(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981337
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】低コストの電力供給回路及び方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20160818BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
H02M3/155 U
H02M3/28 U
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-516967(P2012-516967)
(86)(22)【出願日】2010年6月29日
(65)【公表番号】特表2012-532577(P2012-532577A)
(43)【公表日】2012年12月13日
(86)【国際出願番号】IB2010052953
(87)【国際公開番号】WO2011001369
(87)【国際公開日】20110106
【審査請求日】2013年6月25日
【審判番号】不服2015-11527(P2015-11527/J1)
【審判請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】09164493.0
(32)【優先日】2009年7月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェーン ヒェールト ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】スネルテン イェロエン
【合議体】
【審判長】
高瀬 勤
【審判官】
和田 志郎
【審判官】
千葉 輝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−187821(JP,A)
【文献】
特開2006−223092(JP,A)
【文献】
米国特許第4929882(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 - 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定したDC電流出力を供給するための電力供給回路であって、前記電力供給回路が、
DC電圧入力をDC電圧出力に変換するためのLLCコンバータ段を有し、
前記電力供給回路が、
前記LLCコンバータ段のDC電圧出力部に結合されるDC電圧入力部を持ち、且つDC電流出力部を持つ少なくとも1つのヒステリシスコンバータ段を更に有し、
前記LLCコンバータ段には、フィードバック制御がない電力供給回路。
【請求項2】
前記LLCコンバータ段が、所定の周波数で動作するよう構成される請求項1に記載の電力供給回路。
【請求項3】
前記LLCコンバータ段が、前記LLCコンバータ段の負荷独立点で動作するよう構成される請求項2に記載の電力供給回路。
【請求項4】
前記ヒステリシスコンバータ段の前記DC電流出力部における電圧が、前記ヒステリシスコンバータ段の前記DC電圧入力部における電圧より低い請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力供給回路。
【請求項5】
前記ヒステリシスコンバータ段が、バックコンバータを有する請求項4に記載の電力供給回路。
【請求項6】
AC電源電圧をDC電圧出力に変換するための電源コンバータ段を更に有し、前記LLCコンバータ段のDC電圧入力部が、前記電源コンバータ段のDC電圧出力部に結合される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電力供給回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電力供給回路を有し、前記少なくとも1つのヒステリシスコンバータ段の前記DC電流出力部をLED照明モジュールに結合させる照明装置。
【請求項8】
安定したDC電流を少なくとも1つの負荷に供給する方法であって、
所定の周波数で動作されるLLCコンバータ段によって、DC電圧入力をDC電圧出力に変換するステップと、
少なくとも1つのヒステリシスコンバータ段によって、前記LLCコンバータ段の前記DC電圧出力を少なくとも1つのDC電流出力に変換するステップと、
前記少なくとも1つのDC電流出力を前記少なくとも1つの負荷に供給するステップとを有する方法。
【請求項9】
前記LLCコンバータ段が、前記LLCコンバータ段の負荷独立点で動作される請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給回路及び方法の分野に関し、より詳細には、照明アプリケーションにおける、複数の発光ダイオード、LEDを有する負荷への電力の供給に関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給の分野においては、LLCコンバータの使用が知られている。LLCコンバータは、第1スイッチ及び第1ダイオードの第1並列配置と、第2スイッチ及び第2ダイオードの第2並列配置との直列配置を有する。前記直列配置は、DC入力電圧を受け取るための第1入力端子と第2入力端子との間に結合される。第1端子における電圧は、第2端子における電圧に対して正である。第1ダイオードの陰極及び第2ダイオードの陰極は、第1端子に向けられる。第1ダイオードは、第1スイッチに固有のものであってもよく、又は外部からのものであってもよい。同様に、第2ダイオードは、第2スイッチに固有のものであってもよく、又は外部からのものであってもよい。第1ダイオード又は第2ダイオードのいずれかと並列に、コンデンサ、第1インダクタ及び第2インダクタの直列配置が結合される。第1インダクタ及び第2インダクタのうちの一方は、変圧器であってもよい。フィルタされたDC出力電圧を供給するために、第1インダクタ又は第2インダクタのいずれかに整流器及びフィルタが結合される。制御回路は、第1スイッチ及び第2スイッチのオン・オフ切り換えの周波数を制御するためのスイッチング制御手段を有する。
【0003】
LLCコンバータのトポロジには、低い電磁干渉、EMI及び高い効率などの多くの利点がある。LLCコンバータの出力電圧は、通常、スイッチのスイッチング周波数のフィードバック制御によって制御される。LLCコンバータは、ハードスイッチングを防止するために共振周波数より上で駆動され得る。この、所謂ソフトスイッチングモードにおいては、オフに切り換えられる第1スイッチを流れる電流は、オフに切り換える瞬間の直前、正である。その結果として、第1及び第2スイッチの間の接続ノードにおける電圧が方向を転換し、第2スイッチに対して平行な第2ダイオードが整流し、第2スイッチに対して
並列な第2ダイオードが電流を電導し始める。第2スイッチは、第2ダイオードが導通する瞬間にオンに切り換えられることができ、故に、実質的にスイッチング損失が生じない。このような動作条件においては、スイッチとして、固有ダイオードを有するMOSFET、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを用いることが、最も適している。
【0004】
LLCコンバータの共振周波数に近い安定制御挙動のためには、制御回路は、動作状態のあらゆる変化に適合されなければならないだろう。しかしながら、ほとんどのアプリケーションの場合、これは、実現可能なソリューションではない。他方、動作周波数が共振周波数に近くない場合には、周波数制御が用いられ得る。しかしながら、この状況においては、全ての入出力電圧変動をカバーするために、必要とされる周波数掃引が大きいだろう。従って、LLCコンバータを使用する場合、例えば、LLCコンバータが、1つ以上のカラーチャンネルにおいて、1列以上のLEDなどの複数のLEDを含むLED照明モジュールを駆動するための電力供給回路において用いられるだろう場合、所望の性能を得るために、通常、大規模な(それ故、高価な)制御回路が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低コストで優れた性能を持つ電力供給回路を供給することは望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの問題の1つ以上により良く対処するため、本発明の第1態様においては、安定したDC電流出力を供給するよう構成される電力供給回路が提供される。実施例においては、前記電力供給回路は、DC電圧入力をDC電圧出力に変換するためのLLCコンバータ段と、前記LLCコンバータ段のDC電圧出力部に結合されるDC電圧入力部を持ち、且つDC電流出力部を持つ少なくとも1つのヒステリシスコンバータ段とを有する。前記LLCコンバータ段には、フィードバック制御がない。
【0007】
本発明の実施例においては、前記LLCコンバータ段は、所定の周波数で動作するよう構成される。より詳細には、前記LLCコンバータ段は、1に等しい電圧利得を持つ前記LLCコンバータ段の負荷独立点で動作するよう構成される。
【0008】
本発明の他の態様においては、本発明の電力供給回路を有する照明装置が提供される。前記電力供給回路の各DC電流出力部は、LED照明モジュールに結合され得る。
【0009】
本発明の更に他の態様においては、安定したDC電流を少なくとも1つの負荷に供給する方法が提供される。前記方法は、所定の周波数で動作されるLLCコンバータ段によって、DC電圧入力をDC電圧出力に変換するステップと、対応するヒステリシスコンバータ段によって、前記LLCコンバータ段の前記DC電圧出力を少なくとも1つのDC電流出力に変換するステップと、前記少なくとも1つのDC電流出力を前記少なくとも1つの負荷に供給するステップとを有する。
【0010】
前記LLCコンバータ段は、負荷独立点で動作され、精巧な制御回路を全く必要としない。各ヒステリシスコンバータ段は、入力電圧に依存しない安定した出力電流を生成し、故に、無制御LLCコンバータ段のDC電圧出力における電圧変動は、ヒステリシスコンバータ段電流出力に全く影響を及ぼさないだろう。
【0011】
換言すれば、本発明は、定常状態出力電圧を供給するために、全くフィードバック手段を持たない無制御電圧源(前記LLCコンバータ段)を、前記LLCコンバータ段の出力電圧におけるリップル及び公差によって影響を及ぼされない1つ以上の負荷電流ドライバと組み合わせて用いることを提案する。これは、高い効率及び優れた電磁場適合性、EMC、挙動を更に供給する、優れた性能を持つ低コストシステムをもたらすだろう。
【0012】
本発明のこれら及び他の態様は、同じものが、以下の詳細な説明を参照することでより良く理解されるようになり、同様の参照符号は同様のパーツを示す添付の図面に関連して考慮されるようになるので、より容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】負荷に接続される本発明の電力供給回路の実施例のブロック図を図示する。
【
図2】本発明の電力供給回路のためのLLCコンバータ段の実施例の回路図を図示する。
【
図3】
図2のLLCコンバータ段の様々な負荷に対する或る周波数範囲にわたるLLCコンバータ段ゲインの図を図示する。
【
図4】本発明の電力供給回路のためのヒステリシスコンバータ段の実施例の回路図を図示する。
【
図5】
図4のヒステリシスコンバータの出力電流のタイミング図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、出力端子104を通して負荷102に接続される電力供給回路100の実施例の概略図を図示している。電力供給回路100は、入力端子106において供給されるAC電源入力電圧を、端子112におけるDC出力電圧(例えば430V)に変換するための第1コンバータ段110を有する。第1コンバータ段110は、ブーストコンバータであってもよく、整流器回路と、当業者には様々な実施例においてそれ自体は知られているような、力率補正、PFC、回路とを有する。AC電源電圧の代わりに、又はAC電源電圧に加えて、DC(電源又はバス)電圧が利用可能である場合には、第1コンバータ段110は省かれ得る。
【0015】
第1コンバータ段110のDC出力電圧(又はDC電源若しくはバス電圧)は、LLCコンバータ段116とも呼ばれる第2コンバータ段のDC入力電圧端子114に供給される。LLCコンバータ段116は、出力端子118においてDC電圧を出力する。LLCコンバータ段116の実施例の回路図は、
図2に示されており、下でより詳細に記述される。
【0016】
第2コンバータ段116のDC出力電圧は、ヒステリシスコンバータ段122とも呼ばれる第3コンバータ段のDC入力電圧端子120に供給される。ヒステリシスコンバータ段122は、出力端子104においてDC電流を出力する。ヒステリシスコンバータ段122の実施例の回路図は、
図4に示されており、下でより詳細に記述される。
【0017】
負荷102は、1列以上のLEDなどの複数のLEDを有し得る。
【0018】
電力供給回路100は、LLCコンバータ段116に対して並列に結合される複数のヒステリシスコンバータ段122であって、各ヒステリシスコンバータ段122がそれ自身の負荷を持つ複数のヒステリシスコンバータ段122を有してもよい。従って、各ヒステリシスコンバータ段122は、例えば、LED照明アプリケーションにおける、赤色、緑色、青色(RGB)のカラーチャンネルのうちの1つであってもよく、赤色、緑色、青色若しくは白色(RGBW)のカラーチャンネルのうちの1つであってもよい。
【0019】
電力供給回路100においてLLCコンバータ段116を用いることによって、絶縁供給電流が出力され得る一方で、第1コンバータ段110の高いDC出力電圧も、LLCコンバータ段116の変圧器の巻線比によって、低い負荷電圧と整合され得る。
【0020】
図2は、第1スイッチ201及び第2スイッチ202の直列配置を有するLLCコンバータ段116を示している。スイッチ201、202は、MOSFETとして図示されているが、別のタイプの半導体スイッチとしても実施され得る。MOSFETは固有ダイオードを有する。しかしながら、前記固有ダイオードは、外部ダイオードで補われてもよい。別のタイプの半導体スイッチの場合にも、この機能はLLCコンバータ段116において必須であるので、外部ダイオードは設けられ得る。第1スイッチ201及び第2スイッチ202の直列配置は、第1コンバータ段110からDC入力電圧を受け取るために、
図2においてマスコネクション(mass connection)として及びVbusと記された入力端子114間に結合される。Vbusと記された端子114における電圧は、他の端子114における電圧に対して正である。第1スイッチ201に固有の又は外部からのダイオードの陰極、及び第2スイッチ202に固有の又は外部からのダイオードの陰極は、Vbusと記された端子114に向けられる。コンデンサ204、第1インダクタ206及び第2インダクタ208の直列配置が、第1スイッチ201に対して並列に結合されるが、他の例においては、この直列配置は、第2スイッチ202に対して並列に結合され得る。第2インダクタ208は、コンデンサ204と第1インダクタ206との間に結合される一次巻線を持ち、且つセンタータップ付き二次巻線を持つ変圧器である。第1インダクタ206は、第2インダクタ208の固有部であってもよく、第2インダクタ208(変圧器)の漏れインダクタンスを表わしていてもよい。これは、このような状況においては、LLCコンバータ段116内には、実際には、磁性素子が1つしかないことを意味する。他方、幾つかのアプリケーションにおいては、(変圧器によって供給されるような)絶縁が必要ではなく、インダクタが変圧器に取って代わり得る。
【0021】
フィルタコンデンサ214と並列に結合されるダイオード210及びダイオード212の並列配置を有する整流器回路が、
図2においてマスコネクションとして及びVoutと記された出力端子118において、絶縁され、フィルタされたDC出力電圧を供給するために、第2インダクタ208に結合される。制御端子G1及びG2に結合される制御回路216は、第1スイッチ201及び第2スイッチのオン・オフ切り換えの周波数を制御するために、更に詳細には示されていないスイッチング制御手段を有する。
【0022】
制御回路216は、フィードバック制御手段を全く含まず、第1スイッチ201及び第2スイッチ202の一定のスイッチング周波数を供給するためにプリセットタイミング装置を用いる。スイッチング周波数の選択は、
図3を参照することにより説明される。
【0023】
図3は、様々な負荷条件に対するLLCコンバータ段ゲイン(電圧利得G)の図を一例として示しており、線Aによって表わされている負荷条件は、高い負荷(高い電流、低いインピーダンス)であり、線B、C、D、E及びFによって表わされている負荷条件は、続いて減っている負荷(前記高い電流より低い電流、前記低いインピーダンスより高いインピーダンス)であり、線Fによって表わされている負荷条件は、低い負荷(低い電流、高いインピーダンス)である。例えば、第2インダクタ208のインダクタンスと第1インダクタ206のインダクタンスとの比は、4に等しい。
図3に示されている周波数範囲(100krad/s乃至1Mrad/s)においては、負荷独立点は、300krad/sの近くと認識され得る。これは、LLCコンバータ段116がその負荷独立点で動作する周波数である。理想回路素子では、この共振周波数においては、出力電圧は、常に、負荷値に依存しない同じ値を持つだろう、換言すれば、電圧利得G=1だろう。実際的な回路においては、例えば、ダイオードの順電圧及び誘導性素子の直列抵抗により、出力電圧の小さな負荷依存性が生じるだろう。第1コンバータ段110によってLLCコンバータ段116に供給されるDC電圧が、安定しており、制御される場合、入力DC電圧変動に比例して依存するLLCコンバータ段の出力電圧も安定しているだろう。第1コンバータ段110が、例えば、ブーストコンバータPFC回路である場合、この動作条件は確実にされる。
【0024】
図4は、第3スイッチ402及びダイオード404の直列配置を有する、示されている実施例においてはヒステリシスダウンコンバータ段である、ヒステリシスコンバータ段122を示している。ダイオード404の陰極は、スイッチ402に向けられる。スイッチ402は、MOSFETとして図示されているが、別のタイプの半導体スイッチとしても実施され得る。スイッチ402及びダイオード404の直列配置は、LLCコンバータ段116からDC入力電圧を受け取るために、VDCと記されたDC入力電圧端子120と、接地としてGNDと記されたDC入力電圧端子120との間に結合される。第3インダクタ406は、ダイオード404の陰極に結合される或る端子と、DC電流出力端子104のうちの1つである反対側端子とを持つ。複数の発光ダイオード、LED408又は1列以上のLED列を有する負荷が、出力端子104間に結合され得る。示されている実施例においては、ヒステリシスコンバータ段は、バックコンバータタイプである。しかしながら、本発明は、ブーストコンバータタイプ又はバックブーストコンバータタイプのヒステリシスコンバータ段にも適用され得る。
【0025】
ヒステリシスコンバータ段122は、
図4において破線で示されている制御回路410を有する。分かりやすくするために、ゲート駆動、保護及びイネーブル論理を供給する構成要素などの、当業者による本発明の理解には必要ない幾つかの構成要素は、省かれている。
【0026】
抵抗器412が、出力端子104のうちの一方と、ダイオード404の陽極との間に結合される。抵抗器414が、出力端子104のうちの前記一方と、比較器418の第1入力部416との間に結合される。抵抗器420及び422の直列配置が、基準電圧端子424(例えば5V)と接地GND端子120との間に結合される。抵抗器420と抵抗器422との間に結合されるノード426は、比較器418の第2入力部428に結合される。抵抗器430が、ノード426と、DC電流出力端子104のうちの、第3インダクタ406に結合される一方との間に結合される。抵抗器432が、比較器418の第2入力部428と、比較器418の出力部434との間に結合される。出力部434は、第3スイッチ402の制御端子(ゲート)に結合される。抵抗器436が、比較器418の第1入力部416と、DC入力電圧端子120のうちの、第3スイッチ402に結合される一方との間に結合される。
【0027】
ヒステリシスコンバータ段出力電流は、比較器418の第1入力部416における電圧を抵抗器414を通して供給する抵抗器412を用いて測定される。抵抗器420及び422は、比較器418の基準電圧レベルを設定する。抵抗器432は、この基準電圧レベルにおいてヒステリシスを引き起こす。
【0028】
実際には、ヒステリシスコンバータ段122の回路素子、とりわけ、その制御回路410は、
図5に図示されているようなヒステリシスコンバータ段出力電流のシュートスルーをもたらす伝搬遅延を持つ。
【0029】
図5において、第1(理想)電流レベルI
1は、伝搬遅延がないだろう場合の、第3スイッチ402を導通状態から非導通状態へ切り換えるときの最大出力電流を示す。第2(理想)電流レベルI
2は、伝搬遅延がないだろう場合の、第3スイッチ402を非導通状態から導通状態へ切り換えるときの最小出力電流を示す。第3スイッチ402を非導通状態から導通状態へ切り換えるとき、出力電流は、第3インダクタ406によって実質的に決定されるようにI
2からI
1へ増加していく。第3スイッチ402を導通状態から非導通状態へ切り換えるとき、出力電流は、I
1からI
2へ減少していく。従って、平均出力電流I
avgが生成される。説明のためだけに、I
1は、I
avgより20%まで高くてもよく、I
2は、I
avgより20%まで低くてもよい。
【0030】
ヒステリシスコンバータ段出力電流のシュートスルーの作用は、各々、第3スイッチ402を導通状態から非導通状態へ切り換えるときの伝搬遅延時間T
p,off、及び第3スイッチ402を非導通状態から導通状態へ切り換えるときの伝搬遅延時間T
p,onによって示される。
図5に図示されているように、遅延時間T
p,offは、電流誤差オーバーシュートI
err,offをもたらし、遅延時間T
p,onは、電流誤差アンダーシュートI
err,onをもたらし、それによって、平均出力電流誤差I
err,avgをもたらす。
【0031】
シュートスルーの量は、部分的に、ヒステリシスコンバータ段入力電圧によって決定される。これは、比較器418に対する入力電圧のフィードフォワードのために用いられる抵抗器436によって補償される。抵抗器430は、出力電流が出力端子104における電圧に実質的に影響されないようにするために、比較器418の基準電圧レベルに対する出力端子104における電圧のフィードフォワードのために用いられる。
【0032】
従って、ヒステリシスコンバータ段122は、フィードバック制御なしにLLCコンバータ段116を用いる場合にそうであり得るように入力電圧が変動する場合であっても、安定した出力電流I
avgを供給する。従って、相対的に少ない構成要素を有する相対的に単純なコンバータ段(ヒステリシスコンバータ段122に結合される、フィードバック制御のないLLCコンバータ段116)を用いて、安定した出力電流を供給する電力供給回路が組み立てられ得る。これは、理想的には、例えば、LED負荷又はその(カラー)チャンネルを駆動するのに適している。実際には、LLCコンバータ段116に対して並列に結合される複数のヒステリシスコンバータ段122が、様々なLEDカラーチャンネルを駆動してもよい。
【0033】
例えばLED負荷の減光のために、各ヒステリシスコンバータ段は、パルス幅変調、PWM、動作において、オン及びオフに切り換えられてもよい。
【0034】
上記によれば、電力供給回路は、DC電圧入力をDC電圧出力に変換するためのLLCコンバータ段と、少なくとも1つのヒステリシスコンバータ段とを持つ。各ヒステリシスコンバータ段は、LLCコンバータ段のDC電圧出力部に結合されるDC電圧入力部と、DC電流出力部とを持つ。LLCコンバータ段には、フィードバック制御がなく、その負荷独立点で動作される。LLCコンバータのDC電圧出力におけるリップルは、ヒステリシスコンバータ段の出力電流に影響を及ぼさない。ヒステリシスコンバータ段の安定したDC電流出力は、1列以上のLED列を持つ負荷に結合される。
【0035】
本願明細書において、必要に応じて、本発明の詳細な実施例が開示されているが、開示されている実施例は、本発明の単なる例示的なものにすぎず、本発明は、様々な形態で実施され得ることは、理解されるべきである。それ故、本願明細書に開示されている具体的な構造及び機能の詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、請求項の根拠、及び当業者に、本発明を、ほぼあらゆる適切な詳細構造において様々に用いるよう教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。更に、本願明細書で用いられている用語及び表現は、限定することを目的としておらず、もっと正確に言えば、本発明の分かりやすい説明を与えることを目的としている。
【0036】
本願明細書で用いられている単数表現は、1つ又は2つ以上のものと定義される。本願明細書で用いられている複数という用語は、2つ又は3つ以上のものと定義される。本願明細書で用いられている別のという用語は、少なくとも第2の又はそれ以上のと定義される。本願明細書で用いられている含む及び持つという用語は、有する(即ち、他の要素又はステップを除外しないオープンランゲージ)と定義される。請求項における如何なる参照符号も、請求項又は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0037】
単に、特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。
【0038】
本願明細書で用いられている結合されるという用語は、必ずしも直接的にではなく、必ずしも機械的にではなく、接続されると定義される。
【0039】
請求項において列挙されている幾つかのアイテムの機能を単一のプロセッサ又は他のユニットが実現してもよい。