE)を用いて抽出した。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を0.1%含む10%メタノールで血漿150μlを抽出した。データの正規化および内因性脂質の定量のために、既知量の非内因性合成内部標準で試料をスパイクした。各標準原液を含む内部標準混合物を作成し、脂質抽出に用いた。Strata-X 33um SPEカートリッジをHPLCグレードメタノールでコンディショニングし、次いで超純水(UPW)でコンディショニングした。試料をSPEに添着し、次いで35%メタノールで洗浄した。アセトニトリルでエイコサノイドを溶出し、溶出試料を窒素雰囲気下で乾燥させた。最終試料抽出物をメタノールで再構成し、質量分析法で直接に分析した。
【0111】
エイコサノイドの分析において、以下のように高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を行った:クロマトグラフ装置には、CTC HTC PALオートサンプラー(CTC Analytics社、スイス)、Rheos Allegro UHPLCポンプ(Flux Instruments社、スイス)、45℃に設定された外部カラムヒーターおよびスイッチングバルブ(Valco Instruments Co.Inc.and VICI AG、ヒューストン、米国)からなるものを用いた。Phenomenex Jupiter、250×2.0mm id.5μm HPLCカラム(Phenomenex社、トランス、カリフォルニア州)を用いて分離を行った。抽出された試料、各10μlを分析用カラムに注入し、流速300μl/分で質量分析計に射出させた。脂質検体分離のために、0.1%ギ酸を含むアセトニトリル:水(63:37(v/v))を含む溶媒Aと、アセトニトリル:イソプロパノール(50:50(v/v))の溶媒Bとでグラジエントを用いた。グラジエントは以下のように構築した:0分-0%B;6分-20%B;6.50分-55%B;10.0分-55%B;12.0分-100%B;14.0分-100%B;14.50分-0%B;18.0分-0%B。
【0112】
脂質抽出物をHPLC-MS/MSによって分析した。MS分析は、Turbo V(登録商標)イオン源(4000 QTRAP、AB Sciex社)を備えたハイブリッドトリプル四重極/リニアイオントラップ質量分析計で行った。この機械は陰イオンモードで操作し、イオン源電圧は-4500Vに設定した。入手可能な合成標準品を用い、衝突エネルギー(CE)およびデクラスタリング電位(DP)を各脂質クラスに最適化した。Deemsら(Deems, R., et al: Detection and quantitation of eicosanoids via high performance liquid chromatography-electrospray ionization-mass spectrometry. Methods Enzymol 2007) の記載に基づいて、マルチプルリアクションモニタリング(MRM)スキャンモードを用いた。
【0113】
データ処理は以下のように行った:初めに、保持時間(LCモードでの)を処理し、内因性標準品を用い、適切な場合にはInformation Dependent Acquisition(IDA)試験によって各ピークの同定を行った。検出されたピークおよび保持時間(LCモードでの)に従って生データを自動で処理した。実際の脂質ピークからバックグラウンドノイズを分離するために厳密なカットオフを用いた。各試料を検査し、厳密な判定基準を満たした時にのみ受け入れた。検出されたピークのピーク面積カウント(cps)を、対応する脂質名のリストに変換した。濃度を引き出すために、脂質を、内部標準および試料量に対して正規化した。
【0114】
外部標準品(ES)をスパイクした対応するポスト抽出物に対する合成内部標準(IS)の比率および、抽出されたマトリックスおよび溶媒のMS分析を、分析の品質管理(QC)として役立てた。さらに、抽出された参照血漿試料を、機械の性能をモニタリングするために分析した(すなわち、アッセイ内およびアッセイ間変動)。
【0115】
試料分析の前に、合成または単離された標準品を用いて校正線を得た。用途に基づき、対象とする内因性脂質または検体(単数または複数)と同様な特性を有する合成標準品を選択した。校正線は、予想される定量範囲を含む最低限の5つの基準点からなる。校正線は、モニターされる各脂質クラスの定量ダイナミックレンジ、例えば直線定量限界を決定するため用いた。用いた内部標準は内因性脂質と同様な挙動を示すため、それらを内因性脂質種を定量するために用いた。校正線は、内因性脂質の定量に用いた同じ内部標準に基づいた。
【0116】
各プラットフォームに関して、実際の脂質ピークからバックグラウンドノイズを分離するために厳密なカットオフを用いた。各試料を検査し、厳密な判定基準を満たした時にのみ受け入れた。検出されたピークの質量およびカウントを、対応する脂質名のリストに変換した。濃度を引き出すために、脂質を、内部標準および試料量に対して正規化した。
【0117】
統計解析
対照群と患者群との間の脂質濃度の変化率を以下のように算出した:
100
*(患者群におけるAVG[C]-対照群におけるAVG[C])/対照群におけるAVG[C]
独立な二標本の平均の差の検定およびマン・ホイットニーのU検定のp値に基づいて、統計的有意性を判定した。
【0118】
さらに、患者と対照とを最もよく分離する脂質分子および濃度カットオフを見出すためにROC曲線を用いた。感度は、正しく同定された患者数を患者総数で割ったものとして算出される。特異度は、正しく同定された対照数を対照総数で割ったものとして算出される。各脂質濃度、脂質対脂質比および脂質対臨床濃度比に関して感度と特異度を算出した。重要なバイオマーカーは、t検定によるP値が0.05であるか、あるいは感度>=60%であり特異度=>40%である分子または比率と定義した。
【0119】
さらにまた、改善された診断能力を明らかにするために、脂質の組み合わせを用いるロジスティック回帰モデルの例を表7に示す。患者と対照を互いに分離することができる脂質の種々の組み合わせを見出すためにロジスティックモデルを当てはめた。最初に、すべての脂質を可能な説明変数としてセットし、段階的方法を用い、エントリ有意水準(entry significance level)を0.1とし、ステイ有意水準(stay significance level)を0.05として用いるモデルを選択した。2つの重要な脂質、8_9-DHETおよび15-HETEが見出された。このモデルにおいてこれら2つの脂質を用いる場合、AUC値は0.8056である(
図1)。増加したエントリ値およびステイ値を用いれば、さらに1つの脂質、15-HETrEがこのモデルに含まれ、これはAUC値0.8106を与える(
図2)。増加したエントリ有意性値およびステイ有意性値を用い同じモデルに当てはめた。このことは、このモデルに脂質を選択するため用いた基準が、前のモデルほど厳密ではないことを意味する。これらの緩い基準を用いて、このモデルに6つの脂質15-HETE、15-HETrE、Cer(d18:1/18:0)、Cer(d18:1/22:0)、9-HODEおよび5-HETEが選択された。これらの脂質では、AUC値は0.8788である(
図3)。
【0120】
結果
治験試料群において、クレアチンキナーゼ値は、対照および患者において実質的に同一であった。従って、この従来用いられてきた酵素マーカーでは、スタチン誘発性筋障害を予測または診断することができなかった。
【0121】
他方では、リピドームバイオマーカーは、スタチン誘発性筋障害の重要なバイオマーカーと考えられた。本治験において、上記の様に、全部で290の脂質分子を定量した。これらの内、27の脂質分子が、セットの統計基準に基づいて重要なバイオマーカーであった。脂質分子濃度に基づく重要なバイオマーカー候補を表2に示す。異なる脂質対脂質比としてそれらのレベルが表される場合、リピドームバイオマーカーとしての診断的価値は増加する。比率に基づくバイオマーカー候補を表3および4に示す。
【0122】
同定されたバイオマーカー候補の中から選択される好ましい実施形態を表5および6に示す。
【0123】
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
図1〜3のデータは、脂質の3つの異なる組み合わせが、スタチン誘発性筋障害を予測するバイオマーカーであったことを示している:(i)15-HETE、15-HETrE、Cer(d18:1/18:0)、Cer(d18:1/22:0)、9-HODEおよび5-HETE;(ii)8_9-DHET、15-HETEおよび15-HETrE;ならびに(iii)8_9-DHETおよび15-HETE(表7参照)。
【0130】
要約すれば、本治験は、スタチン誘発性筋毒性の新規脂質マーカーを提供する。治験試料群において、クレアチンキナーゼ値は、対照および患者において実質的に同一であったので(表1)、リピドームバイオマーカーはスタチン誘発性筋毒性のより具体的な高感度マーカーであった。