(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一般的に所謂デジパチにおいては、始動入賞口に遊技球を入賞させる以外の多くのことが抽選で確率的に決定されるようになっているので、上述の特許文献3のようにラウンド数を決定する処理の一部に遊技者が介入可能になることにより、遊技のバリエーションが増えることになる。
【0011】
しかし、特許文献3の遊技機では、大当たり遊技状態におけるラウンド数を遊技者が完全に選択できるわけではなく、あくまで遊技者の選択と、抽選との組み合わせでラウンド数が決定される。例えば、遊技者が一方の通過口に遊技球を通過させるように選択すると大当たり遊技中のラウンド数が10ラウンドになり、他方の通過口に遊技球を通過させるように選択すると大当たり遊技中のラウンド数が抽選で4ラウンドか16ラウンドにされる。
【0012】
この場合に、他方の通過口を選択して、16Rが抽選で選択されれば、他の場合より多くの賞球数を得ることができるが、4ラウンドが選択されれば獲得可能な賞球数が最小となってしまう。したがって、多くの遊技者は、ある程度の賞球が確実に得られるように、大当たり遊技状態のラウンド数として10ラウンドを選択するために一方の通過口に遊技球を通過させるように操作する。
【0013】
この場合に、パチンコ遊技機における遊技において、遊技者に選択可能ないくつかの選択肢を用意しても、安定して賞球を得られる選択肢を選択する遊技者が多くなってしまうと、遊技者に選択可能な複数の選択肢を用意した意味がなくなってしまい、かえって選択肢を設けたことが遊技者に煩わしく思われる虞もある。
【0014】
このような場合に、選択肢として、遊技で獲得可能な賞球数が安定するような選択枝と、遊技で獲得可能な賞球数が大きく変動するような選択枝というような賞球数の変化に係わる選択に加えて、例えば、遊技を行える時間に余裕がある場合の選択肢と、遊技を行える時間に余裕がない場合の選択肢とのように、遊技者の都合を考慮した選択を可能とすることができれば、遊技中に遊技者により、遊技に係わる選択を可能とした場合に、選択することを有効に活用できる可能性がある。
【0015】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたものであり、確変の発生と大当たり遊技状態の最終ラウンド前の終了とを組み合わせることにより、遊技を遊技者の好みに対応して変更することができるとともに、遊技者の時間の都合に合わせて変更できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技球が流下する遊技領域を備える遊技盤と、
変動表示ゲームを表示する表示手段と、
前記遊技盤に設けられるとともに、前記変動表示ゲームが当たりとなることに基づいて前記遊技球が入賞可能になる大入賞口と、
前記遊技球が前記大入賞口に入賞できない閉の状態と、前記遊技球が前記大入賞口に入賞容易な開の状態との間で変動可能な変動入賞装置と、
前記変動表示ゲームの当たりまたははずれを抽選により決定する当たり抽選手段と、
前記変動表示ゲームが当たりとなった場合に、前記変動入賞装置を閉じた通常の状態から所定回数に渡って開閉動作を繰り返す当たり状態を発生させる当たり状態制御手段と、
前記当たり状態後の前記変動表示ゲームが実行される遊技状態を、遊技者に対する有利さが異なる少なくとも2種類の前記遊技状態から選択する有利遊技状態制御手段と、
を備える遊技機において、
前記大入賞口は、当該大入賞口に流入する前記遊技球が通過可能な有利領域および終了領域を備えるとともに、当該大入賞口に流入する前記遊技球が前記有利領域および前記終了領域の両方を通過する領域経路と、前記有利領域および前記終了領域の両方を通過しない非領域経路とを備え、
前記有利遊技状態制御手段は、前記大入賞口に流入する前記遊技球が前記有利領域を通過する場合に、前記当たり状態後の前記遊技状態として、複数種類の前記遊技状態から遊技者に対してより有利な種類の前記遊技状態を選択して発生させ、
前記当たり状態制御手段は、前記大入賞口に流入する前記遊技球が前記終了領域を通過する場合に、前記遊技球が前記終了領域を通過する際の前記開閉動作の実行回数が前記所定回数未満であっても、当該実行回数の前記開閉動作で前記当たり状態を終了することを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、遊技球が大入賞口の領域経路を通る場合に、遊技球は、終了領域および有利領域を通過する。この場合に、当たり状態のラウンド数にかかわらず、次のラウンド(変動入賞装置の開閉動作)を行うことなく、当たり状態をその回のラウンドまでとして、当たり状態を終了させるとともに、当たり状態後の遊技状態を、例えば、所謂確変等の遊技者に有利な遊技状態にする。
【0018】
また、変動入賞装置が開放されて遊技球が大入賞口に入賞した際に、非領域経路を通過すると、当たり状態におけるラウンド数が当たり状態を終了させる所定のラウンド数になっていなければ、当たり状態の次のラウンドが開始されることになる。
但し、この際には、例えば、確変等の遊技者に有利な状態の発生が設定されない。
【0019】
以上のことから、例えば、16ラウンド大当たりであっても、16ラウンド目が実行されるより前のラウンドにおいて、当たり状態を終了させることが可能になる。この場合に当たり状態中の変動入賞装置のラウンド数が少なくなることにより、遊技者の獲得可能な賞球数が少なくなるが、例えば、有利遊技状態として確変状態が発生すれば、遊技球をあまり減らさずに次の当たり状態を発生させられる可能性が高くなる。すなわち、当たり状態後に遊技者に有利な遊技状態が発生し、それに基づいて遊技者に有利な状態で遊技を継続できる可能性が高くなる。したがって、遊技者が長い期間に渡って遊技する場合に、遊技者が有利になる可能性がある。
【0020】
それに対して、非領域経路に遊技球を通過させるようにすれば、当たり状態中に多くの遊技球を得られることになり、当たり状態が終了した際に遊技を止めても手元に当たり状態中の賞球が残ることになり、遊技を短期間だけ行う場合に遊技者に有利な状況になる。
【0021】
なお、遊技球を非領域経路に誘導するか、領域経路に誘導するかを遊技者に選択可能になっていることが好ましい。この場合に、遊技者の好みに合わせて、非領域経路か領域経路を選択できるとともに、例えば、長い時間遊技可能な遊技者は、領域経路を選択することにより、当たり状態後に有利な遊技状態を発生させ、この有利な遊技状態に基づいて次の展開を待つ状態とし、時間に余裕がない遊技者は、例えば、非領域経路を選択することにより現状の当たり状態を最後まで行って多くの賞球を獲得し、直ぐに遊技を終了しても利益が確保できるようにする。すなわち、自分の好みに合わせて遊技内容を選択するだけではなく、自分の時間の都合に合わせて遊技内容を選択できることになる。
【0022】
本発明の上記構成において、それぞれ前記大入賞口を備える前記変動入賞装置を少なくとも二つ備え、一つの前記変動入賞装置の前記大入賞口にだけ前記有利領域および前記終了領域を設け、
前記当たり状態制御手段は、各実行回数目の前記開閉動作を複数の前記変動入賞装置のうちのいずれか1つの前記変動入賞装置に行わせることにより、前記有利領域および前記終了領域に前記遊技球が流入可能な前記開閉動作の前記実行回数を設定し、
設定された前記実行回数目に開放しているとともに前記有利領域および前記終了領域を備える前記大入賞口に遊技球を流入させるか否かにより、前記変動入賞装置の前記開閉動作を次回以降も継続して実行させるか、前記開閉動作を終了して遊技者に対してより有利な種類の前記遊技状態を発生させるかを遊技者に選択可能とすることが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、内部に終了領域および有利領域を備える大入賞口を開閉する特別変動入賞装置が開放されている状態で、遊技球の発射を停止すれば、遊技球が終了領域および有利領域を通過することがなく、現状の当たり状態が最終ラウンド(最後の開閉動作)まで実行されるが、当たり状態の後に遊技者に有利な有利遊技状態が発生せず、有利遊技状態より遊技者に不利な遊技状態となる。例えば、確変遊技状態が発生せずに時短遊技状態または通常遊技状態となったり、時短遊技状態とならずに通常遊技状態となったりすることになる。
【0024】
また、内部に終了領域および有利領域を備える大入賞口を開閉する特別変動入賞装置が開放されている状態で、遊技球を発射して大入賞口に遊技球を複数入賞させれば、終了領域および特定領域を遊技球が通過する可能性が高くなり、終了領域および特定領域を遊技球が通過することにより、現状の当たり状態が現状のラウンドで終了する。この当たり状態の終了後は、例えば、確変や時短等の遊技者に有利な遊技状態になる。
【0025】
また、本発明の上記構成において、前記大入賞口に流入した前記遊技球を、前記領域経路に誘導する状態と、前記非領域経路に誘導する状態とを切り替える誘導先変更装置と、
前記誘導先変更装置を制御する誘導先制御手段とを備え、
前記当たり状態制御手段による前記変動入賞装置の前記開閉動作の制御と、前記誘導先制御手段による前記誘導先変更装置の前記遊技球の誘導先の変更の制御とに基づいて、前記変動入賞装置の設定された前記開閉動作の前記実行回数の場合にだけ、前記有利領域および前記終了領域を備える前記大入賞口が開放している間で、かつ、前記誘導先変更装置が前記遊技球を前記領域経路に誘導している際に、前記大入賞口に遊技球を流入させるか否かにより、前記変動入賞装置の前記開閉動作を次回以降も継続して実行させるか、前記開閉動作を終了して遊技者に対してより有利な種類の前記遊技状態を発生させるかを遊技者に選択可能とすることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、終了領域および有利領域を有する大入賞口を開閉する特別変動入賞装置が開放している状態で、誘導先変更装置が、終了領域および有利領域を通る経路である領域経路に遊技球を誘導している場合に、上述の特別変動入賞装置に遊技球を入賞させれば、遊技球は終了領域と有利領域とを通過することになり、上述のように当たり状態が終了して球技者に有利な遊技状態が開始されることになる。
【0027】
また、終了領域および有利領域を有する大入賞口を開閉する特別変動入賞装置が開放している状態で、誘導先変更装置が、終了領域および有利領域を通る経路である領域経路に遊技球を誘導している場合に、遊技球の発射を停止すれば、現状の当たり状態が続行することになり、当たり状態を最終ラウンドまで行うことが可能となり、多くの賞球を得られるが、当たり状態後は、遊技者に有利な遊技状態とならない。
【0028】
また、終了領域および有利領域を有する大入賞口が開放している状態で、誘導先変更装置が、終了領域および有利領域を通らない経路である非領域経路に遊技球を誘導している場合には、遊技球を大入賞口に流入させても、当たり状態が終了しないので、当たり状態を終了しないことを遊技者が選択した場合でも、遊技球が非領域経路に誘導されている間に遊技球を入賞させて賞球を得ることができる。すなわち、大入賞口が開放している状態で、遊技球の発射を停止することにより、得られる賞球の数が減少するのを防止できる。
【0029】
本発明の上記構成において、前記当たり抽選手段は、前記変動表示ゲームが当たりに当選した場合に、複数種類の当たりから一つの種類の当たりを選択し、
前記当たり抽選手段に選択される当たりの種類に基づいて、
前記有利領域および前記終了領域に遊技球が通過可能となる前記変動入賞装置の前記開閉動作の前記実行回数を設定する実行回数設定手段を備えることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、当たりの種類によって、前記有利領域および終了領域を有する大入賞口を開閉する変動入賞装置が開閉する実行回数が異なることになるので、当たり状態を終了させて有利遊技状態を発生させる場合に、得られる賞球数が当たりの種類によって変化することになる。
【0031】
例えば、開閉動作が16回行われる当たり状態、すなわち、16ラウンド当たりにおいて、有利領域および終了領域に遊技球を通過可能とさせる特別変動入賞装置が3ラウンド目に開放する場合と、7ラウンド目に開放する場合と、12ラウンド目に開放する場合等を比較すると、3ラウンド目に開放する場合より、6ラウンド目および12ラウンド目に開放する方が、当たり状態中に獲得可能な賞球数が多くなり、6ラウンド目に開放する場合よりも、12ラウンド目に開放する方が、当たり状態中に獲得可能な賞球数が多くなる。
【0032】
すなわち、当たりの種類により、有利遊技状態を発生させる場合に得られる賞球数が変化することにより、遊技内容を多彩にすることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、例えば、確変等の有利遊技状態を発生させるためには、当たり状態を最後まで行うことができず、有利遊技状態の発生と引き換えに当たり状態を早めに終了させることになる。したがって、遊技者は、現状の当たり状態において、多くの遊技球を獲得するか、例えば、当たり状態が短期間に連続する可能性が高くなる有利遊技状態を発生させるために、当たり状態中に得られる賞球数を少なくするかを自分の好みだけでなく、時間の都合に合わせて選択できることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、このパチンコ遊技機は、発射された遊技球が流下する遊技領域2を備える遊技盤1を有する。
遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、演出表示手段として、可変表示装置(表示手段)3が設けられている。可変表示装置3は遊技領域2内の略中央部に設けられている。また、可変表示装置3は液晶表示装置からなるもので、主制御手段としての主制御装置(主制御手段)14で行われる抽選の各種大当り(当たり)およびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し、識別情報としての装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当りおよびはずれによって抽選結果を報知するようになっている。
【0036】
遊技盤1の下部には、第1および第2特図表示装置4a,4bが設けられている。第1および第2特図表示装置4a,4bは、例えば、7セグ等のセグメント型のLED表示装置からなる。第1および第2特図表示装置4a,4bは、変動表示ゲーム(特別ゲーム)における図柄の変動の変動パターンの一部として設定される変動表示時間だけ変動表示(一部のセグメントを点滅表示)した後に識別情報としての特別図柄(特図)を停止表示する。
【0037】
ここで、第1および第2特図表示装置4a,4bの前記点滅表示後に複数種類の特図から1種類の特図(停止図柄)を停止表示する特図の変動表示ゲームには、第1特図表示装置4aで行われる第1変動表示ゲームと、第2特図表示装置4bで行われる第2変動表示ゲームとがある。第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとは、同時に行われることがなく、後述の変動表示ゲームの開始条件に基いて、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームが優先的に開始される。
【0038】
言い換えれば、開始可能な第2変動表示ゲームが後述のように保留されている場合には、第1変動表示ゲームの開始条件が成立しない。また、可変表示装置3に表示される装飾図柄の変動表示ゲームは、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームのうちの実行されている第1または第2変動表示ゲームと略同時に表示されるとともに、実行されている第1または第2変動表示ゲームと同じ結果になる実質的に同一のゲームである。
【0039】
また、可変表示装置3には、画面の周縁部分に後述の保留数の表示が行われる保留数表示領域31a、31bが設定されている。主制御装置14では、第1始動球検知センサ53aから第1始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(例えば4)の範囲内で第1保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて第1変動表示ゲームおよび装飾図柄の変動表示ゲームが開始される場合に、保留数から1減算する。この第1保留数が後述のサブ制御装置(副制御手段)30を介して保留数表示領域31aに保留表示マークの数として表示される。
【0040】
同様に、主制御装置14では、第2始動球検知センサ53bから第2始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(例えば4)の範囲内で第2保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて第2変動表示ゲームおよび装飾図柄の変動表示ゲームが開始される場合に、保留数から1減算する。この第2保留数がサブ制御装置30を介して保留数表示領域31bに保留表示マークの数として表示される。なお、後述のようにこれら保留数は、状態表示装置9でも表示される。
【0041】
前記可変表示装置3の直ぐ下には、第1始動入賞口52が設けられている。
また、第1始動入賞口52の下に第2始動入賞口54を備えた所謂電動チューリップ(電チュー)と呼ばれる普通変動入賞装置5が設けられている。
この普通変動入賞装置5は、開閉動作自在な1対の可動片51,51を備え、第2始動入賞口54に遊技球が入賞できない可動片51,51が閉じた状態(閉状態)と、第2始動入賞口54に遊技球が入賞し易くなるように可動片51,51が開いた状態(開状態)との間で可変するようになっている。
【0042】
なお、閉じた状態の2つの可動片51,51の間には、遊技球が通過可能な遊技球の直径より少し広い間隔が開けられているが、この例では、閉じた可動片51,51の直上に第1始動入賞口52があり、可動片51,51が閉じた状態で遊技球が第2始動入賞口54に入賞できないようになっている。
【0043】
第1始動入賞口52には、遊技球の入賞を検知する第1始動球検知センサ53a(
図3に図示)が設けられており、第1始動球検知センサ53aは、主制御装置14に、遊技球が第1始動入賞口52に入賞した際に第1始動入賞信号を出力する。また、第2始動入賞口54には、遊技球の入賞を検知する第2始動球検知センサ53b(
図3に図示)が設けられており、第2始動球検知センサ53bは、主制御装置14に、遊技球が第2始動入賞口54に入賞した際に第2始動入賞信号を出力する。主制御装置14は、第1始動入賞信号の入力に基づいて第1変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決める乱数を取得し、第2始動入賞信号の入力に基づいて第2変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決める乱数の取得を行う。これら第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームの大当たり判定に用いられる乱数は、後述のハード乱数発生回路14eで生成されたハード乱数が用いられる。
【0044】
普通変動入賞装置5の下側に、第1大入賞口61を有する第1特別変動入賞装置(アタッカ)6が設けられている。このアタッカ6には、第1大入賞口61を開閉する可動扉62が備えられている。通常遊技状態では可動扉62は、遊技球を第1大入賞口61に流入させないように立って閉じた閉状態になっている。また、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームの結果が大当りになり、大当たり遊技状態が発生した場合に遊技球が流入し易いように可動扉62が前に略水平に倒れて開いた開状態になる。この場合に、可動扉62は、設定されたラウンド数だけ開閉動作を繰り返す。また、第1大入賞口61には、第1大入賞口61に入賞した遊技球を検知する第1大入賞球検知センサ63(
図3に図示)が設けられている。
【0045】
また、普通変動入賞装置5と、第1特別変動入賞装置6との間には、第1特別変動入賞装置と略同様の構成を有する第2特別変動入賞装置6aが設けられている。第2特別変動入賞装置6aは、第1特別変動入賞装置と同様に、第2大入賞口61aを開閉するものであり、可動扉62aを備える。また、第2大入賞口61aには、第2大入賞口61aに入賞した遊技球を検知する第2大入賞球検知センサ63b(
図2および
図3に図示)が設けられている。
【0046】
また、第1特別変動入賞装置6の第1大入賞口61内には、第1大入賞球検知センサ63aだけが配置され、第1大入賞口61内に入賞した遊技球が検知されるようになっているのに対して、第2特別変動入賞装置6aの第2大入賞口61aには、
図2に示すように、第2大入賞球検知センサ63bに加えて、有利領域通過球検知センサ63cと終了領域通過球センサ63dとが設けられている。
【0047】
また、有利領域通過球検知センサ63cの遊技球が通過する部分を有利領域にし、終了領域通過球検知センサ63dの遊技球が通過する部分を終了領域にしている。すなわち、有利領域通過球検知センサ63cは、有利領域を通過する遊技球を検知するものであり、終了領域通過球検知センサ63dは、終了領域を通過する遊技球を検知するものである。
【0048】
また、第2大入賞口61a内には、遊技球の経路として、有利領域(有利領域通過球検知センサ63c)と終了領域(終了領域通過球検知センサ63d)の両方を通過することが可能な領域経路65と、これら有利領域および終了領域の両方を通過することがない非領域経路66とに分離されている。
【0049】
また、領域経路65の流入口と非領域経路66の流入口との部分には、誘導先変更装置67が設けられている。誘導先変更装置67は、領域経路65の流入口と、非領域経路66の流入口とに移動可能な閉塞板を備え、これら流入口の一方を閉塞するように構成されている。この誘導先変更装置67の閉塞板(誘導先変更部材)は、
図2の場合のように、領域経路65の流入口を閉塞して、遊技球を非領域径路66に流入させるように誘導する状態と、非領域経路66の流入口を閉塞して、遊技球を領域経路65に流入させるように誘導する状態との間で移動可能になっている。
【0050】
この誘導先変更装置67には、閉塞板を領域経路65の流入口を閉塞する位置と、非領域経路66の流入口を閉塞する位置との間で移動させる領域経路閉塞駆動装置63e(
図3に図示)が設けられている。また、誘導先変更装置67を駆動する領域経路閉塞駆動装置63eは、誘導先制御手段としての主制御装置14により制御される。なお、閉塞板は、揺動可能に構成されるとともに閉塞板を斜めに支持可能なガイドに案内されることにより、領域経路65を閉塞している状態では、遊技球が閉塞板上に留まることなく非領域経路66に向かうように閉塞板の上面が非領域経路66に向かって下り傾斜し、非領域経路66を閉塞している状態では、遊技球が閉塞板上に留まることなく領域経路65に向かうように閉塞板の上面が領域経路65に向かって下り傾斜することが好ましい。
【0051】
また、領域経路65においては、この実施の形態では、有利領域通過球検知センサ63cより上側に終了領域通過球検知センサ63dが配置されており、遊技球は、終了領域通過球センサ63dを通過した後に、有利領域通過球検知センサ63cを通過することになるが、上下配置をその逆にしてもよい。
【0052】
また、領域経路65と、非領域経路66とは、終了領域通過球検知センサ63dおよび有利領域通過球検知センサ63cより下側で、合流するようになっている。この合流した部分に第2大入賞球検知センサ63bが設けられており、領域経路65を通過する遊技球と、非領域経路66を通過する遊技球との両方が、第2大入賞球検知センサ63bに検知されるようになっている。
【0053】
なお、有利領域通過球検知センサ63cと、終了領域通過球検知センサ63dとを1つのセンサとしてもよく、この場合に、有利領域通過球検知センサ63cと、終了領域通過球検知センサ63dとを兼ねる球センサを遊技球が通過した際に、遊技球が終了領域と有利領域との両方を通過したと判定されることになる。
【0054】
また、領域経路65側に、有利領域通過球検知センサ63cと、終了領域通過球検知センサ63dと、第2大入賞球検知センサ63bとを1つのセンサとして配置してもよく、このセンサを遊技球が通過することにより、遊技球が入賞したことと、遊技球が有利領域および終了領域を通過したことが検知されることになる。
この場合に、非領域経路66を通過する遊技球を検知するための第2大入賞球検知センサ63bがもう一つ必要になる。
【0055】
大当たり遊技状態では、第1特別変動入賞装置6または第2特別変動入賞装置6aが閉状態から開状態になって再び閉状態になる開閉動作としての1ラウンドの動作を、設定されたラウンド数だけ繰り返し行う。この際に、各ラウンドにおいて、第1特別変動入賞装置6と第2特別変動入賞装置6aとが同時に開放することはなく、第1特別変動入賞装置6が開放するラウンドと、第2特別変動入賞装置が開放するラウンドとがそれぞれ設定されている。
【0056】
たとえば、この実施の形態では、大当たり遊技状態におけるラウンド数が16ラウンドとされ、第1特別変動入賞装置6は、1ラウンドから6ラウンドまで開放し、第2特別変動入賞装置6aは、7ラウンドから16ラウンで開放するように設定されている。但し、後述のように7ラウンド目において、開放した第2特別変動入賞装置6aの第2大入賞口61aの上述の終了領域および有利領域を遊技球が通過して、終了領域通過球センサ63dが遊技球を検知すると7ラウンド目で大当たり遊技状態が終了するので、8ラウンド目以降のラウンドは行われない。
【0057】
また、第1特別変動入賞装置6および第2特別変動入賞装置6aにおいては、各ラウンドにおける閉塞条件が例えば所定時間としての29秒の経過または9個の遊技球の入賞となっており、先に成立した条件に基づいて可動扉62,62aが閉塞するようになっている。
【0058】
但し、第2特別変動入賞装置6aは、7ラウンドにおける閉塞条件として所定時間が29秒とされるが、8ラウンド目以降の所定時間が例えば15秒とされる。
また、第2特別変動入賞装置6aの第2大入賞口61aにおける誘導先変更装置67は、第1特別変動入賞装置6aが開放する際から15秒経過するまで、遊技球を非領域経路66に誘導し、16秒から29秒まで遊技球を領域経路65に誘導するようになっている。
【0059】
したがって、第2特別変動入賞装置6aが開放して15秒以内に9個の遊技球を第2大入賞口61aに入賞させてしまえば、遊技球は全て非領域経路66を通過し、終了領域および有利領域がある領域経路65を遊技球が通過せず、有利遊技状態としての確変が設定されず、大当たり遊技状態後が非確変遊技状態(ここでは時短遊技状態)になり、8ラウンド以降も大当たり遊技状態が継続することになる。
【0060】
この際に、8ラウンド以降の第2特別変動入賞装置6aは、15秒経過で閉じてしまうため、誘導先変更装置67が非領域経路66に遊技球を誘導している状態でラウンドが終了する。このため8ラウンド目以降のラウンドでは、第2特別変動入賞装置6aが開放しても、遊技球が領域経路65の終了領域および有利領域を通過することがなく、8ラウンド目から15ラウンド目までの間に、有利遊技状態が設定されることがなく、大当たり遊技状態が終了することがない。
【0061】
また、7ラウンド目において、第2特別変動入賞装置6aが開放してから15秒経過するまでの間に、遊技球を9個入賞させないようにして、少なくとも1個の遊技球を第2特別変動入賞装置6aが開放してから15秒経過した後に入賞させることにより、誘導先変更装置67が遊技球を領域経路65に誘導し、遊技球が終了領域および有利領域を通過することになる。
【0062】
これにより、大当たり遊技状態後に有利遊技状態として例えば確変遊技状態が設定されるとともに、大当たり遊技状態が7ラウンドで終了することになる。
【0063】
可変表示装置3の左側方には、普通図柄(普図と略す)ゲート7が設けられている。また、普図ゲート7には、普図ゲート7内を通過した遊技球を検知する通過球検知センサ7a(
図3に図示)が設けられ、通過球検知センサ7aは遊技球を検知すると主制御装置14に通過球検知信号を出力する。当該通過球検知信号の入力に基づいて主制御装置14は、普通変動入賞装置5を開状態とする当たりと、普通変動入賞装置5を閉状態のままとするはずれとを抽選する普図抽選を行う。この普図抽選の結果は、普図の変動表示ゲーム(普図ゲーム:普通ゲーム)を可変表示装置3の端の部分と、後述の状態表示装置9内の普図表示装置8(
図3に図示)とに表示することにより報知される。
【0064】
普図ゲームが当たりになった場合に、普通変動入賞装置5が開放し、第2始動入賞口54への遊技球の入賞率が高まり、第2変動表示ゲームの開始機会が増加するようになっている。また、遊技領域2の左側部には、複数の一般入賞口10,10が設けられている。また、一般入賞口10,10に対応して、一般入賞口10,10に入賞した遊技球を検知する一般入賞球検知センサ11(
図3に図示)がそれぞれ設けられている。
【0065】
また、遊技盤1には、大当たり遊技状態の際の大当たりの種類に基づくラウンド数、第1変動表示ゲームの保留数、第2変動表示ゲームの保留数、また、これら保留数と同様に求められる普図の変動表示ゲームの普図保留数等を表示するとともに、普図表示装置8を備えた状態表示装置9が設けられている。
【0066】
なお、普図保留数は、主制御装置14により、普図ゲート7を遊技球が通過して、通過球検知センサ7aから主制御装置14に通過球検知信号が入力した際に、上限になる数(例えば、4)の範囲で、1加算され、普図の変動表示ゲームが開始されると1減算される。なお、普図の表示ゲームの開始条件は、普図の変動表示ゲームおよび普通変動入賞装置5の開放が行われていない状態で普図保留数が1になるか、はずれになる普図の変動表示ゲームが終了した際、または、当たりになる普図の変動表示ゲームが終了して普通変動入賞装置5が開放し、その開放が終了した際に普図保留数が1以上の場合である。
【0067】
また、第1特別変動入賞装置6の下方の遊技領域2の最下端部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域2の外部になる遊技盤1裏面に排出させるアウト口12が設けられている。また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するとともに流下方向を転換する遊技釘13(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。
【0068】
次に、パチンコ遊技機の制御系を
図3に示されるブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機の制御系は、大きく分けて主制御部15と、副制御部16と、これら主制御部15および副制御部16の各装置に電力を供給する電源供給装置18とから構成されている。電源供給装置18は、遊技店に設けられた遊技機外のAC24V電源(電力供給手段)21に接続され、交流を直流に変換して電力を供給する。
【0069】
主制御部15には、例えば、遊技機用のワンチップマイコン等で構成される主制御装置14(主制御基板の主制御手段)が備えられ、主制御装置14には、プログラムを実行するCPU14a、プログラムやプログラムで使用するデータを記憶したROM14bや、ROM14bから読み出したプログラムを実行可能に記億するとともに、プログラムの実行に基づいて発生したデータやROM14bから読み出した各種データ等を記憶するRAM14cや、同期用のクロック(周波数)信号を出力するクロック14dや、変動表示ゲームの大当たり判定に用いる乱数(擬似乱数)を発生するハード乱数発生回路14e等が備えられている。
【0070】
主制御装置14(CPU14a)には、パチンコ遊技機に設けられた各種センサからの信号が入力可能になっており、前述の第1および第2始動球検知センサ53a,53b、第1大入賞球検知センサ63、第2大入賞球検知センサ63a、有利領域通過球検知センサ63c、終了領域通過球検知センサ63d、通過球検知センサ7a、一般入賞球検知センサ11が接続されるとともに、パチンコ遊技機におけるエラー(例えば、磁気検知、電波検知等)を検知するエラー検知センサ19等が接続されている。
【0071】
また、主制御装置14は、パチンコ遊技機の各種装置を動作させるため各種信号を出力するようになっている。例えば、主制御装置14には、外部情報端子基板40が接続されており、この外部情報端子基板40を介して各種データを遊技機外のホールコンピュータ20に出力可能になっている。ホールコンピュータ20は、各遊技機からのデータを集中管理し、各遊技機の稼動状況を出力可能になっている。
【0072】
また、主制御装置14には、副制御部16のサブ制御装置30、主制御部15の払出制御装置22等が接続され、これらに対してコマンド(制御指令)を出力可能とされている。
サブ制御装置30は、可変表示装置3における画像表示を制御する図柄制御部、演出用の後述のランプ(LED)の点灯及び消灯を制御するランプ制御装部、各種音声、効果音、音楽等の出力を制御する音声制御部としての機能を有する。
また、払出制御装置22は、賞球としての遊技球の払い出しの制御を行う払出制御部としての機能と、遊技領域2への遊技球の発射を制御する発射制御部としての機能を有する。
【0073】
また、主制御装置14には、第1および第2特図表示装置4a,4bと普図表示装置8と状態表示装置9が接続され、主制御装置14が第1および第2特図表示装置4a,4bにおける第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲームの表示制御と、普図表示装置8における普図の変動表示ゲームの表示制御と、状態表示装置9における上述の各種の状態を示すLEDの表示制御とを行う。
【0074】
また、主制御装置14には、普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通可変入賞駆動装置55が接続されている。また、主制御装置14には、第1特別変動入賞装置6の可動扉62を駆動する第1特別可変入賞駆動装置64が接続されている。また、主制御装置14には、第2特別変動入賞装置6aの可動扉62aを駆動する第2特別可変入賞駆動装置64aが接続されている。また、主制御装置14には、誘導先変更装置67の閉塞板を駆動する領域経路閉塞駆動装置63eが接続されている。
この主制御装置14が、普通変動入賞装置5、第1特別変動入賞装置6、第2特別変動入賞装置6aの開閉動作を制御する。また、主制御装置14は、第2大入賞口61aにおいて、誘導先変更装置67の誘導先を領域経路65と非領域経路66とで切り替える。
【0075】
主制御装置14は、パチンコ遊技機における遊技の進行を制御するもので、第1および第2始動球検知センサ53a,53b、第1大入賞球検知センサ63、一般入賞球検知センサ11から遊技球の検知信号が入力された場合、すなわち、各入賞口に遊技球が入賞した場合に、払出制御装置22にコマンドを出力して、賞球として遊技球の排出を行なう。
【0076】
また、主制御装置14は、通過球検知センサ7aから遊技球の検知信号が入力した場合に、普図保留数が上限未満ならば、上述の普図保留数に1加算する処理を行うとともに、普図ゲームの当たり外れを決定する抽選処理で用いられる各種乱数を取得し、乱数を記憶する。なお、この乱数は、主制御装置14で生成されるソフト乱数である。また、主制御装置14は、上述の所定の開始条件にしたがって普図ゲームを開始し、普図保留数を1減算する。この際に乱数による抽選処理によって、普図ゲームの当たり外れを決定し、この決定に基づいて当たりまたははずれになる普図ゲームを普図表示装置8に表示する。
【0077】
また、主制御装置14は、第1および第2始動球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力に基づいて、第1変動表示ゲームの第1保留数および第2の変動表示ゲームの第2保留数が上限未満の場合に、上述の第1および第2保留数の加算処理を行い、変動表示ゲームが開始される際に減算処理を行う。また、変動表示ゲームの大当り外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数(当たり種類乱数)、演出乱数)を取得し、当該乱数をRAM14cに記憶する。
【0078】
なお、当たり判定乱数は、上述のハード乱数を用い、その他は上述のソフト乱数を用いる。また、前記抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて第1および第2変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決定し、第1および第2特図表示装置4a,4bを制御して第1および第2変動表示ゲームを表示するとともに、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のためにサブ制御装置30にコマンドを出力する。
【0079】
主制御装置14で設定されている第1変動表示ゲームの所定の開始条件は、前の第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームがはずれで終了した際と、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになったことにより、第1特別変動入賞装置6を開放する大当たり遊技状態になり、この大当たり遊技状態が終了した際とのいずれかにおいて、第2保留数が0で、第1保留数が1以上になっている場合と、第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲーム、大当たり遊技状態のいずれでもない場合に、第1始動入賞信号が入力して第1保留数が1になった場合(第2保留数は0)である。
【0080】
主制御装置14で設定されている第2変動表示ゲームの開始条件は、前の第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームがはずれで終了した際と、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになったことにより、第1特別変動入賞装置6を開放する大当たり遊技状態になり、この大当たり遊技状態が終了した際とのいずれかにおいて、第2保留数が1以上になっている場合と、第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲーム、大当たり遊技状態のいずれでもない場合に、第2始動入賞信号が入力して第2保留数が1になった場合である。
【0081】
また、主制御装置14は、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲーム開始から上述の演出乱数を用いた抽選により決定される変動パターンに設定された変動表示時間に、特図(停止図柄)を停止表示する所定の停止表示時間を加えたゲーム時間が終了した際に第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームを終了させる。
【0082】
また、主制御装置14は、普図ゲームが当たりになった場合に、普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通可変入賞駆動装置55を制御して普通変動入賞装置5を閉状態から開状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになった場合、すなわち、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当たりを報知して終了した場合に、第1特別変動入賞装置6の可動扉62の第1特別可変入賞駆動装置64または第2特別変動入賞装置6aの可動扉62aの第2特別可変入賞駆動装置64aを制御して所定の条件に基づいて第1特別変動入賞装置6または第2特別変動入賞装置6aを閉状態から開状態に可変させて大当たり遊技状態を発生させる制御を行う。
【0083】
また、主制御装置14は、前述の始動入賞信号に基づいて第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになるかはずれになるかを決める抽選処理を行う。
【0084】
また、主制御装置14は、大当りとはずれとのいずれかを示す第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームを順次表示する際に、確変遊技状態等の発生に基づいて前記抽選処理により第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになる確率を低確率状態より高い高確率状態へ移行し、通常遊技状態の発生に基づいて前記抽選処理により第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになる確率を高確率状態より低い低確率状態に移行する移行制御を行う。
【0085】
また、有利遊技状態制御手段としての主制御装置14は、高確率状態としての確変遊技状態となった際に、普図の変動表示ゲームの当たり確率を通常より高確率にし、普図の変動表示ゲームの変動表示時間を通常より短くした電チューサポート状態(電サポ状態)にする。また、電サポ状態では、普図の変動表示ゲームが当たりとなった場合の普通変動入賞装置5の開放時間を通常より長く(開放回数を通常より多く)している。大当たり遊技状態の開始が確変遊技状態等を含む電サポ状態の終了条件になっている。また、主制御装置14は、大当たり遊技状態後に確変遊技状態とならない場合に、後述の時間短縮遊技状態(時短遊技状態)を発生させる。
【0086】
また、確変遊技状態では、第1および第2変動表示ゲームの大当たり確率が僅かに高くなる高確率状態にするとともに、第1および第2変動表示ゲームの変動表示時間(装飾図柄や特図を変動表示させている時間)を通常より短くし、さらに上述の電サポ状態にする。
また、時短遊技状態では、基本液に大当たり確率以外を確変遊技状態と同様にするものとなっており、確変遊技状態と同様の電サポ状態にする。
【0087】
また、この実施形態においては、確変遊技状態が所定回数の変動表示ゲームの実行により終了するようになっており、例えば、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームを合わせて300回の変動表示ゲームの実行で確変遊技状態が終了する。また、時短遊技状態は、例えば、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームを合わせて100回の変動表示ゲームの実行で終了する。
【0088】
確変遊技状態での高確率状態では、一般的に大当たり確率を通常の低確率状態(時短遊技状態を含む)の大当たり確率に対して10倍弱程度高くするが、この実施の形態においては、例えば、1.001倍等のように少しだけ通常より大当たり確率を高くするようになっている。したがって、大当たり確率だけを見ると、確変遊技状態と、時短遊技状態とでは、ほとんど差がない状態となっている。確変遊技状態と、時短遊技状態との主な違いは、大当たり確率ではなく、上述の確変遊技状態または時短遊技状態が終了するまでの変動表示ゲームの実行回数の差となる。なお、確変遊技状態としての高確率状態の大当たり確率を、通常の低確率状態より10倍弱程度高くするものとしてもよいし、例えば、数倍から10倍程度までのいずれかの倍率で高くするものとしてもよい。
【0089】
確変遊技状態では、300回変動表示ゲームが実行されるまで電サポ状態が継続するのに対して、時短遊技状態では、100回変動表示ゲームが実行されるまで電サポ状態が継続することになる。これにより、大当たり確率にほとんど差がなくても、確変遊技状態中に大当たりが発生する確率の方が、時短遊技状態中に大当たりが発生する確率よりも高くなる。なお、確変遊技状態および時短遊技状態は、大当たり遊技状態の発生により終了し、大当たり遊技状態後に再び、確変遊技状態または時短遊技状態が発生する。
【0090】
また、電サポ状態中は、頻繁に普通変動入賞装置5の第2始動入賞口54に遊技球が入賞して賞球が払い出されることから、同じ数の遊技球を発射しても、通常より電サポ状態の方が遊技球の減りが少なくなる。言い換えれば、電サポ状態では、通常の遊技状態より賞球数が多くなる。したがって、大当たり確率にあまり差がなくても、電サポ状態が長い確変遊技状態の方が時短遊技状態より遊技者に有利な状態となる。
【0091】
また、この実施の形態において、確変遊技状態は、後述の大当たりの種類の抽選により決定されるのではなく、大当たり遊技状態中に、遊技球が第2特別変動入賞装置6aの第2大入賞口61aの有利領域を通過して、有利領域通過球検知センサ63cから主制御装置に有利領域通過球検知信号が入力した場合に大当たり遊技状態後が確変遊技状態になるように設定されている。また、大当たり遊技状態後が確変遊技状態にならない場合には、時短遊技状態となる。
【0092】
また、第2大入賞口61aにおいては、有利領域を通過する遊技機は、その前またはその後に必ず終了領域を通過する構造となっており、確変遊技状態の発生が決定された際に大当たり遊技状態が終了することになり、確変遊技状態が発生する場合には、大当たり遊技状態中の賞球数が減少する。但し、上述のように確変遊技状態の方が時短遊技状態より実行される変動表示ゲーム数が多いことにより、電サポ状態が長くなり、電サポ状態では上述のように賞球数が多くなることから、途中で終了する大当たり遊技状態の賞球数に電サポ状態の賞球数まで含めた賞球数は、大当たり遊技状態の賞球数と時短状態の賞球数とを合わせた賞球数より多くする設定も可能である。
【0093】
また、副制御部16のサブ制御装置30(副制御基板の副制御手段)は、制御装置としてCPU30a、ROM30b、RAM30c等を備える。このサブ制御装置30は、図柄制御部として可変表示装置3を制御するものであり、可変表示装置3がグラフィックプロセッサ38を介して接続されている。
主制御装置14により決定された各大当りおよびはずれと、変動パターンとしての変動表示時間等に基づいて、サブ制御装置30により装飾図柄の変動表示ゲームの可変表示装置3における表示が制御される。
【0094】
また、サブ制御装置30は、ランプ制御部として遊技盤1の盤面に設けられた盤面ランプ32と、パチンコ遊技機のガラス扉に設けられたガラス扉ランプ33とが接続され、これら盤面ランプ32、ガラス扉ランプ33としてのLEDの点灯や消灯による演出を制御する。
【0095】
また、サブ制御装置30は、音声制御装部としてサウンドプロセッサ34およびアンプを介してスピーカ35が接続され、演出用の効果音、音声、音楽等の出力を制御する。
【0096】
また、サブ制御装置30には、パチンコ遊技機の上皿の近傍等に設けられた演出ボタン36が接続され、演出ボタン36が有効な状態で演出ボタン36が操作された場合に、演出ボタン36からのオン信号がサブ制御装置30へ送られ、サブ制御装置30が演出ボタン36が操作された場合のために用意されている演出用の画像表示や音声出力を制御する。
また、遊技盤1に演出可動役物が設けられる場合に、サブ制御装置30は、この演出可動役物を作動させる演出可動役物駆動装置37を制御することにより、演出可動役物による遊技演出を制御する。
【0097】
払出制御装置22は、制御装置としてCPU22a、ROM22b、RAM22c等を備える。この払出制御装置22は、払出制御部として、払出装置29が接続され、上述のように遊技球の入賞に基いて、主制御装置14から出力されるコマンドに対応して払出装置29を制御して、賞球を払い出させる。
【0098】
また、払出制御装置22には、ガラス扉および遊技盤1を収納する内枠の開放を検知する扉開放スイッチ41、払い出された遊技球を保持する皿(例えば、上皿や下皿)に溜まった遊技球が満タンになったことを検知する皿満タンスイッチ42が接続され、これら扉開放スイッチ41、皿満タンスイッチ42からの信号に基づき、払出装置29からの払出や、発射装置からの遊技球の発射が制限される。
【0099】
また、払出制御装置22は、払出装置29から払い出される遊技球の数を計数する払出計数スイッチ43が接続され、実際に払い出された遊技球の数が計数され、この計数結果に基いて払い出すべき遊技球が払い出されるように払出装置29を制御する。
【0100】
また、払出制御装置22には、中継基板23が接続され、この中継基板23に、遊技機外に設けられて、挿入されたプリペイドカード(記録媒体)のデータを読み込んで遊技球の貸出制御を行うためのCRユニット28が接続されている。
また、この中継基板23には、遊技機の例えば、上皿の近傍に設けられる球貸スイッチ24、返却スイッチ25、度数表示装置26、球貸表示装置27が接続されている。
【0101】
度数表示装置26には、CRユニット28に読み込まれたプリペイドカードに記億されて遊技球に変換可能な度数が表示される。度数に残りがある状態で、球貸スイッチ24が操作されると払出制御装置22の制御により、度数の範囲内の設定された度数に対応する数の遊技球が払い出される。球貸表示装置27では、遊技球が払い出される際にLEDが点灯する。度数表示装置26に表示される度数に残りがある状態で、返却スイッチ25が操作されると、CRユニット28に挿入されたプリペイドカードが返却される。
【0102】
また、払出制御装置22は、発射制御部として遊技球発射装置を駆動する発射駆動装置39と、遊技球発射装置の遊技球の発射位置に遊技球を送る球送り装置を駆動する球送り駆動装置47が接続されている。これら球送り駆動装置47および発射駆動装置39を作動させることによって、上皿から供給される遊技球を遊技領域2に向けて発射する制御を行う。
【0103】
また、発射制御部としての払出制御装置22には、遊技球の発射を操作するためのハンドル操作に基いて、発射駆動装置39に供給される電力を変更するための発射ボリューム44が接続され、遊技者のハンドル操作により発射ボリューム44が調整されることにより遊技球発射装置から発射される遊技球の発射勢が調整される。
【0104】
また、払出制御装置22には、発射停止スイッチ45、タッチセンサ46が接続され、発射停止スイッチ45が操作された場合と、タッチセンサ46で操作者の手のタッチが検知されない場合に、球送り駆動装置47および発射駆動装置39を停止することにより、遊技球の発射を停止する。
また、払出制御装置22は、外部情報端子基板40を介してホールコンピュータ20にデータを出力可能に接続されている。
【0105】
このような遊技機の制御系において、主制御装置14では、上述のように第1始動入賞信号が入力された場合、または、第2始動入賞信号が入力された場合に、乱数の取得処理が行われる。主制御装置14は、ハード乱数発生回路14eから第1または第2変動表示ゲームの大当たりの抽選用のハード乱数を取得するとともに、その他の抽選用のソフト乱数を生成して取得する。なお、始動入賞信号が入力された際に、上述の対応する保留数が上限未満の場合に乱数を取得するが、対応する保留数が上限の場合には、乱数を取得しない。
【0106】
また、主制御装置14は、上述のように取得した乱数をRAM14cに記憶し、この乱数に対応する変動表示ゲームの開始条件が成立し、記憶された乱数による抽選処理が行われた場合に乱数消去条件が成立したものとして乱数を消去し、第1または第2変動表示ゲームに用いた第1または第2保留数が一つ減算される。
【0107】
主制御装置14は、変動表示ゲーム開始の際に、上述のように取得された乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を用いて第1および第2変動表示ゲームを表示するための抽選処理を行う。抽選処理においては、まず、当たり抽選手段としての主制御装置14の当否抽選処理として、当たり判定乱数と、設定されている当たり判定テーブル(低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブル)に記憶された当たり判定値(抽選要素)とを比較する。主制御装置14のROM14bには、当たり判定テーブルが記憶されている。
【0108】
当たり判定値は、当たり判定乱数になる所定範囲の数値(整数)のうちから予め決められた数値であり、大当り確率は、(当たり判定値の数)/(当たり判定乱数になる所定範囲の数値の個数)になる。また、当たり判定値には、当たり確率が低確率になる通常時の低確率判定テーブルに記憶された当たり判定値と、確変決定後の高確率時の高確率判定テーブルに記憶された当たり判定値とがある。
【0109】
取得された当たり判定乱数の数値と、当たり判定値とが一致した場合に、大当りになり、一致しない場合にはずれになる。
また、低確率判定テーブルを用いるか、高確率判定テーブルを用いるかは、上述のように制御される確率状態が高確率状態か低確率状態かにより、主制御装置14で決定される。
大当りと判定された場合には、主制御装置14により、大当たりになる変動表示ゲーム終了後に大当たり遊技状態が発生する。
【0110】
当否判定処理の次に、停止図柄抽選処理が行われる。図柄乱数は、第1および第2特図表示装置4a,4bに停止表示される停止図柄(特図)の種類を決定するものであるが、変動表示ゲームがはずれの場合には、はずれに対応した例えば一種類の特図が決定される。大当りの場合には、各大当りの種類にそれぞれ対応して複数種類ずつの特図が設定され、これら特図から1つの特図が抽選で選択される。
【0111】
なお、この実施形態では、大当たりの種類としては、この実施形態では、1種類の16ラウンド当たりのみとしているが、16ラウンド以外のラウンド数の大当たりの種類を設定してもよい。また、大当たりの種類に、時短遊技状態となる大当たりの種類と、確変遊技状態となる大当たりの種類とを設定し、確変遊技状態となる大当たりが発生しても、遊技球が有利領域を通過しないと確変遊技状態とならない設定としてもよい。また、後述のように終了領域および有利領域を有する第2大入賞口61aを開閉する第2特別変動入賞装置が開放されるラウンド数を大当たりの種類によって変更するようにしてもよい。
【0112】
図柄抽選処理の次に、主制御装置14では、変動パターン(演出)抽選処理が行われる。
上述の演出乱数は、変動表示ゲームの変動表示時間を含む変動パターンを決定するものであり、はずれの場合にリーチになるか否か、また、リーチの場合に変動表示時間が短いノーマルリーチか、変動表示時間の長いスーパーリーチやプレミアムリーチになるか(リーチ演出の種類)を決定するものである。この場合に、各リーチの種類毎に異なる変動パターンになる。
【0113】
また、大当りの場合は、必ずリーチになるので、ノーマルリーチかスーパーリーチやプレミアムリーチなどのリーチの演出の種類を決定するものになる。なお、主制御装置14は、変動パターンの選択に際して、複数の変動パターンと、複数の変動パターンそれぞれに抽選確率の数に対応して関連付けられている判定値との組み合わせからなる変動パターンテーブルに従って抽選を行い、変動パターンを選択する。
【0114】
変動パターンテーブルは、例えば、大当り用と、はずれ用とがあり、主制御装置14のROM14bに記憶されている。各変動パターンテーブルでは、各変動パターン毎に判定値が割り当てられており、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数で、抽選確率が決定される。各判定値は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる整数であり、抽選確率は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる全ての整数の個数を分母とし、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数を分子とした数値である。
【0115】
変動パターンテーブルは、さらに、通常遊技状態用と、確変遊技状態などの電サポ状態用とに分けられる。基本的には、はずれの通常遊技状態用の変動パターンテーブルに比較して、はずれの電サポ状態用の変動パターンテーブルには変動表示時間が短い変動パターンが記憶されている。
【0116】
このような遊技機において、大当たり遊技状態を途中で終了させるか継続させるかを決定するとともに、終了させる場合に確変遊技状態を発生させるための16ラウンド大当たり継続終了処理を
図4のフローチャートを参照して説明する。この処理は、当たり状態制御手段としての主制御装置14で短期間毎に繰り返し行われる処理である。
【0117】
まず、大当たり遊技状態において、1ラウンド目から6ラウンド目までのラウンドの開始タイミングか否かを判定する(ステップS1)。1ラウンド目から6ラウンド目までの各ラウンドでは、ラウンド開始時に、第1特別変動入賞装置6を開放させて第1大入賞口61に遊技球が入賞するようにする処理を開始させる(ステップS2)。この場合に、開放した第1特別変動入賞装置6の閉塞条件は、上述のように所定時間としての29秒の経過または第2大入賞口61への9個の遊技球の入賞である。このような第1特別変動入賞装置6のラウンド中の処理を開始させて、この処理を終了する。
【0118】
また、1ラウンド目から6ラウンド目までのラウンドの開始タイミングでない場合には、7ラウンドの開始タイミングか否かを判定する(ステップS3)。7ラウンドが開始されるタイミングの場合には、ラウンド開始時に、第2特別変動入賞装置6aを開放させて第2大入賞口61aに遊技球が入賞するようにする処理を開始させる(ステップS4)。
【0119】
この場合に、開放した第2特別変動入賞装置6aの閉塞条件は、上述のように所定時間としての29秒の経過または第2大入賞口61への9個の遊技球の入賞である。このような第2特別変動入賞装置6aのラウンド中の処理を開始させるとともに、誘導先変更装置67の誘導先変更部材(閉塞板)により、第2特別変動入賞装置6aの開放開始から15秒経過まで、遊技球を終了領域および有利領域のない非領域経路66に誘導する処理を開始する(ステップS5)。
【0120】
この誘導先変更装置67を制御する処理においては、15秒経過後に、誘導先変更装置67による遊技球の誘導先を終了領域および有利領域を有する領域経路65に変更し、遊技球を終了領域および有利領域に通過可能にする。
次に、7ラウンドフラグをセットして(ステップS6)この処理を終了する。
【0121】
7ラウンド開始のタイミングでない場合には、7ラウンドフラグがセットされているか否かを判定する(ステップS7)。
7ラウンドフラグがセットされている場合には、遊技球が終了領域を通過して、終了領域通過球センサ63dから終了領域通過球信号が主制御装置14に入力したか否かを判定する(ステップS8)。
【0122】
遊技球が終了領域を通過した場合には、7ラウンド終了時に大当たり遊技状態(当たり状態)を終了する処理をセットする(ステップS8)。これにより、大当たり遊技状態は、7ラウンドの終了後に次の8ラウンド以降のラウンドが開始されることなく、7ラウンド終了後に大当たり遊技状態の終了演出が表示されて終了する。
【0123】
次に、7ラウンドフラグをリセットするとともに終了フラグをセットしてこの処理を終了する(ステップS10)。
7ラウンドフラグがセットされていない場合には、終了フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS11)。
【0124】
終了フラグがセットされていない場合には、この処理を終了し、終了フラグがセットされている場合には、有利領域を遊技球が通過して有利領域通過球検知センサ63cから有利領域通過球信号が主制御装置14に入力したか否かを判定する(ステップS12)。
有利領域を通過球が通過した場合には、大当たり遊技状態後の遊技状態として、確変遊技状態をセットし、大当たり遊技状態が終了した後に確変遊技状態を発生させるようにする(ステップS13)。この確変遊技状態は、変動表示ゲームが300回実行されると終了する。また、確変遊技状態がセットされない場合には、時短遊技状態がセットされるようになっている。この時短遊技状態は変動表示ゲームが100回実行されると終了する。
【0125】
次に、終了フラグをリセットして処理を終了する(ステップS14)。
なお、この実施形態では、終了領域を通過すると必ず有利領域を通過する設定となっているので、終了領域通過球検知センサ63dからの終了領域通過球検知信号が入力したことに基づいて、上述のステップS12およびステップS13の処理を行うものとしてもよい。
【0126】
すなわち、有利領域通過球検知センサ63cと、終了領域通過球検知センサ63dとを1つのセンサ(一般的な遊技球検知用の非接触または接触型のセンサ)で兼用することができる。この場合には、遊技球の終了領域通過と、有利領域通過とが同時になるので、終了フラグをセットせずに、センサからの遊技球の有利領域および終了領域通過を示す信号が入力した場合に、7ラウンドの終了に基づいて大当たり遊技状態を終了させる処理と、大当たり遊技状態の終了に基づいて確変遊技状態を発生させる処理との両方をセットすることになる。その際には、ステップS10、ステップS11、ステップS14の処理を省略することができる。なお、7ラウンドフラグをリセットする処理は必要である。
【0127】
遊技者は、確変遊技状態を発生させることを選択する場合に、7ラウンド目に開放する第2特別変動入賞装置6aが開放してから15秒経過し、誘導先変更装置の遊技球の誘導先が、終了領域および有利領域を遊技球が通過しない非領域経路66から終了領域および有利領域を遊技球が通過する領域経路65に変更された後に、遊技球を第2特別変動入賞装置6aに入賞させる。これにより、7ラウンド目に第2大入賞口61aの終了領域および有利領域を遊技球が通過した場合には、上述のように7ラウンドで大当たり遊技状態が終了し、確変遊技状態が開始される。
【0128】
一方、7ラウンド目に遊技球が終了領域および有利領域を通過しなかった場合には、大当たり遊技状態は終了せず、8ラウンド目が開始される。
したがって、1ラウンドから6ラウンドの開始タイミングでもなく、7ラウンドの開始タイミングでもなく、7ラウンドフラグがセットされず、終了フラグがセットされていない場合に、8ラウンドから16ラウンドの開始タイミングか否かを判定する(ステップS15)、
【0129】
8ラウンドから16ラウンドの開始タイミングの場合には、第2特別変動入賞装置6aを開放する処理をセットする(ステップS16)。この場合には、開放時間を29秒ではなく15秒とし、第2特別変動入賞装置6aの閉塞条件が開放から15秒経過または9個の遊技球の第2大入賞口61aの入賞となる。
【0130】
また、基本的に誘導先変更装置67は、第2特別変動入賞装置6aが作動する場合には、毎回同様の動作をすることになり、第2特別変動入賞装置6aの開放から15秒までは、遊技球を非領域経路66に誘導し、その後に誘導先を非領域経路66から領域経路65に変更する処理がセットされる(ステップS17)。但し、第2特別変動入賞装置6aは、開放から15秒で閉塞してしまうので、遊技球の誘導先が変更されずに誘導先を変更する処理が終了することになる。
【0131】
これにより、8ラウンド以降は、第2特別変動入賞装置6aが開放されるが、遊技球が入賞しても終了領域を遊技球が通過することがなく、最終ラウンドまで第2特別変動入賞装置6aに遊技球を入賞させることにより、16ラウンド大当たり遊技状態終了まで賞球を増加させることができる。但し、第2特別変動入賞装置6aの開放時間が短くなっているので、状況によっては、遊技球が9個入賞できずに、第1特別変動入賞装置6が開放した場合よりも賞球数が減少することも有り得る。
【0132】
このような遊技機にあっては、遊技者が7ラウンド目(所定ラウンド目)に開放する第2特別変動入賞装置に遊技球を入賞させる際に、開放してから15秒後以降に遊技球を入賞させるか否かで、大当たり遊技状態を最後まで実行して多くの賞球を得るとともに大当たり遊技状態後を変動表示ゲーム100回分の期間に渡る時短遊技状態とするか、大当たり遊技状態を7ラウンド目で終了させて変動表示ゲーム300回分の期間に渡る確変遊技状態を発生させるかを選択できることになる。
【0133】
この実施形態では、時短遊技状態と確変遊技状態とで大当たり確率があまり変わらないので、大当たり遊技状態のラウンド数が7回か16回かの選択と、電サポ状態が100回の変動表示ゲームか300回の変動表示ゲームかの選択となる。すなわち、16ラウンド大当たりおよび変動表示ゲーム100回の電サポ状態を選択するか、7ラウンド大当たりおよび変動表示ゲーム300回の電サポ状態を選択するかになる。
【0134】
この際に、電サポ状態まで含めた賞球数は、電サポ状態が300回と長いことから7ラウンド大当たりおよび変動表示ゲーム300回の電サポ状態の方が少し多くなる可能性がある。
【0135】
したがって、基本的に長い時間に渡ってパチンコがしたい遊技者や、時間に余裕がある遊技者は、7ラウンド大当たりおよび変動表示ゲーム300回の電サポ状態を選択することで長い時間の遊技に適した状況を選択できる。すなわち、この場合には、大当たり遊技状態の期間は短くなるが、長い期間に渡る電サポ状態が発生することで、遊技球をあまり減らさずに(コストをかけずに)、長い期間に渡って遊技を行うことが可能なになる。また、電サポ状態となる期間が長いことから、大当たり確率が高くなくとも、電サポ状態中に変動表示ゲームで大当たりが発生する確率が高くなる。これによってもコストをかけることなく長い期間に渡って遊技できる可能性が高くなる。
【0136】
また、時間に余裕がない遊技者や、そろそろ遊技を止めようと思っている遊技者は、16ラウンド大当たりおよび変動表示ゲーム100回の電サポ状態を選択することで、遊技を早めに切り上げるのに適した状況を選択できることになる。すなわち、この場合には、7ラウンドで大当たり遊技状態を終了する場合よりも、現状の大当たり遊技状態で獲得可能な賞球数が例えば倍以上になるので、大当たり遊技状態で多くの賞球を得た大当たり遊技状態終了時の段階または期間の短い電サポ状態が終了した段階で遊技を止めるのに適した状態になる。
【0137】
したがって、遊技者は、自分の好みとして、大当たり遊技状態で獲得可能な賞球数が少なくなっても、大当たりが確変遊技状態(電サポ状態)中に発生する状態が連続する可能性を高めるのがいいか、電サポ状態が短くなっても大当たり遊技状態で獲得可能な賞球数が多いほうがいいのかを選択できる。それだけではなく、例えば、遊技をそろそろ切り上げるのか、遊技をさらに続行するのか等の遊技時間に関する状況に応じて、上述の選択を行うことが可能になる。
【0138】
ここで、上述の実施形態では、所定のラウンドで、上述の選択が可能になる構成としては、上述のように、所定のラウンドより前は、有利領域および終了領域が設けられていない第1大入賞口61を有する第1特別変動入賞装置6を開閉動作させ、所定のラウンド以降は、終了領域および有利領域を有する第2大入賞口61aを有する第2特別変動入賞装置6aを開閉動作させるものとなっている。
【0139】
さらに、第2特別変動入賞装置6aが開状態となってから所定時間だけ誘導先変更装置67によって、遊技球が終了領域および有利領域を通過しない非領域経路66に誘導し、所定時間後に終了領域および有利領域を通過する領域経路65に誘導するようになっている。また、所定ラウンドでは、第2特別変動入賞装置6aの開放時間が上述の所定時間より長く、遊技球を領域経路65に誘導して終了領域および有利領域を通過させることが可能になっている。
【0140】
しかし、所定ラウンドより後のラウンドでは、第2特別変動入賞装置6aの開放時間が所定時間以下とされることで、第2大入賞口61aに入賞した遊技球が終了領域に誘導されないようにしており、所定ラウンドで、大当たり遊技状態の終了と確変遊技状態の発生を選択しなかった場合に、最終ラウンドになる前に大当たり遊技状態が終了せず、最終ラウンドまで大当たり遊技状態が続行する構成となっている。
【0141】
それに対して、例えば、所定ラウンドだけ終了領域および有利領域を有する第2大入賞口61aを有する第2特別変動入賞装6aを開放し、それ以外のラウンドは、所定ラウンド以降も有利領域および終了領域を備えていない第1特別変動入賞装置6を開放するものとしてもよい。すなわち、所定ラウンドで終了領域および有利領域を通過させなかった場合に、第1特別変動入賞装置6が開放することから、所定ラウンドより後のラウンドで、最終ラウンド前に終了領域を遊技球が通過して大当たり遊技状態が終了することがない状態となる。
【0142】
この場合に、第2特別変動入賞装置6aは、所定ラウンドしか開放しないので、例えば、上述のような誘導先変更装置67を設けずに、遊技球が非領域経路66と、終了領域および有利領域を備える領域経路65とのいずれかを通過する構造となっていてもよい。この場合に、領域経路65に遊技球が流入し易い構成となっていることが好ましく、例えば、非領域経路66より領域経路65に多く遊技球が流入するような構成となっていることが好ましい。
【0143】
この場合に、所定ラウンドにおいて、第2特別変動入賞装置6aが開放している間、遊技者は、遊技球の発射を停止したり、遊技球の発射勢を調整して、開放した第2特別変動入賞装置6aに遊技球が流入しない状態とすることにより、大当たり遊技状態の継続を決定することができ、遊技球を第2変動入賞装置6aに向かうように発射することで、大当たり遊技状態の終了と、確変遊技状態の発生を選択することができる。
【0144】
この場合に、大当たり遊技状態の継続を選択する際に、所定ラウンドでは、遊技球を第2大入賞口61aに入賞しないように遊技者が操作することから、獲得可能な賞球数が減ってしまうので、賞球数を考慮すると、誘導先変更装置67を備える方が、所定ラウンドにおける第2特別変動入賞装置6aの開放期間の前半において遊技球を第2大入賞口61aに入賞させられるので好ましい。
【0145】
なお、上述の実施形態では、所定ラウンドとしての7ラウンドの前半は遊技球を非領域経路66に誘導し、後半は領域経路65に誘導するようにしたが、第2特別変動入賞装置6aが所定ラウンドしか開放しない場合には、遊技球が終了領域を通過したことに基づいて第2特別変動入賞装置6aの閉塞条件が成立する前であっても、第2特別変動入賞装置6aを閉塞させてしまう構成とする場合を除いて、所定ラウンドの前半において遊技球を領域経路65に誘導し、後半において遊技球を非領域経路66に誘導する構成としてもよい。
【0146】
また、特別変動入賞装置を二つ設けずに、終了領域および有利用利器を有し、かつ、遊技球の経路を領域経路65と非領域経路66との間で切り替える誘導先変更装置67を備える大入賞口を有する特別変動入賞装置(第2特別変動入賞装置6a)だけを設けるものとしてもよい。この場合に、所定ラウンドの前および所定ラウンドの後では、上述の8ラウンドから16ラウンドと同様に、第2特別変動入賞装置6aの開放時間を例えばラウンド開始(開放開始)から15秒とし、誘導先変更装置67により誘導先を非領域経路66から領域経路65に変更するタイミングをラウンド開始から15秒とする。
【0147】
所定ラウンド以外では、第2特別変動入賞装置6aのラウンド開始からの開放時間を15秒とする。
このような構成とすれば、所定ラウンド以外のラウンドでは、遊技球が終了領域を有する領域経路65に誘導開始される前に、第2特別変動入入賞装置6aが閉塞し、遊技球が終了領域を通過できない状況とすることができる。
【0148】
また、所定ラウンドでは、遊技者が遊技球の発射を停止したいり、発射勢を変更したりする必要が生じるので、所定ラウンドが開始されることを報知することが好ましい。この場合に、所定ラウンドの前のラウンドと、所定ラウンドとの間のインターバル(ラウンド間で特別変動入賞装置6,6aが二つとも閉塞している期間)を他のラウンド間のインターブルより長くして所定ラウンドの開始を報知してもよい。
【0149】
また、所定ラウンドにおいて第2特別変動入賞装置6が開放した後に、遊技球の誘導先が領域経路65に切り替えられるより少し前に、例えば、遊技球の発射を停止できるように報知されることが好ましい。これにより、大当たり遊技状態を継続するつもりが、大当たり遊技状態を終了させてしまうような事態を防止できる。
【0150】
また、上述のように大当たりの種類として、終了領域および遊技領域に遊技球を通過可能にできる所定ラウンドが異なるようにしてもよい。
例えば、所定ラウンドを、3ラウンド、7ラウンド、12ラウンドの3種類とし、実行回数設定手段としての主制御装置14が、これらのラウンド数から一つのラウンド数を上述の所定ラウンドとして設定するものとしてもよい。この場合に、16ラウンドの大当たりの種類として、大当たりaと、大当たりbと、大当たりcがあるものとし、大当たりaの場合に所定ラウンドを3ラウンドとし、大当たりbの場合に所定ラウンドを7ラウンドとし、大当たりcの場合に所定ラウンドを12ラウンドとしてもよい。
【0151】
なお、大当たり種類の決定は、上述の図柄抽選により行われ、特図表示装置4a,4bに停止表示される特別図柄の種類により報知される。
この場合に、大当たり遊技状態を終了して、確変遊技状態を発生させることを選択した場合に、大当たりの種類によって獲得可能な賞球数に差がでることになる。すなわち、確変遊技状態の発生を遊技者が選択した場合に、所定ラウンドで大当たり遊技状態が終了することになるので、所定ラウンドの数が小さいほど、獲得可能な賞球数が減少することになり、所定ラウンドが3ラウンドでは、7ラウンドの場合より獲得可能な賞球数が少なくなり、所定ラウンドを12ラウンドとした場合には、7ラウンドの場合より獲得可能な賞球数が多くなる。
【0152】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。