(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る処置システムを示す概略的な斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、第1実施形態の処置システムの処置具の操作部に配置される回動操作部の変形例を示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る処置システムを示す概略的なブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る処置システムの処置具の第1把持部を示す概略的な上面図である。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態に係る処置システムの処置具の回動体の作用部を第1把持部の第1案内部に配置した状態を示す概略的な横断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態に係る処置システムの処置具の回動体の作用部を
図4Aに示す第1把持部の第1案内部に配置した状態から第2把持部の第2案内部に向かって動かしている状態を示す概略的な横断面図である。
【
図4C】
図4Cは、第1実施形態に係る処置システムの処置具の回動体の作用部を
図4Aに示す第1把持部の第1案内部に配置した状態から
図4Bに示す第2把持部の第2案内部に向かって動かしている状態を経て、第2案内部に配置した状態を示す概略的な横断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第1実施形態に係る処置システムの処置具の回動体の駆動部の先端部及び作用部を示す概略的な斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、第1実施形態に係る処置システムの処置具の回動体の
図5Aに示す作用部の刃を、第1把持部の把持面に対して突出させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図6A】
図6Aは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の駆動部の先端部及び作用部を示す概略的な斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の
図6Aに示す作用部の刃を、第1把持部の把持面に対して突出させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図7A】
図7Aは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の駆動部の先端部及び作用部を示す概略的な斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の
図7Aに示す作用部の刃を、第1把持部の把持面に対して突出させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図8A】
図8Aは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の駆動部の先端部及び作用部を示す概略的な斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の
図8Aに示す作用部の刃を、第1把持部の把持面に対して突出させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図9A】
図9Aは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の駆動部の先端部及び作用部を示す概略的な斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、第1実施形態の変形例に係る処置システムの処置具の回動体の
図9Aに示す作用部の刃を、第1把持部の把持面に対して突出させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る処置システムの処置具の回動体の作用部を第1把持部の第1案内部に配置した状態から移動させて第2案内部に配置した状態を示す概略的な横断面図である。
【
図11A】
図11Aは、第3実施形態に係る処置システムの処置具の操作部の概略的な側面図である。
【
図11B】
図11Bは、第3実施形態に係る処置システムの処置具の操作部の概略的な上面図である。
【
図12A】
図12Aは、第3実施形態に係る処置システムの処置具の操作部に設けられた、開閉ノブ、駆動ノブ、連動体の、操作部本体に対する動作状態を示し、操作部本体の他端に対して開閉ノブ及び駆動ノブを離隔させて開き、かつ、連動体の嵌合部を操作部本体の嵌合受部に対して嵌合を解除した状態を示す概略的な側面図である。
【
図12B】
図12Bは、第3実施形態に係る処置システムの処置具の操作部に設けられた、開閉ノブ、駆動ノブ、連動体の、操作部本体に対する動作状態を示し、操作部本体の他端に対して駆動ノブを離隔させて開いた状態を維持しながら開閉ノブを近接させて閉じ、かつ、連動体の嵌合部を操作部本体の嵌合受部に対して嵌合させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図12C】
図12Cは、第3実施形態に係る処置システムの処置具の操作部に設けられた、開閉ノブ、駆動ノブ、連動体の、操作部本体に対する動作状態を示し、操作部本体の他端に対して開閉ノブを近接させて閉じた状態を維持しながら駆動ノブを近接させて閉じ、かつ、連動体の嵌合部を操作部本体の嵌合受部に対して嵌合を解除した直後に駆動ノブの当接面を開閉ノブに当接させた状態を示す概略的な側面図である。
【
図12D】
図12Dは、第3実施形態に係る処置システムの処置具の
図12C中の開閉レバー及び駆動レバーの12D−12D線に沿う概略的な横断面図である。
【
図13A】
図13Aは、第4実施形態に係る処置システムの処置具の操作部の概略的な側面図である。
【
図13B】
図13Bは、第4実施形態に係る処置システムの処置具の操作部を上面から見たときの概略的なブロック図である。
【
図14】
図14は、第5実施形態に係る処置システムを示す概略的な斜視図である。
【
図15A】
図15Aは、第6実施形態に係る処置システムの処置具の操作部を示し、操作部本体の他端に対して開閉ノブを離隔させて第1及び第2把持部を開いた状態を示す概略図である。
【
図15C】
図15Cは、第6実施形態に係る処置システムの処置具の操作部を示し、操作部本体の他端に対して開閉ノブを近接させて第1及び第2把持部を閉じた状態を示す概略図である。
【
図16A】
図16Aは、第7実施形態に係る処置システムの処置具の操作部を示し、操作部本体の他端に対して開閉ノブを離隔させて第1及び第2把持部を開いた状態を示す概略図である。
【
図16B】
図16Bは、第7実施形態に係る処置システムの処置具の操作部を示し、操作部本体の他端に対して開閉ノブを近接させて第1及び第2把持部を閉じた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
【0008】
第1実施形態について、
図1Aから
図9Bを参照しながら説明する。
図1Aに示すように、この実施形態に係る処置システム10は、処置具12と、処置具12にエネルギを付与するコントローラ14とを有する。コントローラ14は処置具12の後述する第1及び第2エネルギ出力部62,64の温度を適宜の温度に制御する。なお、この実施形態では、コントローラ14を有する例について説明するが、コントローラ14は必ずしも必要ではない。すなわち、後述する第1及び第2エネルギ出力部62,64は必ずしも必要ではない。
コントローラ14には処置具12に付与する熱エネルギのON/OFFを切り替えるペダル16aを有するフットスイッチ16が接続されている。処置具12とコントローラ14との間は複数のリード線や信号線が束ねられた第1ケーブル18aにより電気的に接続され、コントローラ14とフットスイッチ16との間は複数のリード線や信号線が束ねられた第2ケーブル18bにより電気的に接続されている。フットスイッチ16はペダル16aの操作等によりコントローラ14に信号を入力することが可能であり、コントローラ14はフットスイッチ16のペダル16aの操作等に基づいて処置具12に付与するエネルギを制御可能である。
【0009】
図2に示すように、コントローラ14は、制御部(CPU)22と、エネルギ出力回路(発熱部駆動回路)24と、表示部26とを有する。エネルギ出力回路24及び表示部26は制御部22により制御される。表示部26は、コントローラ14の状態を表示したり、各種の設定をする際に用いられる。表示部26は、例えばタッチパネルが用いられることが好ましい。
なお、フットスイッチ16と制御部22とが接続され、フットスイッチ16のペダル16aが押圧されると、エネルギ出力回路24から後述する第1及び第2エネルギ出力部62,64にそれぞれエネルギが同時に出力される。
【0010】
図1Aに示すように、処置具12は、生体組織Lを処置する処置部42と、挿入部44と、操作部46とを有する。なお、処置部42の基端に直接操作部46が配設されていることも好適である。
図1A、及び、
図3から
図4Cに示すように、処置部42は、生体組織の保持部としての開閉可能な1対のジョー(第1及び第2ジョー)52,54と、ジョー52,54に配設されたエネルギ出力部(第1及び第2エネルギ出力部)62,64とを有する。第1ジョー52及び第1エネルギ出力部62は
図3に示す第1把持部72(
図1A参照)を形成し、第2ジョー54及び第2エネルギ出力部64は第2把持部74(
図1A参照)を形成する。
【0011】
なお、第1及び第2把持部72,74のジョー52,54は例えばセラミックや耐熱性及び電気絶縁性を有する樹脂、更には絶縁処理された金属材等が適宜に用いられる。また、第1及び第2把持部72,74のジョー52,54は断熱性を有する素材が用いられることが好ましい。
【0012】
図3に示すように、第1把持部72は、先端部76a及び基端部76bにより規定される長手軸(長手方向)Yと、長手軸Yに対して直交する方向に規定される幅方向Xとを有する。
図3から
図4Cに示すように、幅方向Xは、操作部46から処置部42を見て左側の左側端部(一端)78aと、右側の右側端部(他端)78bとを有する。すなわち、幅方向は左側端部(一端)78aと右側端部(他端)78bとにより規定される。第1把持部72は、先端部76a、基端部76b、一端78a及び他端78bにより第1把持面72aを規定する。同様に、第2把持部74は第1把持面72aに平行又は略平行に対向する第2把持面74aを規定する。
【0013】
なお、第1及び第2把持部72,74のエネルギ出力部62,64同士は互いに対向し、処置対象の生体組織Lを把持可能な把持面72a,72bとして用いられる。第1及び第2エネルギ出力部62,64は同時に昇温し始め、略同じ温度まで略同一時間で昇温することが好ましい。
【0014】
第1把持部72の把持面72aは、例えば挿入部44の中心軸Cに沿った方向に長く、長手方向Yに直交する幅方向Xが長手方向Yよりも小さい、略平板状に形成されている。第2把持部74は、第1把持部72と対称又は略対称に形成されている。すなわち、第2把持部74の把持面74aは、第1把持面72aと略対称に略平板状に形成されている。
【0015】
そして、第1及び第2把持部72,74の把持面72a,74aは、
図1Aに示すように、幅方向Xに直交又は略直交する方向に開閉方向(Z方向)を有する。すなわち、第1及び第2把持部72,74が開く開閉方向は、幅方向Xに直交又は略直交する。
【0016】
操作部46は、略L字状に形成された操作部本体82を有する。操作部本体82の一端(先端)82aには、挿入部44が配設されている。例えばこの挿入部44と略同軸上の操作部本体82の基端からは、上述したケーブル18aが延出されている。
【0017】
操作部本体82の他端82bは、術者(ユーザ)に握持される握持部である。操作部本体82はその他端82bに並設されるように、処置部開閉ノブ(開閉操作部)84を備えている。この実施形態では操作部本体82の他端82bの前側にノブ84が配置されている。ノブ84は操作部本体82の内部で図示しない枢支軸により回動可能、すなわち、操作部本体82の他端に対して近接及び離隔させることができる。そして、このノブ84の操作により、公知の機構を用いて処置部42の第1及び第2把持部72,74を離隔させて開いたり、近接させて閉じたりすることができる。ノブ84が操作されると、例えば挿入部44の内部に配置されたワイヤやロッド等の公知の手段により第1及び第2把持部72,74が
図1Aに示すZ方向に開閉される。なお、第1及び第2把持部72,74は操作部46のノブ84の操作により片方だけが動くようにしても良いし、両方が動くようにしても良い。このため、第1及び第2把持部72,74は相対的に開閉可能である。
【0018】
操作部本体82は、さらに、後述する回動体92をその中心軸C1の軸回りに回動させるための駆動ダイヤル(回動操作部)86を備えている。ダイヤル86は円盤状に限らず、扇形状であることも好適である。ダイヤル86は操作部本体82の内部で図示しない枢支軸により回動可能である。そして、このダイヤル86は操作部本体82の内側にあり、一部が操作部本体82の外側に突出して露出している。このため、ユーザの指でダイヤル86を適宜の方向に操作することで、回動体92をその中心軸Cの軸回りに回動させることができる。例えば、ダイヤル86を
図1A中の下側から上側に回動させたとき、後述する刃98を第1把持部72から第2把持部74に移動させて生体組織を切断可能であり、上側から下側に回動させたとき、刃98を第2把持部74から第1把持部72に収容可能である。なお、ダイヤル86の回動量は、回動体92の回動量に1対1に対応することが好ましい。また、ダイヤル86は例えば摩擦等、自然な状態で回動が防止され、ユーザの操作によって回動するように調整されている。
【0019】
図1Aに示すように、処置部42及び挿入部44の内部には、長手軸Yに平行であることが好適な中心軸C1を有する回動体92が配設されている。回動体92の基端は、操作部46のダイヤル(回動操作部)86に連結されている。このため、ダイヤル86を回動させると、回動体92が回動する。なお、回動体92の中心軸C1と挿入部44の中心軸Cとは、後述する刃98の位置によっては一致していても、ズレが生じていて良い。この実施形態では、回動体92の中心軸C1と挿入部44の中心軸Cとがズレている例について説明する。
【0020】
図5Aに示すように、回動体92は、ダイヤル86により回動される駆動部94と、駆動部94の先端にあり駆動部94の動作に追従して動作される曲面等で形成されたブレード状の作用部96とを備えている。駆動部94は、
図5Aに示すように円筒状などの筒状であることが好適であるが、筒状に限ることはなく、ダイヤル86の動作を作用部96に伝えることができるのであれば、例えば1/2パイプ等であることも好適である。回動体92は硬質材料で形成され、例えばステンレス鋼材等が用いられることが好ましい。
【0021】
作用部96は、例えば1/2パイプから1/12パイプ程度の間の範囲の角度で、1対の縁部96a,96bを有する。作用部96の先端縁部96cは円弧状に形成されていることが好適である。
この実施形態では1対の縁部96a,96bの一方の縁部96aには刃(切断部)98を有する。刃98は、その縁部96aの先端部98aから基端部98bにかけて連続的に形成されていることが好ましい。また、この実施形態では、刃98は、回動体92の中心軸C1に平行、且つ、
図5Bに示すように第1把持部72の把持面72aに対して平行である。回動体92の中心軸C1はダイヤル86の枢支軸に一致することが好ましい。刃98は所望の長さに形成することが可能である。刃98の長さは、幅方向Xすなわち後述する左側端部(一端)78aと右側端部(他端)78bとの間の長さよりも長いことが好適である。このため、第1及び第2開口112,114の長さ、第1及び第2凹溝122,124の長手軸Yに沿った長さも、幅方向Xの長さよりも長いことが好適である。
【0022】
なお、この実施形態では刃98は作用部96の一方の縁部96aに形成されているだけでなく、他方の縁部96bに形成されていても良い。
【0023】
図3から
図4Cに示すように、処置部42には回動体92の作用部96を案内可能な第1及び第2案内部102,104が配置されている。第1案内部102は第1把持部72に設けられ、第2案内部104は第2把持部74に設けられている。第1及び第2案内部102,104は、第1把持部72の第1把持面72aを通して第2把持部74に作用部96すなわち刃98を案内可能である。そして、第1把持部72の把持面72aを通して第2把持部74に刃98を案内する際に生体組織を切断することができる。
【0024】
第1案内部102は、第1把持部72の把持面72aに設けられ、幅方向Xの左側端部(一端)78aと右側端部(他端)78bとの間に刃98が出し入れされる第1開口112を有する。第2案内部104は、第2把持部74の把持面74aに設けられ、幅方向Xの左側端部78aと右側端部78bとの間に刃98が出し入れされ第1開口112に対向する第2開口114を有する。
【0025】
図3に示すように、第1開口112は幅方向Xの左側端部78aと右側端部78bとの間の略中央に形成されていることが好適である。ただし、第1開口112は幅方向Xの左側端部78aに近接していても、右側端部78bに近接していても良い。第2開口114は幅方向Xの左側端部78aと右側端部78bとの間の略中央に形成されていることが好適であるが、左側端部78aに近接していても、右側端部78bに近接していても良い。いずれにしても、第1及び第2開口112,114は対向している。
【0026】
第1案内部102は、第1把持部72の把持面72aから第1把持部72の裏面72bに向かって、第1開口112に連続した曲面状又は斜面状の第1凹溝122を有する。第2案内部104は、第2把持部74の把持面74aから第2把持部74の裏面74bに向かって、第2開口114に連続した曲面状又は斜面状の第2凹溝124を有する。
【0027】
第1凹溝122は、第1把持部72の把持面72aから裏面72bに近づくにつれて幅方向Xの左側端部(一端)78aに向かって延出されている。第2凹溝124は、第2把持部74の把持面74aから裏面74bに近づくにつれて幅方向Xの、第1凹溝122が延出された方向と同じ方向に延出されている。
【0028】
なお、
図5A及び
図5Bに示す作用部96の長さ、更には刃98の長さは適宜に設定可能であり、すなわち、長手軸Yに沿った第1開口112及び第2開口114の長さも適宜に設定可能である。
【0029】
次に、この実施形態に係る処置システム10の作用について説明する。
図4Aに示すように、回動体92の作用部96の縁部96aすなわち刃98を第1案内部102内に収容し、縁部96aすなわち刃98が第1開口112を通して第1把持面72aに対して突出しないようにしておく。
【0030】
処置対象の生体組織に処置部42を対峙させる。この状態で第1及び第2把持部72,74を開閉方向Zに開いて生体組織を第1及び第2把持面72a,74a間に把持する。
【0031】
第1及び第2把持面72a,74a、すなわち第1及び第2エネルギ出力部62,64にコントローラ14からエネルギを出力して、把持面72a,74aに当接した生体組織を適宜に加熱して脱水して変性させる。このため、第1及び第2把持部72,74間で挟持され、把持面72a,74aに当接した生体組織は、例えば凝固される。
【0032】
例えば凝固された生体組織を切断する場合、操作部本体82のダイヤル86をユーザの指等で
図1A中の下側から上側に向かって回動させる。ダイヤル86の回動により回動体92を回動させる。回動体92は、駆動部94がその中心軸Cの軸回りに回動する。このため、作用部96も駆動部94の回動に追従して回動する。
【0033】
したがって、
図4Aから
図4Cに示すように、作用部96の縁部96aすなわち刃98は、第1案内部102の第1凹溝122、第1案内部102の第1開口112、第2案内部104の第2開口114を通して第2案内部104の第2凹溝124に案内される。すなわち、回動体92は、作用部96の縁部96aを第1把持部72から第2把持部74に向かって移動可能である。このとき、第1把持部72の第1開口112と第2把持部74の第2開口114との間を縁部96aすなわち刃98が移動することによって把持面72a,74a間に把持した生体組織が切断される。
【0034】
このように、ダイヤル86をその回転軸C1の軸回りに回すだけで、長手方向Yに延出された刃98の長さ分だけ略同時に生体組織に接触させて、刃98を第2案内部104に移動させるだけで接触した生体組織を切断することができる。したがって、縁部96aすなわち刃98を移動させる距離を、第1開口112から第2開口114までの距離程度移動させるだけで、生体組織を切断することができる。
【0035】
ところで、刃を第1及び第2開口112,114の基端から先端に移動させる構造(長手軸Yに沿って刃を移動させる構造)として形成した場合、刃で生体組織を切断するために移動させる距離は、第1及び第2開口112,114間の距離よりも長くなることは明らかである。これに対して、この実施形態に係る縁部96aすなわち刃98は、第1及び第2開口112,114間、さらにはそれを僅かに超える距離だけを移動させるだけで生体組織を切断することができる。したがって、この実施形態に係る処置具12によれば、生体組織を切断する際の切断に係る、縁部96aすなわち刃98の移動距離を大幅に小さくすることができる。このため、操作部46のダイヤル86の動作距離も短くすることができ、生体組織の切断操作を容易に行うことができる。
【0036】
なお、この実施形態では、操作部46の操作部本体82に
図1Aに示すダイヤル86を配置した例について説明したが、
図1Bに示すレバー132を用いても、同様に使用することができる。レバー132の回動距離は、刃98で生体組織を確実に切断可能な距離であれば良い。
【0037】
また、この実施形態では、
図5Bに示すように、第1把持部72の把持面72aと縁部96aすなわち刃98が平行である例について説明した。
【0038】
図6Aに示すように、刃98は、長手軸Yに沿って先端部98a及び基端部98bを有する。
図6Bに示すように、刃98は、第1把持部72の把持面72aに対して平行ではなく、第1案内部102内の刃98を第1把持部72の把持面72aに対して突出させる際、先端部98a、基端部98bの順に突出するように形成されることも好適である。このとき、処置部42による生体組織の把持力量は処置部42の先端部76aに近接する側よりも処置部42の基端部76bに近接する側の方が大きくなる。このため、切断時に生体組織が第1及び第2把持面72a,74a間で動くことを防止でき、切断不良を防止することができる。
【0039】
図7Aに示すように、刃98は、長手軸Yに沿って先端部98a及び基端部98bを有する。
図7Bに示すように、刃98は、第1把持部72の把持面72aに対して平行ではなく、第1案内部102内の刃98を第1把持部72の把持面72aに対して突出させる際、基端部98b、先端部98aの順に突出するように形成されることも好適である。このとき、生体組織を処置部42の先端部76aに向かって押し出すように切断するので、生体組織の切断後に生体組織が処置部42の基端部76bに詰まることを防止することができる。
【0040】
図8Aに示すように、刃98は、長手軸Yに沿って先端部98a及び基端部98bを有する。刃98は、先端部98a及び基端部98bの間に中央部98cを有する。
図8Bに示すように、第1把持部72の把持面72aに対して平行ではなく、第1案内部102内の刃98を第1把持部72の把持面72aに対して突出させる際、先端部98a及び/又は基端部98b、先端部98a及び基端部98bの間の中央部98cの順に突出するように形成されることも好適である。このとき、処置部42による生体組織の把持力量は処置部42の先端部76aに近接する側よりも処置部42の基端部76bに近接する側の方が大きくなる。このため、刃98の特に先端部98aで生体組織を切断している際に生体組織が第1及び第2把持面72a,74a間で動くことを防止でき、切断不良を防止することができる。また、刃98の特に基端部98bで生体組織を処置部42の先端部76aに向かって押し出すように切断するので、生体組織を切断している際又は切断後に生体組織が処置部42の基端部76bに詰まることを防止することができる。
【0041】
図9A及び
図9Bに示すように、刃98は、長手軸Yに沿って先端部98a及び基端部98bを有する。刃98は、先端部98a及び基端部98bの間に中央部98cを有する。
図9Bに示すように、刃98は、第1把持部72の把持面72aに対して平行ではなく、第1案内部102内の刃98を第1把持部72の把持面72aに対して突出させる際、先端部98a及び基端部98bの間の中央部98c、先端部98a及び/又は基端部98bの順に突出するように形成されることも好適である。
【0042】
なお、この実施形態では、エネルギ出力部62,64は、ヒータを例にして説明したが、高周波電極等、生体組織にエネルギを付加して生体組織を処置可能なものであれば、種々のものを用いることができる。
【0043】
また、この実施形態では、
図4Aから
図4Cに示すように、第1案内部102の第1凹溝122と、第2案内部104の第2凹溝124とが略対称であるものとして描いたが、第1案内部102の第1凹溝122の方が、第2案内部104の第2凹溝124よりも深く形成されていることも好適である。
【0044】
また、この実施形態では、回動体92の作用部96を
図4Aから
図4Cに示すように回動させる例について説明したが、逆方向に回動させることによって、同様の作用及び効果を得ることができる。この場合、ダイヤル86は
図1Aに示す左側面ではなく、操作部本体82の右側面に配置されることが好ましい。
【0045】
次に、第2実施形態について、
図10を用いて説明する。この実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0046】
この実施形態では、回動体92の作用部96の縁部96aに刃98とともに、又は、刃98に代えてエネルギ出力部142を有する。すなわち、作用部96の縁部96aはヒータのようなエネルギ出力部142を有することも好適である。エネルギ出力部142からの熱を縁部96aに伝熱することにより生体組織に熱を加えつつカットするいわゆるホットカット可能なようにすることができる。このため、この実施形態に係る処置具12の回動体92の作用部96は適度な熱伝導性を有する素材が用いられることが好ましい。
【0047】
この実施形態に係るエネルギ出力部142は例えばコントローラ14に接続されている。このため、エネルギ出力部142からの伝熱作用により作用部96をエネルギ出力部142で加熱することができる。作用部96を加熱した状態で生体組織を切断する場合、作用部96の縁部96aを生体組織に当接させてその熱で脱水して焼灼切開していく。作用部96を加熱する等しても、第1実施形態で説明したのと同様に生体組織を切断することができる。
【0048】
縁部96aが刃98を有する場合、エネルギ出力部142による加熱作用とともに、さらに容易に生体組織を切断することができる。
【0049】
なお、この実施形態で説明したエネルギ出力部142が存在していれば、第1把持部72に第1エネルギ出力部62が配置され、第2把持部74に第2エネルギ出力部64が配置されていないこと、又は、第2ジョー54に第2エネルギ出力部64が配置され、第1ジョー52に第1エネルギ出力部62が配置されていないことはあり得る。さらには、第1把持部72に第1エネルギ出力部62が配置されていないこと、第2把持部74に第2エネルギ出力部64が配置されていないこともあり得る。
【0050】
すなわち、第1実施形態では、第1及び第2把持部72,74の少なくとも一方は、生体組織にエネルギを付加することで生体組織を処置可能なエネルギ出力部62,64を有するものとして説明したが、エネルギ出力部62,64は処置部42に配置されていなくても良い。その代わりに、エネルギ出力部142で作用部96を加熱することにより、生体組織を容易に切断することができる。
【0051】
次に、第3実施形態について、
図11Aから
図12Dを用いて説明する。この実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0052】
この実施形態では、第1実施形態で説明したダイヤル86の代わりの、回動体92を動作させる機構の変形例について説明する。
【0053】
図11Aに示すように、操作部本体82の内部には、回動体92を回動させる回動操作部の一部として、かさ歯車170が配置されている。かさ歯車170は駆動されると、その動力を回動体92に伝達して、回動体92をその中心軸C1の軸回りに回動させることができる。操作部本体82は、回動体92を回動させる回動操作部の一部として、回動体92を回動させる動力を伝達するかさ歯車170を駆動させ、すなわち回動体92をその中心軸C1の軸回りに回動させるための駆動ノブ(回動操作部)182を備えている。
【0054】
駆動ノブ182を操作部本体82の他端82bに対して遠位の状態から近位の状態に移動させると、かさ歯車170が駆動されて回動体92がその中心軸C1の軸回りに回動される。このとき、第1把持部72の第1案内部102から第2把持部74の第2案内部104に回動体92の作用部96の刃98が移動する。
【0055】
駆動ノブ182を操作部本体82の他端82bに対して近位の状態から遠位の状態に移動させると、かさ歯車170が駆動されて回動体92がその中心軸C1の軸回りに回動される。このとき、第2把持部74の第2案内部104から第1把持部72の第1案内部102に回動体92の作用部96が移動する。
【0056】
操作部46にかさ歯車170を介して回動体92を連動させる駆動ノブ182を配置しても、第1及び第2実施形態で説明した処置具12と同様に、生体組織を切断することができる。
【0057】
図12Aから
図12Cに示すように、駆動ノブ182は、かさ歯車170に連結された枢支軸184と、人差し指又は中指がかけられる指掛部186と、開閉ノブ84に当接される1対の当接面(第1当接部)188と、後述する連動体212の突起212aに当接する突起(第2当接部)190とを有する。駆動ノブ182は操作部本体82の内部に配置された枢支軸184により第1方向γ及び第2方向δに回動可能である。駆動ノブ182の指掛部186は操作部本体82の下端から外側に突出し、操作部本体82の他端82bの前側に配置されている。このため、駆動ノブ182の指掛部186を操作部本体82の他端82bに対して近接及び離隔させることができる。
【0058】
駆動ノブ182の指掛部186を操作部本体82の他端82bに対して近接操作すると、かさ歯車170を駆動させて回動体92を回動させ、回動体92の作用部96の縁部96aを第1案内部102から第2案内部104に移動させる。駆動ノブ182の指掛部186を操作部本体82の他端82bに対して離隔操作すると、かさ歯車170を駆動させて回動体92を回動させ、回動体92の作用部96の縁部96aを第2案内部104から第1案内部102に移動させる。
【0059】
図12Aから
図12Dに示すように、操作部本体82は、後述する連動体212の嵌合部(係合部)216が載置されて嵌合又は係合される嵌合受部(係合受部)202を有する支持部204を備えている。嵌合受部202は、縦断面が略L字状に形成されている。嵌合受部202は、操作部本体82の内部側が凹状に形成され、下端側(外側)が凸状に形成されている。
【0060】
処置部開閉ノブ(開閉操作部)84には、連動して動く連動体212が回転軸214により支持されている。回転軸214は連動体212の基端に支持されている。連動体212は、回転軸214により第1方向ε及び第2方向ζに回動可能である。連動体212は、開閉ノブ84に操作が入力されるのに伴って動き、開閉ノブ84が枢支軸84aの軸回りに第1方向αに回動されると第1方向ε又は第2方向ζに回動して操作部本体82に係合されたときに開閉ノブ84が第2方向βに回動するのを規制する。
【0061】
連動体212は、操作部本体82の嵌合受部202に嵌合可能な嵌合部216をその先端に有する。開閉操作レバー84と連動体212との間には、連動体212の嵌合部216を操作部本体82の嵌合受部202に向かって付勢する弾性体218が配置されている。
【0062】
図12Aから
図12Cに示すように、連動体212は、操作部本体82の下端に向かって突出する突起212aを有する。言い換えると、連動体212は、駆動ノブ(第2操作入力体)182の突起190に当接されるように駆動ノブ182に向かって突出する突起212aを有する。
【0063】
図12Aから
図12Dに示すように、駆動ノブ182の突起190は1対の当接面188の基端側縁部よりも指掛部186に近接する位置にあり、1対の当接面188の間に形成されている。このため、突起190と当接面188との間には空間188aが形成されている。なお、
図12Cに示すように、連動体212は、駆動ノブ182の1対の当接面188に当接せず、駆動ノブ182の突起190と、連動体212の突起212aとが当接される。そして、連動体212が操作部本体82に嵌合された状態で駆動ノブ182が第1方向γに回動されたとき、駆動ノブ182は開閉ノブ84に当接されるよりも先に連動体212に当接される。当接面188は、例えば平面カムとして形成されている。
図12Aに示す駆動ノブ182の当接面188と開閉ノブ84との接触位置と、
図12Cに示す駆動ノブ182の当接面188と開閉ノブ84との接触位置とを比較すると、前者の方が駆動ノブ182の枢支軸184との間の距離が小さい。そして、平面カムとして形成された当接面188は、
図12Cに示す位置の開閉ノブ84を
図12Aに示す位置に戻す際、第1及び第2把持部72,74を閉じた状態を極力維持しながら、作用部96の刃68を第2案内部104から第1案内部102に移動させることができるように調整されている。このため、生体組織を把持しない状態で作用部96が第1案内部102から第2案内部104に向かって案内されることを防止できる。
【0064】
次に、この実施形態に係る治療処置システム10の作用について
図12Aから
図12Cを用いて説明する。
開閉ノブ84及び駆動ノブ182が
図12Aに示す位置にある状態から、開閉ノブ84を第1方向αに回動させるように操作して、開閉ノブ84を操作部本体82の他端82bに近接させる。このとき、連動体212は弾性体218により操作部本体82の支持部204に付勢されている。このため、連動体212の嵌合部216は操作部本体82の支持部204に当接しながら支持部204の嵌合受部202に近接していく。すなわち、開閉ノブ84の移動に伴って回転軸214に支持された連動体212の嵌合部216が操作部本体82の嵌合受部202に近接していく。このとき、連動体212は回転軸214により、開閉ノブ84に対して相対的に第2方向ζに移動することがあり得る。そして、
図12Bに示すように、連動体212の嵌合部216が操作部本体82の嵌合受部202に嵌合又は係合される。このとき、連動体212は回転軸214により、開閉ノブ84に対して第1方向εに回動する。
【0065】
ここで、連動体212の嵌合部216が嵌合受部202に嵌合した状態を維持するように弾性体218は連動体212に付勢力を負荷している。このため、開閉ノブ84を第2方向βに回動させるのが規制されている。
【0066】
開閉ノブ84が第1方向αに回動されたとき、把持面72a,74aで生体組織を把持することができる。そして、把持面72a,74aで把持した生体組織をエネルギを用いて適宜に処置することができる。
【0067】
生体組織を適宜に処置した後、駆動ノブ182を第1方向γに回動させ、開閉ノブ84に向かって近接させる。このとき、
図12Cに示すように、駆動ノブ182は、開閉ノブ84に当接されるよりも先に、連動体212に当接される。具体的には、駆動ノブ182の突起190が連動体212の突起212aに当接される。そして、弾性体218の付勢力に抗して連動体212を回転軸214の軸回りの第2方向ζに跳ね上げ、嵌合受部202に嵌合部216が嵌合又は係合された状態を解除する。そして、駆動ノブ182の1対の当接部188は、開閉ノブ84に当接される。
すなわち、駆動ノブ182の1対の当接部188が開閉ノブ84に当接されたとき、既に、連動体212を回転軸214の軸回りの第2方向ζに回動させ、嵌合受部202に嵌合部216が嵌合又は係合された状態を解除し終わっている。
【0068】
駆動ノブ182を第1方向γに回動させると、回動体92が中心軸C1の軸回りに回動する。このため、生体組織を作用部96の刃98で切断することができる。
【0069】
ここで、駆動ノブ182で操作部本体82の内部に向かって連動体212を回転軸214の軸回りの第2方向ζに跳ね上げているので、連動体212の嵌合部216は操作部本体82の嵌合受部202に嵌合されていない状態である。このため、開閉ノブ84を第2方向βに回動可能である。そして、開閉ノブ84を第2方向βに回動させると、開閉ノブ84に当接された駆動ノブ182も第2方向δに回動する。そして、開閉ノブ84に連動する連動体212の嵌合部216は、操作部本体82の支持部204の嵌合受部202に対して離隔する。
【0070】
したがって、作用部96の刃98が第2案内部104から第1案内部102に移動して生体組織に対して引き抜かれるとともに、第1把持部72に対して第2把持部74が開く。すなわち、回動体92が動作されるとともに、処置部42も動作される。
【0071】
開いた状態の第1及び第2把持部72,74を生体組織に対して前方に進めて、開閉ノブ84を操作部本体82の他端82bに近接させて第1及び第2把持部72,74を閉じ、フットスイッチ16のペダル16aを踏んで熱エネルギで生体組織を処置する。その後、駆動ノブ182を操作して回動体92の作用部96の刃98で生体組織を切断する。さらにその後、開閉ノブ84を第2方向βに向かって回動させながら作用部96を第2案内部104から第1案内部102の内部に引き込んでいく。このような作業を順に繰り返して、把持面72a,74a間の生体組織だけでなく、その前方にある生体組織を連続的に接合しつつ切断していくことができる。
【0072】
上述した操作部46の動作について、概略的に説明する。まず、操作者に保持される操作部本体82に対して、第1及び第2方向α,βに回動可能な開閉ノブ84を第1方向αに回動させて処置部42を動作させて生体組織に対して処置部42が有する機能を発揮させている。次に、開閉ノブ84を回動させるのに伴って連動して第3及び第4方向ε,ζに回動可能な連動体212を適宜に回動させて操作部本体82に対して係合させて、処置部42を動作させて生体組織に対して機能を発揮させた状態を維持している。このように処置部42を動作させた状態を維持した状態で、第5及び第6方向γ,δに回動可能な駆動ノブ182を第5方向γに回動させて回動体92をその中心軸C1の軸周りに回動させて生体組織に対して回動体92が有する機能を発揮させている。そして、駆動ノブ182を第5方向γに回動させるのに伴って連動体212を第4方向ζに回動させて、操作部本体82に対する連動体212の係合を解除している。最後に、開閉ノブ84を第2方向βに回動させるのに伴って処置部42が有する機能の発揮を停止させるとともに、駆動ノブ182を第6方向δに回動させて、回動体92が有する機能の発揮を停止させている。
【0073】
以上説明したように、この実施形態によれば以下のことが言える。
操作部本体82に対して回動可能に支持された開閉ノブ84を第1方向αに回動させて生体組織を第1及び第2把持部72,74で保持した後、フットスイッチ16のペダル16aを踏んで、エネルギ出力部44,54間に把持した生体組織に熱エネルギを付加する処置を行うことができる。この状態で駆動ノブ182を操作することで開閉ノブ84に連動した連動体212が操作部本体82に係合した状態を解除することができるとともに、作用部96の縁部96aで生体組織を切断することができる。
【0074】
したがって、生体組織を1対の把持部72,74間に把持して把持した生体組織にエネルギ出力部44,54からエネルギを出力して処置(処置部42で処置)し、処置した生体組織を回動体92の作用部96の縁部96aでカットする処置をし、1対の把持部72,74間での生体組織の把持を解除しながら回動体92の作用部96の縁部96aを第1把持部72の第1案内部102に引き込む、という一連(1サイクル)の動作を、術者の片手では、開閉ノブ84及び駆動ノブ182の操作だけで済ますことができ、すなわち、余分な操作をする必要がなく行うことができる。
【0075】
そして、操作部本体82に嵌合した状態の連動体212を、駆動ノブ182の操作により嵌合を解除することができるので、この実施形態では、連動体212を開閉ノブ84に連動させるだけでなく、駆動ノブ182に連動させることができる。したがって、例えば駆動ノブ182を前進させて生体組織を切断して後退させた後に、開閉ノブ84を操作部本体82に対して嵌合した状態を解除するという手間を省くことができる。このため、生体組織に対するエネルギを用いた処置及びその生体組織のカットという一連の作業を効率的に行うことができ、処置しカットした生体組織の前方にある生体組織を同様に処置及びカットする際の作業の効率性を大きく向上させることができる。
【0076】
なお、連動体212が操作部本体82に嵌合された状態で駆動ノブ182が第1方向γに回動されたとき、駆動ノブ182が開閉ノブ84に当接されるよりも先に駆動ノブ182を当接されるのであれば、突起190,212aの両方又は片方は必ずしも必要ではない。
【0077】
なお、この実施形態では、かさ歯車170を用いる例について説明したが、かさ歯車の一種であるマイタギヤを用いることも好適である。
【0078】
次に、第4実施形態について、
図13A及び
図13Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第3実施形態の変形例であって、第1から第3実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0079】
この実施形態では、回動体92を動作させる機構の変形例について説明する。
【0080】
図13Bに示すように、操作部46の操作部本体82の内部には、回転モータ等のアクチュエータ252が配置されている。
図13A及び
図13Bに示すように、操作部本体82の外部には、アクチュエータ252によって回動体92を動作させるスイッチ(回動操作部)254が配置されている。
【0081】
図13Aに示すように、スイッチ254は、例えばレバー256を備えている。この実施形態では、レバー256は、2つのモードに切替可能である。第1モードは、アクチュエータ252の動作を停止させる停止位置、すなわち、回動体92の作用部96の刃98を第1案内部102の内部に移動させる初期復帰位置である。第2モードは、アクチュエータ252を動作させ回動体92の作用部96の刃98を第1案内部102から第2案内部104に移動させて生体組織を切断するカット位置である。
【0082】
このため、第1モードから第2モードにレバー256の位置を切り替えた場合、回動体92の作用部96の刃98を第1案内部102から第2案内部104に移動させる。その後、第2モードから第1モードにレバー256の位置を切り替えた場合、回動体92の作用部96の刃98を第2案内部104から第1案内部102に移動させる。
【0083】
アクチュエータ252及びスイッチ254はコントローラ14の制御部22に接続されていることが好ましい。このため、エネルギ出力回路24からのエネルギ出力時に、レバー256をカット位置に移動させてもアクチュエータ252を動作させないなど、アクチュエータ252を適宜に制御することができる。
【0084】
また、この実施形態ではアクチュエータ252を操作部本体82に配置した例について説明したが、例えば挿入部44の内部にアクチュエータ252が配置されていることも好適である。
【0085】
次に、第5実施形態について
図14を用いて説明する。この実施形態は第1から第4実施形態の変形例であって、第1から第4実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0086】
上述した第1から第4実施形態の処置具12では、処置部42と操作部46との間に挿入部44を配置する例について説明したが、
図14に示す処置具12aのように、挿入部44は必ずしも必要ではない。スイッチ254aは、例えば、押圧されるとアクチュエータ252(
図13B参照)を作用させて回動体92の作用部96の縁部96aを第2案内溝104に向けて移動させ、押圧が解除されるとアクチュエータ252を作用させて回動体92の作用部96の縁部96aを第1案内溝102に向けて移動させることができる。
【0087】
次に、第6実施形態について
図15Aから
図15Cを用いて説明する。この実施形態は第1から第5実施形態の変形例であって、第1から第5実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0088】
第6実施形態に係る処置具12の処置部開閉ノブ84は、処置部開閉ノブ84を操作部本体82の他端に対して近接させて処置部42の第1把持部72と第2把持部74を近接させて閉じる前には、作用部96の縁部96aを第2案内溝104(
図4Aから
図4C参照)に向けて移動できなくするよう、ダイヤル86(
図1A参照)、レバー132(
図1B参照)、スイッチ254(
図13A及び
図13B参照)、スイッチ254a(
図14参照)を被覆するカバー262を有する。
【0089】
図15A及び
図15Bに示すように、カバー262はノブ84から操作部本体82の外周面に沿って延出されるように形成されている。カバー262は、ノブ84を操作部本体82の他端82bに対して離隔させて、処置部42の第1把持部72と第2把持部74とを離隔させて開いた状態において、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)を操作不能に覆うことができる。さらに、
図15Cに示すように、カバー262は、ノブ84を操作部本体82の他端82bに対して近接させて、処置部42の第1把持部72と第2把持部74とを近接させて閉じた状態において、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)を操作可能に露出させることができる。また、カバー262はノブ84の回動(操作部本体82の他端82bに対する近接及び離隔)に応じて操作部本体82と干渉しないように操作部本体82の外表面に沿って
図15Aに示す状態から
図15Cに示す状態へ移動するように形成されている。
【0090】
すなわち、開閉ノブ(開閉操作部)84は、第1及び第2把持部72,74が近接し閉じた状態において少なくとも回動動操作部としてのダイヤル86、レバー132、スイッチ254,254aの一部を覆
わないように構成されている。また、開閉ノブ(開閉操作部)84は、第1及び第2把持部72,74が離隔し開いた状態において回動操作部としてのダイヤル86、レバー132、スイッチ254,254aを覆
うように構成されている。
【0091】
なお、カバー262は、
図15Bに示すように、操作部本体82の左側面及び右側面を保護するように描いているが、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)が操作部本体82の左側面に配設されている場合、左側面にのみ形成され、右側面に配設されている場合、右側面にのみ形成されていることも好適である。
【0092】
図15Aから
図15Cについて詳細を説明する。ノブ84から延出したカバー262は操作部本体82の外表面に沿って、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)が設置されている位置まで延伸している。カバー262は
図15Aの状態において、術者がダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)の操作することを妨げるように種々の構成を採ることができる。例えば、カバー262はダイヤル86、レバー132、スイッチ254、スイッチ254aに沿って延伸し、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)の全体を覆うような幅を持つように構成できる。カバー262は、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)を操作できない状態になるのであれば、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)の一部を覆うように構成しても良い。
【0093】
なお、操作部本体82は、その他端82bに対する開閉ノブ84の最も離隔する位置(
図15A参照)を当接部264aにより規定し、最も近接する位置(
図15C参照)を当接部264bにより規定することができる。
【0094】
上記構成を採ることにより、
図15Cに示すように、術者はノブ84を操作部本体82の他端82bに対して近接させて処置部42の第1把持部72と第2把持部74を近接させて閉じなければ、ダイヤル86(ダイヤル86の代わりに、レバー132、スイッチ254,254aでも良い)の操作を行えない。このため、術者が開閉ノブ84を操作部本体82の他端82bに対して離隔させた状態では、作用部96の縁部96aを第2案内溝104に向けて移動できない。従って、第1把持部72と第2把持部74とを離隔させて開き、作用部96の縁部96aが第1把持部72の把持面72aから露出した状態で、第1把持部72と第2把持部74を開いたり閉じたりすることを防ぐことができる。
【0095】
次に、第7実施形態について
図16A及び
図16Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第6実施形態の変形例であって、第1から第6実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0096】
この実施形態は、特に第6実施形態の変形例である。第7実施形態に係る処置具12の処置部開閉ノブ84は、処置部開閉ノブ84を操作部本体82の他端に対して近接させて処置部42の第1把持部72と第2把持部74を近接させて閉じる前には、作用部96の縁部96aを第2案内溝104(
図4Aから
図4C参照)に向けて移動できなくするよう、駆動ノブ182(
図11A、
図12Aから
図12C参照)を被覆するカバー266を有する。
【0097】
図16Aに示すように、カバー266はノブ84から前方に延出されるように形成されている。カバー266は、ノブ84を操作部本体82の他端82bに対して離隔させて、処置部42の第1把持部72と第2把持部74とを離隔させて開いた状態において、駆動ノブ182を操作不能に覆うことができる。さらに、
図16Bに示すように、カバー266は、ノブ84を操作部本体82の他端82bに対して近接させて、処置部42の第1把持部72と第2把持部74とを近接させて閉じた状態において駆動ノブ182を操作可能に露出させることができる。また、カバー266はノブ84の回動(操作部本体82の他端82bに対する近接及び離隔)に応じて操作部本体82と干渉しないように操作部本体82の外表面に沿って
図16Aに示す状態から
図16Bに示す状態へ移動するように形成されている。
【0098】
すなわち、開閉ノブ(開閉操作部)84は、第1及び第2把持部72,74が近接し閉じた状態において少なくとも回動動操作部としての駆動ノブ182の一部を覆うように構成されている。また、開閉ノブ(開閉操作部)84は、第1及び第2把持部72,74が離隔し開いた状態において回動操作部としての駆動ノブ182を覆わないように構成されている。
【0099】
なお、カバー266は、
図16Aに示すように、駆動ノブ182の前側を覆うように描かれているが、駆動ノブ182を操作不能にするだけでなく、術者が触れるのを防止するために、前側だけでなく、左側面及び右側面を覆うように形成されていることも好適である。
【0100】
駆動ノブ182は開閉ノブ84の操作部本体82に対する取り付け位置よりも先端側に位置するように操作部本体82に設置されている。駆動ノブ182は、操作部本体82の先端側から基端側に向かって回動若しくは押し込み可能に構成されている。カバー266はノブ84から操作部本体82の先端側に延出され、駆動ノブ182が設置されている位置まで延伸されている。カバー266は
図16Aの状態において、術者が駆動ノブ182の操作を妨げるように種々の構成を採ることができる。例えば、カバー266は駆動ノブ182に沿って延伸し、駆動ノブ182の全体を覆うような幅を持つように構成できる。駆動ノブ182を操作できない状態になるのであれば、駆動ノブ182の一部を覆うように構成しても良い。
【0101】
上記構成を採ることにより、
図16Bに示すように、術者はノブ84を操作部本体82の他端82bに対して近接させて処置部42の第1把持部72と第2把持部74を近接させて閉じなければ、駆動ノブ182の操作を行えない。このため、術者が開閉ノブ84を操作部本体82の他端82bに対して離隔させた状態では、作用部96の縁部96aを第2案内溝104に向けて移動できない。従って、第1把持部72と第2把持部74とを離隔させて開き、作用部96の縁部96aが第1把持部72の把持面72aから露出した状態で、第1把持部72と第2把持部74を開いたり閉じたりすることを防ぐことができる。
【0102】
なお、詳細は図示しないが、
図15Aから
図15Cに示す第6実施形態で説明したカバー262と、
図16A及び
図16Bに示す第7実施形態で説明したカバー266の両者が処置部開閉ノブ84に形成されていることも好適である。
【0103】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。