(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、どのガーゼにカバーがされているのかを外部から視認することができない。このため、カバーが正しく動作したか否かを確認するためには百葉箱を開けなければならず、装置の動作に係る確認作業が煩雑であった。また、大気中に曝露されるガーゼが設置される場所は、一般的なヒトの身長を超える高所であることが多い。このため、係る場所で確認作業を行うのは極めて煩雑であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大気浮遊塩分等の粒子状物質を捕集する部材の曝露状態と非曝露状態との切り替わりに係る動作の確認をより容易に行うことができる粒子状物質捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明による粒子状物質捕集装置は、大気に含まれる粒子状物質を付着させて捕集する捕集部を有する捕集ユニットと、前記捕集部を大気中に曝露させる通気部と、前記捕集部を収納する収納部とが一体に設けられた筐体と、前記筐体内で前記捕集ユニットを移動可能に支持して前記捕集部を前記通気部と前記収納部との間で移動可能にする支持部と、前記捕集ユニットを移動させて前記捕集部を前記通気部と前記収納部との間で移動させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、捕集ユニットは、少なくとも一部に指標が付され、前記収納部は、収納している前記捕集ユニットに付された前記指標の位置を外部から確認可能な透過部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記捕集ユニットは、複数の前記捕集部を有し、前記筐体は、前記捕集ユニットが有する複数の前記捕集部のうち一つの前記捕集部が前記通気部に存する場合に他の前記捕集部が前記収納部に位置するよう設けられてもよい。
【0009】
本発明において、前記捕集ユニットは、複数の前記捕集部同士の間を区切る区切り部を有し、前記区切り部に前記指標が付されていてもよい。
【0010】
本発明において、前記指標は、前記区切り部に施された着色であってもよい。
【0011】
本発明において、三以上の前記捕集部同士の間を個別に区切る複数の前記区切り部の各々に施された色はそれぞれ異なる色であってもよい。
【0012】
本発明において、前記捕集ユニットは、直線状に設けられた複数の前記捕集部を有し、前記収納部は、前記通気部に移動する前の前記捕集部を収納する曝露前収納部と、前記通気部に移動した後の前記捕集部を収納する曝露後収納部とを備え、前記曝露前収納部と前記曝露後収納部とは前記直線と同一直線上に設けられており、前記曝露前収納部及び前記曝露後収納部はそれぞれ、少なくとも複数の前記捕集部の数から1を差し引いた数の前記捕集部を収納可能であってもよい。
【0013】
本発明において、前記収納部は、地面に対して立設する所定方向に沿って設けられた筒状の形状を有し、前記透過部は、前記所定方向に直交する平面に沿った前記収納部の断面において、前記収納部の外周面の複数個所に設けられていてもよい。
【0014】
本発明において、前記通気部には、屋根と、側方に設けられた通気用の開口部とを有する箱体が設けられていてもよい。
【0015】
本発明において、前記箱体は、前記側方にルーバーを有してもよい。
【0016】
本発明において、前記捕集部は、弾性体かつ多孔質体であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る粒子状物質捕集装置は、大気浮遊塩分等の粒子状物質を捕集する部材の曝露状態と非曝露状態との切り替わりに係る動作の確認をより容易に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る粒子状物質捕集装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施形態1)
図1は、本発明に係る粒子状物質捕集装置の実施形態1(粒子状物質捕集装置1)を示す図である。
図2は、
図1に示す粒子状物質捕集装置1の断面図である。粒子状物質捕集装置1は、捕集ユニット10と、筐体20と、駆動部50と、制御部60と、を備える。
【0021】
図3は、ガーゼ112が巻きつけられていない支持体111の一例を示す斜視図である。
図4は、ガーゼ112が巻き付けられた支持体111の一例を示す斜視図である。捕集ユニット10は、大気に含まれる粒子状物質を付着させて捕集する捕集部11を有する。具体的には、捕集ユニット10は、例えば、通気性を有する円筒状の支持体111と、当該支持体111の円筒状の外周部に巻き付けられたガーゼ112とにより構成された捕集部11が設けられている。支持体111の円筒状の外周部は、例えば網目状の隙間を有する等、巻き付けられたガーゼ112の通気性を確保可能に設けられている。支持体111の円筒状の外周部にはガーゼ112が巻きつけられ、さらにガーゼ112の外側から糸等の固定部材(図示略)により緊縛されている。固定部材は、ガーゼ112を支持体111に固定する。固定部材は、ガーゼ112を支持体111に固定することができる部材であればよく、例えば輪ゴム等であってもよい。支持体111に巻き付けられたガーゼ112は、大気中に曝露された状態である場合に、大気に含まれる粒子状物質(例えば、海塩粒子等の大気浮遊塩分)を付着させて捕集する。
【0022】
実施形態1の支持体111は、一直線状に複数設けられている。具体的には、複数の支持体111は、地面に対して立設する所定方向(例えば鉛直方向)に沿って一直線状に設けられている。支持体111は、その形状である円筒の中心軸方向が所定方向に沿うよう設けられている。このように、実施形態1の捕集ユニット10は、一直線状に設けられた複数の捕集部11を有する。実施形態1に係る説明では、
図1等に示すように一直線状に設けられた三つの捕集部11について、より上に存する捕集部11から順に、捕集部11a,11b,11cと個別の符号を付して説明する場合がある。これらの捕集部11a,11b,11cを区別する必要がない場合、捕集部11と記載する。
【0023】
実施形態1の捕集ユニット10は、複数の捕集部11同士の間を区切る区切り部12,13を有する。具体的には、捕集ユニット10は、例えば、複数の捕集部11間に設けられた円盤状の区切り部12,13を有する。区切り部12,13の径は、ガーゼ112が巻き付けられた捕集部11の外径よりも大きいことが望ましい。また、区切り部12,13と同様の構成を、一直線状に設けられた複数の捕集部11の両端側に設けてもよい。以下、両端側に設けられた区切り部12,13と同様の構成を、末端部14,15と記載することがある。実施形態1の捕集ユニット10は、
図2に示すように、所定方向に沿って設けられた三つの捕集部11と、三つの捕集部11の間に設けられた二つの区切り部12,13と、所定方向に沿う三つの捕集部11の両端に設けられた二つの末端部14,15とを有する。実施形態1の捕集ユニット10は、これらの捕集部11、区切り部12,13及び末端部14,15が一本のシャフト16によって連結された構造体である。シャフト16は、これらの断面形状である円の中心を通すよう設けられている。以下、二つの区切り部12,13及び二つの末端部14,15を区別するため、
図2に記載された捕集ユニット10においてより上側に位置する構成から順に、上の末端部14、上の区切り部12、下の区切り部13、下の末端部15と記載することがある。これらの区別が必要ない場合、単に区切り部12,13、末端部14,15と記載することがある。
【0024】
区切り部12,13及び末端部14,15のうち捕集部11の下側に位置するものは、上側から落下したものを貯留可能な形状、例えば器状又は皿状の形状を有していてもよい。この場合、区切り部12,13の直上に存する捕集部11から落下した塩分の結晶等を区切り部12,13に貯留することができ、捕集部11により捕集された物質をより高精度に各捕集部11単位で取り扱うことができる。
【0025】
捕集ユニット10は、少なくとも一部に指標が付されている。具体的には、例えば、円盤状の区切り部12,13及び末端部14,15の側部及び下面部には、指標となる着色が施されており、区切り部12,13及び末端部14,15の各々に施された色はそれぞれ異なる色である。より具体的には、例えば、上の末端部14、上の区切り部12、下の区切り部13、下の末端部15はそれぞれ、緑色、黄色、赤色、青色に着色されている。このように、実施形態1では、区切り部12,13に指標として機能する着色が施されている。また、三以上の捕集部11同士の間を個別に区切る複数の区切り部12,13の各々に施された色はそれぞれ異なる色である。なお、上記にて説明した上の末端部14、上の区切り部12、下の区切り部13、下の末端部15の色はあくまで一例であり、適宜別の色を採用可能である。
【0026】
筐体20は、捕集部11を大気中に曝露させる通気部と、捕集部11を収納する収納部41,42とを有する。筐体20は、通気部と収納部41,42とが一体に設けられている。具体的には、例えば、通気部には、屋根31と、側方に設けられた通気用の開口部32とを有する箱体30が設けられている。具体的には、実施形態1の箱体30は、側方にルーバーを有する。より具体的には、例えば、直方体状の箱体30の四つの側面部はそれぞれ、複数の羽板33が上下方向に間隔をあけて互いに平行になるように設けられている。羽板33同士の間の隙間である開口部32が設けられていることで、箱体30は、その内部に箱体30外の大気(風)を通過させることができるように設けられている。羽板33は、箱体30の内側から外側に向かって下方に傾斜するよう設けられている。これにより、雨等の降下物が開口部32から箱体30の内側に入り込むことを抑制することができる。
【0027】
図5乃至
図7は、捕集ユニット10が有する捕集部11と収納部41,42との位置関係の一例を示す図である。
図5乃至
図7では、箱体30の内容積を破線で示している。収納部41,42は、当該箱体30の上下から所定方向に沿って延出している。実施形態1の収納部41,42は、通気部に移動する前の捕集部11を収納する曝露前収納部41と、通気部に移動した後の捕集部11を収納する曝露後収納部42とを備える。実施形態1では、曝露前収納部41が箱体30の下方に延出し、曝露後収納部42が箱体30の上方に延出している。曝露前収納部41及び曝露後収納部42はそれぞれ、二つ分の捕集部11及びこれらの捕集部11の上下に設けられている区切り部12,13及び末端部14,15を収納可能に設けられている。以下、曝露前収納部41と曝露後収納部42とを区別する必要がない場合、単に収納部41,42と記載することがある。
【0028】
図5に示すように、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち一番上に存する捕集部11aが通気部に存する場合、当該捕集部11は箱体30内で大気中に曝露される。この場合、当該捕集部11を除く他の捕集部11は、曝露前収納部41に収納される。また、
図6に示すように、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち上から二番目に存する捕集部11bが通気部に存する場合、当該捕集部11は箱体30内で大気中に曝露される。この場合、一番上の捕集部11aは、曝露後収納部42に収納される。また、この場合、一番下の捕集部11cは、曝露前収納部41に収納される。また、
図7に示すように、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち一番下に存する捕集部11cが通気部に存する場合、当該捕集部11は箱体30内で大気中に曝露される。この場合、当該捕集部11を除く他の捕集部11は、曝露後収納部42に収納される。すなわち、実施形態1では、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち、より上に存する捕集部11がより先に大気中に曝露され、所定期間(例えば、30日)毎に捕集ユニット10が上方に移動して大気中に曝露される捕集部11が切り替わるようになっている。このように、筐体20は、捕集ユニット10が有する複数の捕集部11のうち一つの捕集部11が通気部に存する場合に他の捕集部11が収納部41,42に位置するよう設けられる。
【0029】
上記のように、実施形態1の曝露前収納部41及び曝露後収納部42はそれぞれ、複数の捕集部11の数から1を差し引いた数の捕集部11を収納可能である。無論、曝露前収納部41及び曝露後収納部42の少なくともいずれか一方は、より多くの捕集部11、すなわち、全ての捕集部11を収納可能であってもよい。曝露前収納部41が全ての捕集部11を収納可能である場合、粒子状物質の捕集を開始する所定の開始タイミングまで全ての捕集部11を曝露前収納部41に収納可能である。また、曝露後収納部42が全ての捕集部11を収納可能である場合、粒子状物質の捕集を終了した終了タイミング後、作業者が捕集ユニット10のガーゼ112等を回収するときまで全ての捕集部11を曝露後収納部42に収納可能である。
【0030】
実施形態1の筐体20は、筐体20内で捕集ユニット10を移動可能に支持して捕集部11を通気部と収納部41,42との間で移動可能にする支持部としての機能を有する。具体的には、例えば、収納部41,42は、円筒状の内径を有する筒状の部材である。曝露前収納部41と曝露後収納部42の中心軸及び捕集ユニット10の中心軸は、同一直線上に存する。すなわち、曝露前収納部41と曝露後収納部42とは、通気部を挟む位置関係で、複数の捕集部11と同一直線上に設けられている。言い換えれば、実施形態1における通気部は、箱体30の内側であって、曝露前収納部41と曝露後収納部42との間に存する領域である。曝露前収納部41の下端は、底板43により塞がれている。曝露後収納部42の上端は、駆動部50及び天井板44により塞がれている。底板43と天井板44とは、縁部が複数本(例えば、三本)のシャフト48により接続されていてもよい(
図11参照)。収納部41,42の内径は、区切り部12,13及び末端部14,15の径よりもわずかに大きい。収納部41,42の内周面と区切り部12,13及び末端部14,15の外縁との間のクリアランスは、収納部41,42に沿って捕集ユニット10が上下動するのを妨げず、かつ、収納部41,42内で捕集ユニット10が所定方向以外の方向に不要に傾かないよう、予め定められた大きさとなっている。なお、収納部41,42の内周部と、区切り部12,13及び末端部14,15とは、捕集ユニット10の移動を妨げない程度に摺接してもよい。区切り部12,13及び末端部14,15が、実質的に収納部11の蓋として機能するようにしてもよい。また、実施形態1では、一つの捕集部11が通気部に存する場合、当該捕集部11の直上に位置する区切り部12,13又は末端部14,15が曝露後収納部42に収納され、かつ、当該捕集部11の直下に位置する区切り部12,13又は末端部14,15が曝露前収納部41に収納される状態になる。言い換えれば、曝露前収納部41と曝露後収納部42との所定方向に沿う間隔の大きさと、捕集部11の所定方向に沿う幅との関係は、係る状態が実現されるように設定されている。すなわち、
図5に示すように、上の末端部14は、必ず曝露後収納部42に存する。このため、捕集ユニット10は、上方に移動する場合に少なくとも上の末端部14が曝露後収納部42にガイドされる状態となる。また、
図7に示すように、一番下の捕集部11cが通気部に存する状態でも下の末端部15は曝露前収納部41内に存するため、捕集ユニット10は、上方に移動する場合に少なくとも下の末端部15が曝露前収納部41にガイドされる状態となる。このように、捕集ユニット10は、大気中に曝露される捕集部11の切り替わりに際して上方に移動する場合、少なくとも上下端が収納部41,42にガイドされる状態になる。係る構造を有する収納部41,42は、収納部41,42が設けられた直線上から捕集ユニット10が逸脱することを抑止し、筐体20内で捕集ユニット10を移動可能に支持して捕集部11を通気部と収納部41,42との間で移動可能にする支持部として機能する。
【0031】
上記のように、実施形態1の筐体20は、筐体20内で捕集ユニット10を移動可能に支持して捕集部11を通気部と収納部41,42との間で移動可能にする支持部としての機能を有するが、これは筐体20及び支持部の形態の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、ガイドレール等のガイド部材を収納部41,42の延出方向に沿って収納部41,42内に設けるようにしてもよい。この場合、捕集ユニット10は、当該ガイド部材により移動可能に支持される。より具体的には、例えば捕集ユニット10の上下端には当該ガイド部材に沿って移動可能な状態で当該ガイド部材と連結された連結部が設けられる、等である。
【0032】
駆動部50は、捕集ユニット10を移動させて捕集部11を通気部と収納部41,42との間で移動させる。具体的には、駆動部50は、例えばステッピングモータ等の電動機51を有し、制御部60の制御下で回転動作する。電動機51の回転子は、例えば、駆動部50と捕集ユニット10とを連結する連結部52(例えば、糸等)を巻き上げる巻き上げ機構53と連結される。巻き上げ機構53は、電動機51の回転に応じて糸を巻き上げる。当該糸の下端は、捕集ユニット10の上端に接続されている。このため、駆動部50が動作して電動機51が回転すると、糸が巻き上げられて捕集ユニット10が上方に引っ張り上げられて移動する。このようにして、捕集ユニット10は、駆動部50の動作に応じて上方に移動する。無論、このような捕集ユニット10の移動に係る具体的構成はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、上記ガイド部材を電動式のリニアレールとし、支持部と駆動部50とを一体的に設けるようにしてもよい。
【0033】
制御部60は、駆動部50の動作を制御する。具体的には、制御部60は、所定期間毎に駆動部50を動作させる制御回路を有する。制御部60と駆動部50とは、導電部61(例えば、電線等)を介して電気的に接続されている。より具体的には、制御部60は、駆動部50の具体的構成(例えば、ステッピングモータ)に応じた制御回路(例えば、ドライバIC等)を有する。当該制御回路には、所定期間毎に大気中に曝露される捕集部11が切り替わるように、捕集部11を切り替えるための捕集ユニット10の上昇量に応じた動作量(例えば、ステッピングモータの回転数及び回転角度)だけ動作させるプログラミングが施されている。捕集部11を切り替えるための捕集ユニット10の上昇量に応じた動作量とは、例えば、捕集ユニット10を一つの捕集部11の所定方向の幅と捕集部11同士の間隔の大きさ一つ分とを加算した分だけ上方に引き上げる動作量である。実施形態1は、捕集部11同士の間隔が一定であるので、係る動作量も一定であるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0034】
図8乃至
図10は、透過部から確認することができる指標の一例を示す図である。
図8乃至
図10では、箱体30の概略的な外形を破線で示している。収納部41,42は、収納している捕集ユニット10に付された指標の位置を外部から確認可能な透過部を有する。具体的には、収納部41,42は、例えば
図1、
図8乃至
図10に示すように、収納部41,42の延出方向に沿って設けられた透明な窓部45a,45bを有する。窓部45a,45bは、収納部41,42内に収納されている捕集ユニット10の指標を確認可能な位置に設けられた透明な部材であり、光を透過させる。より具体的には、窓部45a,45bは、例えば
図1に示すように、収納部41,42のうち、箱体30から延出された部分に設けられる。窓部45a,45bは、曝露前収納部41及び曝露後収納部42の各々に個別に設けられる。窓部45aは、曝露前収納部41に設けられた透過部として機能する。窓部45bは、曝露後収納部42に設けられた透過部として機能する。
【0035】
図8に示すように、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち一番上に存する捕集部11aが通気部に存する場合、曝露前収納部41の窓部45aから下の末端部15の指標(青色)及び下の区切り部13の指標(赤色)が外部から視認可能な状態になる。また、
図9に示すように、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち上から二番目に存する捕集部11bが通気部に存する場合、曝露前収納部41の窓部45aから下の末端部15の指標(青色)が外部から視認可能な状態になる。また、この場合、曝露後収納部42の窓部45bから上の末端部14の指標(緑色)が外部から視認可能な状態になる。また、この場合、区切り部12,13は、指標(黄色、赤色)が窓部45a,45bから視認できない位置に存するため、窓部45a,45bから視認できない状態になる。また、
図10に示すように、所定方向に沿って設けられた捕集部11のうち一番下に存する捕集部11cが通気部に存する場合、曝露後収納部42の窓部45bから上の末端部14の指標(緑色)及び上の区切り部12の指標(黄色)が外部から視認可能な状態になる。このように、通気部に存する捕集部11の切り替わりに応じて、透過部(例えば、窓部45a,45b)を介して確認することができる指標の位置及び組み合わせが変化する。よって、作業者は、筐体20を開けることなく、大気浮遊塩分等の粒子状物質を捕集する部材(例えば、捕集部11のガーゼ112)の曝露状態と非曝露状態との切り替わりに係る動作の確認をより容易に行うことができる。
【0036】
図11は、収納部41,42の断面の一例を示す図である。
図11に示すように、窓部45a,45bは、円筒状の収納部41,42の3箇所に設けられている。3箇所の窓部45a,45bは、収納部41,42の円筒中心を120°に等分するよう配置されている。このように、実施形態1の透過部として機能する窓部45a,45bは、収納部41,42が延出する方向である所定方向に直交する平面に沿った収納部41,42の断面において、収納部41,42の外周面の複数個所に設けられている。透過部を係る配置にすることで、粒子状物質捕集装置1を周囲のどの角度から見ても、いずれかの透過部を介して指標を確認することができる。無論、
図11に示す例は、あくまで透過部の形態の一例であってこれに限られるものでない。例えば、筒状の収納部41,42全体を透過部とし、透明な部材で構成するようにしてもよい。
【0037】
また、実施形態1では、収納部41,42は、透過部として機能する窓部45a,45bを含む全体が樹脂製であるが、他の材料であってもよい。例えば、透過部はガラス製であってもよい。また、箱体30は、例えば木製であるが、他の材料(例えば、樹脂等)により構成されていてもよい。
【0038】
図12は、粒子状物質捕集装置1が取り付けられた柱状の建造物70の一例を示す図である。粒子状物質捕集装置1は、外側から内側に捕集部11を導入することができるとともに、内側で保持されていた捕集部11を取り出すことができるよう設けられていることが望ましい。実施形態1では、箱体30の四つの側面部のうち一つが鎧戸となっていて開閉可能に設けられている。鎧戸は、太陽の日周運動において地平線より上側で子午線を通る方角(例えば北半球の場合、南側)の逆側(例えば北半球の場合、北側)に設けられることが望ましい。また、
図12に示す例において、鎧戸を柱状の建造物70(例えば、電柱等)にすることで、柱状の建造物70を登って捕集部11の設置及び回収を行う作業者がより作業をしやすくなる。
【0039】
なお、指標を確認する作業者は、
図12に示すような粒子状物質捕集装置1の近傍まで近づいて直接透過部を視認するようにしてもよいが、より遠方から双眼鏡等の器械又は同様の拡大機能を有する機械等を用いて透過部を視認するようにしてもよい。このような遠隔からの確認時に、指標が色であることで、より容易に指標を確認することができる。
【0040】
以上、実施形態1によれば、捕集ユニット10の少なくとも一部に指標が付され、収納部41,42が収納している捕集ユニット10に付された指標の位置を外部から確認可能な透過部を有する。このため、透過部から指標の位置を確認することで、筐体20内における捕集部11の位置を確認することができる。よって、大気浮遊塩分等の粒子状物質を捕集する部材(例えば、捕集部11のガーゼ112)の曝露状態と非曝露状態との切り替わりに係る動作の確認をより容易に行うことができる。
【0041】
また、捕集ユニット10が複数の捕集部11を有し、捕集ユニット10が有する複数の捕集部11のうち一つの捕集部11が通気部に存する場合に他の捕集部11が収納部41,42に位置するよう筐体20が設けられることで、通気部で大気中に曝露される捕集部11を一つに限定しつつ、他の捕集部11を保存することができる。
【0042】
また、捕集ユニット10が複数の捕集部11同士の間を区切る区切り部12,13を有し、区切り部12,13に指標が付されていることで、粒子状物質の捕集が繰り返し行われる場合等、捕集ユニット10の捕集部11が交換されて再利用される場合に、より容易に指標を再利用することができる。
【0043】
また、指標が区切り部12,13に施された着色であることで、より遠方からの指標の視認性を容易に確保することができる。
【0044】
また、三以上の捕集部11同士の間を個別に区切る複数の区切り部12,13の各々に施された色がそれぞれ異なる色であることで、透過部から確認することができる指標の色及び位置に基づいて、粒子状物質を捕集する部材の曝露状態と非曝露状態との切り替わりに係る動作の確認をより容易に行うことができる。
【0045】
また、収納部41,42が通気部に移動する前の捕集部11を収納する曝露前収納部41と、通気部に移動した後の捕集部11を収納する曝露後収納部42とを備えることで、三以上の捕集部11が切り替わる場合において、大気中に曝露される前の捕集部11と大気中に曝露された後の捕集部11とを個別に収納することができ、それぞれの捕集部11をより適当な条件下で保存することができる。
【0046】
また、透過部が所定方向に直交する平面に沿った収納部41,42の断面において、収納部41,42の外周面の複数個所に設けられていることで、指標を確認するための視認に係る条件がより緩和される。よって、指標をより確認しやすくなる。
【0047】
また、通気部に、屋根31と、側方に設けられた通気用の開口部32とを有する箱体30が設けられていることで、粒子状物質捕集装置1の上方からの落下物(例えば、雨等)から捕集部11を保護することができる。
【0048】
また、箱体30が側方にルーバーを有することで、雨等が開口部32から箱体30内に入り込むことを抑制することができる。よって、より確実に捕集部11を保護することができる。
【0049】
(実施形態2)
次に、本発明に係る粒子状物質捕集装置1の実施形態2について説明する。実施形態2は、捕集部11の具体的形態を除いて、実施形態1と同様である。よって、以下では捕集部11の構成に関する説明のみ行い、他の構成に関する説明を省略する。
【0050】
図13は、実施形態2の捕集部11の一例を示す斜視図である。実施形態2における捕集部11として機能する、大気に含まれる粒子状物質を付着させて捕集する部材(例えば、筒状の部材11A)は、弾性体かつ多孔質体である。具体的には、実施形態2の捕集ユニット10が有する捕集部11は、筒状の部材11Aである。筒状の部材11Aは、円筒状に設けられたスポンジである。弾性体であるスポンジは、支持体111を要せず単体で円筒状の形状を保持することができる。より具体的には、実施形態2において捕集部11を構成するスポンジは、例えばポリウレタン等の合成樹脂が発泡形成された所謂合成スポンジである。スポンジは、多孔質体であり、通気性及び吸湿性を示す。スポンジの目の細かさ(発泡形成時における発泡の度合い)は、捕集の対象となる粒子状物質(例えば、海塩粒子等の大気浮遊塩分)の大きさに応じたものであることが望ましい。筒状の部材11Aとして形成されたスポンジは、捕集ユニット10のシャフト16と係合するための孔が設けられた端部113を有していてもよいし、筒状の部材11Aの内径がシャフト16に応じた径であってもよい。実施形態2では、係る筒状の部材11Aが捕集部11として複数設けられる。なお、実施形態2の捕集ユニット10は、捕集部11が筒状の部材11Aである点を除いて実施形態1と同様である。具体的には、捕集部11として機能するこれらの筒状の部材11A同士の間に区切り部12,13が設けられる。また、実施形態2における捕集部11と末端部14,15との位置関係も、実施形態1と同様である。
【0051】
以上、実施形態2によれば、捕集部11が弾性体かつ多孔質体である。このため、支持体111を省略することができる。よって、支持体111にガーゼ112を巻き付ける等の作業を省略することができ、より簡便に捕集部11の設置等を行うことができる。また、支持体111に比してスポンジは安価であることから、より低コストで粒子状物質を捕集することができる。また、回収後のスポンジを洗浄することで、当該スポンジを捕集部11として再利用することができる。
【0052】
以上、実施形態1,2について説明したが、これらの実施形態等の内容によりこれらの実施形態等が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0053】
例えば、捕集部11は、海塩粒子等の大気浮遊塩分に限らず、大気中に存する他の粒子状物質を捕集することもできる。
【0054】
また、指標は、区切り部12,13等の色に限らない。例えば、捕集部11の各々の色が異なっていてもよい。具体的には、上記の実施形態1におけるガーゼ112の色がそれぞれ異なっていてもよいし、スポンジの外周面の色がそれぞれ異なっていてもよい。また、指標は色に限らない。例えば、区切り部12,13及び末端部14,15の側面部等に、それぞれ異なる数字等が記載されていてもよい。この場合、透過部から確認することができる数字によって、その時点で大気中に曝露されている捕集部11がいずれの捕集部11であるか確認することができる。また、番号は、ガーゼ112又はスポンジに付されていてもよい。
【0055】
また、区切り部12,13及び末端部14,15の側面部等に、それぞれ発光色が異なる発光部(例えば、発光ダイオード等)が設けられていてもよい。この場合、透過部から確認することができる光の色によって、その時点で大気中に曝露されている捕集部11がいずれの捕集部11であるか確認することができる。また、区切り部12,13及び末端部14,15の側面部等に設けられた発光部の数がそれぞれ異なってもよい。この場合、透過部から確認することができる光点の数によって、その時点で大気中に曝露されている捕集部11がいずれの捕集部11であるか確認することができる。
【0056】
また、捕集部11及び収納部41,42の形状は、円筒状に限らない。例えば、断面形状が多角形状の筒形状であってもよい。また、箱体30の側面の数は、四つに限られず、適宜変更可能である。また、捕集ユニット10が有する捕集部11の数は三つに限らず、四つ以上であってもよいし、二つ以下であってもよい。捕集ユニット10が有する捕集部11の数が一つである場合、曝露前収納部41と曝露後収納部42とは同一であってもよい。すなわち、この場合、収納部は一つであってもよい。また、捕集ユニット10は、捕集部11のみを有する構成であってもよい。
【0057】
また、粒子状物質捕集装置1が設けられるのは、柱状の建造物70に限らない。粒子状物質捕集装置1は、例えば鉄塔等、通気性のある空間に面することができるあらゆる構造物に設けることができる。また、粒子状物質捕集装置1は、地上に設置されていてもよい。
粒子状物質捕集装置は、大気に含まれる粒子状物質を付着させて捕集する捕集部を有する捕集ユニットと、捕集部を大気中に曝露させる通気部と、捕集部を収納する収納部とが一体に設けられた筐体と、筐体内で捕集ユニットを移動可能に支持して捕集部を通気部と収納部との間で移動可能にする支持部と、捕集ユニットを移動させて捕集部を通気部と収納部との間で移動させる駆動部と、駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、捕集ユニットは、少なくとも一部に指標が付され、収納部は、収納している捕集ユニットに付された指標の位置を外部から確認可能な透過部を有する。