(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所望画像保存手段は、短手方向が前記指定された所望領域の幅と同じ範囲を、長手方向が前記元画像の全範囲を読み取り記憶することを特徴とする請求項2から請求項5のうちの何れか1の請求項に記載の図面表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の図面表示装置における好適な実施の形態について、タブレット型の端末装置を例に
図1から
図11を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
(a)ターゲット設定処理
本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、図面表示装置50の表示画面53に、建築図面等の元画像を拡大、縮小処理した拡縮元画像620を表示する。
そして、垂直/水平ターゲット領域(矩形領域)532、533を表示画面53の右端/下端に表示する。
ユーザは、表示画面53に表示されている拡縮元画像620に対して、画面操作(ピンチ操作やドラッグ操作等)により拡縮や移動を指示することで、所望の画像部分を、矩形領域532、533内に表示させ、ターゲット画像の設定を指示する。
ターゲット画像の設定指示がされると、矩形領域532、533に表示されている拡縮元画像620を含む所定領域(所望領域)に対応する画像を元画像から読み取って、垂直/水平ターゲット画像(所望画像)として別途保存する。
垂直/水平ターゲット画像として別途保存する場合、元画像の白い部分は透過ドットとなるようにマスク処理を行う。
【0011】
(b)ターゲット設定後のターゲット追従処理
ターゲット画像の設定(保存)が完了した後は、
図8(e)に示すように、元画像を拡縮した拡縮元画像620を表示画面53に表示する。また、矩形領域532、533には垂直/水平ターゲット画像を拡縮処理した拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を表示する。
そして、
図8(e)の拡縮画像620を基準として拡縮率Qのピンチアウト操作を行うと、矩形領域532、533には短手方向のサイズは同じで、長手方向だけ拡縮率Qの拡縮ターゲット画像621、622が表示される。
図8(f)に示すように、矩形領域532、533に表示する拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622は、短手方向のサイズが変更されず同一であるため、拡縮元画像620を拡大しても、矩形領域532、533からはみ出ることがない。従って、建築図面等における通り芯番号を含む垂直/水平ターゲット画像において、通り芯番号692、693を解読できなくなることがない。
【0012】
また矩形領域532、533は表示画面53上に重ねて設定されるが、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622は、マスク処理されているため、拡縮元画像620の一部である、通り芯番号「5」に対応する壁面の線695が透過表示(点線で表示)されている。
これにより表示画面53全体を拡縮元画像620の表示領域とすることができ、矩形領域と重複する部分については、透過率や透過色の設定により、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622と区別することができる。
【0013】
(2)用語の定義
本実施形態で使用する用語について先に定義すると次の通りである。
(a)元画像690:表示画面53に主として表示する図面(画像)の元になる、ラスタ形式又はベクター形式の図面データ(属性情報を除いたもの)。
(b)拡縮元画像620:拡縮率P(後述)で元画像690を拡大、縮小した画像である。本実施形態では、一旦RAMに形成された後、必要な領域が表示用メモリに書き込まれるが、元画像690から直接表示用メモリに書き込むようにしてもよい。
【0014】
(c)垂直ターゲット画像700:垂直ターゲット領域532に応じて、元画像690から所定領域を読み取って別途記憶装置に保存したラスタ形式の画像。
元画像690がベクター形式の場合には、一旦作成したラスタ形式の元画像690から読み取る。
元画像690から読み取る所定範囲は、垂直ターゲット領域532と短手方向が同じ範囲(同じ画像が表示される範囲)で、長手方向が元画像690全体の範囲である。
本実施形態では、記憶装置に保存されるが、RAMに保存するようにしてもよい。
(d)水平ターゲット画像710:水平ターゲット領域533に応じて、元画像690から所定領域を読み取って別途記憶装置に保存したラスタ形式の画像。
元画像690がベクター形式の場合には、一旦作成したラスタ形式の元画像690から読み取る。
元画像690から読み取る所定範囲は、水平ターゲット領域533と短手方向が同じ範囲(同じ画像が表示される範囲)で、長手方向が元画像690全体の範囲である。
本実施形態では、記憶装置に保存されるが、RAMに保存するようにしてもよい。
(e)垂直/水平ターゲット画像700、710:垂直ターゲット画像700と水平ターゲット画像710。
【0015】
(f)拡縮垂直ターゲット画像621:垂直ターゲット画像700を、長手方向(垂直方向)に拡縮率P、短手方向(水平方向)に拡縮率Qで拡縮した画像。
(g)拡縮水平ターゲット画像622:水平ターゲット画像710を、長手方向(水平方向)に拡縮率P、短手方向(垂直方向)に拡縮率Qで拡縮した画像。
(h)拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622:拡縮垂直ターゲット画像621と、拡縮水平ターゲット画像622。
【0016】
(i)拡縮率Q:ピンチ操作による指等の移動量から取得する、表示画面53に表示している拡縮元画像620を基準にした拡縮率。
(j)拡縮率R:ピンチ操作直前に表示している拡縮元画像620の、元画像690に対する拡縮率。
(k)拡縮率P:ピンチ操作後に表示する拡縮元画像620の、元画像690に対する拡縮率で、P=Q×R。
(l)拡縮率S:ターゲット設定処理において、ターゲット画像が指定された時点で画面表示されている拡縮元画像620の、元画像690に対する拡縮率。
【0017】
(3)実施形態の詳細
図1は、図面表示装置50の構成を示した図である。
この図面表示装置50は、CPU51、ROM52、表示画面53、通信装置54、画像入力装置55、RAM62、表示用メモリ64、記憶装置66を備えている。
CPU51は、本実施形態における図面表示プログラム等の各種プログラムに従った情報処理を実行することで、図面表示装置50の各部を統括的に制御する。
例えば、本実施形態においてCPU51は、図面表示プログラム68に保存されているターゲット設定処理プログラムを実行することで垂直/水平ターゲット領域532、533の設定及び両ターゲット領域532、533に表示する垂直/水平ターゲット画像700、710の保存等を行う。またCPU51は、ターゲット追従処理プログラムを実行することで、垂直/水平ターゲット領域532、533の表示を元画像690の表示に追従して表示させる。
ROM52は、CPU51が実行するための各種プログラムや当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶した読み取り専用メモリである。
【0018】
表示画面53は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、所定の縮尺で設計図面などの図面データを表示できるようになっている。この表示画面53のピクセル数は任意であるが、本実施形態では、1024×768ピックセルの表示画面53を使用する場合について説明する。
本実施形態において表示画面53には、ユーザによって選択された図面データを元画像690とし、この元画像690を画面操作に従って拡大、縮小(以下、拡縮という)した画像(拡縮元画像620)の全部又は一部が表示される。
また、表示画面53には、ユーザ操作に基づいて、画面の上側、下側の何れか一方又は双方と、左側、右側の何れか一方又は双方(本実施形態では右側と下側)に、矩形の垂直ターゲット領域532、及び水平ターゲット領域533が確保される。
そして、図面データのうち固定的に表示を継続したい領域の画像、例えば図面データに含まれる通り芯の記号表示部分の画像が、ユーザ操作により垂直/水平ターゲット画像700、710として選択され、選択された垂直/水平ターゲット画像700、710を拡大縮小した拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が、垂直/水平ターゲット像領域532、533に表示される。
表示画面53の右下には、垂直/水平ターゲット領域532、533を確保すると共に、垂直/水平ターゲット画像700、710を設定する操作に移行するためのターゲット選択ボタン531(
図4参照)が表示される。
【0019】
通信装置54は、LANやインターネットなどの各種ネットワークに接続するための通信用インターフェイスである。
この通信装置54を介して、各種サーバや端末装置との間でのデータの送受信がなされるが、本実施形態の通信装置54は、表示画面53に表示する建築図面や土木図面等の図面データ(デジタル図面のデータ)を図面サーバ等から取得する、図面データ(元画像)取得手段として機能するようになっている。
なお、図面データは他の方法で取得することが可能であり、例えば、USB(Universal Serial Bus)等の半導体メモリを介して取得するようにしてもよい。
さらに、図面表示装置50が図面作成プログラムを備えている場合において、当該プログラムにより作成した図面を記憶装置66に保存することで、図面データを取得するようにしてもよい。
また、図面データを記憶している他のコンピュータに有線接続または無線接続することで、当該コンピュータから取得するようにしてもよい。通信装置54は、この場合の有線接続、無線接続を行う場合にも通信手段として機能するようにしてもよい。
【0020】
画像入力装置55は、表示画面53の表面に配置されたタッチパネルで構成され、画像入力装置55に表示された各種「選択キー」に該当する位置をタッチすることで選択キーに対応する操作指示を入力する機能を有している。本実施形態では、表示画面53に表示されるターゲット選択ボタンが選択キーに該当し、このターゲット選択ボタン531に対応する画像入力装置55上の位置をタッチ(タップ)することで、ターゲット設定処理が実行される。
【0021】
画像入力装置55に対しては、タップ、ダブルタップ、フリック、ピンチ等の各種入力操作が可能である。
タップ操作は、画面上の1点を指等で一回叩く操作である。
ダブルタップ操作は、画面上の1点を指等で二回続けて叩く操作である。
ドラッグ操作は、画面上に付けた指等をそのまま離さずに動かす操作である。
フリック操作は、画面上に付けた指等を所定の方向に弾くようにして動かす動作であり、上下左右斜めの8方向を指定することができる。
本実施形態では、表示画面53に表示されている元画像690を表示範囲を変更する場合にフリック操作又はドラッグ操作が使用される。
【0022】
ピンチ操作は、画面上の二箇所に付けた2本の指等を離さずにそのまま動かす動作で、2本の指をとじ合わせるピンチイン操作と、2本の指を開くピンチアウト動作とがある。
本実施形態では、ピンチ操作により表示画面53に表示されている図面の拡大、縮小(拡縮)が指示される。ピンチ操作による指等の移動量から、現在表示している図面を基準にした拡縮率Qが入力され、最初に2本の指等を付けた座標の中央を中心として拡縮率Qで拡大、縮小した後の画像が表示されることになる。
【0023】
RAM62は、CPU51がプログラムに従って各種処理を行際のワーキングメモリとして機能する。
本実施形態では、後述するターゲット設定処理プログラムやターゲット追従処理プログラムにおける作業領域として、拡縮元画像620、拡縮垂直ターゲット画像621、拡縮水平ターゲット画像622を記憶する作業領域がRAM62に確保されるようになっている。
【0024】
表示用メモリ64は、表示画面53に表示する画像情報を記憶するメモリで、VRAM(ビデオラム)が使用される。
表示用メモリ64には、拡縮元画像620や拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が書き込まれ、この画像が表示画面53に表示される。
従って、表示画面53により拡大、縮小、移動のための各種操作がされる毎に、表示用メモリ64の内容は書き換えられる。
【0025】
記憶装置66は、例えばハードディスクやEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの大容量記憶媒体から構成されている。
記憶装置66は、図面データを拡大、縮小して表示する図面表示プログラム68、図面データ記憶部69、垂直ターゲット画像記憶部70、水平ターゲット画像記憶部71、その他のデータを記憶する記憶手段として機能する。
【0026】
図面表示プログラム68には、本実施形態におけるターゲット画像設定処理プログラム、ターゲット追従処理プログラム等が含まれる。
CPU51が、この図面表示プログラム68を実行することで、図面データ記憶部69に記憶している図面を選択し、指定された領域について指定された拡縮率Qの画像を表示画面53に表示したり、ターゲット画像の設定や表示、追従処理を行う。
【0027】
図面データ記憶部69は、本実施形態において表示画面53への表示対象となる、建築図面、土木図面等の各種デジタルデータ化された図面データが保存される。
なお、本実施の形態の図面データは、家屋や集合住宅などの設計図面や、高層建築の設計図面、プラント建設用の設計図面等の各種設計図面を対象として説明するが、土木工事用の施工図面や、機械の組立図面など、各種図面にも広く適用することが可能である。
【0028】
図面データ記憶部69に保存される図面データは、CAD(computer aided design)ソフトにより作成された図面データが保存される場合の他、用紙に印刷された図面をスキャナ装置で読み取った画像データが該当する。
本実施形態における図面データは、拡大、縮小して表示画面53に表示することになるが、拡大、縮小する前の元の画像データであるため、1ファイルに含まれる図面データ全体(図面データの属性情報を除く)を「元画像690」として説明する。
【0029】
図面データ記憶部69に保存される元画像690のデータ形式としては、GIF形式、JPEG形式、PING形式、BMP形式等のラスタデータのほか、ベクターデータの何れでもよい。
元画像690のデータ形式がラスタデータの場合、その画像サイズにつても特に規定サイズはなく、何れでもよい。
但し、本実施形態では、処理の高速化のため、6144×4608ピクセルの元画像690が保存されている。この元画像690のサイズは、150dpiで用紙に印刷した場合にA0サイズになるサイズである。また、サイズ1024×768ピクセルの表示画面53の縦、横共のサイズを6倍した値であるため高速処理に適している。
【0030】
なお、図面データの原本としてサーバ等に保存する場合には、より表示精度の高い図面を保存するために、解像度600dpi程度のデータを保存する場合がある。この場合、印刷時A0サイズの図面データでは、28087×19866ピクセルとなる。
この解像度600dpi、28087×19866ピクセルの図面データを元画像690として図面データ記憶部69に保存することも可能である。
但し、本実施形態では、図面データが解像度600dpi、28087×19866ピクセルである場合には、解像度を600dpiから150dpiに落とした、サイズ6144×4608ピクセルの図面データを生成し、これを元画像690として図面データ記憶部69に保存する場合について説明する。
【0031】
図2は、図面データ記憶部69に保存される図面データによる元画像690の一例として住宅の建築図面を表したものである。
なお、
図2に示した外側の四角い枠線は元画像690の範囲を解り安くするために便宜的に表示したものであり、図面データの一部を構成するものではない。
図面データには、元画像690の他、元画像690を用紙に実寸印刷した際の縮尺を表す縮尺データや、縦横の解像度(ラスタ形式の場合)などの属性情報が含まれており、
図2の元画像690はこれら属性情報に基づいて表したものである。
【0032】
図2に示すように、元画像690の建築図面には、建築対象物を表す建築
図691と、この建築
図691の外側に柱や壁の中心線を示す通り芯(細い直線で表示)と、各通り芯に付された垂直方向の通り芯番号692、水平方向の通り芯番号693が記載されている。
図2に例示した元画像690では、垂直方向の通り芯番号692として丸付きの英字A〜Dが、また、水平方向の通り芯番号693として丸付きの数字1〜5が、それぞれの各通り芯に対応して記載されている。
なお、
図2の例では、通り芯と通り芯番号が図面に向かって右側と下側に記載されているが、元図によっては左側や上側に記載されている場合もある。すなわち、垂直方向の通り芯番号692は、図面左側、右側の何れか、又は双方に記載されることがあり、水平方向の通り芯番号693は図面上側、下側の何れか又は双方に記載されることがある。
【0033】
図1に戻り、記憶装置66の垂直ターゲット画像記憶部70と、水平ターゲット画像記憶部71は、それぞれ、表示画面53からユーザが指定した領域に対応する領域の画像を元画像690から読み取ることで、元画像690と同一解像度の垂直ターゲット画像、水平ターゲット画像として保存される。
但し、垂直ターゲット画像700と、水平ターゲット画像710は、ともに元画像690から読み込む際に、マスク処理を行う。このマスク処理は、所定色の画素に対して下層にくる画像を透過させる画素にするマスク処理である。元画像690から読み込む際にマスク処理を行うことで、白い部分は透過データ(透過ドット)とし、白以外の部分(黒のドットで表現される部分)はマスクパターンとして保存される。マスク部分については、デフォルトの色として青が指定されているが、ユーザの好みにより好きな色に変更することができる。
一方、マスク処理により透過する部分は、ターゲット領域に表示した際、下側に表示されている元画像690を拡縮処理した拡縮元画像620が透けて見えるが、拡縮元画像620が透けて見えている状態であることを認識できるようにするため、垂直/水平ターゲット画像700、710の透過部分の透明度と色をユーザが指定できる。デフォルトの透明度と色は、例えば70%の青である。
その結果、デフォルト設定の場合、ターゲット領域において、ターゲット画像のマスク部分は青で、ターゲット画像の透過部分のうち下側の拡縮元画像620が白の場合には水色(70%、青)で、下側の拡縮元画像620が黒の場合には少し濃い水色で表示されることで、各々を区別することができる。
【0034】
このように垂直/水平ターゲット画像700、710がマスク処理されているので、垂直/水平ターゲット領域532、533を表示画面53上に確保したとしても、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622によって拡縮元画像620が全く見えなくなる(即ち、拡縮元画像620の表示領域が狭くなる)ことが無い。
言いかえると、拡縮元画像620を表示するため領域として表示画面53全体を使用することができるという利点がある。
【0035】
なお、元画像690がベクターデータの場合には、属性情報に基づきベクターデータを一旦ラスタデータ化した後、指定された領域に対応する領域の画像をラスタデータ化後の元画像690から読み取ることで、垂直ターゲット画像700、水平ターゲット画像710として保存する。
この場合の元画像690は、拡縮率Pに従って、ベクターデータから拡縮元画像620を作成して表示画面53全体に表示する。表示画面53の垂直/水平ターゲット領域532、533に表示する拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622は、垂直/水平ターゲット画像記憶部70、71に保存されているラスタデータを拡縮して表示する。
【0036】
後述するように、表示画面53に元画像690と共にターゲット画像を表示する場合、画面操作から得た換算後の拡縮率Pに従い、元画像690をP×P倍に拡縮処理した拡縮元画像620を表示画面53に表示する。
また、垂直ターゲット画像記憶部70の垂直ターゲット画像700を長手方向(垂直方向)にP倍、短手方向にS倍した拡縮垂直ターゲット画像621を垂直ターゲット領域に表示し、水平ターゲット画像記憶部71の水平ターゲット画像710を長手方向(水平方向)にP倍、短手方向にS倍した拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を垂直水平ターゲット領域表示する。
【0037】
次に、以上の通り構成した図面表示装置における、通り芯番号等の画像を固定的に表示するためのターゲット設定処理について
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
CPU51は、図面データ記憶部69のファイルシステムに保存されている図面データの中から、ユーザによって指定されたファイル名の図面データを読み出すことで表示対象となる元画像690を取得する(ステップ10)。
【0038】
そして、CPU51は、取得した元画像690を指定サイズ、範囲で表示画面53に表示する(ステップ11)。
この表示処理において当初CPU51は、元画像690で表される全範囲を表示画面53に表示するが、通常は元画像690のサイズ(縦ドット数×横ドット数)が表示画面53のサイズよりも大きいため、表示画面53の画面サイズに縦横共に収まるサイズに元画像690のサイズを縮小する。なお、元画像690の方が表示画面53よりもサイズが小さい場合には、拡大せずにそのまま表示することになる。
【0039】
元画像690を拡縮して表示画面53に表示する際、元画像690の縦横比が変化しないように、属性情報で規定されている縦解像度(dpi)と横解像度(dpi)を、表示画面53の縦横両解像度に合わせて表示する。
表示画面53の解像度に合わせて表示する方法は任意の各種方法を使用することができるが、例えば、元画像690の解像度が縦Ndpi、横Mdpiで、表示画面53の解像度が縦Vdpi、横Wdpiである場合、元画像690、又はユーザが指定した拡縮率で元画像690を拡大縮小した後の拡縮元画像620を、縦横の比がV対Wとなるように縮小したうえで表示することになる。この変換処理は図形表示装置が備えている表示処理のアプリケーションで行うことができる。
但し、本実施形態では説明を簡単にするために、元画像690、表示画面53共に同一の解像度であるものとして説明する。
【0040】
CPU51は、ユーザによる表示画面53(タッチパネル)上でのピンチ操作に基づいて、表示している拡縮元画像620の拡大、縮小処理を行い、また、及びフリック操作やドラッグ操作に基づいて拡縮元画像620の移動(表示範囲の変更)を行う。
【0041】
図4は、ユーザによる画面操作後の表示画面53の表示画面表したものである。
図4(a)に示すように、元画像690をユーザ操作に基づき拡縮処理した後の拡縮元画像620が表示画面53の全体に表示されている。すなわち、
図4(a)では、元画像690(
図2参照)の全体を最初に表示画面53に表示したのち、ユーザのピンチアウト操作による拡大と、右下方向へのドラッグ操作が行われた状態が表示されている。
また、表示画面53の右下にはターゲット選択ボタン531が表示されている。ユーザはこのターゲット選択ボタン531をタップする(選択する)ことでターゲット表示の要求を行うことができる。
【0042】
CPU51は、ユーザがターゲット選択ボタン531をタップすることによりターゲット表示の要求がされたか否かを監視している(ステップ12)。
ユーザによるターゲット表示の要求がされると(ステップ12;Y)、CPU51は、表示画面53の右端に所定横幅の垂直ターゲット領域532と、下端に所定縦幅の水平ターゲット領域533を表示する(ステップ13)。
図4(b)は、
図4(a)の表示状態でターゲット選択ボタン531がタップされた場合の画面状態を表したものである。
垂直/水平ターゲット領域532、533内はデフォルトの透明度70%の青(結果、水色)で表示することにより当該領域が明示される。
図4(b)では、表示画面53全体に表示されている拡縮元画像620のうち、垂直/水平ターゲット領域532、533内に含まれる拡縮元画像620は点線で表されているが、実際は少し濃い水色で表示される。
【0043】
表示画面53に垂直/水平ターゲット領域532、533が表示されると、ユーザは、元画像690のうちターゲット画像として固定的に表示したい画像が両領域532、533内に含まれているか否かを確認する。含まれていなければ、ユーザはピンチ操作やドラッグ操作等(以下、画面操作という)を行うことで、両領域532、533内に表示されている拡縮元画像620のサイズ、領域を変更する。
CPU51は、画面操作により表示画像の変更要求があるか否かを監視し(ステップ14)、変更要求があれば(ステップ14;Y)、指示に従って拡縮画像の表示サイズ、範囲の変更を行う(ステップ15)。
【0044】
例えば、
図4(b)に示した表示画面53には通り芯番号が表示されていない。
そこで、ユーザは、表示画面53上で左上方向にドラッグ操作をすることで、
図5(c)に示すように、拡縮元画像620が左上に移動し、それまで表示されていなかった右下側の画像が垂直/水平ターゲット領域532、533に表示されることになる。
そして、垂直/水平ターゲット領域532、533には、所望領域の画像である垂直方向の通り芯番号692(丸付きの英字A〜D)、水平方向の通り芯番号693(丸付きの数字1〜5)が表示される。なお、
図5(c)では、通り芯番号692、693は、ターゲット画像として表示されているのではなく、拡縮元画像620が透けて表示されているため、点線で表示されている。
【0045】
ユーザは、垂直/水平ターゲット領域532、533に所望の画像が表示されていれば、垂直/水平ターゲット領域532、533内をタップ操作することでターゲット画像を指定し、CPU51は、タップ操作により指定がされたか否かを監視している(ステップ16)。
なお、ユーザによるターゲット画像の指定(タップ)は、垂直ターゲット領域532、と水平ターゲット領域533の個別に行い、何れか一方のみを指定することも可能である。
そして、双方を指定する場合、一方の指定をした後、他方を指定する前に表示画像の表示サイズ、範囲を変更(ステップ15)し、その後他方を指定するようにしてもよい。
【0046】
ターゲット画像が指定されると(ステップ16;Y)、CPU51は、指定された範囲に対応するターゲット画像を図面データ記憶部69の元画像690から読み出し、上述したマスク処理により白い部分は透過データとし、白以外の部分はマスクパターンとして、垂直ターゲット画像記憶部70、水平ターゲット画像記憶部71に記憶する(ステップ17)。
なお、CPU51は、ターゲット画像が指定(ステップ16;Y)された時点で表示画面53に表示している拡縮元画像620の、元画像690に対する拡縮率SをRAM62に保存する。
【0047】
図6は、元画像690のうち、垂直ターゲット画像記憶部70、水平ターゲット画像記憶部71に記憶する範囲を表したものである。
図6において元画像690は、
図2に表した元画像690と同一である。
ステップ17においてCPU51は、表示画面53の垂直ターゲット領域532に透過表示されている拡縮元画像620(
図5(c)参照)に対応する領域の画像を元画像690から読み出し、マスク処理の後に垂直ターゲット画像記憶部70に記憶する。
またCPU51は、表示画面53の水平ターゲット領域533に透過表示されている拡縮元画像620に対応する領域の画像を元画像690から読み出し、マスク処理の後に水平ターゲット画像記憶部71に記憶する。
【0048】
なお、本実施形態において、元画像690から読み出して垂直ターゲット画像記憶部70に記憶する領域としは、
図6に示すように、水平方向(短手方向)が垂直ターゲット領域532で表示されている範囲であり、垂直方向(長手方向)が垂直ターゲット領域532の長手方向(垂直方向)全体まで拡大した範囲(表示範囲よりも長い範囲)である。
すなわち、
図5(c)の垂直ターゲット領域532に表示されている拡縮元画像620が通り芯番号のA〜Cであるのに対し、垂直ターゲット画像記憶部70に記憶する通り芯番号は、
図6で示すようにA〜Dの全体である。
同様に、元画像690から読み出して水平ターゲット画像記憶部71に記憶する領域としては、垂直方向(短手方向)が水平ターゲット領域532で表示されている範囲であり、水平方向(長手方向)が水平ターゲット領域532の長手方向(垂直方向)全体まで拡大した範囲である。
このように、垂直/水平ターゲット領域532、533の長手方向については、元画像690全体まで拡大した範囲を記憶することにより、長手方向(垂直、水平の両方向)に並んで表示されている全ての通り芯番号(A〜D、1〜5)を保存することができる。また、表示画面53に表示される拡縮元画像620の全範囲に対応して、長手方向の追従表示が可能になる。
【0049】
次にCPU51は、
図5(d)に示されるように、記憶した垂直/水平ターゲット画像700、710を、表示画面53の垂直/水平ターゲット領域532、533に表示する(ステップ18)。
この垂直/水平ターゲット領域532、533には、垂直/水平ターゲット画像記憶部70、71に記憶した両画像を拡縮した拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が表示される。
その結果、ステップ16でターゲット画像が指定される前では、
図5(c)に示すように通り芯番号692、693が拡縮元画像620の透過画像として表示(
図5(c)では点線で表示)されていたのに対して、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622はマスク部分のデフォルト色の青(
図5(d)では実線で表示)で表示される。
なお、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を、垂直/水平ターゲット領域532、533に表示する場合の拡縮処理及び表示範囲については後述のターゲット追従処理で説明する。
【0050】
以上説明したターゲット設定処理に引き続き、CPU51は、ユーザによる表示画面53の画面操作に応じて移動(表示範囲の変更)及び拡縮した拡縮元画像620を表示すると共に、拡縮元画像620の移動、拡縮に対して長手方向に追従させた、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を垂直/水平ターゲット領域532、533に表示する。
図7は、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622の追従処理を表したフローチャートである。
なお、この追従処理では、
図5(d)の表示画面53状態からの画面遷移を参照しながら説明する。
CPU51は、表示画面53において、ユーザによる特定処理を受け付ける(ステップ20)。この特定処理としては、表示画面53上での、画像移動のためのドラッグ操作やフリック操作、画像拡縮のためのピンチ操作が対象となる。
【0051】
CPU51は、受け付けた特定処理が移動か否かを判断する(ステップ21)。
特定処理がドラッグ操作による移動であれば(ステップ21;Y)、CPU51は、ドラッグ操作又はフリック操作に基づき、水平方向、垂直方向の移動量(x、y)を取得する(ステップ22)。
CPU51は、ドラッグ操作の場合には指等により画面をタッチした位置と移動後に離した位置の両座標値から移動量(x、y)を求める。またフリック操作の場合、CPU51は、操作した弾いた方向(上下左右斜めの何れか)と強さから移動量(x、y)を求める。
【0052】
移動の場合、表示画面53に表示する画像の拡縮率は変更する必要がないので、CPU51は、拡縮元画像620を(−x、−y)だけ移動する(ステップ23)。
すなわちCPU51は、RAM62に記憶した拡縮元画像620のうち、現在の表示範囲から水平方向に−x、垂直方向に−yだけ移動した範囲を読み出して表示用メモリ64に書き込む(ステップ23)。
【0053】
またCPU51は、RAM62の拡縮垂直ターゲット画像621のうち、現在の表示範囲から垂直方向(長手方向)に−yだけ移動した範囲を読み出して、表示用メモリ64の垂直ターゲット領域532に対応する領域に書き込む(ステップ24)。
さらにCPU51は、RAM62の拡縮水平ターゲット画像622のうち、現在の表示範囲から水平方向(長手方向)に−xだけ移動した範囲を読み出して、表示用メモリ64の水平ターゲット領域533に対応する領域に書き込む(ステップ25)。
なお、拡縮元画像620を書き込んだ後であれば、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622の表示用メモリ64の書き込みはどちらが先でもよい。
【0054】
表示用メモリ64に拡縮元画像620、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を書き込むことにより、表示画面53には新たに書き込まれた画像が表示される(ステップ26)。
図8(e)は、移動処理後の表示画面53の画像表示状態を表したものである。
すなわち、
図5(d)に示した移動前の表示画面53(ターゲット設定処理後の画面)において、ユーザが指等により拡縮元画像620だけが表示されている領域で右下方向へのドラッグ操作がユーザによって行われた後の画像が
図8(e)に表されている。
CPU51は、この右下方向へのドラッグ操作から移動量(x(右)、y(下))を取得し、
図5(d)で表示している領域の拡縮元画像620よりも(−x(左)、−y(上))の領域を読み出して表示用メモリ64に書き込む。これにより表示画面53には、
図8(e)に示されるように、拡縮元画像620のうち住宅図全体が表示される。この際、
図5(d)の状態で垂直/水平ターゲット領域532、533には存在しなかった通り芯線が、当該領域532、533において透過表示される。但し、
図8(e)では、通り芯線は拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622のマスク部分(通り芯線番号692、693)と重複している箇所は表示されていない。
【0055】
そしてCPU51は、垂直ターゲット領域532で表示している領域の拡縮垂直ターゲット画像621よりも−y(上)の領域を読み出して、表示用メモリ64に上書きする。
これにより拡縮元画像620との垂直方向の位置関係を維持しながら追従した垂直拡縮ターゲット画像621が、垂直ターゲット領域532に表示される。
図5(d)ではA〜Cの通り芯だけが表示されていたのに対し、移動処理後の
図8(e)では、A〜Dの通り芯が表示されている。
【0056】
またCPU51は、水平ターゲット領域533で表示している領域の拡縮垂直ターゲット画像622よりも−x(左)の領域を読み出して、表示用メモリ64に上書きする。
これにより拡縮元画像620との水平方向の位置関係を維持しながら追従した水平拡縮ターゲット画像622が、水平垂直ターゲット領域533に表示される。
図5(d)では2〜5の通り芯だけが表示されていたのに対し、移動処理後の
図8(e)では、1〜5の通り芯が表示されている。
【0057】
以上説明したように本実施形態の移動処理により、
図5(d)から
図8(e)への画面遷移に示されるように、拡縮元画像620の上下方向(垂直方向)の移動に追従して拡縮垂直ターゲット画像621が拡縮元画像620との位置関係を維持しながら上下方向に移動する。
また、拡縮元画像620の左右方向(水平方向)の移動に追従して拡縮水平ターゲット画像622が拡縮元画像620との位置関係を維持しながら左右方向に移動する。
これにより表示画面53に表示されている拡縮元画像620に対応する通り芯番号(ターゲットとして設定された画像)を常に確認することができる。
【0058】
一方、ステップ20で受け付けた特定処理が移動ではなく、ピンチ操作による拡縮処理である場合(ステップ21)、CPU51は、ピンチ操作に基づいて、元画像690に対する拡縮率Pと拡縮中心を取得する(ステップ27)。
すなわちCPU51は、ピンチ操作において、最初に2本の指等を付けた座標の中央を拡縮中心として取得する。
さらに、CPU51は、ピンチ操作による指等の移動量から、操作前に表示している拡縮元画像620を基準にした拡縮率Qを取得する。そして、元画像690を基準として操作前に表示している拡縮元画像620の拡縮率がRである場合、CPU51は、元画像690を基準とする、ピンチ操作後の拡縮率P=Q×Rを取得し、P×P倍の拡縮元画像620を作成する。
例えば、元画像690に対して1辺の拡縮率R=0.25の拡縮元画像620が表示されている状態で、ピンチ操作により拡縮率Q=2を取得した場合、CPU51は、拡縮率P=0.5(=0.25×2)の拡縮元画像620を作成する。
このように、ピンチ操作により取得する拡縮率Qは、表示画面53に表示されている操作前の拡縮画像620を基準とした拡縮率であるので、これを元画像690を基準とした拡縮率Pに変換して拡縮画像620を作成することで、拡縮操作による画素落ちが累積されることを防止することができる。
【0059】
次にCPU51は、取得した拡縮率Pに基づいて、元画像690からP×P倍の拡縮元画像620を作成し、ピンチ操作に対して取得した拡縮中心を中心とする拡縮元画像620を表示用メモリ64に書き込む(ステップ28)。
さらにCPU51は、垂直ターゲット画像700から、水平方向S倍、垂直方向(長手方向)P倍の拡縮垂直ターゲット画像621を作成し、拡縮元画像620と同じ垂直方向の範囲を読み出して表示用メモリ64の該当箇所に書き込む(ステップ29)。
またCPU51は、水平ターゲット画像71から、水平方向(長手方向)P倍、垂直方向S倍の拡縮水平ターゲット画像622を作成し、拡縮元画像620と同じ水平方向の範囲を読み出して表示用メモリ64の該当箇所に書き込む(ステップ30)。
【0060】
なお、拡縮率Sは上述したように、ターゲット設定処理においてターゲット画像が指定された時点(ステップ16;Y)で表示画面53に表示されている拡縮元画像620の元画像690に対する拡縮率である。この短手方向の拡縮率Sは拡縮処理において常に一定の値、すなわち、換算した拡縮率Pにかかわらず常に固定した拡縮率Sが使用される。
これにより、垂直/水平ターゲット領域532、533の短手方向は、常にターゲット設定の際に表示されていた画像と同じサイズの拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が表示され、長手方向だけが拡縮される。
【0061】
以上のとおり表示用メモリ64に拡縮元画像620、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を書き込むことにより、表示画面53には新たに書き込まれた画像が表示される(ステップ26)。
図8(f)は、
図8(e)の表示画面において拡縮処理された後の表示画面53の表示画像を表したものである。
この
図8(f)は、
図8(e)に表示した表示画面53で表示されている拡縮元画像620において文字「和」の左下を拡縮中心としてピンチアウト操作がなされ、拡縮前の拡縮元画像620を基準として1辺の拡縮率がQ=2.5倍に拡縮処理された後の画面である。
これにより
図8(f)に示す表示画面53では、元画像690から拡縮率P(拡縮率Qから換算)で作成した拡縮元画像620のうち、拡縮中心(文字「和」の左下)を表示領域の中心とした領域が表示されている。
【0062】
一方、垂直/水平ターゲット領域532、533には、垂直/水平ターゲット画像700、710を、長手方向に拡縮元画像620と同一の拡縮率P、または短手方向に固定の拡縮率Sとなるように拡縮処理し、長手方向について拡縮元画像620の表示範囲と同一範囲の拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が表示されている。
なお、拡縮率Sの短手方向は、垂直/水平ターゲット領域532、533の幅サイズと一致しているのでそのまま全範囲が表示される。
【0063】
このように垂直/水平ターゲット領域532、533の短手方向は、常にターゲット設定の際に表示されていた画像と同じサイズの拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が表示され、長手方向だけが拡縮される。
すなわち、ターゲット設定の際に垂直/水平ターゲット領域532、533に表示(ステップ18参照)された拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を基準にすると、短手方向1倍(拡縮なし)、長手方向Q倍(ピンチ操作による)の拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が表示される。
その結果、
図8(f)では、ターゲット設定の際の画像(
図5(d)参照)や、拡縮前の画像(
図8(e)参照)に比べ、垂直/水平ターゲット領域532、533に表示されている通り芯番号A〜D(このうちCとDの一部)が縦長(Q倍)に表示され、通り芯番号1〜5(このうち3〜5)が横長(Q倍)に表示される。これにより、表示領域の長さ(サイズ)が短い短手方向であっても、拡大処理により画像(実施例では通り芯番号の画像)が領域からはみ出してしまい(欠けが生じ)、読み取れなくなることが回避される。
【0064】
なお、
図8(f)の垂直ターゲット領域532には、拡縮元画像620の一部である、通り芯番号「5」に対応する壁面の線695が透過表示(点線で表示)されている。
また、垂直ターゲット領域532と水平ターゲット領域533が重複している右下の重複領域534には、拡縮水平ターゲット画像622に含まれる通り芯番号「5」がマスクパターンとしてデフォルト色(説明した実施形態では青)で表示されている。本実施形態では、重複領域534では、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622のマスクパターンが共に表示されるが、重複により文字が見にくくなる可能性があるので、何れか一方を表示し他方を表示しないようにしてもよい。この場合、例えばデフォルトとして、拡縮水平ターゲット画像622を表示するようにし、ユーザ操作(例えば、重複領域を除く垂直ターゲット領域532をタップする処理)により拡縮垂直ターゲット画像621の表示に切り替えるようにしてもよい。また、重複領域534のタップ操作毎に切り替えるようにしてもよい。
【0065】
このように本実施形態では、拡縮元画像620を元画像690から作成しているのに対し、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622については、元画像690とは別の画像である、垂直/水平ターゲット画像700、710から作成している。
このため、長手方向と短手方向とで異なる拡縮率の、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を作成することができる。
【0066】
さらに、元画像690と別に、垂直/水平ターゲット画像700、710を記憶するようにしたので、共通の拡縮表示プログラムを使用することができ、簡易なプログラムとすることができる。
すなわち、有る画像を元にして、指定された拡縮率で指定された範囲を指定された画面領域に表示する拡縮表示プログラムは各種存在するので、元画像690、垂直/水平ターゲット画像700、710に対して、同一の拡縮表示プログラムをそのまま使用することができる。CPU51は、短手方向、長手方向の拡縮率(元画像690の場合P×P、垂直/水平ターゲット画像の場合S×P、P×S)、読取範囲、画面領域をパラメータとして、同一の拡縮表示プログラムに適用することで、本実施形態におけるターゲット追従処理を行うことが可能になる。
【0067】
以上説明した実施形態では、元画像690がラスタデータである場合について説明したが、元画像690がベクターデータの場合について説明する。
元画像690がベクターデータである場合、表示画面53には、画面上の移動、拡縮操作がされる毎に、元画像690から直接表示用メモリ64に拡縮元画像620を書き込むことで拡縮元画像620を表示画面53に表示する。但し、RAM620に拡縮元画像620を作成して表示用メモリ54に書き込むようにしてもよい。
【0068】
一方、垂直/水平ターゲット画像700、710については、ターゲット画像が指定された際(ステップ16;Y)に、所定解像度(上述したラスタデータの場合と同一にする場合には150dpiであるが、他の解像度でもよく、ユーザが指定可能にしてもよい)でのラスタデータを作成し、このラスタデータを元画像690とし、ステップ17で説明したのと同様にして垂直/水平ターゲット画像700、710(ラスタデータ)を垂直/水平ターゲット画像記憶部70、71に保存する。
以後、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622の作成については、
図7のターゲット追従処理で説明したのと同様である。
【0069】
図9は、ベクターデータを元画像690として、ターゲット追従処理で拡縮処理した画像を表したものである。
この
図9は、元画像690がベクターデータであるため、表示画面53に表示される拡縮元画像620は、その拡縮率にかかわらず、指定された太さの線で描画表示される。これは、元画像690がラスタデータで、
図9と同じ状態を表示している、
図8(f)と比較することで理解される。
このように、線分等が常に指定された一定の太さで表示されることで、表示画面53が比較的小さいスマートフォン(多機能携帯電話)や携帯電話等の図面表示装置50であっても、綺麗な線画を表示することができる。
【0070】
また、本実施形態の図面表示装置50は、印刷時のサイズがA0やA1サイズである建築図面等のような大きな図面を、A4サイズ以下程度の画面、場合によっては携帯電話のように更に小さな画面で表示するものであり、図面表示装置50では、基本的に拡大、縮小操作を頻繁に繰り返すことを前提としている。すなわち、縮小して図面全体を表示したり、全体図から印刷時と同程度のサイズに拡大して表示(元画像690からは縮小)したりすることで表示画面53のサイズの小ささをカバーしつつ携帯性のメリットを生かすものである。
このため、元画像690がベクターデータである場合には、拡縮処理の繰り返しによるデータ処理の負担を小さくすることができる。
【0071】
また、拡縮元画像620をベクターデータの元画像690から作成しているのに対し、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622はラスタデータの垂直/水平ターゲット画像700、710から作成している。
このため、
図9に示すように、拡縮率にかかわらず一定の太さで描画される拡縮元画像620と異なり、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622は、拡縮率P(拡縮率Q)に応じて長手方向に拡縮されることで、通り芯線番号の太さも変化することになる。
しかし、表示画面53のサイズに比べて垂直/水平ターゲット領域532、533のサイズが小さい(例えば、1/10〜1/20程度)である(ラスタデータである垂直/水平ターゲット画像700、710も小さい)ので、ベクターデータとして扱うよりも高速な処理が可能になる。
【0072】
以上本願発明の実施形態について説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、説明した実施形態では、垂直/水平ターゲット領域532、533がそれぞれ表示画面53の右端/下端に固定的に表示さる場合について説明したが、垂直/水平ターゲット領域532、533を移動可能にしてもよい。
図10(a)は、垂直ターゲット領域532を表示画面53の右端から、画面中央に移動させた状態を表したものである。
移動させるためには、垂直ターゲット領域532内を指等で触れて、そのまま所望の位置まで左右にドラッグ操作をする。また水平ターゲット領域533内を指等で触れ、そのまま所望の位置まで上下方向にドラッグ操作をする。
CPU51は、ドラッグ終了位置まで垂直/水平ターゲット領域532、533を移動する。
【0073】
このように垂直/水平ターゲット領域532、533の短手方向の移動を可能とすることで、次のような効果を得ることができる。
すなわち、垂直/水平ターゲット領域532、533が端部に固定されていると、逆側の端部に表示されている拡縮元画像620の位置(例えば、通り芯番号に対応する位置)が把握し辛くなる可能性がある。これに対して、当該短手方向の移動機能により垂直/水平ターゲット領域532、533を移動することで、確認したい画像部部分と、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622とを近傍で(移動位置によっては当該領域532、533内において)対比し、確認をすることができる。
また、
図10(a)に示されるように、垂直/水平ターゲット領域532、533を表示画面53の中央近傍等に移動させておくことで、表示画面53に表示される図面(拡縮元画像620)全体にわたっての対応(通り芯番号の場合には位置特定)が容易になる。
【0074】
また、垂直/水平ターゲット領域532、533のドラッグ操作による移動は、上述したターゲット追従処理だけでなく、ターゲット設定処理においてもドラッグ操作可能にしてもよい。
すなわち、ターゲット設定処理において、ターゲット画像として設定したい画像(拡縮元画像620)が、垂直/水平ターゲット領域532、533内に収まっている必要があるが、実施形態では、拡縮元画像620を移動する場合について説明した。
これに対して、ドラッグ操作により、所望の画像が収まる位置まで垂直/水平ターゲット領域532、533を移動するようにしてもよい。
【0075】
また、説明した実施形態では、ターゲット選択ボタン531(
図4参照)を選択した場合に、垂直/水平ターゲット領域532、533が、右端/下端に表示される場合について説明したが、次のように他の表示でもよい。
(1)ターゲット選択ボタン531の選択をすると、左端/上端に表示する。
(2)ターゲット選択ボタン531の選択により、右端/下端に表示され、再度ターゲット選択ボタン531(又は重複領域534)が選択されると左端/上端に切り替わり、以後、選択毎に切り替わる。
(3)ターゲット選択ボタン531の選択により、右端、左端、上端、下端の4箇所荷表示され、所望の領域をタップ処理することで、当該領域のターゲット画像を設定(ステップ16;Y)する。
【0076】
また、説明した実施形態及び上記変形例では、垂直/水平ターゲット領域532、533のサイズは固定であったが、そのサイズ(特に短手方向のサイズ)を変更できるようにしてもよい。
垂直/水平ターゲット領域532、533のサイズ変更を行うには、ターゲット設定処理において、ターゲット選択ボタン531の選択で表示される垂直/水平ターゲット領域532、533の短手方向の端部をドラッグすることで変更する。垂直/水平ターゲット領域532、533が上記変形例により表示画面53の端部から中央寄りに移動されている場合には、左右/上下の両端側で領域を広げたり、狭めたりすることができる。
CPU51Aは、ドラッグされた位置まで、領域を中央側端部側に広げる。
【0077】
なお、ターゲット設定処理の際だけでなく、ターゲット追従処理においても、上述したと同様に、垂直/水平ターゲット領域532、533の領域端部をドラッグすることで変更できるようにしてもよい。
この場合、CPU51は、ターゲット設定処理におけるステップ17の処理と同様にして、ドラッグ処理がされる直前の拡縮率で、ドラッグ後の領域に対応する垂直/水平ターゲット画像700、710が新たに作成される。
【0078】
更に、ターゲット画像を設定する場合に、表示画面53の画面上において、任意位置で任意サイズの矩形領域をユーザが指定するようにしてもよい。
ユーザは、表示画面53上で所望画像を含む矩形領域の対角2点を指定(タップ操作)する。
CPU51は、指定した2点を対角とする矩形領域を、ターゲット領域とする。
この場合、長手方向を自動検出して自動的に長手方向での追従をさせる。
但し、追従方向をユーザが指定するようにしてもよく、この場合、追従方向として短手方向を指定することもできる。
【0079】
また、ターゲット領域は矩形領域である必要がなく、円形、楕円形、任意の多角形でもよい。円形の場合には、例えば指定した1点目を中心とし、2点目を通る円形を設定する。任意形状の多角形については、2点以上を指定する。各種図形の中からユーザが選択してターゲット領域の形状を決める場合には、予め形状を選択したのちに、領域用の位置指定を行う。
ターゲット領域が矩形でない場合、長手方向、短手方向の区別ができないので、ユーザが追従方向を指定する。
また、拡縮サイズのみ追従して位置は固定(拡縮の中心は固定)するようにしてもよい。この場合、拡縮元画像620として表示されている図面の表示領域にかかわらず、常に同一地点を中心とする拡縮ターゲット画像が表示される。従って、拡縮元画像620を移動処理(ステップ21〜26)にかかわらず、拡縮ターゲット画像は移動しないで同一表示を続ける。
【0080】
説明した実施形態では、元画像690に対する拡縮元画像620の拡縮率Pに対して、垂直/水平ターゲット画像700、710を短手方向の拡縮率S、長手方向の拡縮率Pで拡縮した拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を表示する場合について説明した。
これに対して、
図10(b)に示すように、長手方向、短手方向共に拡縮率Pの拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を表示するようにしてもよい。この場合、短手方向については説明した実施形態と同様に拡縮元画像620に追従した移動をしないが、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622の短手方向中央が、垂直/水平ターゲット領域532、533の短手方向中央と一致するように表示される。
この変形例によれば、
図10(b)に示されるように、拡大処理をした場合に、短手方向の画像がカットされてしまうが、垂直/水平方向の拡縮率が同じなので、垂直/水平ターゲット画像700、710からの処理負担を小さくすることができる。
【0081】
また、説明した実施形態におけるターゲット設定処理では、
図4(a)、(b)に示されるように、ターゲット選択ボタン531を選択した場合、選択前の拡縮元画像620のまま垂直/水平ターゲット領域532、533を表示する場合について説明した。
これに対して、
図11に示されるように、ターゲット選択ボタン531を選択する前の拡縮元画像620の表示状態(拡縮率)にかかわらず、常に元画像690の全体を表示画面53に表示するようにしてもよい。
【0082】
以上説明した実施形態及び各変形例により、次の効果を得ることができる。
(1)元画像690とは別に垂直/水平ターゲット画像700、710を保存しているので、共通したプログラムを使用して、拡縮元画像620、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622の作成、表示を高速に行うことが可能になる。
(2)特に、元画像690がベクターデータである場合には、拡縮率にかかわらず拡縮元画像に対して綺麗な線画を表示することができ、特に表示画面が小さい多機能電話などにおいて有効である。また、元画像に対する拡縮処理の繰り返しによるデータ処理の負担を小さくすることができる。
(3)また、元画像690がベクターデータである場合にも、垂直/水平ターゲット画像700、710をラスタデータで保存するので、ベクターデータとして扱うよりも高速な処理が可能になる。これは、処理対象が元画像690よりも、垂直/水平ターゲット画像700、710のデータが小さいためである。
(4)垂直/水平ターゲット領域532、533を矩形とすることで、長手方向、短手方向の特定が可能になり、両方向に対して異なる処理(追従方向、拡縮)を行うことができる。
(5)長手方向に拡縮率P、短手方向に固定の縮尺率Sで拡縮するので、垂直/水平ターゲット領域532、533の短手方向には、常に同一幅の拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が表示される。これにより垂直/水平ターゲット領域532、533の幅が狭い短手方向にはみ出る部分の画像が欠けてしまうことが防止される。
特に、垂直/水平ターゲット画像700、710が通り芯番号を含む場合には、拡縮率によって通り芯番号の認識ができなくなることを回避できる。
(6)表示画面53内において拡縮元画像620を移動した場合、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622を、各々の長手方向の移動量成分だけ移動するので、拡縮元画像620の動きに対して、短手方向で画像が消えてしまうことなく、長手方向に限定した追従を行うことができる。
(7)垂直/水平ターゲット画像700、710について、各々の長手方向については元画像690の全範囲を読み取っている。
すなわち、ターゲット画像を指定(ステップ16;Y)した際の垂直/水平ターゲット領域532、533に対応した領域よりも長手方向に長い範囲の元画像690を読み取っている。
このため、表示画面53に表示している拡縮元画像620を長手方向に最大量移動(端まで表示させるように移動)させたとしても、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622が長手方向で途切れてしまうことが回避される。
(8)拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622はマスク処理され、下層に表示される拡縮元画像620が透過表示されるので、拡縮元画像620の表示領域を表示画面53全面にすることができる。特に、拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622に通り芯番号が含まれる場合には、拡縮元画像620上(例えば、建築部分(壁等)上)に通り芯番号を重ねて表示することで、建築部分と通り芯番号の対応を確実に行うことができる。
(9)また垂直/水平ターゲット領域532、533を長手方向に移動することができるので、表示している拡縮元画像620に対応して、邪魔にならない位置に移動したり、確認したい位置に移動したりすることができ利便性が向上される。
(10)特に、垂直/水平ターゲット領域532、533が移動可能であり、かつ、当該領域532、533内に表示される拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622がマスク処理されている。
これにより、ユーザは、下層の拡縮元画像620を透過させつつ、通り芯番号(拡縮垂直/水平ターゲット画像621、622)の位置をスライドさせることができるので、通り芯番号の配置位置を容易に位置決することができ、図面中でユーザの知りたい位置の特定が容易になる。