(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合部の外周面において前記ステータが位置する側とは反対側の縁、および前記開口部の内周面において前記ステータが位置する側の縁の少なくとも一方の縁は、テーパ面になっていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のモータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成の場合には、係合部の径方向の外側端部で周方向に延在する部分が開口部の径方向の外側端部で周方向に延在する部分に接するため、係合部あるいは開口部のいずれかの寸法精度が低いと、係合部を開口部に嵌めることができず、軸受部材と端板とを適正に重ねることが困難となる問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、軸受部材と端板とを適正な位置関係をもって効率よく重ねることのできるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、回転軸を備えたロータと、前記ロータの周りに配置されたステータと、前記ステータのモータ軸線方向の一方の端部で前記回転軸を回転可能に支持する軸受部材と、該軸受部材に対して前記ステータとは反対側から重なって当該軸受部材を前記ステータとの間に保持する端板と、を有するモータにおいて、前記軸受部材は、前記ステータの端面に重なる係合部を周方向の複数個所に備え、前記端板は、前記複数の係合部が各々嵌る開口部を周方向の複数個所に備え、前記係合部の外周面で周方向に延在する部分、および前記開口部の内周面で周方向に延在する部分の一方側部分には、他方側部分に向かって突出して当該他方側部分に当接することにより前記軸受部材と前記端板との径方向の位置決めを行う凸部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、ステータの端部に配置された軸受部材を端板によってステータとの間に保持した構造とするにあたって、軸受部材はステータの端面に重なる係合部を周方向の複数個所に備え、端板は、複数の係合部が各々嵌る開口部を周方向の複数個所に備えている。このため、軸受部材の係合部に端板がモータ軸線方向で重ならないので、ステータ周辺のモータ軸線方向の寸法を縮小することができる。ここで、軸受部材と端板との径方向の位置決めを行うにあたって、係合部の外周面で周方向に延在する部分、または開口部の内周面で周方向に延在する部分には凸部が形成されているので、係合部の外周面と開口部の内周面とは、径方向で凸部を介して接することになる。それ故、軸受部材と端板とを重ねる際、係合部を開口部に容易に嵌めることができるので、軸受部材と端板とを適正な位置関係をもって効率よく重ねることができる。
【0009】
本発明において、前記凸部は、半円形の平面形状を有していることが好ましい。かかる構成によれば、寸法公差の影響で係合部が開口部に嵌りにくい場合でも、係合部を開口部に嵌る際、少し大きな力を加えれば凸部が変形するので、軸受部材と端板と重ねる際、係合部を開口部に容易に嵌めることができる。
【0010】
本発明において、前記複数の全ての係合部の外周面、または前記複数の全ての開口部の内周面に前記凸部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、軸受部材と端板との径方向の位置決めを確実に行うことができ、この場合でも、係合部を開口部に容易に嵌めることができる。
【0011】
本発明において、前記係合部および前記開口部は、略矩形形状であり、前記凸部は、前記係合部の径方向の最も外側の部分、または前記開口部の径方向の最も外側の部分に形成されている構成を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記凸部は、前記軸受部材の側に形成されており、前記凸部の外周面において前記ステータが位置する側とは反対側の縁がテーパ面になっていることが好ましい。かかる構成によれば、軸受部材と端板と重ねる際、係合部を開口部に容易に嵌めることができる。
【0013】
本発明において、前記凸部は、前記端板の側に形成されており、前記凸部の外周面において前記ステータが位置する側の縁がテーパ面になっていることが好ましい。かかる構成によれば、軸受部材と端板とを重ねる際、係合部を開口部に容易に嵌めることができる。
【0014】
本発明において、前記係合部の外周面において前記ステータが位置する側とは反対側の縁、および前記開口部の内周面において前記ステータが位置する側の縁の少なくとも一方の縁は、テーパ面になっていることが好ましい。
【0015】
本発明において、前記複数の係合部は各々、前記軸受部材の中心側から径方向外側に向かって突出しており、前記軸受部材と前記端板との周方向の位置決めは、前記係合部において径方向外側に向けて延在する側面部が前記開口部の内周面に当接することによって行われている構成を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記端板は、前記回転軸をモータ軸線方向に付勢する板バネ部を備えた付勢部材である構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、ステータの端部に配置された軸受部材を端板によってステータとの間に保持した構造とするにあたって、軸受部材はステータの端面に重なる係合部を周方向の複数個所に備え、端板は、複数の係合部が各々嵌る開口部を周方向の複数個所に備えている。このため、軸受部材の係合部に端板がモータ軸線方向で重ならないので、ステータ周辺のモータ軸線方向の寸法を縮小することができる。ここで、軸受部材と端板との径方向の位置決めを行うにあたって、係合部の外周面で周方向に延在する部分、または開口部の内周面で周方向に延在する部分には凸部が形成されているので、係合部の外周面と開口部の内周面とは、径方向で凸部を介して接することになる。それ故、軸受部材と端板とを重ねる際、係合部を開口部に容易に嵌めることができるので、軸受部材と端板とを適正な位置関係をもって効率よく重ねることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用したモータの一例を説明する。なお、以下の説明において、モータ軸線方向Lのうち、回転軸50がステータ40から突出している側を出力側L1とし、回転軸50がステータ40から突出している側とは反対側を反出力側L2として説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモータの説明図であり、
図1(a)、(b)はモータの半断面図、およびモータを反出力側からみた背面図である。
【0021】
図1に示すモータ1は、DVDやブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置において光ヘッドの駆動等に用いられるステッピングモータであり、円筒状のステータ40を有している。ステータ40では、A相用のステータとB相用のステータとがモータ軸線方向Lに重ねて配置された構造を有している。このため、ステータ40では、コイル線20が巻回された環状の2つのコイルボビン2(第1のコイルボビン2Aと第2のコイルボビン2B)がモータ軸線方向Lに重ねて配置されており、かかるコイルボビン2には各々、内ステータコア3および外ステータコア4が重ねて配置されている。より具体的には、第1のコイルボビン2Aにおいてモータ軸線方向Lの両側には、環状の内ステータコア3A、および断面U字形状の外ステータコア4Aが重ねて配置され、第2のコイルボビン2Bにおいてモータ軸線方向Lの両側には、環状の内ステータコア3B、および断面U字形状の外ステータコア4Bが重ねて配置されている。第1のコイルボビン2Aおよび第2のコイルボビン2Bの内周面では、内ステータコア3A、3Bおよび外ステータコア4A、4Bの複数の極歯31、41が周方向に並んだ構成となっている。このようにして、ロータ配置穴30を備えた円筒状のステータ40が構成されており、ステータ40の径方向内側にはロータ5が同軸状に配置されている。本形態では、外ステータコア4A、4Bが各々、第1のコイルボビン2Aおよび第2のコイルボビン2Bの径方向外側まで延在してモータケース10を構成している。
【0022】
コイルボビン2(第1のコイルボビン2Aおよび第2のコイルボビン2B)は樹脂製であり、コイルボビン2には端子91(端子91A、91B)を保持する端子台25(25A、25B)が一体に形成されている。端子91(端子91A、91B)は、モータケース10より径方向外側に突出しており、フレキシブル配線基板等の配線材(図示せず)が接続される。
【0023】
ロータ5では回転軸50がモータ軸線方向Lに延在しており、回転軸50の反出力側L2寄りの位置には円筒状の永久磁石59が接着剤56によって固着されている。永久磁石59は、ロータ配置穴30の内側において、外周面590が径方向の内側でステータ40の極歯31、41と所定の間隔を介して対向している。回転軸50は、ステンレス、真鍮、アルミニウム等の金属材料からなり、回転軸50の外周面57のうち、ステータ40から突出する側(出力側L1)の外周面57には、光ヘッド(図示せず)側に形成されたラックが係合する螺旋溝58が形成されている。回転軸50において、螺旋溝58が形成されている部分は、永久磁石59が固着されている部分より大径である。
【0024】
(プレート65の構成)
ステータ40に対して出力側L1にはプレート65が設けられている。プレート65は、ステータ40の出力側L1の端面48(モータケース10の出力側L1の端面)に溶接等の方法で固定された固定板部651と、固定板部651に出力側L1で対向して回転軸50の出力側L1の端部51を支持する支持板部652と、モータ軸線方向Lに延在して固定板部651と支持板部652とを連結する連結板部653とを備えている。固定板部651には、回転軸50を貫通させる穴650が形成されている。
【0025】
(出力側L1の軸受構造)
プレート65において支持板部652には、回転軸50の出力側L1の端部51をモータ軸線方向Lおよび径方向で回転可能に支持する出力側L1の軸受機構6が構成されている。かかる軸受機構6では、プレート65の支持板部652に出力側L1の軸受部材60が固定されており、回転軸50の出力側L1の端部51は、軸受部材60の反出力側L2の端面で出力側L1に向けて凹む凹部61の内側に嵌って支持されている。軸受部材60は、プレート65の支持板部652に形成された穴656を貫通した状態で支持板部652の反出力側L2の面に当接する大径部64を有しており、軸受部材60は、大径部64によって出力側L1への移動が規制されている。回転軸50において、出力側L1の端部51は、螺旋溝58が形成されている部分より小径であり、かつ、半球状に加工されている。
【0026】
(外ステータコア4Bの構成)
以下、反出力側L2の軸受機構7の詳細構成を説明する前に、ステータ40の反出力側L2の端面を構成するB相用の外ステータコア4Bの構成を説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態1に係るモータ1の外ステータコア4Bの説明図であり、
図2(a)、(b)、(c)は、外ステータコア4Bを極歯41が突出している側からみた平面図、側面図、およびP−O−P′線に沿って切断したときの切断端面図である。
【0028】
図1および
図2において、本形態のモータ1において、外ステータコア4Bは、モータケース10を構成するケース部材として構成されていることから、断面U字形状を有している。より具体的には、外ステータコア4Bは、円環部45と、円環部45の内周縁からモータ軸線方向Lの出力側L1に切り起こされた複数枚の極歯41と、円環部45の外周縁からモータ軸線方向Lの出力側L1に延在して極歯41に径方向外側で対向する円筒状の筒部46とを有しており、円環部45の反出力側L2の面によって、ステータ40の反出力側L2の端面49が構成されている。かかる外ステータコア4Bは、コイル線20が巻回されたコイルボビン2に重ねて配置され、その結果、極歯41と筒部46との間にコイルボビン2が配置された状態となる。ここで、円環部45の内周縁には、周方向で隣り合う極歯41で挟まれた部分が径方向外側に向けて切り欠かれた凹部451になっており、かかる凹部451は、後述する軸受部材70の周方向の位置決めを行っている。凹部451の一部には、さらに径方向外側に円弧状に切り欠かれた切り欠き452が形成されており、かかる切り欠き462は、外ステータコア4Bと軸受部材70とを位置決めする際に位置決めピン(治具/図示せず)が挿入される。
【0029】
筒部46の先端縁には、相対向する位置にモータ軸線方向Lに切り欠かれた2つの切り欠き461、468が形成されており、外ステータコア4Bとコイルボビン2とを組み合わせる際、外ステータコア4Bとコイルボビン2とは、切り欠き461、468のうち、周方向の寸法が大の切り欠き461がコイルボビン2の端子台25とモータ軸線方向Lで重なるように位置合わせされる。
【0030】
本形態では、切り欠き461の両端部は半円状の浅い切り欠き462になっており、切り欠き462に周方向で隣接する位置には切り欠き461の底部より一段浅い段部463が形成されている。かかる切り欠き461の両端には、
図1(a)に示すように、内ステータコア3Bの外周縁から径方向外側に突出する凸部36が入り込み、段部463は、内ステータコア3Bの凸部36にモータ軸線方向Lから当接して内ステータコア3Bの位置決めを行う。
【0031】
一方、周方向の寸法が小の切り欠き468には、内ステータコア3Bの外周縁から径方向外側に突出する凸部35が入り込み、切り欠き468の底部が内ステータコア3Bの凸部35にモータ軸線方向Lから当接して内ステータコア3Bの位置決めが行われている。なお、切り欠き468の両端部は、半円状にさらに深く切り欠かれた切り欠き469が形成されている。
【0032】
なお、A相用の外ステータコア4Aは、B相用の外ステータコア4Bとは、同一の構成であり、モータ軸線方向Lで対称に配置されている。
【0033】
(反出力側L1の軸受機構7の概略構成)
図1に示すように、本形態のモータ1において、回転軸50の反出力側L2の端部52には、回転軸50の反出力側L2の端部52をモータ軸線方向Lおよび径方向で回転可能に支持する反出力側L2の軸受機構7が構成されている。本形態において、永久磁石59の反出力側L2の端面には、出力側L1に向けて凹む凹部595が形成されており、軸受機構7は、永久磁石59から反出力側L2に向けて突出する回転軸50の反出力側L2の端部52を凹部595の内側で回転可能に支持している。回転軸50において、反出力側L2の端部52は、永久磁石59が固着されている部分よりわずかに小径であり、かつ、半球状に加工されている。
【0034】
反出力側L2の軸受機構7では、回転軸50の反出力側L2の端部52の周りに円盤状の軸受部材70が配置されており、回転軸50の端部52は、軸受部材70の円筒部71の内側に嵌って回転可能に支持されている。軸受部材70に対して反出力側L2には、端板80が配置されており、軸受部材70は、端板80とステータ40との間に保持されている。ここで、端板80は、回転軸50を出力側L1に向けて付勢する付勢部材として構成されている。より具体的には、端板80は、ステータ40の反出力側L2の端面49に溶接等により固定された円板部81と、円板部81の中央部分で切り起こされた板バネ部85とを備えており、円板部81は、ステータ40との間に軸受部材70の端部を保持し、板バネ部85は、回転軸50を出力側L1に向けて付勢している。ここで、回転軸50の出力側L1には、回転軸50の出力側L1の端部51をモータ軸線方向Lおよび径方向で回転可能に支持する出力側L1の軸受機構6が構成されている。従って、回転軸50は、出力側L1の端部51が軸受機構6に当接するように付勢された状態にあるため、回転軸50が回転した際、回転軸50のモータ軸線方向Lでのがたつきが防止されている。
【0035】
(軸受部材70の詳細構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係るモータ1の軸受部材70の説明図であり、
図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、軸受部材70を出力側L1からみた平面図、反出力側L2からみた底面図、側面図、Q−Q′断面図、およびQ′側の端部を拡大して示す断面図である。
【0036】
図3において、軸受部材70は、回転軸50の端部52を内側で支持する穴79を有する円筒部71と、円筒部71の反出力側L2の端部で拡径する円盤部72とを有する樹脂製部品である。また、軸受部材70において、円盤部72の反出力側L2の面には、中心側から径方向外側に延在する複数の係合部73を有しており、かかる係合部73は中心側で繋がっている。本形態では、係合部73として、略等角度間隔に3つの係合部73a、73b、73cが形成されており、かかる係合部73a、73b、73cはいずれも、略矩形形状を有している。かかる軸受部材70の外形寸法は、ステータ40の反出力側L2の端面49(外ステータコア4Bの円環部45)の外形寸法より小であり、円盤部72の外径寸法は、ステータ40の内径寸法(外ステータコア4Bの円環部45の内径寸法)と同一、あるいはわずかに大になっている。
【0037】
3つの係合部73a、73b、73cのうち、係合部73aに対して反対側には、板状の回り止め部74が形成されており、かかる回り止め部74は、係合部73a、73b、73cに比して径方向外側への突出寸法が小である。ここで、回り止め部74は、円盤部72の外周面から径方向外側に突出する一方、係合部73は、円盤部72の反出力側L2の面から径方向外側に突出している。このため、回り止め部74は、係合部73より出力側L1に位置する。回り止め部74と係合部73aとの間には、回り止め部74から軸受部材70の中央(穴79が形成されている位置)まで延在するバネ部収容用凹部75が形成されており、かかるバネ部収容用凹部75は、外周側から中心に向かって反出力側L2に向けて斜めに傾いたテーパ面になっている。
【0038】
このように構成した軸受部材70において、係合部73a、73b、73cは基本的には同一形状を有しており、径方向外側に向けて延在する一対の側面部731、732と、径方向の最も外周側で周方向に延在して側面部731、732に繋がる先端部733とを備えている。
【0039】
また、3つの係合部73a、73b、73cのいずれにおいても、先端部733の周方向の中央付近には、径方向外側に向けて突出する凸部734が形成されている。本形態において、3つの凸部734は、周方向において、等角度間隔に形成されている。このため、係合部73aに形成された凸部734は係合部73aの周方向の中央に形成され、係合部73b,73cに形成された凸部734は、係合部73b、73cの周方向の中央から一方側にずれた位置に形成されている。また、本形態において、凸部734は半円形の平面形状を有している。
【0040】
ここで、3つの係合部73a、73b、73cの周方向の寸法(幅寸法)を各々W73a、W73b、W73cとすると、かかる幅寸法は、以下の大小関係
W73a<W73b=W73c
を有している。すなわち、係合部73aの幅寸法W73aは、他の係合部73b、73cの幅寸法W73b、W73cに比して小となっている。
【0041】
本形態において、3つの係合部73(係合部73a、73b、73c)は、凸部734が形成されている位置やバネ部収容用凹部75が形成されている部分も含めて、外周面全体において、ステータ40が位置する側とは反対側(反出力側L2)の縁がテーパ面76(面取り面)になっている。
【0042】
(端板80の詳細構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係るモータ1の端板80の説明図であり、
図4(a)、(b)、(c)、(d)は、端板80を出力側L1からみた平面図、反出力側L2からみた底面図、側面図、およびR−R′断面図である。
【0043】
図4において、端板80は、円板部81と、円板部81の中央部分で斜めに切り起こされた矩形形状の板バネ部85と、円板部81の中央から径方向外側に向けて延在する開口部83とを有する金属板からなる。端板80において、開口部83は、周方向の複数個所に開口部83a、83b、83cとして略等角度間隔に形成されているが、中心側で繋がっている。また、板バネ部85の先端部85aは、開口部83aが位置する角度方向に向いている。かかる端板80の外形寸法は、ステータ40の反出力側L2の端面49(外ステータコア4Bの円環部45)の外形寸法より小であり、軸受部材70の外形寸法より大である。
【0044】
本形態において、円板部81の外周縁は、周方向の複数個所で直線的に切り欠かれており、3個所の直線部分811、812、813が略等角度間隔に形成されている。本形態では、開口部83a、83b、83cの間に相当する角度位置に直線部分811、812、813が形成されている。
【0045】
このように構成した端板80において、3つの開口部83a、83b、83cはいずれも、略矩形形状を有している。すなわち、開口部83a、83b、83cはいずれも、径方向外側に向けて延在する一対の側面部831、832と、径方向の最も外周側で周方向に延在して側面部831、832に繋がる先端部833とを備えている。なお、円板部81には、同心状に低い段差87が形成されている。
【0046】
ここで、板バネ部85は、軸受部材70の反出力側L2に端板80を重ねた際、軸受部材70のバネ部収容用凹部75と重なる位置に形成されている。また、軸受部材70の反出力側L2に端板80を重ねた際、3つの開口部83a、83b、83cは各々、軸受部材70の係合部73a、73b、73cと重なる位置に形成されており、軸受部材70の係合部73a、73b、73cは各々、端板80の開口部83a、83b、83cに嵌るようになっている。
【0047】
また、開口部83a、83b、83cの各々の周方向の寸法(幅寸法)を各々W83a、W83b、W83cとすると、かかる幅寸法は、以下の大小関係
W83a<W83b=W83c
を有している。すなわち、開口部83aの幅寸法W83aは、他の開口部83b、83cの幅寸法W83b、W83cに比して小となっている。
【0048】
また、開口部83a、83b、83cの幅寸法W83a、W83b、W83cと、
図3を参照して説明した係合部73a、73b、73cの幅寸法W73a、W73b、W73cとを対比すると、以下の関係
W83a≒W73a
W83b>W73b
W83c>W73c
になっている。すなわち、開口部83aの幅寸法W83aは、係合部73aの幅寸法W73aよりわずかに大になっているのに対して、他の開口部83b、83cの幅寸法W83b、W83cは、係合部73b、73cの幅寸法W73b、W73cよりかなり大になっている。従って、軸受部材70の反出力側L2に端板80を重ねた際、軸受部材70の係合部73aは、端板80の開口部83aに嵌って軸受部材70と端板80とを周方向で位置決めする機能を発揮するのに対して、他の係合部73b、73cは、端板80の開口部83b、83cに嵌っても、軸受部材70と端板80とを周方向で位置決めする機能を発揮しない。
【0049】
また、開口部83a、83b、83cの径方向の寸法(長さ寸法)は、軸受部材70の凸部734も含めた係合部73a、73b、73cの径方向の寸法(長さ寸法)と略等しい。このため、軸受部材70の反出力側L2に端板80を重ねた際、軸受部材70の係合部73a、73b、73cは、凸部734を介して端板80の開口部83a、83b、83cの先端部833に当接し、軸受部材70と端板80とを径方向で位置決めする機能を発揮する。
【0050】
(軸受機構7の組み立て工程)
図5は、本発明の実施の形態1に係るモータ1において軸受部材70に端板80を重ねた様子の説明図であり、
図5(a)、(b)は、軸受部材70に端板80を重ねた状態を反出力側L2(端板80側)からみた説明図、および断面図である。なお、
図5(a)では、端板80に右下がりの斜線を付してある。
【0051】
本形態のモータ1の製造工程において、軸受機構7を組み立てる際には、ステータ40にプレート65を取り付けた後、ステータ40の内側にロータ5を配置し、しかる後に、軸受部材70および端板80をステータ40の反出力側L2の端部に設ける。
【0052】
その際、軸受部材70をステータ40に取り付けた後、端板80を重ねる。なお、軸受部材70に端板80を重ねた後、軸受部材70および端板80をステータ40に取り付けることもできる。いずれの場合も、
図5に示すように、端板80は、軸受部材70の反出力側L2に重ねられる。この状態で、板バネ部85は、軸受部材70のバネ部収容用凹部75の内側に位置する。また、軸受部材70の係合部73(係合部73a、73b、73c)は各々、端板80の開口部83(開口部83a、83b、83c)に嵌っている。また、板バネ部85は、先端部85aが複数の係合部73のうち、係合部73aが位置する角度方向に向いている。
【0053】
ここで、軸受部材70の係合部73aは、端板80の開口部83aに嵌った際、側面部731、732が各々、側面部831、832に当接し、軸受部材70と端板80とを周方向で位置決めする。但し、他の係合部73b、73cは、端板80の開口部83b、83cに嵌っても、側面部731、732と側面部831、832との間に隙間が介在するので、軸受部材70と端板80とを周方向で位置決めする機能を発揮しない。また、軸受部材70の係合部73a、73b、73cは、凸部734を介して端板80の開口部83a、83b、83cの先端部833に当接し、軸受部材70と端板80とは径方向で位置決めされる。
【0054】
また、ステータ40の反出力側L2の端面49(外ステータコア4Bの円環部45)に軸受部材70が重なった状態では、軸受部材70の係合部73(73a、73b、73c)がステータ40の反出力側L2の端面49に重なり、軸受部材70のモータ軸線方向Lの位置が規定される。また、軸受部材70の回り止め部74は、外ステータコア4Bの円環部45の凹部451に嵌り、軸受部材70の回り止めが行われる。その際、軸受部材70の回り止め部74の先端部は、外ステータコア4Bの円環部45の凹部451の奥底部に当接する。また、軸受部材70の円盤部72は、外ステータコア4Bの円環部45の内側に嵌り、軸受部材70は、ステータ40に対して同軸状態となる。
【0055】
しかる後に、
図1(b)に示すように、端板80の円板部81の外周縁のうち、直線部分811、812、813を外ステータコア4Bの円環部45(ステータ40の端面49)に溶接Sを行う。その結果、軸受部材70は、端板80とステータ40の反出力側L2の端面49(外ステータコア4Bの円環部45)との間に保持される。具体的には、軸受部材70は、係合部73がステータ40の端面49に当接することにより出力側L1への移動が阻止され、円盤部72が端板80の円板部81に当接することにより反出力側L2への移動が阻止される。
【0056】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のモータ1においては、ステータ40の端部に配置された軸受部材70を端板80によってステータ40との間に保持した構造とするにあたって、軸受部材70はステータ40の端面49に重なる係合部73を周方向の複数個所に備え、端板80は、複数の係合部73が各々嵌る開口部83を周方向の複数個所に備えている。このため、軸受部材70の係合部73に端板80がモータ軸線方向Lで重ならないので、ステータ40周辺のモータ軸線方向Lの寸法を縮小することができる。また、軸受部材70において、ステータ40の端面49に重なる係合部73が複数個所に形成されているため、軸受部材70は、ステータ40の端面49に安定した状態で支持される。特に本形態では、係合部73が周方向の3個所に形成されているため、軸受部材70は、ステータ40の端面49に安定した状態で支持される。
【0057】
ここで、軸受部材70と端板80との周方向の位置決めを行うにあたっては、複数箇所のうちの1個所の係合部73aと開口部83aとによって位置決めが行われている。このため、かかる1箇所の係合部73aおよび開口部83aにおいて寸法精度が高ければよく、他の個所の係合部73b、73cおよび開口部83b、83cについては、係合部73を開口部83に嵌めることができれば高い寸法精度を必要としない。従って、係合部73を開口部83に嵌めることができないという事態が発生しにくいので、軸受部材70と端板80とを適正な位置関係をもって効率よく重ねることができる。
【0058】
また、複数の係合部73および複数の開口部83のうち、周方向の位置決めに寄与する係合部73aおよび開口部83aは、他の係合部73b、73cおよび開口部83b、83cに比して幅寸法が狭くなっているため、寸法精度が得やすい等の利点があり、部品の製作や組み立てを確実に行うことができる。
【0059】
また、端板80に設けた板バネ部85は、2つの開口部83で挟まれた位置から他の開口部83が位置する側に向けて延在しているため、板バネ部85を無理なく配置することができる。しかも、板バネ部85は、周方向の位置決めに寄与する係合部73aおよび開口部83aが位置する角度方向に先端部85aを向けている。このため、板バネ部85の向きを確認すれば、周方向の位置決めに寄与する係合部73aおよび開口部83aが位置する角度方向を容易に判別することができる。
【0060】
また、軸受部材70と端板80との周方向の位置決めは、係合部73aにおいて径方向外側に向けて延在する側面部731、732が開口部83aの内縁に当接することによって行われるため、簡素な構成で軸受部材70と端板80との周方向の位置決めを行うことができる。
【0061】
また、係合部73の外周面においてステータ40が位置する側とは反対側の縁がテーパ面76になっているため、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる。それ故、軸受部材70と端板80とを効率よく重ねることができる。
【0062】
さらに、本形態において、軸受部材70の係合部73の外縁で周方向に延在する先端部733には、軸受部材70と端板80との径方向の位置決めを行う凸部734が形成されているため、軸受部材70の係合部73の先端部733と、端板80の開口部83の先端部833とは、径方向で凸部734を介して接することになる。それ故、軸受部材70と端板80と重ねる際、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる。
【0063】
ここで、凸部734は、半円形の平面形状を有しているため、寸法公差の影響で係合部73が開口部83に嵌りにくい場合でも、係合部73を開口部84に嵌る際、少し大きな力を加えれば凸部734が変形する。従って、軸受部材70と端板80とを重ねる際、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる。
【0064】
また、凸部734は、全ての係合部73に形成されているため、軸受部材70と端板80との径方向の位置決めを確実に行うことができ、この場合でも、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる。しかも、係合部73の外周面は、凸部734が形成されている部分も含めて全体において、ステータ40が位置する側とは反対側の縁がテーパ面76になっているため、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる。
【0065】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係るモータ1において軸受部材70に端板80を重ねた様子の説明図である。なお、
図6では、端板80に右下がりの斜線を付してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0066】
実施の形態1では、軸受部材70の係合部73に軸受部材70と端板80との径方向の位置決めを行う凸部734が形成されていたが、本形態では、
図6に示すように、端板80の開口部83の先端部833に係合部73に向けて突出する凸部834が形成されており、凸部834は、半円形の平面形状を有している。
【0067】
かかる構成でも、実施の形態1と同様、軸受部材70の係合部73の先端部733と、端板80の開口部83の先端部833とは、径方向で凸部834を介して接することになる。それ故、軸受部材70と端板80とを重ねる際、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる。また、凸部834は、半円形の平面形状を有しているため、寸法公差の影響で係合部73が開口部83に嵌りにくい場合でも、係合部73を開口部83に嵌る際、少し大きな力を加えれば凸部834が変形する。従って、軸受部材70と端板80と重ねる際、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0068】
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の形態3に係るモータ1の端板80の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0069】
実施の形態1では、係合部73の外周面は、ステータ40が位置する側とは反対側の縁がテーパ面76になっていたが、本形態では、
図7に示すように、端板80の開口部83の内周面においてステータ40が位置する側(出力側L1)の縁がテーパ面86になっている。
【0070】
かかる構成によれば、係合部73を開口部83に容易に嵌めることができるので、軸受部材70と端板80とを効率よく重ねることができる。
【0071】
なお、実施の形態2のように、端板80に凸部834を設けた場合、端板80の開口部83の内周面は、凸部834を含めた全体においてステータ40が位置する側(出力側L1)の縁がテーパ面86になっていることが好ましい。
【0072】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、ステータ40の端面49が外ステータコア4Bの円環部45からなる構成であったが、ステータ40の端面49が外ステータコア4Bの円環部45に重ねて配置されたケース部材からなる場合に本発明を適用してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、ステッピングモータを例示したが、ステッピングモータ以外のモータ1に本発明を適用してもよい。上記実施の形態では、端板80が板バネ部85を備えた付勢部材として構成されている形態であったが、板バネ部85を有さずに回転軸50の端部52を支持する場合や、回転軸50を軸受部材70によってスラスト方向で支持し、端板80が軸受部材70をステータ40との間に保持する構成のモータ1に本発明を適用してもよい。また、軸受部材70の複数の係合部73の幅寸法が同一で、端板80の複数の開口部83のうち、1つの開口部83の幅寸法が他の開口部83の幅寸法に比して狭くなっている構成を採用してもよい。また、端板80の複数の開口部83の幅寸法が同一で、軸受部材70の複数の係合部73のうち、1つの係合部73の幅寸法が他の係合部73の幅寸法に比して広くなっている構成を採用してもよい。