(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981176
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ラップラウンドケース
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20160818BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
B65D5/42 Z
B65D5/02 K
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-59851(P2012-59851)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-193744(P2013-193744A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100151024
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 幸嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】石井 一志
(72)【発明者】
【氏名】岸 宏幸
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−528394(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/066370(WO,A1)
【文献】
特表2008−517842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板(1)、一対の側面板(2)及び天面板(3)が連設され、側面板(2)から延出された端フラップ(5)と、底面板(1)及び天面板(3)から延出された端フラップ(6)とが貼り合わされて封緘される段ボール製ラップラウンドケースにおいて、
前記側面板(2)に、端フラップ(5)が繋がる端部間に亘って中間谷折線(9)が入れられ、側面板(2)と端フラップ(5)の境界部分に、底面側及び天面側が離反し、中間部が交差又は接近した稜部山折線(12)が入れられて、中括稜面部(13)が形成されると共に、底面側及び天面側が端フラップ側の稜部山折線(12)の両端に一致又は接近し、中間部が稜部山折線(12)から離れた稜部谷折線(14)が入れられて、中拡稜面部(15)が形成され、
中間谷折線(9)及び稜部谷折線(14)は、表面側が窪む谷折り方向へ折れ曲がりやすいように、表面側から押圧された逆罫線又は裏面側から厚さ方向の途中まで切り込まれた半切線とされ、稜部山折線(12)は、表面側が突き出す山折り方向へ折れ曲がりやすいように、裏面側から押圧された罫線とされていることを特徴とするラップラウンドケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料容器の集合包装等に使用する段ボール製ラップラウンドケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、
図5に示すように、ビール等の飲料缶Cを集合包装する際には、連設した底面板51、一対の側面板52及び天面板53により、集積した缶Cを包み込み、一方の側面板52に連設した継代片54に天面板53を貼り付け、側面板52から延出した端フラップ55と、底面板51及び天面板53から延出した端フラップ56とを貼り合わせて封緘する段ボール製のラップラウンドケースが使用される。
【0003】
このようなラップラウンドケースは、物流過程で大きな積上荷重が作用すると、側面板52が樽状に膨出する胴膨れ現象が生じることがある。
【0004】
その対策を施したラップラウンドケースとして、下記特許文献1には、
図6に示すように、側面板52と端フラップ55の境界部分に、底面側及び天面側で接近し、中間部で間隔が広がる2本の弧状山折線57,58を入れ、山折線57,58の間に湾曲する稜面部59を形成して、胴膨れを防止しようとするものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4542310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたようなラップラウンドケースでは、缶ではなく耐圧強度の小さいペットボトルを包装した場合、段ボールの強度が低下する多湿条件下で胴膨れを十分防止できないという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、ペットボトル等を包装し、多湿条件下で大きな積上荷重が作用しても、胴膨れを防止できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、底面板、一対の側面板及び天面板を連設し、側面板から延出した端フラップと、底面板及び天面板から延出した端フラップとを貼り合わせて封緘する
段ボール製ラップラウンドケースにおいて、前記側面板に、端フラップが繋がる端部間に亘って中間谷折線を入れ、側面板と端フラップの境界部分に、底面側及び天面側が離反し、中間部が交差又は接近した稜部山折線を入れて、中括稜面部を形成すると共に、底面側及び天面側が端フラップ側の稜部山折線の両端に一致又は接近し、中間部が稜部山折線から離れた稜部谷折線を入れて、中拡稜面部を形成し
、中間谷折線及び稜部谷折線は、表面側が窪む谷折り方向へ折れ曲がりやすいように、表面側から押圧した逆罫線又は裏面側から厚さ方向の途中まで切り込んだ半切線とし、稜部山折線は、表面側が突き出す山折り方向へ折れ曲がりやすいように、裏面側から押圧した罫線としたのである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るラップラウンドケースでは、コーナー部分において、中括稜面部と中拡稜面部とが耐圧荷重に優れた多面構造を形成するので、段ボールの強度が低下する多湿条件下で大きな積上荷重が作用しても、胴膨れが生じにくく、また、仮に座屈が生じても、中間谷折線及び稜部谷折線に沿って表面側が窪むように変形するので、胴膨れした形状となることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の実施形態に係るラップラウンドケースのブランクを示す図
【
図5】従来の一般的なラップラウンドケースの包装状態を示す斜視図
【
図6】特許文献1に記載のラップラウンドケースの包装状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
このラップラウンドケースは、飲料入りペットボトルを集合包装するものであり、
図1に示すような段ボール製のブランクを組み立てて形成される。
【0013】
このブランクでは、底面板1の一側に側面板2及び天面板3が、他側に側面板2及び継代片4がそれぞれ順次連設され、側面板2の両端に端フラップ5が、底面板1及び天面板3の両端に端フラップ6がそれぞれ連設されている。
【0014】
底面板1及び天面板3は、長方形の四隅に短い斜辺を有する八角形状とされ、側面板2は、底面板1及び天面板3の長辺に繋がっている。端フラップ6の両側縁は、後述する稜部谷折線14より内側に位置するように、斜めに切断されている。
【0015】
底面板1、一対の側面板2、天面板3及び継代片4の境界をなす稜部山折線7は、中央側が側面板2へ迫り出すように僅かにV字状に屈曲し、底面板1及び天面板3と端フラップの境界をなす稜部山折線8は、水平となっている。
【0016】
側面板2とその両端の端フラップ5には、幅方向の中間部に中間谷折線9が入れられ、中間谷折線9は、表面側が窪む谷折り方向へ折れ曲がりやすいように、表面側から押圧した逆罫線又は裏面側から厚さ方向の途中まで切り込んだ半切線とされている。
【0017】
また、側面板2及びその両端の端フラップ5には、中間谷折線9の位置に、開封用の引裂帯としてカットテープが貼着され、側面板2の中央部には、H字状に切込を入れてその摘み部10が形成されている。端フラップ5,6には、取手穴11が設けられている。
【0018】
そして、側面板2と端フラップ5の境界部分には、両端側が離反し、中間部が接近して交差したX字状をなす2本の稜部山折線12が入れられ、中央部が括れた中括稜面部13が形成されている。稜部山折線12は、表面側が突き出す山折り方向へ折れ曲がりやすいように、裏面側から押圧した通常の罫線とされている。
【0019】
また、側面板2と端フラップ5の境界部分には、両端が端フラップ5側の稜部山折線12の両端に一致し、中間部が稜部山折線12の交差部から離れるように屈曲した稜部谷折線14が入れられ、菱形状の中拡稜面部15が形成されている。稜部谷折線14は、谷折り方向へ折れ曲がりやすいように、表面側から押圧した逆罫線又は裏面側から厚さ方向の途中まで切り込んだ半切線とされている。
【0020】
このようなブランクを組み立てて、
図2及び
図3に示すように、ペットボトルBを包装する際には、底面板1に集積したペットボトルBを載せ、一対の側面板2を稜部山折線7に沿って起立させ、継代片4を内側へ折り曲げ、天面板3を稜部山折線7に沿って折り曲げ、ペットボトルBの上方に被せて、継代片4に貼り付け、端フラップ5,6を稜部山折線12,8に沿って順次折り曲げ、貼り合わせることにより封緘する。
【0021】
この組み立てに際し、稜部山折線12に沿った山折り方向への折り曲げに伴い、中括稜面部13は、四隅のペットボトルBに沿うように斜め向きとなり、中拡稜面部15は、中括稜面部13に引っ張られて、中間部の表面側が少し窪む。
【0022】
上記のようなラップラウンドケースでは、コーナー部分において、中括稜面部13と中拡稜面部15とが耐圧荷重に優れた多面構造を形成し、また、稜部山折線7が僅かにV字状となり、主としてコーナー部分に荷重が作用するので、段ボールの強度が低下する多湿条件下で大きな積上荷重が作用しても、胴膨れが生じにくい。
【0023】
また、仮に座屈が生じても、
図4に示すように、中間谷折線9及び稜部谷折線14に沿って表面側が窪むように変形するので、胴膨れした形状となることがない。
【0024】
なお、上記実施形態では、稜部山折線12及び稜部谷折線14が直線からなるものを例示したが、これらは、弧状の曲線としてもよい。
【0025】
また、稜部山折線12が中間部で交差してX字状をなすものを例示したが、稜部山折線12は、交差していなくても、中間部で接近していれば、同様の胴膨れ防止効果を得ることができる。
【0026】
さらに、稜部谷折線14の両端が端フラップ5側の稜部山折線12の両端に一致するものを例示したが、これらは一致していなくても、接近していれば、同様の胴膨れ防止効果を得ることができる。
【0027】
そのほか、中間谷折線9を側面板2の高さ方向の中間部に1本のみ入れたものを例示したが、中間谷折線9は、側面板2に上下に間隔をあけて2本入れてもよく、この場合、稜部山折線12は、中間谷折線9の間では垂直方向に平行し、上下の中間谷折線9の上方及び下方で離反するように入れるとよい。
【符号の説明】
【0028】
1 底面板
2 側面板
3 天面板
4 継代片
5,6 端フラップ
7,8 稜部山折線
9 中間谷折線
10 摘み部
11 取手穴
12 稜部山折線
13 中括稜面部
14 稜部谷折線
15 中拡稜面部