特許第5981108号(P5981108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5981108乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981108
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 3/04 20060101AFI20160818BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B60C3/04 B
   B60C11/03 200A
   B60C11/03 Z
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-166042(P2011-166042)
(22)【出願日】2011年7月28日
(65)【公開番号】特開2013-28289(P2013-28289A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年5月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】畠中 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 潤
(72)【発明者】
【氏名】日浦 進吾
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−190706(JP,A)
【文献】 特開平07−061213(JP,A)
【文献】 特開2006−321320(JP,A)
【文献】 特開2008−114738(JP,A)
【文献】 特開2003−146015(JP,A)
【文献】 特開2005−219537(JP,A)
【文献】 特開平07−047807(JP,A)
【文献】 特開2004−224249(JP,A)
【文献】 特開平11−192814(JP,A)
【文献】 特開平07−304308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 3/04
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、トレッドとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記トレッドの踏面をトレッド幅方向に6つの領域に等分し、トレッド幅方向中央の2つの領域をセンタ部とし、該センタ部のトレッド幅方向両外側の他の4つの領域をショルダ部とするとき、
前記トレッド踏面に、前記センタ部の少なくとも一部分と、タイヤ赤道面を境界とする少なくとも片側のショルダ部の少なくとも一部分とに跨ってトレッド幅方向に延びる、少なくとも1本の横溝を有し、
前記横溝の各々は、前記センタ部でのトレッド周方向に対する傾斜角度θ1が、前記ショルダ部でのトレッド周方向に対する傾斜角度θ2より小さく、
前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODが0.24以下であり、前記タイヤの断面幅は、155mm以上であり、
前記トレッド踏面のネガティブ率は、20%以下であり、
前記タイヤは、回転方向が指定され、
前記横溝の各々は、タイヤ赤道面上に位置する陸部においては、前記横溝の各々より指定された前記回転方向の逆方向側に曲率中心を有するように湾曲した形状であり、かつ、トレッド端に隣接するトレッド幅方向最外側陸部においては、前記横溝の各々より指定された前記回転方向側に曲率中心を有するように湾曲した形状であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】
前記横溝のトレッド周方向のピッチ間隔Pは、トレッド幅をTWとするとき、
P/TW≧0.2
を満たす、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】
前記横溝の少なくとも一端がトレッド端に開口し、当該開口部での、前記横溝がトレッド周方向に対する傾斜角度θ2は、40°〜75°である、請求項1又は2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項4】
タイヤ赤道面における、前記横溝の溝深さをδgとし、タイヤ赤道面における、前記トレッド踏面からタイヤ径方向最外側補強部材までのトレッドゴムの厚さをδtとするとき、
δg/δt ≦0.85
を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項5】
前記タイヤのタイヤサイズは、155/55R21、165/55R21、155/55R19、155/70R17、165/55R20、165/65R19、165/70R18、155/45R21のいずれかである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項6】
前記横溝は、タイヤ赤道面を中心として対称に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項7】
前記横溝は、タイヤ赤道面を中心として非対称に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項8】
前記トレッド踏面に、周方向主溝を2本のみ設けてなる、請求項6又は7に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項9】
前記横溝のトレッド周方向のピッチ間隔Pは、トレッド幅をTWとするとき、
P/TW≦0.45
を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項10】
前記トレッド踏面のネガティブ率が10%以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項11】
タイヤ赤道面における、前記横溝の溝深さをδgとし、タイヤ赤道面における、前記トレッド踏面からタイヤ径方向最外側補強部材までのトレッドゴムの厚さをδtとするとき、
δg/δt ≧0.65
を満たす、請求項1〜10のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項12】
前記横溝は、タイヤ赤道面において、トレッド幅方向に延びている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項13】
前記タイヤは、回転方向が指定され、
トレッド周方向に隣接する2つの前記横溝に区画される、トレッド端に隣接するトレッド幅方向最外側陸部における、トレッド端側の2つの角部のうち、指定された前記タイヤ回転方向の逆方向側の角部は、鋭角である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のタイヤを、内圧を250kPa以上として使用することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
西暦1960年頃までの車両は、車両の重量が軽く、車両に要求される巡航速度も遅かったため、タイヤへの負担が軽く、タイヤの断面幅が狭いバイアスタイヤが用いられていた。しかし、近年の車両の高出力化や高速道路網の発達に伴い、高速走行時の操縦安定性や耐磨耗性の向上が求められるようになってきており、幅広、偏平のラジアル構造のタイヤが主流となりつつある(特許文献1など)。
【0003】
しかし、タイヤの幅広化は、車両スペースを圧迫し、居住性を低下させる。また、近年、環境問題への関心の高まりにより低燃費性への要求が厳しくなってきている状況にあるが、タイヤを幅広化すると空気抵抗が増大するため、燃費が悪くなるという問題がある。
また、特に、将来に向けて実用化されている電気自動車は、タイヤ車軸回りにタイヤを回転させるトルクを制御するためのモーターなどの駆動部品を収容するスペースの確保が必要となることから、タイヤ回りのスペース確保の重要性も高まりつつある。
【0004】
さらに、上記のような幅広偏平タイヤは、雨天走行時において、図1(a)にて水の流線を矢印で模式的に示すように、踏み込み面の幅が広いため、水がタイヤの両側方に排出されづらく、排水性が良くない。また、幅広偏平タイヤは、接地長Lも短くなるため、図1(a)に示すように、踏み込み面から侵入した水膜により踏面が浮き上がり、実接地面積が減少してグリップを失う、いわゆるハイドロプレーニング現象を発生しやすく、ウェット性能が低下するという問題がある。
【0005】
また、広幅偏平のラジアルタイヤにおいては、転がり抵抗を小さくして低燃費化を図るために、ヒシテリシスロスの小さいトレッドゴムを用いることが有効であることが知られている。しかし、ヒステリシスロスの小さいゴムを用いると、ウェット路面でのグリップ性能が低下するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−40706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、タイヤの低燃費性、居住性(車両スペース)と、ウェット性能とを両立させるのは一般的に困難であり、これらの性能を両立させるための抜本的な技術が希求されていた。
【0008】
それゆえ、本発明は、上記の問題を解決することを課題とするものであり、空気抵抗値(Cd値)とタイヤの転がり抵抗値(RR値)とが共に低く、低燃費性と車両スペースの確保とを実現でき、且つ、ウェット路面での走行性能に優れた、乗用車用空気入りタイヤ及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、タイヤの狭幅化及び大径化、すなわちタイヤの断面幅SWと外径ODとを適切な比の下に規制することが、ラジアルタイヤの燃費性及び居住性を向上させ、且つタイヤのウェット性能も向上させるのに、極めて有効であることを見出した。
【0010】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は、以下の通りである。
(1)一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、トレッドとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記トレッドの踏面をトレッド幅方向に6つの領域に等分し、トレッド幅方向中央の2つの領域をセンタ部とし、該センタ部のトレッド幅方向両外側の他の4つの領域をショルダ部とするとき、
前記トレッド踏面に、前記センタ部の少なくとも一部分と、タイヤ赤道面を境界とする少なくとも片側のショルダ部の少なくとも一部分とに跨ってトレッド幅方向に延びる、少なくとも1本の横溝を有し、
前記横溝の各々は、前記センタ部でのトレッド周方向に対する傾斜角度θ1が、前記ショルダ部でのトレッド周方向に対する傾斜角度θ2より小さく、
前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODが0.24以下であり、前記タイヤの断面幅は、155mm以上であり、
前記トレッド踏面のネガティブ率は、20%以下であり、
前記タイヤは、回転方向が指定され、
前記横溝の各々は、タイヤ赤道面上に位置する陸部においては、前記横溝の各々より指定された前記回転方向の逆方向側に曲率中心を有するように湾曲した形状であり、かつ、トレッド端に隣接するトレッド幅方向最外側陸部においては、前記横溝の各々より指定された前記回転方向側に曲率中心を有するように湾曲した形状であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0011】
(2)前記横溝のトレッド周方向のピッチ間隔Pは、トレッド幅をTWとするとき、
P/TW≧0.2
を満たす、上記(1)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0013】
(3)前記横溝の少なくとも一端がトレッド端に開口し、当該開口部での、前記横溝がトレッド周方向に対する傾斜角度θ2は、40°〜75°である、上記(1)又は(2)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0014】
(4)タイヤ赤道面における、前記横溝の溝深さをδgとし、タイヤ赤道面における、前記トレッド踏面からタイヤ径方向最外側補強部材までのトレッドゴムの厚さをδtとするとき、
δg/δt ≦0.85
を満たす、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【0015】
(5)前記タイヤのタイヤサイズは、155/55R21、165/55R21、155/55R19、155/70R17、165/55R20、165/65R19、165/70R18、155/45R21のいずれかである、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(6)前記横溝は、タイヤ赤道面を中心として対称に配置されている、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(7)前記横溝は、タイヤ赤道面を中心として非対称に配置されている、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(8)前記トレッド踏面に、周方向主溝を2本のみ設けてなる、上記(6)又は(7)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(9)前記横溝のトレッド周方向のピッチ間隔Pは、トレッド幅をTWとするとき、
P/TW≦0.45
を満たす、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(10)前記トレッド踏面のネガティブ率が10%以上である、上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(11)タイヤ赤道面における、前記横溝の溝深さをδgとし、タイヤ赤道面における、前記トレッド踏面からタイヤ径方向最外側補強部材までのトレッドゴムの厚さをδtとするとき、
δg/δt ≧0.65
を満たす、上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(12)前記横溝は、タイヤ赤道面において、トレッド幅方向に延びている、上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
13)前記タイヤは、回転方向が指定され、
トレッド周方向に隣接する2つの前記横溝に区画される、トレッド端に隣接するトレッド幅方向最外側陸部における、トレッド端側の2つの角部のうち、指定された前記タイヤ回転方向の逆方向側の角部は、鋭角である、上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
14)上記(1)〜(13)のいずれか1つに記載のタイヤを、内圧を250kPa以上として使用することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空気抵抗値(Cd値)とタイヤの転がり抵抗値(RR値)とが共に低く、低燃費性と車両スペースの確保とを実現でき、且つ、ウェット路面での走行性能に優れた、乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)広幅のラジアルタイヤのウェット性能について説明するための図である。(b)狭幅のラジアルタイヤのウェット性能について説明するための図である。
図2】タイヤの断面幅SWと外径ODを示す図である。
図3】(a)本発明の大径化、狭幅化したタイヤを装着した車両を示す図である。(b)従来のタイヤを装着した車両を示す図である。
図4】各タイヤの転がり抵抗値と空気抵抗値との関係を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態にかかるトレッドパターンを示す展開図である。
図6】本発明の第2の実施形態にかかるトレッドパターンを示す展開図である。
図7】比δg/δtについて説明するためのタイヤ幅方向概略断面図である。
図8】従来のトレッドパターンを示す展開図である。
図9】従来のトレッドパターンを示す展開図である。
図10】横溝の傾斜角度について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤとも称する)を導くに至った過程について説明する。
まず、発明者らは、ラジアルタイヤのタイヤ断面幅SW(図2参照)を従前に比し狭くすることによって、車両スペースの確保が可能であること、特にタイヤの車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースが確保されることに着目した(図3参照)。
さらに、タイヤ断面幅SWを狭くすると、タイヤを前方から見た面積(以下、前方投影面積と称する)が減少するため、車両の空気抵抗値(Cd値)が低減されるという効果がある。
しかしながら、接地部分の変形が大きくなるため、同じ空気圧の場合、タイヤの転がり抵抗値(RR値)が大きくなるという問題がある。
【0019】
一方で、発明者らは、ラジアルタイヤ特有の性質により、上記の問題点を解決しうることを見出した。すなわち、ラジアルタイヤはバイアスタイヤに比し、トレッドの変形が小さいため、ラジアルタイヤの外径OD(図2参照)を従前に比し大きくすることによって、路面の粗さの影響を受けにくくし、同じ空気圧の場合に、転がり抵抗値(RR値)を低減させることができることに着目した。また、大径化することで、タイヤの負荷能力を向上させることもでき、さらに、図3に示すように、ラジアルタイヤの大径化によって車輪軸が高くなり、床下のスペースが拡大されるため、車両のトランク等のスペースや、駆動部品の設置スペースが確保できることができることも見出した。
【0020】
ここで、上記のように、タイヤの狭幅化と大径化は、共に車両スペース確保の効果があるものの、転がり抵抗値(RR値)に関しては、トレードオフの関係にある。また、タイヤの狭幅化によって車両の空気抵抗値(Cd値)の低減を図ることができる。
【0021】
そこで、発明者らは、空気抵抗値(Cd値)と転がり抵抗値(RR値)について、タイヤ断面幅とタイヤ外径とのバランスの適切化を図ることによって、これらの特性を従来のラジアルタイヤより向上させるべく鋭意検討した。
【0022】
発明者らは、タイヤ断面幅SWと、タイヤの外径ODとの比SW/ODに着目し、規格外のものを含む様々なタイヤサイズのタイヤを車両に装着させて、空気抵抗値(Cd値)と転がり抵抗値(RR値)を計測する試験を行い、これらの特性が共に従来のラジアルタイヤより上回る、比SW/ODの条件を導出した。
以下、比SW/ODの好適範囲を導出するに至った実験結果について、詳しく説明する。
【0023】
発明者らは、以上の知見を元に、タイヤの大径化及び狭幅化により、タイヤの空気抵抗値の低減と転がり抵抗値の低減とを両立することのできる具体的な条件を究明した。
まず、評価基準となるタイヤとして、最も汎用的な車両で使用され、タイヤ性能の比較に適している、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを基準タイヤとして用意した。
また、様々なタイヤサイズのタイヤを用意し、リムに組み込み、内圧を220kPaとし、以下の試験を行った。
表1に各タイヤの諸元を示す。タイヤの内部構造等、表1に示さないタイヤの諸元については、一般的なタイヤと同様であり、各タイヤは、一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、トレッドとを備える。
なお、タイヤサイズに関しては、JATMA(日本のタイヤ規格)、TRA(アメリカのタイヤ規格)、ETRTO(欧州のタイヤ規格)等の従来の規格に捉われずに、これらの規格外のタイヤサイズも含めて、幅広く検討した。
【0024】
【表1】
【0025】
<空気抵抗値>
実験室にて、上記各タイヤを排気量1500ccの車両に装着し、100km/hに相当する速度で送風したときの空気力を車輪下にある床置き天秤を用いて測定し、基準タイヤを100とする指数によって評価した。数値が小さいほど空気抵抗は小さい。
<転がり抵抗値>
上記各タイヤをリムに装着して、タイヤ・リム組立体とし、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷し、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、基準タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
以下、評価結果を表2及び図4に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
表2及び図4に示す試験結果から、タイヤ断面幅SWとタイヤ外径ODとの比SW/ODが0.24以下である、タイヤサイズのラジアルタイヤは、従来のタイヤであるタイヤサイズ195/65R15のタイヤより空気抵抗値(Cd値)と転がり抵抗値(RR値)とが共に低減されることの知見を得た。
【0028】
次に、タイヤ断面幅SWとタイヤ外径ODとの比SW/ODを0.24以下とすることで、実際に車両の燃費性や居住性が向上することを確かめるため、上記の供試タイヤについて、以下の試験を行った。
【0029】
<実燃費>
JOC8モード走行による試験を行った。評価結果は、基準タイヤの評価結果を100とした指数で表し、指数が大きい方が、燃費が良いことを表している。
<居住性>
1.7m幅車両にタイヤを装着した際のリアトランク幅を計測した。評価結果は、基準タイヤの評価結果を100とした指数で表し、指数が大きい方が、居住性が良いことを表している。
試験結果を以下の表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
表3に示すように、比SW/ODが0.24超の供試タイヤでは、それぞれ、燃費性、居住性の少なくとも一方が、基準タイヤより低下した供試タイヤがあったのに対し、比SW/ODが0.24以下である供試タイヤ1〜7、及び17は、いずれも基準タイヤより燃費性、居住性が共に優れていることがわかる。
発明者らは、斯くの如くして、空気入りラジアルタイヤにおいて、比SW/ODを0.24以下とすることで、車両の居住性を向上させつつ、車両の空気抵抗値及びタイヤの転がり抵抗値を共に低減して、燃費性を向上させることができることを見出したものである。
【0032】
次に、上記比SW/ODが0.24以下の乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、ウェット路面での走行性能を向上させるためのタイヤのトレッドパターンについて説明する。
【0033】
図5は、本発明の第1の実施形態にかかる、乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤと称する)のトレッドパターンを示す展開図である。
図5に示すように、第1の実施形態にかかるタイヤは、トレッド踏面1に、図示例で2本のトレッド周方向に延びる主溝2と、少なくとも1本、図示例で3本のトレッド幅方向に延びる横溝3とを有し、これらの主溝2、横溝3、及びトレッド端TE1、TE2により陸部4が区画されている。
なお、トレッド踏面とは、タイヤをリムに装着するとともに、タイヤを装着する車両毎に規定される最高空気圧を充填して平板上に垂直に置き、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷に相当する重量を負荷したときに平板と接触することになるトレッドゴムの表面領域をいうものとする。
【0034】
ここで、トレッド踏面1をトレッド幅方向に6つの領域に等分し、タイヤ赤道面CLを挟むトレッド幅方向中央の2つの領域をセンタ部5とし、センタ部5の幅方向両外側の他の4つの領域をショルダ部6と称する。
また、トレッド踏面1のタイヤ赤道面CLを境界とする一方の半部をT1、他方の半部をT2とする。
図5に示す例では、横溝3は、タイヤ赤道面CLを境界として非対称に配設されている。
この横溝3は、センタ部5の少なくとも一部分と、少なくともタイヤ赤道面CLを境界とする片側のショルダ部6の一部分とに跨って(図示例ではトレッド踏面1の幅方向全域にわたって)、トレッド幅方向に延びている。すなわち、横溝2は、図示例のように、センタ部の幅方向全域と、タイヤ赤道面CLを境界とする2つの幅方向半部の両側とに跨ってもよく、あるいは、センタ部の少なくとも一部分と、任意の一方側の幅方向半部のみに跨っていてもよい。
すなわち、横溝3は、一方の半部T1においては、トレッド端TE1からトレッド周方向の一方向に向かってトレッド幅方向内側に延びている。また、横溝3は、他方の半部T2においては、トレッド端TE2から上記一方向の逆方向に向かってトレッド幅方向内側に延びている。
【0035】
さらに、図5に示すように、横溝3は、一方の半部T1において、タイヤ赤道面CLからトレッド端TE1に向かって幅方向外側に延びるにつれ、よりトレッド幅方向に沿った形状となるように配設され、また、他方の半部T2において、トレッド端TE2からタイヤ赤道面CLに向かって幅方向内側に延びるにつれ、よりトレッド幅方向に沿った形状となるように配設されている。従って、センタ部5での横溝3のトレッド周方向に対する傾斜角度θ1は、ショルダ部6での横溝3のトレッド周方向に対する傾斜角度θ2より小さくなっている。
ここで、「センタ部でのトレッド周方向に対する傾斜角度」とは、図10(a)〜(c)に示すように、トレッド幅方向をy軸とし、あるセンタ部内の幅方向位置yにおける、横溝2とタイヤ周方向とがなす挟角(鋭角)θ(y)を、センタ部での溝の幅方向延在領域全域にわたって、「y」で積分した値をセンタ部での溝の幅方向延在距離で除した値をいうものとする。すなわち、θ1は次式で表される(ただし、「y1」、「y2」は、図10(a)〜(c)に示すように、センタ部内での横溝の端部のy座標であり、y2>y1とする)。
【数1】
なお、「あるセンタ部内の幅方向位置yにおける、横溝2とタイヤ周方向とがなす挟角θ(y)」は、微分により求めるものとする。
また、「ショルダ部でのトレッド周方向に対する傾斜角度」とは、図10(a)〜(c)に示すように、トレッド幅方向をy軸とし、あるショルダ部内の幅方向位置yにおける、横溝2とタイヤ周方向とがなす挟角(鋭角又は直角)θ(y)を、ショルダ部での横溝の幅方向延在範囲の全域にわたって、「y」で積分した値をショルダ部での溝の幅方向延在距離の総和(定義域)で除した値をいうものとする。すわわち、図10(b)に示すように、横溝2が一方の幅方向半部のショルダ部から他方の幅方向半部のショルダ部まで延びている場合は、θ2は、次式で表される(ただし、ycは、ショルダ部の幅方向最内側の正のy座標であり、y3、y4は、ショルダ部における横溝の端部の座標とし、y3が負、y4が正とする)。
【数2】
また、図10(a)、(c)に示すように、横溝2が一方の幅方向半部のショルダ部から他方の幅方向半部のショルダ部まで延びずに、他方の半部のセンタ部内に留まる場合には、θ2は次式で表される。
まず、図10(a)に示すように、y座標が正であるショルダ部から他方の半部のセンタ部まで横溝が延びている場合には、以下の式で表される。
【数3】
一方で、図10(c)に示すように、y座標が負であるショルダ部から他方の半部のセンタ部まで横溝が延びている場合には、以下の式で表される。
【数4】
【0036】
このように、本発明にあっては、タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODが0.24以下であり、トレッド踏面1に、少なくとも1本のトレッド幅方向に延びる横溝3を有し、横溝3の各々について、センタ部5でのトレッド周方向に対する傾斜角度が、ショルダ部6でのトレッド周方向に対する傾斜角度より小さいことが肝要である。
以下、第1の実施形態にかかるタイヤを車両に装着した場合の作用効果について説明する。
【0037】
本発明の第1の実施形態によれば、まず、比SW/ODが0.24以下であり、踏み込み面の幅が狭いため、ウェット路面においては、図1(b)に矢印で水の流線を模式的に示すように、水がタイヤの幅方向両側方に排出されやすく、このため、排水性が高まり、実接地面積を確保して、ハイドロプレーニング現象の発生を抑制することができる。
また、横溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度が、センタ部において小さく、ショルダ部において大きく、すなわち横溝が水の流れに沿ったパターンとなっているため、排水性を高めることができる。
従って、第1の実施形態によれば、上述のように低燃費性と車両スペースの確保とを実現できることに加えて、ウェット路面での走行性能も向上させることができる。
さらに、タイヤの回転方向が指定されないため、装着内側と装着外側のクロスローテーションが可能となり、左右荷重不当配分等による偏磨耗を抑制でき、タイヤの寿命を増進することができる。
【0038】
図6は、本発明の第2の実施形態にかかるタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
図6に示すように、このタイヤは、トレッド踏面1に、図示例では2本のトレッド周方向に延びる主溝2と、少なくとも1本、図示例では4本のトレッド幅方向に延びる横溝3と、これらの主溝2、横溝3、及びトレッド端TEにより区画される陸部4とを有する。
また、図6に示す例では、横溝3は、タイヤ赤道面CLを中心として対称に配置されており、センタ部5と、少なくともタイヤ赤道面CLを境界とする片側のショルダ部とに跨って(図示例ではトレッド踏面1の幅方向全域にわたって)、トレッド幅方向に延びている。
図6に示すように、横溝3は、タイヤ赤道面CLを境界とするトレッド幅方向半部において、トレッド端TEから指定タイヤ回転方向Rの方向に向かってトレッド幅方向内側に延びている。
さらに、図6に示すように、横溝3は、トレッド半部において、タイヤ赤道面CLからトレッド端TEに向かって幅方向内側へ延びるにつれ、よりトレッド幅方向に沿った形状となるように配設されており、センタ部5でのトレッド周方向に対する傾斜角度θ1が、ショルダ部6でのトレッド周方向に対する傾斜角度θ2より小さい。
以下、第2の実施形態にかかるタイヤを図6の矢印の方向Rをタイヤ回転方向として車両に装着したときの作用効果について説明する。
【0039】
本発明の第2の実施形態によれば、まず、第1の実施形態と同様に、踏み込み面の幅が狭いため、ウェット路面においては、図1(b)に矢印で水の流線を模式的に示すように、水がタイヤの幅方向両側方に排出されやすく、このため、排水性が高まり、実接地面積を確保して、ハイドロプレーニング現象の発生を抑制することができる。
また、横溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度がセンタ部において小さく、ショルダ部において大きく、すなわち横溝が水の流れに沿ったパターンとなっているため、排水性を高めることができる。
従って、第2の実施形態によれば、低燃費性と車両スペースの確保とを実現でき、且つ、ウェット路面での走行性能を向上させることができる。
【0040】
ここで、図5図6に示すように、横溝3のトレッド周方向のピッチ間隔Pは、トレッド幅をTWとするとき、
P/TW≧0.2
を満たすことが好ましい。
上述の通り、本発明にかかるタイヤにあっては、排水性が高いため、比P/TWを上記の範囲としても排水性を確保できる一方で、陸部の剛性を高めて、操縦安定性、耐磨耗性、静音性など、タイヤのドライ路面での性能を向上させることができるからである。
タイヤのドライ路面での走行性能をさらに向上させるためには、P/TW≧0.3を満たすことがより好ましく、一方で、排水性を確保するためには、P/TW≦0.45を満たすことが好ましい。
なお、周方向ピッチ間隔Pは、横溝がタイヤ赤道面を境界とする一方の半部のショルダ部にのみ跨る場合は、センタ部とショルダ部との境界における周方向ピッチ間隔をいうものとする。一方で、横溝がタイヤ赤道面を境界とする両側の半部のショルダ部に跨る場合は、センタ部とショルダ部との2つの境界における2つの周方向ピッチ間隔が、それぞれ上記範囲を満たすことが好ましい。
また、周方向位置によってピッチ間隔が一定でないときは、上記平均値を周方向全域にわたってさらに平均をとった値をいうものとする。
【0041】
また、本発明のタイヤにあっては、ネガティブ率(トレッド踏面の面積に対する、溝面積の割合)は、20%以下とすることが好ましい。上述の通り、本発明にかかるタイヤにあっては、排水性が高いため、ネガティブ率を上記の範囲としても排水性を確保できる一方で、陸部の剛性を高めてドライ性能を向上させることができるからである。一方で、排水性をより確保するため、ネガティブ率は、10%以上とすることが好ましい。
【0042】
さらに、図5、6に示すように、横溝の少なくとも一端がトレッド端に開口し、当該開口部での前記横溝がトレッド周方向に対する傾斜角度θ2は、40°〜75°であることが好ましい。
40°以上とすることにより、横溝の開口部近傍でのブロックの欠けを抑制し、耐磨耗性能を向上させることができ、一方で、75°以下とすることにより、横溝の開口部において踏込端前面の水を効率よく押し出すことができるからである。
【0043】
加えて、図7に示すように、トレッド幅方向中央位置(タイヤ赤道面)における、横溝3の溝深さをδgとし、トレッド幅方向中央位置(タイヤ赤道面)における、トレッド踏面1からタイヤ径方向最外側補強部材、(図示例では2層のベルト層7a、7bのうち、最外側ベルト層7a)までのトレッドゴムの厚さをδtとするとき、
δg/δt≦0.85
を満たすことが好ましい。
上記比δg/δtを0.85以下とすることで、陸部の剛性をより一層確保して、ドライ路面での走行性能を向上させることができるからである。
また、排水に必要な溝部の体積と耐磨耗性確保とのバランスを確保するため、
δg/δt≧0.65
を満たすことが好ましい。
なお、補強部材とは、ベルト及びベルト保護層である。
【0044】
加えて、本発明のタイヤにあっては、内圧を250kPa以上として使用することが好ましい。
なぜなら、高内圧とすることにより、ベルト張力が増大し、接地圧が増大することと相まって、ハイドロプレーニング性が向上するからである。
また、内圧は、350kPa以下として使用することが好ましい。
なお、本発明のタイヤは、エアボリュームが15000cm以上のものであることが好ましい。タイヤの最低限の負荷能力を保持するために必要だからである。
【実施例】
【0045】
本発明の効果を確かめるため、発明例2、3、及び、参考例1、4〜6にかかるタイヤを試作し、従来例1、2にかかるタイヤを用意した。
各タイヤの諸元は、以下の表4に示している。
これらの各タイヤに対し、タイヤ性能を評価するため、以下の試験を行った。
【0046】
<転がり抵抗値>
上記各タイヤをリムに装着して、タイヤ・リム組立体とし、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷し、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、従来例1にかかるタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
<ウェット制動性>
上記各タイヤを装着した車両につき、ウェット路面を、初速40km/hで走行し、フルブレーキ時の停止距離(mm)を指数評価した。その結果を表1に示す。
評価において従来例タイヤ1を100とした指数で表し、数値が大きい方が、性能が優れていることを示す。
<操縦安定性>
上記各タイヤについて、長い直線部分を含む周回路、および緩やかなカーブの多いハンドリング評価路などからなるテストコース内を、低速から150km/h程度までの速度域で走行し、操縦安定性(ハンドル応答性)をドライバーがフィーリング評価した。従来例タイヤ1を100として指数化したもので操縦安定性を評価し、数値が大きい方が性能に優れていることを示す。
<耐磨耗性>
10万キロ走行後の残溝測定から磨耗量を算出した。従来例1における評価の値を100として、指数評価をした。数値が小さいほど耐磨耗性に優れていることを示す
<静音性>
静音性は、プロのドライバーが上記各タイヤを装着した車両をサーキット路にて時速60〜120km/hにて走行させて、フィーリングにより評価した。この時、従来例タイヤ1の静音性を100として換算し、その他のタイヤを相対評価した。なお、数値が大きいほど静音性に優れることを示す。
以下の表4に、これらの試験の評価結果を示す。
【0047】
【表4】
【0048】
表4に示すように、発明例2、3、及び、参考例1、4〜6にかかるタイヤは、いずれも従来タイヤ1よりRRC、ウェット制動性に優れている。
また、参考例1と、参考例6及び発明例2、3との比較により、比P/TWの値を好適化した参考例6は、参考例1より操縦安定性、耐磨耗性、静音性に優れていることがわかる。
さらに、参考例1と、発明例2、3との比較により、ネガティブ率を好適化した発明例2、3は、参考例1より操縦安定性、静音性に優れていることがわかる。
さらにまた、参考例1と参考例4、5との比較により、横溝の傾斜角度θ2を好適化した参考例1は、参考例4、5より、ウェット制動性に優れていることがわかる。
加えて、参考例1、発明例2と、発明例3との比較により、比δg/δtの値を好適化した発明例3は、参考例1、発明例2より転がり抵抗値が低減されていることがわかる。
【0049】
次に、タイヤを高内圧化して使用することの効果を見るため、上記供試タイヤ17について内圧を変えて、タイヤ性能を評価する試験を行った。
各タイヤの諸元及び評価結果を以下の表5に示す。なお、表5においては、内圧を250kPaとした場合の結果を100としたときの指数で示している。いずれも数値は大きい方が性能に優れていることを示す。
【0050】
【表5】
【0051】
表5に示すように、タイヤの内圧を好適化した使用方法によれば、転がり抵抗値が低減され、ウェット制動性も向上することがわかる。
【符号の説明】
【0052】
1 トレッド踏面
2 主溝
3 横溝
4 陸部
5 センタ部
6 ショルダ部
7a、7b 補強材(ベルト層)
10 トレッド踏面
20 主溝
30 横溝
40 陸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10