特許第5981273号(P5981273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981273
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A61B6/03 340Z
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-190480(P2012-190480)
(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-45896(P2014-45896A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】松田 圭史
(72)【発明者】
【氏名】南部 修也
(72)【発明者】
【氏名】西島 輝
(72)【発明者】
【氏名】磯 真知子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 篤
(72)【発明者】
【氏名】金丸 俊
(72)【発明者】
【氏名】梅原 隆哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 道人
(72)【発明者】
【氏名】佐郷 朋英
【審査官】 田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−120534(JP,A)
【文献】 特開2006−15050(JP,A)
【文献】 特表2006−503631(JP,A)
【文献】 特開2012−130656(JP,A)
【文献】 特開平11−206751(JP,A)
【文献】 特開昭61−029340(JP,A)
【文献】 特開平10−24031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部から発生され、被検体を透過したX線を検出して検出信号が読み出される複数のX線検出素子を、前記被検体の体軸に直交するチャンネル方向と前記被検体の体軸に沿った列方向とに格子状に配列したX線検出器と、
前記複数のX線検出素子に個別に接続された一端をもつ複数の第1読出スイッチと、
前記列方向に沿って前記複数の第1読出スイッチの他端に個別に接続された複数の第1読出ラインと、
前記複数のX線検出素子のうち、所定の各X線検出素子に個別に接続された一端をもつ複数の第2読出スイッチと、
前記列方向に沿って前記複数の第2読出スイッチの他端に個別に接続された複数の第2読出ラインと、
前記各第1読出ライン及び前記各第2読出ラインから個別に読み出された検出信号を収集し、当該収集した検出信号を個別にデジタルデータに変換して当該デジタルデータを出力する複数のデータ収集回路を有するデータ収集部と、
前記出力されたデジタルデータに基づいて医用画像を再構成する再構成部と、
前記医用画像を第1モードで再構成する場合には、前記複数のX線検出素子に接続される前記各第1読出ラインと前記各データ収集回路とを接続し、前記医用画像を第2モードで再構成する場合には、前記所定の各X線検出素子に接続される前記各第1読出ライン及び前記各第2読出ラインと前記各データ収集回路とを接続し且つ前記所定の各X線検出素子以外の各X線検出素子に接続される前記各第1読出ラインと前記各データ収集回路とを接続する接続切換部と、
前記第1モードで再構成する場合には、前記各第2読出スイッチをオフ状態に制御し且つ前記各第1読出スイッチを個別にオン状態又はオフ状態に制御し、前記第2モードで再構成する場合には、前記各第1読出スイッチ及び前記各第2読出スイッチを個別にオン状態又はオフ状態に制御する読出制御部と、
を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記読出制御部は、前記各第1読出スイッチ及び前記各第2読出スイッチのうち、同一の前記X線検出素子に接続された第1読出スイッチ及び第2読出スイッチを同時期にオン状態にしないように前記制御を実行することを特徴とする請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記読出制御部は、前記所定の各X線検出素子に接続された第1読出スイッチ及び第2読出スイッチの各々を制御する周期に比べ、前記所定の各X線検出素子以外の各X線検出素子に接続された第1スイッチを長い周期で制御することを特徴とする請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記所定の各X線検出素子は、前記X線検出器のチャンネル方向における中央領域と、前記X線検出器の列方向における全領域とに格子状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記所定の各X線検出素子は、前記X線検出器のチャンネル方向における全領域と、前記X線検出器の列方向における中央領域とに格子状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記所定の各X線検出素子は、前記X線検出器のチャンネル方向における全領域と、前記列方向における所定間隔毎の領域とに格子状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記所定の各X線検出素子は、前記X線検出器のチャンネル方向における所定間隔毎の領域と、前記列方向における全領域とに格子状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置(Computed tomography:以下、X線CT装置と呼ぶ)においては、X線管とX線検出器とのペアを被検体の周りを回転させながら、被検体を透過したX線をX線検出器内の複数のX線検出素子により検出する。なお、各X線検出素子は、被検体の体軸に直交するチャンネル方向と被検体の体軸に沿った列方向とに格子状に配列されている。
【0003】
検出されたアナログ量の検出信号は、逐次、列毎に切り替えられるスイッチを介してチャンネル毎の読出ラインからデータ収集部(DAS)に読み出される。なお、このような読み出し方法を逐次収集方式と呼ぶ。
【0004】
データ収集部(DAS)では、複数のX線検出素子毎に設けられたデータ収集回路が、各X線検出素子から収集した検出信号を増幅した後にデジタルデータに変換し、このデジタルデータを再構成部に送出する。
【0005】
再構成部は、送出された検出データに基づいて、被検体に関する画像を再構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−34313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のようなX線CT装置では、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、データ収集回路上の制約などにより、検出信号の収集速度(View Rate)の上限が決まってしまう不都合がある。例えば、上限よりも高い収集速度を必要とする高速kvスイッチングなどのアプリケーションの搭載が困難となってしまう。
【0008】
なお、この不都合を解消する観点から、データ収集回路を増やして収集速度を向上させる方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、この方法はサイズやコストを上昇させるので、好ましくない。すなわち、逐次収集方式でデータ収集回路を増やすことなく、収集速度を向上させることが望ましい。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、逐次収集方式でデータ収集回路を増やすことなく、収集速度を向上し得るX線コンピュータ断層撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のX線コンピュータ断層撮影装置は、X線発生部、X線検出器、複数の第1読出スイッチ、複数の第1読出ライン、複数の第2読出スイッチ、複数の第2読出ライン、データ収集部、再構成部、接続切換部及び読出制御部を具備している。
【0012】
前記X線発生部は、X線を発生する。
【0013】
前記X線検出器は、前記X線発生部から発生され、被検体を透過したX線を検出して検出信号が読み出される複数のX線検出素子を、前記被検体の体軸に直交するチャンネル方向と前記被検体の体軸に沿った列方向とに格子状に配列してなる。
【0014】
前記複数の第1読出スイッチは、前記複数のX線検出素子に個別に接続された一端をもっている。
【0015】
前記複数の第1読出ラインは、前記列方向に沿って前記複数の第1読出スイッチの他端に個別に接続されている。
【0016】
前記複数の第2読出スイッチは、前記複数のX線検出素子のうち、所定の各X線検出素子に個別に接続された一端をもっている。
【0017】
前記複数の第2読出ラインは、前記列方向に沿って前記複数の第2読出スイッチの他端に個別に接続されている。
【0018】
前記データ収集部は、複数のデータ収集回路を有する。
【0019】
前記複数のデータ収集回路は、前記各第1読出ライン及び前記各第2読出ラインから個別に読み出された検出信号を収集し、当該収集した検出信号を個別にデジタルデータに変換して当該デジタルデータを出力する。
【0020】
前記再構成部は、前記出力されたデジタルデータに基づいて医用画像を再構成する。
【0021】
前記接続切換部は、前記医用画像を第1モードで再構成する場合には、前記複数のX線検出素子に接続される前記各第1読出ラインと前記各データ収集回路とを接続する。
【0022】
前記接続切換部は、前記医用画像を第2モードで再構成する場合には、前記所定の各X線検出素子に接続される前記各第1読出ライン及び前記各第2読出ラインと前記各データ収集回路とを接続し、且つ前記所定の各X線検出素子以外の各X線検出素子に接続される前記各第1読出ラインと前記各データ収集回路とを接続する。
【0023】
前記読出制御部は、前記第1モードで再構成する場合には、前記各第2読出スイッチをオフ状態に制御し、且つ前記各第1読出スイッチを個別にオン状態又はオフ状態に制御する。
【0024】
前記読出制御部は、前記第2モードで再構成する場合には、前記各第1読出スイッチ及び前記各第2読出スイッチを個別にオン状態又はオフ状態に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示す模式図である。
図2】同実施形態におけるX線検出器の構成を示す模式図である。
図3】同実施形態におけるX線検出器及びその周辺構成を示す模式図である。
図4】同実施形態におけるX線検出器とその検出信号に基づく画像を説明するための模式図である。
図5】同実施形態における接続切換部を説明するための模式図である。
図6】同実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係るX線CT装置に適用されるX線検出器の構成を示す模式図である。
図8】同実施形態におけるX線検出器とその検出信号に基づく画像を説明するための模式図である。
図9】第3の実施形態に係るX線CT装置に適用されるX線検出器の構成を示す模式図である。
図10】同実施形態におけるX線検出器とその検出信号に基づく画像を説明するための模式図である。
図11】第4の実施形態に係るX線CT装置に適用されるX線検出器の構成を示す模式図である。
図12】同実施形態における接続切換部を説明するための模式図である。
図13】同実施形態におけるX線検出器とその検出信号に基づく画像を説明するための模式図である。
図14】第5の実施形態に係るX線CT装置に適用されるX線検出器の構成を示す模式図である。
図15】同実施形態における接続切換部を説明するための模式図である。
図16】同実施形態におけるX線検出器とその検出信号に基づく画像を説明するための模式図である。
図17】第6の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、X線CT装置(X線コンピュータ断層撮影装置)の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。また、画像を再構成するには被検体の周囲一周、360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角度分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式に対しても本実施形態へ適用可能である。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0027】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示す模式図であり、図2はX線検出器の構成を示す模式図である。図3はX線検出器及びその周辺構成を示す模式図であり、図4はX線検出器とその検出信号に基づく画像を説明するための模式図である。図5は接続切換部を説明するための模式図である。
【0029】
X線CT装置1は、図1に示すように、高電圧発生部5、ガントリ7、切換制御部15、読出制御部17、投影データ発生部21、再構成部23、画像記憶部24、インターフェース25、表示部27、入力部29及び制御部31を有する。
【0030】
高電圧発生部5は、X線管71の陽極ターゲットと陰極フィラメントとの間に高電圧を印加するための図示していない高電圧電源と、X線管71の陰極フィラメントにフィラメント電流を供給するための図示していないフィラメント電流発生器とを有する。
【0031】
ガントリ7には、回転支持機構が収容される。回転支持機構は、回転リング73と、回転軸Zを中心として回転自在に回転リング73を支持するリング支持機構と、リングの回転を駆動する駆動部79とを有する。回転リング73には、X線管71と、2次元アレイ型または多列型とも称されるX線検出器75が搭載される。撮影又はスキャンに際しては、ガントリ7におけるX線管71とX線検出器75との間の円筒形の撮影領域719内に、被検体Pが天板31に載置され挿入される。X線検出器75の出力には、接続切換部753が接続される。接続切換部753の出力にはデータ収集部(DAS)757が接続される。
【0032】
X線管71は、高電圧発生部5からスリップリング81を経由して電圧の印加(以下、管電圧と呼ぶ)およびフィラメント電流の供給を受けて、X線の焦点715からX線を放射する。X線の焦点715から放射されたX線は、X線管71のX線放射窓に取り付けられた図示していないコリメーターユニットにより、例えばコーンビーム形(角錐形)に整形される。X線の放射範囲717は、点線で示されている。X軸は、回転軸Zと直交し、放射されるX線の焦点715を通る直線である。Y軸は、X軸および回転軸Zと直交する直線である。本実施形態におけるX線管71は、回転陽極型のX線管であるとする。なお、固定陽極型のX線管以外の他の型のX線管でも本実施形態に適用可能である。以下、高電圧発生部5とX線管71とを合わせて、X線発生部と呼ぶ。
【0033】
X線検出器75は、回転軸Zを挟んでX線管71に対峙する位置およびアングルで取り付けられる。X線検出器75は、被検体の体軸(又は回転軸Z方向)に直交するチャンネル方向と被検体の体軸に沿った列方向とに格子状に配列された複数のX線検出素子を有する。複数のX線検出素子各々には、入射するX線の方向性を絞るコリメータが取り付けられる。複数のX線検出素子各々は、X線管71から発生され、被検体を透過したX線を検出する。例えば、被検体を透過したX線は、X線検出素子に入射する。X線検出素子に入射したX線は、コリメータに絞られてシンチレータに入射して光子に変換される。光子は、フォトダイオードに入射し電荷として蓄積される。電荷は、読出スイッチとしてのTFT(薄膜トランジスタ)スイッチによって読出ラインを通して、検出信号として読み出される。複数のX線検出素子各々からの検出信号は、接続切換部753を介してデータ収集部757に出力される。なお、チャンネル方向は、回転軸Zに直交し、且つ放射されるX線の焦点715を中心として、この中心から1チャンネル分のX線検出素子の受光部中心までの距離を半径とする円弧方向としてもよい。また、列方向はスライス方向と呼んでもよい。
【0034】
本実施形態では、図2に示すように、X線検出器75が、80列×1000chの8万個のX線検出素子75a1,…,75b1,…を有している場合を例に挙げて説明する。なお、列数はカバレッジに対応し、チャンネル数chは、視野(FOV)に対応する。
【0035】
80列×1000chの場合、例えば、各X線検出素子75a1,…,75b1,…が0.5mm角のとき、X線検出器75は、40mm×500mmの領域でX線を検出可能となっている。なお、X線検出素子75a1,…,75b1,…は、0.5mm角に限らず、1mm角などのサイズに適宜、変更可能となっている。
【0036】
このようなX線検出器75は、複数のX線検出素子75a1,…,75b1,…に個別に接続された一端をもつ複数の第1読出スイッチa11,…と、列方向に沿って複数の第1読出スイッチa11,…の他端に個別に接続された複数の第1読出ラインAとを備えている。
【0037】
また、X線検出器75は、複数のX線検出素子75a1,…,75b1,…のうち、所定の各X線検出素子75b1,…に個別に接続された一端をもつ複数の第2読出スイッチb21,…と、列方向に沿って複数の第2読出スイッチb21,…の他端に個別に接続された複数の第2読出ラインBとを備えている。ここで、所定の各X線検出素子75b1,…は、X線検出器75のチャンネル方向における中央領域と、X線検出器75の列方向における全領域とに格子状に配列されている。
【0038】
補足すると、X線検出器75は、例えば、列方向に8分割し、チャンネル方向に20分割した8×20個のセグメント毎に、各X線検出素子75a1,…又は75b1,…が実装される。8×20個のセグメントは、チャンネル方向における両端のセグメントを含む2つの粗サンプリング領域75Aと、各粗サンプリング領域75Aに挟まれた倍サンプリング領域(中央領域)75Bとの3領域に分類される。各粗サンプリング領域75Aは、それぞれ列方向に8個、チャンネル方向に5個のセグメントからなる。倍サンプリング領域75Bは、列方向に8個、チャンネル方向に10個のセグメントからなる。各粗サンプリング領域75Aと、倍サンプリング領域75Bとのセグメント数(個数)の比率は任意であるが、倍サンプリング領域75Bのセグメント数が粗サンプリング領域75Aの各々のセグメント数よりも大きいことが視野(FOV)を広くする観点から好ましい。倍サンプリング領域75Bのセグメントの個数を最大にした場合、各粗サンプリング領域75Aのセグメントの個数の合計は、中央領域75のセグメントの個数と同じ値になる。
【0039】
各粗サンプリング領域75Aのセグメントは、10列×50chの500個のX線検出素子75a1,…と、各第1読出スイッチa11,…と、各第1読出ラインAとが実装されている。
【0040】
倍サンプリング領域75Bのセグメントは、10列×50chの500個のX線検出素子75b1,…と、各第1読出スイッチa11,…と、各第1読出ラインAと、各第2読出スイッチb21,…と、各第2読出ラインBとが実装されている。
【0041】
すなわち、各粗サンプリング領域75Aでは、X線検出素子75a1,…毎に1本の読出ラインAが実装される。倍サンプリング領域75Bでは、X線検出素子75b1,…毎に2本の読出ラインA,Bが実装される。このため、倍サンプリング領域75Bでは、図2及び図3に示すように、粗サンプリング領域75Aに比べ、倍の回数のサンプリングが可能となる。その結果、倍サンプリング領域75Bから読み出された検出信号に基づき、図4に示すように、倍サンプリング画像が得られる。また、各粗サンプリング領域75Aから読み出された検出信号に基づき、倍サンプリング画像よりも粗い画像が得られる。
【0042】
接続切換部753は、図5に一部を示すように、複数の読出ラインA,Bにそれぞれ接続された複数のスイッチを有し、モードに応じて切換制御部15に制御され、各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBと、データ収集部(DAS)757内の各データ収集回路との接続を個別に切り換える。接続切換部753内のスイッチは、例えば、第2読出ラインBの本数と同数だけ実装される。図2に示す例の場合、接続切換部753は、セグメント毎に50個のスイッチが実装される。但し、X線検出器75の中心のセグメントに関しては、図5に示すように、中心のチャンネル“0”のスイッチが実装されない。
【0043】
具体的には、接続切換部753は、通常モード(第1モード)で再構成する場合には、複数のX線検出素子75a1,…,75b1,…に接続される各第1読出ラインAと各データ収集回路とを接続する。
【0044】
また、接続切換部753は、倍サンプリングモード(第2モード)で再構成する場合には、所定の各X線検出素子75b1,…に接続される各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBと各データ収集回路とを接続し、且つ所定の各X線検出素子75b1,…以外の各X線検出素子75a1,…に接続される各第1読出ラインAと各データ収集回路とを接続する。
【0045】
なお、接続切換部753は、複数の読出ラインA,Bに接続されたマルチプレクサ(multiplexor)であってもよい。また、接続切換部753は、切換制御部15からの制御に限らず、読出制御部17に制御される構成としてもよい。
【0046】
データ収集部(DAS)757は、各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBから個別に読み出された検出信号を収集し、当該収集した検出信号を個別にデジタルデータに変換して当該デジタルデータを出力する複数のデータ収集回路を有する。データ収集回路の個数は、X線検出素子75a1,…,75b1,…の個数よりも少ない。各データ収集回路は、接続切換部753の出力端子(又はスイッチ)の個数と同数だけ設けられ、例えば、各セグメントのチャンネルch毎に実装される。各データ収集回路は、例えば、図示しないアンプ、波高弁別器(又は比較器)及びカウンタを備えていてもよい。アンプは、X線検出素子から受けた検出信号を増幅する。波高弁別器は、アンプの出力信号のうちの所定振幅を超える出力信号を受けたときのみ、特定の出力パルスを発生する。カウンタは、波高弁別器により出力されたパルスをカウントし、得られたカウント数を表すデジタルデータを投影データ発生部21に出力する。このカウント数は、X線検出器75に入射したX線のフォトン数を表す。
【0047】
切換制御部15は、通常モード又は倍サンプリングモードに応じて、各セグメントの列毎に各読出ラインから伝送される検出信号を各データ収集回路に入力するように、接続切換部753を制御する。
【0048】
読出制御部17は、医用画像を通常モード(第1モード)で再構成する場合には、各第2読出スイッチb21,…をオフ状態に制御し且つ各第1読出スイッチa11,…を個別にオン状態又はオフ状態に制御する。
【0049】
また、読出制御部17は、医用画像を倍サンプリングモード(第2モード)で再構成する場合には、各第1読出スイッチa11,…及び各第2読出スイッチb21,…を個別にオン状態又はオフ状態に制御する。
【0050】
ここで、読出制御部17は、各第1読出スイッチa11,…及び各第2読出スイッチb21,…のうち、同一のX線検出素子75b1,…に接続された第1読出スイッチa11,…及び第2読出スイッチb21,…を同時期にオン状態にしないように制御を実行可能である。
【0051】
また、読出制御部17は、所定の各X線検出素子75b1,…に接続された第1読出スイッチa11,…及び第2読出スイッチb21,…の各々を制御する周期に比べ、所定の各X線検出素子75b1,…以外の各X線検出素子75a1,…に接続された第1スイッチa11,…を長い周期で制御してもよい。例えば、各X線検出素子75a1,…を2素子毎に制御する場合には、同じ周期で制御すればよく、各X線検出素子75a1,…を1素子毎に制御する場合には、長い周期で制御すればよい。但し、2素子毎に制御する場合には、空間分解能が低下する。
【0052】
投影データ発生部21は、データ収集部757から出力されたデジタルデータ(カウント数)に基づいて、投影データを発生する。具体的には、投影データ発生部21は、カウント数に対して前処理を施すことにより、投影データを発生する。投影データとは、再構成処理直前のデータ(生データ(raw data))であり、被検体を透過したX線の強度に応じたデータ値の集合である。投影データは、データ収集したときにビューアングルを表すデータと関連付けられて、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリを備えた図示していない記憶部に記憶される。ここでは説明の便宜上、ワンショットで略同時に収集したビューアングルが同一である全チャンネルにわたる一揃いの投影データを、投影データセットと称する。なお、投影データセットの各チャンネルに対する投影データは、ビューアングル、コーン角、チャンネル番号によって識別される。ビューアングルは、X線管71が回転軸Zを中心として周回する円軌道の各位置を、回転軸Zから鉛直上向きにおける円軌道の最上部を0°として360°の範囲の角度で表したものである。
【0053】
再構成部23は、ビューアングルが360°又は180°+ファン角度の範囲内の投影データセットに基づいて、略円柱形の3次元画像を再構成する。
【0054】
画像記憶部24は、再構成部23により発生されたボリュームデータを記憶する。画像記憶部24は、図示していない画像処理部により発生された被検体の断面画像を記憶する。
【0055】
インターフェース25は、X線CT装置1と電子的通信回線(以下ネットワークと呼ぶ)とを接続する。ネットワークには、図示していない放射線部門情報管理システムと病院情報システムとが接続されてもよい。
【0056】
表示部27は、再構成部23で再構成された画像、画像記憶部24に記憶された画像、X線コンピュータ断層撮影のために設定される条件などを表示する。
【0057】
入力部29は、操作者が所望するX線コンピュータ断層撮影の撮影条件、および被検体の情報などを入力する。具体的には、入力部29は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定をX線CT装置1に取り込む。例えば、入力部29は、通常モード(第1のモード)又は倍サンプリングモード(第2のモード)を示す指示をX線CT装置1に入力可能である。入力部29は、図示しないが、関心領域の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。入力部29は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を制御部31に出力する。なお、入力部29は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部29は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を制御部31に出力する。
【0058】
制御部31は、X線CT装置1の中枢として機能する。制御部31は、図示していないCPUとメモリとを備える。制御部31は、図示していない記憶部に記憶された検査スケジュールデータと制御プログラムとに基づいて、X線コンピュータ断層撮影のために図示していない寝台部および架台部と、高電圧発生部5を制御する。具体的には、制御部31は、入力部29から送られてくる操作者の指示や画像処理の条件などの情報を、一時的に図示していないメモリに記憶する。制御部31は、メモリに一時的に記憶されたこれらの情報に基づいて、寝台部及び架台部と、高電圧発生部5を制御する。制御部31は、所定の画像発生・表示等を実行するための制御プログラムを、図示していない記憶部から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・処理等を実行する。
【0059】
次に、以上のように構成されたX線CT装置1において、図6に示すフローチャートを参照しながら、各モードに応じて、各読出スイッチa11,…b21,…及び接続切換部753の接続を切り換える動作について説明する。以下説明を簡単にするために、複数のセグメントのうちの1つのセグメント内の各X線検出素子75a1,…又は75b1,…について述べる。
【0060】
X線CT装置1による被検体に対するスキャンに先立って、入力部29は、操作者の操作により、患者情報の入力、スキャン条件、モードなどの設定や更新を行う(ST1)。これらの設定や更新は、図示していない記憶部に保存される。これらの入力/選択/設定が終了すると、制御部31はスキャンを開始する(ステップST2)。
【0061】
切換制御部15は、ステップST1で設定されたモードが倍サンプリングモードか否かを判定し(ST3)、判定結果に応じて、接続切換部753を制御する。
【0062】
接続切換部753は、医用画像を倍サンプリングモードで再構成する場合には、所定の各X線検出素子75b1,…に接続される各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBと各データ収集回路とを接続し且つ所定の各X線検出素子75b1,…以外の各X線検出素子75a1,…に接続される各第1読出ラインAと各データ収集回路とを接続する(ST4)。
【0063】
読出制御部17は、倍サンプリングモードで再構成する場合には、各第1読出スイッチA及び各第2読出スイッチBを個別にオン状態又はオフ状態に制御する(ST5)。
【0064】
これにより、各粗サンプリング領域75Aの各X線検出素子75a,…の各読出ラインAから伝送される検出信号や、倍サンプリング領域75Bの各X線検出素子75b,…の各読出ラインA,Bから伝送される検出信号が各データ収集回路に入力される。
【0065】
データ収集部(DAS)757の各データ収集回路は、各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBから個別に読み出された検出信号を収集し、当該収集した検出信号を個別にデジタルデータに変換して当該デジタルデータを出力する。
【0066】
再構成部23は、データ収集部757から出力されたデジタルデータに基づいて医用画像を再構成する。詳しくは、再構成部23は、データ収集部757から出力されたデジタルデータに基づく投影データに基づいて、3次元画像を再構成する。
【0067】
倍サンプリングモードにおいては、スキャンが終了されるまで、ステップST4乃至ST5に応じた医用画像の再構成が実行される(ST6)。
【0068】
一方、ステップST3の判定の結果、否の場合(通常モードの場合)には、接続切換部753は、複数のX線検出素子75a1,…,75b1,…に接続される各第1読出ラインAと各データ収集回路とを接続する(ST7)。
【0069】
読出制御部17は、通常モードで再構成する場合には、各第2読出スイッチb21,…をオフ状態に制御し且つ各第1読出スイッチa11,…を個別にオン状態又はオフ状態に制御する(ST8)。
【0070】
これにより、各領域75A,75Bの各X線検出素子75a1,…,75b1,…の各読出ラインAから伝送される検出信号が各データ収集回路に入力される。
【0071】
データ収集部(DAS)757の各データ収集回路は、各第1読出ラインAから個別に読み出された検出信号を収集し、当該収集した検出信号を個別にデジタルデータに変換して当該デジタルデータを出力する。
【0072】
再構成部23は、前述同様に、データ収集部757から出力されたデジタルデータに基づいて医用画像を再構成する。
【0073】
通常モードにおいては、スキャンが終了されるまで、ステップST7乃至ST8に応じた医用画像の再構成が実行される(ST9)。
【0074】
上述したように本実施形態によれば、医用画像を通常モードで再構成する場合には、X線検出器75内の複数のX線検出素子75a1,…,75b1,…に接続される各第1読出ラインAと各データ収集回路とを接続し、医用画像を倍サンプリングで再構成する場合には、倍サンプリング領域75Bの各X線検出素子75b1,…に接続される各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBと各データ収集回路とを接続する構成により、倍サンプリング領域75Bの各X線検出素子75b1,…から2本の読出ラインA,Bを用いて検出信号を各データ収集回路に読み出すようにしたので、逐次収集方式でデータ収集回路を増やすことなく、収集速度を向上させることができる。
【0075】
補足すると、X線CT装置1では常にX線検出器75の全てのX線検出素子75a1,…,75b1,…分の撮影を行っている訳ではない。例えば被検体Pの頭部の撮影ではX線検出器75の中心付近のX線検出素子75b1,…しか主に画像には寄与しない。
【0076】
本実施形態では、所定のX線検出素子75b1,…毎に、2本の読出ラインを設ける。通常モードでは、1本の読出ラインAだけ使って従来と同様に読み出しを行う。すなわち、通常モードでは、粗サンプリング領域75Aと倍サンプリング領域75Bとの各X線検出素子75a1,…,75b1,…のサンプリング回数は同一であり、各領域75A,75Bから得られる画像は同程度の画質をもつ。
【0077】
倍サンプリングモードでは、粗サンプリング領域75Aと倍サンプリング領域75Bとの各X線検出素子75a1,…,75b1,…のサンプリング回数が異なり、各領域75A,75Bから得られる画像は互いに異なる画質をもつ。具体的には、倍サンプリング領域75Bの各X線検出素子75b1,…のサンプリング回数は、粗サンプリング領域75Aの各X線検出素子75a1,…サンプリング回数の倍である。このため、倍サンプリング領域75Bから得られる画像の画質は、粗サンプリング領域75Aから得られる画像の画質よりも高い。
【0078】
倍サンプリングモードでは、倍サンプリング領域75B(画像上、重要な部分)のX線検出素子75b1,…は2本の読出ラインA,Bで高速読み出しを行い、画像上、重要でない部分(通常モード時の粗サンプリング領域75A用)の各データ収集回路まで使って処理を行う。このため、倍サンプリング時の最大視野は、通常モード時の視野の1/2程度となる。なお、倍サンプリングモードでは、粗サンプリング領域75Aにサンプリングを行わなくてもよいが、各実施形態のように粗いサンプリングを行う方が好ましい。
【0079】
画像上、重要でない部分は、(i)視野(FOV)の外側、(ii)カバレッジの外側、又は(iii)全体領域である。(i)の場合は、第1の実施形態で述べた。(ii)及び(iii)の場合は、以下の各実施形態で説明する。なお、(iii)全体領域の場合、例えば各チャンネル内の4素子の同時読出、又は各チャンネル内の4素子のうちの1素子の読出(間引き読出)などにより、列の分解能を低下させて処理を行う。又は、例えば4チャンネル内の1チャンネルの素子の読出、又は4チャンネル内の1チャンネルにおける4素子のうちの1素子の読出(間引き読出)などにより、チャンネルの分解能を低下させて処理を行う。
【0080】
また、画像上、重要でない部分でも間引いた粗いデータ収集を行い、例えば視野(FOV)の外側の粗サンプリング領域75Aに対応して粗い画像を再構成する。一方、視野の内側の倍サンプリング領域75Bに対応して、kvスイッチングによるデュアルエナジー(Dual Energy)の様な高度な画像を再構成することで、重要な部分を詳細に表示させてもよい。また、倍サンプリング時も視野外の粗サンプリング領域75Aから粗いピッチ(時間又は位置の間隔)で収集することで、撮影領域外への被写体はみだしの影響を緩和できる。
【0081】
これにより、心臓など高度な画像を必要とする部位には倍サンプリングを実行し、その外側の部位には輪郭が判る程度の粗いサンプリングを実行する。また、はみ出し部のデータもあるため、CT値の精度向上を期待することができる。
【0082】
いずれにしても、通常モードでは粗サンプリング領域75Aの各第1読出ラインAに接続させた各データ収集回路を、倍サンプリングモードでは倍サンプリング領域75Bの各第2読出ラインBに接続させる構成により、データ収集部(DAS)757内のデータ収集回路の負荷を変えずに、収集速度を上げることが可能となる。
【0083】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るX線CT装置について図7及び図8を用いて説明する。
【0084】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、具体的には図7に示すように、所定の各X線検出素子75b1,…が、X線検出器のチャンネル方向における全領域と、列方向における中央領域とに格子状に配列されている。なお、図7図2と同様に、1セグメント内の6列×1ch分の各X線検出素子75a1,…,75b1,…を示している。
【0085】
補足すると、第2の実施形態では、前述した8×20個のセグメントが、列方向における両端のセグメントを含む2つの粗サンプリング領域75Aと、各粗サンプリング領域75Aに挟まれた倍サンプリング領域(中央領域)75Bとの3領域に分類される。各粗サンプリング領域75Aは、それぞれ列方向に2個、チャンネル方向に20個のセグメントからなる。倍サンプリング領域75Bは、列方向に4個、チャンネル方向に20個のセグメントからなる。各粗サンプリング領域75Aと、倍サンプリング領域75Bとのセグメント数(個数)の比率は、前述同様に任意である。
【0086】
X線CT装置1の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0087】
以上のような構成によれば、図8に示すように、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るX線CT装置について図9及び図10を用いて説明する。
【0089】
第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、具体的には図9の左側に示すように、所定の各X線検出素子75b2,75b4,75b6,…は、X線検出器75のチャンネル方向における全領域と、列方向における所定間隔毎の領域とに格子状に配列されている。なお、図9図2と同様に、1セグメント内の6列×1ch分の各X線検出素子75a1,…,75b1,…を示している。
【0090】
補足すると、第3の実施形態は、列方向の空間分解能を低下させた例である。
【0091】
X線検出器75は、80列×1000chの8万個のX線検出素子75a1,…,75b1,…を有しているとする。但し、X線検出器75は、例えば、列方向に4分割し、チャンネル方向に20分割した4×20個のセグメント毎に、各X線検出素子75a1,…又は75b1,…が実装されるとする。
【0092】
4×20個のセグメントは、チャンネル方向及び列方向における全領域に配列されており、全てのセグメントが倍サンプリング領域75Bに該当する。。
【0093】
倍サンプリング領域75Bの各セグメントは、例えば図9の左側に示すように、第1読出ラインAのみに接続される各X線検出素子75a1,75a3,75a5,…と、第1及び第2読出ラインA,Bに接続される各X線検出素子75b2,75b4,75b6,…とが列方向に沿って交互に配置される。
【0094】
読出制御部17は、医用画像を倍サンプリングモードで再構成する場合には、各第1読出スイッチa11,a12,…及び各第2読出スイッチb22,b24,…を個別にオン状態又はオフ状態に制御する。但し、各第1読出スイッチa11,a12,…を制御する場合、2素子分の第1読出スイッチa11,a12,…を同時に制御する。また、各第2読出スイッチb22,b24,…を制御する場合、間引き配置された1素子分の第2読出スイッチb22,b24,…を個別に制御する。
【0095】
なお、X線CT装置1の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0096】
以上のような構成によれば、列方向に沿って空間分解能を低下させる一方、低下させた空間分解能に対応するデータ収集回路に倍サンプリング時の検出信号を入力することにより、図10に示すように、列方向に沿って空間分解能を低下させた倍サンプリング画像が再構成されるので、逐次収集方式でデータ収集回路を増やすことなく、収集速度を向上させることができる。
【0097】
なお、本実施形態は、図9の右側に示すように、変形してもよい。
【0098】
すなわち、倍サンプリング領域75Bの各セグメントは、例えば図9の右側に示すように、全てのX線検出素子75b1,75b2,…が第1及び第2読出スイッチa11,…,b21,…を個別に介して第1及び第2読出ラインA,Bに個別に接続される。
【0099】
読出制御部17は、医用画像を倍サンプリングモードで再構成する場合には、各第1読出スイッチa11,a12,…及び各第2読出スイッチb21,b22,…を個別にオン状態又はオフ状態に制御する。但し、各第1読出スイッチa11,a12,…を制御する場合、2素子分の第1読出スイッチa11,a12,…を同時に制御する。同様に、各第2読出スイッチb21,b22,…を制御する場合、2素子分の第2読出スイッチb21,b22,…を同時に制御する。
【0100】
このように変形しても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係るX線CT装置について図11乃至図13を用いて説明する。
【0102】
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、具体的には図11に示すように、所定の各X線検出素子75b1,…が、X線検出器15のチャンネル方向における所定間隔毎の領域と、列方向における全領域とに格子状に配列されている。なお、図11は、1セグメント内の6列×2ch分の各X線検出素子75a1,…,75b1,…を示している。
【0103】
補足すると、第4の実施形態は、チャンネル方向の空間分解能を低下させた例である。
【0104】
X線検出器75は、80列×1000chの8万個のX線検出素子75a1,…,75b1,…を有しているとする。但し、X線検出器75は、例えば、列方向に8分割し、チャンネル方向に10分割した8×10個のセグメント毎に、各X線検出素子75a1,…又は75b1,…が実装されるとする。
【0105】
8×10個のセグメントは、チャンネル方向及び列方向における全領域に配列されており、全てのセグメントが倍サンプリング領域75Bに該当する。
【0106】
倍サンプリング領域75Bの各セグメントは、10列×100chの1000個のX線検出素子75a1,…,75b1,…を有する。各セグメントでは、例えば、第1及び第2読出ラインA,Bに接続される各X線検出素子75b1,…と、第1読出ラインAのみに接続される各X線検出素子75a1,…とがチャンネル方向に沿って交互に配置される。
【0107】
接続切換部753は、第1の実施形態と同様の機能を有する。但し、接続切換部753は、図12に示すように、空間分解能の低下に応じた間隔(例、2チャンネル)毎に、スイッチが配置される。接続切換部753内のスイッチは、例えば、第2読出ラインBの本数と同数だけ実装される。図12に示す例の場合、接続切換部753は、セグメント毎に50個のスイッチが実装される。
【0108】
なお、X線CT装置1の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0109】
以上のような構成によれば、チャンネル方向に沿って空間分解能を低下させる一方、低下させた空間分解能に対応するデータ収集回路に倍サンプリング時の検出信号を入力することにより、図13に示すように、チャンネル方向に沿って空間分解能を低下させた倍サンプリング画像が再構成されるので、逐次収集方式でデータ収集回路を増やすことなく、収集速度を向上させることができる。
【0110】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係るX線CT装置について図14乃至図16を用いて説明する。
【0111】
第5の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、具体的には図14に示すように、所定の各X線検出素子75b1,…が、X線検出器のチャンネル方向における全領域と、列方向における中央領域とに格子状に配列されている。なお、図14図2と同様に、1セグメント内の6列×1ch分の各X線検出素子75a1,…,75b1,…を示している。
【0112】
補足すると、第5の実施形態は、カバレッジの外側の粗サンプリング領域75Aにおいて列方向及びチャンネル方向の空間分解能を低下させた例である。
【0113】
図14に示す粗サンプリング領域75Aのセグメントは、20列×200chの4000個のX線検出素子75a1,…を有する。
【0114】
倍サンプリング領域75Bのセグメントは、第2の実施形態と同様である。
【0115】
接続切換部753は、第1の実施形態と同様の機能を有する。但し、接続切換部753は、図15に示すように、空間分解能の低下に応じた間隔(例、4チャンネル)毎に、スイッチが配置される。接続切換部753内のスイッチは、例えば、第2読出ラインBの本数と同数だけ実装される。図15に示す例の場合、接続切換部753は、セグメント毎に50個のスイッチが実装可能である。
【0116】
読出制御部17は、医用画像を倍サンプリングモードで再構成する場合には、各第1読出スイッチa11,…及び各第2読出スイッチb21,…を個別にオン状態又はオフ状態に制御する。但し、各第1読出スイッチa11,a12,…を制御する場合、各チャンネルの4素子分の第1読出スイッチa11,…を同時に制御(同時読出)してもよく、あるいは、各チャンネルの4素子のうちの1素子の第1読出スイッチa11,a15,…を同時に制御(間引き読出)してもよい。
【0117】
X線CT装置1の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0118】
以上のような構成によれば、図16に示すように、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態に係るX線CT装置について図17を用いて説明する。
【0120】
第6の実施形態は、第1〜第5の各実施形態の変形例であり、具体的には図17に示すように、前述した接続切換部753として、マトリクススイッチ753’を備えている。
【0121】
これに伴い、X線検出器75は、全ての領域で2本の読出ラインA,Bが接続されたX線検出素子75b1,…を配置した構成としてもよい。
【0122】
ここで、マトリクススイッチ753’は、例えば、各読出ラインA,Bに個別に接続される複数の第1信号ラインと、当該各第1信号ラインから電気的に絶縁された状態で当該各第1信号ラインに交差するように配置されて各データ収集素子に個別に接続される複数の第2信号ラインと、各第1信号ラインと各第2の信号ラインとを個別に接続する複数の接続スイッチとを備えた構成となっている。
【0123】
これにより、マトリックススイッチ753’は、所望の各読出ラインA,Bを各データ収集素子に個別に接続可能となっている。なお、マトリックススイッチ753’は、上述した構成に限らず、複数のマトリックススイッチを多段接続した構成(例、特開2008−246192号公報)や、マトリックス配線領域を囲む位置に複数のスイッチを設けた構成(例、特開2011−109714号公報)としてもよい。すなわち、マトリックススイッチ753’としては、所望の各読出ラインA,Bを各データ収集素子に個別に接続可能な構成であれば、任意の構成のマトリックススイッチを使用可能となっている。
【0124】
X線CT装置1の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0125】
以上のような構成によれば、適応した各実施形態の効果に加え、マトリックススイッチ753’の切り替えにより、当該各実施形態で用いた各領域75B,75Aのパターンを1台のX線CT装置1において実現することができる。
【0126】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、医用画像を通常モードで再構成する場合には、X線検出器75内の複数のX線検出素子75a1,…,75b1,…に接続される各第1読出ラインAと各データ収集回路とを接続し、医用画像を倍サンプリングモードで再構成する場合には、倍サンプリング領域75Bの各X線検出素子75b1,…に接続される各第1読出ラインA及び各第2読出ラインBと各データ収集回路とを接続する構成により、倍サンプリング領域75Bの各X線検出素子75b1,…から2本の読出ラインA,Bを用いて検出信号を各データ収集回路に読み出すようにしたので、逐次収集方式でデータ収集回路を増やすことなく、収集速度を向上させることができる。
【0127】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1…X線CT装置、5…高電圧発生部、7…ガントリ、15…切換制御部、17…読出制御部、21…投影データ発生部、23…再構成部、24…画像記憶部、25…インターフェース、27…表示部、31…天板、71…X線管、73…回転リング、75…X線検出器、79…駆動部、81…スリップリング、715…X線の焦点、717…X線の放射範囲、719…撮影領域、751…X線検出モジュール、753…接続切換部、753’…マトリクススイッチ、75a1〜75a6,75b1〜75b6…X線検出素子、a11〜a16,b21〜b26…読出スイッチ、A,B…読出ライン、75A…粗サンプリング領域、75B…倍サンプリング領域、757…データ収集部。
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