(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接地電極管と、当該接地電極管の内周側に放電空間を介して配置された高電圧電極管と、前記接地電極管の内周面および前記高電圧電極管の外周面の少なくとも一方に設けられた誘電体と、前記接地電極管の外周側に配置されて当該接地電極管を冷却する冷却機構とを備え、前記高電圧電極管と前記接地電極管との間に交流高電圧を印加し、無声放電により酸素含有ガスからオゾンを発生させるオゾン発生装置であって、
前記高電圧電極管は、軸線方向一方の端部が閉止されており、
前記高電圧電極管の内周側に挿通され、軸線方向一方の端部が前記高電圧電極管の閉止された端面に向かって開口し、軸線方向他方の端部が前記高電圧電極管および前記接地電極管の外側に位置する、導電性材料よりなる酸素含有ガス供給管と、
前記酸素含有ガス供給管の外周面と前記高電圧電極管の内周面とに接触して前記酸素含有ガス供給管と前記高電圧電極管とを電気的に接続する導電性部材と、
前記接地電極管および前記高電圧電極管の外側で前記酸素含有ガス供給管と電気的に接続され、前記酸素含有ガス供給管および前記導電性部材を介して前記高電圧電極管と前記接地電極管との間に交流高電圧を印加する給電機構と、
前記高電圧電極管の閉止された端面よりも軸線方向一方側に設けられ、発生したオゾンが流出するオゾン流出口と、
を備え、
前記酸素含有ガス供給管から供給された酸素含有ガスが、前記高電圧電極管内を通って前記放電空間に流入することを特徴とする、オゾン発生装置。
前記金属製の薄板は、長さが、前記酸素含有ガス供給管の外周面と前記高電圧電極管の内周面との間の高電圧電極管の径方向に沿う距離よりも長く、幅が、前記酸素含有ガス供給管側から前記高電圧電極管側に向かって減少し、
前記金属製の薄板は、前記高電圧電極管の内周面と接触する部分が湾曲して当該高電圧電極管の内周面と面接触することを特徴とする、請求項3に記載のオゾン発生装置。
【背景技術】
【0002】
近年、強い酸化力を有するオゾンが、上水や下水の高度処理などに用いられている。そして、空気や酸素などの酸素含有ガスからオゾンを生成するオゾン発生装置としては、主に無声放電方式(「誘電体バリア放電方式」と称されることもある。)のオゾン発生装置が用いられている。
【0003】
ここで、無声放電方式のオゾン発生装置は、通常、所定の放電空間を設けて対向配置され、且つ、少なくとも一方の電極の表面(対向面)にガラス等の誘電体が配設されている一対の電極(高電圧電極および接地電極)を有している。そして、このオゾン発生装置では、放電空間に酸素含有ガスを流通させつつ、高電圧電極と接地電極との間に交流高電圧を印加して無声放電を発生させることにより、放電空間を流れる酸素含有ガスからオゾンを生成する。
【0004】
ところで、オゾンの分解は発熱反応であるので、オゾンは、活性エネルギー以上のエネルギーを与えられると熱分解を起こす。そして、オゾンの熱分解速度は、温度が上昇するほど大きくなる。そのため、上述した無声放電方式のオゾン発生装置では、電極や誘電体を冷却することにより、無声放電により発生する熱に起因したオゾンの熱分解を抑制し、オゾンの発生効率(=オゾン収量/供給電力量)を向上させる技術が提案されている。
【0005】
具体的には、例えば特許文献1では、軸線方向一端が閉塞されたガラス誘電体管と、ガラス誘電体管の内周面にコーティングされた導体よりなる高電圧電極と、ガラス誘電体管の外周側に、放電空間を介してガラス誘電体管と同軸配置された接地電極管とを備えるオゾン発生装置において、接地電極管を冷却水により冷却するとともに、ガラス等の絶縁材料からなる供給管を、一端がガラス誘電体管内の閉塞側端部に位置するようにガラス誘電体管内に挿通することが提案されている。
【0006】
そして、特許文献1に記載のオゾン発生装置では、接地電極管を冷却水により冷却しているので、無声放電により発生する熱に起因したオゾンの熱分解を抑制し、オゾンの発生効率を向上させることができる。また、上記特許文献1に記載のオゾン発生装置では、絶縁材料からなる空気供給管の一端をガラス誘電体管内の閉塞側端部に位置させているので、原料ガス(酸素含有ガス)としての空気によりガラス誘電体管を冷却して、オゾンの発生効率を更に向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のオゾン発生装置では、ガラス誘電体管の内周面にコーティングされた導体で高電圧電極が形成されているため、ガラス誘電体管内に、絶縁材料からなる空気供給管と、高電圧電極に交流高電圧を印加するための給電機構との双方を、導体のコーティングを剥離しないように配置する必要があった。即ち、上記従来のオゾン発生装置には、接地電極管およびガラス誘電体管の冷却によりオゾンの発生効率を高めることはできるものの、部品点数が多く、装置構成が複雑になると共に、製造コストが高くなるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、オゾンの発生効率を高めることが可能であり、且つ、装置構成が簡素で製造コストの低いオゾン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のオゾン発生装置は、接地電極管と、当該接地電極管の内周側に放電空間を介して配置された高電圧電極管と、前記接地電極管の内周面および前記高電圧電極管の外周面の少なくとも一方に設けられた誘電体と、前記接地電極管の外周側に配置されて当該接地電極管を冷却する冷却機構とを備え、前記高電圧電極管と前記接地電極管との間に交流高電圧を印加し、無声放電により酸素含有ガスからオゾンを発生させるオゾン発生装置であって、前記高電圧電極管は、軸線方向一方の端部が閉止されており、前記高電圧電極管の内周側に挿通され、軸線方向一方の端部が前記高電圧電極管の閉止された端面に向かって開口し、軸線方向他方の端部が前記高電圧電極管および前記接地電極管の外側に位置する、導電性材料よりなる酸素含有ガス供給管と、前記酸素含有ガス供給管の外周面と前記高電圧電極管の内周面とに接触して前記酸素含有ガス供給管と前記高電圧電極管とを電気的に接続する導電性部材と、前記接地電極管および前記高電圧電極管の外側で前記酸素含有ガス供給管と電気的に接続され、前記酸素含有ガス供給管および前記導電性部材を介して前記高電圧電極管と前記接地電極管との間に交流高電圧を印加する給電機構と、前記高電圧電極管の閉止された端面よりも軸線方向一方側に設けられ、発生したオゾンが流出するオゾン流出口とを備え、前記酸素含有ガス供給管から供給された酸素含有ガスが、前記高電圧電極管内を通って前記放電空間に流入することを特徴とする。
このように、冷却機構を設ければ、接地電極管を冷却して無声放電により発生する熱に起因したオゾンの熱分解を抑制し、オゾンの発生効率を向上させることができる。また、酸素含有ガス供給管の一端を高電圧電極管の閉止された端面に向けて開口させ、酸素含有ガスが、高電圧電極管内を通ってから放電空間に流入するようにすれば、酸素含有ガスにより高電圧電極管を冷却して、オゾンの発生効率を更に向上させることができる。更に、導電性材料を用いて酸素含有ガス供給管を形成すると共に導電性部材を設け、酸素含有ガス供給管および導電性部材を介して交流高電圧を印加すれば、交流高電圧の印加に必要な部品点数を削減して装置構成を簡素化することができる。なお、このオゾン発生装置では、高電圧電極が高電圧電極管よりなるので、酸素含有ガス供給管および導電性部材を高電圧電極管内に設置する際にコーティングの剥離などの問題は生じない。
【0011】
ここで、本発明のオゾン発生装置は、前記冷却機構が、冷却媒体を流す冷却媒体流路を前記接地電極管の外周面側に有し、前記冷却媒体流路は、前記高電圧電極管の軸線方向他方の端部を通って当該高電圧電極管の軸線に直交する平面よりも軸線方向他方側まで延在し、前記高電圧電極管内を通って当該高電圧電極管の軸線方向他方の端部から流出した前記酸素含有ガスが前記放電空間に流入する前に当該酸素含有ガスを冷却することが好ましい。高電圧電極管の冷却に酸素含有ガスを用いた場合、高電圧電極管の軸線方向他方の端部から流出した酸素含有ガスの温度は高電圧電極管内への流入時よりも上昇するが、放電空間に流入する前に冷却機構を用いて酸素含有ガスを冷却すれば、オゾンの発生効率を更に向上させることができるからである。
【0012】
また、本発明のオゾン発生装置では、前記導電性部材が、金属製の薄板よりなることが好ましい。金属製の薄板を用いて導電性部材を形成すれば、高電圧電極管の冷却効果を更に高めることができるからである。また、導電性部材を用いて酸素含有ガス供給管を高電圧電極管内に支持することができるからである。
【0013】
更に、本発明のオゾン発生装置では、前記金属製の薄板は、長さが、前記酸素含有ガス供給管の外周面と前記高電圧電極管の内周面との間の高電圧電極管の径方向に沿う距離よりも長く、幅が、前記酸素含有ガス供給管側から前記高電圧電極管側に向かって減少し、前記金属製の薄板は、前記高電圧電極管の内周面と接触する部分が湾曲して当該高電圧電極管の内周面と面接触することが好ましい。酸素含有ガス供給管の外周面と高電圧電極管の内周面との間の距離よりも長さが長く、酸素含有ガス供給管側から高電圧電極管側に向かって幅が減少する金属製の薄板を用いて導電性部材を形成し、導電性部材と高電圧電極管の内周面とを面接触させれば、酸素含有ガス供給管と高電圧電極管との電気的接続を良好にすることができるからである。
【0014】
また、本発明のオゾン発生装置では、前記導電性部材が、金属ウールよりなることが好ましい。導電性部材として金属ウールを用いれば、酸素含有ガス供給管および高電圧電極管と、導電性部材との接触面積を増加させ、高電圧電極管の冷却効果を更に高めることができるからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オゾンの発生効率を高めることが可能であり、且つ、装置構成が簡素で製造コストの低いオゾン発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。
【0018】
本発明のオゾン発生装置は、無声放電を用いて空気や酸素などの酸素含有ガスからオゾンを生成する装置である。そして、本発明のオゾン発生装置を用いて生成したオゾンは、特に限定されることなく上水や下水の高度処理に用いることができる。
【0019】
ここで、本発明のオゾン発生装置の一例を
図1に示す。
図1に示すオゾン発生装置100は、地面Gに接地された接地電極管10と、接地電極管10の内周面に設けられた誘電体11と、接地電極管10の内周側に所定の放電空間を介して配置された高電圧電極管20と、装置内部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管30とを備えている。また、オゾン発生装置100は、接地電極管10の外周側に配置された冷却媒体流路60を備えている。なお、内周面に誘電体11を有する接地電極管10の軸線方向両端部には、酸素含有ガス供給管30が気密に挿通された第1仕切り板40と、オゾン流出口51を有する第2仕切り板50とが設けられている。
そして、このオゾン発生装置100では、給電装置Vを用いて接地電極管10と高電圧電極管20との間に交流高電圧を印加し、接地電極管10と高電圧電極管20との間で無声放電を発生させることにより、酸素含有ガス供給管30を介して供給された酸素含有ガス中の酸素分子を解離および再結合させてオゾンを生成する。
【0020】
このオゾン発生装置100の接地電極管10は、導電性の材料よりなる円管状部材であり、接地電極管10としては、例えばSUS管などの金属管を用いることができる。そして、この接地電極管10の内周面には、既知の方法を用いてガラス等の誘電体11がコーティングされている。
なお、この一例のオゾン発生装置100では接地電極管10の内周面に誘電体11を設けたが、本発明のオゾン発生装置では、誘電体は、接地電極管の内周面と高電圧電極管の外周面との少なくとも一方に設けられていればよい。即ち、本発明のオゾン発生装置では、接地電極管の内周面と高電圧電極管の外周面との双方に誘電体を設けてもよいし、接地電極管の内周面に誘電体を設けることなく、高電圧電極管の外周面のみに誘電体を設けてもよい。
【0021】
高電圧電極管20は、導電性の材料よりなり、軸線方向一方(
図1では右側)の端部のみが気密に閉止された略円管状部材である。そして、高電圧電極管20としては、例えば、SUS管などの金属管の軸線方向一方の端面に金属管と同素材の金属板を溶接し、金属管の軸線方向一方の端部を金属板で閉止してなる部材を用いることができる。なお、金属板による金属管の端部の閉止は、絞り加工、巻締め、嵌め合い等の既知の手法を用いて行うこともできる。
ここで、オゾン発生装置100の高電圧電極管20は、接地電極管10の内周側に、接地電極管10と同軸で配置されている。そして、高電圧電極管20の軸線方向に沿う長さは、接地電極管10の軸線方向に沿う長さよりも短く、接地電極管10の内周面と高電圧電極管20の外周面との間には、所定の放電空間が設けられている。なお、接地電極管10内での高電圧電極管20の径方向位置の固定は、接地電極管10の内周面に配設された誘電体11上、或いは、高電圧電極管20の外周面上に周方向に所定の間隔を置いて配置された、複数個のスペーサー(図示せず)を用いて行われている。また、接地電極管10内での高電圧電極管20の軸線方向位置の固定は、高電圧電極管20の閉止された端面と第2仕切り板50との間に配置された、ガラス等の絶縁材料よりなるスペーサー70を用いて行われている。
【0022】
酸素含有ガス供給管30は、酸素含有ガスを供給するものであり、金属等の導電性の材料よりなる円管状部材である。そして、酸素含有ガス供給管30としては、例えばSUS管などの金属管を用いることができる。なお、酸素含有ガス供給管30を介した酸素含有ガスの供給は、特に限定されることなく、ブロアー等の既知の手段を用いて行うことができる。
【0023】
ここで、酸素含有ガス供給管30は、高電圧電極管20の内周側に挿通されており、酸素含有ガス供給管30の軸線方向一方(
図1では右側)の端部は、高電圧電極管20の閉止された端面21に向かって開口している。また、酸素含有ガス供給管30は、接地電極管10の内部の軸線方向他方側(
図1では左側)に気密に取り付けられた第1仕切り板40を気密に挿通して接地電極管10の外側まで延在しており、酸素含有ガス供給管30の軸線方向他方(
図1では左側)の端部は、高電圧電極管20および接地電極管10の外側に位置している。なお、高電圧電極管20と酸素含有ガス供給管30とは、同軸配置されている。また、酸素含有ガスは、酸素含有ガス供給管30の軸線方向他方の端部側から軸線方向一方の端部側に向かって供給される。
【0024】
そして、高電圧電極管20の内周面と酸素含有ガス供給管30の外周面との間には、高電圧電極管20と酸素含有ガス供給管30とを電気的に接続する複数の(
図1では3個の)導電性部材31と、酸素含有ガス供給管30を支持する支持部材32とが設けられている。なお、本発明のオゾン発生装置では、導電性部材により酸素含有ガス供給管を支持可能であれば、
図4に示すように支持部材は設けなくてもよい。
また、酸素含有ガス供給管30のうち、接地電極管10の外側に位置する部分には、給電機構としての給電装置Vが電気的に接続されている。
【0025】
導電性部材31は、酸素含有ガス供給管30の外周面に取り付けられた金属製の薄板よりなり、高電圧電極管20の内周面と酸素含有ガス供給管30の外周面との双方に接触している。
ここで、このオゾン発生装置100では、導電性部材31を構成する金属製の薄板は、高電圧電極管20内に配置する前には、酸素含有ガス供給管30に薄板を取り付けた状態の軸線方向視形状を例えば
図2に示すように、中央に酸素含有ガス供給管30が挿通された略四方手裏剣状をしている。そして、金属製の薄板は、酸素含有ガス供給管30の外周面から薄板の端縁までの最大長さが、酸素含有ガス供給管30の外周面と高電圧電極管20の内周面との間の高電圧電極管20の径方向に沿う距離よりも長く、幅が、酸素含有ガス供給管30側から高電圧電極管20側(即ち、薄板の端縁側)に向かって減少(
図2では漸減)している。そのため、導電性部材31を構成する金属製の薄板は、高電圧電極管20内に配置した後には、高電圧電極管20の内周面と接触する部分、即ち、高電圧電極管20側に位置する、幅が減少している部分が湾曲して高電圧電極管20の内周面と面接触する。
【0026】
支持部材32は、例えば絶縁材料よりなり、厚さ方向(
図1では左右方向)に連通する孔33を有する円形の板状部材である。即ち、支持部材32は、厚さ方向に気体(酸素含有ガス)を流通可能に形成されている。そして、支持部材32の中央に設けられた孔には酸素含有ガス供給管30が挿通されている。
【0027】
給電装置Vは、接地電極管10および高電圧電極管20の外側で酸素含有ガス供給管30と電気的に接続されている。そして、このオゾン発生装置100では、給電装置Vは、導電性を有する酸素含有ガス供給管30および導電性部材31を介して高電圧電極管20と接地電極管10との間に交流高電圧を印加し、無声放電を発生させる。
【0028】
また、このオゾン発生装置100の第1仕切り板40は、接地電極管10の内外を仕切る仕切り部材であり、既知の手段を用いて接地電極管10の内部の軸線方向他方側(
図1では左側)に気密に取り付けられている。従って、第1仕切り板40と接地電極管10との接続部分は気密にシールされているので、酸素含有ガス供給管30から供給されてオゾン発生装置100内を流れる酸素含有ガスおよびオゾン発生装置100内で発生したオゾンは、第1仕切り板40側からは装置外に流出しない。
なお、第1仕切り板40に気密に挿通された酸素含有ガス供給管30は、高電圧電極管20と接地電極管10との間に交流高電圧を印加する際に導電路として使用される。そのため、酸素含有ガス供給管30と接地電極管10とが通電することのないように、第1仕切り板40は、酸素含有ガス供給管30と接触する部分に絶縁部材(例えば、絶縁材料よりなるブッシングなど)を配置するか、全体を絶縁材料で構成する必要がある。
【0029】
第2仕切り板50は、接地電極管10の内外を仕切る仕切り部材であり、既知の手段を用いて接地電極管10の軸線方向一方側(
図1では右側)の端部に取り付けられている。そして、第2仕切り板50には、オゾン流出口51が設けられており、オゾン発生装置100内で生成したオゾンと、未反応の酸素含有ガスとは、オゾン流出口51から装置外へと流出する。なお、第2仕切り板50と接地電極管10との接続部分は、既知の手段を用いて気密にシールされている。
【0030】
また、オゾン発生装置100の冷却媒体流路60は、接地電極管10の外周側に配置されて接地電極管10を冷却する冷却機構として機能する。
ここで、冷却媒体流路60は、冷却媒体の流入口(図示せず)および流出口(図示せず)を有し、接地電極管10の外周面を覆って軸線方向に延在している。具体的には、冷却媒体流路60は、軸線方向に沿う長さが、高電圧電極管20よりも長く、接地電極管10よりも短い。そして、冷却媒体流路60の軸線方向一方の端部は、高電圧電極管20の軸線方向一方に位置する閉止された端面を含む平面よりも軸線方向一方側に位置している。また、冷却媒体流路60の軸線方向他方の端部は、高電圧電極管20の軸線方向他方の端部を通って高電圧電極管20の軸線に直交する平面よりも軸線方向他方側に位置している。
なお、冷却媒体流路60に流通する冷却媒体としては、水などの既知の冷却媒体を用いることができる。
【0031】
ここで、このオゾン発生装置100では、以下のようにして酸素含有ガスからオゾンが生成する。
即ち、酸素含有ガス供給管30を介して高電圧電極管20内に供給された酸素含有ガスは、酸素含有ガス供給管30の開口から軸線方向一方(
図1では右側)に向かって噴出し、高電圧電極管20の端面21に衝突した後、高電圧電極管20内を軸線方向他方(
図1では左側)に向かって流れる。そして、高電圧電極管20の軸線方向他方の端部から流出した酸素含有ガスは、高電圧電極管20の軸線方向他方の端部と第1仕切り板40との間に位置する空間81に流入した後、流れる方向を変えて、接地電極管10の内周面と高電圧電極管20の外周面との間に形成された放電空間82に流入する。より具体的には、高電圧電極管20の軸線方向他方の端部から空間81へ流出した酸素含有ガスは、接地電極管10の内周面に配設された誘電体11と高電圧電極管20の外周面との間に位置する放電空間82を軸線方向一方に向かって流れる。
そして、このオゾン発生装置100では、給電装置Vが、酸素含有ガス供給管30および導電性部材31を介して高電圧電極管20と接地電極管10との間に交流高電圧を印加しているので、放電空間82では無声放電が発生する。そのため、放電空間82では、放電空間82を流れる酸素含有ガス中の酸素分子が無声放電により解離および再結合され、オゾンが生成する。なお、生成したオゾンは、未反応の酸素含有ガスと一緒に軸線方向一方に向かって流れ、高電圧電極管20の軸線方向一方の端面と第2仕切り板50との間に位置する空間83に流入し、オゾン流出口51から装置外へと流出する。
【0032】
ここで、このオゾン発生装置100では、冷却媒体流路60を用いて接地電極管10を冷却しているので、無声放電により発生する熱に起因したオゾンの熱分解を抑制し、オゾンの発生効率を向上させることができる。
【0033】
また、オゾン発生装置100では、酸素含有ガス供給管30の一端を高電圧電極管20の閉止された端面21に向けて開口させ、酸素含有ガスが高電圧電極管20内を通ってから放電空間82に流入するようにしているので、酸素含有ガスにより高電圧電極管20を冷却して、オゾンの発生効率を更に向上させることができる。更に、このオゾン発生装置100では、高電圧電極管20の端面21に向けて酸素含有ガスを噴き付けているので、端面21を冷却し、端面21と第2仕切り板50との間に位置する空間83内で滞留しているオゾンが熱分解するのを抑制することができる。従って、オゾンの発生効率をより一層向上させることができる。
ここで、端面21を酸素含有ガスで効率的に冷却する観点からは、酸素含有ガス供給管30の一端と端面21との間の距離は、高電圧電極管20の他方の端部から端面21までの距離L(即ち、高電圧電極管20の内周面の軸線方向長さL)の1/2以下であることが好ましい。酸素含有ガス供給管30の一端と端面21との間の距離を距離Lの1/2以下とすれば、十分な流速で酸素含有ガスを端面21に噴き付け、空間83内を効率的に冷却することができるからである。
なお、接地電極管10内での高電圧電極管20の軸線方向位置は、スペーサー70により固定されているので、端面21に酸素含有ガスを噴き付けても、接地電極管10内で高電圧電極管20が移動することはない。
【0034】
更に、オゾン発生装置100では、接地電極管10および高電圧電極管20の外側で酸素含有ガス供給管30と電気的に接続された給電装置Vを使用し、酸素含有ガス供給管30および導電性部材31を介して高電圧電極管20と接地電極管10との間に交流高電圧を印加している。従って、交流高電圧の印加に必要な部品点数を削減して装置構成を簡素化することができる。また、高電圧電極管20内に複数の部材(例えば、酸素含有ガス供給管と、給電部材との双方)を配置する必要がない。よって、このオゾン発生装置100は、低コストで製造することができる。
なお、このオゾン発生装置100では、高電圧電極が高電圧電極管20よりなるので、管状部材の内周面に導体をコーティングして高電圧電極を形成した場合とは異なり、酸素含有ガス供給管30と高電圧電極管20との間に導電性部材31を配設しても、装置の組立時(例えば、高電圧電極管20内への酸素含有ガス供給管30および導電性部材31の挿入時)にコーティングが剥離するなどの問題は生じない。
【0035】
ここで、オゾン発生装置100では、高電圧電極管20の冷却に用いた酸素含有ガスの温度は、装置内への流入時よりも上昇する。また、このオゾン発生装置100では酸素含有ガス供給管30に電流が流れるので、通電による酸素含有ガス供給管30の発熱によっても、酸素含有ガスの温度は上昇する。しかし、オゾン発生装置100では、冷却媒体流路60の軸線方向他方(
図1では左側)の端部が、高電圧電極管20の軸線方向他方の端部を通って高電圧電極管20の軸線に直交する平面よりも軸線方向他方側に位置しているので、温度が上昇した酸素含有ガスを冷却してから放電空間82に供給することができる。即ち、オゾン発生装置100では、冷却媒体流路60の径方向内側に空間81の一部が位置しているので、高電圧電極管20内を通って高電圧電極管20の軸線方向他方の端部から流出した酸素含有ガスを、放電空間82に流入する前に、空間81内で冷却することができる。従って、このオゾン発生装置100では、酸素含有ガスの温度上昇によりオゾンの発生効率が低下するのを抑制することができる。
なお、オゾン発生装置100では、冷却媒体流路60の軸線方向一方(
図1では右側)の端部が、高電圧電極管20の軸線方向一方に位置する閉止された端面を含む平面よりも軸線方向一方側に位置しているので、空間83内も冷却して、空間83内におけるオゾンの熱分解を抑制することもできる。
【0036】
また、オゾン発生装置100では、導電性部材31が、金属製の薄板よりなるので、導電性部材31を介した伝熱を利用し、酸素含有ガス供給管30内を流れる酸素含有ガスによっても高電圧電極管20を冷却することができる。また、薄板よりなる導電性部材31を板バネのように機能させ、酸素含有ガス供給管30を導電性部材31で高電圧電極管20内に支持することができる。
更に、オゾン発生装置100では、酸素含有ガス供給管30の外周面と高電圧電極管20の内周面との間の距離よりも長さが長く、酸素含有ガス供給管30側から高電圧電極管20側に向かって幅が減少する金属製の薄板を用いて導電性部材31を形成し、導電性部材31の幅が減少している部分を湾曲させて高電圧電極管20の内周面と面接触させている。従って、酸素含有ガス供給管30と高電圧電極管20との電気的接続を良好にすることができると共に、導電性部材31を介した伝熱を利用し、酸素含有ガス供給管30内を流れる酸素含有ガスにより高電圧電極管20を効率的に冷却することができる。
【0037】
以上、一例を用いて本発明のオゾン発生装置について説明したが、本発明のオゾン発生装置は、上記一例に限定されることはなく、本発明のオゾン発生装置には、適宜変更を加えることができる。
具体的には、上記一例のオゾン発生装置100では、導電性部材31として金属製の薄板を用いたが、導電性部材の形状および材質は、酸素含有ガス供給管と高電圧電極管とを電気的に接続可能であり、且つ、高電圧電極管内を酸素含有ガスが流通可能であれば、上記一例には限定されない。即ち、本発明のオゾン発生装置では、
図3(a)に示すように、金属ウール31Aを導電性部材として用いてもよい。また、本発明のオゾン発生装置では、
図3(b)に示すように、酸素含有ガス供給管30の外周面にブラシ状に取り付けた金属繊維31Bを導電性部材として用いてもよい。なお、
図3(a),(b)に示すオゾン発生装置は、導電性部材以外は先の一例のオゾン発生装置と同様の構成を有している。
ここで、金属ウール31Aを導電性部材として用いた場合、酸素含有ガス供給管30および高電圧電極管20と、導電性部材との接触面積を増加させ、高電圧電極管20から酸素含有ガス供給管30への導電性部材を介した伝熱量を増加させることができる。従って、酸素含有ガス供給管30内を流れる酸素含有ガスによる高電圧電極管20の冷却効果を更に高めることができる。
また、ブラシ状に取り付けた金属繊維31Bを導電性部材として用いた場合、金属ウールを用いた場合よりも、高電圧電極管20内に酸素含有ガスを流す際の圧力損失を小さくすることができる。
更に、上記一例および他の例のオゾン発生装置100では、第2仕切り板50を設けたが、本発明のオゾン発生装置では、
図4に示すように、第2仕切り板を設けなくてもよい。なお、第2仕切り板を設けない場合、接地電極10の軸線方向一方側(
図4では右側)の開口がオゾンの流出口となるが、放電空間82で生成したオゾンの一部は、空間83に向かって流れ、空間83内で滞留した後に接地電極10の開口から流出する。そして、空間83内で滞留しているオゾンは、端面21に向けて噴き付けられた酸素含有ガスにより冷却される。従って、第2仕切り板を設けない場合においても、空間83内においてオゾンの熱分解は抑制される。
また、上記一例のオゾン発生装置100では、一本の酸素含有ガス供給管30に対して一つの給電装置Vを設けたが、本発明のオゾン発生装置を複数個組み合わせてオゾン発生ユニットとする場合には、複数のオゾン発生装置間で一つの給電機構を共有してもよい。