特許第5981229号(P5981229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981229
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】シート剥離装置及び剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20160818BHJP
   H01L 21/304 20060101ALN20160818BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   !H01L21/304 622P
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-126208(P2012-126208)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-251447(P2013-251447A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−094735(JP,A)
【文献】 特開2011−228626(JP,A)
【文献】 特開2011−142245(JP,A)
【文献】 特開2011−023612(JP,A)
【文献】 特開2001−233542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
H01L 21/304
B32B 38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行する被着体に貼付された接着シートを剥離して剥離済みシートとし、追行する被着体に貼付された接着シートである未剥離シートに前記剥離済みシートを連結し、前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与することで、当該未剥離シートを剥離するシート剥離装置において、
前記接着シートが貼付された被着体を支持する支持手段と、
前記剥離済みシートを前記未剥離シートに連結する連結手段と、
前記剥離済みシートを保持可能な回収手段と、
前記回収手段と前記支持手段とを相対移動させて前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与する張力付与手段とを備え、
剥離用シートを前記回収手段に供給可能な剥離用シート供給手段を有し、
前記回収手段は、前記剥離済みシートを保持していないときに、前記剥離用シート供給手段から前記剥離用シートを受け取って保持し、前記連結手段が当該剥離用シートを前記未剥離シートに連結することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
先行する被着体に貼付された接着シートを剥離して剥離済みシートとし、追行する被着体に貼付された接着シートである未剥離シートに前記剥離済みシートを連結し、前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与することで、当該未剥離シートを剥離するシート剥離方法において、
前記接着シートが貼付された被着体を支持する支持する工程と、
前記剥離済みシートを前記未剥離シートに連結する工程と、
前記剥離済みシートを回収手段で保持する工程と、
前記回収手段と接着シートが貼付された被着体とを相対移動させて前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与する工程とを備え、
前記回収手段に前記剥離済みシートが保持されていないときに、前記回収手段が剥離用シートを受け取って保持する工程と、当該剥離用シートを前記未剥離シートに連結する工程とを備えていることを特徴とするシート剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート剥離装置及び剥離方法に係り、更に詳しくは、被着体から剥離した接着シートを他の被着体に貼付された接着シートに貼付し、当該他の被着体に貼付された接着シートを剥離することのできるシート剥離装置及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単に、「ウエハ」と称する場合がある)には、回路面を保護するために接着シートが貼付され、このような接着シートは、ウエハの裏面研削等の所定の処理が施された後剥離される。
このような接着シートの剥離装置としては、例えば、特許文献1に記載されているように、先行するウエハ(先行する被着体)に貼付された接着シートを剥離して第1シート(剥離済みシート)とし、先行するウエハを追行する別のウエハ(追行する被着体)に貼付されている接着シートである第2シート(未剥離シート)に第1シートを接着し、その後に第1シートを引っ張ることで第2シートを被着体から剥離可能とする構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−228626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート剥離装置によれば、被着体から剥離した接着シートを別の接着シートの剥離に利用するため、剥離用シートを別途用意する必要がなく、ランニングコストを低減させることができるというメリットがある。
しかしながら、特許文献1のシート剥離装置は、当該装置が新規に導入された直後や、全ての剥離済みシートが回収装置から除去された直後では、剥離済みシートが存在しないため、オペレータが他の被着体から接着シートを剥離し、当該剥離したシートを装置内の回収装置にセットしなければならないという面倒な準備作業が必要になる、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、接着シートを剥離するために用いる剥離済みシートが回収手段に存在しない場合であっても、オペレータに面倒な準備作業を強いることのないシート剥離装置及び剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、先行する被着体に貼付された接着シートを剥離して剥離済みシートとし、追行する被着体に貼付された接着シートである未剥離シートに前記剥離済みシートを連結し、前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与することで、当該未剥離シートを剥離するシート剥離装置において、前記接着シートが貼付された被着体を支持する支持手段と、前記剥離済みシートを前記未剥離シートに連結する連結手段と、前記剥離済みシートを保持可能な回収手段と、前記回収手段と前記支持手段とを相対移動させて前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与する張力付与手段とを備え、剥離用シートを前記回収手段に供給可能な剥離用シート供給手段を有し、前記回収手段は、前記剥離済みシートを保持していないときに、前記剥離用シート供給手段から前記剥離用シートを受け取って保持し、前記連結手段が当該剥離用シートを前記未剥離シートに連結する、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記回収手段に剥離用シート又は剥離済みシートが保持されているか否かを検出可能な検出手段を備える、という構成を採っている。
【0008】
また、剥離用シートの残量を検知する残量検知手段を備える構成としてもよい。
【0009】
更に、本発明は、先行する被着体に貼付された接着シートを剥離して剥離済みシートとし、追行する被着体に貼付された接着シートである未剥離シートに前記剥離済みシートを連結し、前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与することで、当該未剥離シートを剥離するシート剥離方法において、前記接着シートが貼付された被着体を支持する支持する工程と、前記剥離済みシートを前記未剥離シートに連結する工程と、前記剥離済みシートを回収手段で保持する工程と、前記回収手段と接着シートが貼付された被着体とを相対移動させて前記剥離済みシートを介して前記未剥離シートに張力を付与する工程とを備え、前記回収手段に前記剥離済みシートが保持されていないときに、前記回収手段が剥離用シートを受け取って保持する工程と、当該剥離用シートを前記未剥離シートに連結する工程とを備える、という手法を採っている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、剥離用シート供給手段を備えたことで、回収手段に剥離済みシートが保持されていないときに、回収手段が当該剥離済みシートの代用として剥離用シート供給手段から剥離用シートを受け取って保持することができる。従って、シート剥離装置が新規に導入された直後や、全ての剥離済みシートが回収手段から除去された直後であっても、オペレータが他の被着体から接着シートを剥離し、当該剥離した接着シートを回収手段にセットしなければならないといった面倒な準備作業を行う必要がなくなる。
また、剥離用シートを必要とする場合が限定的であるため、剥離用シートを用いた場合のコスト的な負担を極めて小さくできる。
更に、検出手段を含む構成とすれば、剥離済みシートを利用して剥離を行うか、剥離用シートを利用して剥離を行うかを自動的に判断して装置を動作させることができる。
また、残量検知手段を有する構成とすれば、剥離済みシートの代用となる剥離用シートがない又は残り少なくなったときに、回収手段が接着シートの剥離に十分でない長さの剥離用シートを受け取り、当該接着シートを剥離できなくなるといった剥離不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】シート剥離装置の概略側面図。
図2図1のシート剥離装置の動作説明図。
図3図2に続く図1のシート剥離装置の動作説明図。
図4図3に続く図1のシート剥離装置の動作説明図。
図5図4に続く図1のシート剥離装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本実施形態において基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、前、後といった方向を示した場合は、全て図1を正規の方向(付した番号が適切な向きとなる方向)から観た場合を基準とし、上、下、左、右方向が紙面に平行な方向であり、前が紙面に直交する手前方向、後が紙面に直交する奥方向とする。
【0013】
図1図5参照)において、シート剥離装置10は、先行する被着体としてのウエハWFに貼付された接着シートASを剥離して剥離済みシートAS1とし、追行するウエハWFに貼付された接着シートASである未剥離シートAS2に剥離済みシートAS1を連結し、剥離済みシートAS1を介して未剥離シートAS2に張力を付与することで、当該未剥離シートAS2を剥離するものである。
前記シート剥離装置10は、接着シートASが貼付されたウエハWFを支持する支持手段11と、剥離済みシートAS1を未剥離シートAS2に連結する連結手段15と、剥離済みシートAS1を保持可能な回収手段12と、回収手段12と支持手段11とを相対移動させて剥離済みシートAS1を介して未剥離シートAS2に張力を付与する張力付与手段16と、剥離用シートPSを回収手段12に供給可能な剥離用シート供給手段17と、剥離用シートPSを所定の長さで切断する切断手段18と、回収手段12に剥離済みシートAS1が保持されているか否かを検出可能な検出手段19と、未剥離シートAS2の剥離姿勢を維持する剥離姿勢維持手段としてのローラ45と、剥離用シートPSの残量を検知する残量検知手段39とを備えて構成されている。
【0014】
前記支持手段11は、上面が吸着面とされ、図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の吸着手段に接続されることで、接着シートASが貼付されたウエハWFを吸着保持可能な載置面21Aと、載置面21Aの左側にウエハWFに貼付された未剥離接着シートAS2の上面の高さ位置と同等の高さに設けられ、未剥離シートAS2の剥離前端部に対して剥離済みシートAS1の剥離終端部を所定の位置に保持可能な保持手段としてのシート保持面21Bとを備えたテーブル21を含み、当該テーブル21は、張力付与手段16を構成する駆動機器としての直動モータLM1のスライダ22に支持され、回収手段12に対して左右方向に相対移動可能となっている。シート保持面21Aは、その右端縁が接着シートAS又はウエハWFの外周形状に沿う形状に設けられ、図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の吸着手段に接続されることで、剥離済みシートAS1の剥離終端部を吸着保持可能に設けられている。
【0015】
前記連結手段15は、下端部が先尖形状に設けられ、内部に図示しないコイルヒータや赤外線ヒータ等の加熱手段が内蔵されたヒートブロック30と、当該ヒートブロック30を上下方向に移動させる駆動機器としての直動モータLM4とを備えている。なお、ヒートブロック30の下端面形状は、接着シートASの外周形状に沿う形状に設けることが好ましい。
【0016】
前記回収手段12は、駆動機器としての直動モータLM2のスライダ25に支持された回動モータDMと、この回動モータDMの図示しない出力軸に支持された駆動機器としての直動モータLM3と、当該直動モータLM3の一対のスライダ27にそれぞれ支持されて相互に離間接近可能に設けられた一対のチャック29により構成されている。チャック29は、前後方向に延びて接着シートASの直径を超える長さを備えている。
【0017】
前記剥離用シート供給手段17は、図示しない駆動機器を介して上下左右方向に移動可能に設けられたフレーム33に支持されるとともに、剥離用シートPSを繰出可能に支持する支持ローラ35と、コイルばね40によって常時左方向に付勢されてブッシュ36及び軸37を介して左右方向に移動可能に設けられるとともに、上面に凹部38Aを有するシート案内板38とを備えて構成されている。
【0018】
前記切断手段18は、ヒートブロック30に固定された駆動機器としての直動モータLM5のスライダ42に固定されたカッター刃43により構成されている。
【0019】
前記検出手段19は、一方のチャック29の内部に取り付けられた光学センサや接触型センサ等のセンサにより構成され、チャック29間に剥離用シートPS又は剥離済みシートAS1が存在するか否かを判別することで、回収手段12に剥離済みシートAS1が保持されているか否かを検出することが可能となっている。
【0020】
前記残量検知手段39は、支持ローラ35に巻回された剥離用シートPSの残量が少なくなったことを検知する光学センサや撮像手段等の第1残量検知手段39Aと、剥離用シートPSの最終端が通過したことや、剥離用シートPSが切断してしまったことを検知する光学センサや撮像手段等の第2残量検知手段39Bとを備えている。
【0021】
次に、本実施形態におけるシート剥離装置10によるシート剥離方法について、図2ないし図5をも参照しながら説明する。
【0022】
先ず、図1に示されるように剥離用シートPSを剥離用シート供給手段17にセットする。同図中二転鎖線で示される初期位置で停止しているテーブル21に対し、図示しない搬送手段で接着シートAS(未剥離シートAS2)が貼付されたウエハWFを載置すると、支持手段11が図示しない吸着手段を駆動し、ウエハWFの下面側を吸着面で吸着保持する。ウエハWFが吸着面で吸着保持されると、張力付与手段16が直動モータLM1を駆動し、テーブル21を右方向に移動させ、未剥離シートAS2の左上端部をヒートブロック30の左下端部の真下に位置させる。次に、検出手段19がセンサを介してチャック29間に剥離用シートPS又は剥離済みシートAS1が存在するか否かの判別を行う。図1の場合、チャック29間に剥離済みシートAS1が存在しないので、この情報を受けた回収手段12が直動モータLM2を駆動し、図2に示されるように、各チャック29が離間した状態で、下方に位置するチャック29でシート案内板38をコイルばね40の付勢力に抗して移動させ、剥離用シートPSの左端領域をチャック29間に入り込ませる。次いで、回収手段12が直動モータLM3を駆動し、剥離用シートPSをチャック29間に挟み込んだ後、直動モータLM2を駆動し、図3に示されるように、チャック29を左方向に移動させて剥離用シートPSを一定量引き出す。
【0023】
次に、連結手段15が直動モータLM4を駆動し、図3中二転鎖線で示されるように、ヒートブロック30を下降させて剥離用シートPSを未剥離シートAS2の左上端部に押圧し、図示しない加熱手段を駆動し、剥離用シートPSを加熱して未剥離シートAS2に剥離用シートPSを接着する。このとき、カッター刃43が案内板38の凹部38A内に入りこんでいるので、切断手段18が直動モータLM5を駆動し、カッター刃43を前後方向に移動して剥離用シートPSを切断する。この切断後、切断手段18が直動モータLM5を駆動し、カッター刃43を元の位置に戻し、連結手段15が直動モータLM4を駆動し、ヒートブロック30を上昇させる。
【0024】
その後、張力付与手段16が直動モータLM1を駆動し、テーブル21を左方向に移動させ、未剥離シートAS2をウエハWFから剥離する。このとき、張力付与手段16と回収手段12とが直動モータLM1と回動モータDMとを同期駆動し、図4に示されるように、ローラ45を介して当該ローラ45の中心から左側に、所定の剥離角度αθを保った状態で、所定長さLとなる折り返し領域STを常に維持して未剥離シートAS2の剥離を行う。そして、この剥離が完了すると、ウエハWFから剥離された未剥離シートAS2が剥離済みシートAS1として以後の剥離に利用される。その後、張力付与手段16が図5中二転鎖線で示される初期位置でテーブル21を停止させ、未剥離シートAS2が剥離されたウエハWFは、図示しない搬送手段で別工程に搬送される。なお、回収手段12は、図5の二転鎖線で示されるように、回動モータDMで剥離済みシートAS1を全て巻き取らないようにしたり、回動モータDMを剥離済みシートAS1の巻取方向の反対方向に回転させたりすることで、剥離済みシートAS1がチャック29から垂れ下がった状態としておく。
【0025】
その後、再度図示しない搬送手段によって接着シートAS(未剥離シートAS2)が貼付されたウエハWFがテーブル21上に載置されると、上記と同様にして未剥離シートAS2の左上端部をヒートブロック30の左下端部の真下に位置させる。このとき、チャック29から垂れ下がっていた剥離済みシートAS1は、図5の実線で示させるように、未剥離シートAS2上に位置することとなり、剥離済みシートAS1の剥離終端部がテーブル21の上から落下しないように、保持手段が図示しない吸着手段を駆動し、剥離済みシートAS1の剥離終端部を吸着保持する。そして、検出手段19がセンサを介してチャック29間に剥離用シートPS又は剥離済みシートAS1が存在するか否かの判別を行う。今度は、チャック29間に剥離用シートPSが存在するので、この情報を受けた回収手段12は駆動することはなく、連結手段15が直動モータLM4を駆動し、図5に示されるように、ヒートブロック30を下降させて剥離済みシートAS1を未剥離シートAS2の左上端部に押圧し、図示しない加熱手段を駆動し、剥離済みシートAS1を加熱して未剥離シートAS2に剥離済みシートAS1を接着する。この後は上記と同様にして、未剥離シートAS2が剥離され、未剥離シートAS2が剥離されたウエハWFは別工程に搬送される。そして以降上記同様の動作が繰り返される。
【0026】
ここで、未剥離シートAS2の剥離が複数回行われ、チャック29から剥離済みシートAS1を除去するときに、剥離用シートPSが所定の位置にない場合、つまり、第1残量検知手段39Aによって支持ローラ35に巻回された剥離用シートPSの残量が少ないことが検知された場合や、第2残量検知手段39Bによって剥離用シートPSを全て使いきったり、剥離用シートPSが切断してしまったりしたことが検知された場合、直動モータLM3は、各チャック29を離間させることを規制する。これにより、剥離済みシートAS1の代用となる剥離用シートPSがない又は残り少なくなったときに、回収手段12が未剥離シートAS2の剥離に十分でない長さの剥離用シートPSを受け取り、当該未剥離シートAS2を剥離できなくなるといった剥離不良を防止することができる。
【0027】
従って、このような実施形態によれば、剥離済みシートAS1が存在しない場合であっても、剥離用シートPSを剥離済みシートAS1の代用として利用できるので、装置導入初期や、全ての剥離済みシートAS1が回収手段12から除去された後であっても、他のウエハWFから接着シートASを剥離し、当該剥離された接着シートASを回収手段12にセットしなければならないといった面倒な準備作業を行わなくてよくなる。
【0028】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0029】
例えば、支持手段11を移動させることなく回動モータDMを回動させてローラ45を移動させたり、回動モータDMを回動させることなくローラ45と支持手段11とを移動させたりすることで、剥離済みシートAS1を介して未剥離シートS2に張力を付与するようにしてもよい。ローラ45はなくてもよいし、回動モータDMを回動させることなくチャック29と支持手段11との少なくとも一方を移動させ、これらチャック29と支持手段11とを相対的に離間させて未剥離シートS2に張力を付与するようにしてもよい。
【0030】
また、連結手段15は、剥離済みシートAS1又は剥離用シートPSを未剥離シートAS2に連結できる構成であれば何ら限定されることはなく、例えば、赤外線、マイクロ波、超音波等によってそれらを連結する構成としたり、両面接着シート、液体の接着剤、片面接着シート等によってそれらを連結する構成としたりすることができる。
更に、連結手段15は、剥離済みシートAS1の接着剤によって未剥離シートAS2に連結できる構成としてもよい。この場合、剥離済みシートAS1の接着剤の接着力が低下していることが考えられるので、当該接着剤を加熱したり、未剥離シートAS2の被着面にプライマを塗布したりすることで、剥離済みシートAS1の接着剤の接着力を向上させるようにしてもよい。
また、検出手段19は、回収手段12に剥離済みシートAS1が保持されているか否かを検出できるものであれば特に限定されるものでなく、チャック29の両側に設けてもよいし、チャック29の外側で剥離済み接着シートAS1を検出するようにしたり、剥離済み接着シートAS1の垂れ下がりを検出する光学センサやカメラ等の撮像手段を用いたりしてもよい。
また、保持手段は、剥離済みシートAS1の剥離終端部を保持できればよく、吸着手段以外にメカチャック等を採用し、剥離済みシートAS1の剥離終端部を把持する構成としてもよい。
更に、支持手段11は、ウエハWFを保持できればよく、吸着手段以外にメカチャック等を採用し、ウエハWFを把持する構成としてもよい。
【0031】
さらに、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエタ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0032】
また、剥離用シートPSは、帯状の剥離用シートを切断する構成以外に、予め枚葉タイプの剥離用シートを供給する構成でもよい。更に、帯状の剥離用シートPSを切断することなく接着シートASを剥離する構成でもよい。また、剥離用シートPSは感熱接着性の接着シートや感圧接着性の接着シートを使用することができる。
【0033】
更に、本発明における被着体および接着シートASの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、接着シートASは、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するものや、基材シートの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートを接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、このような両面接着シートとしては、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。更に、被着体が適宜な物品(例えば、食品や樹脂容器等)であって、接着シートASがラベルであってもよく、被着体が半導体ウエハであって、接着シートASが保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。この際、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等が例示でき、このような半導体ウエハに貼付する接着シートASは、それらに限らず、任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体が光ディスクの基板であって、接着シートSが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体としては、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、その他の板状部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【符号の説明】
【0034】
10 シート剥離装置
11 支持手段
12 回収手段
15 連結手段
16 張力付与手段
17 剥離用シート供給手段
18 切断手段
19 検出手段
AS 接着シート(接着シート)
AS1 剥離済みシート
AS2 未剥離シート
PS 剥離用シート
WF 半導体ウエハ(被着体)
図1
図2
図3
図4
図5