(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981289
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ブロー成形機の金型の型締め装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/56 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
B29C49/56
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-216928(P2012-216928)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69417(P2014-69417A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(73)【特許権者】
【識別番号】000136723
【氏名又は名称】株式会社プラコー
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 元太郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 邦男
(72)【発明者】
【氏名】今井 隆
(72)【発明者】
【氏名】青木 和義
(72)【発明者】
【氏名】武石 淳
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−323828(JP,A)
【文献】
特開2003−145614(JP,A)
【文献】
特開2006−880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形品を成形するブロー成形機に使用する左右に開閉する一対の金型の型締め装置において、
上記一対の金型をそれぞれ取付ける一対の型締めプレートを開閉方向に対して垂直に対向して配置し、開閉方向に平行に該型締めプレートを貫通する複数のタイバーを設け、該タイバーに対し上記一対の型締めプレートの少なくとも一方を摺動可能に設け、
上記一対の型締めプレートを左右方向に摺動させる一対の電動サーボモータを上記一対の型締めプレートにそれぞれ取付け、上記一対の電動サーボモータは、それぞれ型締めプレートの駆動を独立して制御可能に取付け、
上記一対の型締めプレートの一方に上記金型を型締めする油圧シリンダを取付け、上記油圧シリンダは、上記タイバーが中心を貫通するとともに、一方の先端が上記タイバーの所定位置に固定可能なロック機構を有し、他方の先端が上記一対の型締めプレートの一方に取付けられたことを特徴とするブロー成形機の金型の型締め装置。
【請求項2】
上記一対の金型の型締めは、上記電動サーボモータを駆動して一対の金型を近接するまで移動させ、上記油圧シリンダにより一対の金型を閉じて押圧する請求項1に記載のブロー成形機の金型の型締め装置。
【請求項3】
上記油圧シリンダは、上記タイバーに取付けられた請求項1又は請求項2に記載のブロー成形機の金型の型締め装置。
【請求項4】
上記油圧シリンダは、上記一対の型締めプレートの一方側に2個取付けられるとともに、上記型締めプレートの対角線上の位置にある上記タイバーに取付けられた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブロー成形機の金型の型締め装置。
【請求項5】
上記油圧シリンダは、固定側シリンダが上記タイバーに取付けられ、可動側シリンダが上記一対の型締めプレートの一方に取付けられた請求項3又は請求項4に記載のブロー成形機の金型の型締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形品を成形するブロー成形機に使用する金型の型締め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中空状のブロー成形品、例えば、自動車用等の燃料タンクの構造としては、金属製のものが用いられていたが、近年、車両の軽量化や、錆が発生しないこと、所望の形状に成形しやすいことなどによって中空状の熱可塑性合成樹脂製のものが用いられるようになってきた。
【0003】
熱可塑性合成樹脂製の中空状の製品の製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にして上から押出して、一対の開いた金型の間にパリソン垂下して、金型を閉じて、そのパリソンを一対の金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、中空体を製造していた。
【0004】
この一対の金型でパリソンを挟みブロー成形するために、金型を型締めする装置が用いられている。例えば、
図6に示すように、左フレーム114と右フレーム115にそれぞれ油圧シリンダ120、120を取付けて、タイバー140、140に左右方向に摺動可能に、左型締プレート112と右型締プレート113を取付ける。この左型締プレート112と右型締プレート113に一対のブロー成形金型のそれぞれを取付ける(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
そして、パリソンが開いた金型の間に垂下されると、それぞれの油圧シリンダ120、120を働かせて、左型締プレート112と右型締プレート113が近接する方向に動かして、ブロー成形金型を型締めして、ブロー成形を行う。しかしながら、この場合には、油圧シリンダ120、120が2本必要であり、そのストロークが長く、油容量も多くなり、設備が大型化してしまうこととなる。
【0006】
また、
図7に示すように、左型締プレート212と右型締プレート213を、基台211上をタイバー240に沿って、左右方向に摺動可能に取付け、左型締プレート212と右型締プレート213にラックピニオンギヤ217を取付けて、互いに閉じあう方向と開く方向に移動可能としている。そして、右型締プレート113の裏面に3本の油圧シリンダ220、220、220を取付ける。
【0007】
そして、パリソンが開いた金型の間に垂下されると、中央の油圧シリンダ220を働かせて、早送りした後に、3本の油圧シリンダ220、220、220を働かせて、右型締プレート213が左型締プレート212当接して型締めを行う。そうすると、ラックピニオンギヤ217が働き、左型締プレート212も右型締プレート213に近接する方向に動いて、ブロー成形金型が型締めされて、ブロー成形を行う。
【0008】
この場合においても、油圧シリンダの数が多いとともに、そのストロークが長く、油容量も多くなり、設備が大型化してしまうこととなる。さらに、ラックピニオンギヤにより左型締プレート212と右型締プレート213を動かすために、金型を閉じたときの型締めの中心位置が固定されて、変更できないため、金型を変更する場合の取扱いが面倒であった。
【0009】
また、
図8に示すように、左型締プレート312と右型締プレート313にタイバー340を貫通させて、左型締プレート312と右型締プレート313にそれぞれボールねじナット341を取付け、タイバー340の外周の左型締プレート312と右型締プレート313の摺動部分に雄ねじ部342を形成する(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
そして、サーボモータ350を作動させて、タイバー340の根元に設けたギヤボックス351によりタイバー340を回動させる。そうすると、雄ねじ部342とボールねじナット341が嵌合して、左型締プレート312と右型締プレート313が対向して接近するように移動して、ブロー成形金型が型締めされて、ブロー成形を行う。
この場合には、サーボモータ350による型締めのために、型締め力が弱く、大型の金型の場合には、大型のサーボモータ350が必要となってしまうこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−221588号公報
【特許文献1】特開平8−323828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そのため、本発明は、設備を小型化できるとともに型締め中心位置の変更が可能なブロー成形機の金型の型締め装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、ブロー成形品を成形するブロー成形機に使用する左右に開閉する一対の金型の型締め装置において、
一対の金型をそれぞれ取付ける一対の型締めプレートを開閉方向に対して垂直に対向して配置し、開閉方向に平行に型締めプレートを貫通する複数のタイバーを設け、タイバーに対し一対の型締めプレートの少なくとも一方を摺動可能に設け、
一対の型締めプレートを左右方向に摺動させる一対の電動サーボモータを一対の型締めプレートにそれぞれ取付け、
一対の電動サーボモータは、それぞれ型締めプレートの駆動を独立して制御可能に取付け、
上記一対の型締めプレートの一方に上記金型を型締めする油圧シリンダを取付け、
油圧シリンダは、タイバーが中心を貫通するとともに、一方の先端がタイバーの所定位置に固定可能なロック機構を有し、他方の先端が一対の型締めプレートの一方に取付けられたことを特徴とするブロー成形機の金型の型締め装置である。
【0014】
請求項1の本発明では、一対の金型をそれぞれ取付ける一対の型締めプレートを開閉方向に対して垂直に対向して配置し、開閉方向に平行に型締めプレートを貫通する複数のタイバーを設け、タイバーに対し一対の型締めプレートの少なくとも一方を摺動可能に設けた。このため、金型を取付ける型締めプレートをタイバーに沿って開閉自在の摺動させることができる。
【0015】
一対の型締めプレートを左右方向に摺動させる一対の電動サーボモータを一対の型締めプレートにそれぞれ取付けた。このため、電動サーボモータにより速やかに型締めプレートを駆動させることができるとともに、一対の型締めプレートを別々に駆動させることができ、型締め中心の位置を変更することが容易である。
一対の電動サーボモータは、それぞれ型締めプレートの駆動を独立して制御可能に取付けたため、型締め中心の位置を容易に変更することができ、金型を交換した後に、型締めの中心の調整が不要であり、多種類の製品を容易に成形することができる。
【0016】
一対の型締めプレートの一方に金型を型締めする油圧シリンダを取付けたため、大きな型締め力で金型を型締めすることができる。また、予め型締めプレートを電動サーボモータにより駆動させるため、油圧シリンダのストロークを短くすることができ、油容量も少なく、型締め装置を小さくすることができる。
油圧シリンダは、タイバーが中心を貫通するため、タイバーの周りに油圧シリンダを設けて、油圧シリンダを取付けるためのスペースを節約することができる。
油圧シリンダの一方の先端がタイバーの所定位置に固定可能なロック機構を有し、他方の先端が一対の型締めプレートの一方に取付けられたため、型締めを行うときに、油圧シリンダの型締め力を直接型締めプレートに伝達することができるとともに、タイバーの所定位置で油圧シリンダをロックして、型締めを行うことができる。従って、油圧シリンダの力を伝達する機構が不要となり、設備を小型化することができる。
【0017】
請求項2の本発明は、一対の金型の型締めは、電動サーボモータを駆動して一対の金型を近接するまで移動させ、油圧シリンダにより一対の金型を閉じて押圧するブロー成形機の金型の型締め装置である。
【0018】
請求項2の本発明では、一対の金型の型締めは、電動サーボモータを駆動して一対の金型を近接するまで移動させ、油圧シリンダにより一対の金型を閉じて押圧する。このため、金型を閉じるときに、金型が近接するまでは電動サーボモータで素早く移動させることができ、小さな設備で成形サイクルを短くすることができる。型締めの最後の部分で、油圧シリンダにより一対の金型を型締めすることができるため、油圧シリンダのストロークを短くして油圧シリンダを小さくするとともに、型締め力は大きくすることができる。
【0021】
請求項3の本発明は、油圧シリンダは、タイバーに取付けられたブロー成形機の金型の型締め装置である。
【0022】
請求項3の本発明では、油圧シリンダは、タイバーに取付けられたため、油圧シリンダを取付けるためのスペースを節約することができ、設備を小型化することができる。
【0023】
請求項4の本発明は、油圧シリンダは、一対の型締めプレートの一方側に2個取付けられるとともに、型締めプレートの対角線上の位置にあるタイバーに取付けられたブロー成形機の金型の型締め装置である。
【0024】
請求項4の本発明では、油圧シリンダは、一対の型締めプレートの一方側に2個取付けられたため、油圧シリンダを駆動する設備を集約することができる。
型締めプレートの対角線上の位置にあるタイバーに取付けられたため、型締め力をバランスよく加えることができ、均等に型締めすることができる。
【0027】
請求項5の本発明は、油圧シリンダは、固定側シリンダがタイバー取付けられ、可動側シリンダが一対の型締めプレートの一方に取付けられたブロー成形機の金型の型締め装置である。
【0028】
請求項5の本発明では、油圧シリンダの固定側シリンダがタイバー取付けられ、可動側シリンダが一対の型締めプレートの一方に取付けられたため、油圧シリンダの作動を直接型締めプレートに伝達することができる。
【発明の効果】
【0029】
本件発明は、一対の電動サーボモータを一対の型締めプレートにそれぞれ取付けたため、電動サーボモータにより速やかに型締めプレートを駆動させることができるとともに、一対の型締めプレートを別々に駆動させることができ、型締め中心の位置を変更することが容易である。
一対の型締めプレートの一方に金型を型締めする油圧シリンダを取付けたため、大きな型締め力で金型を型締めすることができ、油圧シリンダのストロークを短くすることができ、油容量も少なく、油圧シリンダを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施の形態であるブロー成形機の金型の型締め装置の正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態であるブロー成形機の金型の型締め装置の右側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態であるブロー成形機の金型の型締め装置に使用される左電動サーボモータと左型締めプレートの駆動部分の正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態であるブロー成形機の金型の型締め装置に使用される右電動サーボモータと左型締めプレートの駆動部分の正面図である。
【
図5】本発明の実施の形態であるブロー成形機の金型の型締め装置に使用される油圧シリンダの断面図である。
【
図6】従来のブロー成形機の金型の型締め装置の正面図である。
【
図7】従来の他のブロー成形機の金型の型締め装置の正面図である。
【
図8】従来の他のブロー成形機の金型の型締め装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態のブロー成形品を成形するブロー成形機の左右に開閉する一対の金型の型締め装置について、
図1〜
図5に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態のブロー成形機の金型の型締め装置の正面図であり、
図2は、ブロー成形機の金型の型締め装置の右側面図である。
【0032】
図1に示すように、型締め装置10は、基台11に左右方向にそれぞれ摺動可能に左型締めプレート12と右型締めプレート13が設けられている。ブロー成形金型70は、左金型71と右金型72から構成され、左金型71は左型締めプレート12に取付けられ、右金型72は、右型締めプレート13に取付けられる。左金型71と右金型72が型締めにより合体すると内部にキャビティーが形成され、キャビティー内でブロー成形品が成形される。
【0033】
左型締めプレート12の左金型71を取付ける面と反対側には左フレーム15が一体に取付けられている。左フレーム15の上辺は上方に延設され、上部に設けられたタイバー40の先端が固定されている。左フレーム15の下辺は、下部に設けられたタイバー40の先端が固定されている。
図2に示すように、上部のタイバー40と下部のタイバー40は、左型締めプレート12と左フレーム15の対角線上に取付けられている。
【0034】
図3に示すように、左型締めプレート12の下部には左電動駆動部50が設けられている。左電動駆動部50は、左サーボモータ51と、左ボールねじ52と左ボールナット53から構成され、左サーボモータ51の回転を左ボールねじ52に伝達する。左ボールナット53は左ボールねじ52が貫通するとともに、左型締めプレート12の下部に固定され、左ボールねじ52の回転により左型締めプレート12を左右方向に移動させることができる。
【0035】
右型締めプレート13の右金型72を取付ける面と反対側には右フレーム16が一体に取付けられている。右フレーム16の上辺は上方に延設され、上部に設けられたタイバー40が摺動自在に貫通している。右フレーム16の下辺は下部に設けられたタイバー40が摺動自在に貫通している。上部のタイバー40と下部のタイバー40は、右型締めプレート13と右フレーム16の対角線上を貫通している。
【0036】
上部のタイバー40と下部のタイバー40において、右フレーム16にはそれぞれ第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30が、上部のタイバー40と下部のタイバー40が貫通するように取付けられている。第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30の構造については後述する。第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30に油圧を供給する油圧ポンプ14が基台11の右側端部に設けられている。
【0037】
図4に示すように、右型締めプレート13の下部には、左電動駆動部50と同様に、右電動駆動部60が設けられている。右電動駆動部60は、右サーボモータ61と、右ボールねじ62と右ボールナット63から構成され、右サーボモータ61の回転を右ボールねじ62に伝達する。右ボールナット63は右ボールねじ62が貫通するとともに、右型締めプレート13の下部に固定され、右ボールねじ62の回転により右型締めプレート13を左右方向に移動させることができる。
【0038】
上部のタイバー40と下部のタイバー40の右側先端にはタイバー保持フレーム17が取付けられている。タイバー保持フレーム17は、上部のタイバー40と下部のタイバー40の動きともに左右に移動することができる。
【0039】
次に、
図5に基づき第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30の構造について説明する。第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30の構造は同じであり、第1油圧シリンダ20の構造を例にとり説明する。
第1油圧シリンダ20は、円筒状に形成されて、中心をタイバー40が摺動自在に貫通している。第1油圧シリンダ20には、同心円状に形成された可動側シリンダ21と固定側シリンダ22を有する。
【0040】
可動側シリンダ21の左側先端は右フレーム16にネジ止めされている。可動側シリンダ21の筒状の内部には、固定側シリンダ先端部25が摺動可能な押側油圧ストローク部23が同心円状に形成されている。
固定側シリンダ先端部25は、右端の外周部が階段状に凹んでおり、押側油圧ストローク部23の内面との間に引側油圧ストローク部24を形成している。即ち、押側油圧ストローク部23と引側油圧ストローク部24は、固定側シリンダ先端部25の摺動により長くなったり短くなったりする。
【0041】
固定側シリンダ22の右側先端は、タイバーロック機構42が取付けられている。タイバーロック機構42は、タイバーロックシリンダ43とタイバーロックピン44から構成される。タイバーロックシリンダ43によりタイバーロックピン44が、タイバー40の所定位置に形成されたタイバーロック溝41に嵌合されて、タイバー40が第1油圧シリンダ20に対して、固定される。
【0042】
つぎに、型締め装置10の型締めの作動について説明する。
左型締めプレート12に取付けられた左金型71と右型締めプレート13に取付けられた右金型72の間にパリソンが垂下されると、型締めが行われる。
まず、左サーボモータ51と右サーボモータ61を駆動させて、左型締めプレート12と右型締めプレート13を互いに近接する方向に移動させる。そうすると、左金型71と右金型72は、近接することができる。
【0043】
このため、左金型71と右金型72が近接するまでは左サーボモータ51と右サーボモータ61で素早く移動させることができ、第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30のストロークを短くすることができるため、小さな設備にすることができるとともに、成形サイクルを短くすることができる。
【0044】
また、左サーボモータ51と右サーボモータ61は、それぞれ左型締めプレート12と右型締めプレート13の駆動を独立して制御可能に取付けられている。このため、型締め中心の位置を容易に変更することができ、異なるブロー成形品を成形するときに、金型を交換して、型締め中心の位置の調整が容易であり、多種類の製品を容易に成形することができる。
【0045】
左型締めプレート12の右方向の移動につれて、左フレーム15の固定された上下のタイバー40、40は右方向に移動し、第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30の内部を摺動する。さらに、右型締めプレート13は左方向に移動するため、右フレーム16に固定された第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30は、上下のタイバー40、40に対して左方向に摺動する。
【0046】
そして、
図5に示すように、第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30は、上下のタイバー40、40に対して所定位置に到達したときに、タイバー40、40に形成されたタイバーロック溝41、41にタイバーロック機構42、42により固定される。このとき、例えば所定位置とは、金型閉じ位置から120mm程度手前にすることができる。
タイバーロック機構42と第1油圧シリンダ20と第2油圧シリンダ30の作動はそれぞれ同じであるため、第1油圧シリンダ20を例に説明する。
【0047】
タイバーロック機構42は、タイバーロックシリンダ43とタイバーロックピン44から構成され、タイバーロックシリンダ43によりタイバーロックピン44がタイバーロック溝41に固定される。そうすると、第1油圧シリンダ20の固定側シリンダ22は、タイバー40に固定される。
【0048】
その後、油圧ポンプ14から油圧が供給され、第1油圧シリンダ20の押側油圧ストローク部23に、油圧がかかる。そうすると、第1油圧シリンダ20の可動側シリンダ21は、左方向に移動して、可動側シリンダ21が固定された右フレーム16と同一剛体上の右型締めプレート13を左方向に押圧する。そのとき左型締めプレート12はタイバー40の固定されているため、可動側シリンダ21により、左金型71と右金型72が中心方向に対向して移動するため、型締め中心は保たれたまま、移動ができずその位置に固定されるため、左金型71と右金型72は強力に押圧されて型締めされることとなる。
【0049】
そうすると、左金型71と右金型72の間に垂下されたパリソンは、左金型71と右金型72により、切り取られて、左金型71と右金型72のキャビティー内に置かれ、その後ブロー成形されて製品となる。
この様に、型締めの最後の部分で、第1油圧シリンダ20により左金型71と右金型72を型締めすることができるため、第1油圧シリンダ20のストロークを短くして第1油圧シリンダ20を小さくするとともに、型締め力は大きくすることができる。
【0050】
左金型71と右金型72を開く場合には、油圧ポンプ14から油圧が供給され、第1油圧シリンダ20の引側油圧ストローク部24に、油圧がかかる。そうすると、第1油圧シリンダ20の可動側シリンダ21は、右方向に移動して、可動側シリンダ21が固定された右型締めプレート13を右方向に引っ張る。そのとき左型締めプレート12はタイバー40の固定されているため、可動側シリンダ21の動きに合わせて左方向に移動し、左金型71と右金型72は開くこととなる。
【0051】
その後、左サーボモータ51と右サーボモータ61を駆動させて、左型締めプレート12と右型締めプレート13を互いに離れる方向に移動させる。そうすると、左金型71と右金型72は、開くことができる。このため、左金型71と右金型72を左サーボモータ51と右サーボモータ61で素早く開くことができ、成形のサイクルタイムを短くすることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 型締め装置
12 左型締めプレート
13 右型締めプレート
20 第1油圧シリンダ
30 第2油圧シリンダ
40 タイバー
41 タイバーロック機構
51 左サーボモータ
61 右サーボモータ