特許第5981217号(P5981217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981217
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】シェルタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20160818BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20160818BHJP
   E04B 1/344 20060101ALI20160818BHJP
   B60P 3/34 20060101ALN20160818BHJP
【FI】
   B60H1/34 651Z
   F24F13/14 Z
   E04B1/344 D
   !B60P3/34
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-110291(P2012-110291)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-237302(P2013-237302A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 悟
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0162755(US,A1)
【文献】 特開2005−280537(JP,A)
【文献】 米国特許第04741133(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0107321(US,A1)
【文献】 特開平10−230773(JP,A)
【文献】 特開2002−147067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60H 1/34
B60P 3/34
E04H 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルタ筐体を構成しシェルタ側壁の一部を開放可能としているシェルタ本体と、
前記シェルタ本体内に収容可能であるとともに、前記一部からシェルタ外方向へ広がることでシェルタ空間を拡大させるシェルタ空間拡大手段と、
前記一部の外周側からシェルタ空間へ送風するとともに、前記シェルタ空間拡大手段によってシェルタ空間を拡大させたときに、送風方向を、前記シェルタ本体内の空間である本体空間と、前記シェルタ空間拡大手段によって形成された拡大空間と、に切替可能とする送風・切替手段と、
を備え
前記送風・切替手段は、送風の噴き出し口に対向して設けられた整流板と、
前記整流板の傾斜方向を切り替える傾斜方向切替機構と、
を備えたことを特徴とするシェルタ。
【請求項2】
前記送風・切替手段は、前記整流板の傾斜方向の切り替えに連動して前記噴き出し口の位置を切り替えることを特徴とする請求項1記載のシェルタ。
【請求項3】
前記送風・切替手段からの送風温度が可変にされていることを特徴とする請求項1または2記載のシェルタ。
【請求項4】
前記シェルタ本体は、前記一部として片サイド側を開閉可能に覆うウィングサイドパネルを備え、
前記ウィングサイドパネルは、開いたときに前記拡大空間の天井側の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のシェルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シェルタ側壁の一部を開放可能としているシェルタに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどで移動可能なシェルタが知られている。このシェルタにはテント状の天幕が折り畳まれた状態で積み込まれていることが多く、シェルタをトラックなどで屋外の所定位置にまで運搬し、シェルタの近くで天幕を広げて遮蔽空間を形成し、遮蔽空間内で機器を使用することや要員を待機させることなどを行うことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−212300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シェルタ内と、天幕による遮蔽空間とは繋がっていない。このため、シェルタ内の機器等を遮蔽空間にまで運搬するには、シェルタから外へ運び出し、更に、天幕による遮蔽空間に運び入れる必要がある。
【0005】
また、天幕による遮蔽空間では、空調設備を簡単に設置することができない。このため温度コントロールをすることができず、機器の管理や作業員の作業性向上の観点で、夏場に天幕内を適度に冷却することが望まれている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、シェルタ内と天幕による空間とが繋がっていて、しかも天幕による空間内で空調を効率的に調整することができるシェルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るシェルタは、シェルタ筐体を構成しシェルタ側壁の一部を開放可能としているシェルタ本体と、シェルタ本体内に収容可能であるとともに、この一部からシェルタ外方向へ広がることでシェルタ空間を拡大させるシェルタ空間拡大手段と、を備える。更に、本発明の実施形態に係るシェルタは、上記一部の外周側からシェルタ空間へ送風するとともに、シェルタ空間拡大手段によってシェルタ空間を拡大させたときに、送風方向を、シェルタ本体内の空間である本体空間と、シェルタ空間拡大手段によって形成された拡大空間と、に切替可能とする送風・切替手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)および(b)は、それぞれ、実施形態に係るシェルタが大型トラックに搭載されていることを示す側面図および平面図である。
図2】実施形態で、天幕をシェルタ本体から広げることを説明するシェルタ背面図である。
図3】実施形態で、天幕をシェルタ本体から広げることを説明するシェルタ背面図である。
図4図4(a)および(b)は、何れも、実施形態でエアコンからの送風方向を切り替えることを説明する模式的な側面図である。
図5】実施例のシェルタの構造を示す側面視の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照し、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係るシェルタついて説明する。図1(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態に係るシェルタが大型トラック(例えば3.5t型トラック)に搭載されていることを示す側面図および平面図である。
【0010】
図2図3は、何れも、本実施形態で、天幕をシェルタ本体から広げることを説明するシェルタ背面図である。図4(a)および(b)は、何れも、本実施形態でエアコンからの送風方向を切り替えることを説明する模式的な側面図である。
【0011】
シェルタ10は、シェルタ筐体を構成しシェルタ側壁の一部Pを開放可能としているシェルタ本体12と、シェルタ本体12内に収容可能であるとともに、上記一部Pからシェルタ外方向へ広がることでシェルタ空間を拡大させるシェルタ空間拡大手段20と、を備えている。そして、シェルタ10には、上記一部Pの外周側からシェルタ空間へ送風するとともに、シェルタ空間拡大手段20によってシェルタ空間を拡大させたときに、送風方向を、シェルタ本体内の空間である本体空間Mと、シェルタ空間拡大手段20によって形成された拡大空間Eと、に切替可能とする送風・切替手段22が設けられている。なお、拡大空間Eでは、テーブル24や、プロジェクターで写し出すためのスクリーン26などを配置して、乗員が作業などを行うことが可能になっている。
【0012】
シェルタ本体12は、上記一部Pとして片サイド側PSを開閉可能としている。すなわち、シェルタ本体12には、片サイド側PSを開閉可能に覆うウィングサイドパネル28(サイド側の扉)が設けられている。このウィングサイドパネル28は、例えば、ウィングサイドパネル28が上端部で回動可能に保持されていることによりシェルタ10が開閉可能とされている。
【0013】
シェルタ空間拡大手段20としては、天幕30と、天幕30をシェルタ10の外側に張り出すことが可能な拡大機構32と、上下位置が可変な昇降用階段34とが設けられている。天幕30および拡大機構32については、シェルタ10に収容するときには、拡大機構32を変形させてシェルタ10内に収容され得る形状にし、天幕30もシェルタ10に収容されており、ウィングサイドパネル28を開いたときには、拡大機構32によって天幕30がシェルタ外側に広げられた状態で位置するように構成されている。
【0014】
本実施形態では、シェルタ10は、図2に示すように、シェルタ本体12を地上に直接に載置して使用する場合と、図3に示すように、シェルタ本体12をトラックの荷台Tなどの介在物を介して載置して使用する場合と、の両方の使い方が可能となっている。後者の場合には、図3に示すように、昇降用階段34の上部がシェルタ本体12の下部に位置し、乗員がシェルタ本体12から地上に降りることが可能となっており、図2に示す場合に比べて拡大空間Eが上下方向に広くなっている。
【0015】
送風・切替手段22としては、上記一部P(片サイド側PS)の上部であってシェルタ天井40に隣接するように配置されたエアコン42と、送風の噴き出し口46に対向してシェルタ床48の床面48u上に設けられた整流板50と、整流板50の傾斜方向を切り替える傾斜方向切替機構52と、が設けられている。エアコン42は設定温度が可変にされており、冷風、温風の切り替えが可能である。傾斜方向切替機構52としては、整流板50の傾斜方向を切り替えることができる限り、特に限定しない。例えば、図4に示すように、整流板50の長手方向に沿った長孔状の凹部56をシェルタ本体12の両側壁内側に形成して、凹部56に係合する支軸58を整流板50に設けた構成にし、整流板50を上方に移動させて、整流板50の下部の位置を本体空間側にすることで図4(a)に示すように本体空間Mに向けて送風でき、整流板50の下部の位置を拡大空間側にすることで図4(b)に示すように拡大空間Eに向けて送風できる、という構成にしてもよい。
【0016】
本実施形態では、送風・切替手段22にはダクト60(図4参照)が設けられており、整流板50の傾斜方向の切り替えに連動して、ダクト60の噴き出し口46が移動するように制御されている。すなわち、図4(a)に示すように、本体空間Mに向けて送風する場合には、噴き出し口46がエアコン42の中央位置(あるいはエアコン42の本体空間側)に位置するようにダクト60を移動させ、図4(b)に示すように、拡大空間Eに向けて送風する場合には、噴き出し口46がエアコン42の拡大空間側に位置するようにダクト60を移動させる。
【0017】
なお、本体空間Mに向けて送風する際に使用する噴き出し口と、拡大空間Eに向けて送風する際に使用する噴き出し口とをダクト60に予め形成しておき、整流板50の傾斜方向の切り替えに連動して、使用する噴き出し口を切り替えるように制御してもよい。これにより、ダクト60を移動させなくても済む。
【0018】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。シェルタ空間拡大手段20で拡大空間Eを形成するには、まず、シェルタ10を所定の載置位置にまでトラック等で運搬する。
【0019】
次に、ウィングサイドパネル28を開き、拡大機構32により天幕30をシェルタ10の外側へ張り出し、拡大空間Eを形成する。このようにして形成された拡大空間Eは、シェルタ本体12による本体空間Mと繋がっている。
【0020】
そして、送風・切替手段22により、エアコン42を起動させるとともに整流板50の傾斜方向を決定することで送風方向を決める。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に係るシェルタ10は、シェルタ本体12内に収容可能で、かつシェルタ外方向へ広がることでシェルタ空間を拡大させることが可能なシェルタ空間拡大手段20を備えている。更に、シェルタ10は、シェルタ空間へ送風するとともに、送風方向を、シェルタ本体12内の空間である本体空間Mと、シェルタ空間拡大手段20による拡大空間Eと、に切替可能とする送風・切替手段22を備えている。
【0022】
従って、本体空間Mと拡大空間Eとが繋がっており、シェルタ本体12内、すなわち本体空間Mの機器(通信機器、精密機器など)をシェルタ10の外部に移動させることなく拡大空間Eに移動させることができる。
【0023】
そして、送風・切替手段22では、本体空間Mと拡大空間Eとに送風方向を切替可能であるので、対象空間の空調(例えば冷房や暖房)を効率的に行うことができる。このことは、拡大空間Eで、夏場に適正な機器管理や作業員の作業性向上を図る観点で大きく有効である。
【0024】
なお、本実施形態では、側壁側にウィングサイドパネル28が設けられているシェルタ10で説明したが、ウィングサイドパネル28を設けない構成にして、天幕30の収容時には天幕30で側壁側を覆う構成にすることも可能である。
【0025】
また、本実施形態では、整流板50の傾斜方向を切り替えることで、エアコン42からの送風を、本体空間Mに案内するか拡大空間Eに案内するかを切り替える例で説明したが、これに限らず、例えば、整流板50に代えてファンを配置し、ファンの正転、反転によって本体空間Mに案内するか拡大空間Eに案内するかを切り替える構成にしてもよい。
【0026】
また、本実施形態では、エアコン42の噴き出し口46が片サイド側PSの上部側に設けられ、下方へ向けて送風する例で説明したが、噴き出し口46が片サイド側PSの下部側に設けられ、上方へ向けて送風する構成にしてもよい。この場合、整流板などの送風方向を切り替える機構は、片サイド側PSの上部側で噴き出し口46に対向する位置に配置する。
【0027】
また、本実施形態では、拡大機構32がシェルタ本体12の片サイド側PSから天幕30をシェルタ10の外側に張り出すことが可能である例で説明したが、拡大機構32は、片サイド側PSに限らず、両サイド側や背面側などから天幕30を張り出すことが可能とされていてもよい。
【0028】
(実施例)
以下、具体例を実施例として説明する。図5は、本実施例のシェルタの構造を示す側面断面図である。なお、図5では、説明を判り易くするために、シェルタ本体12を地上に直接に載置して使用する場合(図2も参照)を実線で描き、シェルタ本体12をトラックの荷台Tなどの介在物を介して載置して使用する場合(図3も参照)を創造線で描いている。また、本実施例では上記実施形態で説明した構成と同様の構成のものには同じ符号を付して説明する。
【0029】
シェルタ10は、ウィングサイドパネル28と、拡大機構32と、送風・切替手段22と、天幕30と、補助天幕31とを備えている。ウィングサイドパネル28はウィング用ジャッキ72で開閉される構成にされている。また、シェルタ10は、拡大機構32によって形成された拡大空間Eとシェルタ本体12内の本体空間Mとを仕切る仕切りカーテン70を開閉自在に備えている。この仕切りカーテン70は、温度、湿度のコントロールとして用いるのに適している。
【0030】
拡大機構32は、組立式支柱74、伸縮式支柱76、横張り支柱78、昇降用階段34、床板80を備えている。組立式支柱74は、天幕固定機能を有している。天幕30は、採光機能、通気機能を備えている。横張り支柱78は、展示用パネル等が着脱可能な構造にされている。床板80は、シェルタ10を地上に設置した場合には、シェルタ本体12の床面48uと同一高さに位置しており、シェルタ10を車載している場合には、地上に載置された位置にされている。また、シェルタ10を車載している場合には、伸縮式支柱76を下方に延ばすとともに、延ばしたことによって床板80とシェルタ本体12との開放部分を覆う補助天幕31を用いる。
【0031】
本実施例では、図5から明らかなように、拡大機構32により形成された拡大空間Eの天井のうち、一部がウィングサイドパネル28によって覆われている。従って、本実施例により、上記実施形態で奏する効果に加え、ウィングサイドパネル28の面積分だけ、拡大空間Eを覆うのに必要な天幕30の面積を低減させることができる。
【0032】
以上、実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲はそれらに限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
10 シェルタ
12 シェルタ本体
20 シェルタ空間拡大手段
22 送風・切替手段
28 ウィングサイドパネル
30 天幕
46 噴き出し口
50 整流板
52 傾斜方向切替機構
E 拡大空間
M 本体空間
PS 片サイド側
図1
図2
図3
図4
図5