特許第5981007号(P5981007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5981007エクササイズスタジオの雰囲気調整システム及び雰囲気調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5981007
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】エクササイズスタジオの雰囲気調整システム及び雰囲気調整方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/18 20060101AFI20160818BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20160818BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F24F6/18
   E04F15/18 Y
   E04F15/18 X
   F24F6/00 A
   F24F6/00 D
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-187178(P2015-187178)
(22)【出願日】2015年9月24日
【審査請求日】2016年5月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506082766
【氏名又は名称】株式会社マグマスパジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小泉 正太
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3121494(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3147412(JP,U)
【文献】 特開2005−270619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/18
E04F 15/18
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクササイズスタジオの雰囲気調整システムであって、
第1の砂状溶岩層、鉱物層、第2の砂状溶岩層及び溶岩板をこの順番で下から順に備えた積層構造と、前記第1の砂状溶岩層の下部に設けられたヒータと、前記第1の砂状溶岩層と前記鉱物層との間に設けられた給水管とを有する蒸気供給装置と、
前記給水管から排出される水の排出量、又は前記ヒータの温度の少なくともいずれかを制御して、前記第2の砂状溶岩層の温度を60℃以上80℃以下に調整可能な制御装置と、を有し、
前記蒸気供給装置は、スタジオ床部に設置され、前記給水管から前記第1の砂状溶岩層に水を排出し、当該水を前記ヒータにより蒸発させ、その蒸気を前記鉱物層を通過させ前記第2の砂状溶岩層に滞留させ、当該蒸気を前記溶岩板を通じてスタジオ内に排出させるよう構成されている、エクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項2】
前記蒸気供給装置の前記溶岩板は、相対的に通気性の高い第1の溶岩板と、相対的に通気性の低い第2の溶岩板を有する、請求項1に記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項3】
前記第1の溶岩板と前記第2の溶岩板がスタジオ床面に同程度の割合で配置されている、請求項2に記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項4】
前記第2の砂状溶岩層は、前記第1の砂状溶岩層よりも厚く形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項5】
前記第2の砂状溶岩層は、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい下層と、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい上層を有している、請求項1〜4のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項6】
前記第2の砂状溶岩層は、5mm以上15mm以下の厚みを有している、請求項1〜5のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項7】
前記第1の砂状溶岩層は、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい下層と、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい上層を有している、請求項1〜6のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項8】
前記第2の砂状溶岩層の厚みと前記溶岩板の厚みの比は、1対2以上1対4以下に設定されている、請求項1〜7のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項9】
前記鉱物層には、クオーツ、ローズクオーツ、トルマリン、ベッコウ、メノウタイガーアイ、マラカルト、レチルクオーツ、タイライト、アマゾナイト、ターコイズ、ラピスラズリ、タンブル、ホークアイタンブルのうちの1種類以上の鉱物が含まれる、請求項1〜8のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項10】
前記給水管は、前記スタジオ床の面内に所定のパターンで配置され、前記ヒータは、前記給水管の真下に配置されている、請求項1〜9のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
【請求項11】
エクササイズスタジオの雰囲気調整方法であって、
第1の砂状溶岩層、鉱物層、第2の砂状溶岩層及び溶岩板をこの順番で下から順に備えた積層構造と、前記第1の砂状溶岩層の下部に設けられたヒータと、前記第1の砂状溶岩層と前記鉱物層との間に設けられた給水管とを有する蒸気供給装置をスタジオ床部に設置し、前記給水管から前記第1の砂状溶岩層に水を排出し、当該水を前記ヒータにより蒸発させ、その蒸気を前記鉱物層を通過させ前記第2の砂状溶岩層に滞留させ、当該蒸気を前記溶岩板を通じてスタジオ内に排出させてスタジオの雰囲気を調整し、その際に、前記給水管から排出される水の排出量又は前記ヒータの温度の少なくともいずれかを制御して、前記第2の砂状溶岩層の温度を60℃以上80℃以下にする、エクササイズスタジオの雰囲気調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エクササイズスタジオの雰囲気調整システム、及びエクササイズスタジオの雰囲気調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康を維持増進するためのエクササイズスタジオには、ヨガスタジオ、ストレッチスタジオなどがある。これらのエクササイズスタジオの温度、湿度等の雰囲気の調整は、通常一般的な冷暖房設備により行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、本発明者らは、身体の深部を温めながらエクササイズを行うことで、エクササイズ効果を向上することを考えている。しかし、一般的な冷暖房設備では、身体を深部まで温めることは難しく、エクササイズ効果を十分に上げることができない。
【0004】
そこで本発明者らは、遠赤外線を放射すると共に、ミネラル成分を含む蒸気をスタジオ内に供給する蒸気供給装置をスタジオの床部に設置することを考えている。すなわち、蒸気供給装置は、第1の砂状溶岩層、鉱物層、第2の砂状溶岩層及び溶岩板をこの順番で下から順に備えた積層構造と、第1の砂状溶岩層の下部に設けられたヒータと、第1の砂状溶岩層と鉱物層との間に設けられた給水管とを有するものであり、給水管から第1の砂状溶岩層に水を排出し、当該水を前記ヒータにより蒸発させ、その蒸気を鉱物層を通過させて第2の砂状溶岩層に滞留させ、当該蒸気を溶岩板を通じてスタジオ内に排出させるものである。
【0005】
上記蒸気供給装置によれば、スタジオ内に、鉱物層を通ってミネラル成分を含んだ温かい蒸気が排出され、また溶岩層から遠赤外線が放射されてスタジオ内の雰囲気が調整されるので、身体を深部から温めながらエクササイズを行うことができる。
【0006】
ところで、上記蒸気供給装置の上層に位置する第2の砂状溶岩層では、温度が下がり高温多湿になりやすいため、細菌が繁殖する可能性がある。そして、その第2の砂状溶岩層において細菌があると、細菌を含む蒸気がスタジオ内に排出される可能性もある。この場合、蒸気供給装置の第2の砂状溶岩層周辺の清掃、取り換え等のメンテナンスを頻繁に行う必要があり、コストがかかる。
【0007】
本出願はかかる点に鑑みてなされたものであり、上述の蒸気供給装置を用いてスタジオの雰囲気を調整する際の第2の砂状溶岩層における細菌の繁殖を抑えることができるエクササイズスタジオの雰囲気調整システム及び雰囲気調整方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、蒸気供給装置の第2の砂状溶岩層の温度を特定の温度範囲に調整することにより、第2の砂状溶岩層を滅菌して細菌の繁殖を抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
(1)エクササイズスタジオの雰囲気調整システムであって、第1の砂状溶岩層、鉱物層、第2の砂状溶岩層及び溶岩板をこの順番で下から順に備えた積層構造と、前記第1の砂状溶岩層の下部に設けられたヒータと、前記第1の砂状溶岩層と前記鉱物層との間に設けられた給水管とを有する蒸気供給装置と、前記給水管から排出される水の排出量、又は前記ヒータの温度の少なくともいずれかを制御して、前記第2の砂状溶岩層の温度を60℃以上80℃以下に調整可能な制御装置と、を有し、前記蒸気供給装置は、スタジオ床部に設置され、前記給水管から前記第1の砂状溶岩層に水を排出し、当該水を前記ヒータにより蒸発させ、その蒸気を前記鉱物層を通過させ前記第2の砂状溶岩層に滞留させ、当該蒸気を前記溶岩板を通じてスタジオ内に排出させるよう構成されている、エクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(2)前記蒸気供給装置の前記溶岩板は、相対的に通気性の高い第1の溶岩板と、相対的に通気性の低い第2の溶岩板を有する、(1)に記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(3)前記第1の溶岩板と前記第2の溶岩板がスタジオ床面に同程度の割合で配置されている、(2)に記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(4)前記第2の砂状溶岩層は、前記第1の砂状溶岩層よりも厚く形成されている、(1)〜(3)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(5)前記第2の砂状溶岩層は、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい下層と、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい上層を有している、(1)〜(4)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(6)前記第2の砂状溶岩層は、5mm以上15mm以下の厚みを有している、(1)〜(5)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(7)前記第1の砂状溶岩層は、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい下層と、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい上層を有している、(1)〜(6)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(8)前記第2の砂状溶岩層の厚みと前記溶岩板の厚みの比は、1対2以上1対4以下に設定されている、(1)〜(7)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(9)前記鉱物層には、クオーツ、ローズクオーツ、トルマリン、ベッコウ、メノウタイガーアイ、マラカルト、レチルクオーツ、タイライト、アマゾナイト、ターコイズ、ラピスラズリ、タンブル、ホークアイタンブルのうちの1種類以上の鉱物が含まれる、(1)〜(8)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(10)前記給水管は、前記スタジオ床の面内に所定のパターンで配置され、前記ヒータは、前記給水管の真下に配置されている、(1)〜(9)のいずれかに記載のエクササイズスタジオの雰囲気調整システム。
(11)エクササイズスタジオの雰囲気調整方法であって、第1の砂状溶岩層、鉱物層、第2の砂状溶岩層及び溶岩板をこの順番で下から順に備えた積層構造と、前記第1の砂状溶岩層の下部に設けられたヒータと、前記第1の砂状溶岩層と前記鉱物層との間に設けられた給水管とを有する蒸気供給装置をスタジオ床部に設置し、前記給水管から前記第1の砂状溶岩層に水を排出し、当該水を前記ヒータにより蒸発させ、その蒸気を前記鉱物層を通過させ前記第2の砂状溶岩層に滞留させ、当該蒸気を前記溶岩板を通じてスタジオ内に排出させてスタジオの雰囲気を調整し、その際に、前記給水管から排出される水の排出量又は前記ヒータの温度の少なくともいずれかを制御して、前記第2の砂状溶岩層の温度を60℃以上80℃以下にする、エクササイズスタジオの雰囲気調整方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蒸気供給装置を用いてスタジオの雰囲気を調整する際の第2の砂状溶岩層における細菌の繁殖を抑えることができるので、メンテナンスの頻度を減らすことができコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】雰囲気調整システムの構成例を示す模式図である。
図2】蒸気供給装置の積層構造の例を示す説明図である。
図3】第1の砂状溶岩層を拡大した模式図である。
図4】第2の砂状溶岩層を拡大した模式図である。
図5】スタジオの床部の構造を示す模式図である。
図6】給水管及びヒータの配置パターンを平面から見た説明図である。
図7】雰囲気調整システムの他の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかるエクササイズスタジオの雰囲気調整システム1の構成の概略を示す模式図である。図2は、雰囲気調整システム1に用いられる蒸気供給装置10の構成例を示す模式図である。なお、本願明細書における「エクササイズスタジオ」には、運動を行うための総てのスタジオが含まれ、ヨガスタジオ、ストレッチスタジオ、ダンススタジオ、ピラティススタジオ、有酸素運動スタジオ、ダイエットスタジオ、瞑想・座禅スタジオなどが含まれる。
【0014】
雰囲気調整システム1は、図1に示すように例えば蒸気供給装置10と制御装置11とを有している。
【0015】
蒸気供給装置10は、スタジオAの床部に設置され、複数の層からなる積層構造20と、ヒータ21と、給水管22を有している。
【0016】
積層構造20は、図2に示すように例えば下から順に第1の砂状溶岩層30、鉱物層31、第2の砂状溶岩層32及び溶岩板33を備えている。
【0017】
第1の砂状溶岩層30は、例えば溶岩石を細かく砕き、ふるいにかけて同程度の大きさに揃えたものである。第1の砂状溶岩層30は、例えば10mm以上30mm以下、好ましくは20mm程度の厚みを有している。第1の砂状溶岩層30は、例えば図3に示すように相対的に砂状溶岩の粒径が小さい下層30aと、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい上層30bを有している。下層30aの粒径は、例えば2mm程度以下であり、上層30bの粒径は、例えば5mm程度である。なお、下層30aと上層30bは厳格に分かれている必要はなく、ヒータ21上に粒径の小さい砂状溶岩を入れて下層30aを形成し、その後その下層30aの上に粒径の大きい砂状溶岩を入れて上層30bを形成したものであってもよい。
【0018】
図2に示す鉱物層31は、例えば1種類以上の鉱石から構成されている。鉱物層31には、例えばクオーツ、ローズクオーツ、トルマリン、ベッコウ、メノウタイガーアイ、マラカルト、レチルクオーツ、タイライト、アマゾナイト、ターコイズ、ラピスラズリ、タンブル、ホークアイタンブルのうちの1種類以上、好ましくは5種類以上の鉱石が含まれている。鉱物層31の鉱石には、例えば3cm以上10cm以下程度の大きさのものが用いられる。鉱物層31は、例えば30mm〜50mm、好ましくは40mm程度の厚みを有している。なお、この鉱物層31には、鉱石以外のものが含まれていてもよい。
【0019】
第2の砂状溶岩層32は、例えば溶岩石を細かく砕き、ふるいにかけて同程度の大きさに揃えたものである。第2の砂状溶岩層32は、例えば5mm以上15mm以下、好ましくは10mm程度の厚みを有している。第2の砂状溶岩層32は、蒸気を滞留させるため、第1の砂状溶岩層20よりも厚く形成されている。第2の砂状溶岩層32は、例えば図4に示すように相対的に砂状溶岩の粒径が大きい下層32aと、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい上層32bを有している。下層32aの粒径は、例えば5mm程度であり、上層32bの粒径は、例えば2mm以下程度である。
【0020】
図1及び図2に示す溶岩板33は、例えば20mm以上40mm以下、好ましくは30mm程度の厚みを有している。第2の砂状溶岩層32の厚みと溶岩板33の厚みの比は、1対2以上1対4以下に設定されている。溶岩板33は、例えば相対的に通気性の高い第1の溶岩板40と、相対的に通気性の低い第2の溶岩板41の2種類を有している。第1の溶岩板40には、溶岩の地表の3層目から取り出した岩密度が高く空隙率が低いものが用いられている。第2の溶岩板41には、溶岩の地表の2層目から取り出した岩密度が低く空隙率が高いものが用いられている。第1の溶岩板40と第2の溶岩板41は、例えば図5に示すようにそれぞれ同じ大きさの方形に加工されており、スタジオAの床面50に同程度の割合で敷設されている。第1の溶岩板40と第2の溶岩板41は、例えば交互に市松模様状に配置されている。
【0021】
図1及び図2に示すヒータ21は、第1の砂状溶岩層30の下部に設けられている。ヒータ21は、例えば5cm幅程度の線状に配置されていてもよいし、面状に配置されていてもよい。ヒータ21は、給電により100℃以上に発熱できる。給水管22は、第1の砂状溶岩層30と鉱物層31との間に設けられ、図1に示す例えば水道などの給水源72に通じている。
【0022】
給水管22は、例えば図6に示すようにスタジオAの床面50の面内において所定のパターン、例えば複数本の給水管22が平行に並んだパターンに配置されている。図1及び図2に示すように給水管22は、例えば直径10mm程度の金属管からなり、当該管に沿って複数の給水穴22aが形成されている。給水穴22aは、例えば給水管22の上半分の位置に上に向けて形成されている。
【0023】
制御装置11は、図1に示すように例えばヒータ21への給電量を制御するヒータ制御部60、給水管22の給水量を制御可能なバルブ70、バルブ70の開放量又は開放時間を制御するバルブ制御部71、ヒータ制御部60やバルブ制御部71の制御を行う全体制御部80等から構成されている。全体制御部80は、例えばコンピュータであり、例えばヒータ21の温度設定値等を手動で入力可能な温度設定入力部81と、給水管22の給水量の設定値等を手動で入力可能な給水量設定入力部82を有している。全体制御部80は、例えば温度設定入力部81に入力された温度設定値に基づいてヒータ制御部60を制御し、ヒータ制御部60によりヒータ21の温度を制御できる。また全体制御部80は、例えば給水量設定入力部82に入力された給水量設定値に基づいてバルブ制御部71を制御し、バルブ制御部71によりバルブ70の開放量又は開放時間を制御して給水管22の給水量を制御できる。この結果、制御装置11は、給水管22から排出される水の排出量、又はヒータ21の温度の少なくともいずれかを制御して、第2の砂状溶岩層32の温度を60℃以上80℃以下に調整することができる。
【0024】
以上の雰囲気調整システム1を稼働し、スタジオAの雰囲気を調整する際には、制御装置11において設定された流量(例えば2〜4cl/h)の水が給水管22内を流れ、蒸気供給装置10における給水管22の給水孔22aから排出される。また、制御装置11において設定された温度(例えば110℃程度)にヒータ21が制御される。蒸気供給装置10では、給水管22から第1の砂状溶岩層30に水が排出され、当該水がヒータ21により蒸発し、その蒸気が鉱物層31を通って上昇する。このとき、鉱物層31のミネラル成分が蒸気の水分子に付着する。鉱物層31通過時の蒸気温度は、例えば40℃〜75℃程度が好ましい。鉱物層31を通過した蒸気は第2の砂状溶岩層32で滞留する。このとき、第2の砂状溶岩層32には、蒸気と共に熱も蓄熱し、第2の砂状溶岩層32の温度は、60℃以上80℃以下、好ましくは70℃程度になる。そして、第2の砂状溶岩層32の蒸気は、溶岩板33(主に第1の溶岩板40)を通ってスタジオAに排出される。このときの蒸気により、床面50となる溶岩板33の表面の温度は43℃〜44℃程度になり、スタジオAの湿度は、60%〜70%になり、スタジオAの温度が38℃〜40℃程度となる。また、温められた溶岩層30、32及び溶岩板33からはスタジオA内に遠赤外線が放射される。こうして、スタジオA内が、遠赤外線の放射と共に、ミネラル成分を含む蒸気雰囲気となり、スタジオAが所定の温度及び湿度の所定の雰囲気に調整される。
【0025】
本実施の形態によれば、蒸気供給装置10により、スタジオA内に、鉱物層31を通って例えばミネラル成分を含む蒸気が排出され、また第1の砂状溶岩層30、第2の砂状溶岩層32及び溶岩板33から遠赤外線が放射されてスタジオA内の雰囲気が所定の温度及び湿度に調整されるので、身体を深部から温めながらエクササイズを行うことができる。よってエクササイズ効果を向上できる。また、制御装置11により、給水管22から排出される水の排出量、又はヒータ21の温度の少なくともいずれかを制御して、第2の砂状溶岩層32の温度を60℃以上80℃以下に調整できるので、第2の砂状溶岩層32において滅菌が行われる。この結果、蒸気供給装置10を用いてスタジオAの雰囲気を調整する際の第2の砂状溶岩層32における細菌の繁殖を抑制することができる。よって、スタジオ内に細菌のない蒸気を供給でき、蒸気供給装置10のメンテナンスの回数を減らしてコストを低減できる。なお、第2の砂状溶岩層32の温度が60℃未満の場合には、細菌を十分に滅菌することができず、また第2の砂状溶岩層32の温度が80℃を超えた場合には、溶岩板33の表面及びその周辺温度が上がりすぎてエクササイズスタジオには適さない。
【0026】
蒸気供給装置10の溶岩板33は、相対的に通気性の高い第1の溶岩板40と、相対的に通気性の低い第2の溶岩板41を有するので、第2の砂状溶岩層32において蒸気を適切に滞留させつつ、当該蒸気を溶岩板33を通じて適切にスタジオAに排出することもできる。
【0027】
第1の溶岩板40と第2の溶岩板41がスタジオ床面50に同程度の割合で配置されているので、第2の砂状溶岩層32における蒸気の滞留と、溶岩板33を通じた蒸気の排出をバランスよく行うことができる。この結果、第2の砂状溶岩層32における60℃以上80℃以下の温度調整を適切に行うことができる。
【0028】
第2の砂状溶岩層32は、第1の砂状溶岩層30よりも厚く形成されているので、蒸気の滞留容量と、蓄熱容量が多くなり、第2の砂状溶岩層32の温度を60℃以上80℃以下に維持しやすくなる。
【0029】
第2の砂状溶岩層32は、5mm以上15mm以下の厚みを有しているので、蒸気の適切な滞留容量と蓄熱容量を確保でき、第2の砂状溶岩層32の温度を60℃以上80℃以下に維持しやすくなる。
【0030】
第2の砂状溶岩層32は、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい下層32aと、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい上層32bを有しているので、下層32aで鉱物層31との境界を維持しつつ、上層32b上に溶岩板33を平坦に敷設することができる。
【0031】
第1の砂状溶岩層30は、相対的に砂状溶岩の粒径が小さい下層30aと、相対的に砂状溶岩の粒径が大きい上層30bを有しているので、給水管22の水を下層30aで十分拡散しつつ保持することができる。この結果、ヒータ21により蒸気を床面全体で効率的かつ斑なく生じさせ、スタジオA内に供給できる。
【0032】
第2の砂状溶岩層32の厚みと溶岩板33の厚みの比が、1対2以上1対4以下に設定されているので、第2の砂状溶岩層41において60℃以上80℃以下に調整された蒸気の温度を溶岩板33を通る間に十分に下げて、溶岩板33の表面温度(床面温度)をエクササイズスタジオに適した温度に調整できる。
【0033】
鉱物層31には、クオーツ、ローズクオーツ、トルマリン、ベッコウ、メノウタイガーアイ、マラカルト、レチルクオーツ、タイライト、アマゾナイト、ターコイズ、ラピスラズリ、タンブル、ホークアイタンブルのうちの1種類以上の鉱物が含まれるので、蒸気にミネラル成分を付着させ、例えば人の発汗作用を促進し、エクササイズ効果をさらに上げることができる。
【0034】
給水管22は、スタジオ床面50の面内に所定のパターンで配置され、ヒータ21は、給水管22の真下に配置されているので、給水管22から排出された水を効率的に蒸発させることができる。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0036】
例えば上記実施の形態における制御装置11の構成はこれに限られず、他の構成を有するものであってもよい。例えば制御装置11は、給水管22の流量をバルブ70によって調整していたが、ポンプによって調整してもよい。また、上記実施の形態では、ユーザが手動でヒータ21の温度設定や給水管22の流量設定を行っていたが、制御装置11が、例えばスタジオAの温度や湿度が所定の設定温度、設定湿度になるようにヒータ21やバルブ70を自動制御してもよい。かかる場合、例えば制御装置11は、図7に示すようにスタジオAに設置された温度センサ90と湿度センサ91をさらに有し、全体制御部80が、その温度センサ90と湿度センサ91の検出値に基づいて、スタジオAの温度及び湿度が予め設定しておいた設定温度及び設定湿度になるように、ヒータ21の温度とバルブ70の開放量又は開放時間をフィードバック制御してもよい。この場合、温度制御装置11には、フィードバック制御を行うためのプログラムが記憶され、当該プログラムを実行することによってかかる制御を行ってもよい。
【0037】
その他、スタジオAの床面50内における第1の溶岩板40と第2の溶岩板41の割合や、溶岩板33の形状、大きさ、給水管22やヒータ21の設置パターン等はこれに限られない。また、蒸気供給装置10の積層構造20は、少なくとも上記層30〜33を有していればよく、他の層が加えられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、蒸気供給装置を用いてスタジオの雰囲気を調整する際の第2の砂状溶岩層における細菌の繁殖を抑えることができるスタジオ雰囲気調整システム及びスタジオ雰囲気調整方法を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 雰囲気調整システム
10 蒸気供給装置
11 制御装置
20 積層構造
21 ヒータ
22 給水管
30 第1の砂状溶岩層
31 鉱物層
32 第2の砂状溶岩層
33 溶岩板
【要約】
【課題】蒸気供給装置を用いてスタジオの雰囲気を調整する際の第2の砂状溶岩層における細菌の繁殖を抑えることができるエクササイズスタジオの雰囲気調整システムを提供できる。
【解決手段】雰囲気調整システム1は、第1の砂状溶岩層30、鉱物層31、第2の砂状溶岩層32及び溶岩板33をこの順番で下から順に備えた積層構造20と、第1の砂状溶岩層30の下部に配置されたヒータ21と、第1の砂状溶岩層30と鉱物層31との間に配置された給水管22とを有する蒸気供給装置10と、給水管22から排出される水の排出量、又はヒータ21の温度の少なくともいずれかを制御して、第2の砂状溶岩層32の温度を60℃以上80℃以下に調整可能な制御装置11と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7