【実施例】
【0044】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明におけるポリエステル、積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージの特性は、下記の方法で測定および評価した。
【0045】
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度は、前述のとおり、o−クロロフェノール、35℃で測定し、o−クロロフェノールでは均一に溶解するのが困難な場合は、p−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて35℃で測定して求めた。
【0046】
(2)フィルム中の粒子の粒径
フィルム表面層のポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製、PR−503型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSEM(走査型電子顕微鏡)にて1万倍程度の倍率で粒子を観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(例えば、ケンブリッジインストルメント製、QTM900)に結びつけ、観察箇所を変えて少なくとも5,000個の粒子の面積円相当径(Di)を求める。この結果から粒子の粒径分布曲線を作成した。なお、粒子種の同定はSEM−XMA、ICPによる金属元素の定量分析などを使用して行うことができる。また、添加する不活性粒子の平均粒径は、同様な測定を行って各粒子の粒径を求め、数平均を平均粒径とした。
【0047】
(3)粒子の含有量
(3−1)各層中の粒子の総含有量
積層二軸配向ポリエステルフィルムからポリエステルA層、ポリエステルB層を各々100g程度削り採ってサンプリングし、ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択して、サンプルを溶解した後、粒子をポリエステルから遠心分離し、サンプル重量に対する粒子の比率(重量%)をもって各層中の粒子総含有量とする。
【0048】
(3−2)各層中の無機粒子の総含有量
積層ポリエステルフィルムの無機粒子が存在する場合は、ポリエステルA層、ポリエステルB層を各々削り採って100g程度サンプリングし、これを白金ルツボ中にて1,000℃程度の炉の中で3時間以上燃焼させ、次いでルツボ中の燃焼物をテレフタル酸(粉体)と混合し50グラムの錠型のプレートを作成する。このプレートを波長分散型蛍光X線を用いて各元素のカウント値をあらかじめ作成してある元素毎の検量線より換算し各層中の無機粒子の総含有量を決定する。蛍光X線を測定する際のX線管はCr管が好ましくRh管で測定してもよい。X線出力は4KWと設定し分光結晶は測定する元素毎に変更する。材質の異なる無機粒子が複数種類存在する場合は、この測定により各材質の無機粒子の含有量を決定する。
【0049】
(3−3)各層中の各種粒子の含有量(無機粒子が存在しない場合)
層中に無機粒子が存在しない場合は、前記(2)により求めたピークを構成する各粒子の個数割合と平均粒径と粒子の密度から各ピーク領域に存在する粒子の重量割合を算出し、これと前記(3−1)で求めた各層中の粒子の総含有量とから、各ピーク領域に存在する粒子の含有量(重量%)を求める。
なお、代表的な微粒子の密度は下記のとおりである。
架橋シリコーン樹脂の密度 : 1.35g/cm
3
架橋ポリスチレン樹脂の密度: 1.05g/cm
3
架橋アクリル樹脂の密度 : 1.20g/cm
3
なお、樹脂の密度は(3−1)の方法でポリエステルから遠心分離した粒子をさらに分別し、例えば、ピクノメーターにより「微粒子ハンドブック:朝倉書店、1991年版、150頁」に記載の方法で測定することができる。
【0050】
(3−4)各層中の各種粒子の含有量(無機粒子が存在する場合)
層中に無機粒子が存在する場合は、前記(3−1)で求めた各層中の粒子の総含有量と前記(3−2)で求めた各層中の無機粒子の総含有量とから層中の有機粒子と無機粒子の含有量をそれぞれ算出し、有機粒子の含有量は上記(3−3)の方法で、無機粒子の含有量は上記(3−2)の方法で、それぞれ含有量(重量%)を求める。
【0051】
(4)フィルムおよび各ポリエステル層の厚み
(4−1)フィルムの厚み
ゴミが入らないようにフィルムを10枚重ね、打点式電子マイクロメータにて厚みを測定し、1枚当たりのフィルム厚みを計算する。
【0052】
(4−2)各ポリエステル層の厚み
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ3,000nm迄の範囲のフィルム中の粒子の内もっとも高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ3,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。そして一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これを表層厚さとする。そして、先ほどのフィルムの厚みと表層厚みとから、各層の厚みを算出する。
条件は次のとおりである。
(a)測定装置:2次イオン質量分析装置(SIMS)
(b)測定条件
1次イオン種 :O
2+
1次イオン加速電圧:12KV
1次イオン電流:200nA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :0.8Pa(6.0×10
−3Torr)
E−GUN :0.5KV−3.0A
なお、表層から深さ3000nm迄の範囲にもっとも多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し、表層厚さを求めてもよい。
【0053】
(5)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10m/min、チャート速度500mm/minの条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重−伸び曲線の立上り部の接線よりヤング率を計算する。
【0054】
(6)表面粗さ(Ra)
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm
2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetro Proにより中心面平均粗さ(Ra)を求め、これを表面粗さ(Ra)とした。なお、測定は測定箇所を変えて10回行い、それらの平均値を中心面平均粗さ(Ra)とした。また積層ポリエステルフィルムの平坦な側(A層側)の表面の表面粗さをRaA、粗い側(B層側)の表面の粗さをRaBとした。
【0055】
(7)地肌指数および高さ30nm以上の突起数
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて、上述(6)の条件にてRaを測定後、該粗さ計に内蔵されたソフトMetro Proにより、表面のセンターラインから高さ方向に凸側と凹側にそれぞれ5nmずつ離れたラインを引き、それ以上の高さを有するものを突起と認識させ、さらに0.5μm
2以上の面積を有する突起を突起数としてカウントした。この突起全ての突起面積を合計し、測定面積283μm×213μm=(0.0603mm
2)から差し引いた値を測定面積に対する百分率で表した数値を本発明でいう地肌指数として求めた。
また、高さ30nm以上の突起数は、上記突起数としてカウントしたものの中から、高さが30nm以上の突起数をカウントして求めた。なお、測定は測定箇所を変えて10回行い、それらの平均値を地肌指数および高さが30nm以上の突起数とした。
【0056】
(8)ハンドリング試験
製膜後のフィルム12.7mm幅、長さ10cmに切りだし、実体顕微鏡で該領域を観察して、傷がない場合を○、長さ1cm以上の傷が5本以下だった場合を△、フィルムに傷が5本から無数に入ったりしたものを×として評価した。
○:長さ1cm以上の傷が見当たらない
△:長さ1cm以上の傷が見られるが、5本以下
×:フィルム搬送が不安定、もしくは傷が5本以上
【0057】
(9)フィルムの静摩擦係数
ポリエステルA層側の表面とポリエステルB層側の表面とを重ね合せた2枚のフィルムの下側に固定したガラス板を置き、重ね合せたフィルムの下側(ガラス板と接しているフィルム)のフィルムを低速ロールにて引取り(10cm/min)、上側のフィルムの一端(下側フィルムの引取り方向と逆端)に検出器を固定してフィルム/フィルム間のスタート時の引張力を検出する。なお、そのときに用いるスレッドは重さ200g、下側面積50cm
2のものを使用する。
なお、静摩擦係数(μs)は次式より求めた。
μs=(スタート時の引張力g)/(荷重200g)
フィルムの静摩擦係数が、1.0を超える場合は、極端に滑り性が低下し、フィルムをロール状に巻き取る際、ブロッキングやシワなどの欠陥が出やすくなり好ましくない。
【0058】
(10)巻取り良品率
親ロールから1m幅の製品ロールを80m/分でスリットしながら、5000mの長さで100本巻取った際の、ブロッキングやシワのない良品の割合に従って次の通りとする。
◎ ;ブロッキングやシワなどの欠陥のないものの割合 85−100%
○ ; 同上 70−84%
× ; 同上 70%未満
【0059】
(11)磁気テープの作成
各実施例及び比較例で得られた幅1000mm、長さ1000mの積層二軸配向ポリエステルフィルムの粗面層(A層)側表面に、下記組成のバックコート層塗料をダイコータ(加工時の張力:20MPa、温度:120℃、速度:200m/分)で、塗布し、乾燥させた後、フィルムの平坦層(B層)側表面に下記組成の非磁性塗料、磁性塗料をダイコータで同時に膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記テ−プを12.65mmにスリットし、カセットに組み込み磁気記録テープとした。なお、乾燥後のバックコート層、非磁性層および磁性層の厚みは、それぞれ0.5μm、1.2μmおよび0.1μmとなるように塗布量を調整した。
【0060】
<非磁性塗料の組成>
・二酸化チタン微粒子 :100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 :10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン 製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン :75重量部
・メチルイソブチルケトン :75重量部
・トルエン :75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
<磁性塗料の組成>
・鉄(長軸:0.037μm、針状比:3.5、2350エルステッド):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 :10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン 製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン :75重量部
・メチルイソブチルケトン :75重量部
・トルエン :75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
<バックコート層塗料の組成:>
カーボンブラック :100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 :60重量部
イソシアネート化合物 :18重量部
(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)
シリコーンオイル :0.5重量部
メチルエチルケトン :250重量部
トルエン :50重量部
【0061】
(12)電磁変換特性
電磁変換特性測定には、ヘッドを固定した1/2インチリニアシステムを用いた。記録は、電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)を用い、再生はMRヘッド(8μm)を用いた。ヘッド/テープの相対速度は10m/秒とし、記録波長0.2μmの信号を記録し、再生信号をスペクトラムアナライザーで周波数分析し、キャリア信号(波長0.2μm)の出力Cと、スペクトル全域の積分ノイズNの比をC/N比とし、実施例4を0dBとした相対値を求め、以下の基準で、評価した。
◎ : +1dB以上
○ : −1dB以上、+1dB未満
× : −1dB未満
【0062】
(13)エラーレート
上記(11)で作製したテープ原反を12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、磁気記録テープの長さが850mのデータストレージカートリッジを作成した。このデータストレージを、IBM社製LTO5ドライブを用いて23℃50%RHの環境で記録し(記録波長0.55μm)、次に、カートリッジを50℃、80%RH環境下に7日間保存した。カートリッジを1日常温に保存した後、全長の再生を行い、再生時の信号のエラーレートを測定した。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
◎:エラーレートが1.0×10
−6未満
○:エラーレートが1.0×10
−6以上、1.0×10
−4未満
×:エラーレートが1.0×10
−4以上
【0063】
(14)ドロップアウト(DO)
上記(13)でエラーレートを測定したデータストレージカートリッジを、IBM社製LTO5ドライブに装填してデータ信号を14GB記録し、それを再生した。平均信号振幅に対して50%以下の振幅(P−P値)の信号をミッシングパルスとし、4個以上連続したミッシングパルスをドロップアウトとして検出した。なお、ドロップアウトは850m長1巻を評価し、1m当たりの個数に換算して、下記の基準で判定する。
◎:ドロップアウト 3個/m未満
○:ドロップアウト 3個/m以上、9個/m未満
×:ドロップアウト 9個/m以上
【0064】
[
比較実施例1]
平坦層側のポリマーとして粒子を含有しない固有粘度が0.62のポリエステルA層用ポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット(ガラス転移温度:121℃、融点:265℃)と、粗面層側に添加する不活性粒子B1として、平均粒径0.18μmの真球状シリカ粒子を0.30重量%含有した固有粘度が0.62のポリエステルB層用ポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット(ガラス転移温度:121℃、融点:265℃)を用意した。そして、それぞれペレットを170℃で6時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーにそれぞれ供給し、溶融温度300℃で、A層:B層=89:11の厚み比率でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、積層未延伸ポリエステルフィルムを得た。
このようにして得られた積層未延伸ポリエステルフィルムを、同時2軸延伸機を用いて155℃に加熱されたステンター内に供給し、165℃、170℃に段階的に温度を上げながら、縦方向4.5倍、横方向に5.0倍に延伸(第1段)後、更に180℃に加熱して再度横方向に1.1倍に延伸した後、210℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は縦方向6.4GPa、横方向9.0GPaであった。
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0065】
[実施例2および比較例1]
含有させる、粒子B1,B2の種類、粒子径、含有量と、各層の厚みおよびフィルムの全厚みを、表1に示すように変更した他は、
比較実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0066】
[
比較実施例3]
平坦層側に添加する不活性粒子Aとして粒子を含有しない固有粘度が0.65のポリエステルA層用ポリエチレン−テレフタレートペレット(ガラス転移温度:76℃、融点:255℃)と、粗面層側に添加する不活性粒子として、平均粒径0.18μmの架橋ポリスチレン粒子を0.16重量%含有した、固有粘度が0.65のポリエステルB層用ポリエチレン−テレフタレートペレット(ガラス転移温度:76℃、融点:255℃)を用意した。そして、それぞれのペレットを170℃で3時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーにそれぞれ供給し、溶融温度280℃で、A層:B層=93:7の厚み比率でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、積層未延伸ポリエステルフィルムを得た。
このようにして得られた積層未延伸ポリエステルフィルムを、同時2軸延伸機にて120℃に加熱されたステンター内に供給し、125℃、130℃に段階的に温度を上げながら、縦方向3.2倍、横方向に4.1倍に延伸(第1段)後、更に150℃に加熱されたステンター内に供給して再度縦方向に1.05倍に延伸した後、220℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は縦方向5.7GPa、横方向7.0GPaであった。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0067】
[実施例4]
B層に含有させる粒子および各層の厚み、フィルム全厚みを表1に示すように変更した他は、
比較実施例3と同様な操作を繰り返した。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0068】
[比較例2]
平坦層側のポリマーとして粒径0.12μmの真球状シリカを0.003wt%で含有した固有粘度が0.62のポリエステルA層用ポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット(ガラス転移温度:121℃、融点:265℃)と、粗面層側に添加する不活性粒子として、平均粒径0.12μmの真球状シリカ粒子を0.40重量%含有した固有粘度が0.62のポリエステルB層用ポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット(ガラス転移温度:121℃、融点:265℃)を用意した。そして、それぞれペレットを170℃で6時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーにそれぞれ供給し、溶融温度300℃で、A層:B層=45:55の厚み比率でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、積層未延伸ポリエステルフィルムを得た。
このようにして得られた積層未延伸ポリエステルフィルムを、120℃に予熱し、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱し、延伸倍率5.0倍で縦方向(製膜方向)の延伸を行った。続いて、155℃に加熱されたステンター内に供給し、横方向に5.3倍に延伸(第1段)後、更に180℃に加熱されたステンター内に供給して再度横方向に1.2倍に延伸した後、210℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は縦方向6.0GPa、横方向9.1GPaであった。
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0069】
[比較例3]
平坦層側のポリマーとして粒径0.12μmの真球状シリカを0.003wt%で含有した固有粘度が0.62のポリエステルA層用ポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットと、粗面層側に添加する不活性粒子として、平均粒径0.12μmの真球状シリカ粒子を0.40重量%含有した固有粘度が0.62のポリエステルB層用ポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットを用意した。そして、それぞれペレットを170℃で6時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーにそれぞれ供給し、溶融温度300℃で、A層:B層=45:55の厚み比率でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、積層未延伸ポリエステルフィルムを得た。
このようにして得られた積層未延伸ポリエステルフィルムを、同時2軸延伸機を用いて125℃、130℃、160℃に段階的に温度を上げる条件にて縦方向4.5倍、横方向に5.0倍に延伸(第1段)後、更に180℃に加熱して再度横方向に1.1倍に延伸した後、210℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は縦方向6.4GPa、横方向9.0GPaであった。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0070】
【表1】