(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのシリコーン成分が、モノメタクリルオキシプロピル末端、モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン;ビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン;メタクリルオキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン;モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン;及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンポリマーヒドロゲル。
前記少なくとも1つのシリコーン成分が、モノメタクリレート末端ポリジメチルシロキサン;ビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン;及びモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジアルキルシロキサン;及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載のシリコーンポリマーヒドロゲル。
前記少なくとも1つのシリコーン成分が、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジアルキルシロキサンを含む、請求項1に記載のシリコーンポリマーヒドロゲル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限に利用できるものと考えられる。以下の具体的な実施形態は、あくまで例示的なものとして解釈されるものであり、いかなる意味においても以下の開示を限定するものとして解釈してはならない。
【0010】
特に断らないかぎり、本明細書で用いる技術的及び科学的な用語はすべて、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって共通に解釈されるものと同じ意味を有するものとする。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献はすべて、これを援用するものである。
【0011】
定義
本明細書で使用される「生物医学装置」とは、哺乳動物組織又は体液に使用されるように設計された任意の物品である。これらの装置の例としては、限定されるものではないが、カテーテル、インプラント、ステント、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズなどの眼科装置が挙げられる。
【0012】
本明細書で使用される「眼科装置」は、眼の中又は上、並びに角膜、瞼及び眼腺を含む目の任意の部分に存在する、任意の装置である。これらの装置は、光学補正、美容整形、視界強化、治療効果(例えば包帯として)、並びに薬学及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科装置の例としては、限定されるものではないが、レンズ、並びに涙点プラグなどを含むがこれに限定されない光学的及び眼球インサートを含む。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「レンズ」とは、眼内又は眼の表面上に置かれる眼科用機器のことを指す。レンズという用語は、限定されるものではないが、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズを含むがこれらに限定されない。
【0014】
一実施形態では、本発明の生物医学装置、眼科装置、及びレンズは、シリコーンポリマー又はシリコーンヒドロゲルを含む。これらのシリコーンヒドロゲルは典型的に、硬化された装置で互いに共有結合されるシリコーン成分並びに/又は疎水性及び親水性モノマーを含有する。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「反応性混合物」は、互いに混合され、本発明のシリコーンヒドロゲルを形成する重合条件におかれる成分(反応性及び非反応性の双方)の混合物を指す。反応性混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び開始剤などの反応性成分、並びに湿潤剤、剥離剤、染料などの添加剤、UV吸収剤及びフォトクロミック化合物などの光吸収化合物を含み、これらのうちのいずれかは反応性又は非反応性であってもよいが、薬剤及び栄養補給化合物と同様に、得られる生物医学装置内に保持されることが可能である。作製される生物医学装置及びその使用目的に基づいて広範囲の添加物が添加され得ることが理解されよう。反応混合物の構成成分の濃度は、希釈剤を除く反応混合物中のすべての成分の重量%で与えられる。希釈剤が使用される場合には、この濃度は反応混合物中のすべての構成成分と希釈剤の量に基づく重量%で与えられる。
【0016】
シリコーン成分
シリコーン含有成分(又はシリコーン成分)は、モノマー、マクロマー、又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O−Si]基を含有するものである。一実施形態では、Si及び付着されたOは、シリコーン含有成分の総分子量の30重量%超など、20重量%を超える量でシリコーン含有成分中に存在する。有用なシリコーン含有成分は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、及びスチリル官能基などの重合性官能基を含む。本発明に有用であるシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,962,548号、同第5,998,498号、及び同第5,070,215号、並びに欧州特許第080539号に見出され得る。
【0017】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含む。
【化1】
の化合物から選択され、式中、
R
1は、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性をいずれかが更に含み得る、一価反応性基、一価アルキル基、又は一価アリール基、及び、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含み得る、1〜50個のSi−Oの反復単位(いくつかの実施形態では、1〜20及び1〜10)を含む一価シロキサン鎖、から独立して選択され、
b=0〜100(いくつかの実施形態では、0〜20又は0〜10)であり、bが0以外のときに、bが表示値に等しいモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのR
1が一価反応基を含み、いくつかの実施形態では、1〜3つのR
1が一価反応基を含む。
【0018】
本明細書に使用されるとき、「一価反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキルは、ヒドロキシル基、エーテル基、又はこれらの組み合わせと置換されてもよい。
【0019】
好適な一価アルキル基及びアリール基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせなど、非置換の一価C
1〜C
16アルキル基、C
6〜C
14アリール基が挙げられる。
【0020】
一実施形態では、bがゼロであり、1個のR
1が一価反応基であり、少なくとも3個のR
1が1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1個のR
1が一価反応基であり、2個のR
1がトリアルキルシロキサニル基であり、残りのR
1がメチル、エチル、又はフェニルであり、更なる実施形態では、1個のR
1が反応基であり、2個のR
1がトリアルキルシロキサニル基であり、残りのR
1がメチルである。この実施形態のシリコーン成分の非限定的な例としては、プロペン酸、−2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]−1−ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」、式IIの構造)、
【化2】
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが含まれる。
【0021】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又は一部の実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端R
1は、一価反応性基を含み、残りのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に他の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端R
1が一価の反応性基を含み、その他の末端R
1が1〜6の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残余のR
1が1〜3の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。この実施形態のシリコーン成分の非限定的な例としては、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS」、式IIIの構造)が挙げられ、
【化3】
式中、R
3がC1〜6アルキルであり、bが上記に定義されるとおりである。好適なHO−mPDMSの一例は、以下である。
【化4】
この実施形態のシリコーン成分の更なる例としては、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」、式IVの構造)が挙げられる。
【化5】
【0022】
別の実施形態では、1個の末端R
1がC
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミドを含む一価反応基であり、これは、アミドNへのC1〜3アルキル又はヒドロキシアルキル置換であり得、bが1〜10であり、他の末端R
1がC1〜4アルキルから選択され、残りのR
1がメチル又はエチルである。このようなシリコーン含有成分は、米国特許出願第2011/237766号に開示される。
【0023】
一実施形態では、シリコーン含有成分は、(メタ)アクリレートエステルなどの重合性エステルである。
【0024】
別の実施形態では、シリコーン成分は、米国特許出願第2004/0192872号に記載され、又は米国特許第4,259,467号の実施例XXV、XXVIII、若しくはXXXIIに記載される化合物C2、C4、若しくはR2などのペンダントヒドロキシル基を有するポリジメチルシロキサンビス−メタクリレート、米国特許第6867245号に開示されるものなどのペンダント親水性基を有する重合性ポリシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、ペンダント親水性基は、ヒドロキシアルキル基及びポリアルキレンエーテル基、又はこれらの組み合わせである。重合性ポリシロキサンはまた、フッ化炭素基を含んでもよい。構造B3として例に示される。
【0025】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端R
1は、一価反応性基を含み、残りのR
1は、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0026】
別の実施形態では、1〜4個のR
1は、式Vのビニルカーボネート又はカルバメートを含み、
【化6】
式中、YがO−、S−、又はNH−を示し、Rがヒドロゲン又はメチルを示し、qが0又は1である。
【0027】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーとしては、具体的に、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び式VIの化合物が挙げられる。
【化7】
約200以下の弾性率を有するバイオ医療用デバイスが所望される場合、1個のR
1のみが一価の反応性基を含むものとし、残りのR
1基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0028】
別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート、及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式VIIの化合物であり、式中、x+yが10〜30の範囲の数である。
【化8】
【0029】
本発明での使用に好適な他のシリコーン成分としては、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル、及びポリサッカライド基を含有するマクロマーなど、国際公開第96/31792号に記述されるものが挙げられる。好適なシリコーン含有構成成分の別の分類としては、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号、及び同第6,367,929号に開示されるような、GTPを介して作製されるシリコーン含有マクロマーが挙げられる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号、同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する極性フッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記述している。米国特許公開第2002/0016383号は、エーテル並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニルリンケージ及び架橋可能なモノマーを含有する親水性のシロキサニルメタクリレートを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0030】
約0.83MPa(120psi)未満の弾性率が望ましい本発明の一実施形態では、レンズの配合で用いられるシリコーン含有成分の質量分率の大部分は、1個の重合性官能基のみ含有すべきである(「一官能性シリコーン含有成分」)。この実施形態では、酸素透過率及び弾性率の所望のバランスを保証するために、1つ超の重合性官能基を有する(「多官能性成分」)全ての成分が、10mmol/100g反応性成分以下、好ましくは7mmol/100g以下の反応性成分を占めることが好ましい。
【0031】
一実施形態では、シリコーン成分は、モノメタクリルオキシプロピル末端、モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン;ビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン;メタクリルオキシプロピル−末端ポリジアルキルシロキサン;モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン;及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
一実施形態では、シリコーン成分が、モノメタクリレート末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される。
【0033】
一実施形態では、シリコーン成分は、約400〜約4000ダルトンの平均分子量を有する。
【0034】
シリコーン含有成分(複数可)は、すべての反応性成分に基づいて、約95重量%までの量、いくつかの実施形態では、約10〜約80重量%の量、他の実施形態では、約20〜約70重量%の量で存在してもよい。
【0035】
2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)
反応性混合物はまた、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(「HEAA」;式VIIIの構造)を含有する。
【化9】
【0036】
実施例で後述されるように、HEAAは、結果として得られたシリコーンポリマー、シリコーンヒドロゲル、及び/又は生物医学装置(例えば、コンタクトレンズ)から形成される物品の透明度又は透過率を依然として保持しながら、それらの改善された硬化速度及び他の特性に予想外に見出された。
【0037】
HEAAは、所望される特性の特定のバランスによって広範な量で存在してもよい。一実施形態では、親水性成分の量は、約5〜約40重量%など、約50重量%までである。別の実施形態では、HEAAは、約10重量%までの量、他の実施形態では、約1〜約10%の量で存在する。
【0038】
親水性成分
一実施形態では、反応性混合物はまた、2−ヒドロキシエチルアクリルアミドに加えて少なくとも1つの親水性成分を含有することができる。一実施形態では、親水性成分は、ヒドロゲルを作製するのに有用である既知の親水性モノマーのうちのいずれかであってもよい。
【0039】
好適な親水性モノマーの1つの分類としては、アクリル又はビニル含有モノマーが挙げられる。かかる親水性モノマーは、それ自体架橋剤として用いることもできるが、1つ超の重合性官能基を有する親水性モノマーを用いる場合、その濃度は所望の弾性率を有するコンタクトレンズを提供するために上で論じたように限定されるべきである。
【0040】
用語「ビニル型」又は「ビニル含有」モノマーは、ビニル群化(−CH=CH
2)を含有し、かつ重合することができるモノマーを指す。
【0041】
本発明のシリコーンヒドロゲルに組み込まれ得る親水性ビニル含有モノマーとしては、限定されるものではないが、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム(例えば、NVP)、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのモノマーが挙げられ、NVPが好まれる。
【0042】
「アクリル型」又は「アクリル含有」モノマーは、アクリル基(CH
2=CRCOX)を含有するモノマーであり、式中、RがH又はCH
3であり、XがO又はNであり、これはまた、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、これらの混合物などを容易に重合することが知られている。
【0043】
本発明に用いられ得る他の親水性モノマーとしては、限定されるものではないが、重合性二重結合を含有する官能基で置換された末端ヒドロキシル基のうちの1個以上を有するポリオキシエチレンポリオールが挙げられる。例としては、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)、メタクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、塩化ビニルベンゾイル等のエンドキャッピング基1モル当量以上と反応し、カーバメート又はエステル基等の結合部分によって、ポリエチレンポリオールに結合した1つ以上の末端重合性オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成するポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルグルコシド及びエトキシル化ビスフェノールAが挙げられる。
【0044】
更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示される親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、及び米国特許第4,910,277号に開示される親水性オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水モノマーは、当業者に明らかである。
【0045】
一実施形態では、親水性成分は、DMA、HEMA、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、NVP、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの親水性モノマーを含む。他の実施形態においては、親水性モノマーは少なくともDMA,HEMA,NVP及びN−ビニル−N−メチルアクリルアミドの1つ、及びこれらの混合物を含む。別の実施形態では、親水性モノマーは、DMA及び/又はHEMAを含む。
【0046】
別の実施形態では、反応混合物は、式
【化10】
の少なくとも1つのモノマーを更に含み、式中、R
1がH又はCH
3であり、R
2がH又はC1〜6アルキルである。
【0047】
親水性成分(複数可)(例えば、親水性モノマー(複数可))は、所望される特性の特定のバランスによって広範な量で存在してもよい。一実施形態では、親水性成分の量は、約5〜約40重量%など、約60重量%までである。
【0048】
重合開始剤
1つ以上の重合開始剤が反応混合物に含まれてもよい。重合開始剤の例としては、限定されるものではないが、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリルなどの適度な昇温でフリーラジカルを発生する化合物、並びに芳香族α−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ジケトンを加えた第三級アミン、これらの混合物などの光開始剤系が挙げられる。光開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。市販の可視光開始剤系としては、限定されるものではないが、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)、及びLucirin TPO開始剤(BASFより販売)が挙げられる。市販の紫外光開始剤としては、Darocur 1173及びDarocur 2959(チバ・スペシャルティ−・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))が挙げられる。使用され得るこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2
nd Edition by J.V.Crivello& K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示される。
【0049】
重合開始剤は、約0.1〜約2重量%などの反応混合物の光重合を開始するのに有効な量で反応混合物中に用いられる。反応混合物の重合反応は、使用される重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光、又は他の手段を適宜選択して開始することができる。また、例えば電子線を使用することにより光開始剤を使用することなく反応を開始させることもできる。しかし、光重合開始剤を使用するとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))、又は1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせ等の酸化ビスアシルフォスフィンであり、別の実施形態では、重合開始法は可視光活性化を介する。好ましい反応開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0050】
内部湿潤剤
一実施形態では、反応混合物は、1つ以上の内部湿潤剤を含む。内部湿潤剤としては、限定されるものではないが、米国特許第6,367,929号、同第6,822,016号、同第7786185号、PCT特許出願国際公開第03/22321号、及び同第03/22322号に記載されるものなど、高分子量の親水性ポリマー、又は米国特許第7,249,848号に記載されるものなど、反応性の親水性ポリマーが挙げられ得る。内部湿潤剤の例としては、限定されるものではないが、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N,N−ジメタクリルアミド)、及びポリ(N−ビニル−N−メチルアセトアミド)などのポリアミドが挙げられる。ヒアルロン酸、ホスホリルコリンなどの他のポリマーもまた、使用されてもよい。
【0051】
内部湿潤剤(複数可)は、所望される特定のパラメータによって広範な量で存在してもよい。一実施形態では、湿潤剤(複数可)の量は、約5〜約40重量%、約6〜約40重量%など、約50重量%までである。
【0052】
その他の成分
本発明のコンタクトレンズを形成するために用いられる反応混合物中に存在し得る他の成分としては、限定されるものではないが、相容性成分(米国特許出願第2003/162862号及び同第2003/125498号に開示されるものなど)、紫外線吸収化合物、薬剤、抗微生物化合物、共重合性及び非重合性染料、離型剤、反応性色味剤、色素、これらの組み合わせなどが挙げられる。一実施形態では、追加の成分の総和は、約20重量%までであってもよい。一実施形態では、反応混合物は、約18重量%までの湿潤剤、別の実施形態では約5〜約18重量%の湿潤剤を含む。
【0053】
希釈剤
一実施形態では、反応性成分(例えば、シリコーン含有成分、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、親水性モノマー、湿潤剤、及び/又は他の成分)は、反応混合物を形成するように希釈剤の有無のいずれかで共に混合される。
【0054】
1つの実施形態では、反応条件で反応混合物中の非極性成分を可溶化するのに十分低い極性を有する希釈剤が用いられる。本発明の希釈剤の極性を特徴付ける1つの方法は、Hansen溶解度パラメータ、δpを用いる。特定の実施形態でδpは約10未満、好ましくは約6未満である。好適な希釈剤は、米国特許出願第20100280146号及び米国特許第6,020,445号に更に開示される。
【0055】
好適な希釈剤の分類としては、限定されないが、2〜20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンに由来する10〜20個の炭素原子を有するアミド、エーテル、ポリエーテル、3〜10個の炭素原子を有するケトン、及び8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。炭素数が増加するにつれて、極性部分の数も増加して、所望の水準の水混和性をもたらすことができる。幾つかの実施態様では、一級及び三級アルコールが好ましい。好ましい分類は、炭素4〜20個を有するアルコール及び炭素原子10〜20個を有するカルボン酸を含む。
【0056】
一実施形態では、希釈剤は、1,2−オクタンジオール、t−アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、デカン酸、3,7−ジメチル−3−オクタノール、トリプロピレンメチルエーテル(TPME)、ブトキシエチルアセテート、これらの混合物などから選択される。
【0057】
一実施形態では、希釈剤は、水中である程度の溶解度を有する希釈剤から選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも約3%の希釈剤が水混和性である。水溶性希釈剤の例としては、限定されるものではないが、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、エタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、1−エトキシ−2−プロパノール、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、EH−5(Ethox Chemicalsから市販)、2,3,6,7−テトラヒドロキシ−2,3,6,7−テトラメチルオクタン、9−(1−メチルエチル)−2,5,8,10,13,16−ヘキサオキサヘプタデカン、3,5,7,9,11,13−ヘキサメトキシ−1−テトラデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0058】
シリコーンポリマー/ヒドロゲルの硬化及びレンズの製造
本発明の反応混合物は、回転成形及び静電成形を含む、コンタクトレンズの生産において反応混合物の成形のための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形の方法は、米国特許第3,408,429号及び第3,660,545号に開示され、静電成形の方法は、米国特許第4,113,224号及び第4,197,266号に開示されている。1つの実施形態では、本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成形により形成され、これは経済的であり、水和レンズの最終形状を正確に制御することを可能にする。この方法では、反応混合物を最終的な所望のシリコーンヒドロゲルの形状を有する成形型に配置し、反応混合物をモノマーが重合する条件に供し、それにより最終的な所望の製品のおおよその形状のポリマーを製造する。
【0059】
一実施形態では、硬化後、レンズを抽出に供し、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外す。抽出は、アルコール等の有機溶媒等の従来の抽出流体を用いて行ってもよく、水溶液を用いて抽出してもよい。
【0060】
水溶液は、水を含む溶液である。一実施形態では、本発明の水溶液は、少なくとも約30重量%の水、いくつかの実施形態では少なくとも約50重量%の水、いくつかの実施形態では少なくとも約70%の水、他の実施形態では少なくとも約90重量%の水を含む。水溶液はまた、離型剤、湿潤剤、スリップ剤、薬剤成分及び栄養補給成分、これらの組み合わせ等の更なる水溶性成分を含んでもよい。離型剤は、水と組み合わせたとき、離型剤を含まない水溶液を用いてかかるレンズを取り外すのに必要な時間と比べて、コンタクトレンズを成形型から取り外すのに必要な時間を短縮する化合物又は化合物の混合物である。1つの実施形態では、水溶液は、約10重量%未満、他の実施形態では約5重量%未満の、イソプロピルアルコール等の有機溶媒を含み、別の実施形態では有機溶媒を含まない。これらの実施形態では、水溶液は、精製、再利用、又は特殊な廃棄手順等の特殊な取扱を必要としない。
【0061】
種々の実施形態では、抽出は、例えばレンズの水溶液への浸漬、又はレンズの水溶液流への曝露を介して達成することができる。種々の実施形態では、抽出はまた、例えば、水溶液の加熱、水溶液の撹拌、水溶液中の離型助剤の濃度をレンズを離型させるのに十分な濃度に上昇させる、レンズの機械的又は超音波による撹拌、及びレンズから未反応成分の適切な除去を促進するのに十分な濃度に水溶液に少なくとも1種の浸出補助剤を組み込む、のうちの1つ以上を含んでもよい。前述の操作はバッチでも連続プロセスでも行うことができ、熱、攪拌又はこの両方を加えても加えなくてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態はまた、浸出及び取り外しを円滑にするために物理的な揺動の適用を含むこともできる。例えば、レンズが付着するレンズ鋳型部分は、振動、又は水溶液中で前後運動させることもできる。他の実施形態には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0063】
レンズをオートクレーブなどの、しかしこれに限定されない既知の手段により滅菌してもよい。
【0064】
コンタクトレンズ特性
本明細書に記載する試験は全て、ある程度の特有の試験誤差を有することが理解されよう。したがって、本明細書に報告する結果は、絶対数として解釈されるべきではなく、具体的な試験の精度に基づく数値範囲である。
【0065】
酸素透過係数(Dk)
酸素透過係数(又はDk)は、次のように測定される。直径4mmの金陰極及び銀リング陽極からなるポーラログラフィー酸素センサ上にレンズを配置し、メッシュ支持体で上面を覆う。レンズを加湿した2.1% O
2の雰囲気に曝す。レンズを通って拡散する酸素をセンサによって測定する。複数のレンズを互いに重ねて厚さを増加させるか、さらに厚いレンズを使用する。厚さの値が大きく異なる4個の試料のL/Dkを測定し、厚さに対してプロットする。回帰直線勾配(regressed slope)の逆数が試料のDkである。参照値は、この方法を使用して市販のコンタクトレンズについて測定した値である。Balafilcon Aレンズ(Bausch & Lombより販売)は、約79バーラーの測定値を示す。Etafilconレンズは、20〜25バーラーの測定値を示す。(1バーラー=10
−10(ガスのcm
3×cm
2)/(ポリマーのcm
3×秒×cmのHg))。
【0066】
一実施形態では、レンズは、約60超、約80超、約100超など、約50超の酸素透過係数を有する。
【0067】
全光透過率
全光透過率は、SMカラーコンピュータを使用して測定した(モデルSM−7−CH、Suga Test Instruments Co.Ltd.製)。レンズ試料上の水を軽く拭き取った後、試料を光路に設置して測定した。ABC Digimatic表示器(ID−C112、Mitsutoyo Corporation製)を使用して厚さを測定し、厚さ0.14〜0.15mmの試料を測定した。
【0068】
弾性率/伸び率/靱性
弾性率(又は引張弾性率)は、初期ゲージ高さに下げたロードセルを装備した、一定の移動速度タイプの引張試験機のクロスヘッドを使用して測定する。好適な試験機には、Instron(登録商標)モデル1122が含まれる。長さ1.33cm(0.522インチ)、「耳」の幅0.70cm(0.276インチ)、「首」の幅0.54(0.213インチ)を有する、−1.00の倍率のレンズから得たドッグボーン形試料をグリップに乗せ、破断するまで5.08cm/分(2インチ/分)の定ひずみ速度で伸長する。試料の初期標点距離(Lo)及び破断時の試料長(Lf)を測定する。各組成について少なくとも5個の試料を測定し平均を報告する。応力/ひずみ曲線の初期線状部分で引っ張り係数を測定する。一実施形態では、引っ張り係数は、1.03MPa(150psi)未満、0.86MPa(125psi)未満、0.69MPa(100psi)未満など、2.76MPa(400psi)未満である。
【0069】
以下の等式を使用して伸び率を測定する。
伸び率は、[(Lf−Lo)/Lo]×100である。
【0070】
一実施形態では、伸び率は、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%など、少なくとも100%である。
【0071】
材料の靱性を破断エネルギー(E
B)から計算し、この材料を試料の矩形体積(長さ×幅×高さ)で割った。この材料を破断するエネルギー(E
B)を荷重/変位曲線の下の区域から計算する。
靱性=E
B/(長さ×幅×高さ)である。
【0072】
一実施形態では、靱性は、少なくとも689.5J/L(100in・lbf/in
3)、例えば、少なくとも861.9J/L(125in・lbf/in
3)、少なくとも1034.22J/L(150in・lbf/in
3)である。
【0073】
含水率
水分量は次の方法で測定する。試験するレンズは包装用溶液中に24時間放置する。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置く。レンズの両面をこの紙と接触させる。ピンセットを使用して試験用レンズを秤量皿に置き、秤量する。さらに他の2個の試料セットを準備し、前述のように秤量する。秤量皿とレンズを3回秤量し、その平均値が湿潤重量である。
【0074】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定する。少なくとも53.3Pa(0.4インチのHg)の真空が達成されるまで減圧する。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを4時間乾燥する。パージ弁を開けオーブンを大気圧に戻す。秤量皿を取りだし秤量する。含水率は次のように計算する。
湿潤重量=皿とレンズの合計湿潤重量−秤量皿の重量
乾燥重量=皿とレンズの合計乾燥重量−秤量皿の重量
【数1】
【0075】
試料の水分含量の平均値および標準偏差が計算され報告されている。一実施形態では、%含水量は、約30〜65%など、約20〜70%である。
【0076】
動的前進接触角(DCA)
前進接触角を以下のように測定した。幅約5mmの中央ストリップをレンズから裁断することによって、各セットから4個の試料を準備し、パッキング溶液中で平衡させた。試料を生理食塩水中に浸漬したり、引き出したりしながら、レンズ表面とホウ酸緩衝生理食塩水との間の濡れ抵抗力を、Wihelmy微量天秤を使用して23℃で測定した。以下の等式
F=2γpcosθ 又は θ=cos
−1(F/2γp)
【0077】
を使用した。式中、Fは濡れ抵抗力であり、γはプローブ液体の表面張力であり、pはメニスカスにおける試料の周囲であり、θは接触角である。前進接触角は、試料をパッキング溶液中に浸漬させる濡れ実験の一部から得られる。各試料を4回循環させ、結果を平均してレンズの前進接触角を得た。
【実施例】
【0078】
これらの例は、本発明を限定するものではない。これらの例は、本発明を実施する方法を示唆するものにすぎない。コンタクトレンズ並びに他の専門における当業者は、本発明を実施する他の方法を見いだすことができる。以下の実施例では以下の略記を使用する。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1:ヒドロゲルコンタクトレンズの製造
DMA(0%、25%、50%、75%、及び100%)の代わりにHEAAの量を増加することによって一連の5つの混合物を調製し、以下の表1に示した。各混合物の場合、すべての成分を添加し、すべてが溶解するまでジャーローラーで混合した。すべての混合物が透明であった。
【0081】
【表2】
* 希釈剤の量をすべての成分の組み合わせの重量パーセントとして示す。希釈剤を除いて他の成分の量を反応性成分の重量パーセントとして示す。
【0082】
混合物1〜5をガラスバイアル内に配置し、キャップを少なくとも1時間、窒素充填したグローブボックス内で取り外した。プラスチックのコンタクトレンズ成形型を窒素充填したグローブボックス内の混合物のうちの1つで充填し、30分間、Philips TL03 20Wの蛍光灯の下、約3インチに配置した。レンズを窒素雰囲気下で室温にて30分にわたって硬化させた。このレンズを次のように浸出させた:最初に、50%イソプロパノール、50%ホウ酸塩緩衝生理食塩水溶液に30分間、次に、3サイクルにおいて100%イソプロパノールに各30分間、その後、50%イソプロパノール、50%ホウ酸塩緩衝生理食塩水溶液に30分間、最後に、3サイクルにおいて100%ホウ酸塩緩衝生理食塩水溶液に各30分間。
【0083】
実施例2:全光透過率試験
Blue HEMAを省略することを除いてレンズを上記の混合物2、3、4、及び5から作製した。上述される全光透過率試験を使用してこのレンズを試験した。結果を表2に示す。
【0084】
実施例3:機械的特性試験
実施例2の結果として得られたレンズを、様々なレンズ特性に関してDMAの代わりにHEAAの添加の効果を判定するDk、DCA、含水量、及び機械的試験のために提出した。
【0085】
【表3】
表2のこれらの結果は、HEAAの添加が予想外に、コンタクトレンズの弾性率(即ち、0.89〜0.62MPa(129.2〜89.7psi))を減少させたが、同様にレンズの伸び率強度(即ち、188.1〜310%)及びレンズの靱性(即ち、740.5〜1350.7J/L(107.4〜195.9in.lbf/in
3))を増加させたことの両方を示す。混合物2〜5から形成されたレンズは、約92%の全光透過率で非常に透明であった。これらのレンズを8.6〜82%の透過率を有した米国特許出願第2011/0230589号の比較実施例1〜6で形成されるものと比較して、本発明のポリマーから形成されたレンズは、実質的に改善された全光透過率を示す。
【0086】
実施例4:ヒドロゲル含有HEAAの硬化特質
Digital Light Labsのモデル番号ULM−1−420からの汎用LEDモジュールを装備したTA InstrumentsのモデルQ100 photo−DSCを使用して、上記の表1に示される混合物1(DMA含有)及び混合物5(HEAA含有)の硬化特質を観察した。サンプルをステージに配置し、窒素をフラッシュし、最初に25℃で5分間、次に、70℃で5分間平衡化させ、その後、4mW/cm
2を供給して光硬化プロセスを開始した。
【0087】
シグモイド補正を用いて、ベース曲線をプロットした。TA Universal Analysis 2000ソフトウェアを用いて、硬化時間を計算した。エンタルピー、硬化時間、25、50、75、90、95、及び99.5パーセントの硬化までの時間を表3に示す。各混合物を数回試験し、表中の値は、3〜4回の実行の平均値を表す。
【0088】
【表4】
【0089】
これらの結果は、ヒドロゲル含有HEAA(混合物5)が予想外にヒドロゲル含有DMA(混合物1)よりはるかに速く硬化したことを示す。更に、硬化時間の減少にもかかわらず、混合物5によって製造されたレンズもまた予想外に、表2に示されるように弾性率の低下、伸び率の増加、及び靱性の増加を明らかにした。
【0090】
実施例5:ヒドロゲルコンタクトレンズの製造
標準シリコーンヒドロゲルレンズ混合物におけるDMAの代わりにHEAAを使用して含水量に対する効果を評価するようにこの実施例を設計した。表4に示される2つの混合物を実施例2に記載されるように製造した。すべての混合物が透明であった。
【0091】
【表5】
* 希釈剤の量をすべての成分の組み合わせの重量パーセントとして示す。希釈剤を除いて他の成分の量を反応性成分の重量パーセントとして示す。
【0092】
次に、混合物6及び7を実施例2に記載されるようにコンタクトレンズになるように製造した。レンズも混合物7から作製したが、Blue HEMAを省略した。それらの全光透過率を試験し、結果を表5に示す。
【0093】
実施例6:機械的特性試験
実施例5で製造したレンズをDCA及び含水量分析のために提出した。これらの結果を表5に示す。この結果は、HEAAが予想外にレンズの含水量を増加したことを示す。
【0094】
【表6】
【0095】
本発明をその発明を実施するための形態とともに記載してきたが、上記の説明は例示を意味しており、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を制限することを意図していないことは理解されよう。他の態様、利点、及び修正も特許請求の範囲の範囲内である。
【0096】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも約90%の全光透過率を有するシリコーンポリマーであって、(i)少なくとも1つのシリコーン成分と、(ii)2−ヒドロキシエチルアクリルアミドと、を含む反応性成分から形成される、シリコーンポリマー。
(2) 前記少なくとも1つのシリコーン成分が、少なくとも1つのトリアルキルシロキシシリル基を含む、実施態様1に記載のシリコーンポリマー。
(3) 少なくとも1つのシリコーン成分が、式I
【化11】
の化合物から選択され、
式中、
R
1は、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基をいずれかが更に含み得る、一価反応性基、一価アルキル基、又は一価アリール基、及び、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得る、1〜50個のSi−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖、から独立して選択され、
b=0〜100であり、bが0以外のときに、bが表示値に等しいモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのR
1が一価反応性基を含む、実施態様1に記載のポリマー。
(4) 前記少なくとも1つのシリコーン成分が、モノメタクリルオキシプロピル末端、モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン;ビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン;メタクリルオキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン;モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン;及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1に記載のポリマー。
(5) 前記少なくとも1つのシリコーン成分が、モノメタクリレート末端ポリジメチルシロキサン;ビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン;及びモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジアルキルシロキサン;及びこれらの混合物から選択される、実施態様1に記載のポリマー。
【0097】
(6) 前記少なくとも1つのシリコーン成分が、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジアルキルシロキサンを含む、実施態様1に記載のポリマー。
(7) 前記反応性成分が、少なくとも1つの他の親水性アクリル含有モノマーを更に含む、実施態様1に記載のポリマー。
(8) 前記少なくとも1つの他の親水性アクリル含有モノマーが、HEMA及び/又はDMAである、実施態様7に記載のポリマー。
(9) (i)前記少なくとも1つのシリコーン成分と(ii)前記2−ヒドロキシエチルアクリルアミドとの重量比が、約50:1〜約1:5である、実施態様1に記載のポリマー。
(10) 2−ヒドロキシエチルアクリルアミドが、約10重量%までの量で存在する、実施態様1に記載のポリマー。
【0098】
(11) 前記反応混合物が、式
【化12】
の少なくとも1つのモノマーを更に含み、
式中、R
1がH又はCH
3であり、R
2がH又はC1〜6アルキルである、実施態様1に記載のポリマー。
(12) 実施態様1に記載のシリコーンポリマーを含む、シリコーンヒドロゲル。
(13) (i)少なくとも1つのシリコーン成分と、(ii)2−ヒドロキシエチルアクリルアミドと、を含む反応混合物から形成される、シリコーンヒドロゲル。
(14) 前記2−ヒドロキシエチルアクリルアミドが、約1〜約25パーセントの重量パーセントで存在する、実施態様13に記載のヒドロゲル。
(15) 前記反応混合物が、ポリアミドを更に含む、実施態様13に記載のヒドロゲル。
【0099】
(16) 実施態様1に記載のポリマーを含む、コンタクトレンズ。
(17) 実施態様13に記載のヒドロゲルから形成される、コンタクトレンズ。
(18) 前記コンタクトレンズが、少なくとも200%の伸び率を有する、実施態様16に記載のコンタクトレンズ。
(19) 前記コンタクトレンズが、少なくとも200%の伸び率を有する、実施態様17に記載のコンタクトレンズ。
(20) 前記コンタクトレンズが、0.83MPa(120psi)未満の弾性率を有する、実施態様16に記載のコンタクトレンズ。
【0100】
(21) 前記コンタクトレンズが、0.83MPa(120psi)未満の弾性率を有する、実施態様17に記載のコンタクトレンズ。
(22) 実施態様1に記載のポリマーを含む、生物医学装置。
(23) 実施態様14に記載のヒドロゲルから形成される、生物医学装置。