(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エネルギーを供給するエネルギー供給機器、エネルギーを消費するエネルギー消費機器及びエネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵機器のうち少なくとも一つの制御対象機器について、将来の所定の期間におけるエネルギー消費機器の消費エネルギー若しくはエネルギー供給機器の供給エネルギーの予測値を設定するエネルギー予測部と、
前記予測値、前記制御対象機器の特性及びエネルギー使用料金の単価に基づいて、前記所定の期間における制御対象機器の運転スケジュールを、所定の評価指標により最適化するスケジュール最適化部と、
前記予測値と、電力抑制に対してインセンティブを与える用意のある時刻である電力抑制対象時刻と、インセンティブを与えるか否かのしきい値であるベースラインとに基づいて、インセンティブを受け取れる可能性のある時刻を判定するインセンティブ受取可否判定部と、
前記予測値、前記制御対象機器の特性及びインセンティブを算定する単価を加味した、前記インセンティブ受取可否判定部が判定したインセンティブを受け取れる可能性のある時刻におけるエネルギー使用料金の単価に基づいて、前記所定の期間における制御対象機器の運転スケジュールを、所定の評価指標により最適化する電力抑制スケジュール最適化部と、
所定の評価指標若しくは外部から入力された選択指示に基づいて、前記スケジュール最適化部が最適化した運転スケジュールと、前記電力抑制スケジュール最適化部が最適化した運転スケジュールのいずれか一方を選択する採用スケジュール選択部と、
を有することを特徴とする電力抑制型蓄電蓄熱最適化装置。
前記運転スケジュールと、前記運転スケジュールに基づいて運転された前記制御対象機器の運用データとに基づいて、再度、運転スケジュールを最適化する必要があるか否かを判定する再スケジューリング要否判定部を有することを特徴とする請求項1記載の電力抑
制型蓄電蓄熱最適化装置。
前記インセンティブ受取可否判定部が、インセンティブの受け取り可否を判定する時刻の優先順位を記憶した優先順位記憶部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力抑制型蓄電蓄熱最適化装置。
前記優先順位は、前記エネルギー予測部が予測したエネルギーの予測値の大きい時刻ほど、優先順位が高いことを特徴とする請求項4記載の電力抑制型蓄電蓄熱最適化装置。
前記優先順位は、前記エネルギー予測部が予測したエネルギーの予測値の小さい時刻ほど、優先順位が高いことを特徴とする請求項4記載の電力抑制型蓄電蓄熱最適化装置。
前記スケジュール最適化部が最適化した運転スケジュールと前記電力抑制スケジュール最適化部が最適化した運転スケジュールとを表示するスケジュール表示部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力抑制型蓄電蓄熱最適化装置。
前記スケジュール最適化部が最適化した運転スケジュールと前記電力抑制スケジュール最適化部が最適化した運転スケジュールのうち、いずれの運転スケジュールを選択するかの支持を入力する指示入力部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電力抑制型蓄電蓄熱最適化装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[A.第1の実施形態]
[1.蓄電蓄熱最適化システムの概要]
本実施形態が適用される蓄電蓄熱最適化システム5は、
図1に示すように、対象となる建物1に設置された各種の制御対象機器2、ローカル制御装置3、蓄電蓄熱最適化装置4を有している。
【0021】
制御対象機器2は、エネルギー消費機器、エネルギー供給機器、エネルギー貯蔵機器のうち、少なくとも一つを含む。エネルギー消費機器は、供給されたエネルギーを消費する機器である。たとえば、空気調和機器(空調)、照明機器、熱源機器は、エネルギー消費機器に含まれる。
【0022】
エネルギー供給機器は、エネルギーをエネルギー消費機器、エネルギー貯蔵機器に供給する機器である。たとえば、太陽光発電装置(PV)、太陽熱温水器は、エネルギー供給機器に含まれる。
【0023】
エネルギー貯蔵機器は、供給されたエネルギーを貯蔵する機器である。たとえば、蓄電池、蓄熱槽はエネルギー貯蔵機器に含まれる。本実施形態の制御対象機器2には、エネルギー消費機器、エネルギー供給機器、エネルギー貯蔵機器のいずれかを兼ねた機器も含まれる。
【0024】
なお、「蓄電蓄熱」とは、運転スケジュールの最適化に当たって、エネルギー貯蔵機器によるエネルギー貯蔵能力を活用することであり、蓄電及び蓄熱の少なくとも一方を活用できればよい。
【0025】
ローカル制御装置3は、制御対象機器2に接続され、各制御対象機器2の作動を制御する装置である。たとえば、ローカル制御装置3は、各制御対象機器2の起動、停止、出力等を制御する。なお、以下の説明では、起動、停止を発停と呼ぶ場合がある。
【0026】
このローカル制御装置3は、制御対象機器2毎に設けてもよいし、複数の制御対象機器2をまとめて制御する構成でもよい。各ローカル制御装置3による制御は、各ローカル制御装置3にネットワークNを介して接続された蓄電蓄熱最適化装置4からの制御情報に従う。
【0027】
蓄電蓄熱最適化装置4は、エネルギー使用料金の単価、プロセスデータ、電力抑制対象時刻、ベースライン、インセンティブ単価などの情報に基づいて、制御対象機器2の運転スケジュールを最適化する装置である。
【0028】
エネルギー使用料金の単価とは、消費エネルギーのうち、購入対象となるエネルギーの消費量に応じて賦課される料金の単価である。インセンティブ単価は、エネルギー使用料金の対象となるエネルギー消費量のうち、削減した消費量に乗算することにより、インセンティブの金額を算定するための単価である。たとえば、これらの単価は、円/kW、円/kWhといった単位で表現できる。
【0029】
エネルギー使用料金の対象となるエネルギーは、使用に対して対価を支払うエネルギーであり、たとえば、電力、ガスが含まれる。水も、ここでいうエネルギーに含まれる。このため、エネルギー使用料金には、電力料金、ガス料金、水道料金が含まれる。また、インセンティブの対象となるエネルギー使用料金は、一般的には電力料金であり、本実施形態では、電力料金に基づいた処理となっている。ただし、他のエネルギー使用料金がインセンティブの対象となる場合には、そのような対象を含める処理を排除するものではない。
【0030】
運転スケジュールは、将来の所定の期間における時間帯別の各制御対象機器の作動のスケジュールである。たとえば、運転スケジュールには、制御対象機器を何時から何時まで起動させるかといった発停の情報、制御対象機器が複数台ある場合には、そのうちの何台を何時から何時まで起動させるかといった情報が含まれる。
【0031】
また、運転スケジュールには、制御対象機器の出力をどの程度とするかという情報が含まれる。たとえば、何kW、何kWhのように、定量的な数値で表せるような値で示すことができる制御設定値も、運転スケジュールに含まれる。制御設定値は、各制御対象機器2の作動状態を決定するパラメータである。
【0032】
たとえば、制御設定値は、エネルギー消費機器である空調機の温度設定値やPMV設定値、照明の照度設定値などを含む。なお、PMVは、Predicted Mean Voteの略であり、空調の温熱指標ISO7730が規定している。PMVは、人の寒冷の感じ方を数値化したものであり、0が快適、−が寒い、+が暖かいを示す。PMVの算出に用いるパラメータは、温度、湿度、平均輻射温度、着衣量、活動量、風速等である。
【0033】
プロセスデータは、時間の経過により変化する外部からの情報を含む。たとえば、気象データ、運用データはプロセスデータに含まれる。気象データは、過去の気象データ、天気予報データを含む。運用データは、過去の各制御対象機器2の制御設定値、運転スケジュールの実行時における各制御対象機器2の状態量を含む。
【0034】
運転スケジュールの実行時における各制御対象機器2の状態量は、各制御対象機器2の消費エネルギー、生産エネルギーを含む。たとえば、状態量は、エネルギー供給機器としてのCGS、電気式冷凍機、吸収式冷温水器の出力、負荷率なども含む。さらに、状態量は、エネルギー貯蔵機器である蓄電池の放電量、蓄熱量、蓄熱装置の放熱量、蓄熱量などを含む。
【0035】
電力抑制対象時刻は、使用電力量の削減による抑制に成功したら、インセンティブを与える用意がある時刻をいう。たとえば、インセンティブを与える時刻として、1時から4時の間としたものは、電力抑制対象時刻に含まれる。
【0036】
ベースラインは、インセンティブを与えるか否かの基準となる使用電力量のしきい値である。このベースラインは、需要家の過去の一定期間の使用電力量に基づいて設定することができる。
【0037】
たとえば、過去の何日間又は何週間かの建物等における電力需要の実績値に基づいて、ベースラインが算定される。なお、本実施形態のベースラインは、一日単位で設定され、一日の中では一定のものを一例として採用するものとする。
【0038】
[2.制御対象機器の接続構成]
各種の制御対象機器2の接続構成と、冷水、温水、電気、ガス等のエネルギーのフローの一例を、
図2に示す。これらの制御対象機器2のエネルギー授受の関係は、外部からの受電した電力、外部から供給されたガスをエネルギー源として、電気、冷熱、温熱を部屋110の空調機111等に供給するものである。
【0039】
制御対象機器2としては、蓄電池100、PV101、CGS102、電気式冷凍機103、吸収式冷温水器104、蓄熱槽105が設置されている。なお、ここで示した制御対象機器2は一例であり、いずれの制御対象機器2を使用するか又は使用しないかは自由である。また、本実施形態は、例示されていない制御対象機器2を排除するものではない。
【0040】
たとえば、空冷HP(ヒートポンプ)、水冷冷凍機、太陽熱温水器等、他の制御対象機器も設置可能である。つまり、本実施形態の制御対象は、上記の機器構成に限定するものではなく、一部の機器が無い場合や本実施形態の手法を拡張して容易に適用できる場合の構成も含まれる。
【0041】
蓄電池100は、充電及び放電の双方を行うことが可能な二次電池を利用した設備である。PV101は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光パネルを備えた発電設備である。PV101は、天候等の気象条件により、電気エネルギーの供給量が変化する機器の一つである。
【0042】
CGS(Co-Generation System)102は、内燃機関や外燃機関による発電とともに、その排熱を利用可能なシステムである。この例のCGS102は、ガスをエネルギー源として発電するとともに、排熱を利用可能な熱電併給システムである。発電及び熱源として、燃料電池を用いてもよい。
【0043】
電気式冷凍機103は、気体の冷媒の圧縮、凝縮、蒸発のプロセスにより冷却を行う圧縮式の冷凍機であり、冷媒を圧縮するために、電動の圧縮機を用いる。
【0044】
吸収式冷温水器104は、冷媒の凝縮器と蒸発器との間に、水蒸気の吸収と熱源による再生のプロセスを介在させて、冷水又は温水を供給する機器である。熱源のエネルギーとしては、ガスや、CGS102等からの排熱を利用できる。
【0045】
蓄熱槽105は、貯留した熱媒により蓄熱を行う槽である。なお、上記の電気式冷凍機103、吸収式冷温水器104、蓄熱槽105は、部屋110に設置された空調機111のための温水、冷水を供給することができる。
【0046】
設定パラメータは、たとえば、処理タイミング、重み係数、評価指標、機器特性、優先順位等の本実施形態の処理に用いる各種のパラメータを含む。処理タイミングは、後述する最適化処理部40が処理を開始するタイミング、再スケジューリング要否判定部17が再スケジューリングの要否を判定するタイミングを含む。
【0047】
重み係数は、後述する類似度演算に用いられる係数である。評価指標は、消費エネルギー、供給エネルギー、コストなど、最適化のために最小化すべき指標である。機器特性は、各制御対象機器2の定格、下限出力、COP等、それぞれの機器の特性に応じて定まる各種のパラメータを含む。これらのパラメータには、後述する各種の演算に用いられるパラメータが含まれる。
【0048】
なお、COP(Coefficient of performance)は、ヒートポンプ等の熱源機器の成績係数であり、冷却又は加熱能力を消費電力で割ったものである。優先順位は、後述するインセンティブの受取の可否を判定する判定時刻の優先順位である。
【0049】
[3.蓄電蓄熱最適化装置の構成]
蓄電蓄熱最適化装置4の構成を、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、蓄電蓄熱最適化装置4の全体構成を示すブロック図、
図4は、最適化処理部40を示すブロック図である。
【0050】
蓄電蓄熱最適化装置4は、最適化処理部40、データ取得部20、設定パラメータ入力部21、処理データ記憶部22、最適化データ記憶部23、送受信部24を有する。
【0051】
[3−1.最適化処理部]
最適化処理部40は、エネルギー予測部10、スケジュール最適化部11、インセンティブ受取可否判定部12、電力抑制スケジュール最適化部13、採用スケジュール選択部14、制御情報出力部15、開始指示部16、再スケジューリング要否判定部17を有する。
【0052】
(1)エネルギー予測部
エネルギー予測部10は、制御対象機器2の消費エネルギー又は生産エネルギーを予測する処理部である。この予測の手法は、特定のものには限定されない。本実施形態のエネルギー予測部10は、たとえば、
図4に示すように、類似度演算部10a、類似日抽出部10b、予測値設定部10cを有する。
【0053】
類似度演算部10aは、所定の類似度演算式に基づいて、処理データ記憶部22に記憶された過去の曜日、天候、温湿度から、最適化すべき運転スケジュールの実行日と、過去の日との類似度を演算する処理部である。類似日抽出部10bは、類似度演算部10aにより演算された類似度に基づいて、運転スケジュールの実行日と類似する日を抽出する処理部である。
【0054】
予測値設定部10cは、類似日抽出部10bにより抽出された類似日における運用データに基づいて、当該日付の制御対象機器2の消費エネルギー又は生産エネルギーを、エネルギー予測値として設定する処理部である。
【0055】
(2)スケジュール最適化部
スケジュール最適化部11は、制御対象機器2の評価指標が最小化するように、運転スケジュールを最適化する処理部である。本実施形態の評価指標としては、たとえば、制御対象機器2を作動させた場合のエネルギーに要するコストとする。この最適化は、たとえば、エネルギー予測部10のエネルギー予測値に基づいて、目的関数が最小となるように、制約条件式の変数を最適化することにより行う。
【0056】
(3)インセンティブ受取可否判定部
インセンティブ受取可否判定部12は、使用電力の削減によってインセンティブの受け取りが可能な時刻を判定する処理部である。インセンティブの受け取りが可能な時刻とは、電力抑制対象時刻のうち、最適化された運転スケジュールにおいて、需要家がインセンティブが受け取れる時刻をいう。
【0057】
このインセンティブ受取可否判定部12は、初期状態決定部121、判定時刻決定部122、運転点導出部123、使用電力量判定部124、割当キャンセル部125、受取可否判定部126、終了判定部127を有している。
【0058】
(a)初期状態決定部
初期状態決定部121は、蓄電池100のSOC(State Of Charge)及び蓄熱槽の残存蓄熱量の初期状態を決定する処理部である。SOCは、蓄電池100の充電状態を示す単位である。満充電時に対する充電残量の比率を相対的に表したものである。
【0059】
(b)判定時刻決定部
判定時刻決定部122は、あらかじめ設定された優先順位に従って、インセンティブの受け取りの可否を判定する時刻を決定する処理部である。このような優先順位を設定することにより、種々の要請に対応した電力量の削減パターンを作成できる。たとえば、本実施形態では、エネルギー予測部10で予測された予測電力消費エネルギーの値が大きい順に、判定時刻を決定する。
【0060】
(c)運転点導出部
運転点導出部123は、判定時刻の使用電力量を最小とする機器の運転点を決定する処理部である。
【0061】
(d)使用電力量判定部
使用電力量判定部124は、導出された運転点の使用電力量が、所定の基準を超えるか、所定の基準以下かを判定する処理部である。所定の基準としては、たとえば、ベースラインを含む。
【0062】
(e)割当キャンセル部
割当キャンセル部125は、使用電力量判定部124の判定結果に応じて、蓄熱槽105からの放熱量及び蓄電池100からの放電量の割り当てをキャンセルする処理部である。このキャンセルは、割り当てられる量の放熱、放電をしないことを意味する。キャンセルした放熱量及び放電量は、次順位の判定時刻の判定に用いることもできる。
【0063】
(f)受取可否判定部
受取可否判定部126は、使用電力量判定部124の判定結果に応じて、インセンティブの受け取りの可否を判定する処理部である。
【0064】
(g)終了判定部
終了判定部127は、DR対象時刻の全てについて、インセンティブの受け取りの可否の判定を終了したか否かを判定する処理部である。
【0065】
(4)電力抑制スケジュール最適化部
電力抑制スケジュール最適化部13は、インセンティブを考慮に含めて、制御対象機器2の評価指標を最小化するように、運転スケジュールを最適化する処理部である。たとえば、評価指標は、スケジュール最適化部11と同様とする。
【0066】
この最適化には、たとえば、上記の目的関数、制約条件式を用いることができる。ただし、電力抑制スケジュール最適化部13は、インセンティブ受取可と判定された時刻における電力料金の単価に、インセンティブ単価を加味するとともに、当該最適化における使用電力量の上限をベースラインとする。
【0067】
(5)採用スケジュール選択部
採用スケジュール選択部14は、スケジュール最適化部11と電力抑制スケジュール最適化部13により得られたそれぞれの運転スケジュールのうち、実際に採用する運転スケジュールを決定する処理部である。この決定は、たとえば、上記のようにコストを評価指標とする場合には、一日合計の電力料金、ガス料金を計算して、小さい方の運転スケジュールを採用することにより行う。
【0068】
(6)制御情報出力部
制御情報出力部15は、採用された運転スケジュールに基づいて、制御対象機器2の制御情報を、ローカル制御装置3に出力する処理部である。制御情報は、運転スケジュールに従って制御対象機器2を動作させるための情報であり、たとえば、各時間帯ごとの発停、制御設定値などの情報が含まれる。
【0069】
(7)開始指示部
開始指示部16は、あらかじめ設定されたタイミングで、最適化処理部40による最適化処理の実行を開始させる処理部である。たとえば、実行日の前日に蓄電蓄熱スケジュールを設定する場合、毎日の所定時間を設定タイミングとすることが考えられる。これを何日おきにするか、何時にするかは、自由に設定可能である。
【0070】
(8)再スケジューリング要否判定部
再スケジューリング要否判定部17は、あらかじめ設定されたタイミングで、再度、運転スケジュールを最適化する必要があるか否かを判定する処理部である。
【0071】
[3−2.データ取得部]
データ取得部20は、最適化処理部40の処理に必要なデータを、外部から取得する処理部である。取得されるデータとしては、プロセスデータ、インセンティブ単価、電力抑制対象時刻、ベースラインが含まれる。
【0072】
[3−3.設定パラメータ入力部]
設定パラメータ入力部21は、最適化処理部40の処理に必要な設定パラメータを入力する処理部である。設定パラメータとしては、上記のように、処理タイミング、重み係数、評価指標、機器特性、優先順位を含む。
【0073】
[3−4.処理データ記憶部]
処理データ記憶部22は、最適化処理部40の処理に必要なデータを記憶する処理部である。このデータは、エネルギー使用料金の単価、プロセスデータ、インセンティブ単価、電力抑制対象時刻、ベースライン、設定パラメータを含む。
【0074】
この処理データ記憶部22には、上記で例示したものの他、各部の処理に必要な情報が含まれる。たとえば、各部の演算式、パラメータが含まれる。したがって、料金を算出するための電力料金及びガス料金の単価等も、処理データ記憶部22が記憶している。
【0075】
[3−5.最適化データ記憶部]
最適化データ記憶部23は、最適化処理部40による最適化処理で求められたデータを記憶する処理部である。たとえば、最適化データ記憶部23は、スケジュール最適化部11及び電力抑制スケジュール最適化部13により最適化された運転スケジュールを記憶する。
【0076】
この最適化データ記憶部23が記憶したデータを、過去の運用データとして、処理データ記憶部22が記憶することもでき、最適化処理部40における上記の各部の演算処理に用いることもできる。
【0077】
[3−6.送受信部]
送受信部24は、ネットワークNを介して、蓄電蓄熱最適化装置4と、ローカル制御装置3、建物管理者の端末、上位の監視制御装置、気象情報等を提供するサーバ等との情報の送受信を行う処理部である。なお、処理データ記憶部22、最適化データ記憶部23が記憶したデータを、送受信部24が送信することにより、上記のような外部の装置が活用できる。
【0078】
なお、蓄電蓄熱最適化装置4は、各部の処理に必要な情報の入力、処理の選択や指示を入力する入力部、情報入力のためのインタフェース、処理結果等を出力する出力部を有している。
【0079】
入力部としては、キーボード、マウス、タッチパネル、スイッチ等、現在又は将来において利用可能な入力装置を含む。入力部は、上記のデータ取得部20、設定パラメータ入力部21の機能を果たすこともできる。
【0080】
出力部としては、表示装置、プリンタ等、現在又は将来において利用可能なあらゆる出力装置を含む。なお、処理データ記憶部22、最適化データ記憶部23が記憶したデータを、出力部が表示等することにより、オペレータが参照できる。
【0081】
[4.蓄電蓄熱最適化装置の作用]
以上のような本実施形態による蓄電蓄熱最適化装置4の作用を、
図2、
図5〜11を参照して説明する。
【0082】
[4−1.エネルギーの流れ]
まず、制御対象機器2における電気、ガス、冷水、温水の流れを、
図2を参照して説明する。すなわち、電力系統から受電された電力は、蓄電池100が貯蔵するか、上記のエネルギー消費機器へ供給される。
【0083】
PV101及びCGS102で発電された電力も、蓄電池100が貯蔵するか、上記のエネルギー消費機器へ供給される。エネルギー消費機器に供給された電気は、電気式冷凍機103が熱製造のために消費する。
【0084】
一方、ガス供給系統からのガスは、CGS102、吸収式冷温水器104に供給される。なお、吸収式冷温水器104は、CGS102で発生した温熱によっても、冷熱製造が可能である。さらに、吸収式冷温水器104は、ガス投入によっても、冷熱製造量を増加できる。なお、吸収式冷温水器104は、ガス投入のみでも温熱供給が可能である。
【0085】
電気式冷凍機103、吸収式冷温水器104で製造した冷熱は、蓄熱槽105が貯蔵するか、部屋110に設置された空調機111に供給される。供給された冷熱により、空調機111は部屋110の空調を行う。また、空調機111は、CGS102、吸収式冷温水器104のいずれかで発生する温水の供給を受けて、暖房を行うことも可能である。
【0086】
[4−2.使用電力量とベースラインとの関係]
ここで、インセンティブ型DRが採用される場合における建物の使用電力量、ベースライン、電力抑制対象時刻、電力削減量の関係を、
図5を参照して説明する。
図5は、建物の一日分の使用電力量の推移を表したものであり、横軸を一日分の時刻とし、縦軸を建物の使用電力量とする。
【0087】
ベースラインは、上記のように、対象となる建物、工場等における過去の電力需要(消費電力量)の実績値に基づいて決定される。たとえば、何日間、何週間又は一カ月分の電力抑制対象時刻における最大使用電力を、ベースラインに設定できる。ただし、ベースラインの設定方法はこれには限定されない。
【0088】
図5のハッチング箇所の例に示すように、DRによる電力抑制対象時刻(この例では、13時〜16時)において、設定されたベースラインに対して、使用電力量が下回った分だけが、電力削減量とみなされる。
【0089】
なお、
図5において、時刻Aは電力抑制対象時刻ではないため、ベースラインを下回る使用電力量であっても、インセンティブを受け取ることはできない。時刻Bは電力抑制対象時刻であるため、ベースラインを下回る分に応じて、インセンティブを受け取ることが可能となる。
【0090】
ただし、インセンティブを含む契約体系の例としては、以下のPTR、L−PTR、CCPが想定されている。
(1) PTR:Peak Time Rebate
PTRは、上記電力削減量に、インセンティブ単価を乗じた額が、需要家に支払われる場合の契約体系である。
(2) L−PTR:Limited Peak Time Rebate
L−PTRは、PTRとほぼ同様であるが、支払われるインセンティブに上限がある場合の契約体系である。
(3) CCP:Capacity Commitment Program
DR対象時刻の全ての時間において、あらかじめ決められた電力削減量の目標値を上回った場合にのみ、ベースラインと目標値に応じた固定額が支払われる場合の契約体系である。
【0091】
つまり、単純に電力削減量に比例する金額がインセンティブとなるとは限らず、何らかの限界を設ける場合もある。なお、これらはあくまでも例示であり、一般的にこれらの手法のみが確立し又は実施が予定されているわけではない。実際の適用にあたっては、種々の異なる手法も適用可能である。
【0092】
[4−3.電力抑制によるコスト推移]
ここで、電力抑制によるコスト推移の概念を、
図6を参照して説明する。
図6は、DR対象時刻の使用電力を徐々に抑制した場合のコストの推移を表したグラフであり、縦軸を電力・ガス等のコスト、横軸をDR対象時刻の最大使用電力量とする。図中の各黒点[1]〜[5]の意味と、その推移の説明は、以下の通りである。
【0093】
まず、黒点[1]は、電力抑制対策を、一切行わない場合を示す。この黒点[1]を起点に、2種の料金体系1、2に基づいて、蓄熱または蓄電を用いた負荷シフトによる電力抑制を実施する場合を考える。
【0094】
ここで、料金体系1は、DR対象時刻における電力単価が、他の時刻に比べて高い場合である。料金体系2は、DR対象時刻における電力単価が、他の時刻とほぼ同等又は安い場合である。
【0095】
たとえば、料金体系1の場合、負荷シフトにより、コストと最大使用電力量の双方が低下する。負荷シフトとは、購入する電力を使用する時間帯をずらすことをいう。負荷シフトの例は、料金の単価が安い夜中のうちに蓄電池100に蓄電しておいて、料金の単価が高い昼間の時間に、蓄電池100から電力を得ることにより、購入する電力量を減らしてコストを下げる場合である。
【0096】
このような手法で、ベースラインまで部分的に電力を抑制した時点を、黒点[2]に示す。蓄電池100の量に余裕があって、さらに、昼間の電力消費量を抑えられる場合には、より一層コストを下げることができる。つまり、最大使用電力量がベースラインを下回るまで電力抑制を継続する場合には、インセンティブ分も加味されて、コストの削減度合いが大きくなる。これにより、最大まで電力を抑制した時点を、黒点[3]に示す。
【0097】
一方、料金体系2の場合、DR対象時刻における電力単価が、他の時刻とほぼ同等又は安いので、負荷シフトによりコストが増加する可能性がある。つまり、充電時間を夜中としても、夜中の電力料金が昼間と比べて変わらないか又は高い。このため、電力のロスが出ることも考慮すると、却ってコストが上がってしまう。このように、ベースラインまで部分的に電力を抑制した時点を、黒点[4]に示す。
【0098】
更に、最大使用電力量がベースラインを下回り、電力抑制を継続する場合には、インセンティブ分が加味されてコスト増加度合いは小さくなる。または、一転してコストが減少方向に転じる可能性はある。コストが減少方向になり、最大まで電力を抑制した時点を、黒点[5]に示す。
【0099】
ところが、料金体系2の場合、
図6の[1][5]に示すように、最大まで電力を抑制しても、電力を抑制しない場合よりもコスト高となる可能性がある。このため、料金体系2の場合においては、結果的に電力抑制対策を一切行わないことが、コストが最小となる一例と言える。なお、[1][2][3]と[1][4][5]の軌跡の違いは、たとえば、電力料金の単価の相違により生じる場合もあれば、他のパラメータの相違により生じる場合もある。
【0100】
上記のように、DR対象時刻の電力単価を仮想的に変更して最適化したとしても、ベースラインまでの電力抑制に関わるコスト増加の影響が加味されない場合が生じる。このため、コストが増加するにもかかわらず、電力の抑制を図るという誤った運転スケジュールが導出されてしまう。
【0101】
さらに、使用電力量がベースラインを上回る時間帯があった場合には、実際には当該時刻においてインセンティブを受け取れない。このため、得られた運転スケジュールは、正しいものとは言えない。
【0102】
本実施形態においては、上記のような状況に新たに着目して、インセンティブを考慮する場合と考慮しない場合とを比較して、いずれか一方を選択することとしている。たとえば、上記の例では、[3]及び[5]の運転スケジュールを立てて、最後に比較すれば、最適な計画が得られる。
【0103】
また、本実施形態では、演算を簡易化するために、たとえば、インセンティブが付与される時間帯について、インセンティブ分を上乗せした仮想的な電力単価を想定して最適化する方法を採用している。つまり、インセンティブを考慮した計算の途中では、使用電力量をインセンティブに対してどれだけ下げたかを厳密には評価せず、単価だけを安いものに入れ替えることにより、計算を簡略化している。
【0104】
[4−4.翌日の運転スケジュールを前日に最適化する処理]
蓄電蓄熱最適化装置4の処理手順について、
図7及び
図9のフローチャートに沿って説明する。以下に説明する処理は、たとえば、建物1における制御対象機器2の翌日の運転スケジュールを、前日の夜に最適化する例である。なお、最適化する運転スケジュールは、将来の所定の期間であればよく、翌日であるか、翌日より後のいずれかの一日であるかは限定されない。
【0105】
[最適化実行開始処理]
まず、開始指示部16は、あらかじめ設定された時刻に、エネルギー予測部10に最適化処理の実行を指示する。たとえば、前日の21時になると、最適化処理部40が、最適化処理の実行を開始する。
図7のフローチャートは、開始指示部16の指示で、最適化処理の実行が開始された後の処理フローを示す。
【0106】
[エネルギー予測処理]
エネルギー予測部10は、処理データ記憶部22に記憶された過去の所定期間の気象データ及び運用データに基づいて、制御対象機器2の消費エネルギー又は供給エネルギーを予測する(ステップ01)。
【0107】
ここで、エネルギー予測部10による予測処理の一例を説明する。まず、類似度演算部10aが、気象データ及び運用データとして処理データ記憶部22に保存された過去の曜日、天候、温湿度に基づいて、類似度を演算する。類似度の演算式の一例を、以下の式(1)に示す。
【0109】
ここで「曜日による重み」は、あらかじめ設定しておいた曜日毎の重み係数を使用する。a、b、cは、各因子の重み係数である。「天候による重み」も同様に、あらかじめ設定しておいた天候毎の重み係数を使用する。
【0110】
たとえば、翌日が「火曜日」であれば、「曜日による重み」は、「火曜日」の重みを用いる。翌日の天気予報に基づく天候が「晴れ」ならば、「天候による重み」は、「晴れ」の重みを用いる。翌日の最高気温、最低気温、相対湿度は予想のものを用いる。
【0111】
そして、過去の気象データとして、過去の日の日番号に対応して記録されたそれぞれの日の最高気温TMi、最低気温TLi、相対湿度RHiを用いる。日番号とは、処理データ記憶部22に記憶された運用データ及びこれに対応する気象データを、日毎に並べて割り振った通し番号である。
【0112】
各重みの設定は自由である。たとえば、翌日の予報に基づく天候が「晴れ」の場合に、過去のデータは「晴れ」であれば重み係数は小さくなるが、過去のデータが「雨」であれば重み係数は大きくなる。
【0113】
なお、「曜日による重み」と「天候による重み」、a、b、cなどの各因子の重み係数は、設定パラメータ入力部21から入力され、処理データ記憶部22に記憶されたものを、予測精度に応じて任意に設定可能である。
【0114】
このように、式(1)によって、過去の日の類似度を演算により求める。なお、その他の類似度の算出方法も存在するので、本実施形態は、この手法には限定されない。
【0115】
そして、類似日抽出部10bは、上記のように求めた類似度が最小となる日番号を抽出する。予測値設定部10cは、抽出された日番号に該当する日付における、制御対象機器2の消費エネルギー又は供給エネルギーを翌日の予測値として設定する。
【0116】
[スケジュール最適化処理]
次に、スケジュール最適化部11は、エネルギー予測部10の予測値に基づいて機器の運転スケジュールを最適化する(ステップ02)。ここでは、最小化する指標がコストであっても、電力抑制によるインセンティブを考慮しない。
【0117】
最小化する目的関数は、以下の式(2)のように定義でき、制約条件式は、以下の式(3)〜(8)のように定義することができる。なお、
図3のエネルギーフローを表現したものが、制約条件式の(3)〜(6)である。(7)〜(8)は制御対象機器2の容量の制約式である。ただし、これらの定式化も一例にすぎない。
【0120】
式(2)を最小化する変数X1〜X8を、式(3)〜(8)により求めることにより、最適化が可能となる。最適化する変数X1〜X8の一例をまとめたものを、
図8に示す。X1は使用電力量、X2〜X6は制御対象機器2の負荷率、X7は残存蓄熱量、X8は残存蓄電量である。ここで、式(2)〜(8)における変数等のtは時刻(たとえば、単位を一時間とする)を表す。
【0121】
なお、式(2)の電力係数およびガス係数は最適化する指標によって異なる。たとえば、コスト最小化であればそれぞれ電力料金の単価、ガス料金の単価となり、CO
2最小化であれば、それぞれのCO
2排出量又はこれに対応する係数になる。
【0122】
式(3)〜(8)は、主だった制約条件式であり、これらの条件を満足しつつ、最適化指標を最小とする変数値を、数理計画手法またはシミュレーションによる繰り返し演算などで導出する。ここで得られた運転スケジュールを、以降はスケジュール(I)と表現する。
【0123】
[インセンティブ受取可否の判定]
インセンティブ受取可否判定部12は、DR対象時刻のうち、使用電力の引き下げにより、インセンティブを受け取れる可能性のある時刻を選定する(ステップ03)。このようなインセンティブ受取可否判定部12における動作を、
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0124】
(初期状態の決定)
まず、初期状態決定部121は、蓄電池100のSOCおよび蓄熱槽105の残存蓄熱量の初期状態を決定する(ステップ11)。たとえば、ここでは前日にスケジュールを作成する場合を対象としているため、これらを満蓄状態であると仮定する。
【0125】
(判定時刻の決定)
次に、判定時刻決定部122が、判定時刻を決定する(ステップ12)。つまり、
図10に示すように、DR対象時刻におけるエネルギー予測部10で予測された予測電力消費エネルギーの値が大きい順に、判定時刻を決定する。図中の丸数字が小さい程、優先順位が高いことを示す。
【0126】
予測電力消費エネルギーの値が大きい順として、判定時刻を決定することは、電力抑制の要請が高い時刻から、優先的に抑制対象とすることになる。つまり、予測電力消費エネルギーが最大の時刻は、需要が最大の時刻である。
【0127】
この時刻は、社会全体として見ると、電力需要のピーク時と重なる場合が多い。このため、この時刻を優先的に抑制すると、社会の要請に応じることができる。つまり、社会全体のことを考えると、ピークから下げていくことが望ましいため、需要の多い時間帯から、次に多い時間帯へと順次抑制していく。
【0128】
(運転点の導出)
運転点導出部123は、判定時刻の使用電力を最小とする機器の運転点を導出する(ステップ13)。ここで、使用電力量X1は、式(3)の各項を移項した以下の式(9)で算出できる。
【0130】
ここでは、前記の式(4)〜(8)を満足するように、使用電力量X1を最小化する機器の運転点を導出する。
【0131】
(使用電力量の判定)
使用電力量判定部124は、算出された使用電力量がベースラインPBASE[kWh]未満又は以下か、ベースライン以上又はベースラインを超えるかを判定する(ステップ14)。
【0132】
(受取可否の判定)
使用電力量判定部124が、算出された使用電力量がベースライン未満又は以下であると判定した場合(ステップ14のYES)、受取可否判定部126は、当該判定時刻はインセンティブ受取「可」と判定する(ステップ15)。
【0133】
使用電力量判定部124が、算出された使用電力量がベースライン以上又はこれを超えると判定した場合(ステップ14のNO)、割当キャンセル部125が今回の蓄熱槽の放熱量、蓄電池100の放電量の割当てをキャンセルする(ステップ16)。そして、受取可否判定部126は、当該判定時刻は、インセンティブ受取「否」と判定する(ステップ17)。
【0134】
終了判定部127は、DR対象時刻の全ての判定を終了したか否かを判定する(ステップ18)。終了判定部127が、DR対象時刻の全ての判定を終了していないと判定した場合には(ステップ18のNO)、次に優先順位の高い時刻を判定時刻として(ステップ12)、上記と同様にステップ13以降の動作を繰り返す。
【0135】
終了判定部127が、DR対象時刻の全ての判定を終了したと判定した場合には(ステップ18のYES)、インセンティブ受取可否判定部12による一連の判定処理を終了する。
【0136】
以上のように、一連のインセンティブ受取可否判定部12の動作によって、DR対象時間について、使用電力を最大限に削減した場合の各時刻におけるインセンティブ受取可否が判定できる。
【0137】
[電力抑制スケジュールの最適化]
次に、
図7に示すように、電力抑制スケジュール最適化部13が、インセンティブの受け取りが可と判定された時刻について、電力抑制によるインセンティブを考慮に含めた運転スケジュールの最適化を実施する(ステップ04)。
【0138】
このとき、電力係数ECt[円/kWh]を、以下の式(10)のように変更する。また、当該時刻の使用電力量X1の上限を、ベースラインに変更する。
【0139】
なお、式(10)のECHGt[円/kWh]は時刻tの電力従量料金単価であり、INCt[円/kWh]は時刻tにおけるインセンティブ単価である。これにより、電力料金にインセンティブ単価が加味される。ここで得られた運転スケジュールを、以降はスケジュール(II)と表現する。
【0141】
[採用スケジュールの選択]
採用スケジュール選択部14は、スケジュール最適化部11で得られたスケジュール(I)、電力抑制スケジュール最適化部13で得られたスケジュール(II)のうち、採用する運転スケジュールを選択する(ステップ05)。
【0142】
すなわち、採用スケジュール選択部14は、スケジュール(I)、スケジュール(II)のそれぞれの一日の合計の電力料金・ガス料金を計算し、いずれか小さい方を選択する。選択されたスケジュールが、実際に適用される運転スケジュールとして決定される。
【0143】
[制御情報の出力]
最後に、制御設定値出力部15が、制御対象機器2に制御設定値を含む運転スケジュールに基づく制御情報を出力する(ステップ06)。なお、制御情報の出力タイミングは、種々のものが考えられる。たとえば、出力タイミングを、運転スケジュールの実行日の前日とし、各ローカル制御装置3が受信した制御設定値を保持しておく。そして、各ローカル制御装置3が、実行日に制御情報に基づく制御を実行する。また、運転スケジュールの実行日の当日を出力タイミングとしてもよい。
【0144】
なお、得られた運転スケジュールを始めとする一連の処理で計算された値は最適化データ記憶部23が保存する。以上が、翌日の運転スケジュールを前日のうちに最適化する場合の、蓄電蓄熱最適化装置4の動作フローである。
【0145】
なお、上記の一連の処理は、最小化する評価指標を、コストとした。しかし、評価指標は、コスト以外のものであってもよい。たとえば、CO
2、ピーク受電量、消費エネルギー等についても、最小化する評価指標とすることができる。また、これらの評価指標を組み合わせた複合指標を用いることもできる。
【0146】
[4−5.当日にスケジュールを変更する場合]
以上のように、前日夜に最適化した運転スケジュールに基づいて、翌日、実際に制御対象機器2が運用を開始する。
【0147】
ここで、制御対象機器2を運用している当日に、スケジュールを変更する場合の蓄電蓄熱最適化装置4の動作を、
図11のフローチャートを参照して説明する。なお、再スケジューリング開始後の基本的な処理は、上記の前日夜に最適化する処理と同様であるため、説明は簡略化する。
【0148】
制御対象機器2の運用開始後、再スケジューリング要否判定部17は、所定のタイミングで、再スケジュールが必要か否かを判定する(ステップ21)。判定は、最適化データ記憶部23に記憶されている運転スケジュールと、処理データ記憶部22に記憶されている運用データ等を照合することにより行う。
【0149】
判定するタイミングとしては、たとえば、以下のようなものを設定可能である。
(1)あらかじめ定めた間隔(たとえば、5分)
(2)オペレータからの要求が入力された場合
(3)予測の対象であるPV101などの供給エネルギーまたは消費エネルギーに急変が生じた場合
(4)予測に用いた天気予報から実際の気象条件(たとえば、気温、湿度、天気など)が外れた場合あるいは急変が生じた場合
(5)制御情報出力部15から出力された運転スケジュールと実際の機器の運用状態がずれた場合
(6)DRに関わるインセンティブ単価やDR対象時刻、ベースラインが変更された場合
【0150】
なお、インセンティブ単価も変動する可能性がある。つまり、運転スケジュールを実行する当日になって、急に、電力会社が、特定の時間のインセンティブ単価を変更をする場合が想定される。その場合には、これをトリガーにして、運転スケジュールを変更することになる。
【0151】
判定のために比較するデータとしては、たとえば、以下のようなものを利用する。
(a)供給エネルギー及び消費エネルギーの実測値と予測値
(b)最適化された運転スケジュールと実際の機器の運用状態
【0152】
再スケジューリング要否判定部17は、これらの比較するデータの差分が、それぞれあらかじめ処理データ記憶部22に設定されたしきい値を超えない場合、再スケジューリングは不要と判定する(ステップ21のNO)。これらの差分が、しきい値を超えた場合に、再スケジューリングが必要と判定する(ステップ21のYES)。
【0153】
このように再スケジューリング要否判定部17が、再スケジューリングが必要と判定した場合、開始指示部16が、再スケジューリングの実行開始を指示する(ステップ22)。これにより、
図9のフローチャートで示したように、再スケジューリングが開始する。
【0154】
ここで、
図9のフローチャートにおけるステップ11の動作においては、蓄電池100のSOCおよび蓄熱槽105の残存蓄熱量の初期状態は、現在のSOC及び現在の残存蓄熱量が設定される。他の動作は、上記の前日にスケジュールを作成する場合と同様である。
【0155】
[5.効果]
以上、本実施形態によれば、インセンティブの受け取りが可能な時刻を事前に判定して、その時刻についてのみインセンティブを反映した電力単価で最適化した運転スケジュールを導出する。このため、現実に即した正しいDR運転スケジュールが得られる。
【0156】
また、インセンティブを考慮した演算を行う際には、インセンティブ単価分、電力の使用量に対する単価が安くなったものとして、最適化の演算を行う。このため、ベースラインに対する使用電力量の変化に伴う厳密な定式化による複雑な演算が不要となる。
【0157】
また、インセンティブを考慮しないで最適化した場合の運転スケジュールと、インセンティブを考慮して最適化した場合の運転スケジュールの双方を計算し、いずれか評価指標の良好な方を採用する。たとえば、コストが安い方を実際に適用する運転スケジュールとするので、コストが最小となる運転スケジュールを確実に得ることができる。
【0158】
さらに、運転スケジュールと実際の運用状態にずれが生じた場合にも、運転スケジュールを再度最適化することができる。このため、より現実に即した運転スケジュールとすることができ、追加のエネルギー調達を最低限に抑え、全体として効率的な運用が可能となる。
【0159】
[B.第2の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の構成は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、インセンティブ受取可否判定部12における判定時刻決定部122が判定する判定時刻の優先順位が、異なっている。すなわち、本実施形態では、エネルギー予測部10で予測された予測電力消費エネルギーの値が小さい順に、判定時刻を決定する。
【0160】
[2.作用]
以上のような本実施形態の作用は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、運転スケジュールを作成する場合、
図9に示したフローチャートのステップ12において、判定時刻決定部122は、エネルギー予測部10で設定された予測消費エネルギーが小さい時刻から順に、判定時刻とする。
【0161】
このようにして決定されたインセンティブ受取可否判定時刻の優先順位の一例を、
図12に示す。図中の丸数字が小さい程、優先順位が高いことを示す。その他の動作は、上記の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0162】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、エネルギー予測部10で得られた予測電力消費エネルギーが小さい時刻から順に、インセンティブの受取可否を判定する。このため、電力抑制により得られるインセンティブを最大化するコスト最小運転スケジュールを得ることができる。
【0163】
つまり、蓄電、蓄熱を用いて負荷シフトできる量には限界がある。そこで、対象時刻中で、本来需要が少ない時刻を優先して電力を下げていくと、負荷シフトする量を抑えつつも、ベースラインに対する下げ幅を最大化できる。
【0164】
[C.第3の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の構成は、基本的には上記の第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態においては、
図13に示すように、優先順位入力部25を有している。優先順位入力部25は、ユーザがどの時刻を優先して抑制するかの優先順位を入力する処理部である。
【0165】
なお、優先順位入力部25は、上記の入力部と共通のものを用いることができる。また、優先順位入力部25は、送受信部24を介して入力された優先順位を受け付けて、処理データ記憶部22に設定する処理部として構成することもできる。さらに、ネットワークNを介して送受信部24に接続されたユーザの入出力端末も、優先順位入力部25に含まれる。
【0166】
[2.作用]
以上のような本実施形態の作用は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、運転スケジュールを作成する場合、
図9に示したフローチャートのステップ12において、判定時刻決定部122は、ユーザから入力された優先順に従った順に判定時刻とする。その他の動作は、上記の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0167】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、優先順位入力部25によりインセンティブ受取可否の判定時刻の優先順位を外部から入力できる。これにより、ユーザの希望に沿った時刻に、電力の抑制を実施するコスト最小運転スケジュールを得ることができる。
【0168】
つまり、どの時刻を優先して抑制するかをユーザ側で選ぶことができる。何らかの理由で、特定の時刻に最大限に電力を抑制したい場合、その時刻の優先順位が最も高くなる。他の時刻が同等であれば、同じ順位をつけるといった個別の事情に対応することもできる。
【0169】
[D.第4の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の構成は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態は、L−PTR型のDRもしくはCPP型のDRの実施に際しても、必要なデータを用いて運転スケジュールの最適化が可能な構成である。
【0170】
このために、本実施形態では、L−PTR型の場合のインセンティブの上限額、CPP型の場合の電力削減の目標値が、データ取得部20を介して入力され、処理データ記憶部22に設定されている。また、使用電力のマージンが、設定パラメータ入力部21を介して入力され、処理データ記憶部22に設定されている。
【0171】
なお、本実施形態においては、上記の上限額、目標値、マージンに基づく上限及び下限の値を、インセンティブ受取可否判定部12及び電力抑制スケジュール最適化部13における処理に用いる。L−PTR型とCPP型の上限及び下限は、それぞれ以下の通りとなる。
【0172】
・L−PTR型のDR実施の場合
使用電力量X1の上限:ベースライン
使用電力量X1の下限:インセンティブ上限額を達成する使用電力量
・CPP型のDR実施の場合
使用電力量X1の上限:電力削減目標値を満足する使用電力量(下記の式(11)参照)
使用電力量X1の下限:上記の上限からマージンを際し引いたもの(下記の式(12)参照)
【0173】
マージンとは、以下の通りである。まず、CPPの場合には、ベースラインを下回っても、さらに目標値を下回らないと、インセンティブは支払われない。目標値を下回れば、ベースラインから目標値までの削減量の部分については、インセンティブが支払われる。しかし、目標値を下回る削減量の部分については、インセンティブは支払われない。そこで、目標値よりも下側に、さらに下限を設けて、目標値を下回るけれども、下限は上回るようにする必要がある。この目標値と下限との幅がマージンである。
【0174】
下限を設けないと、目標値を下回っているにもかかわらず、無駄に電力量を下げることになるので、歯止めをかけるために下限が必要となる。マージンに収まる使用電力になるようにすれば、インセンティブが支払われる通りに、無駄に電力を抑制することがなくなる。
【0175】
また、本実施形態のインセンティブ受取可否判定部12における使用電力量判定部124は、使用電力量が上限を達成可能か否かを判定する処理部である。受取可否判定部126は、使用電力量が上限を達成可能か否かにより、インセンティブの受け取りの可否を判定する処理部である。
【0176】
[2.作用]
以上のような本実施形態の作用は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、
図14のフローチャートに示すように、インセンティブ受取可否判定部12における判定処理が、
図9に示した手順と、一部異なっている。
【0177】
まず、
図14では、初期状態の決定(ステップ301)、判定時刻の決定(ステップ302)、運転点の導出(ステップ303)は、上記の実施形態と同様である。その後、ステップ304で、使用電力量判定部124が、最小化された判定時刻における使用電力量がその上限以下又は未満か否かを判定する。
【0178】
なお、ここで使用電力量の上限設定とは、上記のように、L−PTR型のDR実施の場合はベースラインPBASE[kWh]である。また、CPP型DR実施の場合の上限設定は、以下の式(11)に記す電力削減目標値ΔPL[kWh]を満足する使用電力量PUB[kWh]である。
【0180】
使用電力量判定部124が、使用電力量が上限以下又は未満でないと判定した場合には(ステップ304のNO)、割当キャンセル部125が、今回割り当てられた放熱量及び放電量をキャンセルする(ステップ306)。そして、受取可否判定部126が、当該時刻はインセンティブ受取「否」と判定する(ステップ307)。
【0181】
使用電力量判定部124が、使用電力量が上限設定以下若しくは未満であると判定した場合には(ステップ304のYES)、受取可否判定部126が、当該時刻はインセンティブ受取可と判定する(ステップ305)。
【0182】
次いで、割当キャンセル部125は、使用電力が上限設定を下回った分だけ、放熱量及び放電量の割り当てをキャンセルする(ステップ309)。この操作は、上限を下回った分の蓄熱槽の放熱量や蓄電池100の放電量を、次順位以降の判定時刻に有効活用するためである。
【0183】
終了判定部127は、DR対象時刻の全ての判定を終了していないと判定した場合には(ステップ308のNO)、次に優先順位の高い時刻を判定時刻として(ステップ302)、上記と同様にステップ303以降の動作を繰り返す。
【0184】
終了判定部127が、DR対象時刻の全ての判定を終了したと判定した場合には(ステップ308のYES)、インセンティブ受取可否判定部12による判定処理を終了する。
【0185】
そして、電力抑制スケジュール最適化部13は、インセンティブ受取可否判定部12において、インセンティブ受取が可と判定された時刻の電力係数ECt[円/kWh]を、式(10)のように変更し、使用電力量X1の上限と下限を上記のように設定して、インセンティブを考慮した運転スケジュールの最適化を実施する。以降の動作は、上記の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0186】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、使用電力の目標達成が可能と判定された時刻において、使用電力量の上限及び下限を設定することで、インセンティブが生じない領域での過度の電力抑制を回避できる。そして、L−PTR型又はCPP型のDRに対応して、コスト最小の運転スケジュールを得ることができる。
【0187】
[E.第5の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の構成を
図15に示す。本実施形態は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態は、スケジュール表示部26が追加されている。スケジュール表示部26は、上記の出力部と共通のものを用いることができる。さらに、ネットワークを介して送受信部24に接続されたユーザの入出力端末も、スケジュール表示部26に含まれる。
【0188】
なお、本実施形態の採用スケジュール選択部14は、上記の基準で運転スケジュールを選択するのではなく、スケジュール表示部26を介して、ユーザが選択した運転スケジュールを選択するように設定されている。つまり、スケジュール表示部26は、スケジュール選択指示を入力する指示入力部としても機能する。
【0189】
[2.作用]
以上のような本実施形態の作用は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様である。ただし、採用スケジュール選択部14による運転スケジュールの選択の前に、スケジュール表示部26に、最適化処理部40で得られたインセンティブを考慮しない運転スケジュールと、インセンティブを考慮した運転スケジュールとを、表示してユーザに了知させる。
【0190】
たとえば、スケジュール表示部26の表示画面に表示される画面例を、
図16に示す。
図16の上部は、インセンティブを考慮しないで最適化した場合の運転スケジュール(I)である。
図16の下部は、インセンティブを考慮して、最適化した場合の運転スケジュール(II)である。
【0191】
それぞれの運転スケジュールには、評価指標値とともに、時間帯毎の電力需要、受電量、蓄電池放電量が、グラフ表示されている。これに加えて、指示入力部としてのスケジュール承認ボタン、熱需給画面への移行ボタンも表示されている。
【0192】
このように運転スケジュールの提示を受けたユーザは、いずれかの運転スケジュールを適用すべきかを判断する。そして、決定した運転スケジュールの承認ボタンを選択することにより、採用スケジュール選択部14に、採用スケジュールの選択を指示する。これにより、ユーザが選択した運転スケジュールが、実行される運転スケジュールとして決定する。
【0193】
[3.効果]
以上のように、本実施形態によれば、インセンティブを考慮しないで最適化した場合の運転スケジュールと、インセンティブを考慮して最適化した場合の運転スケジュールの双方を、オペレータが事前に確認できる。このため、評価指標値に応じて、いずれの運転スケジュールを承認するか否かを判断して、指示することができる。
【0194】
[F.他の実施形態]
本実施形態は、上記の態様に限定されるものではない。
(1)制御対象機器は、上記で例示したものには限定されない。たとえば、エネルギー供給機器としては、太陽光発電設装置、太陽熱温水器の代わりに、又はこれに加えて、風力発電設備等、気象条件によって出力が変化する設備を用いることもできる。なお、本実施形態は、ビル等の所定の建物内に設置された制御対象機器を管理するシステムであるBEMS(Building Energy Management System)に適している。ただし、制御対象機器の設置位置は、単一の建物か複数の建物かには限定されず、屋外を含んでいてもよい。つまり、所定の領域に設置された制御対象機器を制御するEMS(Energy Management System)として、広く適用可能である。
【0195】
(2)蓄電蓄熱最適化装置、ローカル制御装置、端末等は、CPU等を含むコンピュータを所定のプログラムで制御することによって実現できる。この場合のプログラムは、コンピュータのハードウェアを物理的に活用することで、上記のような各部の処理を実現するものである。
【0196】
上記の各部の処理を実行する方法、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体も、実施形態の一態様である。また、ハードウェアで処理する範囲、プログラムを含むソフトウェアで処理する範囲をどのように設定するかは、特定の態様には限定されない。たとえば、上記の各部のいずれかを、それぞれの処理を実現する回路として構成することも可能である。
【0197】
(3)上記の各処理部、記憶部等は、共通のコンピュータにおいて実現してもよいし、ネットワークで接続された複数のコンピュータによって実現してもよい。たとえば、処理データ記憶部、最適化データ記憶部を、最適化処理部とネットワークで接続されたサーバに構成してもよい。
【0198】
さらに、
図17に示すように、制御対象機器2を設置した建物などに設けられた情報通信装置6に、遠隔に設置された蓄電蓄熱最適化装置4を、ネットワークN2を介して接続した構成とすることも可能である。情報通信装置6は、パーソナルコンピュータ、制御パネル等により構成することができる。
【0199】
情報通信装置6は、たとえば、送受信部61、制御情報出力部62、表示部63を有する。送受信部61は、蓄電蓄熱最適化装置4との情報の送受信を行う処理部である。たとえば、送受信部61は、蓄電蓄熱最適化装置4からの制御情報を含む運転スケジュールを受信し、蓄電蓄熱最適化装置4へ、優先順位や運転スケジュールの選択指示を送信することができる。
【0200】
制御情報出力部62は、ネットワークN2で接続されたローカル制御装置3に制御情報を出力する処理部である。表示部63は、制御情報を含む受信した運転スケジュール等を表示する処理部である。入力部64は、優先順位や運転スケジュールの選択指示等を入力する処理部である。表示部63及び入力部64は、上記のスケジュール表示部26及び優先順位入力部25としての機能を有する。
【0201】
さらに、需要家側には、蓄電蓄熱最適化装置4から出力された制御情報を受信する受信部のみが存在して、受信部が受信した制御情報に基づいて、ローカル制御機器3が制御される構成とすることも可能である。
【0202】
このように、たとえば、クラウドコンピューティングのように、ネットワークを介して、制御対象機器2から遠隔の地に構成された単一若しくは複数のサーバにより、蓄電蓄熱最適化装置4を実現する態様も、本実施形態の一態様である。これにより、需要家側の設備を簡略化して、導入コストを節約することができ、普及の促進に繋がる。
【0203】
(4)処理データ記憶部、最適化データ記憶部に記憶される各データの記憶領域は、それぞれが各データの記憶部として構成できる。これらの記憶部は、典型的には、内蔵された又は外部接続された各種メモリ、ハードディスク等により構成できる。ただし、記憶部としては、現在又は将来において利用可能なあらゆる記憶媒体を利用可能である。演算に用いるレジスタ等も、記憶部として捉えることができる。記憶の態様も、長時間記憶が保持される態様のみならず、処理のために一時的に記憶され、短時間で消去又は更新される態様も含まれる。
【0204】
(5)実施形態に用いられる情報の具体的な内容、値は自由であり、特定の内容、数値には限定されない。実施形態において、しきい値に対する大小判断、一致不一致の判断等において、以上、以下、として値を含めるように判断するか、より大きい、より小さい、超える、超えない、上回る、下回る、未満として値を含めないように判断するかも自由である。したがって、たとえば、値の設定によっては、「以上」を「より大きい」、「超える」、「上回る」に、「以下」を「より小さい」、「超えない」、「下回る」、「未満」に読み替えても、実質的には同じである。
【0205】
(6)本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。