【実施例】
【0058】
本発明を如何様にも実施例の範囲に限定を課すものと解釈されるべきではない以下の実施例により、本発明を更に説明する。むしろ、本明細書の記載を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者にそれ自体を示唆し得る本発明の様々な他の態様、実施形態、修正及び等価物を頼りとし得ることを明確に理解するべきである。それ故、本発明の別の態様は、本明細書に開示される本発明の明細書及び実践を考慮することにより当業者に明かとなるであろう。
【0059】
実施例1−様々な組織の予備試験
アルデヒド被覆蛍光マイクロスフェア(f−MS)の結合を用いて組織−表面化学を調べ、これは接着剤構造(mechanics)の変動に関する機構的基礎を提供する。この技術は、Artzi,N.,et al.ADV.MATER 21,2009 1−5に記載されている。
【0060】
組織−組織の界面応力が表面化学の変動によって自然に調節されるため、この技術を使用した。これらの変化を研究することによって組織−接着剤製剤の相互作用が説明され、組織特異的な接着剤製剤の開発が援助された。
【0061】
この実施例では、小腸の3つの領域からの組織を試験した:空腸、十二指腸及び回腸。これらの組織は、その化学的相違が胃腸(GI)管の生理機能を駆動するため選択された。収縮性及び蠕動の範囲、pH、及びGI床全域の表面化学によって、栄養摂取、炎症、感染などの広範囲の調節が可能である。各組織の生検を等しい表面積(20mm
2)で調製し、ロッカー上の0.5mLの0.5%f−MS溶液中に37℃で20分間浸した。次いで、組織サンプルを10mLのPBSで3回、徹底的に濯いだ。濯ぎ後、組織サンプルの表面における蛍光強度を測定した。蛍光発光顕微鏡を用いて画像を獲得して、f−MSの存在を確認した。フルオレセインの場合、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)フィルターを使用し、ヨウ化プロピジウム(組織染色)の場合、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)を使用した。
【0062】
図1に、各組織サンプルの表面上のf−MSの正規化蛍光発光を示す。小腸の3つの領域からの組織は、結合したf−MSの様々な蛍光強度が示すように、異なる数のアミン基を有する表面を有した。この図では、p−値<0.05が統計的有意性を示すと見なされた。
【0063】
実施例2−生体適合性接着剤の界面蛍光発光
実施例1の天然GI表面化学に関する情報を使用して、特定の組織と差別的に相互作用して、より有効なGI壁密封剤を形成する接着剤製剤を作製した。腸内容物の漏洩は、局所感染及び全身敗血症、腹膜炎をもたらし得る、頻繁に起こる外科的合併症であり、多くの場合に手術を必要とする。接着剤製剤と組織特性とを一致させることによって接着剤製剤を作製した。この実施例は、組織表面における相違、この場合では、十二指腸、空腸及び回腸におけるアミン密度が、様々なアルデヒド含有量及び密度の接着剤製剤との相互作用に影響を与えることを決定した。
【0064】
組織−接着剤界面における接着剤製剤の形態を特徴付けるために、デンドリマー成分をフルオレセインで標識した。この技術は、Artzi,N.,et al.ADV.MATER 21,2009 1−5に記載されている。この実施例で使用したデンドリマーは、25%のその表面基が、ヒドロキシル基の代わりに第一級アミンを有するG5デンドリマーであった。デンドリマーは、約30kダルトンの分子量を有した。
【0065】
デンドリマーを6mLのジメチルスルホキシドに溶解した後、0.030gの6−(フルオレセイン−5−カルボキシアミド)ヘキサン酸(Invitrogen、Carlsbad、CA92008)及び12μLのトリエチルアミンを加えた。混合物を室温で48時間撹拌した。溶媒の蒸発後に得られた固体を100mLの水に溶解し、透析し、凍結乾燥した。次いで、フルオレセイン−標識デンドリマーを水に加えて、フルオレセイン−標識デンドリマーの重量で1%の総固形分(12.5%)を有する溶液を作製した(G5−25−12.5)。
【0066】
別個のデキストランの水性溶液を作製した。デキストランは、この実施例では、約10kダルトンの分子量を有し、50%のそのヒドロキシル基がアルデヒドに変換されていた。水性溶液は、11.25重量%のデキストランを含んでいた(D10−50−11.25)。
【0067】
次いで、2つの溶液G5−25−12.5及びD10−50−11.25を組み合わせ、異なる小腸の領域:空腸、十二指腸及び回腸からの3つの組織の別個のサンプルに適用した。溶液の組み合わせを5分間硬化させた。
【0068】
次いで、組織サンプルを低温切開し(20μmの切片)、ヨウ化プロピジウムで染色した。組織:接着剤界面における接着剤の形態を、画像分析技術(Leica Microsystem、MetaMorph(登録商標))を使用して定量化して、組織表面と材料塊との間の一過性材料を特徴付けた。
図2は、標識デンドリマーの界面蛍光発光を示す。正規化蛍光発光の相違により、これらの組織が有した異なるアミン密度に起因して、標識デンドリマー:デキストラン(製剤G5−25−12.5:D10−50−11.25)が3つの組織表面と異なる反応性を有することが証明された。この図では、p−値<0.05が統計的有意性を示すと見なされた。
【0069】
f−MS分析が特定の組織と標識デンドリマー:デキストラン(製剤G5−25−12.5:D10−50−11.25)との相互作用を正確に予想することを証明するために、f−MSの正規化蛍光発光及び標識デンドリマーの正規化蛍光発光をプロットし、
図3に示すように比較した。この図では、標識デンドリマー(X軸)及びf−MSの正規化蛍光発光の間に線形の相関が存在した。その結果、f−MSは、異なる組織のタイプに適用された際の様々な接着剤組成物の挙動を正確に計測するツールとして使用された。f−MSから得られた情報は、デンドリマー成分、ポリマー成分及び/又は溶液濃度をどのように調整して、異なる組織タイプの様々な特性を補償するかを決定するのに使用することができる。これらのデータは、組織上の官能基及び接着剤製剤中の官能基がアルデヒド仲介の接着剤相互作用に影響を与え、組織−特異的接着剤の設計に関する機能的基礎を提供するという観念を支持した。この実施例では、マイクロスフェアアッセイは、本明細書に記載した引張強度試験で測定した、接着強度の機械的定量化と相関した。
【0070】
実施例3−接着強度に対するポリマー成分溶液濃度の効果
生体適合性接着剤を様々な組織に適用した後の接着強度を、単調一軸引張試験(Bose(登録商標) Biodynamic Test Instrument、Minnetonka、MN、USA)を用いて測定した。この実施例では、3つの接着剤製剤を小腸からの3つの組織に適用した。3つの接着剤製剤は、同一のデンドリマー成分溶液:実施例2に記載したG5−25−12.5溶液を含んでいた。各ポリマー成分溶液は、10kダルトンの分子量を有し、かつ50%のそのヒドロキシル基がアルデヒドに変換されている様々な濃度のデキストラン(D10−50)を含んでいた。第一のポリマー成分溶液は25重量%のデキストラン濃度を有し(D10−50−25)、第二のポリマー成分溶液は15重量%のデキストラン濃度を有し(D10−50−15)、第三のポリマー成分溶液は11.25重量%のデキストラン濃度を有していた(D10−50−11.25)。
【0071】
個々のデキストラン溶液の各々を、等容積のデンドリマー溶液と組み合わせて、3つの製剤:(1)D10−50−25:G5−25−12.5、(2)D10−50−15:G5−25−12.5及び(3)D10−50−11.25:G5−25−12.5を作製した。これらの接着剤製剤の200μLを均一なサイズの2つの組織生検(直径8mmの円板、試験要素の全厚は1mm)の間に均等に分配することにより接着剤試験要素を作製した。3つの全製剤は、小腸の様々な領域:回腸、空腸及び十二指腸からの3つの組織上で試験された。接着剤製剤を適用する前に、組織表面を徐々に乾燥した。
【0072】
各製剤を組織表面間に適用し、5分間硬化させた後、接着剤試験要素を定速0.05mm/sで移動し、荷重応答を連続的に記録した(200測定値/s)。記録された荷重を正規化して、接着剤試験要素の断面積を計上した。
図4に、各組織型に対する各製剤の最大荷重(N)を示す。3つの全組織上で、増大する濃度のデキストラン溶液は最大荷重を増大させた。従って、ポリマー成分溶液の濃度の変更、この実施例ではデキストラン含有溶液の濃度の変更は、様々な組織タイプの異なる構造及び化学的性質を補償し得る。この図では、p−値<0.05が統計的有意性を示すと見なされた。
【0073】
3つの追加の製剤の最大荷重(N)、及び空腸に対するそれらの接着も試験した。上述した製剤と同様に、各々同じ濃度のデンドリマー成分溶液、この場合ではG5−25、12.5を含んでいた。しかしながら、異なる濃度のポリマー成分溶液を使用して各製剤を作製した:7.5重量%、9.375重量%及び20重量%。従って、3つの追加の製剤は、(4)D10−50−7.5:G5−25−12.5、(5)D10−50−9.375:G5−25−12.5及び(6)D10−50−20:G5−25−12.5であった。
【0074】
図5に、これら3つの追加の製剤及び前述した製剤の最大荷重(N)を示す。ポリマー成分溶液の濃度が増大するにつれて、最大荷重(N)が増大した。この結果は更に、ポリマー成分溶液の濃度の調整を用いて、組織間の相違を補償し得る方法を示した。この図では、p−値<0.05が統計的有意性を示すと見なされた。空腸組織に適用された後、
図5で試験した接着剤製剤の画像を獲得した。画像は、製剤を空腸に適用する前に、1%のデンドリマーに6−(フルオレセイン−5−カルボキシアミド)ヘキサン酸でタグ付けすることにより獲得した。次いで、空腸を液体窒素により凍結し、一晩−80℃に維持した。次いで、組織を低温切開し(20μm切片)し、ヨウ化プロピジウムで染色した。FITC(材料、フルオレセイン)及びTRITC(組織、ヨウ化プロピジウム)フィルターを使用して、蛍光発光顕微鏡法画像を撮影した。画像は、組織と接着剤製剤との間の界面を現した。
【0075】
図5の空腸と接着剤製剤との間の界面における蛍光発光も測定した。
図6に示すように、正規化蛍光発光は、ポリマー成分溶液の濃度、この場合はデキストラン溶液の濃度が増大するにつれて増大した。ポリマー成分溶液の濃度との相関付けに加えて、正規化蛍光発光は、空腸に適用された接着剤製剤の最大荷重とも相関付けられた。この関係を
図7に示す。これらの関係は、本明細書に記載した分析技術が、異なる組織タイプの特性を含む、多数の変数を補償するために接着剤製剤に為される変更をどのように予想及び見積もるために使用できるかを示した。これらの試験はまた、疾病の状態及びその重症度が、組織表面上の化学基の数及び機能をどのように変更し得るかを決定することも可能にする。
【0076】
実施例4−様々な接着剤製剤の生体適合性
実施例3に記載した3つの接着剤製剤の生体適合性を、3T3線維芽細胞を使用して試験した。3つの接着剤製剤は、(a)D10−50−7.5:G5−25−12.5、(b)D10−50−15:G5−25−12.5及び(c)D10−50−25:G5−25−12.5であった。1日、1週間及び1ヶ月後、細胞生存を測定した。
【0077】
直径5mmの接着剤円板を5mLの培地中にて37℃で1日間、1週間及び1ヶ月間保った。各区間において、100K3T3線維芽細胞を、円板の分解生成物を含む1mLの培地中で24時間インキュベートした。24時間後、CytotoxONE Membrane Integrity Assay(Promega Corp.、Madison、WI、USA)を用いて細胞死を測定し、死細胞の数を生細胞及び死細胞の両方の総数に関して正規化した。生細胞の数は、細胞のトリプシン処理及び計数により決定した。
図8に示すように、生体適合性試験は、非常に高い細胞生存を示した。マウスの組織中に移植した接着剤製剤の画像も良好な生体適合性を示した。
【0078】
同様に、
図9及び10は、様々な接着剤製剤の関連する病理組織学的知見を示す。この試験では、15μmの組織切片を、各用量グループに関する、時間点による関連するパラメータ(例えば、炎症、線維症、巨細胞など)の半定量的スコアリング(即ち、1=最小、2=軽度、3=重度)のためにヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
【0079】
実施例5−様々な接着剤製剤のゲル化時間の比較
本明細書に記載した数個の接着剤製剤のゲル化時間を互いに比較し、またポリエチレングリコール(PEG)アミン及びデキストランを使用して作製した接着剤と比較した。この実施例でのゲル化時間は、2つの成分が接着剤ヒドロゲルを形成するのに要した時間であり、これは架橋密度及び剛性を示す。
【0080】
この試験のために、本明細書に記載した6つの異なる接着剤製剤を生成した。各接着剤製剤は、G5−25−20(これは、25%のその表面基がヒドロキシル基ではなく第一級アミンを有するG5デンドリマーの20重量%水性溶液である)と、様々な濃度のD10−50の水性溶液との組み合わせからなり、このD10−50は、50%のそのヒドロキシル基がアルデヒドで置き換えられた10kダルトンのデキストランである。D10−50溶液の重量パーセントによる濃度は、4、5、7.5、10、15及び25であった。
図11に示すように、10、15及び25重量%のポリマー成分溶液濃度を有する接着剤組成物のゲル化時間は、非常に類似し、4、5及び7.5重量%のポリマー成分溶液濃度を有する接着剤組成物のゲル化時間よりも遙かに短かった。
【0081】
図11は、PEGアミン及びデキストラン(D10−50)を含む様々な接着剤のゲル化時間も含む。この実施例のPEGアミンは、各腕の末端に第一級アミンを有する8つの腕を有し、かつ分子量が10kダルトンのポリエーテルであった。この実施例では、P8−10−6.67と称されるPEG−アミンの6.67重量%の水性溶液を、以下の濃度のデキストラン溶液と組み合わせた:4、5、10、15及び25重量%。
図11に、これら6つのPEG接着剤のゲル化時間をプロットする。比較のために、
図11で比較される全接着剤製剤は、各々が同じ数のPEGアミン分子又はデンドリマー分子のいずれかを有するように配合された。
【0082】
図11に示すように、デンドリマー含有接着剤製剤のゲル化時間は、全濃度のデキストランにおいてPEGアミン接着剤のゲル化時間よりも速かった。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、この矛盾は、本明細書に記載した接着剤製剤のデンドリマー成分の立体障害がより小さく;従って、デンドリマー成分とデキストランとの間の反応が、PEGアミンとデキストランとの間の反応と比較して、起こる可能性が高いことに起因し得る。
【0083】
図11の接着剤の最大荷重を
図12にプロットする。5重量%デキストラン溶液を含む接着剤製剤を除いて、デンドリマー含有接着剤製剤は、より高い最大荷重を有した。
【0084】
実施例6−デンドリマーを含む接着剤製剤と、異なる分子量のPEGアミンを含む接着剤製剤との比較
実施例5では、デンドリマー成分は、25%のその表面基上に、ヒドロキシル基の代わりに第一級アミンを有し、かつ分子量が30kダルトンであるデンドリマーであった。対照的に、実施例5の他の接着剤製剤中に使用したPEG−アミンは、10kダルトンの分子量を有した。PEGアミンの分子量の効果を試験するために、異なる分子量を有するPEG−アミンを含む一連の接着剤を生成した。分子量は異なっていたが、各接着剤は、同一の数のPEGアミン分子を含んでいた。
【0085】
詳細には、3つの異なるPEGアミン成分を使用して、この3つのPEGアミン成分を、5、7.5、10、15及び25重量%の濃度を有するデキストラン溶液と組み合わせることによって、15個の接着剤を配合した。3つの異なるPEGアミン成分は、各々、8つの腕を有し(P8)、10kダルトンのPEG−アミンの6.67重量%溶液、20kダルトンのPEGアミンの13.34重量%溶液、及び40kダルトンのPEGアミンの26.68重量%溶液からなっていた。
【0086】
図13は、これら15個の接着剤のゲル化時間と、各デキストラン溶液を、25%のその表面基上にヒドロキシル基の代わりに第一級アミンを有する30kダルトンのG5デンドリマーの20%溶液と組み合わせることによって作製された接着剤製剤に関するゲル時間とを示す。PEGアミン接着剤中のPEGの分子量が増大するにつれて、PEGアミン接着剤のゲル化時間が、本明細書に記載したデンドリマー含有接着剤製剤とより同様になった。20kダルトン及び40kダルトンのPEGアミン接着剤はほぼ同じゲル化時間を有し、このゲル化時間は、10kダルトンのPEGアミンのゲル化時間よりも短かった。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、この相違は、立体障害における相違:より大きい分子量を有するPEGアミンは立体障害がより小さく、その結果、他の成分と反応する可能性がより高いことに起因すると思われる。
【0087】
20kダルトン及び40kダルトンのPEGアミン接着剤は、10kダルトンのPEGアミン接着剤と比較して速いゲル化時間を有したが、10kダルトンのPEGアミン接着剤により対処された最大荷重は、20kダルトン及び40kダルトンのPEGアミン接着剤の最大荷重よりも大きかった。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、このことは、デキストラン中のアルデヒドと、組織中のアミン及びPEGアミン中のアミンとの間の反応における競合に関連し得る。
図14は、これらの結果を示す。
【0088】
実施例7−疾病モデル−結腸炎誘導
結腸炎に基づいて疾病モデルを設計した。モデルを開発するために、健康な結腸及び疾病結腸のアミン密度の相違を試験した。この実験は、炎症の誘導により組織表面が変更されたか、そのことがデンドリマー含有接着剤製剤の接着及び粘着強度にどの程度影響するかを示した。
【0089】
疾病モデルのために、ジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS)を濃度80mg/mLで注入した。24時間後、ウサギを安楽死させ、結腸を回収し、洗浄し、0.5%アルデヒド被覆マイクロスフェア溶液中で20分間インキュベートした。組織を凍結させ、低温切開し、ヨウ化プロピジウムで染色した。マイクロスフェアの強度を蛍光発光顕微鏡法により定量した。
【0090】
蛍光発光顕微鏡画像は、健康なモデルが、より大きいアミン密度と、表面に沿ってより高い分布とを有することを示した。低温切開した健康な組織及び疾病組織のヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E)は、細胞浸潤による結腸の肥大及び肥厚により示されるように、管腔表面の形態の変化を示した。漿膜層化学も影響され、このことは、疾病状態の結腸全体にわたるf−MS強度及び連続性の変化、即ち表面に存在したアミン基がより少ないことにより証明された。
図15は、健康なモデル及び疾病モデルにおけるマイクロスフェア強度の分布を示す。
図16は、健康な組織及び疾病組織(結腸炎)に適用されたマイクロスフェアの平均強度を示す。このグラフは、組織が炎症した際、マイクロスフェア平均蛍光発光強度が、従ってデンドリマー含有接着剤製剤の組織に対する接着が、劇的に低下(60%を超えて)することを示す。
【0091】
このモデルでは、アミン密度の低下は、組織と接着剤製剤との間の相互作用と、接着強度とに影響を与えた。より詳細には、この特定の実施例では、結腸炎は、組織表面のより低い蛍光発光強度と、
図17に示すように、より低い表面被覆率とにより示されるように、組織に対するf−MS結合の低下をもたらした。この実施例では、より低い表面被覆率は、孤立した範囲内に生じ、健康な状態に観察される連続的な表面被覆を乱した。従って、投与された成分溶液の濃度又は成分の量は、疾病組織のこの特性を補償するよう調整されてもよい。特定の材料製剤は、疾病誘導による組織表面化学の変化に対処するよう設計されてもよい。詳細には、所定の実施形態では、より大量の又は高い濃度のポリマー成分を含む製剤を投与して、疾病組織の表面上のアミンの数の低下を補償することによって、反応収率、接着、又は両方を改善することができる。
【0092】
実施例8−疾病モデル−癌
実施例7の分析を、ラットの結腸からの癌性組織上でも行った。癌モデルでは、
図18に示すように、疾病組織は健康な組織と比較して高いf−MS組織表面被覆率を有した。結腸炎モデル(実施例7)及び癌モデルが生んだ反対の結果は、本明細書に記載した接着剤製剤を、疾病誘導による組織変化を補償するように調整する重要性を示す。結腸炎モデル(実施例7)と癌モデルとのf−MS強度の差異のより徹底的な比較を
図19に示す。
図19は、結腸炎モデル(実施例7)からの炎症結腸組織は、癌モデルの癌性組織と比較して低いf−MSの組織表面被覆率を有したことを示す。
【0093】
実施例9−接着剤製剤に対する組織応答−結腸炎モデル
炎症の重症度、漿膜ヘテロフィル(材料に対する応答を示す、材料を有する界面における)、及び漿膜線維症(治癒を示す)を示す一連の組織学スコアを収集することによって、接着剤製剤に対する全般的な組織応答を決定した。この実施例で使用した接着剤製剤は、D10−50−15及びG5−25−20を含んでいた。表1に列挙した6つの結腸組織グループに関して組織学スコアを収集した。切開を含むグループの各々において、切開を縫合した。H&E染色切片の顕微鏡写真も収集し、これを表1にて説明する。組織サンプルは、実施例7のプロセスに類似した方法で収集した。
【0094】
【表1】
【0095】
図20は、グループI〜VIの組織から収集した組織学スコアを示す。健康な組織(グループI、III及びV)において、グループVの炎症は、グループIIIの炎症と比較して低かった。従って、この試験では、切開を有する健康な組織の炎症は、接着剤の適用後に低下された。健康な組織では、接着剤製剤が適用されたか否かに係わらず治癒応答は類似し、接着剤製剤に対する任意の有害な応答の証拠は存在しなかった。
【0096】
疾病組織(グループII、IV及びV)では、全般的な炎症は、健康な組織と比較してより高かった。しかしながら、接着剤製剤の適用により組織と接着剤製剤との間の界面における炎症性応答が増大することが観察された。更に、この特定の試験では、疾病組織に対する接着剤製剤の適用が、漿膜線維症を増大させ、即ち組織の治癒を高めた。
【0097】
漿膜ヘテロフィル及び漿膜線維症の両方は、組織の状態(疾病又は健康)の影響を受け、このことは、所定の場合に、特定の微小環境状態の見地から接着剤製剤を調整する重要性を更に示している。
【0098】
実施例10−接着剤製剤に対する組織応答−癌モデル
実施例9の分析は、癌性組織上でも行われた。実施例9と同様に、この実施例で使用した接着剤製剤は、D10−50−15及びG5−25−20を含んでいた。炎症の重症度、漿膜ヘテロフィル(材料に対する応答を示す、材料を有する界面における)、及び漿膜線維症(治癒を示す)を示す一連の組織学スコアを収集することによって、接着剤製剤に対する全般的な組織応答を測定した。表2に列挙した6つの組織グループに関する組織学スコアを収集した。切開を含む各グループでは、切開を縫合した。H&E染色切片の顕微鏡写真も収集し、これを表2にて説明する。組織サンプルは、実施例8のプロセスに類似した方法で収集した。
【0099】
【表2】
【0100】
図21は、グループVII〜XIIの組織から収集した組織学スコアを示す。全般的な炎症及び表面炎症は、健康な状態(基VII、IX及びXI)と疾病(基VIII、X及びXII)状態とで類似していた。結腸炎モデル(実施例8)と同様、接着剤製剤を加えることにより、表面ヘテロフィルの上昇によって示されるように癌性組織に治癒が付与された。