(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1導体層で構成されて電圧測定装置の基準電位に接続される第1シールド電極と、前記第1導体層に対して絶縁された状態で当該第1導体層の上に形成された第2導体層で構成されて前記電圧測定装置の電圧測定部に接続される検出電極とを備えた電圧測定用センサであって、
前記第2導体層に対して絶縁された状態で当該第2導体層の上に形成された第3導体層で構成され、かつ前記検出電極に対向する領域の少なくとも一部に当該検出電極による電圧検出を許容する非導体部が設けられると共に前記基準電位に接続される第2シールド電極と、前記第1導体層および前記第3導体層の間に前記第2導体層と同層に形成された第4導体層で構成されて前記検出電極に接続された接続用導体と、前記第2導体層および前記第4導体層に対して絶縁された状態で前記検出電極および前記接続用導体を囲むようにして当該第2導体層および当該第4導体層と同層に形成された第5導体層で構成されて前記基準電位に接続される第3シールド電極を備えている電圧測定用センサ。
前記検出電極は、予め規定された測定位置に位置させられた測定対象導線に対向させられる第1電圧検出部と、当該第1電圧検出部から延出するように当該第1電圧検出部を挟んで配置されて前記測定位置から線幅方向に位置ずれした前記測定対象導線に対向させられる一対の第2電圧検出部とを備えている請求項1記載の電圧測定用センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の電圧センサには、以下の解決すべき問題点がある。すなわち、従来の電圧センサでは、表面基板層を挟んで対向配置された表面導電層および第1導電層をセンサ電極およびシールド電極として使用することでプリント配線板の一面側をセンサ面とし、かつ他面側をシールド面として機能させる構成が採用されている。これにより、この電圧センサでは、センサ電極に対するシールド面側からの外乱の影響を軽減することが可能となっている。しかしながら、従来の電圧センサでは、センサ電極による電圧検出を可能とするために、センサ電極よりも上方(すなわち、電圧センサにおけるセンサ面側)にシールド電極が存在しない構成となっている。このため、従来の電圧センサでは、センサ面側からの外乱の影響を受け易いという問題点がある。
【0005】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、外乱の影響を十分に軽減して高精度で電圧を測定し得る電圧測定用センサおよび電圧測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電圧測定用センサは、第1導体層で構成されて電圧測定装置の基準電位に接続される第1シールド電極と、前記第1導体層に対して絶縁された状態で当該第1導体層の上に形成された第2導体層で構成されて前記電圧測定装置の電圧測定部に接続される検出電極とを備えた電圧測定用センサであって、前記第2導体層に対して絶縁された状態で当該第2導体層の上に形成された第3導体層で構成され、かつ前記検出電極に対向する領域の少なくとも一部に当該検出電極による電圧検出を許容する非導体部が設けられると共に前記基準電位に接続される第2シールド電極
と、前記第1導体層および前記第3導体層の間に前記第2導体層と同層に形成された第4導体層で構成されて前記検出電極に接続された接続用導体と、前記第2導体層および前記第4導体層に対して絶縁された状態で前記検出電極および前記接続用導体を囲むようにして当該第2導体層および当該第4導体層と同層に形成された第5導体層で構成されて前記基準電位に接続される第3シールド電極とを備えている。
【0009】
また、請求項
2記載の電圧測定用センサは、請求項
1記載の電圧測定用センサにおいて、前記検出電極は、予め規定された測定位置に位置させられた測定対象導線に対向させられる第1電圧検出部と、当該第1電圧検出部から延出するように当該第1電圧検出部を挟んで配置されて前記測定位置から線幅方向に位置ずれした前記測定対象導線に対向させられる一対の第2電圧検出部とを備えている。
【0010】
さらに、請求項
3記載の電圧測定用センサは、請求項
2記載の電圧測定用センサにおいて、前記第1電圧検出部は、前記測定位置に位置させられた前記測定対象導線の線長方向に沿った長さが線幅方向に沿った長さよりも長く規定され、前記各第2電圧検出部は、前記位置ずれした測定対象導線の線長方向に沿った長さが前記第1電圧検出部における前記線長方向に沿った長さよりも短く規定されると共に各々の面積が当該第1電圧検出部の面積よりも小さい面積となるように形成されている。
【0011】
また、請求項
4記載の電圧測定装置は、請求項1から
3のいずれかに記載の電圧測定用センサを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の電圧測定用センサによれば、検出電極を構成する第2導体層の上に形成した第3導体層で構成し、かつ検出電極に対向する領域の少なくとも一部に非導体部を設けた第2シールド電極を備えたことにより、検出電極の上方、すなわち、電圧測定用センサの上方からの外乱の影響を十分に軽減して電圧の測定精度を向上させることができる。
【0013】
ま
た、第1導体層および第3導体層の間に形成した第4導体層で構成した接続用導体を備えたことにより、接続用導体へのノイズの混入を好適に回避することができるため、電圧の測定精度を一層向上させることができる。
【0014】
さら
に、検出用電極および接続用導体を囲むようにして第2導体層および第4導体層と同層に形成した第5導体層で構成した第3シールド電極を備えたことにより、検出電極の側方、すなわち、電圧測定用センサの側方からの外乱の影響を十分に軽減することができると共に、接続用導体へのノイズの混入を一層好適に回避することができるため、電圧の測定精度をさらに向上させることができる。
【0015】
また、請求項
2記載の電圧測定用センサによれば、測定位置に位置させられた測定対象導線と対向させられる第1電圧検出部と、測定位置から線幅方向に位置ずれした測定対象導線と対向させられる一対の第2電圧検出部とを備えて検出電極を構成したことにより、測定対象導線が測定位置に位置しているときには、電圧の検出感度を十分に向上させることができ、しかも、測定対象導線が測定位置から位置ずれしたとしても、その電圧を検出することができる。
【0016】
さらに、請求項
3記載の電圧測定用センサによれば、各第2電圧検出部を短尺にして第1電圧検出部よりもそれぞれ小さい面積となるように形成したことにより、検出電極を過剰に大きく(広く)することで外乱の影響を受け易くなる状態を招くことなく、好適に電圧を検出することができる。
【0017】
また、請求項
4記載の電圧測定装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の電圧測定用センサを備えたことにより、外乱の影響を十分に軽減して電圧の測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電圧測定用センサおよび電圧測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示す非接触電圧測定装置1は、「電圧測定装置」の一例であって、装置本体2およびセンサ部3が信号ケーブル4によって相互に接続されて構成されている。この場合、センサ部3は、
図5に示すように、測定対象導線X(測定対象)を挟み込むようにしてホールドした状態において測定対象導線Xの交流電圧の電位を測定対象導線Xに対して非接触で検出するためのセンサであって、
図2,5に示すように、ケーシング21および電圧測定用センサ基板30を備えて構成されている。
【0021】
ケーシング21は、電圧測定用センサ基板30を収容可能に非導電性樹脂材料で成形されたセンサ基板収容部22と、非導電性樹脂材料で成形されると共に回動軸24を介してセンサ基板収容部22に対して矢印Dの向き(センサ基板収容部22に対して接離する向き)で回動可能に軸支された測定対象導線押付け部23とを備えている。この場合、
図5に示すように、このセンサ部3では、センサ基板収容部22の内面と電圧測定用センサ基板30の表面との間に、導電性樹脂材料を発泡させて形成した導電性スポンジ25が配設されている。この場合、上記の導電性スポンジ25に代えて、非導電性樹脂材料を発泡させた発泡樹脂(スポンジ)の表面に、カーボンを塗布したり、導電性金属材料を蒸着させたりすることで導電性を付与したものを配設することもできる。また、導電性スポンジ25などの発泡樹脂(スポンジ)に代えて、導電性を有する非発泡性樹脂や、炭素繊維などを配設することもできる。
【0022】
また、電圧測定用センサ基板30は、「電圧測定用センサ」の一例であって、
図1に示すように、検出電極31およびシールド電極32を備えると共に、検出電極31による電圧検出を許容する開口部34(「非導体部」の一例)が設けられている。なお、同図では、電圧測定用センサ基板30に関し、
図3,4におけるC−C線断面を図示している。この電圧測定用センサ基板30は、
図3,4に示すように、検出電極31および接続用導体33a(
図1参照)を構成する検出電極用導体層41、「第1シールド電極」を構成する第1シールド電極用導体層51、「第2シールド電極」を構成する第2シールド電極用導体層52、「第3シールド電極」を構成する第3シールド電極用導体層53、検出電極用導体層41と第1シールド電極用導体層51とを相互に絶縁する第1絶縁層61、および検出電極用導体層41と第3シールド電極用導体層53とを相互に絶縁する第2絶縁層62の各層が公知の多層基板製造プロセスに従って形成されて、第2シールド電極用導体層52側の面をセンサ面として使用して電圧を検出するように構成
されている。
【0023】
この場合、本例の電圧測定用センサ基板30では、第1シールド電極用導体層51が「第1導体層」に相当し、検出電極用導体層41が「第2導体層」および「第4導体層」に相当し、第2シールド電極用導体層52が「第3導体層」に相当し、第3シールド電極用導体層53が「第5導体層」に相当する。なお、各導体層41,51〜53は、一例として、銅やアルミニウム等の高導電性金属材料で薄膜状に形成されている。
【0024】
また、
図3に示すように、本例の電圧測定用センサ基板30では、「第2導体層」を構成する検出電極用導体層41が、第1絶縁層61を挟んで第1シールド電極用導体層51の上に形成されると共に、一例として、この検出電極用導体層41の一部が「第4導体層」として機能して、検出電極31を装置本体2に接続するための接続用導体33a(
図1参照)が形成されている。さらに、
図4に示すように、第1シールド電極用導体層51、第2シールド電極用導体層52および第3シールド電極用導体層53は、ビア54によって相互に接続されており、各導体層51〜53およびビア54によって上記のシールド電極32が構成されている。この場合、本例の電圧測定用センサ基板30では、一例として、「第3シールド電極」を構成する第3シールド電極用導体層53の一部によって、上記のシールド電極32を装置本体2に接続するための接続用導体33b(
図1参照)が形成されている。
【0025】
また、
図3,4に示すように、本例の電圧測定用センサ基板30では、検出電極31を構成する検出電極用導体層41の上(検出電極31よりも上方)に第2絶縁層62を挟んで検出電極用導体層41に対して絶縁された状態で第2シールド電極用導体層52が形成されて「第2シールド電極」が構成されている。この場合、本例の電圧測定用センサ基板30では、第2シールド電極用導体層52における検出電極31と対向する部位、および第2絶縁層62における検出電極31と対向する部位に、検出電極31よりも僅かに小さい開口部34(平面視十字形の開口部)が設けられて、検出電極31による電圧検出が許容されている。なお、「非導体部」としての開口部34については、検出電極31と同じ大きさに形成することもできるし、検出電極31とは相違する平面視形状で検出電極31よりも小さく形成することもできる。
【0026】
さらに、
図3,4に示すように、本例の電圧測定用センサ基板30では、検出電極31および接続用導体33aを囲むようにして検出電極用導体層41と同層に第3シールド電極用導体層53が形成されて「第3シールド電極」が構成されている。この場合、検出電極用導体層41および第3シールド電極用導体層53は、絶縁材64によって相互に絶縁されている。
【0027】
また、
図6に示すように、本例の電圧測定用センサ基板30では、予め規定された「測定位置」に位置させられた測定対象導線X(この例では、実線で示す測定対象導線X)に対向する部位である第1電圧検出部31aと、第1電圧検出部31aから延出するように第1電圧検出部31aを挟んで配置されて「測定位置」から線幅方向(この例では、
図5,6における矢印E1,E2の向き)に位置ずれした測定対象導線X(この例では、
図6において一点鎖線で示す測定対象導線Xおよび二点鎖線で示す測定対象導線X)に対向する部位である一対の第2電圧検出部31bとを備えて検出電極31が平面視十字形に形成されている。なお、
図5,6では、シールド電極32についての図示を省略している。
【0028】
この場合、第1電圧検出部31aは、上記の「測定位置」に位置させられた測定対象導線Xの線長方向(この例では、
図6における左右方向)に沿った長さが線幅方向(同図における上下方向)に沿った長さよりも長く規定されている。また、第2電圧検出部31bは、測定対象導線Xの線長方向に沿った長さが第1電圧検出部31aにおける線長方向に沿った長さよりも短く規定されると共に、各々の面積が第1電圧検出部31aの面積よりも小さい面積となるように形成されている。
【0029】
一方、
図1に示すように、装置本体2は、基準電圧生成部11、電流電圧変換部12、操作部13、表示部14および制御部15を備え、センサ部3を介して測定対象導線Xの交流電圧の電圧値を測定可能に構成されている。基準電圧生成部11は、制御部15の制御に従って基準電圧(本例では、測定対象導線Xの交流電圧との電位差が小さくなるように変動する電圧)を生成し、生成した基準電圧をシールド電極32および電流電圧変換部12に供給する。これにより、本例の非接触電圧測定装置1では、シールド電極32が「ガード電極」として機能して測定対象導線Xとほぼ等しい電位に維持される。なお、本例では、基準電圧を生成する基準電圧生成部11にシールド電極32が接続されている状態が「電圧測定装置の基準電位に接続される」との状態に相当する。また、基準電圧生成部11は、図示しない電圧計を備え、シールド電極32に供給している基準電圧の電圧値を測定して制御部15に出力する。
【0030】
電流電圧変換部12は、基準電圧生成部11および制御部15と相まって「電圧測定部」を構成する。この電流電圧変換部12は、測定対象導線Xの交流電圧と電圧測定用センサ基板30におけるシールド電極32の電圧(基準電圧)との電位差に起因して、この電位差に応じた電流値で測定対象導線Xと検出電極31との間に流れる検出電流(以下、「電流信号」ともいう)を検出電圧信号に変換して制御部15に出力する。操作部13は、測定条件を設定操作するための操作スイッチや、測定開始/停止を指示するための各種操作スイッチ(図示せず)を備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部15に出力する。表示部14は、制御部15によって測定された(つまり基準電圧生成部11の電圧計によって測定された)電圧値(測定結果)を表示する。
【0031】
制御部15は、非接触電圧測定装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部15は、基準電圧生成部11を制御して、測定対象導線Xの電位の変化に応じた基準電圧を逐次生成させる。また、制御部15は、基準電圧生成部11(電圧計)を制御してシールド電極32に供給させている基準電圧の電圧値を測定させると共に、基準電圧生成部11(電圧計)から出力された電圧値を測定結果として表示部14に表示させる。
【0032】
この非接触電圧測定装置1による電圧測定処理に際しては、
図5に示すように、まず、センサ部3のケーシング21におけるセンサ基板収容部22および測定対象導線押付け部23の間に挟み込むようにして測定対象導線Xを測定位置に位置させる。この場合、本例の非接触電圧測定装置1では、同図に破線で示すように、「測定位置」を示す位置合わせマーク(一例として、三角形のマーク)がセンサ基板収容部22および測定対象導線押付け部23の外側面にそれぞれ記されている。したがって、位置合わせマークによって示されている位置に測定対象導線Xを位置させることで、測定対象導線Xが「測定位置」に位置した状態となる。この際には、電圧測定用センサ基板30の検出電極31と測定対象導線Xとの間に静電容量が形成される。
【0033】
次いで、操作部13の測定開始スイッチが操作されたときに、制御部15は、電圧測定処理を開始する。具体的には、制御部15は、まず、基準電圧生成部11を制御して、測定対象導線Xの交流電圧との電位差が小さくなるように変動する基準電圧を生成させる。これにより、生成された基準電圧が信号ケーブル4を介してセンサ部3(電圧測定用センサ基板30)のシールド電極32に供給される。また、制御部15は、電流電圧変換部12を制御して、電流信号を検出電圧信号に変換する処理を実行させる。
【0034】
この場合、測定対象導線Xの交流電圧の上昇に起因して、交流電圧とシールド電極32の電圧(基準電圧生成部11から供給されている基準電圧)との電位差が増加しているときには、測定対象導線Xから検出電極31を介して電流電圧変換部12に流れ込む(流入する)電流信号の電流量が増加する。この際に、電流電圧変換部12は、制御部15に出力している検出電圧信号の電圧値を低下させる。これに伴い、制御部15は、基準電圧生成部11を制御して生成している基準電圧の電圧値を上昇させる。これにより、シールド電極32の電圧が測定対象導線Xの交流電圧に追従させられる。なお、電流電圧変換部12が検出電圧信号の電圧値を上昇させて、制御部15が、基準電圧生成部11を制御して基準電圧の電圧値を上昇させる構成を採用することもできる。
【0035】
また、測定対象導線Xの交流電圧の低下に起因して、交流電圧とシールド電極32の電圧との電位差が増加しているときには、検出電極31を介して電流電圧変換部12から測定対象導線Xに流れ出る(流出する)電流信号の電流量が増加する。この際に、電流電圧変換部12は、制御部15に出力している検出電圧信号の電圧値を上昇させる。これに伴い、制御部15は、基準電圧生成部11を制御して生成している基準電圧の電圧値を低下させる。これにより、シールド電極32の電圧が測定対象導線Xの交流電圧に追従させられる。したがって、シールド電極32等に供給している基準電圧の電圧値を基準電圧生成部11の電圧計によって測定することにより、測定対象導線Xに対して非接触で測定対象導線Xの交流電圧と同じ電圧値を測定することが可能となる。これにより、測定対象導線Xの電圧値が表示部14に表示される。なお、上記の動作において、電流電圧変換部12が検出電圧信号の電圧値を低下させて、制御部15が、基準電圧生成部11を制御して基準電圧の電圧値を低下させる構成を採用することもできる。
【0036】
この場合、この非接触電圧測定装置1におけるセンサ部3の電圧測定用センサ基板30では、検出電極31の裏面側に「第1シールド電極」を構成する第1シールド電極用導体層51が形成されている。したがって、この電圧測定用センサ基板30では、従来の電圧センサと同様にして、上記の測定処理時において、検出電極31の裏面側(すなわち、電圧測定用センサ基板30の裏面側)からの外乱による影響を受け難くなっている。また、この電圧測定用センサ基板30では、検出電極31を構成する検出電極用導体層41よりも上方に「第2シールド電極」を構成する第2シールド電極用導体層52が形成されている。したがって、この電圧測定用センサ基板30では、従来の電圧センサとは異なり、上記の測定処理時において、開口部34を介して電圧を検出を可能としつつ、検出電極31の上方側(すなわち、電圧測定用センサ基板30の上方側)からの外乱による影響を受け難くなっている。
【0037】
さらに、この電圧測定用センサ基板30では、検出電極31および接続用導体33aを構成する検出電極用導体層41が第1シールド電極用導体層51と第2シールド電極用導体層52との間に形成されている。また、この電圧測定用センサ基板30では、検出電極31および接続用導体33aを囲むようにして、「第3シールド電極」を構成する第3シールド電極用導体層53が形成されている。したがって、この電圧測定用センサ基板30では、従来の電圧センサとは異なり、検出電極31の側方側(すなわち、電圧測定用センサ基板30の側方側)からの外乱による影響を受け難くなっており、しかも、接続用導体33aへのノイズの混入量が十分に少なくなっている。これにより、この電圧測定用センサ基板30を備えたセンサ部3を介して測定対象導線Xの電圧を測定する非接触電圧測定装置1では、外乱の影響を殆ど受けることなく、測定対象導線Xの交流電圧を高精度で測定することが可能となっている。
【0038】
また、前述したように、この非接触電圧測定装置1の電圧測定用センサ基板30では、「測定位置」に位置させられた測定対象導線Xに対向させられる第1電圧検出部31aにおける測定対象導線Xの線長方向に沿った長さが線幅方向に沿った長さよりも長く規定されて検出電極31が構成されている。したがって、
図6に実線で示すように、測定対象導線Xが「測定位置」に正しく位置させられた状態では、検出電極31における十分に広い領域(第1電圧検出部31a)が測定対象導線Xに対向した状態となり、高精度な測定処理を実施することが可能となっている。
【0039】
一方、前述したように、この非接触電圧測定装置1の電圧測定用センサ基板30では、第1電圧検出部31aを挟んで一対の第2電圧検出部31bが形成されて検出電極31が構成されている。したがって、
図5,6に示す矢印E1の向きで測定対象導線Xが「測定位置」から位置ずれして、
図6に一点鎖線で示す位置に位置した状態となったときや、
図5,6に示す矢印E2の向きで測定対象導線Xが「測定位置」から位置ずれして、
図6に二点鎖線で示す位置に位置した状態となったときにも、一対の第2電圧検出部31bのうちのいずれかが測定対象導線Xに対向した状態となる。
【0040】
この場合、検出電極31を一層大きく(広く)形成することで、測定対象導線Xが「測定位置」から位置ずれしたとしても、その検出電極31のいずれかの部位を測定対象導線Xに対向させることが可能となる。しかしながら、検出電極31を過剰に大きく(広く)形成した場合には、外乱の影響を受け易くなり、高精度な測定処理が困難となるおそれがある。
【0041】
これに対して、この電圧測定用センサ基板30では、測定対象導線Xが「測定位置」に位置させられた際には必要のない第2電圧検出部31bを第1電圧検出部31aよりも小さい面積とすることで、検出電極31全体としての面積が過剰に広くなる事態を回避して外乱の影響を受け難くすると共に、「測定位置」に位置させられた測定対象導線Xに対向する第1電圧検出部31aを十分に大きく(広く)して検出感度を向上させ、かつ、測定対象導線Xが「測定位置」から位置ずれしたとしても、両第2電圧検出部31bのいずれかを介して測定対象導線Xの交流電圧を検出することが可能となっている。
【0042】
このように、この電圧測定用センサ基板30によれば、検出電極31を構成する検出電極用導体層41の上に形成した第2シールド電極用導体層52で構成し、かつ検出電極31に対向する領域の少なくとも一部に開口部34を設けた「第2シールド電極」を備えたことにより、検出電極31の上方、すなわち、電圧測定用センサ基板30の上方からの外乱の影響を十分に軽減して電圧の測定精度を向上させることができる。
【0043】
また、この電圧測定用センサ基板30によれば、第1シールド電極用導体層51および第2シールド電極用導体層52の間に形成した検出電極用導体層41の一部で構成した接続用導体33aを備えたことにより、接続用導体33aへのノイズの混入を好適に回避することができるため、電圧の測定精度を一層向上させることができる。
【0044】
さらに、この電圧測定用センサ基板30によれば、検出電極31および接続用導体33aを囲むようにして検出電極用導体層41と同層に形成した第3シールド電極用導体層53で構成した「第3シールド電極」を備えたことにより、検出電極31の側方、すなわち、電圧測定用センサ基板30の側方からの外乱の影響を十分に軽減することができると共に、接続用導体33aへのノイズの混入を一層好適に回避することができるため、電圧の測定精度をさらに向上させることができる。
【0045】
また、この電圧測定用センサ基板30によれば、「測定位置」に位置させられた測定対象導線Xに対向させられる第1電圧検出部31aと、「測定位置」から線幅方向に位置ずれした測定対象導線Xに対向させられる一対の第2電圧検出部31bとを備えて検出電極31を構成したことにより、測定対象導線Xが「測定位置」に位置しているときには、電圧の検出感度を十分に向上させることができ、しかも、測定対象導線Xが「測定位置」から位置ずれしたとしても、その電圧を検出することができる。
【0046】
さらに、この電圧測定用センサ基板30によれば、各第2電圧検出部31bを短尺にして第1電圧検出部31aよりもそれぞれ小さい面積となるように形成したことにより、「検出電極」を過剰に大きく(広く)することで外乱の影響を受け易くなる状態を招くことなく、好適に電圧を検出することができる。
【0047】
また、この非接触電圧測定装置1によれば、電圧測定用センサ基板30を備えたことにより、外乱の影響を十分に軽減して電圧の測定精度を向上させることができる。
【0048】
な
お、平面視十字形の検出電極31、および平面視形状が検出電極31と同形の開口部34を有する電圧測定用センサ基板30を例に挙げて説明したが、「検出電極」や「非導電部」の平面形状は十字形に限定されない。具体的には、一例として、
図7に示す電圧測定用センサ基板70における検出電極71、および開口部74(「非導電部」の他の一例)のように、平面視楕円形とすることができる。
【0049】
この検出電極71は、「測定位置」に位置させられた測定対象導線Xの線長方向(この例では、同図における左右方向)に沿った長さが線幅方向(同図における上下方向)に沿った長さよりも長く規定されている。このため、測定対象導線Xが「測定位置」に位置させられた際の検出感度を十分に向上させつつ、「検出電極」が過剰に大きく(広く)形成されることで外乱の影響を受け易くなる事態を回避することが可能となっている。
【0050】
なお、この電圧測定用センサ基板70におけるシールド電極72は、一例として、上記の電圧測定用センサ基板30における「第1シールド電極(第1シールド電極用導体層51)と同様に構成された「第1シールド電極」、電圧測定用センサ基板30における「第2シールド電極(第2シールド電極用導体層52)」と同様に構成された「第2シールド電極」、および電圧測定用センサ基板30における「第3シールド電極(第3シールド電極用導体層53)」と同様に構成された「第3シールド電極」を備えて構成されている。したがって、この電圧測定用センサ基板70においても、上記の電圧測定用センサ基板30と同様の効果を奏することができる。
【0051】
また、「検出電極」を構成する検出電極用導体層41の一部で接続用導体33aを構成した電圧測定用センサ基板30を例に挙げて説明したが、「検出電極」と「接続用導体」とを別層に形成することもできる。具体的には、一例として、
図8に示す電圧測定用センサ基板80のように、接続用導体33aを構成する接続用導体層42(「第4導体層」の他の一例)を、「第1シールド電極」を構成する第1シールド電極用導体層51と同層に形成すると共に検出電極31および接続用導体33aをビア43によって相互に接続する構成を採用することができる。なお、同図、および後に参照する
図9において前述した電圧測定用センサ基板30と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
この場合、電圧測定用センサ基板80では、接続用導体33aを構成する接続用導体層42と「第1シールド電極」を構成する第1シールド電極用導体層51とが絶縁材65によって相互に絶縁されると共に、シールド電極32を装置本体2に接続するための接続用導体33bが、一例として、「第3シールド電極」を構成する第3シールド電極用導体層53の一部で構成されている。このような構成を採用した電圧測定用センサ基板80においても、前述した電圧測定用センサ基板30と同様の効果を奏することができる。なお、上記の電圧測定用センサ基板80の構成に代えて、接続用導体層42を第2シールド電極用導体層52と同層に形成して接続用導体33aを構成することもできる(図示せず)。
【0053】
さらに、検出電極31を構成する検出電極用導体層41の周囲に第3シールド電極用導体層53で構成した「第3シールド電極」を備えた電圧測定用センサ基板30,70,80を例に挙げて説明したが、
図9に示す電圧測定用センサ基板90のように、電圧測定用センサ基板30,70,80における第3シールド電極用導体層53に代えて、検出電極用導体層41等を囲むようにして第3絶縁層63を設けてもよい。この場合、電圧測定用センサ基板90では、第1シールド電極用導体層51と第2シールド電極用導体層52とが相まってシールド電極92が構成されている。
【0054】
また、「第2シールド電極」を構成する第2シールド電極用導体層52における検出電極31と対向する部位に開口部34を設けた電圧測定用センサ基板30を例(「非導電部」を「空気」で構成した例)に挙げて説明したが、このような構成に代えて、開口部34に非導電体(例えば、非導電性樹脂材料)を充填することもできる。さらに、基準電圧生成部11によって生成した基準電圧をシールド電極32に供給することでシールド電極32を「カード電極」として機能させる構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、シールド電極32をグランド電位に接続する構成(「電圧測定装置の基準電位に接続される」との状態の他の一例:図示せず)を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、外乱の影響を十分に軽減することができる。