特許第5981286号(P5981286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5981286ワイヤハーネス及びワイヤハーネスの固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981286
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス及びワイヤハーネスの固定方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20160818BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160818BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20160818BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H02G3/22 260
   B60R16/02 620J
   B60R16/02 623A
   H01B7/00 301
   H01B7/00 307Z
   H01B13/00 513Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-204933(P2012-204933)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-60872(P2014-60872A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】上原 建彦
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭63−24305(JP,Y1)
【文献】 特公平3−28632(JP,B2)
【文献】 特開2005−26178(JP,A)
【文献】 特開2012−124089(JP,A)
【文献】 特開2002−315164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
B60R 16/02
H01B 7/00
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の基準電線と、
前記基準電線に二次樹脂成形によって一体に取り付けられ、前記基準電線に沿って移動可能とされてワイヤハーネスが配索されるパネルの固定孔と係合する外装部品と、
前記外装部品が取り付けられた前記基準電線と一括に束ねられる複数の電線からなる電線束と、を備え
前記外装部品が前記基準電線に一体に取り付けられる部位では、前記基準電線の被覆部を構成する樹脂材料と、前記外装部品を構成する樹脂材料とが直接接触しており、
前記外装部品が、前記パネルの固定孔に固定された後における前記基準電線に対する位置ずれを抑止する位置ずれ規制力よりも大きな所定の位置調整力を付与することにより前記基準電線に沿って移動可能とされることを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載の前記ワイヤハーネスを前記パネルへ固定するワイヤハーネスの固定方法であって、
前記外装部品に前記所定の位置調整力を付与することで、前記外装部品を、前記基準電線に二次樹脂成形によって一体に取り付けられた位置から、前記基準電線に沿って前記パネルの固定孔に対応する正規位置に移動させ、
前記正規位置に移動した前記外装部品を前記固定孔に係合させることで、前記ワイヤハーネスを前記パネルへ固定することを特徴とするワイヤハーネスの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス及びワイヤハーネスの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等には、搭載される種々の電子機器にバッテリなどからの電力や、制御装置からの制御信号を伝えるためのワイヤハーネスが配索されている。このようなワイヤハーネスは、配線用クリップやワイヤハーネス用グロメット、ワイヤハーネス用プロテクタ等の種々の外装部品を備えている。
【0003】
ワイヤハーネスの一般的な製造方法は、端末にコネクタなどが設けられた複数本の電線を布線板上に描かれた布線パターンに沿って所定の位置に所定の順で布線する布線工程と、この布線工程で布線された複数本の電線からなる電線束の所定の位置に外装部品を取り付ける外装部品取付工程と、外装部品取付工程で外装部品が取り付けられた電線束の周囲にビニルテープ等を巻回するテープ巻き工程と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−356064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のワイヤハーネスの製造方法は、外装部品取付工程において、作業員が調整治具などを使用して、外装部品の一つ一つの取付位置を調整している。例えば、外装部品であるクリップは、クリップ本体に支柱が立設され、支柱の先端に設けられる係止片を車体パネルの固定孔に係止して固定される。クリップは、クリップ本体がワイヤハーネスの電線束にビニルテープで巻き付けられて固定されるため、クリップの取付位置の調整作業は、支柱を調整治具に一致させながらテープ巻きを行う煩雑なものとなる。従って、ワイヤハーネスの製造にかかる所要時間が長時間化する。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、ワイヤハーネス製造時の時間が短縮可能となるワイヤハーネス及びワイヤハーネスの固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 単一の基準電線と、
前記基準電線に二次樹脂成形によって一体に取り付けられ、前記基準電線に沿って移動可能とされてワイヤハーネスが配索されるパネルの固定孔と係合する外装部品と、
前記外装部品が取り付けられた前記基準電線と一括に束ねられる複数の電線からなる電線束と、
を備え
前記外装部品が前記基準電線に一体に取り付けられる部位では、前記基準電線の被覆部を構成する樹脂材料と、前記外装部品を構成する樹脂材料とが直接接触しており、
前記外装部品が、前記パネルの固定孔に固定された後における前記基準電線に対する位置ずれを抑止する位置ずれ規制力よりも大きな所定の位置調整力を付与することにより前記基準電線に沿って移動可能とされることを特徴とするワイヤハーネス。
【0008】
上記(1)の構成のワイヤハーネスによれば、基準電線の大まかな位置に、所定数の外装部品が、二次樹脂成形によって移動可能に一体に取り付けられる。外装部品は、基準電線に沿って移動可能であるので、電線束を有するワイヤハーネスが配索されるパネルの固定孔に外装部品を取り付ける際、パネルの固定孔に一致するように外装部品を基準電線に沿って移動させることができる。これにより、ワイヤハーネス製造時には、外装部品を高精度に位置決めし、完成したワイヤハーネスに対して外装部品の取付位置検査を行う必要がなくなる。
【0010】
更に、上記()の構成のワイヤハーネスによれば、パネルの固定孔に固定された後、外装部品が不用意に基準電線に対して相対移動するのを防ぐことができ、パネルに対する電線束の長手方向のズレを抑制できる。
【0011】
上記(1)の構成のワイヤハーネスを前記パネルへ固定するワイヤハーネスの固定方法であって、
前記外装部品に前記所定の位置調整力を付与することで、前記外装部品を、前記基準電線に二次樹脂成形によって一体に取り付けられた位置から、前記基準電線に沿って前記パネルの固定孔に対応する正規位置に移動させ、
前記正規位置に移動した前記外装部品を前記固定孔に係合させることで、前記ワイヤハーネスを前記パネルへ固定することを特徴とするワイヤハーネスの固定方法。
【0012】
上記()の構成のワイヤハーネスの固定方法によれば、基準電線の大まかな位置に、所定数の外装部品が、二次樹脂成形によって移動可能に一体に取り付けられる。外装部品は、基準電線に沿って移動可能であるので、電線束を有するワイヤハーネスが配索されるパネルの固定孔に外装部品を取り付ける際、パネルの固定孔に一致するように外装部品を基準電線に沿って移動させる。これにより、ワイヤハーネス製造時には、外装部品を高精度に位置決めし、完成したワイヤハーネスに対して外装部品の取付位置検査を行う必要がなくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法によれば、ワイヤハーネス製造時の時間を短縮できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るワイヤハーネスの部分斜視図である。
図2図1に示した外装部品が取り付けられた基準電線の部分斜視図である。
図3図2に示した外装部品が取り付けられた箇所の基準電線の断面図である。
図4】二次樹脂成形機の全体斜視図である。
図5図4に示した二次樹脂成形機の下型を示す概略斜視図である。
図6】電線束に外装部品が取り付けられた基準電線を取り付ける状況を表した斜視図である。
図7】ワイヤハーネス取り付け時の外装部品の調整状況を表した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るワイヤハーネス11は、単一の基準電線13と、外装部品である配線用クリップ(以下、クリップと称する)15と、複数の電線17からなる電線束19と、電線束19に巻かれるビニルテープ21と、を備える。基準電線13及び電線17は、導電性の芯線14と、この芯線14を覆うポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂からなる絶縁性の被覆部16と、からなる(図3参照)。基準電線13と電線17とは基本的に同種のものでよい。また、外装部品は、ワイヤハーネス用グロメットやワイヤハーネス用プロテクタ等でもよい。
【0017】
図3に示すように、基準電線13に取り付けられるクリップ15は、基準電線13に二次樹脂成形によって一体に取り付けられ、所定の位置調整力によって基準電線13に沿って移動可能とされる。クリップ15は、車体パネル等のワイヤハーネス11が配索されるパネル26に穿設される固定孔28と係合する。
【0018】
クリップ15は、基準電線13に固定されるクリップ本体23と、クリップ本体23から立設し且つワイヤハーネス11が配索されるパネル26の固定孔28に係止可能な係止部25と、係止部25が固定孔28に係止されるとパネル26の対向面26aを押圧して係止部25を固定孔28に係止状態に保つ保持部27と、を備えている。クリップ15は、可撓性を有するポリプロピレン樹脂などの合成樹脂で構成されている。
【0019】
係止部25は、クリップ本体23から立設した支柱29と、一対の係止片31とを備えている。支柱29は、クリップ本体23の表面に直交する方向に沿って延長されている。一対の係止片31は、支柱29の先端から基端側へ延長されるとともに、基端側に向かうに従って徐々に互いに離れるように傾斜している。
【0020】
そこで、係止部25が固定孔28に挿入されると、一対の係止片31のそれぞれの自由端33が互いに近づく方向に、一旦弾性変形する。その後、係止部25が固定孔28を挿通すると、一対の係止片31のそれぞれの自由端33が弾性復元力によって互いに離れる方向に変位する。そして、一対の係止片31のそれぞれの自由端33が固定孔28の周縁に当接して、係止部25が固定孔28に係止される。このとき、保持部27がパネル26の対向面26aを押圧し、係止部25と固定孔28とによって確実にクリップ15がパネル26に係止される。
【0021】
図7に想像線で図示したように、基準電線13の一部には、例えば3つの第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39が、それぞれがほぼ等間隔Lとなる位置に二次樹脂成形によって一体に取り付けられる。これら第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39は、ワイヤハーネス11をパネル26へ固定する際に、基準電線13に沿って対応する固定孔28に合わせて所定の正規位置に移動される。パネル26の固定孔28にそれぞれ対応するそれぞれのクリップ15の正規位置は、第1クリップ35が図7中の左端から距離L1の位置、第2クリップ37が第1クリップ35から距離L2の位置、第3クリップ39が第2クリップ37から距離L3の位置である。
【0022】
第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39が取り付けられた基準電線13は、図1に示すように、複数の電線17からなる電線束19とビニルテープ21によって一括に束ねられてワイヤハーネス11を構成する。
【0023】
上記構成のワイヤハーネス11によれば、基準電線13の大まかな位置に、所定数のクリップ15が、二次樹脂成形によって移動可能に一体に取り付けられる。クリップ15は、基準電線13に沿って移動可能であるので、電線束19を有するワイヤハーネス11が配索されるパネル26の固定孔28にクリップ15を取り付ける際、パネル26の固定孔28に一致するようにクリップ15を基準電線13に沿って移動させることができる。これにより、ワイヤハーネス製造時には、クリップ15を高精度に位置決めし、完成したワイヤハーネス11に対してクリップ15の取付位置検査を行う必要がなくなる。
【0024】
次に、本実施形態に係るワイヤハーネス11の製造方法について説明する。
本実施形態に係るワイヤハーネス11の製造方法は、ワイヤハーネス11が配索されるパネル26の固定孔28に係合可能なクリップ15が、単一の基準電線13に沿って移動可能に二次樹脂成形によって一体に取り付けられる工程と、クリップ15が取り付けられた基準電線13が複数の電線17からなる電線束19とビニルテープ21によって一括に束ねて固定される工程と、を含む。
ここで、基準電線13にクリップ15を二次樹脂成形する二次樹脂成形機41は、図4に示すように、電動機等の外部動力なしに作業員一人で操作できるマイクロ成形機であって、金型43と、図示しない型締め装置と、金型43に溶融樹脂を加圧注入する射出成形機45と、から構成されている。
射出成形機45は、ポリプロピレン等の合成樹脂等を加熱して溶融するヒータが設けられた加熱筒47と、加熱筒47内の溶融樹脂を図示しないノズルから射出するプランジャ49と、プランジャ49を前進させる射出シリンダ51と、射出シリンダ51を駆動するハンドル53と、加熱筒47の加熱温度を所望の温度に保持する温調器55と、を有し、これらが台座57に立設する装置支柱59に支持されている。
【0025】
なお、本実施形態におけるマイクロ成形機とは、一回の射出成形で成形できる樹脂の量が最大で10g程度のものであって、且つ、金型43の型締め時に、エアシリンダまたはリンク等を用いて手動で行うことができるものをいう。従って、マイクロ成形機としての射出成形機45は、電動機やエア等の外部動力によって射出シリンダ51を駆動するものであってもよい。
【0026】
金型43は下型61と上型67を備えた水平割金型であって、図5に示すように、上向きの下型61の金型分割面には、基準電線13の外形に沿って形成された基準電線キャビティ63と、等間隔Lで並んだ3つのクリップ15の外形に沿って形成された外装部品キャビティ65とが設けられている。この下型61の金型分割面の対面には、同形状の基準電線キャビティ63及び外装部品キャビティ65を備えた上型67が配置されている。上型67は、基準電線キャビティ63及び外装部品キャビティ65と射出成形機45のノズルとを連通させるゲート(図示せず)を備えている。
【0027】
即ち、金型43は、下型61と上型67が合わせられることで、基準電線キャビティ63と外装部品キャビティ65が一体となった成形空間が形成され、この成形空間にゲートから溶融樹脂を射出することで、クリップ15が基準電線13に一体化される。
金型43を型締めした際の成形空間の容量は、数cm3となっている。なお、本実施形態では、金型43が水平割金型のものについて説明したが、垂直割金型であってもよい。
【0028】
二次樹脂成形機41を使用して基準電線13に二次樹脂成形される第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39は、上記した距離L1、距離L2、距離L3の近傍にほぼ等間隔Lで基準電線13に付設される。基準電線13の一部に、等間隔Lで3つずつのクリップ15が二次樹脂成形されるため、金型43が小さくて済み、マイクロ成形機の使用が可能となっている。
【0029】
二次樹脂成形機41によってクリップ15が一体化された基準電線13は、図6に示すように、布線板等の結き具69に布線された電線束19に沿って取り付けられる。そして、図1に示すように、電線束19と基準電線13とが、ビニルテープ21で巻回されて固定され、ワイヤハーネス11が製造される。
従って、パネル26の固定孔28にクリップ15を取り付ける際、パネル26の固定孔28に一致するように第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39を基準電線13に沿って移動させることで、ワイヤハーネス製造時には、第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39を高精度に電線束19に位置決めする必要がないワイヤハーネス11を製造することができる。
【0030】
なお、二次樹脂成形機41によってクリップ15を基準電線13に移動可能に一体化するため、基準電線13における被覆部16の樹脂材料とクリップ15の樹脂材料との組合せや、クリップ15を二次樹脂成形する際の成形条件等を適宜設定することで、クリップ15が基準電線13に固着しないように構成される。
【0031】
また、本実施形態に係るクリップ15は、パネル26の固定孔28に固定された後に基準電線13に対して位置ずれを抑止する位置ずれ規制力よりも大きな所定の位置調整力Fを付与することにより基準電線13に沿って移動可能とされるように、位置調整力Fが設定される。即ち、クリップ15を基準電線13に沿って移動させるために必要な位置調整力Fが、パネル26に配索されたワイヤハーネス11に作用する外力によって生じる位置ずれを抑止するために必要なクリップ15の基準電線13に対する位置ずれ規制力よりも大きく設定される。
そこで、本実施形態のワイヤハーネス11によれば、パネル26の固定孔28に固定された後、クリップ15が不用意に基準電線13に対して相対移動するのを防ぐことができ、パネル16に対する電線束19の長手方向のズレを抑制できる。
【0032】
従って、上記ワイヤハーネス11の製造方法によれば、電線束19を有するワイヤハーネス11が配索されるパネル26の固定孔28にクリップ15を取り付ける際、パネル26の固定孔28に一致するようにクリップ15を基準電線13に沿って移動させることで、ワイヤハーネス製造時には、クリップ15を高精度に電線束19に位置決めする必要がないワイヤハーネス11を製造することができる。
【0033】
即ち、図7に示すように、ワイヤハーネス11は、一括して束ねられた基準電線13に、パネル26に穿設された固定孔28の近傍で二次樹脂成形によって移動可能に第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39が一体に取り付けられる。ワイヤハーネス11は、パネル26の固定孔28への固定に際し、第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39のそれぞれが所定の位置調整力Fを付与することにより基準電線13に沿って移動可能であるので、固定孔28の位置に一致させて移動される。移動後のクリップ15は、第1クリップ35が図7中左端から距離L1、第2クリップ37が第1クリップ35から距離L2、第3クリップ39が第2クリップ37から距離L3の正規位置となる。これにより、ワイヤハーネス11は、第1クリップ35、第2クリップ37及び第3クリップ39がそれぞれ固定孔28に係合され、パネル26に対して正規の位置に取り付けられる。
【0034】
上述したように、本実施形態に係るワイヤハーネス11及びワイヤハーネス11の製造方法によれば、ワイヤハーネス製造時には、クリップ15を高精度に電線束19に位置決めする必要がなく、ワイヤハーネス製造時の時間を短縮できる。
なお、本発明のワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0035】
11…ワイヤハーネス
13…基準電線
15…クリップ(外装部品)
17…電線
19…電線束
26…パネル
28…固定孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7