(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【0001】
本発明は、燃焼酸化剤を予熱するために、発生する排ガスから熱エネルギーを回収することを含み、酸素が豊富な燃焼酸化剤を使用する、ガラスを溶融する方法および炉に関する。
【0002】
酸素を豊富に含む燃焼酸化剤、例えば酸素含有量が少なくとも80%volのオキシダント(oxidant)は、特にガラス溶融炉中で使用して、汚染放出物(NOx、粉塵)および炉のエネルギー消費を減らすことができることが知られている。
【0003】
US-A-6071116に記載の1つの特に有利な技術によれば、炉の経済収支は、バーナーの上流側で少なくとも1種の試薬(燃焼酸化剤および/または燃料)を予熱することによって改善される。これは、炉内燃焼チャンバーの下流側にある排ガス流路上に1つ以上の熱交換器を設置することによって行われ、そこで、安全な中間流体、例えば空気、CO
2、窒素および蒸気が、燃焼チャンバーからの暖かい排ガスとの熱交換によって加熱され、そこで、少なくとも1種の試薬が、加熱された中間流体との熱交換によって予熱される。
【0004】
空気を燃焼酸化剤として使用する炉は、豊富な量の周囲空気を考慮すれば、十分な量の燃焼酸化剤の供給は普通問題にはならないが、これとは異なり、酸素を豊富に含む燃焼酸化剤を使用する炉は、炉の近くに、専用の大きな燃焼酸化剤源、例えば管路、空気ガス分離ユニット、または十分に大容量の燃焼酸化剤タンクさえも必要とする。しかし、これは、例えば技術的またはロジスティックな問題にしたがって、酸素を豊富に含む燃焼酸化剤の供給が中断するのを防止しない。
【0005】
酸素を豊富に含む燃焼酸化剤の供給の中断に伴い炉が停止してしまう場合に起こり得る主な損害を考慮して、炉の近くに酸素を豊富に含む燃焼酸化剤の予備分を保存するために予備タンクを設置してもよいことが知られている。このような予備は、低下モードにおいて多くの場合、溶融炉の連続稼働を可能にする、または常用の酸素を豊富に含む燃焼酸化剤源が故障した場合にも炉温をそのまま保つ。しかし、予備は、特に総トン数が高い溶融炉、例えば「フロート」炉の場合、適時に非常に限られた自律性しか与えない。
【0006】
US-A-6071116は、空気を中間流体として使用して、排ガスから該中間流体までとの熱交換による少なくとも1種の燃焼試薬の予熱を含めた代替策を開示する。この策によれば、加熱した中間気流は、酸素を豊富に含む燃焼酸化剤の供給が中断された場合、燃焼酸化剤としてバーナーに向かい、炉の自律性の長期化を可能にする。
【0007】
しかし、この提案の適用は問題がある。空気中の燃焼によって生じる排ガスの量は、同じパワーでも、酸素燃焼によって生じる排ガスの量よりはるかに多い。したがって、酸素燃焼で操作するように設計された溶融炉は、通常、空気燃焼における稼働中に同程度のパワーで発生される大流量の排ガスを管理できず、そのため、空気燃焼させる場合には炉の稼働は非常に低下したモードに余儀なくされる。別の潜在的な問題は、酸素を豊富に含む燃焼酸化剤を用いる稼働向けに設計されたバーナーでは、空気を燃焼酸化剤として使用した場合、効率的かつ信頼性のある操作を普通にはできない問題である。酸素を豊富に含む燃焼酸化剤と、また空気とを用いる稼働を可能にするように設計される二重燃焼酸化剤バーナーがあるが、これは高価であり、その複雑さのために、特に不良環境、例えばガラス溶融炉の燃焼チャンバー内では、潜在的に信頼性が低くなる。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に克服することである。
【0009】
本発明は、以下に開示する本発明による方法および設備によって本目的を実現することを提案する。
【0010】
本発明は、第1オキシダントおよび第2オキシダントを使用する、溶融炉中でガラスを溶融する方法を特に開示する。第1オキシダントは、空気および酸素富化空気のうちから選択される。第2オキシダントは、80%vol〜100%vol、好ましくは90%vol〜100%volの酸素含有量を有し、第2オキシダントの酸素含有量は、第1オキシダントの酸素含有量よりも多い。
【0011】
本発明によれば、ガラスは、溶融チャンバーおよび予熱設備を含む溶融炉中で溶融される。
【0012】
溶融チャンバーは、該チャンバーの中で燃料を燃焼するためのn個のバーナーを備え付けており、バーナーの数は1個以上である(n≧1)。これらのn個のバーナーは、こうして、該チャンバーからの出口で、熱エネルギー、および温度が1000℃〜1600℃の高温排ガス流を発生させる。
【0013】
n個のバーナーは、「第1バーナー」と呼ばれるm個のバーナーを含み、第1バーナーの数m個は、1個以上であり、溶融チャンバー中のバーナーの数n個以下である(1≦m≦n)。
【0014】
本発明によれば、固形の原料は溶融チャンバー中で溶融されて、溶融ガラスが得られる。該チャンバーからの高温の排ガス流は、予熱設備に導入され、熱伝導流体を介して、前記高温排ガス流中に存在する熱エネルギーのいくらかを回収する。
【0015】
したがって、熱伝導流体の流れは、予熱設備における熱交換器中で、高温排ガス流との熱交換によって加熱され、先ず冷却された排ガス流が生じ、次に加熱された熱伝導流体流が生じるが、前記加熱された熱伝導流体の流れは、第1熱交換器からの出口で600℃〜900℃の温度を有する。
【0016】
本発明を文脈において、「熱交換器」という用語は、通常の技術的な用語の意味で使われ、言い換えれば、温度の異なる少なくとも2つの流動体が別個のチャンバーの中を循環し、互いの間で熱を伝達する装置を示す。
【0017】
溶融方法の第1段階の際には、第1オキシダントは、空気または酸素富化空気からなり、熱伝導流体として使用される。第2オキシダントの流れは、第1のものより酸素に富み、予熱設備における交換器中で、加熱された熱伝導流体流との熱交換によって予熱され、先ず第2熱交換器からの出口で温度が400℃〜650℃の予熱された第2オキシダントの流れが生じ、第2熱交換器からの出口で350℃〜650℃の中程度の温度の熱伝導流体の流れが生じる。
【0018】
本方法の第1段階に際して、DO1>0Nm
3/hの場合、量DO1の予熱された第2オキシダント(「濃厚オキシダント」)の流れが、燃焼酸化剤として、m個の第1バーナーに供給される。
【0019】
このような予熱された酸素富化燃焼酸化剤の使用は、汚染放出物を抑え、優れたエネルギー効率をもたらすことができる。
【0020】
このような文脈において、ガス容量は、通常の立方メートル(Nm
3)で表し、1Nm
3は1atmで1m
3占めるガスの量に等しい。
【0021】
本発明による方法は、量DO2の第2オキシダント(濃厚オキシダント)がm個の第1バーナーに供給される第2段階も含むが、この量は0Nm
3/hを超えるが、本方法の第1段階中でm個の第1バーナーに供給される第2オキシダント(濃厚オキシダント)の量DO1よりも少ない。本方法のこの第2段階中、DA2>0Nm
3/hの場合、量DA2の第1オキシダントもまた、燃焼酸化剤としてm個の第1バーナーに供給される。
【0022】
本発明によれば、量DA2の第1オキシダントは、燃焼酸化剤として、加熱された熱伝導流体流の対応する一部の形態で、m個の第1バーナーに供給される。
【0023】
第2段階中、量DO2の第2オキシダントは、以下の3つのオプションにしたがってm個の第1バーナーに供給されてもよい:
i)m個の第1バーナーに供給される量DA2の第1オキシダントから完全に分離する、
ii)m個の第1バーナーに供給される量DA2の第1オキシダントと完全に混合する、または
iii)量DA2の第1オキシダントと部分的に混合し、量DA2の第1オキシダントから部分的に分離する。
【0024】
最初の状況(第1オキシダント(濃厚オキシダント)と第2オキシダントとで完全に分離された第1バーナーへの供給)では、第1オキシダントを、第2段階での熱伝導流体として使用することになる、言い換えると、この第2段階で、第1オキシダントは、第1熱交換器中で高温排ガス流と熱交換されることにより加熱される。
【0025】
他2つの状況(第1および第2の各オキシダントが完全にまたは部分的に混合された第1バーナーへの供給)では、第2段階の間に第1交換器中で排ガスと熱交換することによって加熱される熱伝導流体の本質は、第1および第2の各オキシダントの(部分的なまたは完全な)混合が行われる場所に依存する。量DO2の第2オキシダント(濃厚オキシダント)が、予熱設備の第1熱交換器の上流側(言い換えると、2つのオキシダント源と第1熱交換器との間)で、第1オキシダントと、部分的にまたは完全に混合される場合、第1熱交換器の上流側で結果として得られた混合物を、熱伝導流体として使用する。一方、量DO2の第2オキシダントが、量DA2の第1オキシダントと、第1熱交換器の上流側ではまったく混合されないが、第1熱交換器の下流側のみで混合される場合、第1オキシダントを、本方法の第2段階で熱伝導流体として使用する。
【0026】
本方法の第2段階で、量を減らした第2オキシダントの流れを燃焼酸化剤として、予熱した第1オキシダントの流れと組み合わせて溶融チャンバーのm個の第1バーナーに供給すると、第2オキシダントが不足した場合、溶融炉の自律性は著しく向上する。したがって、本発明による方法は、第2オキシダントの不足があれば、この第2段階で有利に使用される。第1段階の稼働は、第2オキシダントの不足がない場合、特に、ますます厳しい規制によって管理される汚染放出物を減らすために好ましい。
【0027】
第2段階中、m個の第1バーナーが、第1および第2の各オキシダントの組合せが供給され、したがって、空気よりも高い酸素含有量の燃焼酸化剤の組合せを一括で供給されることになることを考慮すると、第2段階の間にチャンバー内で発生する排ガスの容量は、第1段階の間に発生する排ガスの容量とほぼ同じである。
【0028】
空気燃焼と酸素燃焼との両方を操作できる第1バーナーとして、高価な二重燃焼酸化剤バーナーを使う必要がないことにも留意されたい。酸素含有量が可変の酸素富化燃焼酸化剤で機能できるバーナーで十分である。本発明による方法の別の主な利点は、第2段階中のm個の第1バーナーによって生じる炎の性質(サイズ、温度(プロフィール)、明るさなど)が、第1段階中で生じる炎の性質に類似しているため、得られる溶融ガラスの性質に与える相変化の影響を制限でき、第2段階中、チャンバーおよびその装置への損傷のリスクが劇的に減る点である。
【0029】
「第1段階」および「第2段階」は、本発明による方法の別個のステップである。しかし、第1段階を第2段階に先行させるように調子を合わせる必要はない。順番を逆にすることも可能で、第1段階および/または第2段階を数回行う炉の稼働も可能である。したがって、第1段階に進む前に、本方法の第2段階の設置を開始することが可能であると思われる。
【0030】
一態様によれば、本方法の第2段階中、(第2熱交換器中での加熱された熱伝導流体流との熱交換による)第2オキシダント(濃厚オキシダント)の流れの予熱はない。量DO2の第2オキシダントは、事前に第2熱交換器で予熱することなく、次いで、m個の第1バーナーに供給される。
【0031】
好ましい一態様によれば、溶融チャンバー内の全てのバーナーは、第1バーナーであり、換言するとm=nである。
【0032】
第1オキシダントは、空気、特に空気ファンによって供給される周囲空気であってもよい。これは、中程度の温度の熱伝導流体の流れが最終的に煙突を通して排気される場合、特に好適である。
【0033】
第1オキシダントは、酸素を豊富に含む空気、例えばファンによって供給され、このファンの下流側で酸素を豊富に含む周囲空気であってもよい。第1オキシダントを酸素富化させるための酸素は、特に第2源によって供給されてもよく、前記第2源は第2オキシダントも供給する。この種の形態は、中程度の温度の熱伝導流体の流れが、本方法の第1段階中、予熱設備の下流側でオキシダントとして使用される場合に有用になり得る。例えば、中程度の温度の熱伝導流体流は、その位置に存在するボイラー中で、燃焼酸化剤として使用される。
【0034】
したがって、第1オキシダントが21%vol〜40%vol、またはさらには21%vol〜25%volに等しい酸素含有量を有する場合、中程度の温度の熱伝導流体流を、例えば、本方法の第1段階中で、燃焼酸化剤として有利に使用してもよい、または空気中のもしくは酸素をやや豊富に含む空気中の燃焼を用いるデバイスが使用される。
【0035】
第1オキシダントの酸素含有量が40%vol〜90%volであるが、常に第2オキシダントの酸素含有量より少ない場合、熱伝導流体を、例えば、第1段階中で燃焼酸化剤として、酸素燃焼の方法またはデバイスにおいて、有利に使用してもよい。
【0036】
上記のように、第2オキシダント(濃厚オキシダント)は、80%vol〜100%volの酸素含有量を有する。好ましくは、第2オキシダントは、90%vol〜100%volの酸素含有量を有する。炉のキャパシティ、したがって第1段階中の第2オキシダントの必要性が十分に低い場合、炉への第2オキシダントの供給は、1つ以上の第2オキシダント用貯蔵タンクから行ってもよい。炉への第2オキシダントの供給は、空気ガス分離ユニットまたは管路によっても行うことができる。この場合、空気ガス分離ユニットまたは管路が故障した場合に対応する第2オキシダント用の予備タンクを設けることも望ましい。
【0037】
溶融炉は、縦型のバーナー炉でもよい。この場合、炉は、通常、非常に限られた数、例えば1≦n≦4のバーナーを含む。
【0038】
しかし、本発明は、横型バーナーを備える炉、特に「フロート」溶融炉タイプの横型バーナーを備える炉に特に有用である。このような「フロート」タイプの溶融炉の場合、通常、バーナーの配置は、溶融チャンバーの縦軸に垂直に置かれる多数のバーナーで構成される。各バーナーのパワーは、個別に調節する、またはバーナーの群ずつ調節し、溶融チャンバーでの必要な温度プロフィールを設定する。
【0039】
ガラス溶融炉のバーナーの総合的なパワーは、炉のトン数(溶融ガラス流)に応じて調節する。
【0040】
溶融炉は、いくつかの予熱設備を含んでもよい。例えば、炉は、2つの予熱設備(炉の各側面に一設備)を含んでもよい。これは、「フロート」炉に特に有用である。この場合、各予熱設備は、燃焼酸化剤をm
i個の第1バーナーの群に供給することになり、ここではΣm
i≦nである。
【0041】
予熱設備は、いくつかの第2熱交換器も含んでよい。この場合、各第2熱交換器は、高温の第2オキシダントの流れを、第1段階中にm
j個の第1バーナーの群に供給することになり、ここではΣm
j≦nである。
【0042】
したがって、予熱設備は、チャンバーからの排ガスの出口近くに配置される第1熱交換器、および炉の各側面に少なくとも1つの第2熱交換器を含んでもよい。例えば、チャンバーからの排ガスの出口の左側の第1バーナー1つと右側の別の第1バーナー1つによって加熱されるループを有する炉の場合、予熱設備は、排ガス用出口に近い上流壁の後ろに第1熱交換器を含んでもよく、2つの第1バーナーのうち片方の近くにある各第2熱交換器も、上流壁の後ろの第1熱交換器の各側面に含んでもよい。各第2熱交換器は、次いで、第1熱交換器に接続させて、加熱した熱伝導流体流の一部を、本方法の第1段階中に各第2熱交換器に供給する。
【0043】
同様に、また特に2つの側壁に設置されたバーナーによって加熱される「フロート」炉などの炉の場合では、排ガス用出口に近い第1熱交換器と、炉の各側壁に隣接する第2熱交換器とを含む予熱設備を使用することが可能である。各第2熱交換器を、次いで、第1熱交換器に接続して、本方法の第1段階中、加熱された熱伝導流体流の一部を、予熱設備中の各第2熱交換器に供給する。
【0044】
有利な一態様によれば、予熱設備は、バーナーの上流側、したがって溶融チャンバーから上流で燃料を予熱するためにも使用される。したがって燃料を、高温の排ガス流との熱交換および/または加熱した熱伝導流体流との熱交換によって、予熱することができる。
【0045】
本方法の一態様によれば、第2源によって溶融炉に供給できる第2オキシダントの量(量または全体的な量)は、連続的にまたは不連続的に確認される。この利用可能な第2オキシダントの量は、(供給される)第2オキシダントに対応する溶融炉の必要性と比較される。次いで、この比較の結果を用いて、溶融炉が操作されるべき段階(第1または第2段階)を求める、および/または本方法の第2段階中に適用すべきDO2/DA2比を求める。したがって、炉が第1段階で機能し、(現在のまたは予測される)第2オキシダントの不足が見られた場合、本発明による方法は第2段階に移る。同様に、炉が第2段階で操作されており、第2オキシダントに(現在または予測の)不足が見られないまたはもはや不足することはないと見られる場合、本方法を第1段階に移すことが有用である。その他の目安、例えば炉のトン数の減少または溶融ガラス製造の停止さえも、第2オキシダント(濃厚オキシダント)の不足があれば必要と見なしてもよい。
【0046】
好ましくは、自動化手順を先ず導入して、連続的にまたは不連続的に、第2源によって溶融炉に供給できる第2オキシダントの量(量または全体的な量)を確認し、次にこの第2オキシダントの利用可能な量を、第2オキシダントに対応する溶融炉の必要性と比較し、この比較の結果を、調節もしくは稼働段階の選択(第1または第2段階)、および/または第2段階中でのDO2/DA2比の調節のために使用する。
【0047】
特定の一態様によれば、第2オキシダントは、本方法の第1段階中は第2オキシダントの主要源(通常、管路または空気ガス分離ユニット)によって供給され、第2段階中では予備タンクによって供給される。
【0048】
本発明はまた、本発明による方法で使用できる、ガラス溶融設備にも関する。
【0049】
本発明による溶融設備は、特に燃料源、空気または酸素を豊富に含む空気からなる第1オキシダントの第1源、および酸素含有量が80%vol〜100%vol、好ましくは90%vol〜100%volであって、第1オキシダントの酸素含有量を上回る第2オキシダント(濃厚オキシダント)の第2源を備えた供給ユニットを含む。
【0050】
溶融設備は、燃焼酸化剤で燃料を燃焼して熱エネルギーおよび高温排ガス流をチャンバー内で生成するためのn個のバーナーを備えた溶融チャンバーを含む溶融炉も含む。チャンバーは、少なくとも1つのバーナーを含み、換言するとn≧1である。前記溶融チャンバーは、チャンバーの外に高温排ガス流を排気するための排ガス用出口も備えている。
【0051】
溶融炉はまた、以下のような予熱設備も含む。
【0052】
本発明による溶融設備は、供給ユニット、予熱設備および溶融チャンバーをつなぐ管ネットワークも含む。
【0053】
本発明によれば、n個のバーナーのうちm個は第1バーナーであり、1≦m≦nである。
【0054】
予熱設備は、第1熱交換器および第2熱交換器を含む。第1熱交換器は、第1オキシダントを含む熱伝導流体流を、前記熱伝導流体および高温排ガス流間の熱交換によって加熱するように設計されており、管ネットワークは、(a)溶融チャンバーからの排ガスの出口を、第1熱交換器からの高温排ガス流の入口まで接続し、(b)第1源を、前記第1熱交換器からの加熱される熱伝導流体の入口まで接続している。第2熱交換器は、第2オキシダント(濃厚オキシダント)流を、加熱された熱伝導流体流との熱交換によって予熱するように設計されており、管ネットワークは、(a)(第2オキシダントの)第2源から第2交換器の第2オキシダントの入口まで、(b)第1熱交換器からの加熱された熱伝導流体流の出口から第2熱交換器からの加熱された熱伝導流体流の入口まで、および(c)第2熱交換器の高温第2オキシダント(濃厚オキシダント)流の出口とm個の第1バーナーの燃焼酸化剤用入口とを接続している。
【0055】
本発明によれば、管ネットワークはまた、第1熱交換器からの加熱された熱伝導流体流の出口からm個の第1バーナーの燃焼酸化剤の入口までを接続する。
【0056】
さらに、管ネットワークは、第1オキシダントの流れのm個の第1バーナーまでの調節および分配、ならびに第2オキシダントの流れのm個の第1バーナーまでの調節および分配のための調節および分配システムを備えている。
【0057】
これらの流れは、先ず、炉の必要に応じて、特に炉のトン数ならびに溶融前の原料および得られる溶融ガラスの本質に応じて、決定される。
【0058】
したがって、これに関連して、調節ユニットが、例えばバルブまたは別のデバイスの一部または全体を閉じることによって、このように接続されるいくつかの要素間のそのような流れを遮断できるとしても、ネットワークが流体を2つの要素間で流れるようにする場合、設備の2つの要素が、管ネットワークに「接続されている」ことを理解されたい。
【0059】
調節および分配システムは、調節ユニットを含んでもよい。調節ユニットは、第2オキシダントを供給する第2源に有利に接続されている。次いで調節ユニットは、調節ユニットによって検出される利用可能な第2オキシダントの流れに応じて、m個の第1バーナーまでの第1および第2オキシダントの各流れを調節することができる。このやり方で、第2オキシダントの通常の供給が第2源によって分配される場合、調節ユニットは炉の稼働を適合させることができる。
【0060】
本発明による設備中の供給ユニットは、有利には、第2オキシダントを含む予備タンクを含み、前記予備タンクは、第2源による第2オキシダントの供給が中断される場合に、特に第2源による供給の中断が延長される場合、著しい場合、または全面的である場合に、任意に第2オキシダントの予備源として使用される。
【0061】
次いで、管ネットワークはまた、予備タンクとm個の第1バーナーとを接続する。
【0062】
有利には、予備タンクによる第2オキシダントの部分的なまたは全体的な供給は、調節ユニットによって調節される。
【0063】
有利には、管ネットワークは、第1熱交換器からの加熱された熱伝導流体流の出口からm個の第1バーナーの燃焼酸化剤の入口までを、第2熱交換器を通る経路は含まずに接続する。
【0064】
m個の第1バーナーが、特にいくつかの燃焼酸化剤ジェットを炉内に注入することによって多段燃焼を行うために、いくつかの燃焼酸化剤用入口を含んでもよい点に留意されたい。例えば、m個の第1バーナーは、第2オキシダント用の入口1つおよび熱伝導流体流用の入口1つを含んでもよい。
【0065】
一態様によれば、管ネットワークはまた、第1熱交換器の下流側の第2オキシダント源を、加熱した熱伝導流体流の出口と接続する。特に、本方法の第2段階中、少なくともいくつかの第2オキシダント(濃厚オキシダント)を、少なくともいくつかの加熱した熱伝導流体と混合でき、結果として得られる混合物は、燃焼酸化剤として任意にm個の第1バーナーに供給される。次いで管ネットワークは、前記混合物の調節のために1つ以上の閉鎖デバイス、例えば1つ以上のバルブを備えていてもよく、これは調節ユニットまたは手動式閉鎖デバイスによって制御されることが好ましい。いくつかのバルブ、特に調節ユニットによって作動させることができるバルブは、変動周期中の高温オキシダント流、例えば加熱された熱伝導流体および予熱された第2オキシダント(濃厚オキシダント)の調節にはあまり好適ではない。ひいては、高温オキシダントを運ぶ管専用の他のより頑強な閉鎖デバイス、特に手動式閉鎖デバイスを使用することが有用であり得る。
【0066】
管ネットワークは、第2オキシダント源を、第1熱交換器の熱伝導流体の入口にも接続できる。特に、本方法の第2段階の間、これは、第2オキシダントを第1オキシダントと少なくとも部分的に混合させてもよく、結果として得られる混合物を第1熱交換器中で熱伝導流体として使用でき、この加熱された熱伝導流体流をm個の第1バーナーに燃焼酸化剤として供給することができることを意味する。次いで管ネットワークは、前記混合物の調節のために1つ以上の閉鎖デバイス、例えば1つ以上のバルブを備えていてもよく、これは調節ユニットまたは手動式閉鎖デバイスによって制御されることが好ましい。
【0067】
管ネットワークは、好ましくは、第1熱交換器からの加熱された熱伝導流体流の出口を、m個の第1バーナーの燃焼酸化剤用入口にも接続するが、前記加熱された熱伝導流体流は第2熱交換器を通らない。この場合、管ネットワークは、有利には、閉鎖デバイスを備えており、該閉鎖デバイスは、先ず、特に本発明による方法の第1段階中、第2熱交換器を通らずに、m個の第1バーナーの燃焼酸化剤用入口に向かう加熱された熱伝導流体流を部分的にまたは完全に遮断し、次に、特に本発明による方法の第2段階中、第2熱交換器に向かう加熱された熱伝導流体流を部分的にまたは完全に遮断する。前記閉鎖デバイスは、調節ユニットまたは手動式閉鎖デバイスによって制御されることが好ましいバルブでもよい。
【0068】
溶融チャンバーは、第1バーナー以外のバーナーも含んでよい。この場合、m<nである。好ましくは、溶融チャンバー中の全てのバーナーは、上記の予熱設備に接続される第1バーナーである。この場合、m=nである。
【0069】
バーナー、特に第1バーナーは、特に多段燃焼バーナー、例えばALGLASS SUN(登録商標)の商品名で出願人によって販売されているバーナーでもよい。
【0070】
第1オキシダントが空気である場合、第1オキシダント源は、好ましくは、周囲空気のファンまたは圧縮機を含む。
【0071】
第2オキシダント(濃厚オキシダント)の供給のために、第2オキシダント源は、通常、空気ガス分離ユニット、管路、または第2オキシダントの貯蔵タンクを含む。好ましくは、第2オキシダント源は、第2オキシダントの主要源として空気ガス分離ユニットまたは管路を含み、第2オキシダントの補助源として、特に第2オキシダントの主要源の故障の場合に、第2オキシダントの予備タンクを含む。
【0072】
第1オキシダントが酸素を豊富に含む空気である場合、第1オキシダント源は、有利には、1つ以上の周囲空気のファンまたは圧縮機を含み、第1および第2の各オキシダント源の間の流体接続は、制御された量の第2オキシダントを空気と混合させることを可能にし、これにより本発明による第1オキシダントを形成する混合物が得られる。
【0073】
好ましくは、設備の調節ユニットは、制御された量の第2オキシダントを調節することが可能であり、該第2オキシダントは空気と混合させて第1オキシダントを得るが、この第1オキシダントの酸素含有量は、21%vol〜40%vol、または21%vol〜25%vol、または40%vol〜90%volに等しいが、常に第2オキシダントの酸素含有量より少ない。第1熱交換器および/または第2熱交換器は、管状熱交換器でもよい。
【0074】
第1熱交換器は、第1シェルで囲まれていてもよく、第2熱交換器は、第2シェルで囲まれていてもよく、前記第2シェルは第1シェルから離れており、第1および第2の各熱交換器は、溶融チャンバーに対して別個の位置にあってよい。1つの別の態様によれば、第1および第2の各熱交換器は、同一のシェルで囲まれている。
【0075】
溶融炉は、縦型バーナーを有する炉であってもよく、横型バーナーを有する炉、例えば「フロート」炉であってもよい。
【0076】
本発明およびその利点は、以下の例の中で
図1〜5を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、本発明による方法の第1段階中の、本発明による溶融設備の稼働を表した図である。
【
図2】
図2乃至4は、本方法の第2段階中の、
図1による設備の稼働の、3つの別個の応用種類を表した図である。
【
図3】
図2乃至4は、本方法の第2段階中の、
図1による設備の稼働の、3つの別個の応用種類を表した図である。
【
図4】
図2乃至4は、本方法の第2段階中の、
図1による設備の稼働の、3つの別個の応用種類を表した図である。
【
図5】
図5は、いくつかの管が手動式閉鎖デバイスを備えている、本発明による他の設備を表した図である。
【0078】
図1に示す設備は、多数の第1バーナー110(第1バーナーは1つのみ図示する)を備えた溶融チャンバー100および排ガス用出口120を有する炉を含む。炉は、第1熱交換器210および第2熱交換器220を含む予熱設備も含む。管のネットワークは、第1熱交換器210、第2熱交換器220、第1バーナー110および溶融チャンバー100からの排ガス用出口120を接続する。
【0079】
燃料源10、例えばガス燃料は、管310を通って、第1バーナー110の燃料用入口まで接続される。この源10は、燃料を第1バーナー110に供給する。
【0080】
空気源20は、例示した本方法において第1オキシダントとして使用し、管320を通って、第1熱交換器210の熱伝導流体用入口まで接続される。溶融チャンバー100からの排ガスの出口120120は、管330を通って、第1熱交換器210の排ガスの入口まで接続される。第1熱交換器210の内側で、炉の出口で温度が1000℃〜1600℃の排ガスは、熱交換によって、熱伝導流体(空気)を加熱する。こうして得られる結果物は、冷却された排ガス流および高温熱伝導流体流(空気)であり、前記冷却された排ガス流は管335を通って第1熱交換器210から排出され、前記高温熱伝導流体流(空気)は管350を通って第1熱交換器210から排出される。
【0081】
第2オキシダント、通常、90%volの酸素を含むガスの源30は、第2オキシダントの流れを供給し、前記第2オキシダントの流れは、管340を通って、第2熱交換器220の第2オキシダントの入口まで運ばれる。
【0082】
設備中の管ネットワークは、調節ユニット400も含む。この調節ユニット400は、第2オキシダントの源30まで接続され、利用可能な第2オキシダントの流量または体積を検出する。
【0083】
調節ユニットは、管ネットワークの各調節バルブにも接続され、これらは特に第2熱交換器220および第1バーナー110にそれぞれ向かう各熱伝導流体流(第1オキシダントの場合を例示)ならびに第1バーナー110に向かう第2オキシダントの流れを制御する。調節ユニットは、このように第1バーナーに向かう第1および第2の各オキシダント流を調節する。特に、現在のまたは予測される第2オキシダントの不足が検出されると、調節ユニットは、設備中の第1および第2の各オキシダント流を適合させる(以下により詳細に説明する通り)。
【0084】
図1に示す本方法の第1段階の間、温度が600℃〜900℃の高温熱伝導流体流は、管350の分枝351を通って、第2熱交換器220の熱伝導流体の入口まで運ばれるが、この分枝351はバルブ451を備えており、これは分枝351を部分的にまたは完全に閉鎖することができ、したがって第2熱交換器220に入る高温熱伝導流体流を調節できる。
【0085】
第2熱交換器220の内側で、第2オキシダント(濃厚オキシダント)は400℃〜650℃の温度まで、高温熱伝導流体との熱交換によって予熱される。熱伝導流体は、350℃〜650℃の中程度の温度で、管360を通って第2熱交換器220から排出される。予熱された第2オキシダントは、管370を通って第2熱交換器220から排出される。この管370は、予熱された第2オキシダントを第1バーナー110の燃焼酸化剤用入口まで運ぶ。
【0086】
図1に示す本方法の第1段階中、第1オキシダント(空気)は第1バーナー110に供給されない。前記第1バーナー110は、予熱された第2オキシダントを燃料と合わせて、NOxが低い、燃料の酸素燃焼を溶融チャンバー100で生じさせる。
【0087】
図2に示す第2段階の応用例の種類に応じて、管350の分枝351は、バルブ451によって完全に閉じられ、高温熱伝導流体流は、この管350の分枝352、353によって、第2熱交換器220の第2オキシダントの出口を第1バーナー110と接続させる管370まで運び込まれる。分枝353にはバルブ453も取り付けられ、分枝353を部分的にまたは完全に閉鎖することができ、したがって管370に送られてきた高温熱伝導流体(空気)流を調整することができる。
【0088】
示す実施の形態に際して、本方法の第2段階中に第2熱交換器220への高温熱伝導流体の供給はない。その結果として、源30によって供給されて第2熱交換器220に向かう第2オキシダント(濃厚オキシダント)の流れは、第2熱交換器220で予熱されない。したがって結果として得られる結果物は、予熱されていない第2オキシダント(濃厚オキシダント)と、第2熱交換器220の下流側の高温熱伝導流体との混合物であり、この混合物は管370を通って第1バーナー110の燃焼酸化剤用入口まで運ばれる。
【0089】
図3に例示する第2段階の態様に際して、ここでも第2熱交換器220への高温熱伝導流体の供給はなく、管370は予熱されていない第2オキシダント(濃厚オキシダント)の流れを第1バーナー110の燃焼酸化剤用入口まで運ぶ。高温熱伝導流体(空気)は、管350の分枝352および354を通って、第1バーナー110の別の燃焼酸化剤用入口まで運ばれる。分枝354にはバルブ454が取り付けられており、分枝354を部分的にまたは完全に閉鎖し、したがって分枝354を通って第1バーナー110まで運ばれるオキシダント流を調整する。管370の分枝371は、管370と管350の分枝354とを接続して、第2オキシダントの一部を分枝354まで運び込むことによって、予熱されていない第2オキシダントの一部を高温熱伝導流体(空気)と混合させ、その後、熱伝導流体は燃焼酸化剤として第1バーナーに運ばれる。分枝370は、バルブ471を備えており、分枝371を部分的にまたは完全に閉鎖し、したがって、先に高温第1オキシダント(空気)と混合せずに第1バーナーに供給される第2オキシダント(濃厚オキシダント)の一部と、高温第1オキシダント(空気)と混合させた後に第1バーナーに供給される第2オキシダント(濃厚オキシダント)の一部とを調節する。
【0090】
図4に示す第2段階の態様の際には、高温第1オキシダント(空気)と、第1バーナー110から上流の第2オキシダント(濃厚オキシダント)との混合はない。第1バーナーは、多段燃焼バーナーであり、第1および第2の各オキシダントのうち片方は主要な燃焼酸化剤として、他方は副次的な燃焼酸化剤として第1バーナーに供給される。
【0091】
上記の通り、調節ユニットによって作動できるバルブの代わりに、高温オキシダント流を運搬する管に、より頑強な閉鎖デバイスを取り付けて使用することが有用であり得る。高温オキシダント流を調節できる高度化された閉鎖デバイスは、特にFR-A-2863678および2010年12月21日に発行された欧州特許出願第10306477.0号に開示されている。
【0092】
図5は、その他の特に頑強な手動式閉鎖デバイスを示す。
【0093】
示す態様に際して、管ネットワークの分枝351および353それぞれは、互いの間隔に2つのフランジを取り付けている。分枝が完全に閉鎖されている場合、封鎖する仕方で2つのフランジ上に閉鎖板が設置される。前記分枝351および353のうち片方または他方を通して高温オキシダントを運搬する必要があるとき、閉鎖板は取り外され、2つのフランジ間の距離451’または453’と等しい長さの管接合部455に置き換えられ、前記分枝351または353それぞれを通って流れが流れるようにする。内部直径が異なる管接合部455を選択することによって、多様な流れを各分枝に通すことができる。
【0094】
分枝354は、別の手動式閉鎖デバイスを備えている:分枝354は互いに近い2つのフランジを含む。これら2つのフランジ間に板454’があり、その厚さはフランジ間の距離に基本的に対応し、1つ以上の較正開口部を含む。板454’を2つのフランジ間で移動させると、分枝354を通る流れは何れも完全に遮断され得る(板の固形部分が分枝354の延長線上に位置する場合)、または可変の流れが制御され得る(サイズが可変の較正開口部が分枝354の延長線上に位置する場合)。
【0095】
本発明により、炉の自律性は、酸素富化オキシダントの供給によって可能な場合よりも非常に長くすることができる。
【0096】
酸素富化オキシダントが不足した場合でも、本発明による方法および設備は、第2段階中の炉の稼働を非常に柔軟に適合させることができ、したがって第2段階中に要求される主な効果(最大トン数の維持、溶融ガラスの性質を維持させたままでのトン数の減少、温度での保持延長など)に応じて炉の稼働を適応させることを可能にすることも見ることができる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
溶融炉中でのガラス溶融方法であって、
・前記方法は、
i.空気および酸素富化空気のうちから選択される第1オキシダント、および
ii.酸素含有量が80%vol〜100%vol、好ましくは90%vol〜100%volの第2オキシダント
を使用し、前記第2オキシダントの酸素含有量は、前記第1オキシダントの酸素含有量よりも多く、
・前記溶融炉は、
i.チャンバー内での燃料の燃焼用のn個のバーナーを備えた溶融チャンバーであって、前記n個のバーナー(ここでn≧1とし、前記n個のバーナーのうちm個は第1バーナーであり、1≦m≦nとする)は、熱エネルギーおよび温度が1000℃〜1600℃の高温排ガス流を前記チャンバーからの出口で生じさせる溶融チャンバー、および
ii.予熱設備
を含み、
方法においては:
・固形原料を前記溶融チャンバー内で溶融させて溶融ガラスを得、
・前記チャンバーからの前記高温排ガス流を前記予熱設備の中に導入し、
・熱伝導流体流を、前記予熱設備における第1熱交換器中で前記高温排ガス流との熱交換によって加熱することにより、冷却された排ガス流と、600℃〜900℃の温度を有する加熱された熱伝導流体流とを生成し、
そして
・前記方法の第1段階において:
−第1オキシダントを熱伝導流体として使用し、
−第2オキシダントの流れを、前記予熱設備における第2熱交換器中で、前記加熱された熱伝導流体流との熱交換によって予熱することにより、400℃〜650℃の温度の予熱された前記第2オキシダントの流れと、350℃〜650℃の中程度の温度の熱伝導流体流とを生成し、
−量DO1の予熱された前記第2オキシダントの前記流れ(DO1>0Nm3)を、前記m個の第1バーナーに燃焼酸化剤として供給し、
・第2段階において:
−量DO2の前記第2オキシダントおよび量DA2の前記第1オキシダント(DO1>DO2>0Nm3およびDA2>0Nm3)を、燃焼酸化剤として、前記m個の第1バーナーに供給し、
−前記量DA2の前記第1オキシダントを、前記加熱された熱伝導流体流の対応する部分の状態を主として、前記m個の第1バーナーに供給し、
−前記量DO2の前記第2オキシダントを、前記m個の第1バーナーに供給し、
〇前記量DA2の前記第1オキシダントから完全に分離し、または
〇前記量DA2の前記第1オキシダントと完全に混合し、または
〇前記量DA2の前記第1オキシダントと部分的に混合し、前記量DA2の前記第1オキシダントから部分的に分離し、
−i.前記量DO2の前記第2オキシダントを、前記予熱設備における第1熱交換器の上流側で前記第1オキシダントと部分的にまたは完全に混合する場合、結果として得られる混合物を熱伝導流体として使用し、そして
ii.前記量DO2の前記第2オキシダントを、前記第1熱交換器の前記上流側で前記量DA2の前記第1オキシダントとは混合せず、前記第1熱交換器の下流側でのみ、部分的にもしくは完全に混合する、または全く混合しない場合、前記第1オキシダントを熱伝導流体として使用する
ようにすることを特徴とする方法。
[2]
[1]に記載の方法であって、前記第1オキシダントが、21%vol〜40%volに等しい酸素含有量を有する方法。
[3]
[2]に記載の方法であって、前記第1オキシダントが、21%vol〜25%volに等しい酸素含有量を有する方法。
[4]
[1]に記載の方法であって、前記第1オキシダントが、40%vol〜90%volの酸素含有量を有する方法。
[5]
[1]〜[4]の何れか1項に記載の方法であって、前記溶融炉が、縦型バーナー炉または横型バーナー炉である方法。
[6]
[1]〜[5]の何れか1項に記載の方法であって、m=nである方法。
[7]
[1]〜[6]の何れか1項に記載の方法であって、前記予熱設備を、前記溶融チャンバーの下流側で燃料を予熱するためにも使用する方法。
[8]
ガラス溶融設備であって、
・i.燃料源(10)、
ii.空気または酸素富化空気からなる第1オキシダントの第1源(20)、
iii.酸素含有量が80%vol〜100%vol、好ましくは90%vol〜100%volで、前記第1オキシダントの酸素含有量より多い、第2オキシダントの第2源(30)
を含む供給ユニット:
・i.n個のバーナーを備えた溶融チャンバー(100)であって(n≧1)、前記チャンバー(100)内で、燃料を燃焼して熱エネルギーおよび高温排ガス流を生成し、前記溶融チャンバー(100)が高温排ガス流を排気するための排ガス用出口(120)も含む前記溶融チャンバー(100)、
ii.予熱設備(210、220)
を含む溶融炉:
・前記供給ユニット(10、20、30)、前記予熱設備(210、220)および前記溶融チャンバー(100)を接続する管のネットワーク
を含むガラス溶融設備であって、
・前記n個のバーナーのうちm個(1≦m≦n)は第1バーナー(110)であり、そして
・前記予熱設備が
i.前記第1オキシダントを含む熱伝導流体流を、前記高温排ガス流との熱交換によって加熱するための第1熱交換器(210)であって、管ネットワークが、前記溶融チャンバー(100)からの排ガスの出口(120120)を、前記第1熱交換器(210)からの前記高温排ガス流の入口まで接続し、前記第1源(20)を、前記第1熱交換器(210)からの加熱される前記熱伝導流体の入口まで接続する前記第1熱交換器(210)、
ii.加熱された熱伝導流体流との熱交換によって前記第2オキシダントの流れを予熱するための第2熱交換器(220)であって、前記管ネットワークが、前記第2源(30)を、前記第2熱交換器(220)の前記第2オキシダントの入口まで接続し、前記第1熱交換器(210)からの前記加熱された熱伝導流体流の出口を、前記第2熱交換器(220)からの加熱された熱伝導流体流の入口まで接続し、前記第2熱交換器(220)の高温流の出口を、前記m個の第1バーナー(110)の燃焼酸化剤用入口と接続する第2熱交換器(220)
を含み、
・前記管ネットワークが、前記第1熱交換器からの前記加熱された熱伝導流体流の出口を、前記m個の第1バーナーの燃焼酸化剤の入口までも接続し、
・前記管ネットワークが、前記m個の第1バーナー(110)への前記第1オキシダントの量の調節および分配、ならびに前記m個の第1バーナー(110)への前記第2オキシダントの量の調節および分配のための調節および分配システム(400)を備える
ことを特徴とするガラス溶融設備。
[9]
[8]に記載の設備であって、前記調節および分配システムが、前記第2源(30)に接続される調節ユニット(400)を含み、前記第2オキシダントの利用可能な量または体積を検出し、好ましくは前記m個の第1バーナー(110)への前記第1および第2の各オキシダントの量を、検出された利用可能な量または体積に応じて調節もする設備。
[10]
[8]または[9]の1項に記載の設備であって、前記供給ユニットが、第2オキシダントの予備タンクも含む設備。
[11]
[8]〜[10]の1項に記載の設備であって、m=nである設備。
[12]
[8]〜[11]の何れか1項に記載の設備であって、前記管ネットワークが、前記第1熱交換器(210)からの前記加熱された熱伝導流体流の出口を、前記第2熱交換器(220)を通らずに、前記m個の第1バーナー(110)の燃焼酸化剤の入口と接続する設備。
[13]
[8]〜[12]の何れか1項に記載の設備であって、燃焼酸化剤の前記第1源が、管路、第1液化燃焼酸化剤のタンクまたは空気ガス分離設備である設備。
[14]
[8]〜[13]の何れか1項に記載の設備であって、前記供給ユニットが、第2オキシダントの予備タンクも含む設備。
[15]
[8]〜[14]の何れか1項に記載の設備であって、前記設備が、縦型バーナーまたは横型バーナーを有する溶融炉を含む設備。