【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、独立請求項に従属する従属請求項で規定される。
本発明の翼端装置は、通常、航空機の翼または翼状構成要素に取り付けることができる。以下において、「翼」と略される翼状構成要素は、翼、尾翼、スタビライザ、または先尾翼とすることができ、翼の後退角は、正または負とすることができる。翼に取り付けられた翼端装置、または少なくとも2つの従属翼(ancillary wing)部分もしくは従属翼部品を有する主ウイングレット、または翼に配置された従属ウイングレットもしくは補助ウイングレットからなる本発明の問題解決手段を用いて、飛行動作中の翼端装置全体の空気力学的抗力を低減することができ、かつ/または、翼端装置全体に作用する負荷を公知技術の翼端装置と比較して低減することができる。本発明の翼端装置は、翼の構造設計に関係する飛行条件下で発生する負荷を低減することができる。ここで、従属翼部分の長さは、明らかに翼端装置の長さ未満であり、特に、半分未満である。これにより、翼端装置上の少なくとも2つの従属翼部分の数量、および/または大きさ、および/または姿勢、および/または位置を整合および最適化することで、空気力学的負荷がかかった結果として、翼または翼端装置に作用する負荷の増加勾配よりも大きい、抗力の減少勾配を得ることが可能である。
【0006】
発明の翼端装置、すなわち、本発明の翼端装置を有する翼は、翼端装置上の少なくとも2つの従属翼部分の数量、および/または大きさ、および/または姿勢、および/または位置の整合および最適化により最適化することができ、特に、所与の翼面荷重での全抗力の低減、ならびに/または外部の空気力学的負荷の結果としての翼端装置負荷および/もしくは翼負荷の低減を、翼の翼端装置の全抗力に特に影響を及ぼすことなく達成することができ、目標を定めた有利な態様で調整することができる。この点について、特に以下:
・ 空気力学的負荷の結果として生じる、翼端装置および/または翼にかかる負荷および/または負荷分布の低減、ならびに/あるいは、
・ 飛行動作中の翼端装置および/または翼の抗力の低減、あるいは、
・ 本発明の問題解決手段を用いた、翼端装置全体の抗力の低減と負荷の影響との間の有利な妥協案、
を達成することができる。
【0007】
実施形態の一例によれば、従属翼部分は、形態、大きさ、位置、および姿勢に関して、翼端装置上の従属翼部分が、従属翼部分のない翼端装置と比較して、飛行動作時に抗力に対して比較的小さい影響しか及ぼさないが、翼端装置が取り付けられた翼全体にわたる全体的な負荷分布に対してかなりの影響を及ぼすように翼端装置上に設けられる。
【0008】
本発明の問題解決手段は、本発明で提供される従属翼部分の全体的な負荷分布に及ぼす影響が特に有利なことから、比較的低い剛性の翼に適用される場合に特に有利である。それぞれの従属翼部分の構成および姿勢に応じたさらなる空気力学的負荷の発生により、従属翼部分は、翼上での負荷の再配分に寄与する。
【0009】
特に、抗力の点から注目に値する定常巡航飛行の場合の翼のたわみと、構造体の寸法を決めるのに重要である飛行操作時に発生する増加したたわみとの差が、本発明の問題解決手段を用いて活用される。本発明の従属翼部分を用いて、翼に生じる最大負荷が低減され、したがって、軽い重量の翼を構築できるように、これらの飛行条件において翼に作用する局所負荷および負荷分布を調整することが可能である。
【0010】
本発明の一態様によれば、翼用の翼端装置は、内側端部および外側端部を有し、翼端装置の局所上反角が内側端部から外側端部へ増加または減少し、想定した主入射流れ方向に関する正圧側流れ面および負圧側流れ面を有する。本発明によれば、少なくとも2つの従属翼部分が、翼端装置の流れ面から離れる方向に突出して、翼端装置に配置されるようになっている。それによって、従属翼部分は、所定の態様で翼端装置に作用し、ひいては、翼賛装置が取り付けられた翼にも作用する負荷を発生させるように翼端装置上に構成および配置される。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの従属翼部分、または2つの従属翼部分は、従属翼部分の翼端装置への取付領域が、すなわち、従属翼部分と翼端装置との間の境界面が、以下において負圧面とも呼ぶことができる、翼端装置の局所厚さ方向を向いたそれぞれの流れ面に主に配置されるか、または以下において正圧面とも呼ぶことができる、翼端装置の局所厚さ方向から離れる方向を向いた流れ面に配置されるように翼端装置に配置される。
【0012】
ここで、特に、YZ平面内で翼端装置を横断する断面に関して、少なくとも1つの従属翼部分が、翼端装置の概して凸形の湾曲を有する側に配置されるようになる。この実施形態は、翼幅が増加し、発生する効力をこの手段によって低減できるため、空気力学的な理由から特に有利である。特に、翼端装置は、その局所上反角が、内側端部から外側端部へ連続的に増加または減少するように構成することができる。あるいは、例えば、長手方向の一部分において、翼端装置が平面状プロファイルを有するようにすることもできる。
【0013】
翼端装置の発明の一実施形態によれば、
・ 少なくとも2つの従属翼部分が、翼端装置に配置され、いずれの翼端装置も流れ面から離れる方向に突出し、
・ 従属翼部分は、いずれも翼端装置の表面との境界面を形成し、これらの境界面は互いに離間して配置される、
ようにすることができる。
【0014】
翼端装置の発明の一実施形態によれば、各境界面対間の分離距離は、2つの従属翼部分の短い方の長さの少なくとも1.5倍であるようになっている。
特に、従属翼部分の配置に関し、従属翼部分の1つは、概して凸形の湾曲を有する、すなわち、一部の中間部分で逸脱することもあり得るが、第1の端部から第2の端部まで全体的に見て凸形の湾曲部を有する外側面に配置されるようにすることができる。したがって、特に、YZ平面内で翼端装置を横断する断面に関して、少なくとも1つの従属翼部分が、翼端装置の概して凸形の湾曲を有する側に配置されるようにすることができる。本発明の有利な一実施形態によれば、さらなる従属翼部分が、翼端装置の概して凸形の外側面に配置されるようになっている。
翼端装置の発明の一実施形態によれば、従属翼部分は、局所翼端装置座標系の厚さ方向に沿って延びるようにすることができる。
【0015】
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、従属翼部分の中心面は、局所翼端装置座標系の局所厚さ方向に対して30°未満の角度で傾斜するようにすることができる。
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、特に、発明で定義される従属翼部分の局所中心面は、少なくとも、従属翼部分の全長の85%までの領域内で、局所翼端装置座標系の局所厚さ方向に対して30°未満の角度で傾斜するようにすることができる。
【0016】
さらに、翼端装置の発明の実施形態によれば、従属翼部分の片側の表面領域は、翼端装置の表面、または、特に、発明で定義された中心面の領域の30%未満であるようにすることができる。代替案として、またはそれに加えて、従属翼部分の表面領域は、翼端装置の表面、または翼端装置の中心面の領域の5%を超えるようにすることができる。
【0017】
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、翼端装置または主翼の表面のそれぞれの地点に直角な従属翼部分の長さは、翼の半幅の5%未満であるようにされる。
さらに、翼端装置の発明の実施形態によれば、翼端装置または主翼の表面のそれぞれの地点に直角な従属翼部分の長さは、最小で翼の半幅の1.0%であるようにされる。
【0018】
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、従属翼部分の厚さは、従属翼部分が取り付けられた地点での翼端装置の局所厚さ以下であるようにされる。
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、従属翼部分は、その第1の端部と外側端部との間の長さが、従属翼部分の最大翼弦の少なくとも2倍であるように構成される。
【0019】
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、従属翼部分のテーパは、0.3〜0.8の範囲の値を有するようにされ、従属翼部分のテーパは、従属翼部分の内側端部から見て、従属翼部分の全長の10%の位置の局所翼弦を、従属翼部分の内側端部から見て、従属翼部分の全長の85%の位置の局所翼弦と比較したものとして定義される。
【0020】
翼端装置のさらなる発明の実施形態によれば、従属翼部分の相対厚さは6%〜15%であるようにされ、特に、相対厚さは、全体的に見て従属翼部分に存在する最大厚さを、最大厚さが存在する同じ断面領域での従属翼部分の対応する断面翼弦と比較したものとして定義される。これに関して、断面翼弦は、従属翼部分のそれぞれの断面領域qの最大幅として定義され、厚さは、従属翼部分の同じ断面領域qにある、断面翼弦の線に直角な最大局所厚さ、または高さとして、すなわち、互いに反対側に配置された断面外側面間または断面線間で、それぞれの断面領域qに存在する最大分離距離として定義される。その結果、従属翼部分の最大厚さは、全体的に見て断面領域qに存在する最大局所厚さまたは高さである。
【0021】
従属翼部分の断面翼弦の別の発明の定義によれば、これは、従属翼部分の断面領域qの境界曲線上の2つの地点間の直線の長さであり、境界曲線上の2つの地点は、それらの分離した距離が、平面qの境界曲線上の地点の他の任意の可能な位置と比較して最大であるように配置される。断面領域qの翼弦方向はこの線に沿って延びる。最大厚さは、同じ断面領域の翼弦方向に対して直角に測定した、断面領域の境界曲線の最大分離距離として定義される。
【0022】
翼端装置の発明のさらなる実施形態によれば、従属翼部分の構成は、その第1の端部にある翼弦が、局所翼端装置座標系の翼弦方向にある翼端装置の翼弦と比較して、20%〜80%の範囲にあるようにされ、翼端装置の翼弦は、局所翼端装置座標系の厚さ方向が従属翼部分の第1の端部を通る地点での翼端装置の翼弦である。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、翼には、本発明による翼端装置が設けられる。
翼の発明の実施形態によれば、発明で構成された少なくとも1つの従属翼部分が、主翼上にさらに配置される。
【0024】
この実施形態で主翼上に配置された本発明の従属翼部分は、特に、その第1の端部と第2の端部との間の長さが、従属翼部分の最大翼弦の少なくとも2倍であるように構成されるようにすることができる。
【0025】
ここで、翼端装置は、従属翼部分のテーパが、0.3〜0.8の範囲の値を有するように構成することができ、従属翼部分のテーパは、従属翼部分の内側端部から見て、従属翼部分の全長の10%の位置の局所翼弦を、従属翼部分の内側端部から見て、従属翼部分の全長の85%の位置の局所翼弦と比較したものとして定義される。
【0026】
ここで、代替案として、またはそれに加えて、翼端装置は、従属翼部分の相対厚さが6%〜15%であるように特に構成され、その相対厚さは、全体的に見た従属翼部分の最大厚さを従属翼部分の断面翼弦と比較したものとして定義され、断面翼弦は、従属翼部分のそれぞれの断面領域qの最大幅として定義され、最大厚さは、従属翼部分の同じ断面領域qの断面翼弦に直角な最大高さとして定義される。
【0027】
ここで、さらに、代替案として、またはそれに加えて、翼端装置は、局所翼端装置座標系の翼弦方向における翼端装置の翼弦方向の範囲に対する、従属翼部分の第1の端部における従属翼部分の翼弦方向の範囲が、20%〜80%の範囲にあるように特に構成することがで、翼端装置の翼弦方向の範囲は、局所翼端装置座標系の厚さ方向が、従属翼部分の第1の端部を通る地点における翼端装置の翼弦方向の範囲である。
【0028】
翼端装置の発明の実施形態によれば、各境界面対間の分離距離は、2つの従属翼部分の短い方の長さの少なくとも1.5倍であるようにされる。
本発明のさらなる態様によれば、翼はまた、発明の実施形態による翼端装置を設けられる。
【0029】
以下において、本発明の実施形態の例が添付の図面を用いて説明される。