(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通路として用いられる通路空間がそれぞれ形成されるとともに、水平な第1方向に間隔をあけて相互に対向しかつ前記通路空間に面する外壁開口部が形成される外壁部をそれぞれ有する2つの建物間に設置され、前記一方の建物は、該一方の建物の前記通路空間に水平面上で前記第1方向に垂直な第2方向一方側に設けられる一方の内壁部と、前記一方の建物の前記通路空間に第2方向他方側に設けられる他方の内壁部とを有し、各建物の各外壁開口部間に、渡り通路として用いられる渡り通路空間を形成する渡り通路構造体であって、
第1方向一端部が、一方の建物の外壁開口部から該一方の建物内の通路に挿入された状態で、該一方の建物に、第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部が、他方の建物の外壁部に、該外壁部に形成される外壁開口部に水平面上で第1方向に垂直な第2方向に移動自在に支持される床構造体と、
床構造体の第2方向一側部上に配置される第1手摺構造体であって、第1方向一端部が、一方の建物の内壁部に第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部が、他方の建物の外壁部に、該他方の建物に第2方向の移動が許容され、かつ第1方向の移動が阻止された状態で連結される第1手摺構造体と、
床構造体の第2方向他側部上に配置される第2手摺構造体であって、第1方向一端部が、一方の建物の内壁部に第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部が、他方の建物の外壁部に、該他方の建物に第2方向の移動が許容され、かつ第1方向の移動が阻止された状態で連結される第2手摺構造体と、
第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部と、床構造体の第1方向他端部とを、第2方向に平行な軸線まわりに角変位が許容され、かつ床構造体に対して第2方向への変位が阻止された状態で連結する連結構造体と、を含み、
前記連結構造体と連結された第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部が、前記第2方向に平行な軸線まわりの角変位により生じる該手摺構造体の傾きを許容する案内手段で、揺動自在に支持されていることを特徴とする渡り通路構造体。
前記連結構造体は、第1手摺構造体の第1方向他端部に固定される取付部材と、床構造体の第1方向他端部に固定される本体部と、取付部材および本体部を第2方向に貫通し、取付部材を第2方向に平行な軸線まわりに回動自在に連結するピン部材とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の渡り通路構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来技術では、渡り廊下用手摺および壁側可動手摺をガイドレールによって第1方向へスライド移動させる構成であるので、一方の建物に、許容すべき相対変位量に応じた長さのガイドレールを、第1方向に沿って外壁開口部から建物の内部にわたって設け、渡り廊下用手摺および壁側可動手摺の第1方向への相対変位を許容するための空間を確保する必要がある。
【0008】
そのため、外壁開口部近傍から内部に、たとえばエレベータホールなどの通行可能な空間を確保する必要がある場合には、前記通行可能な空間よりも外壁開口部までの第1方向の区間に渡り廊下用手摺を設置するための取付領域を確保することができないため、渡り廊下用手摺の第1方向一端部を充分な距離で建物に支持させることができないという問題がある。
【0009】
また、一方の建物の外壁開口部から建物内部への渡り廊下用手摺の第1方向一端部の挿入長さが短いので、各建物が相互に離反する方向へ相対変位したとき、前記渡り廊下用手摺の第1方向一端部が、一方の建物の外壁部から離間してしまい、該外壁部と渡り廊下用手摺の第1方向一端部との間に隙間が生じ、安全性が損なわれてしまうという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、外壁開口部近傍に通行可能な空間を確保し、渡り通路構造体を構成する前記渡り廊下用手摺に相当する手摺構造体を確実に支持し、一方の建物の外壁部と第1方向一端部との間に隙間が生じないようにして、各建物の第1および第2方向の相対変位を許容することができる渡り通路構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、通路として用いられる通路空間がそれぞれ形成されるとともに、水平な第1方向に間隔をあけて相互に対向しかつ前記通路空間に面する外壁開口部が形成される外壁部をそれぞれ有する2つの建物間に設置され、前記一方の建物は、該一方の建物の前記通路空間に水平面上で前記第1方向に垂直な第2方向一方側に設けられる一方の内壁部と、前記一方の建物の前記通路空間に第2方向他方側に設けられる他方の内壁部とを有し、各建物の各外壁開口部間に、渡り通路として用いられる渡り通路空間を形成する渡り通路構造体であって、
第1方向一端部が、一方の建物の外壁開口部から該一方の建物内の通路に挿入された状態で、該一方の建物に、第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部が、他方の建物の外壁部に、該外壁部に形成される外壁開口部に水平面上で第1方向に垂直な第2方向に移動自在に支持される床構造体と、
床構造体の第2方向一側部上に配置される第1手摺構造体であって、第1方向一端部が、一方の建物の内壁部に第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部が、他方の建物の外壁部に、該他方の建物に第2方向の移動が許容され、かつ第1方向の移動が阻止された状態で連結される第1手摺構造体と、
床構造体の第2方向他側部上に配置される第2手摺構造体であって、第1方向一端部が、一方の建物の内壁部に第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部が、他方の建物の外壁部に、該他方の建物に第2方向の移動が許容され、かつ第1方向の移動が阻止された状態で連結される第2手摺構造体と、
第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部と、床構造体の第1方向他端部とを、第2方向に平行な軸線まわりに角変位が許容され、かつ床構造体に対して第2方向への変位が阻止された状態で連結する連結構造体と、を含
み、
前記連結構造体と連結された第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部が、前記第2方向に平行な軸線まわりの角変位により生じる該手摺構造体の傾きを許容する案内手段で、揺動自在に支持されていることを特徴とする渡り通路構造体である。
【0012】
本発明に従えば、2つの建物が水平な第1方向に間隔をあけて配置され、各建物の相互に対向する各外壁部には、各建物内の通路空間に面して開口する外壁開口部がそれぞれ形成され、各外壁開口部間にわたって渡り通路構造体が設けられる。この渡り通路構造体によって、前記第1方向に延びる渡り通路が実現される。このような渡り通路構造体は、床構造体と、第1手摺構造体と、第2手摺構造体と、連結構造体とを含む。
【0013】
前記床構造体の第1方向一端部は、一方の建物の外壁開口部の開口から該一方の建物内の通路空間内に挿入された状態で、該一方の建物によって第1方向に移動自在に支持される。また、床構造体の第1方向他端部は、他方の建物の外壁部に第2方向に移動自在に支持される。このような床構造体の第2方向一側部上には、第1手摺構造体が配置され、第2方向他側部上には、第2手摺構造体が配置される。
【0014】
第1手摺構造体の第1方向一端部は、一方の建物の一方の内壁部に第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部は、他方の建物の外壁部に、該他方の建物に第2方向の移動が許容され、かつ第1方向の移動が阻止された状態で連結される。
【0015】
第2手摺構造体の第1方向一端部は、一方の建物の他方の内壁部に第1方向に移動自在に支持され、第1方向他端部は、他方の建物の外壁部に、該他方の建物に第2方向の移動が許容され、かつ第1方向の移動が阻止された状態で連結される。
【0016】
連結構造体は、第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部と、床構造体の第1方向他端部とを、第2方向に平行な軸線まわりに角変位が許容され、かつ床構造体に対して第2方向への変位が阻止された状態で連結する。
さらに、前記連結構造体と連結された第1および第2手摺構造体の少なくとも一方は、前記連結構造体との連結点である第1方向他端部に対して通路空間を挟んで反対側に位置する第1方向一端部が、前記第2方向に平行な軸線まわりの角変位により生じる該手摺構造体の傾きを許容する案内手段で、揺動自在に支持される。
【0017】
このような連結構造体によって、第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部と、床構造体の第1方向他端部とが連結されるので、たとえばエレベータホールなどの通行可能な空間を確保する必要があり、第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部を充分な距離で建物に支持させることができない場合であっても、連結構造体によって、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部を床構造体に連結することにより、床構造体によって前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方を確実に支持することができる。
【0018】
また、連結構造体は床構造体に連結されるので、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方を床構造体と連動させて第1方向に移動させることができるので、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方を第1方向に沿って移動させることができる。これによって、各建物間が第1方向へ相対変位した場合であっても、一方の建物の外壁部と、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部との間に隙間が生じることを防ぐことができる。
【0019】
また、連結構造体は第2方向に平行な軸線まわり角変位することができるので、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部を、床構造体の角変位を許容しつつ、床構造体によって確実に支持することができる。
【0020】
したがって、渡り通路構造体は、各建物間の第1方向および第2方向の相対変位を許容し、各建物の第1方向および第2方向への変位を許容し、建物内の外壁開口部近傍に通行可能な空間を確保することができる。
【0021】
また本発明は、前記第1手摺構造体は、第1方向一端部を有する第1手摺部と、第1方向他端部を有し、
前記第1手摺部に対して
、第1方向他端部が第1方向一端部に近接/離反する方向に移動自在に連結される第2手摺部と、を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、第1手摺構造体は第1手摺部と第2手摺部とを有し、第1手摺部と第2手摺部とは第1方向端部が第1方向一端部に近接/離反する方向に移動自在に連結されるので、各建物が第1方向に近接/離反する方向の相対変位を許容することができる。
【0023】
また本発明は、前記第2手摺構造体は、第1方向一端部を有する第3手摺部と、第1方向他端部を有し、
前記第3手摺部に
、第1方向一端部が、鉛直な軸線まわりに回動自在に連結される第4手摺部と、を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、第2手摺構造体は第3手摺部と第4手摺部とを有し、第3手摺部と第4手摺部とが鉛直な軸線まわりに回動自在に連結されるので、各建物の第1方向への変位と第2方向への変位とが合成された方向への相対変位を許容することができ、第3および第4手摺部が変形および破壊されることが防がれる。
【0025】
また本発明は、前記連結構造体は、第1手摺構造体の第1方向他端部に固定される取付部材と、床構造体の第1方向他端部に固定される本体部と、取付部材および本体部を第2方向に貫通し、取付部材を第2方向に平行な軸線まわりに回動自在に連結するピン部材とを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、前記連結構造体は、取付部材と本体部とピン部とを有し、取付部材は第1手摺構造体の第1方向他端部に固定され、本体部は床構造体の第1方向他端部に固定され、ピン部は取付部材および本体部を第2方向に貫通し、取付部材を第2方向に平行な軸線まわりに回動自在に連結するように構成されるので、各建物が上下方向に相対変位しても、第1手摺構造体の重量を第1方向他端部で連結構造体を介して床構造体の第1方向他端部で支持した状態で、床構造体の第1方向一端部が上下方向に移動する方向の角変位を許容することができる。
【0027】
これによって床構造体の第1方向一端部を一方の建物外壁部に大きな強度を要せずに連結することができ、外壁開口部近傍に通行可能な空間を確保し、一方の建物の外壁部と第1方向一端部との間に隙間が生じないようにして、各建物の第1および第2方向の相対変位を許容することができる。
【0028】
また本発明は、前記取付部材には、前記ピン部材が貫通して固定される貫通孔が形成され、
前記本体部には、前記床構造体の前記一方の建物の外壁部に支持される位置を通る第2方向に平行な軸線を中心軸線とする円弧に沿って前記ピン部材が移動自在に貫通する長孔が形成されることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、前記取付部材に形成される貫通孔および本体部の長孔にピン部材が貫通するので、前記床構造体が角変位しても、ピン部材が前記長孔に沿って移動し、床構造体の角変位に伴うピン部材の変位を許容することができ、連結構造体に作用する荷重を軽減することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部が床構造体の第1方向他端部に対して、第2軸線に平行な角変位軸線まわりに角変位自在に連結され、第2方向の移動が阻止された状態で連結されるので、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部が一方の建物の外壁部の外壁開口部近傍の通行可能な空間に挿入されて、該通行可能な空間が前記第1手摺構造体の第1方向一端部によって占領されてしまうことが防がれる。
【0031】
また、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向他端部と床構造体の第1方向他端部とが連結構造体によって連結されるので、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の重量の一部が床構造体によって支持される。これによって、一方の建物の外壁部から建物内部への第1方向の距離が前記通行可能な空間の確保のために短い場合であっても、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部を前記短い区間を支持するだけで、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方を確実に支持することができる。
【0032】
さらに、建物間の通路空間を挟んで反対側に位置する第1方向一端部が、前記第2方向に平行な軸線まわりの角変位により生じる該手摺構造体の傾きを許容する案内手段で揺動自在に支持され、前記第1および第2手摺構造体の少なくとも一方の第1方向一端部は前記外壁開口部近傍に連結されるので、
各建物が第2方向に相対変位しても、第1手摺構造体の第1方向一端部と外壁開口部との間に隙間が発生することが防がれ、通行者に対する安全を確保することができるとともに、外壁開口部近傍に通行可能な空間を確保し、各建物の第1および第2方向の相対変位を許容することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態の渡り通路構造体1を示す簡素化した水平断面図である。
図1に示すように、水平な第1方向Xに間隔をあけて隣接する2つの建物A,B間には、目地として、空間3が存在する。建物Aの壁体4と、建物Bの壁体5とは、相互に
図1の左右方向である第1方向Xに空間3を介して対向し、
図1の紙面に垂直な上下方向Zに延びる外壁部4a,5aと、各建物A,Bの通路2に臨んで上下方向Zに延びる内壁部4b,5bとを有する。各壁体4,5は、各建物A,Bの外壁を構成するコンクリート構造物から成る。
【0035】
ここで、上下方向Zとは、各建物A,Bの施工誤差および変形などによって各壁体4,5の各外壁部4a,5aおよび各内壁部4b,5bには鉛直方向に対する誤差が公差の範囲で不可避的に生じるため、鉛直方向および実質的に鉛直方向とみなすことができる略鉛直方向を含むものとし、第1方向X、および第1方向Xに直交する水平な第2方向Yに関してもまた同様に、水平方向および実質的に水平方向とみなすことができる略水平方向を含むものとする。以下の説明においては、第1方向Xを、近接/離反方向という場合があり、第2方向Yを前後方向という場合がある。
【0036】
また第1方向Xのうち、一方を第1方向一方X1と称し、他方を第1方向他方X2と称する。第2方向Yのうち、一方を第2方向一方Y1と称し、他方を第2方向他方Y2と称する。上下方向Zのうち、上方を上方Z1と称し、下方を下方Z2と称する。
【0037】
2つの建物A,Bの相互に対向する各外壁部4a,5aには、各建物A,B内の通路2が開口する外壁開口部4c,5cがそれぞれ形成される。一方の建物Aの外壁開口部4c近傍には、一方の建物Aに設置されるエレベータに乗り降りするためのエレベータホールが形成される。本実施形態の渡り通路構造体1は、各外壁開口部4c,5c間にわたって第1方向Xに延びる渡り通路を形成する。内壁部4b,5bは、通路2に対して、第2方向一方Y1側に設けられる一方の内壁部4b1,5b1と、第2方向一方Y2側に設けられる他方の内壁部4b2,5b2とを有する。
【0038】
図2は、
図1の切断面線II−IIから床構造体6を見た断面図である。
渡り通路構造体1は、床構造体6と、第1手摺構造体7と、第2手摺構造体8と、連結構造体9と、を含んで構成される。床構造体6は、第1縁材10と、第2縁材11と、中間パネル部材12と、基端部側部材13と、遊端部側部材14とを含んで構成される。
【0039】
第1縁材10は、他方の建物Bの第1方向一方X1側の端部に固定され、第2方向Yに延びる長尺材である。第1縁材10は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの押出し形材によって実現される。
【0040】
第1縁材10は、本体部40と、本体部40に取付けられる固定カバー41とを含んで構成される長尺材である。本体部40は、第2方向Yに延び、他方の建物Bの上面に水平に設置される板状部42と、板状部42の空間3側の幅方向一端部から上方Z1に屈曲して連なる係合部43と、板状部42の幅方向他端部から上方Z1に屈曲して連なる支持部44と、係合部43と支持部44との間に設けられ、板状部42から上方Z1に屈曲して連なる支持片45とを有する。
【0041】
係合部43は、板状部42から上方Z1に屈曲して連なる立上がり部43aと、立上がり部43aの先端から、板状部42の幅方向他端部に屈曲して連なる平坦部43bとから成る。平坦部43bの上面には、帯状の合成樹脂シートから成る滑り材46が設けられる。
【0042】
支持部44は、板状部42から上方Z1に屈曲して連なる側壁部44aと、側壁部44aの先端から第1縁材10の幅方向一方に突出する受座部44bとから成る。受座部44bは、固定カバー41の幅方向一端部の下面と当接し、固定カバー41を下方Z2から支持する。
【0043】
支持片45は、板状部42から上方Z1に屈曲して連なる立上がり部45aと、立上がり部45aの先端から、第1縁材10の幅方向一方に突出する支持部45bとから成る。支持部45bには、長手方向に等間隔をあけて複数のビス孔が形成される。
【0044】
固定カバー41は、断面略逆L字状に形成される長尺材である。固定カバー41は、略平坦な板状の板状部41aと、板状部41aの幅方向一端部に下方Z2へ屈曲して連なる側壁部41bと、側壁部41bの先端から、板状部41aの幅方向一方へ突出する隙間調節突部41cとから成る。側壁部41bには、長手方向に沿って見切り部材41dがビスによって取り付けられる。
【0045】
固定カバー41は、幅方向他端部が、本体部40の受座部44bに支持され、中間部が支持片45の支持部45bに支持されて設けられる。板状部41aには、本体部40の支持部45bに形成されるビス孔に対応する複数のビス孔が形成される。本体部40と固定カバー41とは、ビスによって結合され、これによって第1縁材10を構成する。第1縁材10は、アンカー体によって建物Bに固定される。
【0046】
第2縁材11は、一方の建物Aの第1方向他方X2側に固定され、第2方向Yに延びる長尺材である。第2縁材11は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの押出し形材によって実現される。
【0047】
第2縁材11は、断面が台形状の第1基部50と、断面が四角形状の第2基部51と、第1基部50に一体に形成される第1フランジ部52と、第2基部51に一体に形成される第2フランジ部53と、底部58を含んで構成される。
【0048】
第1基部50は、第2方向Yに延び、一対の側壁54,55と、第1案内面部56と、第2案内面部57とを有する。側壁54は、底部58から上方Z1に立ち上がって形成され、その先端部において第1案内面部56と連結される。側壁55は、底部58から上方Z1に立ち上がって形成され、その先端部において第2案内面部57と連結される。
【0049】
第1案内面部56は、第1方向Xを含む仮想水平面に対して傾斜して形成され、後述する遊端部側部材14を案内する案内面部である。第1案内面部56は、一端部が第2案内面部57の他端部に連なり、他端部が側壁54の先端に連なる。
【0050】
第2案内面部57は、第1方向Xに平行に延びて平坦に形成され、遊端部側部材14の補助カバー部27を案内する案内面部である。第2案内面部57は、一端部が側壁55の先端に連なり、他端部が第1案内面部56の一端部に連なる。第2案内面部57には、側壁54,55、第1案内面部56および底部58によって規定される略台形状の内部空間に臨む蟻溝が形成される。
【0051】
第2基部51は、第1基部50の第1方向他方X2側に連なって形成される。第2基部51は、底部59と、側壁54,60と、支持面部61とを有する。第2基部51は、一方の側壁54を第1基部50と共有する。側壁60は、底部59から立ち上がって形成され、その先端部において支持面部61と連結される。
【0052】
支持面部61は、側壁54から側壁60にわたって形成される水平な支持面部であり、遊端部側部材14を支持する。支持面部61の他端部と側壁60の先端とが交差する位置には、蟻溝62が形成される。支持面部61の外表面部には、滑り材46が設けられる。これによって、中間パネル部材12との摩擦抵抗が軽減され、中間パネル部材12は、支持面部61の外表面部を円滑に摺動することができる。
【0053】
第1フランジ部52は、底部58と側壁60との交差部から第1方向一方X1に突出し、平板状に形成される。第1フランジ部52には、アンカーボルトを挿通するためのボルト孔が第2方向Yに間隔をあけて複数形成される。第1フランジ部52は、アンカーボルトによって一方の建物Aに固定される。
【0054】
第2フランジ部53は、底部59と側壁58との交差部から第1方向他方X2に突出し、平板状に形成される。第2フランジ部53には、アンカーボルトを挿通するためのボルト孔が第2方向Yに間隔をあけて複数形成される。第2フランジ部53は、アンカーボルトによって一方の建物Aに固定される。
【0055】
一方の建物Aの第1方向他方X2側の端部には、中間支持部材15が固定される。中間支持部材15は、第2方向Yに延びる長尺材であり、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの押出し形材によって実現される。
【0056】
中間支持部材15は、第1縁材10と第2縁材11との間の中間部において中間パネル部材12を支持する。中間支持部材15は、四角筒状の本体部64と、本体部64の底部に連なり、第1方向一方X1に突出する板状のフランジ部65とを有する。フランジ部65は、複数のアンカーボルトによって一方の建物Aに固定される。基部64の上方Z1に臨む表面部には、滑り材46が設けられる。これによって、中間支持部材15と中間パネル部材12との摩擦抵抗が軽減され、中間パネル部材12は、中間支持部材15の前記表面部を円滑に摺動することができる。
【0057】
中間パネル部材12は、上方Z1から平面視したときに、前記第1方向Xを長手とする長方形板状に形成される。中間パネル部材12は、たとえば、相互に嵌合可能に形成されるアルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる押出し形材を、複数連結することによって実現してもよい。
【0058】
中間パネル部材12の第1方向他方X2には、基端部側部材13が取り付けられ、第1方向一方X1には、遊端部側部材14が取り付けられる。
【0059】
基端部側部材13は、第2方向Yに延びる長尺材であり、長手方向に垂直な断面が略L字状に形成される。基端部側部材13は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる押出し形材によって実現される。基端部側部材13は、中間パネル部材12の第1方向他方X2側端面に、ビスによって固定される。
【0060】
基端部側部材13は、板状の基部70と、基部70の一端部に屈曲して連なり、第1方向一方X1に突出する係合片部71と、基部70の他端部に屈曲して連なり、第1方向他方X2に突出する支持片部72と、係合片部71と支持片部72との中間部において基部70から第1方向他方X2に突出する突出片部73と、突出片部73と係合片部71との中間部において基部70から第1方向他方X2に突出する端面カバー支持片部74とを有する。
【0061】
基部70には、第2方向Yに間隔をあけて複数のビス孔が形成される。支持片部72と突出片部73とは、第1方向他方X2に同じ突出量で突出する。端面カバー支持片部74は、後述する端面カバー75の厚み分だけ長く、支持片部72および突出片部73よりも第1方向他方X2に突出する。
【0062】
基端部側部材13には、端面カバー75が取り付けられる。端面カバー75は、板状の長尺材であり、基端部側部材13の長手方向寸法と同一の寸法に形成される。端面カバー75は、幅方向一方の端面が、端面カバー支持片74に当接し、一方表面が、支持片部72および突出片部73の先端に当接した状態で基端部側部材13にビスによって固定される。このとき、端面カバー75の幅方向他方の端部は、支持片部72よりも上方Z1に突出し、該端部は見切り片となる。
【0063】
遊端部側部材14は、軸受け部76と、ピン部77と、カバー部78とを含んで構成される。軸受け部76は、第2方向Yに沿って延びる長尺材であり、長手方向に垂直な断面が略P字状に形成される。軸受け部76は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる押出し形材によって実現される。
【0064】
軸受け部76は、略板状の基部76aと、基部76aの幅方向一方側端部に連なり、第1方向一方X1に突出する略「つ」字状の係合部76bとを有する。基部76aおよび係合部76bは、第2方向Yに関して一様に形成される。基部76aには、第2方向Yに間隔をあけて複数のビス孔が形成される。基部76aは、ビスによって中間パネル部材12の第1方向一方X1側端面に固定される。
【0065】
ピン部77は、第2方向Yに沿って延びる長尺材であり、長手方向に垂直な断面が略J字状に形成される。ピン部77は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる押出し形材によって実現される。
【0066】
ピン部77は、略J字状の基部77aと、基部77aの一端部に連なり、略C字状の軸部77bと、基部77aの他端部に連なり、第1方向一方X1に突出する板状の取付け部77cとを有する。基部77a、軸部77bおよび取付け部77cは、第2方向Yに関して一様に形成される。軸部77bは、軸受け部76の係合部76bに嵌り込み、第2方向Yに平行な軸線まわりに角変位可能に嵌合される。取付け部77cには、第2方向Yに間隔をあけて複数のビス孔が形成される。
【0067】
カバー部78は、板状に形成される。カバー部78は、幅方向の中間部において、ピン部77の取付け部77cに当接し、取付け部77cにビスによって固定される。カバー部78は、ピン部77の回動に伴い軸部77bの軸線に関して、角変位可能に設けられる。初期状態において、カバー部78は、第2縁材11の第2案内面部57に当接して設けられる。
【0068】
中間パネル部材12の上方Z1に臨む表面部には、化粧材が取付けられる。化粧材は、たとえば矩形板状の大理石、レンガ、タイル、合成樹脂製の化粧シートなどによって実現される。化粧材を取付けることによって、床構造体の美感を向上することができる。
【0069】
基端部側部材13は、係合片部71が第1縁材10の係合部43が規定する内部空間に、上下方向Zに関して隙間をあけて嵌まり込んだ状態で設けられる。このとき、隙間調節突部41cと端面カバー支持片部74との間には、0mm〜5mm程度の隙間が形成される。本実施形態では、隙間の距離は3mmに設定される。
【0070】
このようにして基端部側部材13は第1縁材10に設置されるので、基端部側部材13は、係合片部71を回転軸として、第2方向Yに平行な軸線まわりに角変位可能に第1縁材10に係合する。
【0071】
また、基端部側部材13は、前述したように設置されるので、平坦部43bを案内部として、第1縁材10に対して第2方向Yに、摺動可能である。したがって、床構造体6は、たとえば地震などによって2つの建物A,Bが第2方向Yに変位したとき、基端部側部材13が第1縁材10に対して第2方向Yに摺動することによって当該変位を許容することができる。
【0072】
また床構造体6は、遊端部側部材14を有するので、たとえば地震などによって2つの建物A,Bが相互に第1方向X(近接/離反する方向)に変位したとき、第2縁材11の第1案内面部56および第2案内面部57によって、遊端部側部材14を第1方向一方X1に案内し、かつ基端部側部材13が角変位することにより、または、カバー部78が第2案内面部57および第1案内面部56に案内されて支持面部61に当接することにより、第1方向Xへの変位を許容することができる。
【0073】
このように、床構造体6は、第1方向X一端部が、一方の建物Aの外壁部4aの外壁開口部4cの開口から該一方の建物A内の通路2に挿入された状態で、該一方の建物Aに、第1方向Xに移動自在に支持され、第1方向X他端部が、他方の建物Bの外壁部5aに、該外壁部5aに形成される外壁開口部5cに水平面上で第1方向Xに垂直な第2方向Yに移動自在に支持される。したがって、床構造体6は、2つの建物A,Bの第1方向Xおよび第2方向Yの変位を許容し、空間3を塞いだ状態に維持することができる。
【0074】
図3は、第1手摺構造体7を示す水平断面図であり、
図4は、
図3の切断面線IV−IVから見た図である。
【0075】
図1をも参照して、第1手摺構造体7は、床構造体6の第2方向一方Y1側の側部上に配置される。第1手摺構造体7は、第1方向Xに沿って延びる第1手摺部17と、第1手摺部17の第1方向X他端部に配置される第2手摺部18とを有する。
【0076】
第1手摺部17は、固定手摺体20と、可動手摺体21とを有する。固定手摺体20は、第1方向Xに延び、長方形筒状に形成される上弦部材22と、上弦部材22の下方Z2に配置され、第1方向Xに延び、長方形筒状に形成される下弦部材23とを含む。
【0077】
上弦部材22と下弦部材23との間には、上下方向Zに延び、上端部が上弦部材22に連結され、下端部が下弦部材23に連結される複数(本実施形態では2つ)の竪桟部材24が設けられる。竪桟部材24は、四角筒状、本実施形態では正四角形筒状に形成される。竪桟部材24の断面における各辺の寸法は、上弦部材22および下弦部材23の幅方向の寸法よりも小さく設定され、本実施形態では、上弦部材22および下弦部材23の幅方向寸法の半分に設定される。
【0078】
上弦部材22および下弦部材23の第1方向一方X1側端部には、上下方向Zに延び、上端部が上弦部材22の第1方向一方X1側端部に連結され、下端部が下弦部材23の第1方向一方X1側端部に連結される一方側支柱部材25が設けられる。上弦部材22および下弦部材23の第1方向他方X2側端部には、上下方向Zに延び、上端部が上弦部材22の第1方向他方X2側端部に連結され、下端部が下弦部材23の第1方向他方X2側端部に連結される他方側支柱部材26が設けられる。
【0079】
一方側支柱部材25は、四角筒状、本実施形態では正四角形筒状に形成される。他方側支柱部材26は、長方形筒状に形成される。本実施形態では、他方側支柱部材26の幅方向寸法は、一方側支柱部材25の幅方向寸法の2倍に設定される。
【0080】
竪桟部材24、一方側支柱部材25および他方側支柱部材26は、幅方向の表面部が、上弦部材22および下弦部材23の第2方向他方Y2側端面部と同一平面を成すように、第1方向Xから見て第2方向他方Y2側(幅方向他方側)に設けられる。
【0081】
上弦部材22の第2方向一方Y1側(幅方向一方側)端面部には、上側案内板27が設けられる。上側案内板27は、第1方向Xに沿って延びる板状の部材である。上側案内板27の幅方向寸法は、上弦部材22の厚み方向寸法よりも大きく形成される。本実施形態では、上側案内板27の幅方向寸法は、上弦部材22の厚み方向寸法の2倍に設定される。
【0082】
下弦部材23の第2方向一方Y1側(幅方向一方側)には、下側案内板28が設けられる。下側案内板28は、第1方向Xに沿って延びる板状の部材である。下側案内板28の幅方向寸法は、下弦部材23の厚み方向寸法よりも大きく形成される。本実施形態では、下側案内板28の幅方向寸法は、下弦部材23の厚み方向寸法の2倍に設定される。
【0083】
上弦部材22の下方Z2に臨む下面部であって、一方側支柱部材25と一方側支柱部材25に隣合う竪桟部材24との間の中間部で、かつ、第1方向Xから見て、前記竪桟部材24よりも第2方向一方Y1側の位置には、ボールキャスタ29が取り付けられる。ボールキャスタ29のボール部は、下方Z2に臨む。
【0084】
可動手摺体21は、第1方向Xに延び、四角筒状に形成される上弦部材30と、上弦部材30の下方Z2に配置され、第1方向Xに延び、四角形筒状に形成される下弦部材31とを含む。
【0085】
上弦部材30と下弦部材31との間には、上下方向Zに延び、上端部が上弦部材30に連結され、下端部が下弦部材31に連結される複数(本実施形態では2つ)の竪桟部材32が設けられる。また上弦部材30および下弦部材31の第1方向X(長手方向)各端部には、上下方向Zに延び、側面に上弦部材30および下弦部材31の各端面がそれぞれ当接して設けられる一対の支柱部材33が設けられる。上弦部材30、下弦部材31、竪桟部材32および支柱部材33によって格子状の柵体が形成される。
【0086】
可動手摺体は、案内ユニット34をさらに含む。案内ユニット34は、平板状の連結体35と、連結体35の一方表面部に固定される上側案内レール36と、連結体35の一方表面部に固定される下側案内レール37とを有する。
【0087】
上側案内レール36は、第1方向Xに延び、長手方向に垂直な断面が略逆C字状に形成される。上側案内レール36は、ブラケット38を介して連結体35の一方表面部の幅方向一端部にビスによって固定される。下側案内レール37は、第1方向Xに延び、長手方向に垂直な断面が略逆C字状に形成される。下側案内レール37は、ブラケット39を介して連結体35の一方表面部の幅方向他端部にビスによって固定される。
【0088】
上側案内レール36と下側案内レール37は、相互に平行に設けられる。連結体35、上側案内レール36および下側案内レール37の長手方向寸法は同一に形成される。前記長手方向寸法は、各支柱部材33の相互に対向する側壁部の離間距離に等しい。すなわち、案内ユニット34の長手寸法は、前記上側案内レール36および下側案内レール37の長手寸法に等しい。
【0089】
案内ユニット34の幅寸法は、上弦部材30と下弦部材31の対向する壁部の離間距離に等しい。各竪桟部材32には、上側案内レール36および下側案内レール37を挿通するための図示しない切欠き部が形成される。案内ユニット34は、上弦部材30、下弦部材31、竪桟部材および各支柱部材33によって規定される前記柵体内に嵌り込む。このようにして、可動手摺体21は構成される。
【0090】
可動手摺体21は、固定手摺体20の上弦部材22と下弦部材23との間であって、上側案内板27および下側案内板28よりも第2方向他方Y2側で、かつ、一方側支柱部材25、および竪桟部材24よりも第2方向一方Y1側の領域に挿入される。これによって可動手摺体21は、固定手摺体20の内部に収容され、第1手摺部17が構成される。
【0091】
一方の建物Aの第2方向一方Y1側の内壁部4b1には、第1手摺部案内手段19が設けられる。第1手摺部案内手段19は、上側案内手段80と下側案内手段81とを含む。上側案内手段80は、支持部材82と、案内ローラ83と、ガイドローラ84とを有する。支持部材82は、平板状のフランジ部82aと、長手方向に垂直な断面が略コの字状の取付け部82bとを有する。フランジ部82aは、オールインアンカーによって内壁部4b1に固定される。取付け部82bは、フランジ部82aの一方表面部に固定される。
【0092】
取付け部82bの一端部側外表面部には、
本発明の案内手段として、案内ローラ83が取り付けられる。本実施形態では、案内ローラ83は、ボールキャスタによって実現され、上方Z1にボール部が臨むように、取付け部82bに取り付けられる。取付け部82bの他端部側外表面部には、ガイドローラ84が取り付けられる。本実施形態では、ガイドローラ84は、上下方向Zに延びる回転軸線を有し、該軸線に関して回転可能に設けられる。上側案内手段80は、外壁部4aにオールインアンカーによって固定されるブラケット88に、ビスによって連結される。
【0093】
下側案内手段81は、支持部材85と、案内ローラ86と、ガイドローラ87とを有する。支持部材85は、平板状のフランジ部85aと、長手方向に垂直な断面が略コの字状の取付け部85bとを有する。フランジ部85aは、オールインアンカーによって内壁部4b1に固定される。取付け部85bは、フランジ部85aの一方表面部に固定される。
【0094】
取付け部85bの一端部側外表面部には、
本発明の案内手段として、案内ローラ86が取り付けられる。本実施形態では、案内ローラ86は、ボールキャスタによって実現され、上方Z1にボール部が臨むように、取付け部85bに取り付けられる。取付け部85bの他端部側外表面部には、ガイドローラ87が取り付けられる。本実施形態では、ガイドローラ87は、上下方向Zに平行な回転軸線を有し、該軸線に関して回転可能に設けられる。下側案内手段81は、外壁部4aに、オールインアンカーによって固定されるブラケット88に、ビスによって連結される。
【0095】
第1手摺部17は、可動手摺体21の上側案内レール36に上側案内手段80が摺動可能に嵌り込み、下側案内レール37に、下側案内手段81が摺動可能に嵌り込んで、第1手摺部案内手段19に摺動可能に設けられる。このとき、固定手摺体20のボールキャスタ29は、可動手摺体21の上弦部材30の上側外表面部に当接する。
【0096】
第1手摺部17は、引張り部材89をさらに含む。引張り部材89は、他方側支柱部材26の一方側支柱部材25に臨む側面部に取り付けられる。引張り部材89は、可動手摺体21に対して第1方向他方X2に向かう力を付与する。言い換えれば、引張り部材89は、可動手摺体21を第1方向他方X2に引張る。
【0097】
したがって、可動手摺体21は、初期状態において、第1方向他方X2に付勢された状態で固定手摺体20内に収納される。本実施形態では、引張り部材89は、定トルクばねによって実現される。定トルクばねは、リールが他方側支柱部材26に固定され、リールから突出する索条の先端部が可動手摺体21の第1方向他方X1側の支柱部材33に連結される。
【0098】
図5は、
図1の切断面線V−Vから見た拡大断面図である。
第2手摺部18は、第2方向Yに延び、四角筒状に形成される上弦部材90と、上弦部材90の下方Z2に配置され、第2方向Yに延び、四角形筒状に形成される下弦部材91と、下弦部材91の下方Z2に配置され、第2方向Yに延び、四角形筒状に形成される摺動レール92と、を含む。上弦部材90、下弦部材91および摺動レール92は、互いに平行に設けられる。
【0099】
第2手摺部18の第2方向一方Y1側端部には、上下方向Zに延び、四角筒状に形成される支柱部材93が設けられる。支柱部材93は、上弦部材90、下弦部材91、および摺動レール92を連結する。
【0100】
上弦部材90および下弦部材91の第2方向他方Y2側端部は、他方側支柱部材26に連結される。支柱部材93と他方側支柱部材26との間には、上端部が上弦部材90に連結され、下端部が下弦部材91に連結される竪桟部材94が第2方向Yに間隔をあけて複数(本実施形態では、2つ)設けられる。
【0101】
他方の建物Bの外壁部5aには、第2手摺部18の上端部を第2方向Yに沿って案内する上側案内手段95と、第2手摺部18の下端部を第2方向Yに沿って案内する下側案内手段96とが設けられる。
【0102】
上側案内手段95は、断面が略S字状のブラケット95aに、断面が略L字状の案内部材95bが固定されて構成され、第2手摺部18の上弦部材90が嵌り込む案内部95cを有する。ブラケット95aは、オールインアンカーによって、外壁部5aに固定される。
【0103】
下側案内手段96は、断面が略J字状のブラケット96aに、断面が略L字状の案内部材96bが固定されて構成され、摺動レール92が嵌り込む案内部96cを有する。案内部96cには、ボールキャスタ97が固定され、ボールキャスタ97のボール部が摺動レール92の底面に当接して、第2手摺部18を下方Z2から第2方向Yに関して摺動可能に支持する。
【0104】
このように第1手摺構造体7は、第1方向X一端部を有する第1手摺部17が、床構造体6の第2方向一方Y1側の側部上に配置され、第1方向X一端部が、一方の建物Aの内壁部4b1に第1方向Xに移動自在に支持され、第1方向X他端部を有する第2手摺部18が、他方の建物Bの外壁部5aに、該他方の建物Bに第2方向Yの移動が許容され、かつ第1方向Xの移動が阻止された状態で連結される。
【0105】
また他の実施形態として、第2手摺部18を設けない構成であってもよい。この場合、可動手摺部21によって第1手摺部が実現され、固定手摺部20によって第2手摺部が実現される。このような構成であっても、前述の実施形態と同様に、外壁開口部近傍に通行可能な空間を確保し、渡り通路構造体を確実に支持して、各建物の第1および第2方向の相対変位を許容することができるという効果を達成することができる。
【0106】
図6は、他方側支柱部材26の下方Z2を拡大して示す図であり、
図7は、第1方向Xから連結構造体9を見た拡大断面図である。
【0107】
連結構造体9は、有底筒状の本体部100と、断面が略逆U字状の取付部材101と、ピン部材102とを含んで構成される。連結構造体9は、本体部100の底部が床構造体6の表面部に固定される。
【0108】
本体部100は、四角形有底筒状に形成され、底部から垂直に立ち上がる一対の側壁100a,100bと、底部から垂直に立上がり、両端部が前記側壁100a,100bの各一端部にそれぞれ連なる後壁100cと、後壁100cに対向して設けられ、底部から立ち上がり、前記後壁100cから離反する方向に延びる前壁100dとを有する。
【0109】
本体部100は、側壁100a,100b、後壁100cおよび前壁100dによって取付部材101が嵌り込む内部空間を規定する。一対の側壁100a,100bには、厚み方向に貫通する楕円状の長孔103がそれぞれ形成される。各長孔103は、床構造体6の他方の建物Bの外壁部5aに支持される位置、すなわち係合片71の回転軸線を中心軸線とする円弧に沿って、ピン部材102が移動自在に貫通する長孔である。各長孔103は、対向し、第2方向Yに延びる同一の軸線を有する。
【0110】
取付部材101は、各遊端部が本体部100に嵌まり込んだ状態で、下弦部材23の第1方向他方X2側端部の底面部に連結される。前記各遊端部には、第2方向Yに関して同一軸線を有する孔がそれぞれ形成される。
【0111】
ピン部材102は、軸部材102aとナット102bとによって構成される。本体部100と取付部材101とは、ピン部材102の軸部材102aを、前記長孔103および孔104に挿通し、ナット102bを締付けることによって、連結される。
【0112】
すなわち、連結構造体9は、第1手摺構造体7の第1方向X他端部と、床構造体6の第1方向X他端部とを、第2方向Yに平行な角変位軸線まわりの角変位を許容し、かつ床構造体6に対して第2方向Yへの変位が阻止された状態で連結する。
【0113】
このように連結構造体9は床構造体6に連結されるので、第1手摺構造体17を床構造体6と連動させて第1方向Xに移動させることができる。
【0114】
また、連結構造体9は第2方向Yに平行な軸線まわり角変位することができるので、2つの建物A,Bが相互に近接する方向に相対変位して、床構造体6が上方Z1に角変位しても、床構造体6の角変位を許容し、第1手摺構造体7の重量の一部を床構造体6によって支持することができる。
【0115】
したがって、第1手摺構造体7の第1方向X一端部を充分な距離で建物Aに支持させることができない場合であっても、第1手摺構造体7を確実に支持することができるので、外壁開口部4c近傍に通行可能な空間を確保しつつ、各建物A,Bの第1および第2方向X,Yの相対変位を許容することができる。
【0116】
図8は
図1の切断面線VIII−VIIIから見た図である。
第2手摺構造体8は、第3手摺部110と、第4手摺部111とを含んで構成される。第3手摺部110は、第1方向Xに延びる上弦部材120と、上弦部材120の下方に配置され、第1方向Xに延びる下弦部材121と、上弦部材120の長手方向各端部と下弦部材121の長手方向各端部とを連結する支柱部材122と、支柱部材122間に配置され、上端部が上弦部材120に連結されかつ下端部が下弦部材121に連結される複数の竪桟部材123とを含んで構成される。
【0117】
上弦部材120の第2方向他方Y2側端面部には、上側案内溝125が形成される。上側案内溝125は第1方向Xに沿って延び、長手方向全長にわたって形成される。下弦部材121の第2方向他方Y2側端面部には、下側案内溝126が形成される。下側案内溝126は第1方向Xに沿って延び、長手方向全長にわたって形成される。
【0118】
内壁部4b2には、上側案内手段112と下側案内手段113とが、第1方向Xに間隔をあけて複数設けられる。上側案内手段112は、フランジ部分と案内レール部分とを有し、フランジ部分が、オールインアンカーによって内壁部4b2に固定されて設けられる。案内レール部分は、上側案内溝125に摺動自在に嵌り込む。
【0119】
下側案内手段113は、フランジ部分と案内レール部分とを有し、フランジ部分が、オールインアンカーによって内壁部4b2の壁面に水平に固定されて設けられる。案内レール部分は、下側案内溝126に摺動自在に嵌り込む。このようにして、第3手摺部110は、第1方向Xに移動自在に係止される。
【0120】
第4手摺部111は、長手寸法が異なるのみで第3手摺部110と同様に構成される。したがって、第3手摺部110と共通する部分に同一の符号を付し、説明は省略する。第4手摺部111は、外壁部5aに設けられる図示しない上側案内手段および下側案内手段によって、第2方向Yに移動自在に係止される。
【0121】
図1に示すように、第3手摺部110の第1方向他方X2側端部と、第4手摺部111の第2方向一方Y1側端部とは、鉛直な軸線まわりに回動可能なヒンジ部材115によって連結される。これによって、第3手摺部110と第4手摺部111とは、鉛直な軸線まわりに回動自在に連結される。
【0122】
図9は、建物A,Bが離反する方向に相対変位したときの渡り通路構造体1の状態を示す水平断面図であり、
図10は、建物A,Bが近接する方向に相対変位したときの渡り通路構造体1の状態を示す水平断面図である。
【0123】
建物A,Bが離反する方向に相対変位すると、
図9に示すように、床構造体6は、一方の建物Aの上面が、床構造体6の下面部を摺動することによって相対変位を許容する。
【0124】
第1手摺構造体7は、上側案内手段80および下側案内手段81が、上側案内レール36および下側案内レール37に案内されて第1方向一方X1に移動し、支柱部材33に当接すると、可動手摺体21が引張り部材89の引張り力に抗して第1方向一方X1に移動し、固定手摺体20から第1方向一方X1に突出する。これによって、第1手摺構造体7は前記相対変位を許容する。第2手摺構造体8は、第2方向他方Y2側の内壁部4b2に取り付けられた上側案内手段112および下側案内手段113が、第3手摺部110の上側案内溝125および下側案内溝126に沿って第1方向一方X1に移動することにより前記相対変位を許容する。
【0125】
建物A,Bが近接する方向に相対変位すると、
図10に示すように、床構造体6は、遊端部側部材14の第1方向一方X1側端部が、第2縁材11の支持面部61、第1案内面部56および第2案内面部57に案内されて一方の建物Aの通路2上に乗り上げる。このとき、基端部側部材13は、第1方向他方X2側に配置される係合片部71を回転軸として、第2方向Yに平行な軸線まわりに角変位し、遊端部側部材14が一方の建物Aの通路2上に乗り上げることによる上方Z1への角変位を許容する。
【0126】
このとき、連結構造体9の本体部100は、前記床構造体6の上方Z1への角変位に伴って、ピン部材102を回転軸として角変位する。本体部100が取付部材101に対して角変位するので、床構造体6が上方Z1に角変位しても、該角変位は、第1手摺構造体7に影響を与えない。したがって、連結構造体9は、床構造体6と第1手摺構造体7とを、床構造体6の前記角変位を許容しつつ連結する。
【0127】
第1手摺構造体7は、上側案内手段80および下側案内手段81が、上側案内レール36および下側案内レール37に案内されて第1方向他方X2に移動し、前記相対変位を許容する。第2手摺構造体8は、第2方向他方Y2側の内壁部4b2に取り付けられた上側案内手段112および下側案内手段113が、第3手摺部110の上側案内溝125および下側案内溝126に沿って第1方向他方X2に移動することにより前記相対変位を許容する。
【0128】
図11は、一方の建物Aに対して他方の建物Bが前方へ相対変位したときの渡り通路構造体1の状態を示す水平断面図であり、
図12は、一方の建物Aに対して他方の建物Bが後方へ相対変位したときの渡り通路構造体1の状態を示す水平断面図である。
【0129】
一方の建物Aに対して他方の建物Bが前方へ相対変位すると、
図11に示すように、床構造体6は、基端部側部材13の係合片部71が、第1縁材10の係合部43に沿って第2方向他方Y2(後方)に移動し、前記相対変位を許容する。
【0130】
連結構造体9は、床構造体6に固定される。したがって第1手摺部17の下弦部材23およびこれに連結される他方側支柱部材26は、床構造体6の移動に連動して第2方向他方Y2(後方)に移動する。このとき、第2手摺部18は、上弦部材90および摺動レール92が上側案内手段95および下側案内手段96にそれぞれ案内されて第2方向他方Y2(後方)に移動する。このようにして、第1手摺構造体7は、前記相対変位を許容する。
【0131】
第2手摺構造体8は、外壁部5aに取り付けられる上側案内手段および下側案内手段が第4手摺部111の上側案内溝および下側案内溝を第2方向他方Y2に摺動移動することによって、前記相対変位を許容する。
【0132】
一方の建物Aに対して他方の建物Bが後方へ相対変位すると、
図12に示すように、床構造体6は、基端部側部材13の係合片部71が、第1縁材10の係合部43に沿って第2方向一方Y1(前方)に移動し、前記相対変位を許容する。
【0133】
連結構造体9は、床構造体6に固定される。したがって第1手摺部17の下弦部材23およびこれに連結される他方側支柱部材26は、床構造体6の移動に連動して第2方向一方Y1(前方)に移動する。このとき、第2手摺部18は、上弦部材90および摺動レール92が上側案内手段95および下側案内手段96にそれぞれ案内されて第2方向一方Y1(前方)に移動する。このようにして、第1手摺構造体7は、前記相対変位を許容する。
【0134】
第2手摺構造体8は、外壁部5aに取り付けられる上側案内手段および下側案内手段が第4手摺部111の上側案内溝および下側案内溝を第2方向一方Y1に摺動移動することによって、前記相対変位を許容する。
【0135】
以上の説明から明らかなように、渡り通路構造体1は、地震などによって建物A,Bが近接/離反方向および前後方向に相対変位しても、これら相対変位を許容して、空間3を塞いだ状態で維持し、一方の建物Aの外壁開口部4cと他方の建物Bの外壁開口部5cとを連結する渡り通路として機能することができる。
【0136】
本実施形態では、第1手摺構造体7と第2手摺構造体8とは、異なる構造としたが、他の実施形態として、第2手摺構造体8を、第1手摺構造体7と同一の構成によって実現してもよい。この場合、連結構造体9は、床構造体6の第1方向他方X2側であって第2方向Yの両端部にそれぞれ設けられる。第2手摺構造体8に第1手摺構造体7の構成を用いることによって、第2手摺構造体8近傍の外壁開口部4cに、たとえばエレベーターホールやピロティなどの大きな空間を形成することができる。