特許第5980922号(P5980922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980922
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】タッチ感知方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160818BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   G06F3/041 512
   G06F3/041 520
   G06F3/044 Z
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-521690(P2014-521690)
(86)(22)【出願日】2012年7月16日
(65)【公表番号】特表2014-523051(P2014-523051A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】US2012046899
(87)【国際公開番号】WO2013012793
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】13/184,292
(32)【優先日】2011年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】スアルプ アラス
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 竜行
(72)【発明者】
【氏名】アビドゥール ラーマン
【審査官】 山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/091579(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/114900(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/130771(WO,A2)
【文献】 特開2012−234473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース静電容量を有するタッチセンサと通信するように構成されるインタフェース
クロック信号を受け取り、前記インタフェースに結合される静電容量−電圧コンバータ
を含む装置であって
前記静電容量−電圧コンバータが、利得制御信号オフセット制御信号を生成し、
前記静電容量−電圧コンバータが、前記クロック信号の第1の位相の間前記利得制御信号を前記タッチセンサに印加するように構成され、
前記利得制御信号と前記オフセット制御信号が、前記ベース静電容量を補償するように調節され、
前記静電容量−電圧コンバータが、前記ベース静電容量を補償してタッチ静電容量測定を提供するため、前記クロック信号の第2の位相の間前記利得制御信号と前記オフセット制御信号を用いる、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記静電容量−電圧コンバータが、調節可能であるように構成されるキャパシタを含む出力回路を更に含む、装置。
【請求項3】
請求項に記載の装置であって、
前記静電容量−電圧コンバータが、
前記インタフェースに結合され、前記クロック信号を受け取る利得制御回路
前記利得制御回路に結合され、調整可能であるように構成されるキャパシタを含む出力回路
前記出力回路に結合され、前記クロック信号を受け取るオフセット制御回路
を更に含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記利得制御回路が、
前記インタフェースと前記出力回路との間に結合され、前記クロック信号の前記第2の位相の間アクティブにされる第1の送信ゲート
前記インタフェースに結合され、前記クロック信号の前記第1の位相の間アクティブにされる第2の送信ゲート
前記第2の送信ゲートに結合され、前記利得制御信号を生成するデジタルアナログコンバータ(DAC)
を更に含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記DACが第1のDACを更に含み、
前記オフセット制御回路が、
前記オフセット制御信号を生成する第2のDAC
前記第2のDACと前記出力回路との間に結合され、前記クロック信号の前記第2の位相の間アクティブにされる第3の送信ゲート
前記出力回路に結合され、前記クロック信号の前記第1の位相の間アクティブにされる第4の送信ゲート
を更に含む、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記クロック信号が第1のクロック信号を更に含み、
前記キャパシタが第1のキャパシタを更に含み、
前記出力回路が、
前記第3及び第4の送信ゲートに結合される第2のキャパシタ
第1の入力端子と第2の入力端子と出力端子とを有する増幅器であって、前記増幅器の前記第1の入力端子が、前記第2のキャパシタ前記第1の送信ゲートに結合され、前記第1のキャパシタが、前記増幅器の前記第1の入力端子と前記増幅器の前記出力端子との間に結合され、前記増幅器の前記第2の入力端子が同相電圧を受け取る、前記増幅器
第2のクロック信号により制御され、前記増幅器の前記第1の入力端子と前記増幅器の前記出力端子との間に結合される第5の送信ゲート
を更に含む、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、
前記キャパシタが第1のキャパシタを更に含み、
前記出力回路が、
前記オフセット制御回路に結合される第2のキャパシタ
第1の入力端子と第2の入力端子と出力端子とを有する増幅器であって、前記増幅器の前記第1の入力端子が、前記第2のキャパシタ前記利得制御回路に結合され、前記第1のキャパシタが、前記増幅器の前記第1の入力端子と前記増幅器の前記出力端子との間に結合され、前記増幅器の前記第2の入力端子が同相電圧を受け取る、前記増幅器
を更に含む、装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置であって、
前記クロック信号が第1のクロック信号を更に含み、
前記出力回路が、
前記オフセット制御回路に結合される第2のキャパシタと、
第1の入力端子と第2の入力端子と出力端子とを有する増幅器であって、前記第1の入力端子が前記第2のキャパシタと前記利得制御回路とに結合され、前記第1のキャパシタが前記第1の入力端子と前記出力端子との間に結合され、前記第2の入力端子が同相電圧を受け取る、前記増幅器と、
第2のクロック信号により制御され、前記増幅器の前記第1の入力端子と前記増幅器の前記出力端子との間に結合される第1の送信ゲートと、
を更に含む、装置。
【請求項9】
請求項に記載の装置であって、
前記オフセット制御回路が、
前記オフセット制御信号を生成するDAC
前記DACと前記第2のキャパシタとの間に結合され、前記第1のクロック信号の前記第2の位相の間アクティブにされる第2の送信ゲート
前記第2のキャパシタに結合され、前記第1のクロック信号の前記第1の位相の間アクティブにされる第3の送信ゲート
を更に含む、装置。
【請求項10】
請求項に記載の装置であって、
前記DACが第1のDACを更に含み、
前記利得制御回路が、
前記インタフェースと前記増幅器の前記第1の入力端子との間に結合され、前記第1のクロック信号の前記第2の位相の間アクティブにされる第4の送信ゲート
前記インタフェースに結合され、前記第1のクロック信号の前記第1の位相の間アクティブにされる第5の送信ゲート
前記第の送信ゲートに結合され、前記利得制御信号を生成する第2のDAC
を更に含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記増幅器の前記出力端子に結合されるアナログデジタルコンバータ(ADC)
前記ADCに結合されるデジタルフロントエンド(DFE)
前記DFE、前記第1及び第2のDAC、前記第1、第2、第3、第4及び第5の送信ゲートに結合される制御ロジック
を更に含む、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記ADCが逐次比較レジスタ(SAR)ADCである、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記DFEが、相関二重サンプリング(CDS)を用いてノイズ相殺を提供する、装置。
【請求項14】
各タッチセンサがベース静電容量を有する複数のタッチセンサを有するタッチパネル
各タッチセンサに結合されるインタフェースを有するタッチパネルコントローラ
静電容量−電圧コンバータ
を含む装置であって
前記静電容量−電圧コンバータが、
前記インタフェースに結合され、クロック信号を受け取る利得制御回路であって、前記利得制御回路が利得制御信号を生成し、前記利得制御回路が、前記クロック信号の第1の位相の間前記利得制御信号を前記複数のタッチセンサからの選択されたタッチセンサに印加するように構成される、前記利得制御回路と、
前記利得制御回路に結合される出力回路であって、前記クロック信号の第2の位相の間前記タッチセンサに結合されるように構成される、前記出力回路と、
前記出力回路に結合され、前記クロック信号を受け取るオフセット制御回路であって、前記オフセット制御回路がオフセット制御信号を生成し、前記オフセット制御回路が、前記クロック信号の前記第2の位相の間前記オフセット制御信号を前記出力回路に印加し、前記利得制御信号と前記オフセット制御信号が、前記選択されたタッチセンサのベース静電容量を補償するように調節される前記オフセット制御回路と、
を有する、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記出力回路が、調節可能であるように構成されるキャパシタを含む、装置。
【請求項16】
利得制御信号オフセット制御信号を生成することであって、前記利得制御信号と前記オフセット制御信号が、タッチセンサのベース静電容量を補償するように調節される、前記生成すること
クロック信号の第1の位相の間前記利得制御信号をタッチセンサに印加すること
前記クロック信号の第2の位相の間前記オフセット制御信号を出力回路に印加すること
前記クロック信号の前記第2の位相の間前記出力回路を前記タッチセンサに結合すること
タッチ静電容量測定値を生成するため前記利得制御信号と前記オフセット制御信号で前記ベース静電容量を補償すること
利得を前記タッチ静電容量測定値に印加すること
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記利得制御信号を印加することが、前記クロック信号の前記第1の位相の間DACを前記タッチセンサに結合することを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
デジタル信号に印加された利得でタッチ測定値を変換することを更に含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
ノイズを補償するため前記デジタル信号に対しCDSオペレーションを実行することを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して容量性タッチセンサに関し、更に特定して言えば、容量性タッチセンサの小さな変化を感知することに関連する。
【背景技術】
【0002】
容量性タッチセンサ(タッチボタンなど)は、ヒューマンインタフェースデバイスにおいて益々多く用いられてきてれる。これらのタッチセンサは通常、ベース静電容量を有し、センサに近接する誘電体(即ち、指)の存在に起因するベース静電容量の増加の検出に基づいて機能する。幾つかのタッチセンサがある場合、ベース静電容量(これはタッチ静電容量と呼ばれ得る)のこの変化又は変動は0.5%程度に小さい場合がある。これは、測定をデジタル化するために10ビット逐次比較レジスタ(SAR)アナログデジタルコンバータ(ADC)が用いられる場合、タッチ静電容量測定は約5最下位ビットまで制限され得ることを意味する。そのため、ノイズに起因するエラー感受性が高い。また、ベース静電容量は時間にわたってドリフトし得、これが更にエラーをつくり得る。従って、小さなタッチ静電容量を正確に測定することができる改善されたタッチコントローラが求められている。
【0003】
従来のシステムの幾つかの例が下記文献に記載されている。
【特許文献1】米国特許番号第5,463,388号
【特許文献2】米国特許番号第7,764,274号
【特許文献3】米国特許公開番号2007/0074913
【特許文献4】米国特許公開番号2008/0116904
【特許文献5】米国特許公開番号2009/0066674
【特許文献6】米国特許公開番号2009/0153152
【特許文献7】米国特許公開番号2010/0201382
【特許文献8】PCT公開番号WO2007044360
【0004】
一実施例が或る装置を提供する。この装置は、ベース静電容量を有するタッチセンサと通信するように構成されるインタフェース、及びクロック信号を受け取り、且つ、インタフェースに結合される静電容量‐電圧コンバータを含む。静電容量‐電圧コンバータは、利得制御信号及びオフセット制御信号を生成する。静電容量‐電圧コンバータは、クロック信号の第1の位相の間、利得制御信号をタッチセンサに印加するように構成される。利得及びオフセット制御信号は、ベース静電容量を補償するように調節される。静電容量‐電圧コンバータは、ベース静電容量を補償するため及びタッチ静電容量測定を提供するため、クロック信号の第2の位相の間、利得及びオフセット制御信号を用いる。
【0005】
一実施例に従って、出力回路は、調節可能であるように構成されるキャパシタを含む。
【0006】
一実施例に従って、静電容量‐電圧コンバータは、インタフェースに結合され、且つ、クロック信号を受け取る利得制御回路と、利得制御回路に結合され、キャパシタを含む出力回路と、出力回路に結合され、且つ、クロック信号を受け取るオフセット制御回路とを更に含む。
【0007】
一実施例に従って、利得制御回路は、インタフェースと出力回路との間に結合され、且つ、クロック信号の第2の位相の間アクティブにされる第1の送信ゲートと、インタフェースに結合され、且つ、クロック信号の第1の位相の間アクティブにされる第2の送信ゲートと、第2の送信ゲートに結合され、且つ、利得制御信号を生成するデジタルアナログコンバータ(DAC)とを更に含む。
【0008】
一実施例に従って、DACは第1のDACを更に含む。利得制御回路は、オフセット制御信号を生成する第2のDACと、第2のDACと出力回路との間に結合され、且つ、クロック信号の第2の位相の間アクティブにされる第3の送信ゲートと、出力回路に結合され、且つ、クロック信号の第1の位相の間アクティブにされる第4の送信ゲートとを更に含む。
【0009】
一実施例に従って、クロック信号は第1のクロック信号を更に含む。キャパシタは第1のキャパシタを更に含む。出力回路は、第3及び第4の送信ゲートに結合される第2のキャパシタ、第1の入力端子と、第2の入力端子と、出力端子とを有する増幅器、及び第2のクロック信号により制御され、且つ、増幅器の第1の入力端子と増幅器の出力端子との間に結合される第5の送信ゲートを更に含む。増幅器の第1の入力端子は、第2のキャパシタ及び第1の送信ゲートに結合される。第1のキャパシタは、増幅器の第1の入力端子と増幅器の出力端子との間に結合される。増幅器の第2の入力端子は同相電圧を受け取る。
【0010】
一実施例に従って或る装置が提供される。この装置は、各タッチセンサがベース静電容量を有する、複数のタッチセンサを有するタッチパネル、各タッチセンサに結合されるインタフェースを有するタッチパネルコントローラ、及び静電容量‐電圧コンバータを含む。静電容量‐電圧コンバータは、インタフェースに結合され、且つ、クロック信号を受け取る利得制御回路と、利得制御回路に結合される出力回路と、出力回路に結合され、且つ、クロック信号を受け取るオフセット制御回路とを有する。利得制御回路は利得制御信号を生成する。利得制御回路は、クロック信号の第1の位相の間、利得制御信号を複数のタッチセンサからの選択されたタッチセンサに印加するように構成される。出力回路は、クロック信号の第2の位相の間タッチセンサに結合されるように構成される。オフセット制御回路はオフセット制御信号を生成する。オフセット制御回路は、クロック信号の第2の位相の間オフセット制御信号を出力回路に印加する。利得及びオフセット制御信号は、選択されたタッチセンサのベース静電容量を補償するように調節される。
【0011】
一実施例に従って、キャパシタは第1のキャパシタを更に含む。出力回路は、オフセット制御回路に結合される第2のキャパシタ、及び第1の入力端子と、第2の入力端子と、出力端子とを有する増幅器を更に含む。増幅器の第1の入力端子は、第2のキャパシタ及び利得制御回路に結合される。第1のキャパシタは、増幅器の第1の入力端子と増幅器の出力端子との間に結合される。増幅器の第2の入力端子は同相電圧を受け取る。
【0012】
一実施例に従って、クロック信号は第1のクロック信号を更に含む。出力回路は第1の送信ゲートを更に含む。第1の送信ゲートは、第2のクロック信号により制御され、且つ、増幅器の第1の入力端子と増幅器の出力端子との間に結合される第1の送信ゲートを更に含む。
【0013】
一実施例に従って、利得制御回路は、オフセット制御信号を生成するDACと、DACと第2のキャパシタとの間に結合され、且つ、クロック信号の第2の位相の間アクティブにされる第2の送信ゲートと、第2のキャパシタに結合され、且つ、クロック信号の第1の位相の間アクティブにされる第3の送信ゲートとを更に含む。
【0014】
一実施例に従って、DACは第1のDACを更に含む。利得制御回路は、インタフェースと増幅器の第1の入力端子との間に結合され、且つ、クロック信号の第2の位相の間アクティブにされる第4の送信ゲートと、インタフェースに結合され、且つ、クロック信号の第1の位相の間アクティブにされる第5の送信ゲートと、第2の送信ゲートに結合され、且つ、利得制御信号を生成する第2のDACとを更に含む。
【0015】
一実施例に従って、タッチパネルコントローラは、増幅器の出力端子に結合されるアナログデジタルコンバータ(ADC)と、ADCに結合されるデジタルフロントエンド(DFE)と、DFE、第1及び第2のDAC、及び第1、第2、第3、第4、及び第5の送信ゲートに結合される制御ロジックとを更に含む。
【0016】
一実施例に従って、ADCは逐次比較レジスタ(SAR)ADCである。
【0017】
一実施例に従って、DFEは相関二重サンプリング(CDS)を用いてノイズ相殺を提供する。
【0018】
一実施例に従って或る方法が提供される。この方法は、利得制御信号及びオフセット制御信号を生成すること、クロック信号の第1の位相の間、利得制御信号をタッチセンサに印加すること、クロック信号の第2の位相の間、オフセット制御信号を出力回路に印加すること、クロック信号の第2の位相の間、出力回路をタッチセンサに結合すること、タッチ静電容量測定値を生成するため利得及びオフセット制御信号でベース静電容量を補償すること、及び利得をタッチ静電容量測定値に印加することを含む。利得及びオフセット制御信号は、タッチセンサのベース静電容量を補償するように調節される。
【0019】
一実施例に従って、利得制御信号を印加する工程は、クロック信号の第1の位相の間、DACをタッチセンサに結合することを更に含む。
【0020】
一実施例に従って、この方法は、デジタル信号に印加された利得でタッチ測定値を変換することを更に含む。
【0021】
一実施例に従って、この方法は、ノイズを補償するためデジタル信号に対しCDSオペレーションを実行することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施例に従ったシステムの一例の図である。
【0023】
図2図2は、図1のシステムのためのアナログフロントエンド(AFE)及びタッチセンサの一部の詳細な一例の図である。
【0024】
図3図3は、図2のAFE及びタッチセンサのオペレーションの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、例示の実施例に従ったシステム100を図示する。図示するように、システム100は概して、タッチパネル102及びタッチパネルコントローラ104を含む。タッチパネル102は概して、種々の方式(即ち、アレイ又はライン)で配置される1つ又は複数のタッチセンサ(タッチボタンなど)を含み、タッチパネルコントローラ104は概して、インタフェース又はI/F106、AFE108、デジタルフロントエンド(DFE)110、ホストコントローラ112、及び制御ロジック114を含む。
【0026】
オペレーションにおいて、タッチパネルコントローラ114は、タッチパネル106上のタッチ事象を検出することができる。これを達成するため、タッチパネルコントローラ104は、タッチパネル102上の種々のタッチセンサを「スキャン」又は選択することができる。スキャン又は選択は通常、適切な又は選択されたタッチセンサがAFE108に結合され得るように、インタフェース106(これはマルチプレクサを含み得る)で達成される。インタフェース106を介して選択されたタッチセンサに結合されると、AFE108は、選択されたタッチセンサを備えたタッチ事象が、制御ロジック114によって提供される制御信号(即ち、クロック信号)の利用と共に生じているかを判定する。AFE108は、DFE110に対するタッチ事象のための測定値(これはタッチ静電容量の測定値であるはずである)をデジタル化することができる。DFE110(これは、制御ロジック114から制御信号を受け取ることもできる)はその後、デジタル化された測定値に対するエラー補正だけでなくホストコントローラ112のための他のオペレーションを実行することができる。
【0027】
タッチ静電容量の測定を実行することは困難となり得るが、AFE108(これは図2に更に詳細に示す)は比較的容易にこの測定を実行することができる。図2における例に示すように、タッチパネル102からのタッチセンサ202の一つが、インタフェース106を介してAFE108の静電容量‐電圧コンバータ203に結合され、このタッチセンサ202は、2つのキャパシタC及びΔC(これらは、それぞれ、ベース静電容量及びタッチ静電容量を表す)で形成されるように示されている。AFE108は概して、利得制御回路205、オフセット制御回路207、及び出力回路209で構成される。利得及びオフセット制御回路205及び207は概して、制御ロジック114からクロック信号CLK1及び反転クロック信号
【数1】
を受け取り、出力回路209は、制御ロジック114からクロック信号CLK2及び反転クロック信号
【数2】
を受け取る。これらの信号CLK1、
【数3】
、CLK2、及び
【数4】
は、クロック信号CLK1が論理高(即ち、クロック信号CLK1の1つの位相)であるとき送信ゲート206−2及び206−4が開であり、クロック信号CLK1が論理低(即ち、クロック信号CLK1の別の位相)であるとき送信ゲート206−1及び206−3が開であり、クロック信号CLK2が論理高であるとき送信ゲート206−5が開であるように、送信ゲート206−1〜206−5により用いられる。この構成の場合、デジタルアナログコンバータ(DAC)204−2(これは制御ロジック114により制御される)が、クロック信号CLK1の1つの位相の間(即ち、CLK1が論理高であるとき)タッチセンサ202に利得制御信号Vを提供することができ、この同じ位相の間キャパシタCOSに基準電圧REFが印加される。これによりキャパシタC、ΔC、及びCOSがチャージされ得る。その後、クロック信号CLK1の別の位相の間(即ち、クロック信号CLK1が論理低であるとき)、キャパシタC及びΔCが、増幅器208に(好ましくはその反転端子で)結合され、オフセット制御信号VOSがDAC204−1からキャパシタCOSに印加される。また、増幅器208は、同相電圧VCMを(好ましくはその非反転端子で)受け取る。キャパシタC(これは調整可能である)及び送信ゲート206−5の利用で、増幅器208は、利得を印加し、ADC210(これは例えば10ビットSAR ADCとし得る)に対し出力信号VOUT(これはタッチ静電容量の増幅された測定値又はキャパシタΔCに対する静電容量に対応する)を生成する。
【0028】
典型的に、図3に示すように、利得及びオフセット制御信号V及びVOSは、ベース静電容量を補償するように調節される変調された信号である。典型的に、これらの信号V及びVOSは下記のように表すことができる。
(1) V=ΔV±VCM
(2) VOS=ΔVOS±VCM
キャリブレーション前の位相(即ち、利得及びオフセット制御信号V及びVOSの調節前)に示されるように、オフセット制御信号VOSは同相電圧VCMに設定され、これは下記のような出力信号VOUTとなる。
【数5】
また、キャリブレーション後位相においてオフセット電圧VOSが印加されるとき、出力信号VOUTは下記の通りである。
【数6】
キャリブレーション前位相に対する出力電圧VOUTは(数式(3)に示すように)、キャパシタCの静電容量の関数であるため、システム100(即ち、ホストコントローラ112又は制御ロジック114)は、オフセット制御信号VOSを下記のように調節することができる。
【数7】
これは、キャパシタCの静電容量を効率的に「相殺する」ためにキャパシタΔCの静電容量が約ゼロであるとき同相電圧VCMにほぼ等しい出力信号VOUTとなる。キャパシタΔCの静電容量がノンゼロであるとき(即ち、タッチ事象が起こるとき)、出力信号VOUTは下記の通りであり、
【数8】
これは、キャパシタΔCの静電容量の関数である。そのため、キャリブレートされると、静電容量‐電圧コンバータ203は、タッチ静電容量又はキャパシタΔCの静電容量を正確に測定することができる。また、数式(6)で示すように、キャパシタCは、ブースト感度に対する利得制御要素として動作し得る。
【0029】
タッチ静電容量の正確な測定があると、DFE110は、システム100において他のノイズ(即ち、60サイクルノイズ)を補償するためキャリブレーション後の位相相関二重サンプリング(CDS)オペレーションを実行することができる。図3に示されるCDS期間の間、タッチ導通されるノイズカップリングが存在するタッチ事象の間のCDS出力は、下記のように表すことができ、
【数9】
下記のようになる。
【数10】
数式(9)から分かるように、ノイズ構成要素はV(T)−V(T)であるため、サンプリング期間(即ち、Ts=T−T)を増大することにより、ノイズを非常に小さくすることができる。
【0030】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。
図1
図2
図3