(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980902
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取るための機械、およびガスタービンケーシングを複合材料から製造するためのそのような機械の使用
(51)【国際特許分類】
B29C 70/16 20060101AFI20160818BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20160818BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20160818BHJP
B29L 22/00 20060101ALN20160818BHJP
【FI】
B29C67/14 C
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F02C7/00 E
B29K105:08
B29L22:00
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-504373(P2014-504373)
(86)(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公表番号】特表2014-514974(P2014-514974A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】FR2012050769
(87)【国際公開番号】WO2012140355
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】1153212
(32)【優先日】2011年4月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトン,リシヤール
(72)【発明者】
【氏名】フエリツポー,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ガメル,マイカ
(72)【発明者】
【氏名】デユラン,ジャン−フランソワ
【審査官】
辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−538261(JP,A)
【文献】
特開2009−293164(JP,A)
【文献】
特開2009−107337(JP,A)
【文献】
特開平03−112630(JP,A)
【文献】
特開2002−173872(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02656826(FR,A1)
【文献】
特開2011−098523(JP,A)
【文献】
特表平10−510773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C70/02−70/56
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含浸マンドレルに繊維組織を巻き取るための巻取機(10;100;200;300)にして、
回転軸(20)を有する、繊維組織(18)を蓄積するための巻取マンドレル(14)と、
巻取マンドレルに蓄積された繊維組織の重なり合った層を、含浸マンドレル(16)の上に巻き取らせるための含浸マンドレルであり、巻取マンドレルの回転軸に対して実質的に平行な回転軸を有する含浸マンドレルと、
巻取マンドレル及び含浸マンドレルのそれぞれの回転軸を中心に巻取マンドレル及び含浸マンドレルを回転駆動するための少なくとも1つの電気モータ(22、34)と、
巻取マンドレル及び含浸マンドレルを回転駆動するための電気モータ(複数可)を制御するための制御ユニット(36)と
を備え、
電気モータ(複数可)を制御するための制御ユニットが、含浸マンドレル上に制御された張力を加えながら含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取るために、巻取マンドレルの電気モータの誘導電流を制御するための手段を備える、巻取器であって、
含浸マンドレル上への繊維組織の巻取操作の前に含浸マンドレルに巻取マンドレルを位置合わせさせるための、および前記巻取操作の間中の含浸マンドレルに対する巻取マンドレルの位置合わせ状態のいかなる欠陥も補正するための光学的観測手段(40)をさらに備えることを特徴とする、巻取機。
【請求項2】
光学的観測手段が、巻取マンドレル及び含浸マンドレルから上方へ垂直方向にクロスビーム(38)に取り付けられる光学的観測システムと、含浸マンドレルに配置される視覚的マーカーと、巻取マンドレルを並進移動させるためのシステム(24、26)とを備える、請求項1に記載の巻取機。
【請求項3】
強化繊維織物(104)を蓄積するための追加のマンドレル(102)であり、巻取マンドレル及び含浸マンドレルのそれぞれの回転軸に対して実質的に水平で平行な回転軸を有する追加のマンドレルと、
追加のマンドレルの回転軸を中心に追加のマンドレルを回転駆動するための電気モータ(106)と
をさらに備える、請求項1または2に記載の巻取機(100)。
【請求項4】
含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織を加熱するためのヒータ手段(202、204)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の巻取機(200)。
【請求項5】
繊維組織ヒータ手段が、巻取マンドレルと含浸マンドレルとの間で繊維組織の進路に配置され、かつ繊維組織の外面のそれぞれに面する放射ヒータユニットまたは温風送風機ユニットを備える、請求項4に記載の巻取機。
【請求項6】
含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織に水を噴霧するための水噴霧手段(304)をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の巻取機(300)。
【請求項7】
繊維組織に水を噴霧するための水噴霧手段が、巻取マンドレルから上方へ垂直方向に配置される複数の水噴霧ノズル(304)を担持するストリップ(302)を備える、請求項6に記載の巻取機。
【請求項8】
ガスタービンケーシングを複合材料から製造するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の巻取機の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンケーシングを複合材料から製造する一般的分野に関し、より詳細には、本発明は、航空エンジン用のガスタービンファン保持ケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン航空エンジンにおいては、ファンケーシングがいくつかの機能を実行する。すなわち、これは、エンジンの中に空気入口通路を画定し、ファンブレードの先端に面するアブレイダブル材料を支持し、エンジンの入口での音響処理のために音波を吸収するための任意の構造を支持し、かつ、保持シールドを組み込むか、または支持する。シールドは、破片などがケーシングを通過し、航空機の他の部分に達するのを防止するために、遠心力を作用させることによって吸い込まれた物品や外側に投げ出された損傷したブレードの破片などの、破片を保持するためのトラップを構成する。
【0003】
ファン保持ケーシングは、一般に、空気入口通路を画定し、かつファンブレードの先端が倣う通路に重なるアブレイダブル材料を支持する比較的薄い壁、ならびにもしあるなら音響処理被膜によって、およびまたファンと同じ高さにこの壁の外側に固締されるシールド構造によって構成される。
【0004】
ファン保持ケーシングを複合材料から製造する提案がすでに行われている。例示として、文献欧州特許第1961923号明細書を参照することができ、これは、変化する厚さの複合材料ケーシングを製造することを説明しており、これには、繊維組織の重なり合った層の形の繊維強化材を形成すること、およびマトリックスで繊維強化材を緻密化することが含まれている。より正確には、その文献は、繊維組織の三次元製織のための巻取マンドレルを用いることに備えており、次いで、その組織は、製造されることになるケーシングのプロファイルに対応するプロファイルを有する含浸マンドレル上に重なり合った層として巻き取られる。そのように得られた繊維プリフォームは、含浸マンドレルに保持され、かつ、樹脂が重合される前に樹脂で含浸される。
【0005】
実際には、この方法を実施すると、巻取マンドレルから含浸マンドレルまで繊維組織を移送させるという問題が提起される。特に、巻き取られる前に、繊維組織が含浸マンドレルに正確に配置されることを確保することが必要である。さらに、巻取操作中に、繊維組織に加えられる張力は、一定の制御の下になければならない。この張力は、繊維組織の重なり合った層が含浸マンドレルで圧密成形されるレベルを決定し、したがって、結果として生じる繊維プリフォームの繊維密度を決定する。
【0006】
その結果として、巻取マンドレルから含浸マンドレルまでの繊維組織の移送中に、繊維組織が正確に含浸マンドレルに配置されることも、適切な巻取張力が加えられることも確実にすることができる巻取機を有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1961923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、含浸マンドレルに繊維組織を巻き取るための巻取機を提案することによってこのような必要を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本巻取機は、
回転軸を有する、繊維組織を蓄積するための巻取マンドレルと、
巻取マンドレルに蓄積された繊維組織の重なり合った層を、含浸マンドレルの上に巻き取らせるための含浸マンドレルであって、巻取マンドレルの回転軸に対して実質的に平行な回転軸を有する含浸マンドレルと、
マンドレルのそれぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動するための少なくとも1つの電気モータと、
マンドレルを回転駆動するための電気モータ(複数可)を制御するための制御ユニットと、を備える。
【0010】
また、本巻取機は、マンドレルを回転駆動するための電気モータ(複数可)用の制御ユニットを有するという点で注目すべきである。このようにモータ(複数可)を制御することによって、繊維組織が含浸マンドレル上に巻き取られながら繊維組織に加えられる巻取張力を制御することができる。したがって、この巻取張力を制御することによって、および繊維組織の性質に応じて、結果として得られるプリフォームの繊維の密度を決定し、制御することができる。
【0011】
これは、ファン保持ケーシングを航空エンジン用の複合材料から製造するのによく適合している巻取機を提供する。特に、本巻取機の操作は完全に自動化されることができ、それによって、この種のケーシングの製造サイクルタイムを短縮するのに寄与する。
【0012】
本巻取機の電気モータ(複数可)を制御するための制御ユニットは、含浸マンドレル上に制御された張力を加えながら含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取るために、巻取マンドレルの電気モータの誘導電流を制御するための手段を備えることが好ましい。
【0013】
また、本巻取機は、含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取る前に含浸マンドレルに巻取マンドレルを位置合わせさせるための、および前記巻取操作中に含浸マンドレルに対する巻取マンドレルの位置合わせ状態のいかなる欠陥も補正するための光学的観測手段をさらに備えることが好ましい。
【0014】
本巻取機のこれらの光学的観測手段は、マンドレルから上方へ垂直方向にクロスビームに取り付けられる光学的観測システムと、含浸マンドレルに配置される視覚的マーカーと、巻取マンドレルを並進移動させるためのシステムとを備えることができる。
【0015】
本巻取機は、強化繊維織物を蓄積するための追加のマンドレルであり、マンドレルのそれぞれの回転軸に対して実質的に水平で平行な回転軸を有する追加のマンドレルと、また追加のマンドレルの回転軸を中心に追加のマンドレルを回転駆動するための電気モータとをさらに備えることができる。
【0016】
本巻取機は、含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織を加熱するためのヒータ手段をさらに備えることができる。繊維組織が含浸マンドレルに結合する前に繊維組織を加熱すると、これがマンドレルで形成され、圧密成形されることがより容易になる。繊維組織ヒータ手段は、巻取マンドレルと含浸マンドレルとの間で繊維組織の進路に配置され、かつ繊維組織の外面のそれぞれに面する放射ヒータユニットまたは温風送風機ユニットを備えることが有利である。
【0017】
同様に、本巻取機は、含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織に水を噴霧するための水噴霧手段を備えることができる。また、含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織に水を噴霧すると、これをマンドレルに形成することがより容易になり、その結果、巻取り中にその圧密成形がかなり強くなる。繊維組織に水を噴霧するための水噴霧手段は、巻取マンドレルから上方へ垂直方向に配置される複数の水噴霧ノズルを担持するストリップを備えることが有利である。
【0018】
また、本発明は、ガスタービンケーシングを複合材料から製造するための、上記で定義されたような巻取機の使用を提供する。
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、いかなる限定的な特徴も持たない実施形態を示す添付の図面を参照して行われる次の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4A】巻取機の巻取マンドレルに蓄積される繊維組織が、巻き取られる前に含浸マンドレルに配置される方法を示す概念図である。
【
図4B】巻取機の巻取マンドレルに蓄積される繊維組織が、巻き取られる前に含浸マンドレルに配置される方法を示す概念図である。
【
図6】本発明の異なる実施形態の巻取機の概略側面図である。
【
図7】本発明の別の異なる実施形態の巻取機の概略側面図である。
【
図8A】本発明のさらに別の異なる実施形態の巻取機の概略図である。
【
図8B】本発明のさらに別の異なる実施形態の巻取機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ガスタービン航空エンジン用のファンケーシングの製造についてのその適用の文脈において下記に説明されている。
【0022】
この種のファンケーシングを製造する方法の一例は、文献欧州特許第1961923号明細書に説明されており、それについて参照することができる。
【0023】
ケーシングは、マトリックスで緻密化された繊維強化材を含む複合材料で作られる。強化材は、繊維、例えば炭素、ガラス、アラミド、またはセラミック繊維で作られ、マトリックスは、ポリマー、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミド、またはポリイミドで作られる。
【0024】
簡単に言えば、この文献で説明された製造方法は、製造されるべきケーシングのプロファイルに応じて決定されるプロファイルを有するドラム(下記で「巻取マンドレル」と呼ばれる)に経糸巻取を伴う三次元製織によって繊維組織を製造することにある。
【0025】
次いで、このように製造された繊維構造は、製造されるべきケーシングの内側プロファイルに対応する外側プロファイルの樹脂射出成形用モールドのマンドレル(下記で「含浸」マンドレルと呼ばれる)上に移送される。プリフォームを含浸マンドレルに保持した状態で、次いで樹脂を用いて含浸が行われる。このために、プリフォームの上に被覆が適用され、このように構成されたモールドの中に樹脂が注入される。含浸は、プリフォームが配置されるモールドの内側と外側との間の圧力差を確立することによって助けられ得る。含浸の後に、樹脂を重合させるステップが行われる。
【0026】
図1〜
図3に示され、本発明の主題を構成する巻取機は、ケーシングを製造する方法の間に、樹脂射出成形用モールドの含浸マンドレルまで、巻取マンドレルに蓄積された繊維組織の自動移送を行う働きをする。
【0027】
この巻取機は、下記で説明されるように、三次元製織によってもっぱら得られる繊維組織にのみ使用するものではないことが認められるべきである。
【0028】
本発明の巻取機10は、特に巻取マンドレル14および含浸マンドレル16を支持する支持構造体12を備える。これらのマンドレルは取り外し可能であり、すなわち、これらは支持構造体から取り外され得る。
【0029】
巻取マンドレル14は、三次元製織によって得られた繊維構造18を受け取る。これは、巻取機の支持構造体12に対して回転するように取り付けられた1つの端部を有し、かつ電気モータ22、例えば交流(AC)電気歯車モータの出口シャフトに接続されるその他方の端部を有するシャフト20、例えば水平シャフトによって担持される。
【0030】
巻取マンドレル14、そのシャフト20、およびその電気モータ22によって構成されたアセンブリは、巻取マンドレルの回転軸に沿って支持構造体に対して並進移動され得る。
図4Aおよび
図4Bを参照して下記に説明されるように、巻取マンドレルが並進移動するこの自由度により、含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取るのを開始する前にこのマンドレルを含浸マンドレルと位置合わせさせることができる。
【0031】
巻取マンドレルを並進移動させるためのシステムは、例えばウォームスクリュータイプのロッド24によって形成されることができ、このウォームスクリュータイプのロッド24は、巻取マンドレルに結合され、巻取機の支持構造体12に固締される1つの端部とハンドホイール26が取り付けられるその他方の端部とを有する。したがって、ハンドホイールによる駆動によってロッドを回転させると、巻取マンドレル14、そのシャフト20、およびその電気モータ22によって構成されるアセンブリは、支持構造体に対して並進移動することになる。
【0032】
もちろん、巻取マンドレルをその回転軸に沿って並進移動させる働きをするハンドホイール26は、手動で、またはモータによって駆動され得る。
【0033】
本発明の巻取機の含浸マンドレル16は、巻取マンドレルに蓄積された繊維組織の重なり合った層を受け取ることになる。これは、製造されることになるケーシングの内表面のプロファイルに対応するプロファイルの外表面28、ならびに2つの側面板30を有する。
【0034】
含浸マンドレルは、シャフト32、例えば水平シャフト(
図3)によって担持され、これは、巻取マンドレルの回転シャフト20に平行であり、巻取機の支持構造体12に回転するように取り付けられる1つの端部と、電気モータ34、例えばAC電気歯車モータの出口シャフトに結合されるその他方の端部とを有する。
【0035】
制御ユニット36は、2つのマンドレルの電気モータ22および34に接続され、各マンドレルの回転速度が監視され制御され得るようになる。より一般的には、制御ユニットは、巻取機の運転パラメータの全て、および特にモータ駆動される場合の巻取マンドレルの並進移動を管理する働きをする。
【0036】
巻取機は、両方のマンドレルを回転駆動するための単一の電気モータを有する場合があり、電気モータは、上で説明された制御ユニットによって制御されることが認められるべきである。このために、コグベルトが、巻取張力を管理し、それが必要ならば、巻き戻しを行う働きをする。さらに、中間ローラが、巻取張力を変化させるのに使用され得る。
【0037】
また、巻取機10は、含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取る前に巻取マンドレルを含浸マンドレルに位置合わせさせるために、マンドレルから上方へ垂直方向に取り付けられる光学的観測手段を有するクロスビーム38を有する。
【0038】
より正確には、光学的観測システム40(例えば、光ビームを放射するレーザ)は、マンドレルの上のクロスビームに回転可能に取り付けられる。
図1に示されるように、この光学的観測システムは、巻取機のマンドレルのうちの一方または他方を視認することができるように取り付けられるクロスビーム38を中心に枢動することができる。もちろん、両方のマンドレルを含むことができるようになる投射角を有する光学的観測システムを考えることができる。また、光学的観測システムは、含浸マンドレルの外表面28の全幅にわたって任意の点を視認することができるようになる、横方向に移動する自由度を持っている(
図3)。
【0039】
巻取マンドレル14は、次のように繊維組織を巻き取る前に含浸マンドレル16に位置合わせされる。
【0040】
初めに、視覚的マーカー42が、含浸マンドレルの外表面28に配置され、光学的観測システム40が、その光ビームを視覚的マーカーに位置合わせさせるように横方向に作動され、移動される(
図4A)。次いで、光学的観測システムは、この位置で横方向にロックされ、巻取マンドレルから上方へ垂直方向になるようにクロスビーム38を中心に枢動される。この位置において、光学的観測システムは、巻取マンドレル14上で丸められた繊維組織18を視認する。
【0041】
含浸マンドレルに対して適切に位置合わせされるべき巻取マンドレルを得るためには、(「トレーサヤーン」と呼ばれる)繊維組織の、および含浸マンドレルの視覚的マーカーの位置と関連付けられる繊維組織の位置の、特定の経糸ヤーン44を、光学的観測システムによって放射される光ビームと位置合わせ状態に持って来ることが必要である。このために、および
図4Bに示されるように、巻取マンドレルは、トレーサヤーン44が光学的観測システムによって放射される光ビームと位置合わせ状態になるまで、ハンドホイール26を作動させることによってその回転軸に沿って並進移動される。
【0042】
いったん巻取マンドレルが含浸マンドレルに対して適切に位置合わせされると、含浸マンドレル上での繊維組織の巻き取りを開始することができる。巻取マンドレルの繊維組織の自由端は、初めは含浸マンドレルに固締され、次いで、マンドレルを回転駆動するためのモータが、下記で説明されるように作動され、制御される。
【0043】
含浸マンドレル上での繊維組織の巻き取り操作中に起こるかもしれない巻取マンドレルと含浸マンドレルとの間のいかなる位置合わせ状態の不足も自動的に補正するように、準備が行われることが有利である。
【0044】
このために、カメラが、マンドレルから上方へ垂直方向にクロスビーム38に取り付けられ、マンドレルに巻き取られる繊維組織18に向けて指向され得る。カメラは、巻取機の制御ユニット36に接続され、そのユニットは、繊維組織の巻き取り操作中にカメラから生ずるデジタル画像を処理する。制御ユニットの画像処理ソフトウェアが、リアルタイムで繊維組織の画像を連続的に解析する。光学的観測システム40によって放射された光ビームと繊維組織に組み込まれたトレーサヤーン44との間で逸脱が検出された場合には、制御ユニット36は、巻取マンドレルが逸脱を補正するように並進移動させる。もちろん、このように操作するには、巻取マンドレルをその回転軸に沿って並進移動させる働きをするロッドの回転駆動する電気モータを使用することが必要である。
【0045】
図5を参照して、繊維組織が含浸マンドレルに巻き取られる方法を以下において説明する。上記で述べられたように、いったん繊維組織の自由端が含浸マンドレルに固締されると、巻取マンドレルおよび含浸マンドレルを回転駆動するための電気モータが、制御ユニットによって作動され、制御される。
【0046】
繊維組織に適切な巻取張力が加えられながら、繊維組織は、含浸マンドレルに重なり合った層として巻き取られるべきである。
【0047】
このために、設定値張力が特に繊維構造の性質に応じてあらかじめ定義され、この張力は、巻き取りに対向するトルクを有するマンドレルの1つ、すなわち通常、巻取マンドレルに加えられる。より正確には、設定値張力は制御ユニットの中への入力であり、このことは、適切な計算アルゴリズムを用いることによって、巻取マンドレルの電気モータの誘導電流の設定値にこれを変換する。
【0048】
この計算アルゴリズムは、設定値電圧値を、(抵抗に対向するのが巻取マンドレルである場合には)巻取マンドレルの電気モータの誘導電流の値と関連させる働きをし、その電流値は、特にマンドレルの平均半径を考慮することによってあらかじめ得られる。アルゴリズムは、ベルトによって巻取マンドレルおよび含浸マンドレルに接続される動力計を活用して、保守作業中に測定された設定値張力と実際の張力との間に逸脱が表れるときに必要な場合には、再評価され得る。
【0049】
設定値張力は、含浸マンドレル上に巻き取られるべき繊維組織を構成する繊維の特に性質に応じて、かつこれを織っている間に使用されるパラメータに基づいて変化することが認められるべきである。
【0050】
例示として、中モジュラスの炭素繊維で作られるインターロック式三次元多層織物によって構成される繊維組織の場合、6000ニュートン(N)〜15000Nの範囲内にある設定値張力が適用されるべきであり、織物は、200ミリメートル/分(mm/min)〜400mm/minの範囲内にある巻取速度で移動する。この特定の繊維組織の場合、このような値により、含浸マンドレルの繊維組織の重なり合った層を圧密成形する適切なレベルを得ることができる。これにより、次の樹脂含浸ステップの終わりに得られる繊維プリフォームのよく制御された繊維密度が生じる。
【0051】
また、含浸マンドレルに繊維組織を巻き取るプロセスは、可逆的であり、すなわち巻取マンドレル上に元の状態に繊維組織を巻き戻すことができることが認められるべきである。制御された巻取張力および速度で行われるこの巻き戻し操作は、織り欠点が遅れて検出された場合、または含浸マンドレル上での巻き取りの間のミスアラインメントの場合に使用されることができ、それによって、操作をより早期の段階に戻すことができるようになる。
【0052】
図6、
図7、
図8A、および
図8Bを参照して、本発明の巻取機のいくつかの異なる実施形態を以下において説明する。これらの変形では、巻取機は全て、上記で説明されたような特徴を有する。
【0053】
また、
図6に示される巻取機100は、その上に蓄積された強化繊維織物104を有する追加のマンドレル102を持っている。例示として、この強化織物は、中モジュラスの炭素繊維、あるいは任意の他の織繊維強化材、編組繊維強化材、または一方向性繊維強化材で作られるインターロック式三次元多層織物であってもよい。
【0054】
この追加のマンドレル102は、巻取マンドレル14および含浸マンドレル16のそれぞれの回転軸に平行な水平シャフト(
図6には図示せず)によって担持される。この水平シャフトは、上で説明された制御ユニット(
図6には図示せず)の制御の下で、巻取機の支持構造体12に回転可能に取り付けられる1つの端部と、電気モータ106、例えばAC電気歯車モータの出口シャフトに結合されるもう1つの端部とを有する。
【0055】
含浸マンドレル上に強化繊維織物を巻き取るプロセスは、含浸マンドレル上に繊維組織を巻き取るために説明されたプロセスと完全に同一である。特に、制御ユニットは、追加のマンドレルの回転速度を制御する働きをし、巻取マンドレルの電気モータの誘導電流を制御することによって、その巻取りの間ずっと強化織物に加えられる巻取張力を制御することができる。
【0056】
図7に示される巻取機200は、含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織を加熱する手段を持っている。含浸マンドレルに繊維組織を結合させる前に繊維組織を加熱する加熱すると、これを含浸マンドレルに形成し、圧密成形することがより容易になることが知られている。
【0057】
したがって、この異なる実施形態には、巻取機の支持構造体12に固定されるクロスビーム206に取り付けられ、巻取マンドレル14と含浸マンドレル16との間で繊維組織18の進路に配置される2つのヒータユニット202、204(例えば、放射ヒータまたは温風送風機)が設けられる。より正確には、これらのヒータユニットは、繊維組織の外面のそれぞれに面して配置される。
【0058】
さらに、これらのヒータユニット202および204は、上で説明された制御ユニットによって制御される。通常、加熱温度は、40℃と90℃との間にある範囲内に調整可能である。ヒータユニットは、巻取りが停止した場合に繊維組織を所望の温度に維持するように、巻取速度に自動的に適合するように制御される。
【0059】
最後に、
図8Aおよび
図8Bの異なる実施形態における巻取機300は、繊維組織が含浸マンドレルに結合する前に繊維組織上に水を噴霧するための手段を持っている。加熱の場合と同様に、これが含浸マンドレルに結合する前に繊維組織に水を噴霧すると、繊維が互いの上に摺動できるようになることによってこれを柔らかくすることで、同じように、これをマンドレルに形成することがより容易になる。
【0060】
この異なる実施形態では、巻取機の支持構造体12に取り付けられるストリップ302が、その上に巻き取られる繊維組織18に面する巻取マンドレル14から上方へ垂直方向に配置される複数の水噴霧ノズル304を担持するように設けられる。例示として、水は、脱塩水であってもよい。これらのノズルは、繊維組織をその全幅の全てにわたって湿らせることができるように、巻取マンドレルの全幅にわたって配置される。
【0061】
さらに、これらのノズルによって水が噴霧される速度は、巻取速度にかかわらず繊維組織が一定のレベルに湿らされることを確実にするように、手動で調整されることができ、または、例えば繊維組織が含浸マンドレル上に巻き取られている速度に自動的に適合するように、上で説明された制御ユニットによって制御され得る。