特許第5981290号(P5981290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981290
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】計器
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20160818BHJP
   G01D 13/04 20060101ALI20160818BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   G01D11/24 A
   G01D13/04 Z
   B60K35/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-217576(P2012-217576)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-71010(P2014-71010A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】八木 純二
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−127523(JP,A)
【文献】 特開2006−030073(JP,A)
【文献】 特開2008−139087(JP,A)
【文献】 特開2006−292648(JP,A)
【文献】 特開2010−175472(JP,A)
【文献】 実開平06−051824(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24,13/02−13/04
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンビネーションメータ等における見返しパネルに配置される円盤状のメータ文字板と、当該メータ文字板の外周を囲う環状の装飾部を形成する装飾リングと、を備える計器であって、
前記装飾リングは、前記装飾部を提供するリング本体と、当該リング本体の周方向の一部範囲の裏面から環状構造の径方向外方に向かって突設された取り付け片と、を備え、
前記見返しパネルは、第1の見返しパネル部材と、一側面を前記第1の見返しパネル部材の側端面に突き合わせて前記第1の見返しパネル部材に連結される第2の見返しパネル部材と、を備え、
前記第1の見返しパネル部材は、
前記第2の見返しパネル部材が突き合わされる前記側端面に形成されたリング保持溝であって、前記装飾部を形成する環状の前記リング本体の一部の外周縁を環状構造の径方向に割り込ませることで前記リング本体の一側を保持するリング保持溝と、
前記第1の見返しパネル部材の前記側端面側の表面を凹ませて形成された取り付け載置面であって、前記リング本体の一側を前記リング保持溝に割り込ませたときに前記取り付け片が載置状態となる取り付け載置面と、
前記第1の見返しパネル部材の表面側から前記取り付け片をねじ止め可能に前記取り付け載置面に形成されたねじ部と、を備え、
前記装飾リングは、前記リング本体の一側の外周部を前記リング保持溝へ嵌合させると共に、前記取り付け片を前記取り付け載置面にねじ止めすることで、前記第1の見返しパネル部材の前記側端面に直接固定されることを特徴とする計器。
【請求項2】
前記第1の見返しパネル部材は、
前記第2の見返しパネル部材が突き合わされる前記側端面の裏面寄りの位置から前記第2の見返しパネル部材側に張り出して設けられて前記リング本体を載置可能な環状のリング載置面と、
前記リング載置面と対向するように前記第1の見返しパネル部材の表面側の層を前記第2の見返しパネル部材側に張り出して形成される第1の押さえフランジ部であって、前記リング載置面との間に前記リング保持溝を画成する第1の押さえフランジ部と、
前記リング載置面と連続するように前記第1の見返しパネル部材の表面から凹んで形成された前記取り付け載置面であって、前記リング本体の一側の外周を前記リング保持溝に割り込ませて前記リング本体を前記リング載置面に載置状態にしたときに前記取り付け片が載置状態となる前記取り付け載置面と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の計器。
【請求項3】
前記取り付け載置面には、前記第1の見返しパネル部材と前記第2の見返しパネル部材との突き合わせ方向に沿って延在する案内部を備え、
前記取り付け片には、前記リング本体をその環状構造の径方向に沿って前記リング保持溝に割り込ませる際に前記案内部に摺動可能に係合して、前記リング本体の移動方向を規制する案内係合部を備え、
前記案内部及び案内係合部の一方はガイド溝、他方はガイド溝に摺動可能に係合するリブであることを特徴とする請求項2に記載の計器。
【請求項4】
前記第2の見返しパネル部材は、
前記第1の見返しパネル部材との連結状態になったときに、前記リング保持溝からはみ出している前記リング本体の外周縁を押さえる第2の押さえフランジ部と、
前記第1の見返しパネル部材との連結状態になったときに、前記取り付け片の上を覆う取付部隠し部と、を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見返しパネル(見返し)に配置される円盤状のメータ文字板と、このメータ文字板の外周を囲う環状の装飾部を形成する装飾リングと、を備える計器に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、下記特許文献1に開示された計器である。
この計器100は、車両に搭載されるタコメータで、見返しパネル110に配置される円盤状のメータ文字板120と、このメータ文字板120の外周を囲う環状の装飾部131を形成する装飾リング130と、を備える。
【0003】
見返しパネル110は、単一の板材(パネル)である。
【0004】
特許文献1における装飾リング130は、径方向に拡縮可能なように周方向の一部を切除した円弧形状に形成されている。そして、装飾部131の裏面側には、取り付け手段としての突起133が設けられている。
【0005】
メータ文字板120の外周には、導光リング140が嵌合装着される。導光リング140の上端面には、装飾リング130上の突起133が係合する突起受け143が設けられている。
【0006】
装飾リング130は、突起133を導光リング140上の突起受け143に係合させることで、突起受け143の上端に連結される。
【0007】
導光リング140の下端面には、連結ピン144が突設されている。この連結ピン144は、メータケース150に装備された取付孔154に嵌合するピンである。
【0008】
上端に装飾リング130が連結された導光リング140は、連結ピン144を取付孔154に嵌合させることで、メータケース150に連結される。
【0009】
メータケース150には、基板160が収容されている。基板160には、メータ文字板120の中央を挿通する指針軸170を回転駆動する指針駆動手段161や、導光リング140を照明する光源などが搭載されている。
【0010】
導光リング140が組み付けられたメータケース150には、見返しパネル110が組み付けられる。
【0011】
即ち、装飾リング130は、導光リング140及びメータケース150を介して、見返しパネル110に位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−127523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、車両に搭載されるメータ類には、動作性能だけでなく、意匠性に優れたデザインが求められる。しかし、特許文献1の計器は、見返しパネル110が単調な単一のパネルであるため、デザインに変化を付け難いという問題があった。
【0014】
また、装飾リング130が、導光リング140やメータケース150などを介して見返しパネル110に位置決めされる構成で、見返しパネル110との間に介在する部品が多いため、累積公差等によって位置決め精度の向上が難しいという問題もあった。
【0015】
更に、装飾リング130を見返しパネル110に位置決めするまでに、装飾リング130の導光リング140への組み付け、導光リング140のメータケース150への組み付け、メータケース150の見返しパネル110への組み付けなど、多数の組み付け工程が発生し、装飾リングを固定する際の作業性が悪いという問題もあった。
【0016】
そこで、本願出願人は、上記の問題を解決するために、図5及び図6に示す計器の構造を開発した。
【0017】
図5及び図6において、符号200は計器における見返しパネル、符号300は見返しパネル200に位置決めされた装飾リング300である。
【0018】
この装飾リング300は、図1に示すコンビネーションメータ10に装備される小型の計器31,32,33,34において使用されるものである。
【0019】
更に詳しく説明すると、装飾リング300は、図1の計器31,32,33,34における円盤状のメータ文字板31a,32a,33a,34aの外周を囲う環状構造である。
【0020】
なお、図5及び図6に示した装飾リング300は、図1に示すコンビネーションメータ10における計器31のメータ文字板31aの外周を装飾するリングで、外周に金属調メッキが施されている。
【0021】
見返しパネル200は、第1の見返しパネル部材210の外周に第2の見返しパネル部材220を連結して、所定の大きさのパネル表面を形成している。
【0022】
第1の見返しパネル部材210は、見返しパネル200の全体範囲において略中央の範囲を提供するパネルである。第2の見返しパネル部材220は、第1の見返しパネル部材210の両側の範囲を提供するパネルである。
【0023】
第1の見返しパネル部材210と第2の見返しパネル部材220とは、配色等を互いに独立にデザインすることができる。
【0024】
第2の見返しパネル部材220は、図5に示すように、その一側面(内側面)220aを第1の見返しパネル部材210の側端面210aに突き合わせて、不図示の連結機構によって第1の見返しパネル部材210に連結される。
【0025】
第1の見返しパネル部材210の側端面210aには、パネル表面側から視て半円状と成る開口212が設けられている。また、第2の見返しパネル部材220の一側面220aには、第1の見返しパネル部材210上の開口212に対向して、パネル表面側から視て半円状と成る開口222が設けられている。
【0026】
図5に示すように第1の見返しパネル部材210と第2の見返しパネル部材220とが互いの側縁を突き合わせて連結された状態では、開口212と開口222とが繋がって、メータ文字板31aを配置するための円形開口部230が形成される。
【0027】
図6に示すように、装飾リング300は、外径が円形開口部230よりも大きく、内径が円形開口部230よりも小さく形成された環状のリングである。この装飾リング300は、内周部が一定の幅で円形開口部230の内周に沿って露出するように、見返しパネル200の裏面側に配置され、見返しパネル200の裏面にねじ止めされるリング押さえ部材250により見返しパネル200に押圧固定される。
【0028】
図6に示すように、リング押さえ部材250は、装飾リング300の裏面に当接する環状部251と、環状部251の外周から延出して見返しパネル200にねじ止めされる取り付け片252と、を備えている。
【0029】
図5及び図6に示した取り付け構造では、見返しパネル200が第1の見返しパネル部材210と第2の見返しパネル部材220との複数のパネル部材より構成され、それぞれのパネル部材210,220に個別に配色等のデザインを施すことができる。そのため、見返しパネル200のデザインに変化を付け易く、見返しパネル200の意匠性を向上させることができる。
【0030】
また、装飾リング300が、見返しパネル200に直接位置決めされる構成であるため、多数部品の介在による累積公差が発生せず、見返しパネル200に対する装飾リング300の位置決め精度を向上させることができる。
【0031】
また、装飾リング300を見返しパネル200に固定する際に介在する部品が、リング押さえ部材250とねじ部材だけで良く、特許文献1の計器100と比較すると、構成部品が削減されている。しかし、見返しパネル200とは別部材のリング押さえ部材250を使用することが、構成部品の増加を招き、装飾リングを固定する際の作業性を低下させる要因となっていた。
【0032】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、見返しパネルのデザインに変化を付け易く、また、見返しパネルに対する装飾リングの位置決め精度を向上させ易く、更に、構成部品の削減によるコスト低減を図れるだけでなく、装飾リングを固定する際の作業性を向上させることもできる計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) コンビネーションメータ等における見返しパネルに配置される円盤状のメータ文字板と、当該メータ文字板の外周を囲う環状の装飾部を形成する装飾リングと、を備える計器であって、
前記装飾リングは、前記装飾部を提供するリング本体と、当該リング本体の周方向の一部範囲の裏面から環状構造の径方向外方に向かって突設された取り付け片と、を備え、
前記見返しパネルは、第1の見返しパネル部材と、一側面を前記第1の見返しパネル部材の側端面に突き合わせて前記第1の見返しパネル部材に連結される第2の見返しパネル部材と、を備え、
前記第1の見返しパネル部材は、
前記第2の見返しパネル部材が突き合わされる前記側端面に形成されたリング保持溝であって、前記装飾部を形成する環状の前記リング本体の一部の外周縁を環状構造の径方向に割り込ませることで前記リング本体の一側を保持するリング保持溝と、
前記第1の見返しパネル部材の前記側端面側の表面を凹ませて形成された取り付け載置面であって、前記リング本体の一側を前記リング保持溝に割り込ませたときに前記取り付け片が載置状態となる取り付け載置面と、
前記第1の見返しパネル部材の表面側から前記取り付け片をねじ止め可能に前記取り付け載置面に形成されたねじ部と、を備え、
前記装飾リングは、前記リング本体の一側の外周部を前記リング保持溝へ嵌合させると共に、前記取り付け片を前記取り付け載置面にねじ止めすることで、前記第1の見返しパネル部材の前記側端面に直接固定されることを特徴とする計器。
【0034】
(2) 前記第1の見返しパネル部材は、
前記第2の見返しパネル部材が突き合わされる前記側端面の裏面寄りの位置から前記第2の見返しパネル部材側に張り出して設けられて前記リング本体を載置可能な環状のリング載置面と、
前記リング載置面と対向するように前記第1の見返しパネル部材の表面側の層を前記第2の見返しパネル部材側に張り出して形成される第1の押さえフランジ部であって、前記リング載置面との間に前記リング保持溝を画成する第1の押さえフランジ部と、
前記リング載置面と連続するように前記第1の見返しパネル部材の表面から凹んで形成された前記取り付け載置面であって、前記リング本体の一側の外周を前記リング保持溝に割り込ませて前記リング本体を前記リング載置面に載置状態にしたときに前記取り付け片が載置状態となる前記取り付け載置面と、を備えたことを特徴とする上記(1)に記載の計器。
【0035】
(3) 前記取り付け載置面には、前記第1の見返しパネル部材と前記第2の見返しパネル部材との突き合わせ方向に沿って延在する案内部を備え、
前記取り付け片には、前記リング本体をその環状構造の径方向に沿って前記リング保持溝に割り込ませる際に前記案内部に摺動可能に係合して、前記リング本体の移動方向を規制する案内係合部を備え、
前記案内部及び案内係合部の一方はガイド溝、他方はガイド溝に摺動可能に係合するリブであることを特徴とする上記(2)に記載の計器。
【0036】
(4) 前記第2の見返しパネル部材は、
前記第1の見返しパネル部材との連結状態になったときに、前記リング保持溝からはみ出している前記リング本体の外周縁を押さえる第2の押さえフランジ部と、
前記第1の見返しパネル部材との連結状態になったときに、前記取り付け片の上を覆う取付部隠し部と、を備えた
ことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の計器。
【0037】
上記(1)の構成によれば、見返しパネルが第1の見返しパネル部材と第2の見返しパネル部材との複数のパネル部材より構成され、それぞれのパネル部材に個別に配色等のデザインを施すことができる。そのため、見返しパネルのデザインに変化を付け易く、見返しパネルの意匠性を向上させることができる。
【0038】
また、上記(1)の構成によれば、装飾リングが、見返しパネルに直接位置決めされる構成であるため、多数部品の介在による累積公差が発生せず、見返しパネルに対する装飾リングの位置決め精度を向上させることができる。
【0039】
また、上記(1)の構成によれば、装飾リングは、リング本体と、このリング本体に突設された取り付け片とを備えている。そして、装飾リングは、リング本体の一側の外周部を第1の見返しパネル部材における側端面のリング保持溝へ嵌合させると共に、取り付け片を第1の見返しパネル部材上の取り付け載置面にねじ止めすることで、第1の見返しパネル部材の側端面に固定される。
【0040】
即ち、上記(1)の構成によれば、装飾リングは、見返しパネルとは別部材のリング押さえ部材を使用せずに、ねじ部材だけで、第1の見返しパネル部材の側端面に直接固定される。また、取り付け片のねじ止め作業は、第1の見返しパネル部材の表面側から実施することができ、ねじ止め作業も実施し易い。
【0041】
従って、構成部品の削減によるコスト低減を図れるだけでなく、装飾リングを固定する際の作業性を向上させることもできる。
【0042】
上記(2)の構成によれば、第1の見返しパネル部材は、リング保持溝に隣接して、環状のリング載置面を有している。そのため、装飾リングのリング本体の一側をリング保持溝に割り込ませて保持させた際に、リング本体のリング保持溝からはみ出た部分は、リング載置面により支持され、リング本体の略全周が支持されるため、装飾リングを安定した姿勢に保持することができ、装飾リングの位置決め精度の向上に適している。
【0043】
また、上記(2)の構成によれば、装飾リングは、リング本体の一側の外周を第1の見返しパネル部材のリング保持溝に割り込ませてリング本体をリング載置面に載置状態にしたときに、取り付け片が第1の見返しパネル部材上の取り付け載置面に載置状態となる。そのため、速やかに、取り付け片のねじ止め作業にかかることができる。従って、装飾リングをねじ止めするまでの一連の操作を円滑にして、作業性の向上を図ることができる。
【0044】
上記(3)の構成によれば、装飾リングを第1の見返しパネル部材の側端面に組み付ける際に、装飾リングの移動方向は、案内部と案内係合部との係合により規制される。そのため、装飾リングがその環状構造の周方向に不用意に回動することを防止して、装飾リングを正確に取り付け載置面に誘導することができ、装飾リングを取り付ける際の操作を容易にすることができる。
【0045】
上記(4)の構成によれば、第1の見返しパネル部材に第2の見返しパネル部材が連結状態になったときには、第1の見返しパネル部材のリング保持溝からはみ出しているリング本体の外周縁は、第2の押さえフランジ部によって第1の見返しパネル部材のリング載置面に押さえ込まれる。従って、装飾リングの全周を、しっかりとリング載置面に固定することができる。
【0046】
また、装飾リングの取り付け片や、該取り付け片を取り付け載置面に固定するねじ等は、第2の見返しパネル部材の取付部隠し部によって覆われて隠される。従って、ねじ等の露出によって意匠的外観が損なわれることがなく、すっきりとしたパネルデザインを得ることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明による計器によれば、見返しパネルが第1の見返しパネル部材と第2の見返しパネル部材との複数のパネル部材より構成され、それぞれのパネル部材に個別に配色等のデザインを施すことができる。そのため、見返しパネルのデザインに変化を付け易く、見返しパネルの意匠性を向上させることができる。
【0048】
また、本発明による計器によれば、装飾リングが、見返しパネルに直接位置決めされる構成であるため、多数部品の介在による累積公差が発生せず、見返しパネルに対する装飾リングの位置決め精度を向上させることができる。
【0049】
また、本発明による計器によれば、装飾リングは、見返しパネルとは別部材のリング押さえ部材を使用せずに、ねじ部材だけで、第1の見返しパネル部材の側端面に直接固定される。また、取り付け片のねじ止め作業は、第1の見返しパネル部材の表面側から実施することができ、ねじ止め作業も実施し易い。
【0050】
従って、構成部品の削減によるコスト低減を図れるだけでなく、装飾リングを固定する際の作業性を向上させることもできる。
【0051】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は本発明に係る計器を含むコンビネーションメータの一実施形態の正面図である。
図2図2図1のB−B断面図である。
図3図3図2に示した第1の見返しパネル部材及び装飾リングの分解斜視図である。
図4図4は従来の計器の分解斜視図である。
図5図5は本願出願人が本発明の前に開発した計器の装飾リングの取付構造を示す平面図である。
図6図6図5のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明に係る計器の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1図3は本発明に係る計器の一実施形態を示したもので、図1は本発明に係る計器を含むコンビネーションメータの一実施形態の正面図、図2図1のB−B断面図、図3図2に示した第1の見返しパネル部材及び装飾リングの分解斜視図である。
【0054】
図1に示したコンビネーションメータ10は、車両のダッシュボードに配置される複合メータで、1つの見返しパネル20上に複数の計器31〜37が配置される。
【0055】
計器31〜34は小型の丸型計器で、計器31は油圧計、計器32は電圧計、計器33は水温計、計器34は燃料計である。また、計器35,36は大型の丸型計器で、計器35は速度計、計器36は回転計である。また、計器37は、表示装置として角形の液晶ディスプレイを使って多種の情報を表示する計器で、走行距離を示すオドメータや、燃費計や、ギヤポジションインジケータなどとして機能することができる。
【0056】
計器31〜34は、見返しパネル20に配置される円盤状のメータ文字板31a,32a,33a,34aと、装飾リング40と、を備えている。装飾リング40は、それぞれのメータ文字板31a,32a,33a,34aの外周を囲う環状の縁取り状の装飾部40aを形成するリングである。
【0057】
装飾リング40は、図3に示すように、装飾部40aを提供する環状のリング本体41と、取り付け片42と、を備えている。取り付け片42は、リング本体41の周方向の一部範囲の裏面から環状構造の径方向外方に向かって突設されている。この取り付け片42には、見返しパネル20の表面と直交する方向に貫通するように、取付孔42aが形成されている。この取付孔42aは、ねじ止め用の孔である。
【0058】
取り付け片42には、案内係合部としてのリブ421が、設けられている。このリブ421は、図3に示すように、リング本体41をその環状構造の径方向(図3の矢印C方向)に沿って後述のリング保持溝65に割り込ませる際に、後述のガイド溝67に摺動可能に係合する。リブ421は、後述のガイド溝67に係合することで、リング本体41の移動方向を、ガイド溝67の延在方向に規制する。
【0059】
見返しパネル20は、第1の見返しパネル部材21の外周に第2の見返しパネル部材22を連結して、所定の大きさのパネル表面を形成している。
【0060】
第1の見返しパネル部材21は、見返しパネル20の全体範囲において略中央の範囲を提供するパネルである。第2の見返しパネル部材22は、第1の見返しパネル部材21の両側の範囲を提供するパネルである。
【0061】
第1の見返しパネル部材21と第2の見返しパネル部材22とは、配色等を互いに独立にデザインすることができる。
【0062】
第2の見返しパネル部材22は、図1に示すように、その一側面22aを第1の見返しパネル部材21の両側の側端面21aに突き合わせた状態で、不図示の連結機構によって、第1の見返しパネル部材21に連結される。
【0063】
第1の見返しパネル部材21の側端面21aには、パネル表面側から視て半円状と成る開口21bが設けられている。また、第2の見返しパネル部材22の一側面22aには、第1の見返しパネル部材21上の開口21bに対向して、パネル表面側から視て半円状と成る開口22bが設けられている。
【0064】
図1に示すように第1の見返しパネル部材21と第2の見返しパネル部材22とが互いの側縁を突き合わせて連結された状態では、開口21bと開口22bとが繋がって、メータ文字板31aを配置するための円形開口部230が形成される。
【0065】
図2に示すように、装飾リング40は、外径が円形開口部230よりも大きく、内径が円形開口部230よりも小さく形成された環状のリングである。
【0066】
本実施形態の第1の見返しパネル部材21は、図3に示すように、環状のリング載置面61と、第1の押さえフランジ部62と、取り付け載置面63と、を備えている。
【0067】
リング載置面61は、リング本体41を載置可能な環状の面で、第2の見返しパネル部材22が突き合わされる側端面21aの裏面寄りの位置から第2の見返しパネル部材22側に張り出して設けられている。
【0068】
第1の押さえフランジ部62は、リング載置面61と対向するように第1の見返しパネル部材21の表面側の層を前記第2の見返しパネル部材22側に張り出して形成されたフランジ部である。この第1の押さえフランジ部62は、図3に示すように、リング載置面61との間に、リング保持溝65を画成する。
【0069】
リング保持溝65は、第2の見返しパネル部材22が突き合わされる第1の見返しパネル部材21の側端面21aに形成された溝である。また、リング保持溝65は、装飾部40aを形成する環状のリング本体41の一部の外周縁を環状構造の径方向(図3の矢印C方向)に割り込ませることで、リング本体41の一側を保持する。
【0070】
取り付け載置面63は、図3に示すように、リング載置面61と連続するように、第1の見返しパネル部材21の表面から凹んで形成されている。この取り付け載置面63は、リング本体41の一側の外周をリング保持溝65に割り込ませてリング本体41をリング載置面61に載置状態にしたときに、取り付け片42が載置状態となる。
【0071】
取り付け載置面63には、第1の見返しパネル部材21の表面側から取り付け片42をねじ止め可能に、ねじ部66が形成されている。
【0072】
また、取り付け載置面63には、第1の見返しパネル部材21と第2の見返しパネル部材22との突き合わせ方向に沿って延在する案内部としてのガイド溝67が備えられている。このガイド溝67は、取り付け片42上のリブ421が摺動可能に嵌合する溝である。
【0073】
本実施形態の計器31における装飾リング40は、リング本体41の一側の外周部をリング保持溝65へ嵌合させると共に、取り付け片42を取り付け載置面63にねじ止めすることで、第1の見返しパネル部材21の側端面21aに直接固定される。
【0074】
第1の見返しパネル部材21に固定された装飾リング40は、リング本体41の内周部が一定の幅で円形開口部230の内周に沿って露出するように、第1の見返しパネル部材21に位置決めされる。
【0075】
第2の見返しパネル部材22は、図1に示すように、第2の押さえフランジ部22dと、取付部隠し部22eと、を備えている。
【0076】
第2の押さえフランジ部22dは、第2の見返しパネル部材22が第1の見返しパネル部材21との連結状態になったときに、図2に示すように、リング保持溝65からはみ出しているリング本体41の外周縁を、リング載置面61に押さえ込む。
【0077】
取付部隠し部22eは、図1に示すように、第2の見返しパネル部材22が第1の見返しパネル部材21との連結状態になったときに、取り付け片42の上を覆って、取り付け片42や、取り付けねじを隠す。
【0078】
以上に説明した一実施形態の計器31の場合、見返しパネル20が第1の見返しパネル部材21と第2の見返しパネル部材22との複数のパネル部材より構成され、それぞれのパネル部材に個別に配色等のデザインを施すことができる。そのため、見返しパネル20のデザインに変化を付け易く、見返しパネル20の意匠性を向上させることができる。
【0079】
また、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、装飾リング40が、見返しパネル20に直接位置決めされる構成であるため、多数部品の介在による累積公差が発生せず、見返しパネル20に対する装飾リング40の位置決め精度を向上させることができる。
【0080】
また、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、装飾リング40は、リング本体41と、このリング本体41に突設された取り付け片42とを備えている。そして、装飾リング40は、リング本体41の一側の外周部を第1の見返しパネル部材21における側端面21aのリング保持溝65へ嵌合させると共に、取り付け片42を第1の見返しパネル部材21上の取り付け載置面63にねじ止めすることで、第1の見返しパネル部材21の側端面21aに固定される。
【0081】
即ち、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、装飾リング40は、見返しパネル20とは別部材のリング押さえ部材を使用せずに、ねじ部材だけで、第1の見返しパネル部材21の側端面21aに直接固定される。また、取り付け片42のねじ止め作業は、第1の見返しパネル部材21の表面側から実施することができ、ねじ止め作業も実施し易い。
【0082】
従って、構成部品の削減によるコスト低減を図れるだけでなく、装飾リング40を固定する際の作業性を向上させることもできる。
【0083】
また、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、第1の見返しパネル部材21は、リング保持溝65に隣接して、環状のリング載置面61を有している。そのため、装飾リング40のリング本体41の一側をリング保持溝65に割り込ませて保持させた際に、リング本体41のリング保持溝65からはみ出た部分は、リング載置面61により支持され、リング本体41の略全周が支持されるため、装飾リング40を安定した姿勢に保持することができ、装飾リング40の位置決め精度の向上に適している。
【0084】
また、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、装飾リング40は、リング本体41の一側の外周を第1の見返しパネル部材21のリング保持溝65に割り込ませてリング本体41をリング載置面61に載置状態にしたときに、取り付け片42が第1の見返しパネル部材21上の取り付け載置面63に載置状態となる。そのため、速やかに、取り付け片42のねじ止め作業にかかることができる。従って、装飾リング40をねじ止めするまでの一連の操作を円滑にして、作業性の向上を図ることができる。
【0085】
また、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、装飾リング40を第1の見返しパネル部材21の側端面21aに組み付ける際に、装飾リング40の移動方向は、案内部と案内係合部との係合により規制される。そのため、装飾リング40がその環状構造の周方向に不用意に回動することを防止して、装飾リング40を正確に取り付け載置面に誘導することができ、装飾リング40を取り付ける際の操作を容易にすることができる。
【0086】
また、以上に説明した一実施形態の計器31の場合、第1の見返しパネル部材21に第2の見返しパネル部材22が連結状態になったときには、第1の見返しパネル部材21のリング保持溝65からはみ出しているリング本体41の外周縁は、第2の押さえフランジ部22dによって第1の見返しパネル部材21のリング載置面61に押さえ込まれる。従って、装飾リング40の全周を、しっかりとリング載置面61に固定することができる。
【0087】
また、装飾リング40の取り付け片42や、該取り付け片42を取り付け載置面63に固定するねじ等は、第2の見返しパネル部材22の取付部隠し部22eによって覆われて隠される。従って、ねじ等の露出によって意匠的外観が損なわれることがなく、すっきりとしたパネルデザインを得ることができる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0089】
例えば、本発明の計器の構造は、図1に示したコンビネーションメータ10において、計器31に限らず、同様に装飾リング40を装備している計器32〜34にも適用することができる。
【0090】
また、本発明の取り付け載置面に装備する案内部、及び取り付け片に装備する案内係合部は、上記の実施形態とは逆に、案内部をリブにして、案内係合部をガイド溝にしても良い。
【0091】
ここで、上述した本発明に係る計器の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0092】
[1] コンビネーションメータ等における見返しパネル(20)に配置される円盤状のメータ文字板(31a)と、当該メータ文字板(31a)の外周を囲う環状の装飾部(40a)を形成する装飾リング(40)と、を備える計器(31)であって、
前記装飾リング(40)は、前記装飾部(40a)を提供するリング本体(41)と、当該リング本体(41)の周方向の一部範囲の裏面から環状構造の径方向外方に向かって突設された取り付け片(42)と、を備え、
前記見返しパネル(20)は、第1の見返しパネル部材(21)と、一側面(22a)を前記第1の見返しパネル部材(21)の側端面(21a)に突き合わせて前記第1の見返しパネル部材(21)に連結される第2の見返しパネル部材(22)と、を備え、
前記第1の見返しパネル部材(21)は、
前記第2の見返しパネル部材(22)が突き合わされる前記側端面(21a)に形成されたリング保持溝(65)であって、前記装飾部(40a)を形成する環状の前記リング本体(41)の一部の外周縁を環状構造の径方向に割り込ませることで前記リング本体(41)の一側を保持するリング保持溝(65)と、
前記第1の見返しパネル部材(21)の前記側端面(21a)側の表面を凹ませて形成された取り付け載置面(63)であって、前記リング本体(41)の一側を前記リング保持溝(65)に割り込ませたときに前記取り付け片(42)が載置状態となる取り付け載置面(63)と、
前記第1の見返しパネル部材(21)の表面側から前記取り付け片(42)をねじ止め可能に前記取り付け載置面(63)に形成されたねじ部(66)と、を備え、
前記装飾リング(40)は、前記リング本体(41)の一側の外周部を前記リング保持溝(65)へ嵌合させると共に、前記取り付け片(42)を前記取り付け載置面(63)にねじ止めすることで、前記第1の見返しパネル部材(21)の前記側端面(21a)に直接固定されることを特徴とする計器(31)。
【0093】
[2] 前記第1の見返しパネル部材(21)は、
前記第2の見返しパネル部材(22)が突き合わされる前記側端面(21a)の裏面寄りの位置から前記第2の見返しパネル部材(22)側に張り出して設けられて前記リング本体(41)を載置可能な環状のリング載置面(61)と、
前記リング載置面(61)と対向するように前記第1の見返しパネル部材(21)の表面側の層を前記第2の見返しパネル部材(22)側に張り出して形成される第1の押さえフランジ部であって、前記リング載置面(61)との間に前記リング保持溝(65)を画成する第1の押さえフランジ部(62)と、
前記リング載置面(61)と連続するように前記第1の見返しパネル部材(21)の表面から凹んで形成された前記取り付け載置面(63)であって、前記リング本体(41)の一側の外周を前記リング保持溝(65)に割り込ませて前記リング本体(41)を前記リング載置面(61)に載置状態にしたときに前記取り付け片(42)が載置状態となる前記取り付け載置面(63)と、を備えたことを特徴とする上記[1]に記載の計器(31)。
【0094】
[3] 前記取り付け載置面(63)には、前記第1の見返しパネル部材(21)と前記第2の見返しパネル部材(22)との突き合わせ方向に沿って延在する案内部(67)を備え、
前記取り付け片(42)には、前記リング本体(41)をその環状構造の径方向に沿って前記リング保持溝(65)に割り込ませる際に前記案内部(67)に摺動可能に係合して、前記リング本体(41)の移動方向を規制する案内係合部(421)を備え、
前記案内部及び案内係合部の一方はガイド溝(67)、他方はガイド溝(67)に摺動可能に係合するリブ(421)であることを特徴とする上記[2]に記載の計器(31)。
【0095】
[4] 前記第2の見返しパネル部材(22)は、
前記第1の見返しパネル部材(21)との連結状態になったときに、前記リング保持溝(65)からはみ出している前記リング本体(41)の外周縁を押さえる第2の押さえフランジ部(22d)と、
前記第1の見返しパネル部材(21)との連結状態になったときに、前記取り付け片(42)の上を覆う取付部隠し部(22e)と、を備えた
ことを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の計器(31)。
【符号の説明】
【0096】
20 見返しパネル
21 第1の見返しパネル部材
21a 側端面
22 第2の見返しパネル部材
22a 一側面
22d 第2の押さえフランジ部
22e 取り付け部隠し部
31 計器
31a メータ文字板
40 装飾リング
40a 装飾部
41 リング本体
42 取り付け片
61 リング載置面
62 第1の押さえフランジ部
63 取り付け載置面
65 リング保持溝
66 ねじ部
67 ガイド溝(案内部)
421 リブ(案内係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6