特許第5980937号(P5980937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980937照明ユニットを編成するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980937
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】照明ユニットを編成するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   B60Q1/14 D
   B60Q1/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-537527(P2014-537527)
(86)(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公表番号】特表2014-534114(P2014-534114A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】EP2012067063
(87)【国際公開番号】WO2013064283
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2014年4月23日
(31)【優先権主張番号】102011085689.7
(32)【優先日】2011年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・ファン シュター
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・フォルティン
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01837803(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00−1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の走行中に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニット(125a,125b)から成るグループ(138)を検出するための方法(200)において、該方法(200)が、
センサ(110)の検知範囲(120)で少なくとも1つの第1の照明ユニット(125a)を検知し、その後前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から前記第1の照明ユニット(125a)が出たことを検知するステップ(210)、
前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出た後に前記車両(100)が走行した距離の測定を開始し、および/または、前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出た後に前記車両(100)が走行した時間の測定を開始するステップ(220)、
第2の照明ユニット(125b)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出るまでに測定した距離が、距離閾値(400)よりも短いときに、および/または、前記第2の照明ユニット(125b)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出るまでに測定した時間が、時間閾値よりも短いときに、前記第1の照明ユニット(125a)を前記第2の照明ユニット(125b)とともに、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成するステップ(230)、および/または、
現時点で測定した距離が前記距離閾値(400)よりも長いときには、および/または、現時点で測定した時間が前記時間閾値よりも長いときには、前記第1の照明ユニット(125a)を第2の照明ユニット(125b)とともに、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成しないステップ、
を有している方法(200)。
【請求項2】
車両(100)の走行中に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニット(125a,125b)から成るグループ(138)を検出するための方法(200)において、該方法(200)が、
センサ(110)の検知範囲(120)で少なくとも1つの第1の照明ユニット(125a)を検知し、その後前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から前記第1の照明ユニット(125a)が出たことを検知するステップ(210)、
前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出た後に前記車両(100)が走行した距離の測定を開始し、および/または、前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出た後に前記車両(100)が走行した時間の測定を開始するステップ(220)、
第2の照明ユニット(125b)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出るまでに測定した距離が、距離閾値(400)よりも長いときに、および/または、前記第2の照明ユニット(125b)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出るまでに測定した時間が、時間閾値よりも長いときに、前記第1の照明ユニット(125a)を前記第2の照明ユニット(125b)とともに、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成しないステップ、および/または、
現時点で測定した距離が前記距離閾値(400)よりも長いときには、および/または、現時点で測定した時間が前記時間閾値よりも長いときには、前記第1の照明ユニット(125a)を第2の照明ユニット(125b)とともに、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成しないステップ、
を有している方法(200)。
【請求項3】
前記検知するステップ(210)で、少なくとも1つの第3の照明ユニット(125c)を検知し、前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出たときから、前記第3の照明ユニット(125c)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出るまでに前記車両(100)が走行した他の距離が、前記距離閾値(400)に対し所定の関係にあるときに、前記第3の照明ユニット(125c)を少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成し、および/または、前記編成するステップ(230)で、前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出たときから、前記第3の照明ユニット(125c)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出るまでに前記車両(100)が走行した時間が、前記時間閾値に対し所定の関係にあるときに、前記第3の照明ユニット(125c)を少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成することを特徴とする、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記検知するステップ(210)で第3の照明ユニット(125c)を検知し、前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出たときから前記車両(100)が走行した他の距離が、前記距離閾値(400)に対し所定の関係にないときに、前記第3の照明ユニット(125c)を少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成せず、および/または、前記編成するステップ(230)で、前記第1の照明ユニット(125a)が前記センサ(110)の前記検知範囲(120)から出たときから前記車両(100)が走行した時間が、前記時間閾値に対し所定の関係にないときに、前記第3の照明ユニット(125c)を少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループ(138)に編成しないことを特徴とする、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項5】
車両(100)が走行する走行軌道に沿って走行軌道全体照明を検知するための方法において、該走行軌道全体照明を検知するための方法が、
少なくとも1つの単独の照明ユニット(125)と、請求項1に記載の方法(200)を実施することによって検出した、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループ(138)とを読み込むステップと、
少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットの前記グループ(138)を単独の照明ユニットとして査定するステップと、
前記単独の照明ユニットと、単独の照明ユニットとして査定した、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループ(138)とを使用して、前記走行軌道全体照明を検知するステップと、
を有している方法。
【請求項6】
前記検知するステップにおいて、前記車両(100)が、単独の照明ユニットとして査定された、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットの前記グループ(138)の位置と、前記単独の照明ユニットの位置との間を所定走行距離走行したときに、および/または、所定走行時間走行したときに、走行軌道全体照明があることを検知すること、および/または、前記検知するステップにおいて、前記車両(100)が、前記単独の照明ユニットの位置と、単独の照明ユニットとして査定された、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットの前記グループ(138)の位置との間を所定走行距離走行したときに、および/または、所定走行時間走行したときに、走行軌道全体照明があることを検知することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
車両(100)の少なくとも1つの前照灯(160)の光送出を制御する方法において、該方法が、
請求項5または6に記載の方法に従って走行軌道全体照明を検知するステップと、
少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループ(138)があることを検出したことに応答して前記車両(100)の前記少なくとも1つの前照灯(160)の光送出を変化させ、特に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループ(138)が出現したことを検知した時点に対し所定の関係がある時点で、前記車両(100)の前記少なくとも1つの前照灯(160)の光送出を変化させるステップと、
を有している方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(200)のステップを実施するために構成されたユニットを有する装置(130)。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(200)を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品において、プログラムを装置(130)で実施するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行中に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループを検出するための方法、および、対応する装置、並びに、対応するコンピュータプログラム製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路全体照明の検知(以下では「市街地検知」とも記す)は、ハイビームアシストを開発するうえで本質的なことである。(アダプティブ)ハイビームアシストでは、道路全体照明の際にはハイビームにするべきでない。従って、市街地外の照明された道路も検知しなければならない。簡単にするため、「道路全体照明の検知」の代わりに「市街地検知」という概念を使用する。このような市街地検知は特許文献1に開示されている。特許文献1は、対象物が照明されているかどうかを特定するための方法を記載している。この方法はカメラのイメージデータを分析する。少なくとも2つの定置の道路照明ユニットがイメージデータを用いて検知され、且つこれら道路照明ユニットが互いに空間的に間隔を有している場合に、対象物は照明されていると判断される。
【0003】
市街地検知の基本は、ある程度の距離内にある複数の街灯の検出である。少なくとも2つの街灯がある程度の時間(距離)にわたって検知されると、「市街地信号」が生成されてロービームになる。市街地モード(すなわち減光、或いは、光円錐または走行軌道方向での光放出範囲の降下)への切換えが早すぎないようにするため、イメージ内での街灯の鉛直方向位置(検出角度)が分析される。
【0004】
これに対し、横断歩道の場合および照明されている交差点の場合には、自動的に減光すべきでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009028342A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景に対し、本発明により、独立請求項に記載の、車両の走行中に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループを検出するための方法、さらに、この方法を使用した装置および対応するコンピュータプログラム製品が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
有利な構成はそれぞれの従属請求項および以下の説明から明らかである。
【0008】
本発明は、車両の走行中に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループを検出するための方法において、該方法が、
−センサの検知範囲で少なくとも1つの第1の照明ユニットを検知し、その後前記センサの前記検知範囲から前記第1の照明ユニットが出たことを検知するステップ、
−前記第1の照明ユニットが前記センサの前記検知範囲から出た後に前記車両が走行した距離の測定を開始し、および/または、前記第1の照明ユニットが前記センサの前記検知範囲から出た後に前記車両が走行した時間の測定を開始するステップ、
−第2の照明ユニットが前記センサの前記検知範囲から出るまでに測定した距離が、距離閾値に対し所定の関係にあるときに、および/または、前記第2の照明ユニットが前記センサの前記検知範囲から出るまでに測定した時間が、時間閾値に対し所定の関係にあるときに、前記第1の照明ユニットを前記第2の照明ユニットとともに、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループに編成するステップ、および/または、
−現時点で測定した前記距離が前記距離閾値よりも大きいときには、および/または、現時点で測定した前記時間が前記時間閾値よりも長いときには、前記第1の照明ユニットを前記第2の照明ユニットとともに、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループに編成しないステップ、
を有している方法を提供する。
【0009】
本発明は、さらに、本発明による方法の前記ステップを対応するシステムで実施または置換するように構成された装置を提供する。特に、このような装置は、前記方法のそれぞれのステップを実施するように構成されたユニットを有している。装置の形態での本発明のこの実施態様によっても、本発明の課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0010】
装置とは、本発明においては、センサ信号を処理し、これに依存して制御信号またはデータ信号を出力する電気機器と理解してよい。装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして構成されていてよいインターフェースを有していてよい。ハードウェアとして構成した場合、インターフェースはたとえば、装置の種々の機能を含有しているいわゆるASICシステムの一部分であってよい。しかしながら、インターフェースが固有の集積回路であってよく、或いは、少なくとも部分的に個別部品から成っていてよい。ソフトウェアとして構成した場合、インターフェースは、たとえば他のソフトウェアモジュールに並設されてマイクロコンピュータに設けられたソフトウェアモジュールであってよい。
【0011】
半導体メモリのような機械で読み取り可能なキャリア、ハードディスクメモリまたは光学メモリに記憶されていてよく、前述の実施態様に記載の方法を実施するために使用される、プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品において、プログラムがコンピュータまたは装置で実施されるならば、有利である。
【0012】
照明ユニットとは、走行軌道の領域内または走行軌道の縁に設けられた、光をアクティブに放出する構造的処置(インフラストラクチュア処置)または構造物と見なすことができる。たとえば、このような照明ユニットは街灯、光を放つ交通標識、または信号機の信号灯であってよい。少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループとは、空間的に近接して配置されている2つの照明ユニットの集団と理解してよい。この場合、照明ユニットはたとえば車両が走行中に走行する走行軌道の縁または走行軌道上に配置され或いは検知される。センサとは、たとえばカメラのような光学センサと理解してよい。検知範囲とは、センサによって監視される範囲と理解してよい。検知範囲から照明ユニットが消えるまたは出るとは、車両が移動しているときにこれら照明ユニットがセンサの検知範囲から出ることと理解してよいが、照明ユニットが通過するのではなく、車両が(その中に配置されているセンサとともに)照明ユニットのそばを通過する。車両が走行する距離とは、たとえば、(たとえばメートルまたはセンチメートルで測定した)路程と理解してよい。この路程は、たとえばセンサによって受信されたイメージを分析することによって特定され、それから車両の車速および/または車両が進んだ距離を推定することができる。これとは択一的に、または、これに加えて、車速を推定するために、たとえば車両の車輪回転数センサの信号を利用することができる。少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループの特定は次のように行うことができ、すなわち検知した距離が距離閾値に対し所定の関係にあるときに、および/または、検知した時間が時間閾値に対し所定の関係にあるときに、第1および第2の照明ユニットが少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに割り当てられるように行うことができる。この場合、特に検知した距離は距離閾値よりも小さく、または、検知した時間は時間閾値よりも短い。
【0013】
本発明は、特定の判断基準があれば、センサの検知範囲内で検知された個々の照明ユニットは照明ユニットのグループに編成できるという認識に依拠している。本発明は、この照明ユニットのグループが、センサの検知範囲において検知された照明ユニットのその後の分析に対し、個別に検知した照明ユニットをベースにしただけの分析よりも、特に走行軌道の延在態様に関して、或いは、車両が閉じた場所での走行軌道で直線走行しているかどうか、或いは、道路全体照明で走行しているかどうかの判断に関して、車両の周囲に関するより正確でより詳細な推定を提供するという利点をもたらす。たとえば2つの街灯が道路の隅角部にあってこれによって視野から遮られている場合、必ずしも両街灯が同時にイメージ内で視認可能である必要はなく、互いに近接して位置していればよい。走行した距離が編成のために使用される距離よりもすでに長い場合、有利には、第2の街灯が検知範囲から消えるまで待つ必要はない。これによってより迅速に反応することができ、早い時点で道路全体照明を検知することができる。
【0014】
好ましくは、本発明の他の実施態様によれば、編成するステップで、前記距離が距離閾値よりも短いときに、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成し、および/または、編成するステップで、前記時間が時間閾値よりも短いときに、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成する。本発明のこの種の実施態様は、距離閾値または時間閾値を使用することによって、どの程度の距離または間隔で両照明ユニットを互いに(共通の)グループに編成するか、および/または、どの(走行)時間から両照明ユニットを(共通の)グループに編成するかを非常に精密に定義できるという利点をもたらす。これにより、対応する照明ユニットを含んでいるグループの「空間的拡がり」を調整することができる。ここで提案される査定態様で使用される閾値はたとえば可変であってもよく、および/または、走行中に適合させてもよい。
【0015】
本発明の他の有利な実施態様によれば、編成するステップで、前記距離が距離閾値よりも長いときに、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る前記グループに編成せず、および/または、編成するステップで、前記時間が時間閾値よりも長いときに、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成しない。本発明のこの種の実施態様は、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとの間で走行されるどの区間から、および/または、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出た時点と、第2の照明ユニットがセンサの検知範囲から出た時点との間で経過するどの(走行)時間から、少なくとも2つの照明ユニットを(共通の)グループに編成すべきでないかの明確な判断基準があるという利点をもたらす。これにより、センサのイメージのその後の処理において、両照明ユニットが(空間的に互いに十分)切り離された、或いは、隔てられた照明ユニットとして見なされることを保証できる。
【0016】
特に好ましい実施態様は、前記距離および/または前記時間を、第1の照明ユニットが出たときから測定するならば得られる。編成するステップにおいて、第1の照明装置が出た以降の距離が距離閾値よりも大きいときに、および/または、第1の照明装置が出てから経過した時間が時間閾値よりも大きいときに、第1および第2の照明ユニットを2つの隣接しあっている照明装置のグループに編成しないようにすることができ、その際第2の照明装置はセンサの検知範囲から出ている必要はない。これにより、システム全体は、隣接しあっている照明装置のグループに統合できない2つの照明装置に反応することができ、しかも第2の照明装置が検知範囲から消える前に反応することができる。このようにして、たとえば道路全体照明を早期に検知でき、たとえばハイビームからロービームへ減光させることができる。
【0017】
さらに、本発明の好ましい実施態様では、検知するステップで、第3の照明ユニットを検知し、その際編成するステップで、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出たときから、第3の照明ユニットがセンサの検知範囲から出るまでに車両が走行した他の距離が、距離閾値に対し所定の関係にあるときに、第3の照明ユニットを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成する。これとは択一的に、または、これに加えて、編成するステップで、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出たときから、第3の照明ユニットがセンサの検知範囲から出るまでに車両が走行した時間が、時間閾値に対し所定の関係にあるときに、第3の照明ユニットを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成する。本発明のこのような実施態様は、2つ以上の照明ユニットが空間的に、または、センサの検知範囲から第1の照明ユニットが出たときからの走行時間に関して、非常に近接して位置していると見なされるならば、これら2つ以上の照明ユニットも照明ユニットの(共通の)グループに編成できるという利点をもたらす。従って、空間的に密に隣接しあって配置されている2つ以上の検知された照明ユニットのその後の処理においても単一の照明ユニットとして判断または査定されることができる。このようにして、センサによって検知される個々の照明ユニットの分析時のエラーを減少させることができる。
【0018】
さらに、本発明の好ましい実施態様では、検知するステップで第3の照明ユニットを検知し、その際編成するステップで、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出たときから、第3の照明ユニットがセンサの検知範囲から出るまでに車両が走行した他の距離が、距離閾値に対し所定の関係にないときに、第3の照明ユニットを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成しない。これとは択一的に、または、これに加えて、編成するステップで、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出たときから、第3の照明ユニットがセンサの検知範囲から出るまでに車両が走行した時間が、時間閾値に対し所定の関係にないときに、第3の照明ユニットを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループに編成しない。本発明のこのような実施態様は、同様に、どの照明ユニットをグループに統合すべきでないか、検知されたどの他の照明ユニットを照明ユニットの上記グループに編成しないかの明確な判断基準があるという利点をもたらす。このようにして、同様に、検知した照明ユニットの、または、グループに編成すべき照明ユニットの、その後の更なる処理での結果を改善させることができる。
【0019】
本発明の特に有利な実施態様は、第3の照明ユニットを検知するものの、第1の照明ユニットが出た以降の走行距離が距離閾値よりも大きい場合には、および/または、第1の照明ユニットが出てから経過した時間が時間閾値よりも長い場合には、第3の照明ユニットを少なくとも2つの隣接し合っている照明ユニットから成るグループに編成せず、その際第3の照明ユニットは引き続き視認可能である。第3の照明ユニットが出るまで待たないことにより、複数の照明ユニットがあることに即座に反応することができ、これによってたとえば道路全体照明の際に即座に減光させることができる。
【0020】
特に有利には、本発明の更なる実施態様によれば、車両が走行する走行軌道に沿って走行軌道全体照明を検知するための方法において、
−少なくとも1つの単独の照明ユニットと、前述の実施態様による方法を実施することによって検知されたような、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループとを検知するステップと、
−少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループを単独の照明ユニットとして査定するステップと、
−単独の照明ユニットと、単独の照明ユニットとして査定された、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループとを使用して、走行軌道全体照明を検知するステップと、
が設けられている。
【0021】
本発明のこの種の実施態様は、特に空間的に近接して配置されている複数の照明ユニットを複数の別個の(すなわち切り離された)照明ユニットとして評価するのではなく、ただ1つの(場合によっては「大きな」)照明ユニットとして評価する場合に、センサによって検知された複数の照明ユニットを処理する際の確率誤差を著しく減少させることができるという利点をもたらす。
【0022】
本発明の更なる実施態様によれば、検知するステップにおいて、車両が、単独の照明ユニットとして査定された、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループの位置と、単独の照明ユニットの位置との間を所定走行距離走行したときに、および/または、所定走行時間走行したときに、走行軌道全体照明があることを検知するのが特に有利である。これとは択一的に、または、これに加えて、検知するステップにおいて、車両が、単独の照明ユニットの位置と、単独の照明ユニットとして査定された、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループの位置との間を所定走行距離走行したときに、および/または、所定走行時間走行したときに、走行軌道全体照明があることを検知する。本発明のこの種の実施態様は、複数の照明ユニットのグループと1つの別個の照明ユニットとを考慮することで、単独のそれぞれの照明ユニットを別個に考慮する場合よりも、走行軌道全体照明があることを確認する際の誤差確率を著しく減少させることが可能になるという利点をもたらす。
【0023】
特に有利な本発明の実施態様では、車両の少なくとも1つの前照灯の光送出を制御する方法において、該方法は、
−前述した実施態様に従って走行軌道全体照明を検知するステップと、
−少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループがあることを検出したことに応答して車両の少なくとも1つの前照灯の光送出を変化させ、特に少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループが出現したことを検知した時点に対し所定の関係がある時点で、車両の少なくとも1つの前照灯の光送出を変化させるステップと、
を有している。
【0024】
本発明のこの種の実施態様は、これにより、検知した照明ユニットによって走行軌道全体照明があるかどうかを推定する際の確率誤差をより小さくさせ、よって車両が走行する実際の環境に合わせて光送出を(時間的および空間的に)より正確に切換えることが可能になるという利点をもたらす。
【0025】
次に、本発明を添付の図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の1実施形態で使用する車両のブロック構成図である。
図2】方法としての本発明の1実施形態のフローチャートである。
図3】カメラと該カメラの視野範囲とを備えた車両と、複数の街灯とによるシナリオの1例を示す図である。
図4】カメラと該カメラの視野範囲とを備えた車両と、複数の街灯とによるシナリオの1例であって、2つの街灯が分析ユニット内で照明ユニットのグループに統合された前記シナリオを示す図である。
図5】カメラと該カメラの視野範囲とを備えた車両と、複数の街灯とによるシナリオの1例であって、車両の分析ユニット内で街灯が照明ユニットのグループとして統合されない前記シナリオを示す図である。
図6】カメラと該カメラの視野範囲とを備えた車両と、複数の街灯とによるシナリオの1例であって、2つの街灯が照明ユニットのグループとして車両の分析ユニット内で統合され、しかし第3の照明ユニットは照明ユニットのグループに編成されない前記シナリオを示す図である。
図7a】本発明を適用することで本発明を適用しない場合よりも分析結果を改善させる1つの照明状況を示す図である。
図7b】本発明を適用することで本発明を適用しない場合よりも分析結果を改善させる他の照明状況を示す図である。
図7c】本発明を適用することで本発明を適用しない場合よりも分析結果を改善させる他の照明状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の有利な実施形態に関する以下の説明では、異なる図に図示して同じように作用する要素に対しては同じ参照符号または同じような参照符号を使用し、この要素について反復して説明することはしない。
【0028】
照射域の通行を検知する街灯検知(ほとんどの場合、閉じた市街地で照明されている道路のケースである)は、独国特許出願公開第102009028342A1号明細書(前記特許文献1)に開示されている。しかしながら、信号機、多重照明される横断歩道、多重照明される交差点は、局所的に非常に限られた領域にある。それ故これらの領域は、しばしば、「全体的に」照明されない領域と呼ばれることがある。ほとんどの場合、このような交通領域を区別することは分析アルゴリズムにとって非常に困難であり、夜間には多くの「誤陽性」がある。すなわち、実際には車両前方の交通エリアが横断歩道、多重照明されている交差点、または信号機にすぎないにもかかわらず、走行軌道全体が照明されている「街」または閉じた市街地の通行であると認識することが多い。
【0029】
多重照明されている横断歩道/交差点で街灯を検知する場合、それぞれのランプが独立した街灯よりも早く検知されると、複数の街灯の検知時間が長いために、誤って道路全体が照明されているものと認識することになる。イメージ内の鉛直方向位置(検知角度)を分析することで、車両前照灯の光放射の「市街地モード」への切換えが早すぎないようにするために組み込まれた安全処置は、このようなケースではほとんど役に立たない。というのは、多重照明されている横断歩道、交差点または信号灯領域においても、照明の下での通行も行われるので、街灯の鉛直方向位置は十分高くなるからである。
【0030】
街灯は、たとえば、ある程度の高さを持った定置の自己照明対象物であれば、そのようなものとして分類することができる。しかし、それが故に、信号灯が街灯として分類されることが多い。測定プログラムまたは分析プログラムのサイドでの改善、すなわち街灯の分類における改善は困難であるように思われる。しかしながら、市街地検知のサイドでは、信号機の誤分類時の誤陽性も、多重照明される横断歩道および交差点での誤陽性も適度なコストで著しく低減させることが可能である。
【0031】
図1は、本発明の1実施形態を使用した車両のブロック構成図である。なお図1は、センサとして、特に光学センサとしてカメラ110を含んでいる車両100を示している。カメラ110は、たとえば車両100が移動するときにカメラの検知範囲120内にある対象物、または、この検知範囲120内を移動する対象物を検知する。カメラ110は検知範囲120内の照明ユニット125aと125bを検知することができる。これらの照明ユニットは、たとえば街灯、信号機のランプ等によって形成されている。車両100は、さらに、カメラ110と接続され、複数の部分ユニットを有する分析ユニット130を含んでいる。特に、分析ユニット130はカメラ110から提供されたイメージを分析するための認識ユニット132を含んでいる。この認識ユニット132は、センサの検知範囲内にある少なくとも1つの第1の照明ユニット125aと少なくとも1つの第2の照明ユニット125bをカメラ110のイメージから認識して、第1の照明ユニット125aがカメラ110の検知範囲120から出たことを認識するように構成されている。分析ユニット130はさらに検知ユニット134を有している。この検知ユニットは、認識ユニット132によって第1の照明ユニット125aがカメラ110の検知範囲から出たと検知されたことに応答して、第2の照明ユニット125bがセンサまたはカメラ110の検知範囲120から出るまでの距離および/または時間を検知する。この場合検知ユニット134は、車両100の車輪の回転数または回転角を検知することで該車両100から離れていく距離を検知するために、たとえば車両100の他のセンサ装置と接続されていてよい。最後に、分析ユニット130はさらにグルーピングユニット136を含んでいる。グルーピングユニットは認識ユニット132および検知ユニット134と接続され、その際グルーピングユニット136は、前記距離が距離閾値に対し所定の関係にあるとき、および/または、前記時間が時間閾値に対し所定の関係にあるときに、第1の照明ユニット125aと第2の照明ユニット125bとを、互いに隣接して配置された少なくとも2つの照明ユニットから成るグループに編成するように構成されている。さらに、車両が第1の照明ユニットから出た後に十分長く走行したとき、すなわち前記閾値よりも長く走行したときに、両照明ユニットを互いに編成しないようにするために、第2の照明ユニットは必ずしも検知範囲から出る必要がないようにすることも考えられる。
【0032】
このようにして、分析ユニット130の結果として、互いに隣接して配置されている少なくとも2つの照明ユニット125a,125bから成るグループ138を表わす情報が出力される。その際このグループ138は、少なくとも第1の照明ユニット125aと第2の照明ユニット125bとを含んでいる。さらに、車両100は走行軌道全体照明を検知するためのユニット140を含んでいる。走行軌道全体照明を検知するためのこのユニット140はカメラ110および分析ユニット130と接続されている。走行軌道全体照明を検知するためのユニット140は、カメラ110から提供された、カメラ110の検知範囲120内の対象物のイメージから、対応する照明ユニット125を抽出し、1つのグループ138に編成した複数の照明ユニットを検知した時に前記抽出した照明ユニット125を分析し、それによって走行軌道全体照明かどうかを検知するように構成されている。走行軌道全体照明はほとんどの場合閉じた市街地内にある。さらに車両100は前照灯制御ユニット150を含んでいる。前照灯制御ユニットは、走行軌道全体照明を検知するためのユニット140と接続され、車両100が現時点で走行軌道全体照明の環境の中を走行しているという情報を使用して、車両100の前照灯160の光送出を制御するように構成されている。車両100の前照灯160による光送出のこの制御は、たとえば、走行軌道全体照明であると検知した領域を通行しているときに前照灯160の光がハイビームモードで送出されないように行うことができる。というのは、走行軌道全体照明であることを検知したことによって、車両前方にある走行軌道を照明するために十分な光が提供されており、しかも対向車両のドライバーが眩惑されないからである。
【0033】
図2は、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成る1つのグループを車両の走行中に検出するための方法200としての本発明の1実施形態のフローチャートである。この方法200は、少なくとも1つの第1の照明ユニットが1つのセンサの検知範囲内あることを検知し、次に第1の照明ユニットがこのセンサの検知範囲から出たことを検知するステップ210を含んでいる。方法200は、さらに、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出た後に車両が走行した距離を測定開始し、および/または、第1の照明ユニットがセンサの検知範囲から出た後に車両が走行した時間を測定開始するステップ220を含んでいる。最後に、方法200は、センサの検知範囲から第2の照明ユニットが出るまでに測定した距離が距離閾値に対し所定の関係にあるとき、および/もしくは、センサの検知範囲から第2の照明ユニットが出るまでに測定した時間が時間閾値に対し所定の関係にあるときに、第1の照明ユニットを第2の照明ユニットとともに少なくとも2つの隣接しあって配置される照明ユニットから成るグループに編成し、ならびに/または、現時点で測定した距離が距離閾値よりも大きいとき、および/もしくは、現時点で測定した時間が時間閾値よりも長いときに、第1の照明ユニットを第2の照明ユニットとともに少なくとも2つの隣接しあって配置される照明ユニットから成るグループに編成しないステップ230を含んでいる。
【0034】
従って、本発明の1実施形態によれば、街灯または一般の照明ユニットは、それが互いに非常に近い位置にあるとき、一種の「照明集団」として統合される(すなわち複数の互いに隣接しあって配置されている照明ユニットの1つのグループに統合される)。このため、街灯を検知した後、この街灯が再びイメージから消えるまで待機する。第1の街灯がイメージから消えてからある程度の距離内にあるすべての街灯は、1つの照明集団に統合される。1つの照明集団は、次の分析の際に、たとえば単独の街灯または照明ユニットと同じように道路全体照明を検知するために処理される。これにより、多重照明されている交差点および横断歩道並びに信号機を誤って「全体的な」道路照明と見なさずに、単独の「街灯」または照明ユニットとして(すなわち単独の照明集団として)処理することが可能である。検知される複数の街灯は、それらが正確に等距離になく、同じ高さを有していなければ、イメージから同時に消えない。それ故、イメージから消える複数の街灯を1つの照明集団に数え入れる距離を選択する(たとえば5〜10m)。
【0035】
本発明は、1つまたは複数の異なる実施形態によれば、多重照明されている交差点の街灯(二重街灯)および信号機(高さは異なっている)も、多重照明されている横断歩道も、1つの照明集団として(すなわち照明ユニットのグループとして)統合される。この統合は、たとえば以下の図を参照して詳細に説明する処理態様に従って行われる。
【0036】
図3は、カメラ110とカメラ110の視野範囲120とを備えた車両100と、街灯125とによるシナリオを図示したものである。なお図3には、車両100前方領域にある(第1の照明ユニットとしての)第1の街灯と、(第2の照明ユニットとしての)第2の街灯125bと、(第3の照明ユニットとしての)第3の街灯125cとを図示した。いま車両100がこれらの照明ユニット125の方向へ移動すると、まず第1の照明ユニット125aと第2の照明ユニット125b(場合によっては第3の照明ユニット125c)とがカメラ110の検知範囲120内に入り、図3には図示していない分析ユニットで照明ユニットとして検知することができる。その後さらに走行すると、最初に車両100に最も近い第1の照明ユニット125aが再びカメラ110の検知範囲120から出るが、これに対して第2の照明ユニット125bが(場合によっては第3の照明ユニット125cも)さらにカメラ110の検知範囲120内にあるものとして検知することができる。
【0037】
第1の(すなわち車両100に最も近くにある)照明ユニット125aが出たことを検知した後、第2の照明ユニット125bが車両100のカメラ110の検知範囲120から出るまでに車両100が走行した距離を検知する。これは図4に図示されている。なお、第2の照明ユニット125bが検知範囲120から出るまでに車両100が走行した距離は、図4の下端に図示されている。この検知した距離が距離閾値400(図4の下端に示した棒の長さによって表わされている)に対し所定の関係にあれば、たとえば距離が距離閾値400よりも短ければ、図4に示唆したように、第1の照明ユニット125aと第2の照明ユニット125bとを少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットから成るグループ138に編成し、或いは、統合させる。すなわち、この検知された距離は、第1の照明ユニット125aが第2の照明ユニット125bから実際にどの程度離れているかを直接または間接に示唆することができる。というのは、簡単な近似では、カメラ110の検知範囲120から第1の照明ユニット125aが出てから第2の照明ユニット125bが出るまでの間に車両が走行する距離は、第1の照明ユニット125aと第2の照明ユニット125bとの間隔にも相当しているという前提から出発できるからである。従って、前記距離閾値400は一種の「統合距離」と呼ぶことができ、すなわち間隔閾値と呼ぶことができ、つまり第1の照明ユニット125aを起点としてこの間隔閾値内に配置されている後続の他のすべての照明ユニットは、照明ユニットのグループ138に割り当てられ、すなわちこのグループ138の中に組み込まれる。このようにして、第2の照明ユニット126bが第1の街灯125aに対してある程度の距離内にあれば(すなわちここではたとえば統合距離内にあれば)、たとえば第1の街灯125aと第2の街灯125bとの統合を、「照明集団」を生成させるために行うことができる。
【0038】
これとは択一的に、または、これに加えて、第1の照明ユニット125aがカメラ110の検知範囲120から出たことを検知してから第2の照明ユニット125bがカメラ1100の検知範囲120から出たことを検知するまでに車両が走行した時間を検知してもよい。その後、この時間を時間閾値と比較することができ、その結果このようにしても第1の照明ユニット125aと第2の照明ニット125bとの間隔を推定することができる。しかしながら、この場合、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとの間の間隔を可能な限り詳細に正確に検知するには、時間閾値が好ましくは車両速度に依存すべきであることに留意すべきである。
【0039】
カメラ110のイメージの、次の更なる処理では、たとえば車両100の1つまたは複数の前照灯160による光放出を制御するための処理では、図1を参照して説明したように、隣接しあって配置されている照明ユニットのグループ138を単独の照明ユニット125と見なし、または、分析することができる。このようにして、危険ポテンシャルが高い交通エリア(たとえば横断歩道の領域、比較的大きな交差点の領域、または、信号機の領域)を、走行軌道全体照明の走行軌道部分と認定するのを回避することができる。交通安全上の理由から、上記の領域は比較的危険ポテンシャルが大きくない他の走行軌道領域よりも明るく照明されているのがほとんどであるので、複数の照明ユニットをこのように編成することによって、危険ポテンシャルが高い上記の領域の1つまたはいくつかを車両100が通過する時に、(自)車の前照灯による光放出が短い間隔で変化しないよう保証することもできる。すなわち、走行軌道が全体照明であるかどうかを特定する際、カメラ110のイメージで検知された照明ユニットの評価で、少なくとも2つの隣接しあって配置されている照明ユニットのグループ138を単独の照明ユニットとして分析した場合、たとえば危険ポテンシャルが高い前記交通エリアを通過する際に、走行軌道が全体照明であるかどうかを検知するための確率誤差を著しく減少させる。
【0040】
図5は、カメラ110とカメラ11の視野範囲120とを備えた車両100と、街灯125とによる他のシナリオを図示したものである。しかしこの場合には、街灯125を照明ユニット125のグループ138として統合することは行われない。これは、第2の照明ユニット125bが、第1の照明ユニット125aから距離閾値400よりも大きな距離で配置されていることによるものである。従って、第1の照明ユニット125aと第2の照明ユニット125bとは、カメラ110のイメージのその後の分析では1つの単独の照明ユニットとして観察または分析されない。カメラ110の検知範囲120内で検知された照明ユニット125の分析は、確率誤差を少なくするために両街灯の統合を要求しない。というのは、両街灯は統合距離内に存在しないので、カメラ110のイメージの正規の分析挙動を使用できないからである。
【0041】
図6は、カメラ110とカメラの視野範囲120とを備えた車両100と、街灯125とによる他のシナリオを図示したものである。この場合、2つの街灯125を照明ユニットのグループ138として統合するが、第3の照明ユニットはこの照明ユニットのグループに編成しない。このような編成規定は、互いに所定の間隔内に配置されている照明ユニットのみを統合すべきであるという仮定に依拠している。もし第3の照明ユニット125cが、距離閾値によって最大に設定されている距離よりもさらに第1の照明ユニット125aから離れていれば、第3の照明ユニットを照明ユニットのグループ138に編成する必要はなく、またすべきでない。むしろ、第2の照明ユニット125bがカメラ110の検知範囲120から出た後に前述の処理態様を新たに実施することができ、その結果互いに特定の間隔内にある複数の照明ユニットは照明ユニットの1つの共通のグループに編成される。これにより、1つの照明ユニット(図6の図示で第2の照明ユニット125b)が照明ユニットの2つのグループに編成されることにもなり、この場合図6に図示していない第2の照明ユニットグループは第2の照明ユニット125bと第3の照明ユニット125c(すなわちここでは街灯)を含むことがある。このようなことになるのは、第2の照明ユニット125bが第3の照明ユニット125cに対し、距離閾値(さらに破線で示した)よりも小さいか、少なくとも大きくない間隔で存在し、すなわち図6で参照符号400bで示し、第2の照明ユニット125bから第3の照明ユニット125cの方向に特定される距離閾値よりも小さいか、少なくとも大きくない距離で存在しているからである。従って、図6では、第1の街灯125aと第2の街灯125bとを1つの共通のグループ138に統合することを行った。というのは、第1の照明ユニットと第2の照明ユニットとは(第1の)統合距離400内にあり、これに対し、街灯の統合は、第1の街灯に対して最大所定間隔400にある街灯に対してのみ実施されるので、第3の照明ユニット125cはグループ138に編成されないからである。他の街灯は1つの(またはいくつかの)他のグループに編成される。
【0042】
図7aは、交通エリアが二重街灯700によって照明されている照明状況を図示したものである。この二重街灯700は、照明ユニットを検知する際の分析アルゴリズムによって2つの別個の照明ユニット125aと125bとして検知され、その後の信号処理において別個の照明ユニットとして分析される可能性がある。このため、場合によってはこのような二重街灯700の単一の街灯を検知した時点ですでに走行軌道全体照明であるとの認定が行われることになり、エラーを生じさせる可能性がある。しかしながら、ここで提案している評価態様により(二重街灯700の個々のランプに対してカメラの視角を異ならせることにより)、これらランプの1つはカメラの視野から早期に消え、その直後に第2のランプがカメラの視野から消える。これにより、前述の評価態様によれば、二重街灯700の個々のランプは照明ユニットのグループとして編成され、次のカメラのイメージの分析の際に単独の照明ユニットとして評定することができる。これにより、次のカメラのイメージの信号処理の際の確率誤差が少なくなる。前記評価態様は、両ランプが同時に消えた時にも適用できる。というのは、このとき両ランプ間の間隔(距離および/または時間)は閾値(距離および/または時間)よりも小さいと想定できるからである。
【0043】
図7bには、横断歩道710(ここでは縞模様の形態)の領域での交通エリアのシナリオが図示されている。このような横断歩道710の領域では、横断歩道710を使用する歩行者をより好適に検知するため、ほとんどの場合、密に隣接しあっている複数の照明ユニット125aと125bを配置することによってより明るい照明が適用される。これも、このように密に隣接しあっている街灯を検知する際に、走行軌道全体が照明されているとの誤検知になる。いま前述の評価態様を適用すると、ここでも両照明ユニットは1つの照明ユニットグループに統合され、このとき該照明ユニットグループは単独の照明ユニットとしてカメラのイメージの分析に使用される。
【0044】
図7cには、複数の信号灯125aと125bを走行軌道の縁から異なる高さと間隔で有している信号機720が示されている。ここでも、走行軌道全体照明であるかどうかを検知する際に信号機720の個々の信号灯125aと125bの検知によってエラーが生じる可能性がある。というのは、非常に近接して隣接しあっている信号機の信号灯から推定して走行軌道全体照明であると判断する可能性があるからである。これに対して、信号機720の信号灯を1つのグループに編成し、この照明ユニットグループがたとえば走行軌道全体照明であるかどうかを検知する際に単独の照明ユニットとして判定されれば、このようなケースでも、次のイメージ分析で確率誤差を著しく減少させることが達成される。
【0045】
従って、図7に図示したいくつかの例は、本発明によって改善することのできる臨界的分析状況を表わしている。この場合、図7aにはたとえば交差点に設けた二重ランプが図示され、図7bには異なる距離で街灯を備えた多重照明横断歩道が図示され、図7cには異なる高さで複数の信号灯を備えた信号機が図示され、信号灯はほとんどの場合街灯として検知される。
【0046】
本発明においては、道路全体照明の検知が先を見越して行われるのではなく、より反応性のある動作で行われると、不利になる。(末端の)顧客の満足度に強く影響する誤陽性率は、本発明によってかなり改善することができる。
【0047】
街灯の出現に即座に反応すべき照明領域から出る際、照明領域内でハイビームになるのを避けるには、反応時間が長くなっているために1つの照明集団に統合するのは望ましくない。
【0048】
最初の街灯が消えた後にある程度の距離内で統合される街灯が、距離カウントをリセットしないのが好ましい。これにより、道路全体照明の密に並んでいる街灯を少なくとも2つの照明集団として切り離して市街地検知を実施することが可能である。
【0049】
街灯を1つの照明集団に(すなわち照明ユニットグループに)統合した後に、さらに他の街灯がイメージ内にあり、しかし統合距離をすでに走破していた場合には、すでに複数の街灯が車両後方にあるので、すぐに道路全体照明の領域へ切換えるべきである。
【0050】
以上に説明し、図に図示した実施形態は例として選択したものにすぎない。異なる実施形態を互いに完全に組み合わせるか、個々の構成要件に関して互いに組み合わせてもよい。また、1つの実施形態を他の実施形態の構成要件によって補完してもよい。
【0051】
さらに、本発明による方法ステップは反復してよく、また記載した順番とは異なる順番で実施してもよい。
【0052】
1つの実施形態が第1の構成要件と第2の構成要件との間に「および/または」という結合関係を含んでいる場合、この実施形態は、1つの実施態様によれば第1の構成要件と第2の構成要件との双方を有しており、他の実施態様によれば第1の構成要件のみまたは第2の構成要件のみを含んでいると読み取るべきである。
【符号の説明】
【0053】
100 車両
110 センサ
120 センサの検知範囲
125a,125b 照明ユニット
130 分析ユニット
138 照明ユニットのグループ
200 照明ユニットのグループを検出する方法
210 第1の照明ユニットが検知範囲から出たことを検知するステップ
220 検知範囲から出た後に車両が走行した時間を測定開始するステップ
230 グループに編成するステップ
400 距離閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c