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特許5981281超音波診断装置、画像処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981281
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】超音波診断装置、画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-200707(P2012-200707)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-54378(P2014-54378A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久我 衣津紀
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−530176(JP,A)
【文献】 特開2012−81257(JP,A)
【文献】 特開2006−204621(JP,A)
【文献】 特開2000−20728(JP,A)
【文献】 特開2001−76180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボクセルデータから構成される3次元データを複数のスライス領域に分割し、前記複数のスライス領域を、前記ボクセルデータを観察する視線方向に基づいて再配置し、前記スライス領域が再配置された前記ボクセルデータをボリュームレンダリングすることで画像データを生成するレンダリング手段と、
前記レンダリング手段によって生成される画像データの画質を示す画質情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記画質情報に基づいて、前記視線方向に基づいて、前記3次元データを構成する前記ボクセルデータを再配置するボクセルデータ生成手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記ボクセルデータ生成手段は、前記画質情報に基づいて、前記検出手段が検出に用いた前記ボクセルデータを前記レンダリング手段へ出力する第1のモードと、前記ボクセルデータ生成手段が再配置を行った前記ボクセルデータを前記レンダリング手段へ出力する第2のモードとを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記レンダリング手段によって生成された画像データにおける輝度情報を直線状に取得し、取得した輝度情報に基づいて、前記画像データの画質が低下するか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記直線状に取得した輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換し、所定の周波数成分が含まれる場合に、前記画像データの画質が低下すると判定することを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記直線状に取得した輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換し、所定の周波数よりも高い周波数成分が含まれていない場合に、前記画像データの画質が低下すると判定することを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記直線状に取得した輝度情報の輝度値の分布が所定の範囲以内である場合に、前記画像データの画質が低下すると判定することを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記レンダリング手段によって実行されるボリュームレンダリングのレンダリング条件を取得する取得手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記取得手段によって取得されたレンダリング条件に基づいて、前記レンダリング手段によって生成される画像データの前記画質情報を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記レンダリング条件は、前記ボクセルデータのサイズ、表示範囲、透明度、回転角度、クリッピングプレーンの厚みを含むことを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
ボクセルデータから構成される3次元データを複数のスライス領域に分割し、前記複数のスライス領域を、前記ボクセルデータを観察する視線方向に基づいて再配置し、前記スライス領域が再配置された前記ボクセルデータをボリュームレンダリングすることで画像データを生成するレンダリング手段と、
前記レンダリング手段によって生成される画像データの画質を示す画質情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記画質情報に基づいて、前記視線方向に基づいて、前記3次元データを構成する前記ボクセルデータを再配置するボクセルデータ生成手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
ボクセルデータから構成される3次元データを複数のスライス領域に分割し、前記複数のスライス領域を、前記ボクセルデータを観察する視線方向に基づいて再配置し、前記スライス領域が再配置された前記ボクセルデータをボリュームレンダリングすることで画像データを生成するレンダリング手順と、
前記レンダリング手順によって生成される画像データの画質を示す画質情報を検出する検出手順と、
前記検出手順によって検出された前記画質情報に基づいて、前記視線方向に基づいて、前記3次元データを構成する前記ボクセルデータを再配置するボクセルデータ生成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、超音波診断装置、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置においては、2Dアレイプローブ(two dimensional array probe)や、メカニカル4Dプローブ(mechanical four dimensional probe)を用いて3次元データ(ボリュームデータ:Volume data)を収集し、収集したボリュームデータをボリュームレンダリングした超音波画像の表示が行われている。かかる超音波画像の表示に際しては、超音波診断装置は、ボリュームデータをXYZ座標からなる3次元のカーテシアン(Cartesian)座標系に座標変換したボクセルデータをボリュームレンダリングした超音波画像を表示することができる。
【0003】
ここで、近年、ボリュームレンダリングを高速で行うための手法として、シアーワープ(Shear Warp)法が知られている。シアーワープ法は、上述したボクセルデータを用いたレンダリング手法であり、スライス状のボクセルデータを視線方向の変化(回転)に応じて再配置することで、ボリュームレンダリングを高速で行う。しかしながら、上述した従来の技術では、画質の低下を効率よく抑止することが困難となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−530176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、画質の低下を効率よく抑止することを可能にする超音波診断装置、画像処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の超音波診断装置は、レンダリング手段と、検出手段と、ボクセルデータ生成手段とを備える。レンダリング手段は、ボクセルデータから構成される3次元データを複数のスライス領域に分割し、前記複数のスライス領域を、前記ボクセルデータを観察する視線方向に基づいて再配置し、前記スライス領域が再配置された前記ボクセルデータをボリュームレンダリングすることで画像データを生成する。検出手段は、前記レンダリング手段によって生成される画像データの画質を示す画質情報を検出する。ボクセルデータ生成手段は、前記検出手段によって検出された前記画質情報に基づいて、前記視線方向に基づいて、前記3次元データを構成する前記ボクセルデータを再配置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を説明するための図である。
図2図2は、従来技術に係る課題の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るボクセルデータ生成部によるボクセルデータ生成の一例を説明するための図である。
図5A図5Aは、第1の実施形態に係る検出部による処理の一例を説明するための図である。
図5B図5Bは、第1の実施形態に係る検出部による処理の一例を説明するための図である。
図5C図5Cは、第1の実施形態に係る検出部による処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るボクセルデータ生成部によるボクセルデータ再生成の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、第3の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
図10図10は、第3の実施形態に係る内部記憶部によって記憶される予測情報の一例を示す図である。
図11図11は、第3の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0009】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0010】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0011】
ここで、本実施形態に係る超音波プローブ1は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブである。具体的には、本実施形態に係る超音波プローブ1は、被検体Pを2次元で走査する複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカルスキャンプローブである。或いは、本実施形態に係る超音波プローブ1は、複数の圧電振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2次元超音波プローブである。なお、2次元超音波プローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することが可能である。
【0012】
モニタ2は、超音波診断装置100の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像などを表示したりする。例えば、モニタ2は、後述する制御部17の制御のもと生成されたレンダリング画像を表示する。
【0013】
入力装置3は、トラックボール、スイッチ、ダイヤル、タッチコマンドスクリーンなどを有する。入力装置3は、超音波診断装置100の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置3は、モニタ2に表示されたボリュームレンダリング画像の向きを変更するための回転操作を受付けて、受付けた回転操作の情報(例えば、右方向に45度回転など)を、制御部17に転送する。
【0014】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置である。具体的には、本実施形態に係る装置本体10は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元超音波画像(ボリュームデータ)を生成可能な装置である。装置本体10は、図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、画像メモリ15と、内部記憶部16と、制御部17とを有する。
【0015】
送受信部11は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0016】
なお、送受信部11は、後述する制御部17の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0017】
また、送受信部11は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0018】
このように、送受信部11は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。ここで、本実施形態に係る送受信部11は、超音波プローブ1から被検体Pに対して3次元の超音波ビームを送信させ、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0019】
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。 ここで、Bモード処理部12は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理部12は、一つの反射波データに対して、二つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。
【0020】
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0021】
なお、本実施形態に係るBモード処理部12およびドプラ処理部13は、2次元の反射波データおよび3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、本実施形態に係るBモード処理部12は、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成することができる。また、本実施形態に係るドプラ処理部13は、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成することができる。
【0022】
画像生成部14は、Bモード処理部12及びドプラ処理部13が生成したデータから超音波画像を生成する。すなわち、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。具体的には、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した3次元のBモードデータから、3次元のBモード画像を生成する。
【0023】
また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像を生成する。具体的には、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した3次元のドプラデータから、3次元のカラードプラ画像を生成する。なお、以下では、画像生成部14が生成した3次元のBモード画像及び3次元のカラードプラ画像をまとめて「ボリュームデータ」と記載する。
【0024】
また、画像生成部14は、生成したボリュームデータをモニタ2にて表示するための各種画像を生成することができる。具体的には、画像生成部14は、ボリュームデータからMPR画像やレンダリング画像を生成することができる。
【0025】
すなわち、超音波プローブ1により被検体Pの撮影部位に対して超音波の3次元走査が行なわれることで、送受信部11は、3次元のデータを生成する。そして、画像生成部14は、ボリュームデータをモニタ2に表示するための画像として、例えば、操作者からの指示により、直交3断面におけるMPR画像や、超音波プローブ1の被検体Pに対する接触面を視点とした場合のレンダリング画像や、任意の場所を視点とした場合のレンダリング画像を生成する。
【0026】
また、画像生成部14は、ボリュームデータをXYZ座標からなる3次元のカーテシアン座標系に座標変換されたボクセルデータからレンダリング画像を生成する。例えば、画像生成部14は、シアーワープ(Shear Warp)を用いてボクセルデータからレンダリング画像を生成する。
【0027】
画像メモリ15は、画像生成部14が生成した超音波画像を記憶するメモリである。また、画像メモリ15は、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータを記憶することも可能である。
【0028】
内部記憶部16は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや各種ボディーマークなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部16は、必要に応じて、画像メモリ15が記憶する画像の保管などにも使用される。 また、内部記憶部16は、シアーワープによって生成されるレンダリング画像の画質を予測するための予測情報を記憶する。なお、予測情報については、後に詳述する。
【0029】
制御部17は、情報処理装置(計算機)としての機能を実現する制御プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)であり、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、制御部17は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部16から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13及び画像生成部14の処理を制御する。また、制御部17は、画像メモリ15が記憶する超音波画像や、内部記憶部16が記憶する各種画像、又は、画像生成部14による処理を行なうためのGUI、画像生成部14の処理結果などをモニタ2にて表示するように制御する。
【0030】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、以下、詳細に説明する制御部17の処理により、画質の低下を抑止することができるように構成されている。
【0031】
ここで、まず、従来技術、特にシアーワープを用いて生成されるレンダリング画像において画質が低下する場合について説明する。図2は、従来技術に係る課題の一例を説明するための図である。ここで、図2においては、ボリュームデータをカーテシアン座標系に座標変換したボクセルデータを上側から見た場合の図を示す。すなわち、図2に示す実線はそれぞれボリュームデータから生成されたスライスデータを示す。
【0032】
例えば、ボクセルデータからレンダリング画像を生成するレンダリングにおいては、図2の(A)に示すように、視線方向20からクリッピングプレーンの厚さ21の間にあるボクセルデータからレンダリング画像を生成する。すなわち、図2の(A)においては、視線方向20からレンダリングする場合、5スライス分のボクセルデータを用いたレンダリングとなる。
【0033】
ここで、図2の(B)に示すように、視線方向を視線方向20から視線方向22に変化させた(レンダリング画像を回転させる)場合、シアーワープによるレンダリングでは、図2の(C)に示すように、ボクセルデータの座標を変化させる。すなわち、視線方向20からレンダリングした場合に、視線方向22から見た場合のクリッピングプレーンの厚さ21に含まれるボクセルデータが用いられるように、各ボクセルデータが再配置される。
【0034】
従って、シアーワープによるレンダリングでは、例えば、図2の(C)における両端の矢印に示すように、レンダリングに用いられるボクセルデータが奥行き方向に欠落したり、再配置の際にボクセルデータ間の間隔が広がることで、画質が低下する場合があった。ここで、画質の低下としては、例えば、画像に不連続な部分が発生したり、解像度が低下したりすることなどが挙げられる。
【0035】
このような画質の低下に対しては、例えば、角度に応じてスライス方向の異なる複数種類のボクセルデータを予め用意したり、回転後にスライス方向の異なるボクセルデータを再生成したりすることが考えられる。しかしながら、複数種類のボクセルデータを予め用意する場合には、余分なメモリ容量を消費するうえに、1ボリュームデータにつき複数種類のボクセルデータを生成しなければならず、リアルタイム性に欠けてしまい、画質の低下を効率よく抑止することが困難である。
【0036】
また、回転後にボクセルデータを再生成する場合には、ユーザがレンダリング画像を回転させるたびにボクセルデータを生成することとなる。ここで、シアーワープによるレンダリングでは、レンダリングの条件(例えば、ボクセルデータのサイズ、データに含まれる構造、透明度、クリッピングプレーンの厚さなど)により、画質が低下した場合でも外見上認識されない程度の場合もあり、ユーザがレンダリング画像を回転させるたびにボクセルデータを生成することで回転操作後のレスポンスが悪くなり、画質の低下を効率よく抑止することが困難である。そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置100においては、以下に詳細に記載する制御部17の処理により、画質の低下を効率よく抑止することを可能にする。
【0037】
図3は、第1の実施形態に係る制御部17の構成の一例を示す図である。図3に示すように、第1の実施形態に係る制御部17は、ボクセルデータ生成部171と、レンダリング制御部172と、検出部173とを有する。
【0038】
ボクセルデータ生成部171は、ボリュームデータをカーテシアン座標系に座標変換したボクセルデータを生成する。具体的には、ボクセルデータ生成部171は、画像生成部14によって生成されたボリュームデータを、ボクセルエクスポートによってXYZ座標に座標変換したボクセルデータを生成する。図4は、第1の実施形態に係るボクセルデータ生成部171によるボクセルデータ生成の一例を説明するための図である。
【0039】
例えば、ボクセルデータ生成部171は、図4の(A)に示すボリュームデータを矢印23の方向でスライスして、図4の(B)に示すように、XYZ座標上に各スライスを配置したボクセルデータを生成する。
【0040】
また、ボクセルデータ生成部171は、後述する検出部173による判定結果に基づいて、ボクセルデータを再生成する。換言すると、ボクセルデータ生成部171は、検出部173によって検出された画質情報に基づいて、視線方向に基づいて、3次元データを構成するボクセルデータを再配置する。なお、ボクセルデータの再生成については、後に詳述する。
【0041】
図3に戻って、レンダリング制御部172は、ボクセルデータから構成される3次元データを複数のスライス領域に分割し、前記複数のスライス領域を、前記ボクセルデータを観察する視線方向に基づいて再配置し、前記スライス領域が再配置された前記ボクセルデータをボリュームレンダリングすることで画像データを生成する。具体的には、レンダリング制御部172は、ボクセルデータ生成部171によって生成されたボクセルデータを用いてシアーワープによるボリュームレンダリングを実行させて、レンダリング画像を生成するように画像生成部14を制御する。
【0042】
検出部173は、レンダリング制御部172よって生成される画像データの画質を示す画質情報を検出する。具体的には、検出部173は、レンダリング制御部172によって生成されたレンダリング画像における輝度情報を直線状に取得し、取得した輝度情報に基づいて、レンダリング画像の画質が低下するか否かを判定する。より具体的には、検出部173は、直線状に取得した輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換し、所定の周波数成分が含まれる場合に、レンダリング画像の画質が低下すると判定する。また、検出部173は、直線状に取得した輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換し、所定の周波数よりも高い周波数成分が含まれていない場合に、レンダリング画像の画質が低下すると判定する。
【0043】
図5A図5Cは、第1の実施形態に係る検出部173による処理の一例を説明するための図である。ここで、図5A図5Cにおいては、レンダリング制御部172の制御のもと画像生成部14によって生成されたレンダリング画像を示す。すなわち、図5A図5Cにおいては、シアーワープにより生成されたレンダリング画像に対する処理を示す。
【0044】
例えば、検出部173は、図5Aに示すように、レンダリング画像に対して矢印24の方向に3本、矢印25の方向に2本のライン状に輝度情報のサンプリングを行う。ここで、サンプリングを行う方向及びラインの数は任意に設定することができる。また、検出部173は、レンダリング条件に基づいて、サンプリングする方向を決定することも可能である。すなわち、検出部173は、レンダリング画像を回転させる場合の回転の向きに応じて、画像上に発生する不連続の部分の向きを予測し、予測した向きに直交する方向でサンプリングを実行する。
【0045】
そして、検出部173は、ライン状にサンプリングした輝度情報から形成される波形を解析することで、レンダリング画像の画質が低下するか否かを判定する。例えば、検出部173は、ライン状にサンプリングした輝度情報の波形をフーリエ変換して、所定の周波数に突出して強い成分がある場合にレンダリング画像に不連続部分があると判定する。一例を挙げると、検出部173は、図5Bに示すように、矢印24の方向にラインサンプリングした輝度情報の波形をフーリエ変換し、所定の周波数に突出して強い成分がある場合に、不連続部分26がレンダリング画像に含まれていると判定する。
【0046】
また、検出部173は、ライン状にサンプリングした輝度情報の波形をフーリエ変換して、所定の周波数よりも高い周波数成分がない場合にレンダリング画像の解像度が低下していると判定する。一例を挙げると、検出部173は、図5Cに示すように、矢印24の方向、或いは矢印25の方向にラインサンプリングした輝度情報の波形をフーリエ変換し、高周波成分が含まれていない場合に、レンダリング画像の解像度が低下していると判定する。
【0047】
ここで、ボクセルデータ生成部171は、画質情報に基づいて、検出部173が検出に用いたボクセルデータをレンダリング制御部172へ出力する第1のモードと、再配置を行ったボクセルデータをレンダリング制御部172へ出力する第2のモードとを切り替える。具体的には、ボクセルデータ生成部171は、ボクセルデータから生成されるレンダリング画像の画質が低下しないと検出部173に判定された場合には、当該ボクセルデータをレンダリング制御部172に出力する。一方、ボクセルデータ生成部171は、ボクセルデータから生成されるレンダリング画像の画質が低下すると検出部173に判定された場合には、ボリュームデータからボクセルデータを再生成して、再生成したボクセルデータをレンダリング制御部172に出力する。
【0048】
検出部173によってレンダリング画像の画質が低下すると判定され、ボクセルデータを再生成する場合には、ボクセルデータ生成部171は、視線方向に基づいて、ボリュームデータからボクセルデータを生成する。具体的には、ボクセルデータ生成部171は、レンダリング制御部172の制御によって実行されるシアーワープによるボリュームレンダリングの視線方向に基づいて、ボリュームデータからボクセルデータを再生成する。
【0049】
図6は、第1の実施形態に係るボクセルデータ生成部171によるボクセルデータの再生成の一例を説明するための図である。ここで、図6においては、図4に示すボリュームデータからのボクセルデータ再生成について示す。例えば、ボクセルデータ生成部171は、図6の(A)に示すように、スライスする方向を矢印27の方向に変更する。そして、ボクセルデータ生成部171は、図6の(B)に示すように、ボリュームデータを矢印27の方向でスライスし、XYZ座標上に各スライスを配置したボクセルデータを生成する。
【0050】
ここで、ボクセルデータ生成部171は、レンダリング制御部172によるシアーワープのレンダリング条件に基づいて、スライスする方向を決定する。すなわち、ボクセルデータ生成部171は、レンダリング画像の回転角度(ボリュームデータに対する視線方向)に応じて、ボリュームデータをスライスする方向を決定する。
【0051】
ボクセルデータ生成部171によってボクセルデータが再生成されると、レンダリング制御部172は、画像生成部14を制御して、再生成されたボクセルデータに対してシアーワープによるレンダリングを実行させ、レンダリング画像を生成させる。
【0052】
上述したように、第1の実施形態に係る制御部17は、シアーワープによって生成されたレンダリング画像に画質の低下があるか否かを判定し、画質の低下があると判定した場合に、ボクセルデータを再生成する。これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、ボクセルデータの再生成を必要最低限に抑えることができ、レンダリング画像の画質の低下を効率よく抑止することができる。
【0053】
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の処理について説明する。図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。図7に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100においては、シアーワープによるレンダリングのモードであると(ステップS101肯定)、ボクセルデータ生成部171が、画像生成部14によって生成されたボリュームデータからボクセルデータを生成する(ステップS102)。
【0054】
レンダリング制御部172は、ボクセルデータ生成部171によって生成されたボクセルデータに対してシアーワープによるレンダリングを実行するように画像生成部14を制御する(ステップS103)。そして、入力装置3が、操作者によるレンダリング画像の回転操作を受付けると(ステップS104肯定)、レンダリング制御部172が回転後のレンダリング画像を生成させる。
【0055】
そして、検出部173は、生成された回転後のレンダリング画像上をライン状にサンプリングして(ステップS105)、フーリエ変換による波形解析を実行する(ステップS106)。具体的には、検出部173は、回転後のレンダリング画像の輝度情報をライン状にサンプリングし、サンプリングした輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換する。そして、検出部173は、フーリエ変換によって得られた周波数に基づいて、レンダリング画像に不連続部分があるか否かを判定し(ステップS107)、さらに、解像度が低下しているか否かを判定する(ステップS108)。
【0056】
ここで、レンダリング画像に不連続部分がなく(ステップS107否定)、さらに、レンダリング画像の解像度が低下していないと判定された場合には(ステップS108否定)、制御部17は、回転後のレンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS109)。
【0057】
一方、レンダリング画像に不連続部分が含まれている(ステップS107肯定)、或いは、レンダリング画像の解像度が低下していると判定された場合には(ステップS108肯定)、ボクセルデータ生成部171が、ボクセルデータを再生成する(ステップS110)。そして、レンダリング制御部172が、再生成されたボクセルデータを用いたシアーワープによるレンダリングを画像生成部14に実行させる(ステップS111)。その後、制御部17が、再生成されたボクセルデータから生成されたレンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS109)。
【0058】
そして、制御部17は、終了コマンドを受付けた場合に(ステップS112肯定)、処理を終了する。なお、制御部17は、終了コマンドを受付けるまで、レンダリング画像(画像データ)を表示させた状態で、回転操作の受付待機状態となる(ステップS112否定)。また、ステップS104において、回転操作を受付けていない場合には(ステップS104否定)、制御部17は、レンダリング画像(画像データ)を継続して表示させる。また、シアーワープによるレンダリングのモードではない場合には(ステップS101否定)、制御部17は、画像生成部14にボリュームレンダリングを実行させ(ステップS113)、レンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS109)。
【0059】
上述したように、第1の実施形態によれば、レンダリング制御部172は、ボクセルデータから構成される3次元データを複数のスライス領域に分割し、複数のスライス領域を、ボクセルデータを観察する視線方向に基づいて再配置し、スライス領域が再配置されたボクセルデータをボリュームレンダリングすることで画像データを生成する。そして、検出部173は、レンダリング制御部172によって生成される画像データの画質を示す画質情報を検出する。そして、ボクセルデータ生成部171は、検出部173によって検出された画質情報に基づいて、視線方向に基づいて、3次元データを構成するボクセルデータを再配置する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、ボクセルデータの再生成を必要最低限に抑えることができ、レンダリング画像の画質の低下を効率よく抑止することを可能にする。
【0060】
また、第1の実施形態によれば、ボクセルデータ生成部171は、画質情報に基づいて、検出部173が検出に用いたボクセルデータをレンダリング制御部172へ出力する第1のモードと、ボクセルデータ生成部171が再配置を行ったボクセルデータをレンダリング制御部172へ出力する第2のモードとを切り替える。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、画質に応じてボクセルデータを再配置するか否かを決定することを可能にする。
【0061】
また、第1の実施形態によれば、検出部173は、レンダリング制御部172によって生成されたレンダリング画像における輝度情報をライン状に取得し、取得した輝度情報に基づいて、レンダリング画像の画質が低下するか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、レンダリング画像の画質の低下を処理負荷をかけずに確度高く判定することを可能にする。
【0062】
また、第1の実施形態によれば、検出部173は、ライン状に取得した輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換し、所定の周波数成分が含まれる場合に、レンダリング画像の画質が低下すると判定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、レンダリング画像に不連続部分が含まれる場合の画質低下を検出することを可能にする。
【0063】
また、第1の実施形態によれば、検出部173は、ライン状に取得した輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換し、所定の周波数よりも高い周波数成分が含まれていない場合に、レンダリング画像の画質が低下すると判定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、レンダリング画像の解像度が低下した場合の画質低下を検出することを可能にする。
【0064】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、波形をフーリエ変換して画質が低下しているか否かを判定する場合について説明した。第2の実施形態では、輝度値の分布に基づいて画質が低下しているか否かを判定する場合について説明する。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100と比較して、図3に示す検出部173の処理内容のみが異なる。以下、これを中心に説明する。
【0065】
第2の実施形態に係る検出部173は、直線状に取得した輝度情報の輝度値の分布が所定の範囲以内である場合に、レンダリング画像の画質が低下すると判定する。具体的には、検出部173は、ライン状に取得した輝度情報の各輝度値のヒストグラムを生成して、輝度値の分布が所定の範囲以内にあった場合に、レンダリング画像の解像度が低下していると判定する。
【0066】
次に、図8を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置100の処理について説明する。図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。図8に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置100においては、シアーワープによるレンダリングのモードであると(ステップS201肯定)、ボクセルデータ生成部171が、画像生成部14によって生成されたボリュームデータからボクセルデータを生成する(ステップS202)。
【0067】
レンダリング制御部172は、ボクセルデータ生成部171によって生成されたボクセルデータに対してシアーワープによるレンダリングを実行するように画像生成部14を制御する(ステップS203)。そして、入力装置3が、操作者によるレンダリング画像の回転操作を受付けると(ステップS204肯定)、レンダリング制御部172が回転後のレンダリング画像を生成させる。
【0068】
そして、検出部173は、生成された回転後のレンダリング画像上をライン状にサンプリングして(ステップS205)、フーリエ変換による波形解析を実行する(ステップS206)。具体的には、検出部173は、回転後のレンダリング画像の輝度情報をライン状にサンプリングし、サンプリングした輝度情報によって形成される波形をフーリエ変換する。そして、検出部173は、フーリエ変換によって得られた周波数に基づいて、レンダリング画像に不連続部分があるか否かを判定する(ステップS207)。
【0069】
その後、検出部173は、ピクセルカウントによって波形解析を実行する(ステップS208)。具体的には、検出部173は、ライン状にサンプリングした輝度情報の輝度値の分布に基づいて、レンダリング画像の解像度が低下しているか否かを判定する(ステップS209)。
【0070】
ここで、レンダリング画像に不連続部分がなく(ステップS207否定)、さらに、レンダリング画像の解像度が低下していないと判定された場合には(ステップS209否定)、制御部17は、回転後のレンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS210)。
【0071】
一方、レンダリング画像に不連続部分が含まれている(ステップS207肯定)、或いは、レンダリング画像の解像度が低下していると判定された場合には(ステップS209肯定)、ボクセルデータ生成部171が、ボクセルデータを再生成する(ステップS211)。そして、レンダリング制御部172が、再生成されたボクセルデータを用いたシアーワープによるレンダリングを画像生成部14に実行させる(ステップS212)。その後、制御部17が、再生成されたボクセルデータから生成されたレンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS210)。
【0072】
そして、制御部17は、終了コマンドを受付けた場合に(ステップS213肯定)、処理を終了する。なお、制御部17は、終了コマンドを受付けるまで、レンダリング画像(画像データ)を表示させた状態で、回転操作の受付待機状態となる(ステップS213否定)。また、ステップS204において、回転操作を受付けていない場合には(ステップS204否定)、制御部17は、レンダリング画像(画像データ)を継続して表示させる。また、シアーワープによるレンダリングのモードではない場合には(ステップS201否定)、制御部17は、画像生成部14にボリュームレンダリングを実行させ(ステップS214)、レンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS210)。
【0073】
上述したように、第2の実施形態によれば、検出部173は、ライン状に取得した輝度情報の輝度値の分布が所定の範囲以内である場合に、レンダリング画像の画質が低下すると判定する。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、レンダリング画像の解像度が低下した場合の画質低下を簡易に検出することを可能にする。
【0074】
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態では、回転後のレンダリング画像を生成し、生成したレンダリング画像上の輝度情報をライン状にサンプリングして、サンプリングした輝度情報に基づいて画質の低下を判定する場合について説明した。第3の実施形態では、回転後のレンダリングの条件に基づいて画質の低下を予測する場合について説明する。
【0075】
図9は、第3の実施形態に係る制御部17の構成の一例を示す図である。図9に示すように、第3の実施形態に係る制御部17は、画質予測部174を新たに有する。画質予測部174は、レンダリング制御部172によって実行されるボリュームレンダリングの条件に基づいて、レンダリング画像の画質が低下するか否かを予測する。具体的には、画質予測部174は、内部記憶部16によって記憶される予測情報に基づいて、回転後のレンダリング画像の画質が低下するか否かを予測する。
【0076】
ここで、予測情報について説明する。図10は、第3の実施形態に係る内部記憶部16によって記憶される予測情報の一例を示す図である。例えば、内部記憶部16は、図10に示すように、条件ごとに、判定基準となる値を対応付けた予測情報を記憶する。一例を挙げると、内部記憶部16は、「ボクセルデータサイズ」、「表示範囲」、「透明度」、「回転角度」、「クリッピングプレーンの厚み」などのレンダリング条件ごとに値を対応付けた予測情報を記憶する。
【0077】
画質予測部174は、入力装置3が操作者による回転操作を受付けた場合に、回転角度などの操作内容の情報と、レンダリング制御部172によって制御されるシアーワープによるレンダリングの条件とを取得する。そして、画質予測部174は、取得した各情報と予測情報とを比較して、レンダリング画像の画質が低下するか否かを判定する。例えば、画質予測部174は、取得した情報の値と予測情報の値とを条件ごとに比較して、画質が低下するか否かを判定する。なお、予測情報に含まれる条件及び条件ごとの値は、任意に決定される。また、一つの条件のみを用いて予測を行う場合であってもよく、或いは、複数の条件を用いて予測を行う場合であってもよい。
【0078】
ボクセルデータ生成部171は、画質予測部174によってレンダリング画像の画質が低下しないと判定された場合には、既に生成済みのボクセルデータをレンダリング制御部172に出力する。一方、画質予測部174によってレンダリング画像の画質が低下すると判定された場合には、ボクセルデータ生成部171は、レンダリングの条件に基づいて、ボクセルデータを再生成し、再生成したボクセルデータをレンダリング制御部172に出力する。
【0079】
次に、図11を用いて、第3の実施形態に係る超音波診断装置100の処理について説明する。図11は、第3の実施形態に係る超音波診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。図11に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置100においては、シアーワープによるレンダリングのモードであると(ステップS301肯定)、ボクセルデータ生成部171が、画像生成部14によって生成されたボリュームデータからボクセルデータを生成する(ステップS302)。
【0080】
画質予測部174は、レンダリング制御部172によって実行されるシアーワープによるレンダリングの条件を取得し(ステップS303)、レンダリング画像の画質が低下するか否かを判定する。具体的には、画質予測部174は、不連続部分が発生するか否か(ステップS304)、さらに、解像度が低下するか否か(ステップS305)を予測する。
【0081】
ここで、レンダリング画像に不連続部分が発生せず(ステップS304否定)、さらに、レンダリング画像の解像度が低下しないと予測された場合には(ステップS305否定)、レンダリング制御部172は、ボクセルデータ生成部171によって生成されたボクセルデータに対してシアーワープによるレンダリングを実行するように画像生成部14を制御する(ステップS307)。そして、制御部17は、レンダリング画像(画像データ)をモニタ2にて表示させる(ステップS308)。
【0082】
一方、レンダリング画像に不連続部分が発生する(ステップS304肯定)、或いは、レンダリング画像の解像度が低下すると予測された場合には(ステップS305肯定)、ボクセルデータ生成部171が、ボクセルデータを再生成する(ステップS306)。そして、レンダリング制御部172が、再生成されたボクセルデータを用いたシアーワープによるレンダリングを画像生成部14に実行させる(ステップS307)。その後、制御部17が、再生成されたボクセルデータから生成されたレンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS308)。
【0083】
そして、入力装置3が、操作者によるレンダリング画像の回転操作を受付けると(ステップS309肯定)、画質予測部174は、回転操作の情報を取得するとともに、ステップS303に戻って、画質が低下するか否かの予測を再度実行する。
【0084】
そして、制御部17は、終了コマンドを受付けた場合に(ステップS310肯定)、処理を終了する。なお、制御部17は、終了コマンドを受付けるまで、レンダリング画像(画像データ)を表示させた状態で、回転操作の受付待機状態となる(ステップS310否定)。また、ステップS309において、回転操作を受付けていない場合には(ステップS309否定)、制御部17は、レンダリング画像(画像データ)を継続して表示させる。また、シアーワープによるレンダリングのモードではない場合には(ステップS301否定)、制御部17は、画像生成部14にボリュームレンダリングを実行させ(ステップS311)、レンダリング画像をモニタ2にて表示させる(ステップS308)。
【0085】
上述したように、第3の実施形態に係る超音波診断装置100においては、画質予測部174は、レンダリング制御部172によって実行されるボリュームレンダリングの条件に基づいて、レンダリング画像の画質が低下するか否かを予測する。従って、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、シアーワープによるレンダリング画像の生成を省略することができ、処理負荷を低減させることを可能にする。
【0086】
(第4の実施形態)
さて、これまで第1、2及び3の実施形態について説明したが、上述した第1、2及び3の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0087】
上述した第1及び第2の実施形態では、レンダリング画像からライン状にサンプリングを行う場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、所定の領域をサンプリングする場合であってもよい。
【0088】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、フーリエ変換によって画像の不連続部分を検出する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、任意のアルゴリズムによって不連続部分の検出を実行することが可能である。
【0089】
また、上述した第1〜第3の実施形態では、不連続部分が含まれている場合、或いは、解像度が低下している場合のそれぞれで画質を判定し、ボクセルデータを再生成する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、複合的に判定する場合であってもよい。一例を挙げると、所定の周波数成分がどの程度含まれているか、及び、高周波成分の欠落度合いをそれぞれ段階的に設定し、それぞれの判定結果からボクセルデータを再生成するか否かを判定する場合であってもよい。
【0090】
上述した第1〜第3の実施形態では、超音波診断装置がレンダリング画像の画質を判定して、画質が低下すると判定した場合にボクセルデータを再生成する場合について説明したが、上述した処理は、ワークステーションなどの画像処理装置によって実行される場合であってもよい。かかる場合には、例えば、ネットワークを介して超音波診断装置や、画像保管装置などと接続されたワークステーションが、超音波診断装置や、画像保管装置などからボリュームデータを取得する。そして、ワークステーションは、取得したボリュームデータを用いて上述した処理を実行する。
【0091】
以上説明したとおり、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態によれば、本実施形態の超音波診断装置、画像処理装置及びプログラムは、画質の低下を効率よく抑止することを可能にする。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
1 超音波プローブ
10 装置本体
14 画像生成部
17 制御部
171 ボクセルデータ生成部
172 レンダリング制御部
173 検出部
174 画質予測部
100 超音波診断装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11