(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981340
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】農業用の窒素含有界面活性剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20160818BHJP
A01N 37/44 20060101ALI20160818BHJP
A01N 57/20 20060101ALI20160818BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N37/44
A01N57/20 G
A01P13/00
【請求項の数】5
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2012-527291(P2012-527291)
(86)(22)【出願日】2010年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-503830(P2013-503830A)
(43)【公表日】2013年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2010062601
(87)【国際公開番号】WO2011026800
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2012年4月23日
【審判番号】不服2015-3208(P2015-3208/J1)
【審判請求日】2015年2月19日
(31)【優先権主張番号】61/239,086
(32)【優先日】2009年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】09176575.0
(32)【優先日】2009年11月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ズー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュス,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】バンド,エリオット アイザック
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターズ,マイケル
【合議体】
【審判長】
井上 雅博
【審判官】
佐藤 健史
【審判官】
木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−533361(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2025230(EP,A2)
【文献】
国際公開第2006/069791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N57/20,25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の農業活性成分を含む農業用製剤の効率を向上させる方法であって、前記製剤に、以下の一般構造を有する窒素含有界面活性剤を添加することを含み、
【化32】
[式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;
A=C1〜C3の直鎖または分枝鎖アルキレンであり;
m=0〜10であり;
B=C2〜C6アルキレンであり;
p=1〜5であり;
r=0〜1であり;
t=0〜1であり;
R
1は、存在しないか、水素またはCH
3であり、R
1が水素またはCH
3であるとき、分子全体は各水素またはCH
3に対する対イオンとして塩化物イオンを有し;
X、Y、およびZは、メチルであ
り
前記農業活性成分が、グリホセートおよび/またはグリホセートの塩を含む、方法。
【請求項2】
mが>0である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
rまたはt=0、およびm=0である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
p=1であり、BがC3アルキレンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記界面活性剤は、アルキル基がC5からC12の1つまたは複数から選択されるアルキルジメチルアミドプロピルアミンを含む他の界面活性剤とともに、農業用製剤において用いられる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、農業用製剤の活性を向上させる補助剤としての窒素含有界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
殺有害生物剤の生物学的効率は、適切な界面活性剤または補助剤の添加によって向上することが公知である。例えば、除草剤であるグリホセートの生物学的効率は、タロウアミンエトキシレート界面活性剤によって向上させ得ることが周知である。しかし、一般的に用いられている界面活性剤の中には、好ましくない水生毒性または眼刺激プロファイルを有するものがある。かかる界面活性剤の例は、タロウアミンエトキシレート、C
14アルコールエトキシレート(1〜4EO)、およびC
18アルキルトリメチル第四級界面活性剤である。かかる界面活性剤をより良好な水生毒性または眼刺激プロファイルを有するものに置き換えるための多くの試みがなされてきた。水生または眼刺激の観点からのあらゆる改善は、環境を保護するための正しい方向への一歩であるとみなされている。しかし、水生毒性または眼刺激における改善は、生物学的効率における改善の反対方向に通常向かっていることが当業者に周知である。グリホセート中のタロウアミンエトキシレートを置き換える試みにおいて、アルキルポリグルコシド(APG)界面活性剤を、タロウアミンエトキシレートと同等の良好な効率向上特性を有する穏やかな界面活性剤として導入したという一例があったが、APG界面活性剤は、グリホセートの生物学的効率を向上させることにおいては実際のところ劣っているということが後に証明された。これまで、タロウアミンエトキシレートと同様にグリホセートの効率を向上させ得ると同時に低い水生毒性および眼刺激プロファイルを有し得るいずれの界面活性剤も見出されていなかった。グリホセートは、世界中で最も大量の殺有害生物剤である。したがって、一般の殺有害生物剤用、特にグリホセート用の、良好な生物学的効率向上特性、改善された水生毒性、および改善された眼刺激プロファイルを有する好適な界面活性剤を見出す必要性がある。
【0003】
米国特許第6645912号には、式:
【0004】
【化1】
[式中、RはC6〜C20であり、m=1〜4であり、p+q=0〜3である]
の2−窒素アミドアミンジC1〜C4アルキルアミンオキシドを有する除草剤組成物が開示されている。
【0005】
WO29082675A1には、式:
【0006】
【化2】
[式中、a=1〜3であり;c=2〜3であり;R1=C5〜C19アルキル基であり、式中、Yは、それぞれ独立してH、
【0007】
【化3】
であり、
式中、Xは、独立してH、CH3、またはC2H5であり、b=0〜10であり、R2はC5〜C19基である]のアミドアミンアルコキシレートを含む組成物が開示されている。ここで、N’およびN’’の少なくとも一方が、酸化または四級化されている。しかし、このタイプのアミドアミン、その酸化物および第四級化合物は、長年にわたって周知されている。
【0008】
WO2009080225A2には、N−ラウリルイミノプロピノイック酸の塩と、一般構造:
【0009】
【化4】
[式中、R
1、R
4、およびR
6は、水素またはC
1〜30アルキルもしくはアルケニル基をそれぞれ独立して表し;(OR
2)
n、(OR
3)
l、および(OR
5)
mは、ランダムポリアルコキシド基、ブロックポリアルコキシド基、または直鎖もしくは分枝鎖のC
2〜6アルキルサルフェート(スルホネート)をそれぞれ独立して表し;R
2、R
3、およびR
5は、C
2〜6アルキル基をそれぞれ独立して表し;l、m、およびnは、1〜100の数をそれぞれ独立して表し、rは、1〜2の数を独立して表し;a、b、c、d、およびeは、1〜12の数をそれぞれ独立して表し;x、y、およびzのそれぞれは、1〜100の数を独立して表す]を有するアルキルアミン誘導体とを含む、農業用製剤のための補助剤組成物が開示されている。
【0010】
該文献による補助剤組成物に好適なアルキルアミン誘導体として、限定されないが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ならびに多価脂肪族アミンおよび/またはその誘導体が挙げられる。該組成物が、低減された眼および皮膚刺激を有することが主張されているが、実際のデータは開示されていない。また、該組成物が、3つの実施例の360g/lのIPA−グリホセート製剤を用いて標準のRoundup(登録商標)Ultraに等しい雑草防除を与えたことも主張されている。
【0011】
この文献では、N−ラウリルイミノプロピオン酸の塩が単独でグリホセート製剤において用いられたときに有効であるか否かについて開示されていない。個々の界面活性剤の適正な試験を行わずに、3種の界面活性剤の混合物において見られる効果が特許請求の界面活性剤またはその他の2種の界面活性剤に由来するか否かを判断することは可能でない。さらに、実際の生物学的効率データも、特に、界面活性剤の不存在下および界面活性剤の存在下で与えられた「全殺生」の程度についてのデータも与えられておらず、かかるデータを用いずに、特許請求のアルキルアミドベタインが、報告されている試験の条件下でグリホセートの除草活性を向上させる際に有効であったか否かを判断することは可能でない。さらに、N−ラウリルイミノプロピオン酸の塩が、高投入量のアンモニウムおよびカリウムグリホセート製剤などの、グリホセートの他の塩に相溶性であるか否かが開示されていない。
【0012】
WO2000038523(Huntsman、US6500784、US6653257、EP1139761)には、構造RCONH(CH2)
nN
+R
12CH
2COO
−[式中、R
1は、C1〜C4を有するアルキルまたはヒドロキシルアルキル基であり、n=2〜4である]を有する両性界面活性剤が開示されており、構造RR
12N
+CH
2COO
−[式中、R
1は、C1〜C4を有するアルキルまたはヒドロキシルアルキル基である]を有するベタインが開示されている。そこに開示されている両性界面活性剤は、エーテルカルボキシレートを濃縮されたグリホセート系に可溶化させるように共界面活性剤として主に機能した。該文献の文脈において、ベタインまたは他の両性界面活性剤のこれら自体の生物学的効率は言及されていなかった。実施例29〜53のみにおいて、3種の界面活性剤の混合物(ベタインのみではない)が、改善された湿潤性および生物学的効率を示すことが言及されていた。しかし、個々の界面活性剤の適正な試験を行わずに、3種の界面活性剤の混合物において見られる効果が、特許請求の界面活性剤またはその他の2種の界面活性剤に由来するかどうかを判断することは可能でない。さらに、実際の生物学的効率データも、特に、界面活性剤の不存在下および界面活性剤の存在下で与えられた「全殺生」の程度についてのデータも与えられておらず、かかるデータを用いずに、特許請求のアルキルアミドベタインが、報告されている試験の条件下でグリホセートの除草活性を向上させる際に有効であったか否かを判断することは可能でない。この特許では、安定であるにはNaイオンがグリホセート製剤に対して0.035%未満であることが要求される。さらに、実施例としてIPA−グリホセートのみが用いられた。IPA−グリホセートに可溶性である多くの界面活性剤が、濃縮されたKまたはNH4グリホセート製剤に可溶性でないことがごく最近になって公知となっている。本発明者らの試験は、51.3%のカリウムグリホセートの組成物である、不飽和グリホセート塩水溶液が、1.8%のステアリルジメチルアミドプロピルベタインさえも溶解し得なかったことを示唆した。ステアリルジメチルアミドプロピルベタイン自体が、濃縮されたカリウムグリホセート系への溶解性が不良であったため、ステアリルジメチルアミドプロピルベタインおよびエーテルカルボキシレートの溶解性は、濃縮されたカリウムグリホセート系においてさらに最も悪いであろうことが予想される。したがって、該文献における請求項1の特許請求の製剤は、濃縮されたKグリホセート系において安定であり得ず、すなわち有用であり得ない。
【0013】
US2004/0224846A1(US6992046B2)では、トリアルキルベタイン(またはトリアルキルアミドプロピルベタイン)および少なくとも1個のアルキルアミンアルコキシレートを有するグリホセート製剤が特許請求されている。界面活性剤の不存在下および界面活性剤の存在下で与えられた「全殺生」の程度についてのデータが与えられておらず、かかるデータを用いずに、トリアルキルベタイン(またはトリアルキルアミドプロピルベタイン)およびアルキルアミンアルコキシレートの混合物が、報告されている試験の条件下でグリホセートの除草活性を向上させる際に有効であったか否かを判断することは可能でない。さらに、アルキルアミンアルコキシレートが単独でグリホセートの効率を向上させる際に有効であるために、該文献に列挙された効果がアルキルアミンアルコキシレート、ベタイン、または両方の組合せからのものであったか否かを該文献の文脈から言うことは可能でない。
【0014】
US20050170965(A1)(Rhodia)(WO03/063589A2、EP1469731A2、US2003/0158042、US2004/0224846、EP2025230)には、以下の構造を有するベタインおよびアルキルアミンエトキシレートを含む少なくとも1種のさらなる界面活性剤が開示されている。
R
1R
2R
2N
+−CH
2COO
− (I)
R
1R
3HN
+−CH
2−CH
2COO
− (II)
【0015】
【化5】
式中、R
2はアルキルであり、R
3は、水素、アルキルまたは−CH
2−COOMである。
【0016】
該文献の文脈において、界面活性剤の不存在下および界面活性剤の存在下で与えられた「全殺生」の程度についてのデータが与えられておらず、かかるデータを用いずに、トリアルキルベタイン(またはトリアルキルアミドプロピルベタイン)およびアルキルアミンアルコキシレートの混合物が、報告されている試験の条件下でグリホセートの除草活性を向上させる際に有効であったか否かを判断することは可能でない。さらに、アルキルアミンアルコキシレートが単独でグリホセートの効率を向上させる際に有効であるために、主張されている効果がアルキルアミンアルコキシレート、ベタイン、または両方の組合せからのものであったか否かを該文献の文脈から言うことは可能でない。
【0017】
該文献はまた、水性グリホセート製剤が貯蔵時に安定であることも示唆している。しかし、IPA−グリホセートにおいて安定である多くの界面活性剤が、濃縮されたKまたはNH4グリホセート製剤に可溶性でないことがごく最近になって公知となっている。試験は、360g ae/lのジアンモニウムグリホセートの組成物が、5.4%のココジメチルベタインを溶解し得ず、480g ae/lのカリウムグリホセートの組成物が、5.4%のココジメチルアミドプロピルベタインを溶解し得なかったことを示唆している。ココジメチルベタインおよびココジメチルアミドプロピルベタインは、濃縮されたカリウムおよびジアムノイウムグリホセート系への溶解性が不良であったため、該文献の請求項16における特許請求の製剤が、濃縮されたKまたはNH4グリホセート系において安定であり得ないことが予想される。
【0018】
US20080312083(2005年に提出されたRhodiaのPTC)には、構造R
1R
2R
2N
+−CH
2COO
−(I)またはR
1−CO−NH−R
4−R
2R
2N
+−CH
2COO
−[式中、R
1は、C3〜C30であり、R
2は、C1〜C3である]のベタインを有するグリホセートが開示されている。(i)少なくとも360g/Lのアミノリン酸またはアミノホスホン酸塩;(ii)水、式R
1R
2R
2N
+−CH
2COO
−[式中、R
1は、3〜30個のアルコキシド単位を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基であり、基R
2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれC
1〜C
3アルキル基である]を有するベタイン、少なくとも1重量%の塩化物を含むベタイン界面活性剤組成物を含む少なくとも80g/Lの界面活性剤系、ならびに(iii)場合により、ベタイン界面活性剤組成物のベタイン以外の少なくとも1種の界面活性剤を含む水性除草組成物が示されている。該文献は、実施例が、該発明による組成物が結晶を形成することなく驚くべき良好な安定性を有することを示していると記述している。ところが、これらの実施例による組成物は、少なくともいくつかの重要な雑草(一年生ライグラスおよび野ダイコン)においてより良好な(より低い生体重)かつ/またはより迅速な生物学的効率(より高い褐色化)を有する。界面活性剤の不存在下および界面活性剤の存在下で与えられた「全殺生」の程度について何のデータも与えられておらず、かかるデータを用いずに、トリアルキルベタイン(またはトリアルキルアミドプロピルベタイン)が、報告されている試験の条件下でグリホセートの除草活性を向上させる際に有効であったか否かを判断することは可能でない。該文献は、実施例が、該発明による組成物が結晶を形成することなく驚くべき良好な安定性を有することを示していると記述している。試験は、360g ae/lのカリウムグリホセートの組成物が80g/lのココジメチルアミドプロピルベタインを溶解し得なかったことを示唆している。
【0019】
WO2008066611(Rhodia、カナダ特許2629862)では、(1)アルキルポリグルコシド、(2)リン酸エステル、(3)スルホネート(sulfonate)、スルホンスクシネート(sulfonsuccinate)、アルキルエーテルカーボンキシレート(carbonxylate)、アルコキシ化脂肪酸、アルコキシ化アルコール、および(4)イミダゾリン系界面活性剤またはアミノプロピオン酸塩系界面活性剤の群のいずれか2種から選択される界面活性剤の界面活性剤ブレンドが特許請求されている。生物学的データは示されていない。
【0020】
化学物質の生態毒性は、指令91/325/EEC[2]および1999/45/ECに従って分類される。危険期の適用および記号「N」(死魚枯れ木の記号として示される場合がある)について限界が特定されている。可能な組合せは以下の通りである:
記号 危険期
N R50/53
N R50
N R51/53
− R52/53
− R52
− R53
【0021】
危険期は、以下の意味を有する:
R50:水生生物に対して非常に毒性
R51:水生生物に対して毒性
R52:水生生物に対して有害
R53:水生環境において長期的な悪影響をもたらす場合がある
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的のいくつかは以下の通りである:
(1)「死魚枯れ木」記号を有さない農業用製剤において本発明の低毒性界面活性剤を用いること、(2)「死魚枯れ木」記号を有さないだけでなく低魚毒性を有する農業用製剤において本発明の低毒性界面活性剤を用いること、(3)「死魚枯れ木」記号を有さないだけでなく低魚および低ミジンコ毒性を有する農業用製剤において本発明の低毒性界面活性剤を用いること、(4)「死魚枯れ木」記号を有さないだけでなく低魚、低ミジンコ、および低藻毒性を有する農業用製剤において本発明の低毒性界面活性剤を用いること、(5)相溶化剤を必要としない、本発明の界面活性剤を含む濃縮された安定な液体グリホセート製剤(360g ae/l以上)を提供すること、(6)相溶化剤としてC5〜12ジメチルアミドプロピルアミンを有する、本発明の界面活性剤を含む濃縮された安定な液体グリホセート製剤(360g ae/l以上)を提供すること、ならびに(7)界面活性剤を有さない同様の製剤と比較して、改善された生物学的効率を有する製剤を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は一般に、農業用製剤の効率を向上させる、N
+−CH
2COO
−、N
+−CH
2COOCH
3、N−CH
2COO
−M
+、N−CH
2CH
2COO
−M
+、またはアミンオキシド官能基を有する窒素含有界面活性剤に関する。本発明の界面活性剤の一部は、相溶化剤を有するまたは有さない高投入量のアンモニウムおよびカリウムグリホセート製剤に相溶性である。
【0024】
一実施形態において、本発明は、以下の一般構造を含む、農業用製剤の効率を向上させるのに有用な界面活性剤である
【0025】
【化6】
[式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;A=C1〜C3の直鎖または分枝鎖アルキルであり;m=0〜10であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;R
1は、存在しないか、水素またはCH
3であり、R
1が水素またはCH
3であるとき、分子全体は各水素またはCH
3に対する対イオンとして塩化物イオンを有し;XおよびYは、独立して、存在せず(または電子対)、H(水素)、CH
3(メチル)、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;Zは、H(水素)、C1〜C18の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキル基、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のN−CH
2COO、N−CH
2COO
−M
+、またはN−CH
2CH
2COO
−M
+基を有し、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり、(2)m=p=0およびt=1であるとき、XとZは同時にメチル基ではない]。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、以下の一般構造を含む、農業用製剤の効率を向上させるのに有用な界面活性剤である
【0027】
【化7】
[式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;X’、Y’、およびZ’は、独立して、CH
3(メチル)、または1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のアミドオキシド基を有し、(2)p=0およびt=1であるとき、X’とZ’は同時にメチル基ではない]。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明は、以下の一般構造を含む、農業用製剤の効率を向上させるのに有用な界面活性剤である
【0029】
【化8】
[式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;Wは、H、CH
2COO、またはCH
2CH
2OHであり;R
1は、存在しないか、水素またはCH
3であり、R
1が水素またはCH
3であるとき、分子全体は各水素またはCH
3に対する対イオンとして塩化物イオンを有し;X、YおよびZ’’は、独立して、存在せず(または電子対)、H(水素)、CH
3(メチル)、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;Zは、H(水素)、C1〜C18の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキル基、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のN−CH
2COO、N−CH
2COO
−M
+、またはN−CH
2CH
2COO
−M
+基を有し、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり、(2)p=0およびt=1であるとき、XとZ’’は同時にアルキル基でもヒドロキシアルキル基でもない]。
【0030】
さらに別の実施形態において、本発明は、以下の一般構造を含む、農業用製剤の効率を向上させるのに有用な界面活性剤を含む
【0031】
【化9】
[式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;X’、Y’、およびZ’は、独立して、CH
3(メチル)、または1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のアミンオキシド基を有し;(2)p=0、およびt=1であるとき、X’とZ’は同時にC1〜C4アルキル基ではない]。
【0032】
本発明の他の実施形態は、除草剤、殺菌剤、または殺虫剤の1種または複数であり得る殺有害生物剤と組み合わされた窒素含有界面活性剤の少なくとも1種を含む製剤を含む。
【0033】
実施例1に関連する棒グラフを含む図面を25〜27頁に示し;実施例2に関連する棒グラフを含む図面を29〜30頁に示し;実施例3に関連する棒グラフを含む図面を31および32頁に示し;実施例4に関連する棒グラフを含む図面を33および34頁に示す。実施例5に関連する図面を35頁に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
単独で用いられるとき農業用製剤の効率を向上させ得る低毒性界面活性剤を有する必要性が存在する。1種の単一の界面活性剤が農業用製剤に向上した効率を付与する能力がより実用的である。なぜなら、界面活性剤は、単独で用いられるまたは相乗効果のために他の界面活性剤と共に用いられるという柔軟性を有するからである。
【0035】
N
+−CH
2COO
−、N
+−CH
2COOCH
3、N−CH
2COO
−M
+、N−CH
2CH
2COO
−M
+、またはアミンオキシド官能基を有する以下の窒素含有界面活性剤は、農薬の効率を向上させるのに有用である。以下の界面活性剤の1種または複数が農業用製剤に用いられ得る。
【0037】
【化10】
式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;A=C1〜C3の直鎖または分枝鎖アルキルであり;m=0〜10であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;R
1は、存在しないか、水素またはCH
3であり、R
1が水素またはCH
3であるとき、分子全体は各水素またはCH
3に対する対イオンとして塩化物イオンを有し;XおよびYは、独立して、存在せず(または電子対)、H(水素)、CH
3(メチル)、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またがCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;Zは、H(水素)、C1〜C18の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキル基、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のN−CH
2COO、N−CH
2COO
−M
+、またはN−CH
2CH
2COO
−M
+基を有し、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり、(2)m=p=0およびt=1であるとき、XとZは同時にメチル基ではない。
【0038】
ベタイン官能基の慣用の表示はN
+−CH
2COO
−であることに注目されたい。しかし、本明細書を通してベタイン構造において、窒素上の正電荷およびCH
2COO上の負電荷が省略されている。
【0039】
(II)
【化11】
式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;X’、Y’、およびZ’は、独立して、CH
3(メチル)、または1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のアミドオキシド基を有し、(2)p=0およびt=1であるとき、X’とZ’は同時にメチル基ではない。
【0040】
(III)
【化12】
式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;Wは、H、CH
2COO、またはCH
2CH
2OHであり;R
1は、存在しないか、水素またはCH
3であり、R
1が水素またはCH
3であるとき、分子全体は各水素またはCH
3に対する対イオンとして塩化物イオンを有し;X、YおよびZ’’は、独立して、存在せず(または電子対)、H(水素)、CH
3(メチル)、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;Zは、H(水素)、C1〜C18の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキル基、1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基、CH
2COO、CH
2COO
−M
+またはCH
2CH
2COO
−M
+であり、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のN−CH
2COO、N−CH
2COO
−M
+、またはN−CH
2CH
2COO
−M
+基を有し、ここで、Mは、H、Na、K、Li、NH4、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、またはジメチルアミドプロピルアミン(DMAPA)であり、(2)p=0およびt=1であるとき、XとZ’’は同時にアルキル基でもヒドロキシアルキル基でもない。
【0041】
(IV)
【化13】
式中、Rは、C6〜C22の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基であり;B=C2〜C6アルキルであり;p=0〜5であり;r=0〜1であり;t=0〜1であり;X’、Y’、およびZ’は、独立して、CH
3(メチル)、または1〜20個のアルコキシド単位を有するポリアルコキシド基であり;但し、(1)前記界面活性剤は、少なくとも1個のアミドオキシド基を有し、(2)p=0、およびt=1であるとき、X’とZ’は同時にC1〜C4アルキル基ではない。
【0042】
以下の構造(1)〜(6)は、本発明の好ましい構造である。R、X、Y、Z、M、p、m、rおよびtは、特定されていないとき、構造(I)と同様の定義を有する。
【0043】
(1)
【化14】
式中、p>0である。
【0047】
(5)
【化18】
式中、n=0〜100であり、n’=0〜100であり、n’’=0〜100であり、p=0およびv=0であるとき、n’およびn’’は同時に1となり得ない。
【0049】
以下の構造(a)〜(d)は、より好ましい界面活性剤のいくつかである。R、X、Y、Z、M、p、m、rおよびtは、具体的に言及されていないとき、構造(I)と同様の定義を有する。
【0050】
(a)
【化20】
式中、Rは、ラウリルまたはココである。
【0051】
(b)
【化21】
式中、Bは、エチレン、プロピレン、またはイソプロピレン基である。r=0〜1であり、t=0〜1であり、rおよびtは、両方が同時に0となり得ない。
【0052】
(c)
【化22】
式中、p=0〜2である。Bは、エチレン、プロピレン、またはイソプロピレン基である。n=1〜20であり、n’=1〜20であり、n’’=1〜20であり、r=0〜1であり、t=0〜1であり;但し、rとtは、両方が同時に0とはなり得ず、pとtは、両方が同時に0とはなり得ず、p=0であるとき、nおよびn’は同時に1となり得ず、前記界面活性剤は、エトキシ化ココアミンのベタインを含む。
【0053】
(d)
RR’−N−CH
2−CH
2−COO
−M
+
式中、Rは、タロウであり、R’はC8である。
【0054】
ある一定の好ましい実施形態において、上記界面活性剤は、C5〜C12(特に、C6〜C9)ジメチルアミドプロピルアミンと一緒に用いられる。
【0055】
本発明の一実施形態は、本発明の界面活性剤を含有する除草剤製剤である。好適な除草剤として、アセトクロール、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アラクロール、アメトリン、アミドスルフロン、アミノピラリド、アミトロール、アニロホス、アシュラム、アトラジン、アザフェニジン、アジムスルフロン、ベナゾリン、ベンフルラリン、ベンスルフロン−メチル、ベンタゾン、ビフェノックス、ビナラフォス、ビスピリバック−ナトリウム、ブロマシル、ブロモキシニル、ブタクロール、ブトロキシジム、カフェンストロール、カルベタミド、カルフェントラゾン−エチル、クロリダゾン、クロリムロン−エチル、クロルブロムロン、クロロトルロン、クロルスルフロン、シニドン−エチル、シノスルフロン、クレトジム、クロマゾン、クロピラリド、クロランスラム−メチル、クロルスルフロン、シアナジン、シクロエート、シクロスルファムロン、シクロキシジム、ダラポン、デスメジファム、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロルミド、ジクロスラム、ジフルフェニカン、ジメフロン、ジメピペエート、ジメタクロル、ジメテナミド、ジクワット、ジウロン、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エタメトスルフロン−メチル、エトフメセート、エトキシスルフロン、フェントラザミド、フラザスルフロン、フロラスラム、フルクロラリン、フルフェナセット、フルメツラム、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルピルスルフロン−メチル、フルロクロリドン、フルロキシピル、フルルタモン、ホメサフェン、ホラムスルフロン、グルホシネート、ヘキサジノン、イマザメタベンズ−m、イマザモックス、マザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、イオキシニル、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサフルトール、ラクトフェン、レナシル、リヌロン、メフェナセット、メソスルフロン−メチル、メソトリオン、メタミトロン、メタザクロル、メタベンズチアズロン、メトブロムロン、メトラクロル、メトスラム、メトキスロン、メトリブジン、メトスルフロン−メチル、モリネート、MSMA、ナプロパミド、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサスルフロン、オキシフルオルフェン、パラコート、ペンジメタリン、フェンメジファム、ピクロラム、プレチラクロール、プロホキシジム、プロメトリン、プロパニル、プロピソクロール、プロポキシカルバゾン、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラフルフェン−エチル、ピラゾスルフロン、ピリデート、ピリチオバック、キンクロラック、キンメラック、リムスルフロン、セトキシジム、シマジン、S−メトラクロル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホスルフロン、テブチウロン、テプラロキシジム、テルブチラジン、テルブトリン、チフェンスルフロン−メチル、チオベンカルブ、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリベヌロン−メチル、トリクロピル、トリフロキシスルフロン、トリフルラリン、トリフルスルフロン−メチル、トリトスルフロン、およびこれらの混合物および組合せが挙げられる。好ましい除草剤は、アセトクロール、アトラジン、ジカンバ、グルホシネート、パラコート、グリホセート、2,4−Dならびにこれらの混合物および組合せである。より好ましい除草剤は、2,4−D、アトラジン、ジカンバ、グリホセート、およびグルホシネートならびにこれらの混合物および組合せである。最も好ましい除草剤は、グリホセートである。除草剤は、酸であるとき、酸形態で用いられる場合があるが、除草剤は、アミン、リチウム、ナトリウム、アンモニウムまたはカリウムの群の少なくとも1つから選択される塩形態であることが好ましい。殺有害生物剤は、対イオンを特定することなく一般名として本文脈において出現するとき、本明細書全体にわたってその酸形態および塩形態の両方を意味することに注目されたい。
【0056】
好ましい除草剤は、グリホセート、ジカンバ、2,4−D、グルホシネート、およびアトラジンである。
【0057】
本発明の別の実施形態は、本発明の界面活性剤を含有する殺菌剤製剤である。好適な殺菌剤の例は、
アシベンゾラル−S−メチル、アルジモルフ、アミスルブロム、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノダニル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブピリメート、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、銅、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エジフェンホス、エネストロビン、エポキシコナゾール、エタコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチンアセテート、フェンチンクロリド、フェンチンヒドロキシド、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルモルフ、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホル、ホルペット、ホセチル−A1、フサライド、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イミザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、ヨードカルブ、イプコナゾール、イプロベンホス(IBP)、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソチアニル、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、ラミナリン、マンコゼブ、マンジプロパミド、マネブ、生物学的材料、メパニピリム、メプロニル、メプチルジノカップ、メタラキシル、メタラキシル−M、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、鉱油、有機油、ミクロブタニル、ナフチフィン、ヌアリモール、オクチリノン、オフレース、オリジン(origin)、オリサストロビン、オキサジキシル、オキソリニン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ホホラウス酸、および、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、炭酸水素カリウム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾホス、ピリベンカルブ、ピリブチカルブ、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン(PCNB)、塩、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン(TCNB)、テルビナフィン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、バリダマイシン、バリフェナル、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、およびゾキサミド、ならびにこれらの混合物および組合せである。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の界面活性剤を含有する殺虫剤製剤である。好適な殺虫剤の例は、ケロセンまたはホウ砂、植物類または天然有機化合物(ニコチン、ピレトリン、ストリキニーネおよびロテノン)、塩素化炭化水素(DDT、リンデン、クロルデン)、有機リン酸エステル(マラチオンおよびダイアジノン)、カルバミン酸エステル(カルバリルおよびプロポスクル)、燻蒸剤(ナフタレン)およびベンゼン(防虫剤)、合成ピレスロイド、ならびにこれらの混合物および組合せである。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の界面活性剤を含有する上記群から選択されるいずれかの除草剤、殺菌剤、および殺虫剤の混合物である。
【0060】
ココアンホアセテート、ラウリルアミンオキシド、ラウリルジエムチルベタイン、およびココジメチルアミドプロピルベタイン界面活性剤は、アルキルアミンエトキシレートと比較したとき、容易に生分解性であり、皮膚、眼、および水中生物に対して低刺激性であると考えられる。これらは、新生児用の目を痛める成分が入っていないシャンプーにおいて広く用いられている。本発明の構造を有する界面活性剤もまた、低刺激性となり得ることが予想される。
【0061】
本発明の界面活性剤は、タンク混合添加剤として用いられても、容器入り製剤において製剤化されてもよい。これらは、固体殺有害生物剤製剤において、特に、液体殺有害生物剤製剤において好適である。
【0062】
他の添加剤が、本発明の界面活性剤を含有する製剤に存在してよい。これらは、消泡剤、希釈剤、相溶化剤、殺生物剤、増粘剤、ドリフト制御剤、染料、香料、およびキレート剤である。相溶化剤の使用は、本発明の窒素含有界面活性剤が、濃縮された殺有害生物剤製剤にあまり相溶性でないとき、特に重要である。相溶化剤を用いるとき、相溶化剤が、殺有害生物剤の効率も向上させ得る界面活性剤であることが有利である。かかる好ましい相溶化剤の1つは、C6〜C12ジメチアミドプロピルアミンである。
【0063】
多くの他の従来技術の界面活性剤とは違って、本発明の界面活性剤のいくつかは、濃縮された水性グリホセート系において相溶化剤からの何の助けもなしに優れた相溶性を示した。
【0064】
容器入り殺有害生物剤製剤における本発明の界面活性剤の使用濃度は、%活性基準で約0.005%〜約20%、好ましくは約0.05〜約15%、より好ましくは約0.5〜約10%であってよい。タンク混合殺有害生物剤スプレー溶液における本発明の界面活性剤の使用濃度は、(界面活性剤の%活性基準において)約0.001%〜約5%、好ましくは約0.01〜約2%、より好ましくは約0.1〜約1%であってよい。
【0065】
本発明の界面活性剤はまた、他の界面活性剤、例えば、アルキルアミンアルコキシレートおよびこれらの第四級陰イオン界面活性剤、例えば、アルコールおよびアルコキシ化アルコールからの硫酸塩およびスルホン酸塩、リン酸エステルおよびエトキシ化リン酸エステル、非イオン界面活性剤、例えば、アルコールアルコキシレートおよびアルキル(C6〜C18)ポリグルコシド;ならびにシリコーン界面活性剤と共に用いられてもよい。
【0066】
本発明に含まれる先に言及したあらゆる界面活性剤の主な利点は、界面活性剤が製剤において使用される唯一の界面活性剤であり得ることが理解される。
【0067】
本発明の界面活性剤と1種または複数の他の界面活性剤との間の相乗作用が存在する場合もあり得、該作用によって、界面活性剤の組合せを単独で用いられるときのいずれの界面活性剤よりもさらに有効にする。
【0068】
他の界面活性剤が本発明の界面活性剤と共に用いられる場合、界面活性剤の混合物が低水生毒性および低刺激プロファイルを有することが有利である。本発明の低水生毒性および低刺激プロファイルを有する界面活性剤を製剤に使用することで、水生毒性および刺激プロファイルの点であまり好ましくない界面活性剤がブレンドにおいて用いられるときでも、効率を多かれ少なかれ同じに保ちながらブレンドの全毒性を低減することができる。
【0069】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに示し説明するために提示される。
【実施例1】
【0070】
種々の界面活性剤を有する5種のグリホセートサンプルを温室設定においてアサガオ(IPOHE、広葉週)および小麦(TRIAV、細葉草)にスプレーした。界面活性剤を表1に表記する。
【0071】
【表1】
【0072】
スプレー溶液のグリホセートの量は、186、372、および743g ae/ha(1ヘクタール当たりのグラム酸当量)であった。グリホセート対界面活性剤比を、6.7の比を有するサンプルB(ココジアミントリメチルベタイン)を除いて3:1で固定した。比が高いほど、界面活性剤濃度がより低いことを意味する。6.7の比は、サンプルが、同じグリホセート濃度において、3の比を有するサンプルよりも2.2倍少ない界面活性剤を有することを意味する。
【0073】
サンプルEは、界面活性剤が添加されておらずグリホセートのみを含有したため、ネガティブ対照として機能した。サンプルCは、タロウアミン−15EOが、グリホセート効率を向上させる優れた界面活性剤であることが周知であるため、ポジティブ対照として機能した。
【0074】
%対照の評定を、処理の7、14、21、および29日後(DAT)に熟練者によって行った。また、評定時に電子写真も撮影した。各%対照値は、4つの複製の平均であった。
【0075】
サンプルAのラウリルイミノジプロピオン酸モノナトリウムは、以下の名目的な構造を有し、この構造は、アルキルアミンをアクリル酸と反応させ、次いで塩基(NaOH)によって中和することによって得ることができる。
【0076】
【化23】
【0077】
サンプルBのココジアミントリメチルベタインは、以下の名目的な構造を有し、この構造は、N,N’N’−トリメチルココジアミンをモノクロロ酢酸ナトリウム(SMCA)と反応させることによって得ることができる
【0078】
【化24】
式中、R=ココである。
【0079】
ココジアミントリメチルベタインは、以下の結果において示唆されるように、非常に低い使用量であってもグリホセートに関して良好な補助剤活性を示し、また、グリホセート活性も促進させた。
【0080】
結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
結果を以下のグラフにプロットする。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】
上記の結果から、所与の植物、所与のグリホセート対界面活性剤比および所与のグリホセート量に関して、グリホセートのみのときと少なくとも同等の高さの%対照を有する本発明の実施形態が存在することが分かる。
【実施例2】
【0090】
3種の濃縮されたグリホセートサンプルを検討した。これらのサンプルを表3に示す。
【0091】
【表9】
【0092】
濃縮されたグリホセートサンプルを、スプレー溶液の最終グリホセート量が489および978g ae/Hとなるように、2種のグリホセート量に希釈し、温室においてスプレーした。2種の量のサンプル3つは、アサガオ(IPOHE、広葉週)および冬小麦(TRZAW、細葉草)の2種それぞれにスプレーした6回の処理に相当する。2種の量、978g ae/H、および489g ae/haにおける16〜30で使用した。
【0093】
グリホセート対界面活性剤比を、13:1の比を有するサンプルC(タロウトリメチルジベタイン)を除いて3:1に固定した。比が高いほど、界面活性剤濃度がより低いことを意味する。13:1の比は、サンプルが、同じグリホセート濃度において、3:1の比を有するサンプルよりも4.3倍少ない界面活性剤を有することを意味する。
【0094】
サンプルA(タロウアミン−15EOが添加されたグリホセート)は、ポジティブ対照として機能した。界面活性剤が添加されていないグリホセートのみを含有するサンプルBは、ネガティブ対照として機能した。
【0095】
サンプルCのタロウジアミントリメチルジベタインは、(いくらかのNaClを有する)水中において30%活性材料であった。その名目的な構造を以下に示す:
【0096】
【化25】
【0097】
以下のグラフは、28DATにおける%対照を示す。
【0098】
【表10】
【0099】
【表11】
【0100】
タロウジアミントリメチルジベタインが、非常に低い量においてもグリホセートの生物学的効率を向上させたことが分かる。
【実施例3】
【0101】
オレイルアンホポリカルボキシグリシネート(oleylamphopolycarboxy glycinate)(Na塩)を含有するグリホセート製剤を、%対照の点から、タロウアミン−10EOを含有するグリホセート製剤(ポジティブ対照として)およびグリホセートのみと、温室試験において比較した。3種のグリホセート量、930g ae/ha、465gae/ha、および233g ae/haを用いた。
【0102】
オレイルアンホポリカルボキシグリシネート(oleylamphopolycarboxy glycinate)(30%活性、10%NaCl、60%H2O)における名目的な構造を以下に示す
【0103】
【化26】
【0104】
結果を以下の図にプロットする。
【0105】
【表12】
【0106】
【表13】
【0107】
このデータは、オレイルアンホポリカルボキシグリシネート(oleylamphopolycarboxy glycinate)(Na塩)が、界面活性剤を有さないグリホセート製剤と比較したとき、グリホセートの効率を向上させたことを示した。
【実施例4】
【0108】
5種の濃縮されたグリホセートサンプルを検討した。これらのサンプルを表4に示す。
【0109】
【表14】
【0110】
3種のグリホセート量での28DATデータを以下の図にプロットする。
【0111】
Armoteric CL8の名目的な構造を以下に示す。これは、ココ−NH−C8をアクリル酸と反応させ、次いでNaOHによって中和することによって得ることができる。
【0112】
【化27】
【0113】
ラウリルイミノジプロピオン酸モノナトリウムおよびタロウジアミントリメチルジベタインの名目的な構造は、それぞれ実施例1および2において見出され得る。
【0114】
【表15】
【0115】
【表16】
【実施例5】
【0116】
ココアミン−6EOベタインを、同じ試験において、グリホセート製剤中、ポジティブ対照としてのタロウアミン−15EOおよびネガティブ対照としての界面活性剤不含サンプルと比較した。グリホセート対界面活性剤比は3:1であった。
【0117】
エトキシ化ココアミン(6EO)ベタインにおける名目的な構造を以下に示す
【化28】
【0118】
結果から、168g ae/haの量において、ココアミン−6EOベタインを含有するグリホセート製剤およびタロウアミン−15EOを含有するグリホセート製剤の両方が、小麦に対して優れた制御を付与する一方で、界面活性剤を有さないグリホセートサンプルがあまり制御を付与しないことが示された。このことは、21DATにおいて撮影した以下の写真から分かる。
【0119】
【表17】
【実施例6】
【0120】
この実施例は、高投入量のグリホセート(アンモニウムおよびカリウム塩)製剤における、従来技術の界面活性剤に対する本発明の界面活性剤の利点を示す。検討したサンプルおよび結果を以下の表に示す。
【0121】
【表18】
【0122】
ココアンホポリカルボキシグリシネート(cocoamphopolycarboxyglycinate)の化学構造を以下に示す
【化29】
ココイミノプロピオネート:
【化30】
【0123】
C12イミノジプロピオン酸モノナトリウム:
【化31】
【0124】
#1〜#5は本発明を表し、#6〜#8は従来技術を表す。曇った外観は、相溶性の欠失を示唆している。
【実施例7】
【0125】
この実施例は、本発明の非相溶性の界面活性剤が、少量の相溶化剤、C6〜C9ジメチルアミドプロピルアミンの添加により相溶性となり得ることを示す。検討したサンプルおよび結果を以下の表に示す。
【0126】
【表19】
【0127】
この実施例において、Deriphat 160C(登録商標)(Cognis Co.製、水中30%のラウリルイミノジプロピオン酸モノナトリウム)は、Deriphat 160Cの濃度が0.38%より高いとき、29.6%のK−グリホセート(水)に溶解することができなかった(表中の#1)。0.37%のC6〜9ジメチルアミドプロピルアミンの添加により、曇った製剤が透明な溶液となった(#2)。#3は、pH効果が、K−グリホセート製剤への不溶性種の溶解の主な理由ではないことを示した。#1における界面活性剤のこの濃度は、あまりに低すぎて、グリホセートの効率に何ら利益を与えなかった。界面活性剤がグリホセートの効率に一貫した利益を与えるには、界面活性剤濃度が、典型的には約7%超でなければならない。しかし、2%のC6〜C9ジメチアミドプロピルアミンを相溶化剤として添加したときには、24.3%超のDeriphatを29.6%のK−グリホセート(水)に溶解することができた(#4)。