【実施例】
【0012】
実施例に係る設置具導入方法につき、
図1から
図6を参照して説明する。内部に流体が流れる流体管1を密封状に囲繞した筐体2内において、様々な態様の設置具が流体管1の所定箇所に不断流状態で導入される場合がある。本実施例は、設置具としての制流体37を流体管1が切断された所定箇所に不断流状態で導入設置する方法について説明する。尚、設置具は、制流体37だけに限られず、例えば、流体管に穿孔を形成し、該穿孔に設置されるコア等でもよい。
【0013】
図1の下方に示されるように、本実施例の流体管1は、例えば、上水道用として用いられるダクタイル鋳鉄製であり、断面視略円形状に形成され、内周面がモルタル層で被覆されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいは石綿、コンクリート製、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等であってもよい。更に尚、流体管の内周面はモルタル層に限らず、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、流体管の内部を流れる流体は、例えば上水に限られず、工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0014】
流体管1の所定箇所には、上方に開口部2aを有する2分割構造の筐体2が密封状に取り付けられている。尚、筐体は、本実施例では2分割構造であるが、他の複数分割構造であってもよく、分割筐体同士の接合は、溶接若しくはパッキンを介しボルトにより取り付けても構わない。
図1の上方に示されるように、この筐体2の開口部2aには、開口部2aを密封状に閉塞可能な作業弁4を介して筐体2に連通するケース部材3が接続されており、このケース部材3の上方には筐体2内に制流体37を導入するための導入装置5が設置されている。
【0015】
導入装置5の構造について説明すると、
図1及び
図2(a)に示されるように導入装置5は、ケース部材3に接続するための取付けフランジ7と、取付けフランジ7に連通して取り付けられる筒状部材6と、軸部材8の進退移動若しくは進退移動を規制する進退規制機構10と、進退規制機構10のガイドとなる支持部材11と、から構成されており、この導入装置5に、制流体37の方向を定める接続部81を先端に有する軸部材8が設けられている。
【0016】
図2(a)、(b)に示されるように、取付けフランジ7は、平面視略環状を成しその周縁部に上下方向に連通する連通孔7aが所定間隔離間して複数配設されている。この取付けフランジ7の中央部には、筒状部材6が取り付けられており、筒状部材6の上部には、筒状部材6よりも縮径した軸部材8の挿入口6aが延設されている。本実施例において、挿入口6aの内周面には、環状のシール部材20が設けられており、シール部材20が軸部材8の外周面に当接することで、ケース部材3と筒状部材6との内部が密封されるようになっている。これにより軸部材8の傾動を抑止して挿入方向に案内できるばかりか、密封性を向上させることができる。尚、シール部材の数量は、挿入口の延設方向に離間して2箇所以上に複数設けられていてもよいし、1箇所のみ設けられていてもよい。
【0017】
また、筒状部材6には、筒状部材6の外方から内径方向に向けて進退自在のストッパ部材9,9が設けられている。更に、この筒状部材6の外周面には、外径方向に向けて突設された取り付け部6bが設けられ、取り付け部6bに支持部材11が固定設置されている。
【0018】
この支持部材11は、取り付け部6bに固設される基板11aと、基板11aから垂直に立設される支柱11b,11bと、支柱11b,11bにおける基板11aと対向する端部に架設される梁板11cと、基板11a及び梁板11cに挿通されて架設される4本の支軸11dと、から構成されている。これら基板11aと梁板11cとには、中央部に軸部材8が位置するようになるとともに、軸部材8を包囲するように各支軸11dが架設されている(
図3参照)。このように構成された支持部材11は、軸部材8の軸方向の長さよりも短く設定されている。尚、本実施例の支持部材11に限らず、例えば、内部に軸部材を挿入できる空間を有する一体の円筒状の部材を用いてもよく、剛性を有し、更に軸部材の軸方向の長さよりも短く設定されるものであればよい。
【0019】
このことにより、軸部材8は、支持部材11にガイドされて進退移動するようになるため、安定して軸部材8が進退移動することができる。すなわち、軸部材8の進退移動に軸部材8の変位または傾動などを防止することができる。更に、支持部材11は、軸部材8の軸方向の長さよりも短く設定されているため、導入装置5が筐体2の外方へ延びる長さを軸部材8の範囲内に抑えることができる。
【0020】
次いで軸部材8について説明すると、軸部材8の後端には、後端方向に開口する凹部8aが設けられており、後述する別体の軸部材である継軸18が取り付け及び取り外し可能になっているとともに、軸部材8の先端側の周面には、外径方に突設された環状の係止部8bが形成されており、ストッパ部材9,9に係止されるようになっている。また、本実施例の軸部材8の外周面には、滑り止めとして所定の幾何学的パターンのローレット8cが施されている。尚、この滑り止めは、ローレットだけに限らず、軸部材の外周面に複数の凹凸形状を設けてもよいし、あるいは例えば梨地のメッキ面や素メッキ面等、軸部材の外周面を効果的に粗くし摩擦力を向上するものであればよい。
【0021】
更に軸部材8の先端に設けられる接続部81は、軸部材8の軸方向と略直交方向に貫通した貫通孔であり、この接続部81に制流体37を重ね合わせるとともに、ボルト・ナット21を挿通させることによって軸部材8及び制流体37が接続可能となっている。すなわち、接続部81の向きによって制流体37の周方向の位置が決定する。
【0022】
次に、進退規制機構10について説明すると、
図1ないし
図3に示されるように、進退規制機構10は、軸部材8を軸方向に進退させる進退部材13と、進退部材13に設けられ軸部材8を回動させる回動部材12と、回動部材12及び進退部材13に架設され回動部材12の回動を規制する回動規制部材15と、軸部材8の進退移動規制若しくは規制解除可能な進退規制部材14と、から主に構成されている。
【0023】
詳しく説明すると、
図3(a)に示されるように、回動部材12は、進退部材13の略中央部に回動自在に配設される平面視略円形状の回動部12cと、回動部12cに固設され軸部材8の外周面に沿う内周部を備えた4つの挟圧片12a、12b、12a’、12b’と、から構成されている。これ等挟圧片12a、12b、12a’、12b’の内周部には、軸部材8のローレット8cとの摩擦係数を増大させるための摩擦材が施されている。また、この狭圧片12aの端部と狭圧片12bの端部12dとは、それぞれ凹凸形状を有しており、該凹凸形状が互い違いに嵌合され、支軸となる支軸ボルト12gが挿入されることで狭圧片12a及び狭圧片12bが回動可能に枢支されている。つまり、狭圧片12a、12bは、支軸ボルト12gを中心に回動可能な略ヒンジ状に連結された丁番となっている。また、狭圧片12a’、12b’も同様の構成により丁番となっている。この各丁番の両端部の間には、把持シリンダー23,23がそれぞれ架設されている。このように回動部材12が、軸部材8を把持若しくは把持解除可能に設けられており、軸部材8を容易に締め付け若しくは解除できる。
【0024】
進退部材13は、平面視で略矩形状を成し、支軸11dが上下方向に挿通されており、進退部材13の上方には、進退部材13を進退移動させるための図示しない進退シリンダーが接続されているとともに、回動部12cに回転を付与するための回転モータ19が固設されている(
図1及び
図2参照)。また、進退規制部材14は、回動部材12と略同一の構造であり、挿入口6aの直上に近接した支持部材11の基板11aに対し回動不能に固定されており、つまり、軸部材8を把持若しくは把持解除のみ可能に設けられている。
【0025】
図3に示されるように、これら回動部材12及び進退部材13には、前記回動規制部材を架設するための架設基部16、16’がそれぞれ設けられている。より詳しくは、架設基部16、16’は、軸部材8と同軸方向に延設されるとともに、当該延設方向と直交方向に穿設され回動規制部材15を挿通可能な挿通孔16a、16a’が形成されている。この架設基部16は、回動部12cにおける周縁部の一部に設けられ、架設基部16’は、進退部材13における回動部12cの外周縁の一部に設けられている。進退部材13と回動部材12とに架設基部16、16’が設けられていることにより、回動部材12及び進退部材13の位置合わせが容易にできるばかりか、回動規制部材15を回動部材12及び進退部材13の架設基部16、16’に確実に設置することができる。
【0026】
図3(b)に示されるように、回動規制部材15は、挿通孔16a、16a’に挿通される略棒状の挿通部15aと、挿通部15aの一端に設けられ挿通孔16a、16a’よりも大径に形成された係止端部15bと、挿通部15aの他端に設けられ挿通部15aに対し直交方向に傾動可能な傾動部15cと、から構成されている。挿通孔16a、16a’に回動規制部材15を傾動部15c側から挿通すると、やがて係止端部15bが挿通孔16a若しくは挿通孔16a’の周縁部に係止され、その後、傾動部15cを挿通部15aの直交方向に傾動させることにより、回動規制部材15が挿通孔16a、16a’から抜け出すことが防止される構造となっている。
【0027】
このように構成された導入装置5を用いて制流体37を不断流状態で導入設置する手順を説明する。
【0028】
先ず、ここでは図示しないが、流体管1に対し筐体2を密封状に取り付けるとともに、筐体2の開口部2aに作業弁4及びケース部材3を取り付け、ケース部材3に導入装置5を接続する。このときには、軸部材8の先端の接続部81に流体管1を切断する図示しない刃部材を接続し、当該刃部材を周方向に回動させ、且つ軸方向に進行させることで流体管1の所定箇所を切断する。その後、当該刃部材を退行させ、作業弁4によって開口部2aを密封状に閉塞し、導入装置5を筐体2から取り外すとともに、前記刃部材を接続部81から取り外す。
【0029】
そして、
図2または
図4に示されるように、接続部81が制流体37の所定方向の設置位置に対応するように、軸部材8を周方向に位置決めする位置決め工程を行う。この位置決め工程は、軸部材8をケース部材3に接続される取付けフランジ7に対し周方向に位置決めする位置決め部材17を接続部81に取り付け、位置決め部材17を用いて接続部81が制流体37の所望の設置位置に対応する方向を向くように位置決めする。この位置決め部材17は、接続部81と同軸方向に延設された部材であり、軸部材8に接続された状態で断面視略T字形状を成しているとともに、この位置決め部材17の両端部には、取付けフランジ7に設けられた複数の連通孔7aのいずれかに嵌合可能なピン17a,17aが延設されている。
【0030】
図4(a)に示されるように、先ず接続部81を取付けフランジ7よりも進行方向に進行させて外部へ露出させた後、位置決め部材17を取り付け、軸部材8を回動部材12により把持しながら回動させることで、所望の連通孔7aにピン17a,17aの位置を重合させる。その後、
図4(b)に示されるように、軸部材8を進退部材13で退行させることで、所望の連通孔7aにピン17a,17aがそれぞれ嵌合するようになる。これによれば、回動部材12を有効利用して軸部材8を周方向に回動し、軸部材8がケース部材3に接続される取付けフランジ7に対し周方向に位置決めすることができる。尚、位置決め部材17のピン17a,17aを、所望の連通孔7aに嵌合させる際には、ここでは図示しないが、予め、所望の連通孔を案内する目印や部材等が設けられている。
【0031】
上記のように位置決め工程を行った後、回動部材12を回動規制部材15により進退部材13に対し回動部材12の周方向の回動を規制する回動規制工程を行う。これによれば、位置決め工程の後に、回動規制部材15により回動部材12の回動を規制する回動規制工程を行なうことで、軸部材8を周方向に位置決めした状態で、回動部材12の回動が規制されるため、制流体37が周方向に位置ズレすることを防止できる。
【0032】
詳しくは、
図5の(a)に示されるように、先ず挟圧片12a、12b、12a’、12b’による軸部材8の把持を解除するとともに、当該把持解除状態で回動部材12のみを回転させ、
図5の(b)に示されるように、回動部材12を進退部材13に対し周方向に位置合わせを行う。その後、
図3に示されるように、回動部材12及び進退部材13に回動規制部材15を架設する。詳しくは、架設基部16’の挿通孔16a’に対し架設基部16の挿通孔16aの位置合わせを行い、当該位置合わせ後に挿通孔16a、16a’に回動規制部材15を挿通し、その後、回動部材12が軸部材8を再び把持する。このように軸部材8を把持解除した回動部材12のみを回動して進退部材13に対し周方向に位置合わせを行い、回動規制部材15を周方向の所望位置で架設することができ、回動規制部材15を架設した後に回動部材12が軸部材8に把持することで、軸部材8の把持に伴う周方向の位置ズレも防止することができる。
【0033】
そして、接続部81に制流体37を接続し、位置決め工程及び回動規制工程が行われた導入装置5をケース部材3に接続する。このときには、軸部材8のローレット8cと挟圧片12a、12b、12a’、12b’の内周部との摩擦力によって、軸部材8が回動部材12に支えられるため、軸部材8及び制流体37がその自重により落下することが防がれ、更に、その状態で軸部材8の係止部8bに対しストッパ部材9,9を係止させることで確実に軸部材8及び制流体37の落下が防止される。
【0034】
このように、ケース部材3から取り外した導入装置5を作業し易い適宜箇所に配置し、容易に位置決め工程及び回動規制工程を行った後に導入装置5をケース部材3に接続することでかかる作業が容易である。
【0035】
その後、
図6に示されるように、軸部材8を進退部材13により進行移動させることで、所定方向を向く制流体37を配置する導入工程を行う。このときには、制流体37を接続した軸部材8を進退部材13により進行移動させるだけで、容易且つ高精度に制流体37を筐体内の所定位置に導入できる。このとき、例えばシーケンスバルブ等の油圧制御弁を用いれば制流体37を導入し易い。尚、本実施例において、導入装置5がケース部材3から取り外された適宜箇所で位置決め工程及び回動規制工程を行っているが、これに限らず、例えば、ケース部材及び導入装置を筐体から取り外し、筐体から取り外された適宜箇所で位置決め工程及び回動規制工程を行ってもよい。これによれば、筐体から取り外した当該ケース部材を作業し易い適宜箇所に配置し容易に位置決めできる。
【0036】
この導入工程における軸部材8及び制流体37の進行移動は、回動部材12が軸部材8を把持位置から進退規制部材14に近接する位置までの範囲で行われ、この進行移動に伴って軸部材8がシール部材20に摺動して進行移動する。進行移動完了後の軸部材8は、進退規制部材14によって把持され進退移動が規制される。その後、先端に軸部材8の凹部8aに嵌合可能な凸部18aと、後端に軸部材8の凹部8aと同様の図示しない凹部と、が形成された継軸18を連結部材26によって軸部材8に接続する。この連結部材26は、軸部材8と継軸18との外面に略面一に形成されており、連結部材26がシール部材20を通過しても密封性を阻害しない。尚、上述と同様に、継軸18の後端の凹部にこの継軸18と同じ構造の別の継軸の凸部を嵌合させることで、複数本の継軸を順次接続することができるようになっている。
【0037】
そして、軸部材8の進退移動が進退規制部材14によって規制された状態で回動部材12による軸部材8の把持を解除し、回動部材12のみを退行移動させ、上述した動作により回動部材12を再び軸部材8の後端側の外周面へ把持させる。その後、特に図示しないが、上述した工程を繰り返すことで制流体37を設置位置に配置することが達成する。
【0038】
以上説明したように、本発明の設置具導入方法は、流体管1に対し密封状に取り付けた筐体2内において、刃部材を接続した軸部材8を周方向に回動及び軸方向に進退させて流体管1を切断若しくは開口形成し、該切断若しくは開口箇所に軸部材8を用いて制流体37を所定方向に向け不断流状態で配置する設置具導入方法であって、軸部材8は、制流体37の方向を定める接続部81を有しており、接続部81が制流体37の設置位置に対応する方向を向くように、軸部材8を周方向に位置決めするとともに、軸部材8を回動させる回動部材12を、回動部材12を軸方向に移動させる進退部材13に対し回動規制した後に、接続部81に制流体37を接続し、進退部材13により回動部材12を介し軸部材8を軸方向に進行移動させることで、所定方向を向く制流体37を配置する。これによれば、接続部81が制流体37の所定方向の設置位置に対応するように、軸部材8を周方向に位置決めし、その位置で回動部材12の回動を規制しておくことで、刃部材に替えて接続部81に制流体37を接続するだけで制流体37を周方向に容易に位置決めすることが完了できる。そして、制流体37を接続した軸部材8を進退部材13により進行移動するだけで、容易且つ高精度に制流体37を筐体2内の所定位置に設置できる。また、軸部材8に接続した刃部材に替えて設置具である制流体37を接続し導入することで、設置具導入用に別段の導入機や重機を不要にでき、設置具導入作業を簡略化できる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、前記実施例では、位置決め工程において位置決め部材17を接続部81に取り付け、位置決め部材17を所望の連通孔7aに嵌合させることで接続部81が制流体37の所望の設置位置に対応する方向を向くように位置決めしているが、これに限られず、例えば、特段の位置決め部材を用いず、軸部材若しくは接続部に目印を設けるとともに、導入装置の所定箇所に適合させて接続部の位置決めを行ってもよい。
【0041】
また、導入工程において軸部材8を回動部材12が進退規制部材14に近接するまで進行移動させ、その後、軸部材8と継軸18とを順次接続して制流体37を設置位置に配置することを達成しているが、これに限られず、1本の軸部材のみを用い少ない工程で設置具を設置位置に配置するようにしてもよい。
【0042】
また、回動規制部材は、本実施例の回動規制部材の態様に限らず、例えば、回動部材及び進退部材の各架設基部を狭圧することで回動部材の回動を規制する部材でもよいし、架設基部を別段に設けず、回動部材に係止可能な部材を進退部材に固設してもよい。