特許第5980933号(P5980933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980933
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】部品実装機の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20160818BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20160818BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H05K13/00 Y
   H05K13/02 D
   H05K13/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-534116(P2014-534116)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2012072816
(87)【国際公開番号】WO2014038053
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸則
(72)【発明者】
【氏名】高宮 英泰
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225968(JP,A)
【文献】 特開2012−156413(JP,A)
【文献】 特開2012−33592(JP,A)
【文献】 特開2011−66162(JP,A)
【文献】 特開2009−94296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
H05K 13/02
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装機に、ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したウエハ部品を供給するウエハ部品供給装置と、電子部品を供給するフィーダとをセットし、生産ジョブに従って、前記部品実装機、前記ウエハ部品供給装置及び前記フィーダの動作を制御して、前記ウエハ部品供給装置から供給されるウエハ部品と前記フィーダから供給される電子部品(以下「フィーダ部品」という)のいずれかを吸着して回路基板に実装する部品実装機の制御システムにおいて、
前記部品実装機は、前記ウエハ部品供給装置と前記フィーダから供給されるウエハ部品とフィーダ部品のいずれかを吸着して回路基板に実装する実装ヘッドを備え、
前記ウエハ部品供給装置は、ウエハ部品を吸着して上下反転させる供給ヘッドと、前記供給ヘッドをウエハ部品のパレットがセットされたステージと一体的に上下動させる上下動機構とを備え、ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する場合は、前記供給ヘッド及び前記ステージを前記上下動機構により下降させた位置で上下反転させた前記供給ヘッド上のウエハ部品を前記部品実装機の実装ヘッドに吸着させ、ウエハ部品を上下反転させずに回路基板に実装する場合は、前記供給ヘッド及び前記ステージを前記上下動機構により上昇させた位置で前記ステージ上のウエハ部品を前記部品実装機の実装ヘッドに吸着させるように構成され、
ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する動作と、フィーダ部品を回路基板に実装する動作を行う順序を前記供給ヘッドと前記実装ヘッドとが干渉しないように設定し且つ前記供給ヘッド及び前記ステージを下降させてウエハ部品を前記供給ヘッドに吸着して上下反転させる動作を、前記実装ヘッドによるフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行する制御手段を備えていることを特徴とする部品実装機の制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記供給ヘッドによる1個のウエハ部品の吸着・反転動作に要する時間が前記実装ヘッドによる1個のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間より長い場合には、当該ウエハ部品の吸着・反転動作が完了するまで2個以上のフィーダ部品の吸着・実装動作を連続して実行するように部品実装順序を設定することを特徴とする請求項1に記載の部品実装機の制御システム。
【請求項3】
前記ウエハ部品供給装置は、前記供給ヘッドでウエハ部品を吸着する前に当該ウエハ部品を撮像するカメラを備え、前記カメラの撮像画像を処理して前記ウエハ部品の位置を認識して前記供給ヘッドで前記ウエハ部品を吸着することを特徴とする請求項1又は2に記載の部品実装機の制御システム。
【請求項4】
前記ウエハ部品供給装置は、前記供給ヘッドでウエハ部品を吸着する際に、前記ダイシングシートのうちの前記供給ヘッドで吸着しようとする部分をその下方から突き上げる突き上げ機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の部品実装機の制御システム。
【請求項5】
部品実装機に、ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したウエハ部品を供給するウエハ部品供給装置と、電子部品を供給するフィーダとをセットし、生産ジョブに従って、前記部品実装機、前記ウエハ部品供給装置及び前記フィーダの動作を制御して、前記ウエハ部品供給装置から供給されるウエハ部品と前記フィーダから供給される電子部品(以下「フィーダ部品」という)のいずれかを吸着して回路基板に実装する部品実装機の制御方法において、
前記部品実装機は、前記ウエハ部品供給装置と前記フィーダから供給されるウエハ部品とフィーダ部品のいずれかを吸着して回路基板に実装する実装ヘッドを備え、
前記ウエハ部品供給装置は、ウエハ部品を吸着して上下反転させる供給ヘッドと、前記
供給ヘッドをウエハ部品のパレットがセットされたステージと一体的に上下動させる上下動機構とを備え、ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する場合は、前記供給ヘッド及び前記ステージを前記上下動機構により下降させた位置で上下反転させた前記供給ヘッド上のウエハ部品を前記部品実装機の実装ヘッドに吸着させ、ウエハ部品を上下反転させずに回路基板に実装する場合は、前記供給ヘッド及び前記ステージを前記上下動機構により上昇させた位置で前記ステージ上のウエハ部品を前記部品実装機の実装ヘッドに吸着させるように構成され、
ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する動作と、フィーダ部品を回路基板に実装する動作を行う順序を前記供給ヘッドと前記実装ヘッドとが干渉しないように設定し且つ前記供給ヘッド及び前記ステージを下降させてウエハ部品を前記供給ヘッドに吸着して上下反転させる動作を、前記実装ヘッドによるフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行することを特徴とする部品実装機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装機に、ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したウエハ部品(ダイ)を供給するウエハ部品供給装置と、電子部品を供給するフィーダとをセットし、ウエハ部品供給装置とフィーダから供給される部品を回路基板に実装する部品実装機の制御システム及び制御方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
部品実装機においては、例えば、特許文献1(特開2003−234597号公報)に記載されているように、実装機本体に複数種類のフィーダをセットして、各フィーダから供給される電子部品を実装ヘッドで吸着して回路基板に実装するようにしている。この特許文献1には、フィーダとして、テープフィーダ、バルクフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等が記載されているが、近年、特許文献2(特開2010−129949号公報)に記載されているように、ウエハ部品を供給するウエハ部品供給装置を部品実装機にセットして、部品実装機の実装ヘッドでウエハ部品を回路基板に実装するようにしたものがある。ウエハ部品供給装置は、ダイシングシート上に貼着されたウエハ部品を、ウエハ部品供給装置の供給ヘッド又は部品実装機の実装ヘッドで吸着してピックアップするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−234597号公報
【特許文献2】特開2010−129949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウエハ部品は、ダイシングシートに貼着した1枚のウエハをダイシングして形成されているが、ウエハ部品の実装面を上向きにしてダイシングシートに貼着されている場合がある。このため、上記特許文献2のウエハ部品供給装置は、ダイシングシートからピックアップしたウエハ部品を上下反転する上下反転機構と、上下反転したウエハ部品を所定位置まで搬送するコンベアとを備え、コンベアで搬送したウエハ部品を部品実装機の実装ヘッドで吸着して回路基板に実装するようにしているが、ウエハ部品供給装置に上下反転機構とコンベアを設けた構成とすると、ウエハ部品供給装置が大型化したり、ウエハ部品の吸着・上下反転・実装に要する時間が延びて、生産能率が低下する欠点がある。
【0005】
そこで、本願の出願人は、ウエハ部品を吸着した供給ヘッドを上下反転させて、該供給ヘッド上のウエハ部品を部品実装機の実装ヘッドに吸着させるように構成したウエハ部品供給装置を開発中である。この場合、上下反転させた供給ヘッド上のウエハ部品の高さ位置を部品実装機の実装ヘッドの吸着高さ位置に合わせる必要があるため、ウエハ部品供給装置の供給ヘッドやウエハパレットをセットするステージを上下動させる上下動機構を設け、ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する場合は、供給ヘッド及びステージを上下動機構により下降させた位置で上下反転させた供給ヘッド上のウエハ部品を部品実装機の実装ヘッドに吸着させ、ウエハ部品を上下反転させずに回路基板に実装する場合は、供給ヘッド及びステージを上下動機構により上昇させた位置でステージ上のウエハパレットのウエハ部品を部品実装機の実装ヘッドに吸着させるようにしている。
【0006】
このようなウエハ部品供給装置を他のフィーダと共に部品実装機にセットして、ウエハ部品やフィーダの供給部品を回路基板に実装する場合、部品実装機の実装ヘッドがウエハ
部品供給装置の供給ヘッドと干渉(衝突)することを避ける必要がある。このため、実装ヘッドと供給ヘッドとを同時に動作させるとヘッド同士が干渉する場合は、一方のヘッドの動作を、他方のヘッドの動作が完了するまで停止させてヘッド同士の干渉を防ぐように制御する必要があり、その結果、生産能率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、部品実装機に、ダイシングシート上に貼着された1枚のウエハをダイシングして形成したウエハ部品を供給するウエハ部品供給装置と、電子部品を供給するフィーダとをセットし、生産ジョブ(生産プログラム)に従って、前記部品実装機、前記ウエハ部品供給装置及び前記フィーダの動作を制御して、前記ウエハ部品供給装置から供給されるウエハ部品と前記フィーダから供給される電子部品(以下「フィーダ部品」という)のいずれかを吸着して回路基板に実装するものにおいて、前記部品実装機は、前記ウエハ部品供給装置と前記フィーダから供給されるウエハ部品とフィーダ部品のいずれかを吸着して回路基板に実装する実装ヘッドを備え、前記ウエハ部品供給装置は、ウエハ部品を吸着して上下反転させる供給ヘッドと、前記供給ヘッドをウエハ部品のパレットがセットされたステージと一体的に上下動させる上下動機構とを備え、ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する場合は、前記供給ヘッド及び前記ステージを前記上下動機構により下降させた位置で上下反転させた前記供給ヘッド上のウエハ部品を前記部品実装機の実装ヘッドに吸着させ、ウエハ部品を上下反転させずに回路基板に実装する場合は、前記供給ヘッド及び前記ステージを前記上下動機構により上昇させた位置で前記ステージ上のウエハ部品を前記部品実装機の実装ヘッドに吸着させるように構成され、ウエハ部品を上下反転させて回路基板に実装する動作と、フィーダ部品を回路基板に実装する動作を行う順序を前記供給ヘッドと前記実装ヘッドとが干渉しないように設定し且つ前記供給ヘッド及び前記ステージを下降させてウエハ部品を前記供給ヘッドに吸着して上下反転させる動作を、前記実装ヘッドによるフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行するようにしたものである。
【0008】
このようにすれば、供給ヘッドと実装ヘッドとの干渉を防止できると共に、ウエハ部品の吸着・反転動作をフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行できるため、フィーダ部品の吸着・実装動作の完了までにウエハ部品の吸着・反転動作が完了していれば、フィーダ部品の吸着・実装動作の完了後に直ちにウエハ部品の実装動作を開始することができ、又は、フィーダ部品の吸着・実装動作の完了までにウエハ部品の吸着・反転動作が完了していなければ、ウエハ部品の吸着・反転動作の完了後に直ちにウエハ部品の実装動作を開始することができる。これにより、ウエハ部品の実装動作開始待ち時間を減らすことができて、生産能率を向上できる。
【0009】
この場合、供給ヘッドによる1個のウエハ部品の吸着・反転動作に要する時間が実装ヘッドによる1個のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間より長い場合には、当該ウエハ部品の吸着・反転動作が完了するまで2個以上のフィーダ部品の吸着・実装動作を連続して実行するように部品実装順序を設定するようにすると良い。このようにすれば、供給ヘッドによる1個のウエハ部品の吸着・反転動作に要する時間が実装ヘッドによる1個のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間より長い場合でも、ウエハ部品の実装動作開始待ち時間を無くすことができる。
【0010】
また、ウエハ部品供給装置は、供給ヘッドでウエハ部品を吸着する前に当該ウエハ部品を撮像するカメラを備え、このカメラの撮像画像を処理してウエハ部品の位置を認識して供給ヘッドでウエハ部品を吸着するようにすると良い。このようにすれば、ウエハ部品の位置を認識する画像処理も、フィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行することができるため、ウエハ部品の位置を認識する画像処理によってウエハ部品の実装動作の開始が遅れることを防止できる。
【0011】
また、ウエハ部品供給装置は、供給ヘッドでウエハ部品を吸着する際に、ダイシングシートのうちの供給ヘッドで吸着しようとする部分をその下方から突き上げる突き上げ機構を備えた構成とすると良い。このようにすれば、供給ヘッドでウエハ部品を吸着する際に該ウエハ部品がダイシングシートから剥離しやすくなり、ウエハ部品の吸着ミスを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の一実施例の部品実装機にウエハ部品供給装置をセットした状態を示す平面図である。
図2図2は部品実装機にウエハ部品供給装置をセットした状態を示す外観斜視図である。
図3図3は部品実装機にセットしたときのウエハ部品供給装置と部品実装機の実装ヘッドとの位置関係を示す側面図である。
図4図4はウエハ部品供給装置のステージを上昇させたときの供給ヘッドと部品実装機の実装ヘッドの高さ位置関係を示す側面図である。
図5図5はウエハ部品供給装置のステージを下降させたときの供給ヘッドと部品実装機の実装ヘッドの高さ位置関係を示す側面図である。
図6図6はウエハ部品供給装置のステージ上のウエハパレットのウエハ部品を供給ヘッドで吸着するときの状態を示す側面図である。
図7図7は上下反転させた供給ヘッド上のウエハ部品を部品実装機の実装ヘッドで吸着するときの状態を示す側面図である。
図8図8はウエハ部品供給装置のステージ上のウエハパレットのウエハ部品を部品実装機の実装ヘッドで直接吸着するときの状態を示す側面図である。
図9図9はウエハ部品供給装置の供給ヘッドを斜め下方から見た外観斜視図である。
図10図10はウエハ部品供給装置のマガジンからウエハパレットがステージ上に引き出されていない状態を斜め上方から見た外観斜視図である。
図11図11はウエハ部品供給装置のマガジンからウエハパレットがステージ上に引き出された状態を斜め上方から見た外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
図1及び図2に示すように、部品実装機11には、ウエハ部品供給装置12が着脱可能にセットされる。部品実装機11には、ウエハ部品供給装置12のセット位置に隣接してフィーダセット台13が設けられ、このフィーダセット台13上にテープフィーダ等のフィーダ(図示せず)が着脱可能にセットされる。フィーダセット台13上にセットするフィーダは、テープフィーダに限定されず、バルクフィーダ、スティックフィーダ等であっても良く、これらのフィーダの中から複数種のフィーダをフィーダセット台13上にセットしても良い。
【0014】
部品実装機11には、実装ヘッド15をXY方向(左右前後方向)に移動させるXY移動機構16(XYロボット)が設けられている。このXY移動機構16は、Y方向(回路基板17の搬送方向と直角な方向)にスライド移動するYスライド18と、該Yスライド18に、X方向(回路基板17の搬送方向)にスライド可能に支持されたXスライド19とを備え、該Xスライド19に実装ヘッド15が支持されている。
【0015】
部品実装機11の実装ヘッド15には、ウエハ部品供給装置12から供給されるウエハ部品22やフィーダから供給される電子部品(以下「フィーダ部品」という)を吸着する吸着ノズル23(図3乃至図8参照)と、回路基板17の基準マーク等の撮像対象物を上方から撮像するマークカメラ(図示せず)等が設けられている。
【0016】
部品実装機11には、回路基板17を搬送するコンベア25が2台設けられ、コンベア25とウエハ部品供給装置12(又はフィーダ)との間の位置に、実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着したウエハ部品22やフィーダ部品を下方から撮像するパーツカメラ26(図3乃至図8参照)が上向きに設けられている。
【0017】
一方、ウエハ部品供給装置12には、ウエハパレット27を複数段に収容するマガジン28が設けられている。図10図11に示すように、ウエハパレット27は、多数のウエハ部品22に分割するようにダイシングされたウエハを貼着した伸縮可能なダイシングシート29を、円形の開口部を有するダイシングフレーム30にエキスパンドした状態で装着し、該ダイシングフレーム30をパレット本体31にねじ止め等により取り付けた構成となっている。ウエハ部品供給装置12には、マガジン28からウエハパレット27をステージ32上に引き出す引き出し機構35が設けられている。
【0018】
また、ウエハ部品供給装置12には、供給ヘッド33をXY方向(左右前後方向)に移動させるXY移動機構34(XYロボット)が設けられている。このXY移動機構34は、Y方向にスライド移動するYスライド36と、該Yスライド36に、X方向にスライド可能に支持されたXスライド37とを備え、該Xスライド37に供給ヘッド33が上下反転可能に支持され、該供給ヘッド33には1本又は複数本の吸着ノズル38(図9参照)が上下動可能に支持されている。このウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33は、ウエハパレット27のダイシングシート29上にウエハ部品22が実装面を上向きにして貼着されている場合に使用され、該供給ヘッド33の吸着ノズル38にウエハ部品22を吸着した後、上下反転機構39(図9参照)により該供給ヘッド33が上下反転してウエハ部品22を上下反転させて、部品実装機11の実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着させるように構成されている。
【0019】
この場合、上下反転させた供給ヘッド33上のウエハ部品22の高さ位置を部品実装機11の実装ヘッド15の吸着高さ位置に合わせる必要があるため、ウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33をウエハパレット27がセットされたステージ32と一体的に上下動させる上下動機構(図示せず)が設けられ、ウエハ部品22を上下反転させて回路基板17に実装する場合は、図7に示すように、供給ヘッド33及びステージ32を上下動機構により下降させた位置で上下反転させた供給ヘッド33上のウエハ部品22を部品実装機11の実装ヘッド15に吸着させるようにしている。
【0020】
一方、ウエハパレット27のダイシングシート29上にウエハ部品22が実装面を下向きにして貼着されている場合は、ウエハ部品22を上下反転させずに回路基板17に実装する。この場合は、図8に示すように、供給ヘッド33及びステージ32を上下動機構により上昇させた位置でステージ32上のウエハパレット27のウエハ部品22を部品実装機11の実装ヘッド15の吸着ノズル23に吸着させる。
【0021】
ウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33には、供給ヘッド33の吸着ノズル38にウエハ部品22を吸着する前に当該ウエハ部品22を撮像するカメラ41(図9参照)が設けられ、このカメラ41の撮像画像を処理してウエハ部品22の位置を認識して供給ヘッド33の吸着ノズル38にウエハ部品22を吸着するようになっている。更に、カメラ41の撮像画像の処理結果に基づいてウエハ部品22の位置を認識する際に、当該ウエハ部品22が不良品であるか否かを判定し、不良品と判定した場合は、吸着せずに隣のウエハ部品22の画像処理に進む。
【0022】
また、ウエハ部品供給装置12には、供給ヘッド33の吸着ノズル38にウエハ部品22を吸着する際に、ダイシングシート29のうちの吸着ノズル38に吸着しようとする部分をその下方から突き上げる突き上げ機構42(図10参照)が設けられている。突き上げ機構42は、ステージ32の上下動に連動して上下動するようになっている。
【0023】
部品実装機11の稼働中は、制御装置(図示せず)によって、生産ジョブ(生産プログラム)に従って、部品実装機11、ウエハ部品供給装置12及びフィーダの動作を制御して、ウエハ部品供給装置12から供給されるウエハ部品22とフィーダから供給されるフィーダ部品のいずれかを吸着して回路基板17に実装する。この際、ウエハ部品22を上下反転させて回路基板17に実装する場合は、図5に示すように、ウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33とステージ32を下降させると共に、図6に示すように、供給ヘッド33をウエハパレット27の上方へ移動させ、供給ヘッド33でウエハ部品22を吸着する前に、カメラ41で当該ウエハ部品22を撮像して当該ウエハ部品22の位置を認識した上で、供給ヘッド33で当該ウエハ部品22を吸着する。この後、図7に示すように、ウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33を上下反転させて、吸着したウエハ部品22を上下反転させると共に、部品実装機11の実装ヘッド15を供給ヘッド33の上方に移動させて、供給ヘッド33上のウエハ部品22を実装ヘッド15で吸着して回路基板17に実装する。
【0024】
ところで、図4に示すように、ウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33とステージ32を上昇させた位置で、供給ヘッド33でウエハ部品22を吸着する動作を行うと、部品実装機11の実装ヘッド15でフィーダ部品を吸着する動作を行うときに、部品実装機11の実装ヘッド15がウエハ部品供給装置12の供給ヘッド33と干渉(衝突)することを避ける必要がある。このように、実装ヘッド15と供給ヘッド33とを同時に動作させるとヘッド同士が干渉する場合は、一方のヘッドの動作を、他方のヘッドの動作が完了するまで停止させてヘッド同士の干渉を防ぐように制御する必要があり、その結果、生産能率が低下する。
【0025】
そこで、本実施例では、ウエハ部品22を上下反転させて回路基板17に実装する動作と、フィーダ部品を回路基板17に実装する動作を行う順序を供給ヘッド33と実装ヘッド15とが干渉しないように設定し、且つ供給ヘッド33及びステージ32を下降させてウエハ部品22を供給ヘッド33に吸着して上下反転させる動作を、実装ヘッド15によるフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行するようにしている。この際、供給ヘッド33でウエハ部品22を吸着する前に、吸着対象となるウエハ部品22を供給ヘッド33のカメラ41で撮像してウエハ部品22の位置を認識する画像処理を行う。
【0026】
このようにすれば、供給ヘッド33と実装ヘッド15との干渉を防止できると共に、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作をフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて実行できるため、フィーダ部品の吸着・実装動作の完了までにウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了していれば、フィーダ部品の吸着・実装動作の完了後に直ちにウエハ部品22の実装動作を開始することができ、又は、フィーダ部品の吸着・
実装動作の完了までにウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了していなければ、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作の完了後に直ちにウエハ部品22の実装動作を開始することができる。これにより、ウエハ部品22の実装動作開始待ち時間を減らすことができて、生産能率を向上できる。
【0027】
この場合、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間が1個のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間より長い場合には、当該ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了するまで2個以上のフィーダ部品の吸着・実装動作を連続して実行するように部品実装順序を設定する。このようにすれば、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間が1個のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間より長い場合でも、ウエハ部品22の実装動作開始待ち時間を無くすことができる。
【0028】
例えば、生産ジョブで指定された部品実装順序が、フィーダ部品A→ウエハ部品22→フィーダ部品Bの場合に、実装ヘッド15によるフィーダ部品Aの吸着・実装動作を開始するのと同時に、供給ヘッド33及びステージ32を下降させてウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作を開始する。ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間がフィーダ部品Aの吸着・実装動作に要する時間よりも短ければ、フィーダ部品Aの吸着・実装動作の完了までにウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了するため、フィーダ部品Aの吸着・実装動作の完了後に直ちにウエハ部品22の実装動作を開始する。
【0029】
これに対し、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間がフィーダ部品Aの吸着・実装動作に要する時間よりも長ければ、フィーダ部品Aの吸着・実装動作の完了までにウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了しないため、フィーダ部品Aの吸着・実装動作の完了後も、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了するまで、ウエハ部品22の実装動作の開始を待つ必要がある。
【0030】
そこで、上記の場合は、ウエハ部品22とフィーダ部品Bの実装順序を入れ替えて、フィーダ部品A→フィーダ部品B→ウエハ部品22の実装順序に変更し、1番目のフィーダ部品Aの吸着・実装動作を開始するのと同時に、供給ヘッド33及びステージ32を下降させてウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作を開始する。このようにすれば、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作を2個のフィーダ部品A,Bの吸着・実装動作とオーバーラップさせて行うことができるため、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間が2個のフィーダ部品A,Bの吸着・実装動作に要する時間よりも短ければ、2番目のフィーダ部品Bの吸着・実装動作の完了までにウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了するようになり、2番目のフィーダ部品Bの吸着・実装動作の完了後に直ちにウエハ部品22の実装動作を開始することができる。尚、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間が2個のフィーダ部品A,Bの吸着・実装動作に要する時間よりも長い場合は、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作を3個以上のフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせて行うようにすれば良い。このようにすれば、ウエハ部品22の実装動作開始待ち時間を無くすことができる。
【0031】
部品実装機11の制御装置は、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間やフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間のデータが保存された記憶装置(図示せず)を備え、このデータを用いて、生産ジョブで指定された部品実装順序を、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作がフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップして行われるように変更する。
【0032】
尚、生産ジョブを作成する際に、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作がフィー
ダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップして行われるように部品実装順序を設定するようにしても良い。
【0033】
また、本発明は、1個のウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作に要する時間が1個(又は2個)のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間よりも長い場合に、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作が完了するまで、ウエハ部品22の実装動作の開始を待つようにしても良い。このようにしても、ウエハ部品22の画像処理・吸着・反転動作をフィーダ部品の吸着・実装動作とオーバーラップさせない場合と比較して、ウエハ部品22の実装動作開始待ち時間を1個(又は2個)のフィーダ部品の吸着・実装動作に要する時間分だけ短くすることができて、生産能率を向上できる。
【0034】
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、部品実装機11やウエハ部品供給装置12の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
11…部品実装機、12…ウエハ部品供給装置、13…フィーダセット台、15…実装ヘッド、16…XY移動機構、17…回路基板、22…ウエハ部品、23…吸着ノズル、25…コンベア、26…パーツカメラ、27…ウエハパレット、28…マガジン、29…ダイシングシート、32…ステージ、33…供給ヘッド、34…XY移動機構、35…引き出し機構、38…吸着ノズル、39…上下反転機構、41…カメラ、42…突き上げ機構
図1
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