特許第5980958号(P5980958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980958車両内の制御器のための受信装置および同期パルスの発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980958
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】車両内の制御器のための受信装置および同期パルスの発生方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20160818BHJP
   H03K 4/94 20060101ALI20160818BHJP
   H03K 4/02 20060101ALI20160818BHJP
   H03K 3/02 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B60R16/023 P
   H03K4/94
   H03K4/02
   H03K3/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555141(P2014-555141)
(86)(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公表番号】特表2015-511902(P2015-511902A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】EP2013050828
(87)【国際公開番号】WO2013113570
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】102012201596.5
(32)【優先日】2012年2月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ジームス
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】マッソウド・モメーニ
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06484223(US,B1)
【文献】 特表平09−500249(JP,A)
【文献】 特開2007−008359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/023
H03K 3/02
H03K 4/02
H03K 4/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期パルス(Psync)を発生させるための電圧発生器(30,30’)を備え、該電圧発生器が第1の電圧源(3.1)と電流源(3.5)とカレントシンク(3.6)とを含んでいる車両内の制御器のための受信装置であって、前記電圧発生器(30,30’)が前記同期パルス(Psync)を所定の規格限界値(Vo,Vu)の範囲内で所定の形状と所定の時間的挙動を備えるように発生させ、前記受信装置(3,3’)が、信号伝送を同期させるために、前記同期パルス(Psync)をデータバス(5)を介して少なくとも1つのセンサ(7)へ出力するようにした前記受信装置において、前記電圧発生器(30,30’)が前記同期パルス(Psync)を前記電流源(3.5)と前記カレントシンク(3.6)とを介してバス負荷の充電および/または放電により実質的に正弦波振動として発生させ
前記電圧発生器(30,30’)が、少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)と、少なくとも1つのデジタルアナログ変換器(34,44)とを含み、前記デジタル制御回路と前記デジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて前記電流源(3.5)と前記カレントシンク(3.6)とへ出力し、
第1のデジタル制御回路(42)と第1のデジタルアナログ変換器(44)とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて前記電流源(3.5)へ出力し、
第2のデジタル制御回路(32)と第2のデジタルアナログ変換器(34)とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて前記カレントシンク(3.6)へ出力する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
1つの共通のデジタル制御回路(32)と1つの共通のデジタルアナログ変換器(34)とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて前記電流源(3.5)と前記カレントシンク(3.6)とへ出力する
ことを特徴とする請求項に記載の受信装置。
【請求項3】
前記電流源(3.5)が0mAよりも大きいかこれに等しい電流値を提供し、前記カレントシンク(3.6)が0mAよりも小さな電流値を提供する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)が前記同期パルス(Psync)の前記所定の形状と前記所定の時間的挙動を記憶および/または算出し、その際前記少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)は対応するデジタルデータ語を前記少なくとも1つのデジタルアナログ変換器(34,44)へ出力する
ことを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)が、静電流(I0)と前記バス負荷とをベースにして前記同期パルス(Psync)を制御し、この場合静電流制御は前記静電流(I0)に対する基準を提供し、達成された同期パルス振幅(Max)は前記バス負荷に対する基準を提供し、前記同期パルス振幅(Max)がバス電圧(UBus)の分析によって検出可能である
ことを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記バス電圧(UBus)を分析するため、判定閾値(Ureg)とタイムウィンドウ(Δtreg)とが定義され、前記少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)は、前記タイムウィンドウ(Δtreg)の前にある時点(treg1)で前記同期パルス(Psync)が前記判定閾値(Ureg)に達したときに同期パルス振幅(Max1)が高すぎると認識し、前記少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)は、前記同期パルス(Psync)の周期(tsync)の間に前記同期パルス(Psync)が前記判定閾値(Ureg)に達しないときに同期パルス振幅(Max2)が低すぎると認識し、前記少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)は、前記タイムウィンドウ(Δtreg)内にある時点(treg2)で前記同期パルス(Psync)が前記判定閾値(Ureg)に達したときに同期パルス振幅(Max)が正確であると認識する
ことを特徴とする請求項に記載の受信装置。
【請求項7】
同期パルスを発生させ、次に車両内のデータバス(5)を介して受信装置(3,3’)と少なくとも1つのセンサ(7)との間での信号伝送を同期化するために前記同期パルスを発生させる方法であって、前記同期パルス(Psync)を所定の規格限界値(Vo,Vu)の範囲内で所定の形状および所定の時間的挙動を備えるように発生させて、前記受信装置(3)から前記少なくとも1つのセンサ(7)へ伝送させるようにした前記方法において、前記同期パルス(Psync)を実質的に正弦波振動として発生させ
電圧発生器(30,30’)が、少なくとも1つのデジタル制御回路(32,42)と、少なくとも1つのデジタルアナログ変換器(34,44)とを含み、前記デジタル制御回路と前記デジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源(3.5)とカレントシンク(3.6)とへ出力し、
第1のデジタル制御回路(42)と第1のデジタルアナログ変換器(44)とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて前記電流源(3.5)へ出力し、
第2のデジタル制御回路(32)と第2のデジタルアナログ変換器(34)とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて前記カレントシンク(3.6)へ出力する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前文に記載の車両内の制御器のための受信装置、および、これに付随する、独立請求項10の前文に記載の同期パルスの発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサデータを車両内の中央制御器(ECU)に伝送するため、乗員保護システム用の周辺センサを利用し、ほとんどの場合電流インターフェース(たとえばPAS4,PSI5)を利用する。最新世代の電流インターフェース(PSI5)の場合、同期により、受信器に設けた複数のセンサとのバス作動が可能になる。同期の機能のため、中央制御器(ECU)によって電圧パルスの形態で作業サイクルが発生せしめられ、該電圧パルスはバスに設けたセンサによって検出されて、データ伝送のための新たなサイクルの開始を指示する。この電圧パルスは同期パルスと呼ばれ、バス負荷を充電または放電させる電流源およびカレントシンクを用いて生じる。典型的には、この電圧パルスは500μsごとに反復される。
【0003】
1つのセンサまたは複数のセンサを備えた同期バスシステムが機能するには、同期パルスが可能なすべてのバス構成に対し且つ可能なすべての作動条件のもとで特定の形状と特定の時間的挙動とを有していることが重要である。それ故、公知の同期バスシステムでは、図3に図示した、所定のエッジ勾配を備えた台形状同期パルスPを使用するのが常である。この場合、エッジ勾配は、下限値Vuを表わす第1の特性曲線のエッジ勾配と上限値Voを表わす第2の特性曲線のエッジ勾配との間にある。同期バス作動の間、同期パルスPの台形状は高い高調波成分によって信号伝送の周波数スペクトルでの電磁放射(EMC)を増大させる。これは、たとえば図4に図示した、4つのコーナーが丸い台形状を有する同期パルスPTrによって、ある程度阻止することができる。
【0004】
特許文献1には、電流信号を受けるための受信装置と、このような受信装置を備えた回路装置と、バスシステムを介して電流信号を伝送するための方法とが記載されている。記載された受信装置は、複数の送信器の電流信号を受けるための少なくとも2つのバス接続装置であって、各バス接続装置がそれぞれ少なくとも1つのバスコネクタへ接続するように構成された前記2つのバス接続装置と、同期パルスをバス接続装置に出力して送信器を同期化するための制御装置とを含んでいる。前記2つのバス接続装置は同期パルスを互いに少なくとも1つのタイムラグでもって複数の送信器へ出力し、その際同期パルスはそれぞれコーナーが丸い台形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009001370A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
これに対し、独立請求項1の構成を備えた、車両内の制御器のための本発明による受信装置と、独立請求項10の構成を備えた、同期パルスを発生させるための本発明による方法とは、所定の限界値内で同期パルスを正弦波状に形成することにより、特に信号伝送のスペクトル範囲(100kHzないし300kHz)で可能な限り少ない電磁放射を達成できるという利点を有している。
【0007】
本発明の本質および利点は、同期パルスのコーナーのみを丸くするのではなく、電磁放射が同期パルスの基本波の範囲にできるだけ限定的に留まるように形状全体を最適化することにある。
【0008】
本発明の実施態様は、同期パルスを発生させるための電圧発生器を有し、該電圧発生器が第1の電圧源と電流源とカレントシンクとを含んでいるような、車両内の制御器のための受信装置を提供する。電圧発生器は、所定の規格限界値の範囲内で所定の形状と所定の時間的挙動とを備えた同期パルスを発生させ、受信装置は、信号伝送を同期化するための同期パルスをデータバスを介して少なくとも1つのセンサへ出力する。本発明によれば、電圧発生器は、同期パルスを電流源とカレントシンクとを介してバス負荷の充電および/または放電により実質的に正弦波振動として発生させる。この場合電流源は、たとえば0mAよりも大きいかこれに等しい電流値を提供し、カレントシンクはたとえば0mAよりも小さな電流値を提供することができる。
【0009】
さらに、同期パルスを発生させ、次に車両内のデータバスを介して受信装置と少なくとも1つのセンサとの間での信号伝送を同期化するために前記同期パルスを発生させる方法が提案される。同期パルスを所定の規格限界値の範囲内で所定の形状および所定の時間的挙動を備えるように発生させて、受信装置から少なくとも1つのセンサへ伝送させる。本発明によれば、同期パルスを実質的に正弦波振動として発生させる。
【0010】
同期パルスは、好ましくは、少なくとも1つのセンサと受信装置との間での信号伝送開始前または開始時に受信装置により少なくとも1つのセンサへ伝送させることができる。
【0011】
従属請求項で述べられている処置および更なる構成により、独立請求項1に記載した車両内の制御器のための受信装置の有利な改善が可能である。
【0012】
電圧発生器が、少なくとも1つのデジタル制御回路と、少なくとも1つのデジタルアナログ変換器とを含み、デジタル制御回路とデジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源とカレントシンクとへ出力するのが特に有利である。
【0013】
本発明による受信装置の有利な構成では、第1のデジタル制御回路と第1のデジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源へ出力する。第2のデジタル制御回路と第2のデジタルアナログ変換器とは同様に実質的に正弦波状の参照電流を発生させてカレントシンクへ出力する。これは、同期パルスの非常に確実な実現と電磁放射の低減とを有利な態様で可能にする。加えて、同期パルスの制御部は回路のデジタル部分に完全にスワップすることができ、このことは、半導体技術のスケーリングが常に進歩しているので、面積を効率化させる解決手段になりうる。受信器の電圧供給部は同期パルスの間にデータバスから切り離してよく、他方電圧発生器を同期パルスの発生のために起動させる。電圧発生器は同期パルスを発生させるために電流源とカレントシンクとを含んでいるので、電流源およびカレントシンクと直列の付加的なスイッチを設ける必要がなくなる。
【0014】
本発明による受信装置の他の有利な構成では、1つの共通のデジタル制御回路と1つの共通のデジタルアナログ変換器とが実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源とカレントシンクとへ出力する。デジタル制御回路とデジタルアナログ変換器とを共通に利用することにより、電圧発生器の部品数を低減させ、レイアウト面積を節減できる。
【0015】
同期パルスの形状はデジタル部分内またはデジタル制御回路内にファイルすることができ、或いは、アルゴリズムを用いて算出することができる。デジタルアナログ変換器はNビットデータ語から参照電流を発生させ、該参照電流は電流源またはカレントシンクを介してデータバスへ誘導されて、データバスに隣接している負荷を充電または放電させる。実質的に正弦波状の同期パルス、すなわち正弦波状またはほぼ正弦波状の同期パルスを発生させるため、電流源およびカレントシンクの双方を正弦波状またはほぼ正弦波状に制御する。データ語の分解能は、放射上の理由から、同期パルスを著しい跳躍なしに描くことができるように選定されている。バス負荷の容量はバス電流を積分し、このようにしてデータバスでの電圧を平滑化させる。
【0016】
本発明による受信装置の他の有利な構成では、少なくとも1つのデジタル制御回路は、静電流とバス負荷とをベースにして同期パルスを制御し、この場合静電流制御は静電流に対する基準を提供し、達成された同期パルス振幅はバス負荷に対する基準を提供する。同期パルス振幅はバス電圧の分析によって検出することができる。達成された同期パルス振幅に関する情報は、バス電圧の分析を介して得られる。静電流の検知は、同期パルスのスタート時に電圧発生器の電流源による静電流の正確な受け渡しを保証するために必要である。バス電圧を分析するため、判定閾値を定義して所定のタイムウィンドウ内でたとえばコンパレータによって監視する。少なくとも1つのデジタル制御回路は、タイムウィンドウの前にある時点で同期パルスが判定閾値に達したときに同期パルス振幅が高すぎると認識する。少なくとも1つのデジタル制御回路は、同期パルスの周期の間に同期パルスが判定閾値に達しないときに同期パルス振幅が低すぎると認識する。少なくとも1つのデジタル制御回路は、タイムウィンドウ内にある時点で同期パルスが判定閾値に達したときに同期パルス振幅が正確であると認識する。原理的には、同期パルス振幅の分析は同期パルスの任意の個所で行うことができ、たとえば上昇エッジまたは下降エッジに沿って行うことができる。しかしながら、最も小さな公差、よって確実な制御は、パルス電圧の最大値付近に期待される。というのは、ここでの電圧は変化が最も小さいからである。同期パルスの継続時間は一定に保持され、他方デジタルアナログ変換器から出力される参照電流の波高は、振幅分析からの情報に応じてスケーリングしてよい。波高はたとえば可能な最小波高とスケーリング因子との乗積から算出することができる。最小波高は電流源またはカレントシンクからの最小電流から生じる。スケーリング因子は、適正な高さが達成されてタイムウィンドウ内で判定閾値を越えるまで、同期パルスが低すぎるときに大きくされ、同期パルスが高すぎるときに小さくされる。
【0017】
本発明の実施形態が図面に図示されており、以下の説明で詳細に述べる。図面において、同一の参照符号は同一の機能または対応する機能を行なう構成部材または構成要素を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】最適化した同期パルスを発生し出力する、車両内の制御器のための本発明による受信装置の第1実施形態を備えたセンサ回路のブロック構成図である。
図2】最適化した同期パルスを発生し出力する、車両内の制御器のための本発明による受信装置の第2実施形態を備えたセンサ回路のブロック構成図である。
図3】所定限界値内での従来の台形状同期パルスの形状および時間的挙動の図である。
図4】所定限界値内での従来の丸みを帯びた台形状同期パルスの形状および時間的挙動の図である。
図5】所定限界値内で本発明に従って最適化した同期パルスの形状および時間的挙動の図である。
図6】本発明に従って最適化した同期パルスの継続時間中のバス電圧を示す図である。
図7】本発明に従って最適化した同期パルスの継続時間中のバス電流を示す第1の図である。
図8】中央の曲線のみが指定限界値内にある異なる振幅の3つの同期パルスで同期パルス振幅を制御する原理を示す図である。
図9】本発明に従って最適化した同期パルスの継続時間中のバス電流を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および図2から明らかなように、図示したセンサ装置1,1’は、データバス5と、少なくとも1つのセンサ7と、車両内の制御器のための本発明による受信装置3,3’のそれぞれ1つの実施形態とを含んでいる。本発明による受信装置3,3’はそれぞれ、第1の電圧源3.1と電流源3.5とカレントシンク3.6とを用いて同期パルスPsyncを発生させるための電圧発生器30,30’を含んでいる。本発明によれば、電圧発生器30,30’は、バス負荷を充電および/または放電することにより電流源3.5とカレントシンク3.6とを介して同期パルスPsyncを実質的に正弦波振動として発生させる。
【0020】
図5から明らかなように、電圧発生器30,30’は、所定の形状と所定の時間的挙動とを備えた所定の規格限界値Vo,Vuの範囲内で同期パルスPsyncを発生させる。受信装置3,3’は、次の信号伝送を同期させるために、同期パルスPsyncをデータバス5を介して少なくとも1つのセンサ7へ出力する。同期バスシステムが1つのセンサ7または複数のセンサとともに機能するように、図示した同期パルスPsyncは、可能なすべてのバス構成のために、可能なすべての作動条件のもとで、特定の形状と特定の時間的挙動とを有している。図5からさらにわかるように、同期パルスPsyncはエッジ勾配を有し、このエッジ勾配は、下限値Vuを表わす第1の特性曲線のエッジ勾配と、上限値Voを表わす第2の特性曲線のエッジ勾配とによって設定される。同期パルスPsyncは、その正弦波形状または正弦波状形状により、所定の限界値Vu,Vo内で次のように最適化されており、すなわち特に信号伝送のスペクトル範囲(100kHzないし300kHz)内で可能な限り少ない電磁放射を達成でき、この電磁放射が同期パルスPsyncの基本波の範囲に限定的に留まるように、最適化されている。
【0021】
さらに図1および図2から明らかなように、電圧発生器30,30’は、少なくとも1つのデジタル制御回路32,42と、少なくとも1つのデジタルアナログ変換器34,44とを含み、これらは実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源3.5とカレントシンク3.6とに送出する。図示した実施形態は、同期パルスPsyncの非常に確実な実現と、電磁放射の低減とを可能にする。さらに、同期パルスPsyncを発生させるための電流源3.5とカレントシンク3.6との制御を受信装置3,3’のデジタル部分に完全にスワップすることができ、このことは、半導体技術のスケーリングが常に進歩しているので、面積を効率化させる解決手段になる。
【0022】
さらに図1および図2から明らかなように、受信装置3,3’の残りの回路3.3の電圧供給部3.2は、同期パルスPsyncの発生および出力の間、スイッチユニット3.4を介してデータバス5から切り離され、他方同期パルスPsyncを発生させるために電圧発生器30,30’が起動される。電圧発生器30,30’は電流源3.5とカレントシンク3.6とを含んでいるので、電流源3.5とカレントシンク3.6とに直列に付加的なスイッチを必要としない。
【0023】
さらに図1から明らかなように、本発明による受信装置3の図示した第1実施形態は第1の電圧発生器30を含み、該第1の電圧発生器は、実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源35へ出力する第1のデジタル制御回路42および第1のデジタルアナログ変換器44と、実質的に正弦波状の参照電流を発生させてカレントシンク3.6へ出力する第2のデジタル制御回路32および第2のデジタルアナログ変換器34とを含んでいる。
【0024】
さらに図2から明らかなように、本発明による受信装置3’の図示した第2実施形態は、実質的に正弦波状の参照電流を発生させて電流源3.5およびカレントシンク3.6とへ出力する共通のデジタル制御回路32および共通のデジタルアナログ変換器34を含んでいる。デジタル制御回路32とデジタルアナログ変換器34とを電流源3.5およびカレントシンク3.6用に共通に利用することにより、図1の電圧発生器30の構成要素の数量を減らすことができる。これにより図1の電圧発生器30’は図1の電圧発生器30に比べてレイアウト面積またはシリコン面積を節減している。
【0025】
同期パルスPsyncの形状は、デジタル部分内またはデジタル制御回路32,42内にファイルされるか、或いは、デジタル部分内またはデジタル制御回路32,42内でアルゴリズムを用いて演算される。少なくとも1つのデジタルアナログ変換器34,44はNビットデータ語から参照電流を発生させ、該参照電流は電流源3.5またはカレントシンク3.6を介してデータバスへ誘導されて、データバスに隣接する負荷を充電または放電させる。図5の正弦波状またはほぼ正弦波状の同期パルスPsyncを発生させるため、電流源3.5もカレントシンク3.6も正弦波状にまたはほぼ正弦波状に制御される。図6図7は同期パルスPsyncを発生させるための原理的なシーケンス制御を略図化したもので、図6は電圧パルスUsyncを示し、図7は対応する電流パルスIsyncを示している。同期パルスPsyncの開始点tでは、電流源3.5は受信装置3,3’の電圧供給部3.2から静電流Iを提供する。電流源3.5は、静電流Iに関する情報を、技術水準から公知の静電流再調整部から得る。電圧パルスUsyncの第1の転向点で電流源3.5から最大電流Isyncが流れ、電圧パルスUsyncの最大値Maxでは電流源3.5から再び静電流Iのみが流れる。同期パルスPsyncの下降エッジを実現するため、電流Isyncを、電圧最大値Maxに到達した後に、該電流が最終的にゼロになってカレントシンク3.6が放電過程を開始するまで、電流源3.5によって減少させる。その後、電圧パルスUsyncの第2の転向点でカレントシンク3.6に最大電流Isyncが流れ、電流源3.5が新たに介入して同期パルスPsyncの最後の段階で最終時点tまで電流Isyncを提供するまで、再び減少する。最終時点tでは、受信装置3,3’の電圧供給部3.2から再び静電流が得られる。このようにして、同期パルスPsyncの継続時間tsyncの間、電流源3.5は0mAよりも大きいかこれに等しい電流値を提供し、カレントシンク3.6は0mAよりも小さな電流値を提供する。
【0026】
データ語の分解能は、放射上の理由から、同期パルスPsyncを著しい跳躍なしに描くことができるように選定されている。バス負荷の容量はバス電流IBusを積分し、このようにしてデータバス5での電圧UBusを平滑化させる。バス負荷はバス作動に依存して強く変化することがあり、電流源3.5およびカレントシンク3.6のある程度のドライバ能力を必要とさせる。このことは、信号破壊および信号変形のない同期パルスPsyncの所望の形状を可能にするために、電流源3.5とカレントシンク3.6とが十分に高い電流を提供または受け入れることができるということを意味している。このドライバ能力は、デジタルアナログ変換器34,44の適当な分解能を選定する際の重要な影響量である。
【0027】
図5から明らかなように、同期パルスPsyncの形状およびエッジ勾配に対して要求が課せられる。一方では、エッジ勾配は小さすぎてはならない。というのは、センサ7の検知時間の公差が大きくなるからである。これはセンサ7の最大数量を制限し、よってデータ伝送速度を低下させる。他方、エッジ勾配は大きすぎてはならない。というのは、電磁放射が強くなりすぎるからである。同期パルスPsyncの挙動に大きく影響する2つの量は、バス負荷とセンサ7または複数のセンサの静電流Iとである。バスの構成とセンサの構成とが異なると、負荷と静電流Iとはかなり異なる。このようにバス負荷と静電流とがかなり異なっていても所定の限界値Vu,Voの範囲内で同期パルスPsyncを具現できるようにするため、バス電流IBusまたはバス電圧UBusの制御を実施する。
【0028】
デジタル制御回路32,42は、静電流再調整部からの静電流Iに関する情報と、達成された同期パルス振幅Maxとに関する情報とを、同期パルスPsyncの制御に使用する。静電流Iの検知が必要なのは、同期パルスPsyncのスタート時に、電圧同期パルス発生器の電流源3.5による静電流Iの正確な受け渡しを保証するためである。同期パルス発生器と呼ばれる電圧発生器30,30’は、同期パルスPsyncを発生させ、前記少なくとも1つのデジタル制御部32,42と、前記少なくとも1つのデジタルアナログ変換器34,44と、前記電流源3.5と、前記カレントシンク3.6と、電流源3.5のための電圧供給部3.1とを含んでいる。同期パルス振幅Maxはバス電圧UBusの分析によって検出される。バス電圧UBusを分析するため、判定閾値UregとタイムウィンドウΔtregとを定義する。少なくとも1つのデジタル制御回路32,42は、同期パルスPsyncがタイムウィンドウΔtregよりも前にある時点treg1で判定閾値Uregにあるときに、同期パルス振幅Max1が高すぎると認識する。この状態は図8において第1の特性曲線K1によって表わされる。少なくとも1つのデジタル制御回路32,42は、同期パルスPsyncの周期tsyncの間に同期パルスPsyncが判定閾値Uregに到達しなければ、同期パルス振幅Max2が低すぎると認識する。この状態は図8において第2の特性曲線K2によって表わされる。少なくとも1つのデジタル制御回路32,42は、タイムウィンドウΔtregの範囲内にある時点treg2で同期パルスPsyncが判定閾値Uregに到達すると、同期パルス振幅Maxが正確であると認識する。この状態は図8において第3の特性曲線K3によって表わされる。判定閾値Uregはたとえばコンパレータによって監視することができる。判定閾値Uregが早すぎると、すなわち監視ウィンドウΔtregの前で判定閾値を越えると、高すぎる同期パルスPsyncが発生する。判定閾値Uregを越えなければ、低すぎる同期パルスPsyncが発生する。監視タイムウィンドウΔtreg内で判定閾値Uregを越えたときに初めて、正確な高さをもった同期パルスPsyncが存在する。原理的には、同期パルス振幅の分析は同期パルスPsyncの任意の個所で行うことができ、たとえば上昇エッジまたは下降エッジに沿って行うことができる。しかしながら最小公差は、よって確実な制御は、パルス電圧Usyncの最大値付近で期待される。というのは、ここでは電圧の変化が最小だからである。
【0029】
図9から明らかなように、同期パルスの継続時間tsyncは一定に保持され、他方少なくとも1つのデジタルアナログ変換器34,44をベースにした、出力される電流パルスIsyncの波高Sは、振幅分析からの情報に応じてスケーリングしてよい。波高Sは、可能な最小波高とスケーリング因子との乗積から算出される。最小波高は、電流源3.5またはカレントシンク3.6の出力可能な最小電流値から生じる。スケーリング因子は、適正な高さが達成されてタイムウィンドウΔtreg内で判定閾値Uregを越えるまで、同期パルスPsyncが低すぎるときに大きくされ、同期パルスPsyncが高すぎるときに小さくされる。
【0030】
同期パルスPsyncを発生させ、次に車両内のデータバス5を介して受信装置3,3’と少なくとも1つのセンサ7との間での信号伝送を同期化するための本発明による方法の実施形態は、所定の形状と所定の時間的挙動とを備えた同期パルスPsyncを所定の規格限界値Vo,Vuの範囲内で発生させる。少なくとも1つのセンサ7と受信装置3,3’との間での信号伝送の開始時に、同期パルスPsyncは受信装置3,3’から少なくとも1つのセンサ7へ伝送される。本発明によれば、同期パルスPsyncは実質的に正弦波振動として発生される。
【符号の説明】
【0031】
3,3’ 受信装置
3.1 第1の電圧源
3.5 電流源
3.6 カレントシンク
5 データバス
7 センサ
30,30’ 電圧発生器
32 第2のデジタル制御回路
34 第2のデジタルアナログ変換器
42 第1のデジタル制御回路
44 第1のデジタルアナログ変換器
静電流
sync 同期パルス
reg1 タイムウィンドウの前にある時点
reg2 タイムウィンドウ内にある時点
sync 同期パルスの周期
Bus バス電圧
reg 判定閾値
Vo,Vu 規格限界値
Δtreg タイムウィンドウ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9