特許第5980925号(P5980925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980925ニンドウエキス及び抗生物質を含有する医薬組成物、医薬キット、並びに薬剤を調製するためのニンドウエキスの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980925
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ニンドウエキス及び抗生物質を含有する医薬組成物、医薬キット、並びに薬剤を調製するためのニンドウエキスの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20160818BHJP
   A61K 31/43 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 36/355 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61K31/7048
   A61K31/43
   A61K36/355
   A61P11/00
   A61P31/04
   A61P43/00 121
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-525273(P2014-525273)
(86)(22)【出願日】2011年8月12日
(65)【公表番号】特表2014-525923(P2014-525923A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】CN2011078331
(87)【国際公開番号】WO2013023338
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年5月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514036597
【氏名又は名称】ハンカン・バイオケミカル・アンド・ファーマスーティカル・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ティエジュン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ジャンゴン
(72)【発明者】
【氏名】メン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,フェンニァン
(72)【発明者】
【氏名】マ,シュウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,チュラン
【審査官】 山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−059566(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101085795(CN,A)
【文献】 Colloids Surf B Biointerfaces. 2005 Mar 25;41(2-3):79-81
【文献】 Chinese Journal of Microbiology and Immunology, 2004 24;9;738-742
【文献】 J Food Prot. 2007 Mar;70(3):641-7
【文献】 Biol Pharm Bull. 2006 Mar;29(3):443-7
【文献】 Biol Pharm Bull. 2008 Aug;31(8):1614-7
【文献】 Biol Pharm Bull. 2008 Sep;31(9):1798-801
【文献】 Int J Food Microbiol. 2010 Jun 15;140(2-3):164-8
【文献】 Chinese Wild Plant Resources, 2004;23;5;13-16
【文献】 Chinese Journal of Veterinary Medicine 2010 46;8;要約(pp.60-62),[online]http://www.cqvip.com/qk/92143x/201008/35080765.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物であって、
イリドイド化合物を含有するニンドウエキス及び抗生物質を含み;
ここで、前記ニンドウエキスは以下の構造式(1)
【化1】
によって表されるセコロガン酸を含有し:
ここで、式(1)では、X1、X2はそれぞれ独立してOを表し、RはHを表し;
前記抗生物質は、アンピシリン及び/又はエリスロマイシンであり
前記ニンドウエキスは前記式(1)で表されるセコロガン酸を50wt%以上含有する、医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記細菌に起因する疾患の予防及び/又は治療は、前記抗生物質に対する細菌の耐性を反転させることにより達成される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
別個に配置されたイリドイド化合物を含有するニンドウエキス及び抗生物質を備える、細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための医薬キットであって、
ここで、前記ニンドウエキスは以下の構造式(1)
【化2】
によって表されるセコロガン酸を含有し:
ここで、X1、X2はそれぞれ独立してOを表し、RはHを表し;
前記抗生物質は、アンピシリン及び/又はエリスロマイシンであり
前記ニンドウエキスは前記式(1)で表されるセコロガン酸を50wt%以上含有する、医薬キット。
【請求項5】
前記ニンドウエキスは前記セコロガン酸を70wt%以上含有する、請求項1に記載の医薬組成物又は請求項4に記載の医薬キット。
【請求項6】
前記ニンドウエキスは前記セコロガン酸を80wt%以上含有する、請求項1に記載の医薬組成物又は請求項4に記載の医薬キット。
【請求項7】
前記ニンドウエキスは前記セコロガン酸を90wt%以上含有する、請求項1に記載の医薬組成物又は請求項4に記載の医薬キット。
【請求項8】
抗生物質に対する細菌の耐性を反転させるための薬剤の調製における、イリドイド化合物を含有するニンドウエキスの使用であって、
前記ニンドウエキスは、以下の構造式(1)
【化3】
によって表されるセコロガン酸を含有し:
ここで、式(1)では、X1、X2はそれぞれ独立してOを表し、RはHを表し:
前記抗生物質は、アンピシリン及び/又はエリスロマイシンであり
前記ニンドウエキスは前記式(1)で表されるセコロガン酸を50wt%以上含有する、使用。
【請求項9】
前記ニンドウエキスは前記セコロガン酸を70wt%以上含有する、請求項に記載の使用。
【請求項10】
前記ニンドウエキスは前記セコロガン酸を80wt%以上含有する、請求項に記載の使用。
【請求項11】
前記ニンドウエキスは前記セコロガン酸を90wt%以上含有する、請求項に記載の使用。
【請求項12】
前記薬剤は抗生物質を更に含有し;
前記抗生物質は、アンピシリン及び/又はエリスロマイシンである、請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学の技術分野に属する。具体的には本発明は、抗生物質及び伝統的な漢方薬であるニンドウ(honeysuckle)、その元の植物であるスイカズラ(lonicera japonica)又は同属植物から抽出して精製することにより調製したニンドウエキスを含有する医薬組成物、並びに細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における該医薬組成物の使用に関する。また、本発明は薬剤の調製のためのニンドウエキスの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療行為において多数の抗生物質を集中的に使用する問題がますます深刻になっている。抗生物質の不適切な使用により、微生物、特に細菌に選択的進化圧を加えることになり、耐性菌の数及び種類が急激に増加し、多様な抗生物質に耐性を持つ「スーパーバグ(superbug)」さえも発生する。一般的に、新規の抗生物質の大半は、病原体が薬剤耐性を獲得することにより数年以内に本来の有効性を失う。例えば、ペニシリン耐性肺炎レンサ球菌は、以前はペニシリン、エリスロマイシン及びスルファニルアミド等の薬剤に対して極めて感受性であったが、現在では殆ど効果がない。別の例として、黄色ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、エンテロコッカス属細菌及び緑濃菌等の一般的な感染源は次第に多剤耐性になり、一般的に使用されているβ‐ラクタム、キノリノン、新規マクロライド及びセファロスポリン、更にバンコマイシンにさえ耐性を有する。更に別の例として、アモキシシリンやジナセフ等の8種の抗生物質に対する緑濃菌の耐性は100%に達し、ジナセフやフォータム等の16種の高度抗生物質に対するクレブシエラ菌の耐性は最大51.8〜100%に達していることをデータが示している。一方、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌はバンコマイシンによってのみ治療できる。
【0003】
多数の耐性菌の発生により難治性感染症がますます増加し、細菌感染リスクが次第に高まり、感染症治療にかかる費用が次第に高額になる。いかにして抗生物質に対する細菌の耐性を抑制し、細菌の抗生物質に対する感受性を高めるかが、医療分野において大いに関心を集める課題である。
【0004】
伝統的な漢方の薬草「ニンドウ」の名称は「本草綱目」に由来し、中国の薬草及び植物における一般名称である。植物のニンドウはスイカズラとしても知られており、スイカズラ科の多年生半常緑木本性つる植物である。スイカズラは、初め白い花で開花し、後に黄色い花に変化することから「ニンドウ」と呼ばれる。薬草のニンドウは、スイカズラ科スイカズラ属のスイカズラという植物であり、同種植物のつぼみ又は初期の花を乾燥させたものである。
【0005】
ニンドウは、古来より清熱及び解毒効果を有する優れた医薬であると珍重されており、漢方において清熱及び解毒用に一般的に使用される医薬の1つである。何千年もの間、ニンドウは臨床で顕著な効果を示し、医師や患者らに非常に好まれてきた。甘味があり、本質的に冷たく、香りの良いニンドウは、胃を傷つけることなく清熱することができ、香りが良いばかりでなく病原因子を排除することができる。ニンドウは風熱を消散させることができるだけでなく、血液の解毒にも優れており、従って熱、発疹、皮膚斑、熱毒腫痛(heat toxic swelling sore)、咽喉痛等の様々な熱性疾患の治療に使用され、その治療効果は顕著である。現代の研究では、ニンドウの清熱及び解毒のメカニズムは既に検討されている。例えば、ニンドウは解熱及び抗炎症効果が高く、0.25g/kgのニンドウエキスの腹腔内注射により、カラギーナンによって生じたラットの足の腫脹を阻害でき;30〜40g/kgのニンドウエキスの注射により、卵白による足の腫脹の度合いを軽減でき;また1日2回の8g/kgのニンドウエキスの注射は、ハズ油によるラット肉芽嚢に対する顕著な抗滲出性及び抗増殖性効果を有する。ニンドウは体内の免疫系に対する重要な調節作用を有し、ニンドウの煎汁は白血球の食作用を促進し;ニンドウの腹腔内注射もまた炎症性細胞の食作用を促進する効果が高いと考えられる。
【0006】
ニンドウの化学的組成の研究から、ニンドウは有機酸、トリテルペノイドサポニン、フラボノイド及びその配糖体、イリドイドグリコシド、揮発性油等を含有することが分かる。ニンドウの有効成分を抽出し、その有効性を立証するために現在調査が行われているが、ニンドウエキスを抗生物質と併用して抗生物質に対する細菌の感受性を促進したという報告は今のところない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ニンドウエキス及び抗生物質を含有する医薬組成物を提供することである。ここでは、有効成分としてのセコロガン酸と共に、ニンドウ、その元の植物であるスイカズラ又は他の同属植物から抽出することによってニンドウエキスを調製する。
【0008】
本発明の別の目的は、別個に配置されたニンドウエキス及び抗生物質を備える医薬キットを提供することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は、細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製において、該医薬組成物及び医薬キットの使用を提供することである。
【0010】
本発明のなお更に別の目的は、細菌の耐性に反作用するための薬剤を調製する際にイリドイド化合物を含有するニンドウエキスの使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の技術的解決法は以下のとおりである:
一態様では、本発明は細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物を提供し、該医薬組成物はイリドイド化合物を含有するニンドウエキス及び抗生物質を含む。
【0012】
好ましくは、医薬組成物は薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を更に含む。
【0013】
ここでは、細菌に起因する疾患の予防及び/又は治療は細菌の耐性に反作用することにより達成される。従って、細菌が抗生物質に対する耐性を獲得すると、当該医薬組成物は細菌の薬剤耐性に反作用又は対抗できる。
【0014】
別の態様では、本発明は、細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための医薬キットを提供し、該医薬キットは、別個に配置されたイリドイド化合物を含有するニンドウエキス及び抗生物質を備える。当該キットを、キットを必要とする患者に、細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するために使用することができ、ニンドウエキス及び抗生物質を、同時に、連続的に、又は一定の期間継続的に患者に投与してよい。実験は、ニンドウエキスが抗生物質に対する細菌の感受性を促進、修復及び/又は改善でき、また抗生物質に対する細菌の耐性に反作用及び対抗でき、これによって細菌の死滅又は阻害に対する抗生物質の効果が高まることを示している。
【0015】
上述の医薬組成物及び医薬キットにおいて、ニンドウエキスは、
以下の構造式
【0016】
【化1】
【0017】
によって表されるイリドイド化合物を含有し:
ここで、式(1)では、X1、X2はそれぞれ独立してOを表し、RはHを表し、化合物はセコロガン酸であり;
式(2)、式(3)、式(4)では、X1、X2はそれぞれ独立してH、C1‐6の低級アルキル又はC2‐6の低級アルケニルを表す。
【0018】
ニンドウエキスの主要な有効成分は、セコロガン酸である。
【0019】
好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を50wt%以上含有し;好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を70wt%以上含有し;より好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を80wt%以上含有し;最も好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を90wt%以上含有する。
【0020】
本発明のニンドウエキスは、参照によりその全体が本明細書に援用される特許ZL200610083556.7に開示された方法によって調製できる。本発明の実施形態によって、以下のステップを含む方法によりニンドウエキスを調製する:
(1)植物のニンドウ、その元の植物であるスイカズラ又は他の同属植物を粉状にし、その後、水及び/又は体積比95%以下のアルコールを含有するC1‐C6アルキルアルコール水溶液により抽出を実施し、エキスを得るステップ;
(2)ステップ(1)で得たエキスを常圧又は減圧下で濃縮し乾燥させて抽出物を得るか、又はステップ(1)で得たエキスにスプレー乾燥を実施して粉末を得て、その抽出物又は粉末を水で溶解し、その後体積比95%以下のアルコールを含有するC1‐C6アルキルアルコール水溶液により沈殿又は沈降させ、沈殿物又は溶解液濃縮物を得るステップ;
(3)沈殿物を単離及び精製するか、又はステップ(2)で得た液体濃縮物をクロマトグラフィーにより溶解し、イリドイド化合物を含有する溶離剤を回収するステップであって、ここでクロマトグラフィーはマクロ多孔性吸収樹脂カラムクロマトグラフィー、順相シリカゲルクロマトグラフィー及び逆相シリカゲルクロマトグラフィーの1つ又は複数から選択するステップ;
好ましくは、ニンドウエキスは以下のステップを含む方法により調製する:
(1)ニンドウの薬草を粉状にし、その後、エタノール50%(v/v)水溶液で抽出を行い、抽出液を得るステップ;
(2)ステップ(1)で得た抽出液を減圧下で濃縮して抽出物を得て、該抽出物を水に溶解し、濾過し、該溶液を乾燥するまで濃縮し、エタノール95%(v/v)水溶液を添加して溶解し、溶液のエタノール含量が75%(v/v)になるように蒸留水を添加し、静置した後に濾過し、濾過物からエタノールを回収し、液体抽出物を得るステップ;
(3)ステップ(2)で得た液体抽出物を水を添加することにより溶解し、濾過することにより濾過物を得て、該濾過物をスチレン製マクロ多孔性吸収樹脂クロマトグラフィーカラムに通し、その後、水及びエタノール20%(v/v)水溶液で連続的にカラムを溶出し、エタノール20%(v/v)水溶液の溶離剤中のエタノールを回収するステップ;
より好ましくは、本方法は、ゲルクロマトグラフィーによりステップ(3)で得たイリドイド化合物を含有する溶離剤を精製するステップを更に含み;
最も好ましくは、本方法は、SephadexLH‐20ゲルクロマトグラフィーカラムによりステップ(3)で得たイリドイド化合物を含有する溶離剤を精製し、水の溶離剤を回収するステップを更に含む。
【0021】
好ましくは、本発明の抗生物質はアンピシリン、ペナムスルホン、ピペラシリン、タゾバクタム、アモキシシリン、クラブラン酸、セファゾリン、セフロキシム、セフトリアキソン、セフロキシムナトリウム、スルペラゾン、左旋性フッ化酸素、セフォタキシム、セフタジジム、イミペネム、セフェピム、セフォキシチン、ゲンタマイシン、アミカシン、シプロフロキサシン、クロラムフェニコール、トリメトプリム‐スルファメトキサゾール、テトラサイクリン、ニトロフラントイン、アズトレオナム、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、アンモニア、スルバクタム、チカルシリン、クラブラン酸、トブラマイシン、タゾシン、イミペネム、ミノサイクリン、メロペネム、ペニシリン、オキサシリン、エリスロマイシン、バンコマイシン、リファンピン及びクリンダマイシンからなる群の1つ又は複数から選択される。
【0022】
好ましくは、抗生物質はアンピシリン及び/又はエリスロマイシンである。
【0023】
別の態様では、本発明は、細菌に起因する疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における該医薬組成物及び医薬キットの使用を提供する。
【0024】
好ましくは、細菌は抗生物質耐性菌、好ましくは多抗生物質耐性菌であってよく;より好ましくは、細菌は多抗生物質耐性グラム陰性菌であってよく;更に好ましくは、多抗生物質耐性グラム陰性菌は大腸菌、緑膿菌、クレブシエラ菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、プロテウス菌、腸内細菌科、インフルエンザ菌、肺炎桿菌及びカタラーリス(catarrhalis)からなる群の1つ又は複数から選択され;より好ましくは、多抗生物質耐性グラム陰性菌は大腸菌、緑膿菌及び/又はクレブシエラ菌である。
【0025】
代替として、細菌は多抗生物質耐性グラム陽性菌であり;好ましくは、多抗生物質耐性グラム陽性菌は、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、A群化膿レンサ球菌、肺炎レンサ球菌、枯草菌及び表皮ブドウ球菌からなる群の1つ又は複数から選択してよく;更に好ましくは、多抗生物質耐性グラム陽性菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌及び/又は黄色ブドウ球菌である。
【0026】
また、本発明による使用において、細菌に起因する疾患は細菌に起因する感染症であり、特に消化器系感染;血液系感染;呼吸器系感染;泌尿器系感染;中枢神経系感染;骨及び関節感染;耳、乳様突起及び副鼻腔感染;並びに皮膚及び軟組織感染等の抗生物質耐性菌に起因する感染症であり;好ましくは細菌に起因する疾患は抗生物質耐性菌に起因する呼吸器系感染である。
【0027】
ここでは、細菌疾患は多抗生物質耐性グラム陰性菌に起因するに呼吸器系感染であり;好ましくは、細菌に起因する疾患は多抗生物質耐性グラム陰性菌に起因する感染性肺炎であり;更に好ましくは、細菌に起因する疾患は多抗生物質耐性グラム陰性菌に起因する院内感染肺炎であり;より好ましくは、細菌に起因する疾患は多抗生物質耐性クレブシエラ菌に起因する院内感染肺炎である。
【0028】
代替として、細菌に起因する疾患は多抗生物質耐性グラム陽性菌に起因する呼吸器系感染であり;好ましくは、細菌に起因する疾患は多抗生物質耐性グラム陽性菌に起因する肺炎であり;更に好ましくは、細菌に起因する疾患はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に起因する肺炎である。
【0029】
更に別の態様では、本発明は、細菌の耐性に反作用するための薬剤の調製において、イリドイド化合物を含有するニンドウエキスの使用も提供する。実験は、ニンドウエキスが抗生物質に対する細菌の感受性を促進、修復及び/又は改善でき、これによって細菌の耐性に反作用及び対抗するための薬剤の調製に使用できることを示している。薬剤は、患者に投与されると、患者の体内の(多抗生物質耐性菌でさえある)耐性菌の抗生物質に対する耐性に又は対抗でき、患者の体内の細菌が抗生物質に対する耐性を獲得するのを防止することもできる。
【0030】
ここではニンドウエキスは、
以下の構造式
【0031】
【化2】
【0032】
に表されるイリドイド化合物を含有し:
式(1)では、X1、X2はそれぞれ独立してOを表し、RはHを表し;
式(2)、式(3)、式(4)では、X1、X2はそれぞれ独立してH、C1‐6の低級アルキル又はC2‐6の低級アルケニルを表す。
【0033】
好ましくは、ニンドウエキスは式(1)に表されるセコロガン酸を50wt%以上含有し;更に好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を70wt%以上含有し;より好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を80wt%以上含有し;最も好ましくは、ニンドウエキスはセコロガン酸を90wt%以上含有する。
【0034】
本発明のニンドウエキスは、参照によりその全体が本明細書に援用される特許ZL200610083556.7に開示された方法によって調製できる。本発明の実施形態によって、以下のステップを含む方法によりニンドウエキスを調製する:
(1)植物のニンドウ、その元の植物であるスイカズラ又は他の同属植物を粉状にし、その後、水及び/又は体積比95%以下のアルコールを含有するC1‐C6アルキルアルコール水溶液により抽出し、エキスを得るステップ;
(2)ステップ(1)で得たエキスを常圧又は減圧下で濃縮して抽出物を得るか、又はステップ(1)で得たエキスにスプレー乾燥を実施して粉末を得て、その抽出物又は粉末を水で溶解し、その後体積比95%以下のアルコールを含有するC1‐C6アルキルアルコール水溶液により沈殿又は沈降させ、沈殿物あるいは溶解液濃縮物を得るステップ;
(3)沈殿物を単離及び精製するか、又はステップ(2)で得た液体濃縮物をクロマトグラフィーにより溶解し、イリドイド化合物を含有する溶離剤を回収するステップであって、ここでクロマトグラフィーはマクロ多孔性吸収樹脂カラムクロマトグラフィー、順相シリカゲルクロマトグラフィー及び逆相シリカゲルクロマトグラフィーの1つ又は複数から選択するステップ;
好ましくは、ニンドウエキスは以下のステップを含む方法により調製する:
(1)ニンドウの薬草を粉状にし、その後、エタノール50%(v/v)水溶液で抽出を行い、抽出液を得るステップ;
(2)ステップ(1)で得た抽出液を減圧下で濃縮して抽出物を得て、該抽出物を水に溶解し、濾過し、該溶液を乾燥するまで濃縮し、エタノール95%(v/v)水溶液を添加して溶解し、溶液のエタノール含量が75%(v/v)になるように蒸留水を添加し、静置した後に濾過し、濾過物からエタノールを回収し、液体抽出物を得るステップ;
(3)水を添加することによりステップ(2)で得た液体抽出物を溶解し、濾過し、濾過物を得て、該濾過物をスチレン製マクロ多孔性吸収樹脂クロマトグラフィーカラムに通し、その後、水及びエタノール20%(v/v)水溶液で連続的にカラムを溶出し、エタノール20%(v/v)水溶液の溶離剤中のエタノールを回収するステップ;
より好ましくは、本方法は、ゲルクロマトグラフィーによりステップ(3)で得たイリドイド化合物を含有する溶離剤を精製するステップを更に含み;
最も好ましくは、本方法はSephadexLH‐20ゲルクロマトグラフィーカラムによりステップ(3)で得たイリドイド化合物を含有する溶離剤を精製し、水の溶離剤を回収するステップを更に含む。
【0035】
本発明による使用では、細菌の耐性は抗生物質に対する細菌の耐性であり;
好ましくは、細菌の耐性は多数の抗生物質に対する細菌の耐性であり;
更に好ましくは、本発明の抗生物質は、アンピシリン、ペナムスルホン、ピペラシリン、タゾバクタム、アモキシシリン、クラブラン酸、セファゾリン、セフロキシム、セフトリアキソン、セフロキシムナトリウム、スルペラゾン、左旋性フッ化酸素、セフォタキシム、セフタジジム、イミペネム、セフェピム、セフォキシチン、ゲンタマイシン、アミカシン、シプロフロキサシン、クロラムフェニコール、トリメトプリム‐スルファメトキサゾール、テトラサイクリン、ニトロフラントイン、アズトレオナム、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、アンモニア、スルバクタム、チカルシリン、クラブラン酸、トブラマイシン、タゾシン、イミペネム、ミノサイクリン、メロペネム、ペニシリン、オキサシリン、エリスロマイシン、バンコマイシン、リファンピン及びクリンダマイシンからなる群の1つ又は複数から選択される。
【0036】
好ましくは、抗生物質はアンピシリン及び/又はエリスロマイシンである。
【0037】
また、薬剤は抗生物質を更に含有し;好ましくは、抗生物質はアンピシリン、ペナムスルホン、ピペラシリン、タゾバクタム、アモキシシリン、クラブラン酸、セファゾリン、セフロキシム、セフトリアキソン、セフロキシムナトリウム、スルペラゾン、左旋性フッ化酸素、セフォタキシム、セフタジジム、イミペネム、セフェピム、セフォキシチン、ゲンタマイシン、アミカシン、シプロフロキサシン、クロラムフェニコール、トリメトプリム‐スルファメトキサゾール、テトラサイクリン、ニトロフラントイン、アズトレオナム、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、アンモニア、スルバクタム、チカルシリン、クラブラン酸、トブラマイシン、タゾシン、イミペネム、ミノサイクリン、メロペネム、ペニシリン、オキサシリン、エリスロマイシン、バンコマイシン、リファンピン及びクリンダマイシンからなる群の1つ又は複数から選択され;更に好ましくは、抗生物質はアンピシリン及び/又はエリスロマイシンである。
【0038】
クロロゲン酸及びその誘導体が抗細菌及び抗ウイルス活性を持つと考えると、清熱及び解毒効果を有するニンドウの物質に関する基礎研究は最終段階に差し掛かっており、多数の調査施設又は研究所はニンドウの有効成分の単離及び抽出に専心している。
【0039】
多数の実験を経て、本発明者らはセコロガン酸を主成分とするニンドウエキスをニンドウの薬草から抽出してエキスを精製し、そして抗生物質との併用効果実験において、ニンドウエキスは多耐性菌の抗生物質に対する感受性を有意に促進、修復及び/又は改善でき、多耐性菌の抗生物質に対する耐性に反作用又は対抗できることを見出した。このことは、細菌の耐性のために元の抗菌効果を失っている抗生物質が、ニンドウエキスを同量の抗生物質にことにより、細菌阻害効果を修復するという点で具体化されており、これにより、ニンドウエキスは耐性菌の抗生物質に対する感受性を修復又は改善でき、よって耐性菌に起因する感染症の補助的治療に用いることができることが分かる。
【0040】
以下に本発明の実施例を添付の図面と合わせて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明により、実施例1で調製したニンドウエキスN1のHPLCクロマトグラムを示し、これは90.67%(重量比)のセコロガン酸を含有することが判明した。
図2図2は、ニンドウエキスを使用することにより抗生物質「アンピシリン」に対するクレブシエラ菌の感受性が改善された実験結果を示す;
図3図3は、ニンドウエキスを使用するにより抗生物質「エリスロマイシン」に対する黄色ブドウ球菌の感受性が改善された実験結果を示す;
図4図4は、ニンドウエキスを使用することにより抗生物質「アンピシリン」に対する大腸菌の感受性が改善された実験結果を示す;
図5図5は、ニンドウエキスを使用することにより抗生物質「アンピシリン」に対する緑膿菌の感受性が改善された実験結果を示す;
図6図6は、本発明の実施例で使用した純度98.03%(重量比)のセコロガン酸標準品のHPLCクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明を、具体的な実施形態と合わせて以下に更に詳細に説明する。また、提供した実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明することのみを意図するものである。
【0043】
以下の実施例における実験方法は、明示しない限りすべて従来の方法である。以下の実施例で使用した医薬品材料及び試薬材料等の実験材料は、明示しない限り一般的な生化学試薬の販売店又は医薬品商社から購入できる。
【0044】
ここでは、実施例で使用したニンドウの薬草は、北京同仁堂チェーンドラッグストア(Beijing Tongrentang chain drug stores)から購入され、河南省で生産され、Bozhou City Beijing Anhui Chinese Medicine Yinpian Factoryによって加工され、ロット番号は200502014であった。ニンドウの薬草は、中国医療科学院の葯物研究所によりスイカズラ科のスイカズラの乾燥したつぼみとして識別されている。
【0045】
エキスの内用量を測定する基準として、実施例で使用したセコロガン酸は、中国医療科学院の葯物研究所の天然医薬化学研究部による特許ZL200610083556.7に開示された方法によって調製する。測定により、内容量は98.03%であることが分かる(クロマトグラムを図6に示す)。
【0046】
実施例では、HPLC外部標準法に従ってニンドウエキス中のセコロガン酸の内容量を測定し、具体的には、測定のために以下の器具及び条件を採用する:
(1)器具:クォータナリポンプ、オートサンプラ、DAD検出器及びChemstationクロマトグラフィーワークステーションを含むAgilent1100液体クロマトグラフ;
(2)クロマトグラフィー条件及びシステム適正試験:クロマトグラフカラムはPrevail C18 5μ(250mm×4.6mm)(Alltech社製、米国)であり;アセトニトリル‐1%氷酢酸水溶液(13:87)を移動相として使用し、勾配溶出を採用し;流速は0.9ml/分であり、停止時間は40分であり、平衡時間は10分であり、検出波長は242nmである。JYHピークにより算出した理論段数は1000以上であることが好ましい;
(3)試薬:クロマトグラフィー用のアセトニトリル勾配グレード;純水;分析グレードの酢酸。
【0047】
実施例で使用した大腸菌、緑膿菌、クレブシエラ菌及び黄色ブドウ球菌の細菌はすべて臨床分離株(多耐性菌)であり、これらは山東省済南市私立第4病院の臨床検査室から譲渡され、細菌の耐性は以下の表1、2、3、4、5に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
実施例で使用した機器:
恒温培養器:Shanghai Yuejin Medical Device Factory 1の製品
クリーンベンチ:Jinan Longhong社の製品
マイクロプレートリーダ:フィンランドのLeibo社の製品
722分光光度計:Shanghai Precision & Scientific Instrument社の製品
−80℃冷却器:米国のFOMAS社の製品
【0053】
実施例1 ニンドウエキスの調製
ニンドウ薬草(500g)を準備し、粗い粉状にし、ニンドウ薬草の乾燥重量の13倍の量のエタノール50%(v/v)水溶液で2回抽出し、各抽出を1時間実施した。エキスを合わせて減圧下で濃縮し、濃抽出物を得て、その後抽出物に450mlの蒸留水を添加し、加熱により溶解し、次いで室温まで冷却して24時間静置し、濾過して透明な溶液を得た。
【0054】
透明な溶液を減圧下で乾燥するまで濃縮し、1600mlのエタノール95% (v/v)水溶液を添加し、溶解するまで十分に攪拌し、またエタノール含量が75% (v/v)となるよう蒸留水を溶液に徐々に添加し、その後24時間静置して濾過して濾液を回収し、次いで、液状抽出物が形成されるまで減圧下で濾液からエタノールを回収した。
【0055】
液状抽出物に500mlの水を添加し、溶解して濾過し、その後、事前に処理したSP‐825スチレン製マクロ多孔性吸着樹脂クロマトグラフィーカラムに濾液を通し、樹脂カラム体積の5倍量の水、及び樹脂カラム体積の6倍量のエタノール20% (v/v)水溶液で連続的にカラムを溶出し、その後、アルコール臭が無くなるまでエタノールを減圧下で溶離剤から回収し、凍結乾燥を実施した。
【0056】
SephadexLH‐20ゲルクロマトグラフィーカラムを用いて更に精製を行いこれは、水での溶出、サンプル液の回収、減圧下での回収、凍結乾燥の実施を含む。続いてゲルクロマトグラフィーカラムに通して精製を数回行い、ニンドウエキスN1を得た。参照物としてセコロガン酸を使用し、HPLC外部標準法に従ってニンドウエキスN1にはセコロガン酸が90.67%含まれることが判明した(クロマトグラムを図1に示す)。
【0057】
実施例2 抗生物質の細菌阻害試験
本実施例では、表1〜4の4種の多耐性菌に対する抗生物質の細菌阻害効果を測定した。
【0058】
活性化した細菌懸濁液を、0.5マクファーランド濁度標準液に相当する濃度まで希釈し、MH培養液の培地で1:1000の割合で希釈し、その後、1ウェル当たり100μLで各ウェルに添加した。
【0059】
上述の4種の多耐性菌が抵抗性を示した抗生物質を、2倍希釈法により1mg/mL(初期濃度)から1:2048(2-11)まで希釈し、その後元の溶液及び異なる濃度に希釈した抗生物質をそれぞれ、細菌懸濁液が入ったウェルに各100μL添加し、最後に各抗生物質の最小阻止濃度(MIC)を記録した。
【0060】
一方で、菌液対照(即ち、同体積の培地を加えた菌液)及びブランク培地対照を準備した。
【0061】
37℃で20時間培養し、マイクロプレートリーダを使用して630nmで検出を実施し、式(2)に従って細菌阻害率を算出し、得たデータを式(1)に代入して定数を算出し、その定数を50%未満病原率のウイルス希釈指数に加算し、50%阻害濃度を得る(Reed‐Muench法)。
【0062】
定数=(50%超の阻害率−50%の阻害率)/(50%超の阻害率−50%未満の阻害率) ・・・式(1)
【0063】
阻害率=(細菌阻害試験OD値−薬剤対照OD値)/(菌液対照OD値−ブランク対照OD値) ・・・式(2)
【0064】
結果から、上述の4種の細菌が耐性を示した抗生物質に関して、クレブシエラ菌が耐性を示すアンピシリン抗生物質が最初の2回の希釈(1mg/mL、0.5mg/mL)においてクレブシエラ菌に対して阻害効果を有することを除き、各希釈において4種の細菌が耐性を示す抗生物質は、いずれも細菌が耐性を示すものであることが分かる。
【0065】
実施例3 本発明の医薬組成物の抗菌効果に関する調査
以下の抗生物質とニンドウエキスN1とを併用した場合の細菌に対する効果に関し実験を行った。
【0066】
【表5】
【0067】
表5の抗生物質を2倍希釈法により1mg/mL(初期濃度)から2-5mg/mLまで希釈し、その後、1ウェル当たり100μlの量で、96ウェルプレートへ連続的に横断方向に添加した。各希釈の抗生物質を3つのウェルに添加した。実施例1で調製したニンドウエキスN1の試験サンプルを、40mg/mlの濃度になるようにPBSで希釈し、その後、2倍連続希釈法により希釈し(1:2、1:4、1:8、1:16、1:32、1:64、1:128)、次いで、1ウェル当たり100μlの量で各ウェルに添加した。
【0068】
一方で、抗生物質対照(ニンドウエキスN1をブランク培地に置き換えている)、菌液対照及びブランク培地対照を準備した。
【0069】
37℃で20時間培養し、分光光度計により600nmで吸光度を検出した。
【0070】
結果を図2図5に示す。各図の抗生物質を2倍希釈法により1mg/mL(初期濃度)から2-5mg/mLまで希釈した。従って各図の横軸1〜6はそれぞれ濃度2-1〜2-5を表す。図の結果から、ニンドウエキスを添加すると、4種の多耐性菌の対応する抗生物質に対する感受性が大幅に促進されることが分かる。よってニンドウエキスを、耐性菌に起因する疾患の予防及び/又は治療に使用するために、抗生物質と混合して医薬組成物を作製するか、又は抗生物質と併用して投与することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6