(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肥料袋の肥料流出口からホッパ本体の開口部へ肥料が流出可能となる位置まで上昇回動される動作に連動して、ホッパ本体の開口部が開閉蓋体により一部だけ開蓋された状態において、
開閉蓋体は、平面視にてホッパ本体の開口部の全面を閉塞するように形成したことを特徴とする請求項1記載の施肥機。
ホッパ本体の側壁に支持体の上端縁部を水平な軸線廻りに回動自在に取り付けて、支持体の側縁中途部に突設したアーム片と開閉蓋体の自由端側部に突設したアーム片との間に連動リンクを介設して、支持体の上昇回動動作に、開閉蓋体の回動開蓋動作を連動させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の施肥機。
開閉蓋体の自由端縁部に沿わせて切断案内体を設けるとともに、切断案内体に沿って切断工具を摺動させることで肥料袋に肥料流出口が切欠開口されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の施肥機。
ホッパ本体の開口部へ肥料を流出可能となる位置まで支持体を介して肥料袋が上昇回動された際に、肥料袋の肥料流出口は肥料袋の最下位置に配置されるようにしたことを特徴とする請求項4項記載の施肥機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1,2では、比較的重量物である肥料袋を左右方向に移動自在に載置することができる補助手段としての肥料載台や運転席を設けているため、肥料の補給作業が楽に行えるが、かかる肥料補給作業時には開閉蓋体を全開蓋させて、ホッパ本体の上面開口部を大きく開放しておく必要性がある。すなわち、特許文献1では、上面開口部が開口されたホッパ本体の直上方位置にて肥料載台を左右方向に移動させるために、ホッパ本体の上面開口部を大きく開放しておく必要性がある。また、特許文献2では、作業者が肥料袋の切欠開口部を保持しながら開閉蓋体を必要量だけ開蓋状態に支持しなければならないという煩雑さがあるので、ホッパ本体の上面開口部を大きく開放しておく必要性がある。その結果、開閉蓋体を全開蓋させておく必要性のある特許文献1,2では、雨天時にはホッパ本体内に雨が入って肥料が濡れるという不具合がある。
【0007】
また、特許文献3では、開閉蓋体を必要最小限である一部だけ開蓋させておくものであるが、一部とはいえ開閉蓋体を予め開蓋させておく必要性があるため、この場合も、雨天時にはホッパ本体内に雨が入って肥料が濡れるという不具合がある。
【0008】
そこで、本発明は、肥料の補給に必要最小限の開蓋量だけ開閉蓋体を補給直前に開蓋させて補給することで、肥料が雨に濡れ難いようにした施肥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る施肥機は、後方に植付装置を連結した走行装置に施肥ホッパを具備する施肥装置を載設した施肥機であって、施肥ホッパはホッパ本体にその上面の開口部を
開閉する開閉蓋体を回動自在に取り付けて形成するとともに、施肥ホッパの近傍には肥料袋を支持する支持体を配設し、肥料袋には肥料流出口を開口させて、肥料流出口からホッパ本体の開口部へ肥料を流出可能となる位置まで支持体を介して肥料袋が上昇回動される動作に、開閉蓋体が回動されて開蓋される動作を連動させたことを特徴とする。
【0010】
かかる施肥機では、肥料流出口からホッパ本体の開口部へ肥料を流出可能となる位置まで支持体を介して肥料袋を上昇回動させると、それに連動して開閉蓋体が回動されて開蓋される。つまり、開閉蓋体を補給直前に開蓋させて、ホッパ本体内に肥料を補給することができる。その結果、肥料補給時において、肥料袋から放出される肥料ないしはホッパ本体内に補給された肥料が雨に濡れ難いようにすることができる。しかも、肥料袋は支持体に支持されているため、楽に肥料の補給作業を行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明に係る施肥機は、請求項1記載の発明に係る施肥機であって、肥料袋の肥料流出口からホッパ本体の開口部へ肥料が流出可能となる位置まで上昇回動される動作に連動して、ホッパ本体の開口部が開閉蓋体により一部だけ開蓋された状態において、開閉蓋体は、平面視にてホッパ本体の開口部の全面を閉塞するように形成したことを特徴とする。
【0012】
かかる施肥機では、ホッパ本体の開口部が開閉蓋体により一部だけ開蓋された状態において、開閉蓋体が平面視にてホッパ本体の開口部の全面を閉塞するように形成されているため、肥料補給時において、肥料袋から放出される肥料ないしはホッパ本体内に補給された肥料がより一層雨に濡れ難いようにすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明に係る施肥機は、請求項1又は2記載の発明に係る施肥機であって、ホッパ本体の側壁に支持体の上端縁部を水平な軸線廻りに回動自在に取り付けて、支持体の側縁中途部と開閉蓋体の自由端側部に突設した支持アームとの間に連動リンクを介設して、支持体の上昇回動動作に、開閉蓋体の回動開蓋動作を連動させるようにしたことを特徴とする。
【0014】
かかる施肥機では、支持体の上昇回動動作に、連動リンクを介して、開閉蓋体の回動開蓋動作を連動させることができるため、支持体を上昇回動させるだけで、それに伴って開蓋されたホッパ本体内に堅実に肥料を補給することができ、肥料の補給作業能率を向上させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明に係る施肥機は、請求項1〜3のいずれか1項記載の発明に係る施肥機であって、開閉蓋体の自由端縁部に沿わせて切断案内体を設けるとともに、切断案内体に沿って切断工具を摺動させることで肥料袋に肥料流出口が切欠開口されるようにしたことを特徴とする。
【0016】
かかる施肥機では、切断案内体に沿って切断工具を摺動させるだけで、肥料袋に肥料流出口を簡単かつ堅実に切欠開口することができるため、この点からも、肥料の補給作業能率を向上させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明に係る施肥機は、請求項4項記載の発明に係る施肥機であって、ホッパ本体の開口部へ肥料を流出可能となる位置まで支持体を介して肥料袋が上昇回動された際に、肥料袋の肥料流出口は肥料袋の最下位置に配置されるようにしたことを特徴とする。
【0018】
かかる施肥機では、ホッパ本体の開口部へ肥料を流出可能となる位置まで支持体を介して肥料袋が上昇回動された際に、肥料袋の肥料流出口が肥料袋の最下位置に配置されるようにしているため、肥料流出口の周辺に肥料が残留するのを防止することができる。そのため、肥料袋内の残留肥料を掻き出す等の煩雑な手間を解消することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、開閉蓋体を補給直前に開蓋させて補給することで、肥料が雨に濡れ難いようにすることができる。しかも、肥料袋は支持体に支持されているため、楽に肥料の補給作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すAは、施肥機の一形態として、本発明に係る施肥装置Mを装備する乗用田植機である。以下に、乗用田植機Aを説明した後に、本発明に係る施肥装置Mについて詳説する。
【0022】
[乗用田植機A]
乗用田植機Aは、
図1に示すように、牽引車としての走行装置1の後方に昇降機構2を介して植付装置3を昇降自在に取り付けている。そして、かかる乗用田植機Aは、複数(本実施形態では6条)の植付作業を行うことができるようにしている。
【0023】
〔走行装置1〕
走行装置1は、
図1に示すように、下部体11に上部体12を載設して構成している。そして、下部体11は、ミッションケース16の左右側壁前部よりそれぞれ外側方へフロントアクスルケース17,17を延設し、各フロントアクスルケース17,17の外側端部に前車軸18,18を介して左右一対の前車輪19,19を取り付ける一方、リヤアクスルケース20の左右外側端部に後車軸21,21を介して左右一対の後車輪22,22を取り付けて、上記ミッションケース16の後部とリヤアクスルケース20の中央部との間に、前後方向に伸延する連結フレーム23を横架状に架設して形成している。ここで、連結フレーム23は、断面四角形状でかつ前後方向に直状に伸延するパイプ状となして、連結フレーム23上にはエンジン15等からなる原動機部を搭載している。
【0024】
また、エンジン15の左側前部から外側方へ突設した出力軸26と、ミッションケース16の左側後部から外側方へ突設した入力軸27との間には、プーリー28,29を介して伝動ベルト30を巻回している。
【0025】
ミッションケース16の後部とリヤアクスルケース20の右側前部との間には前後方向に伸延する伝動シャフト(図示せず)を介設している。
図1に示す34は植付装置3に動力を出力する第2動力取出軸である。
図3に示す36は施肥装置Mに動力を伝達する第1動力取出軸である。
【0026】
このように構成して、エンジン15→出力軸26→プーリー28→伝動ベルト30→プーリー29→入力軸27→ミッションケース16に動力を伝達する。そして、ミッションケース16→フロントアクスルケース17,17→前車軸18,18→左右一対の前車輪19,19に動力を伝達するとともに、ミッションケース16→伝動シャフト→リヤアクスルケース20→後車軸21,21→左右一対の後車輪22,22に動力を伝達する。また、施肥装置Mには第1動力取出軸36(
図3参照)を介してエンジン15から動力を伝達する。また、植付装置3には第2動力取出軸34を介してエンジン15から動力を伝達する。
【0027】
上部体12は、
図1に示すように、前記した下部体11上に車体カバー体42を被覆状に張設している。そして、車体カバー体42の前部にはハンドルコラム45を立設し、ハンドルコラム45の上端面部にハンドル46を取り付けている。ハンドル46の後方には座席47を載置している。そして、座席47は座部47aと背もたれ部47bとから形成し、車体カバー体42の中途部に枢支ブラケット48を介して座部47aの下面前端部を枢支している。車体カバー体42の後部には施肥装置Mを座席47の直後方に位置させて配設している。
【0028】
このように構成して、座席47は、枢支ブラケット48の枢支部を中心に前後方向に回動させることで、オペレータが着座可能な使用姿勢(
図1に実線で示す)と、オペレータが着座不可能な不使用姿勢(
図1に想像線で示す)とに姿勢変更自在としている。そして、座席47を不使用姿勢に姿勢変更することで、施肥装置Mの直前方を広く開放して、後述する施肥装置Mの施肥ホッパ76への補給作業がスムーズに行えるようにしている。
〔植付装置3〕
植付装置3は、
図1に示すように、植付ミッションケース50から植付センターケース51を後方へ向けて延設している。そして、植付ミッションケース50の左右側部には、それぞれ左右方向へ伸延する筒状の連結ケース52,52を介して、前後方向に伸延する植付サイドケース53,53の前部を連結している。植付センターケース51と植付サイドケース53,53は左右方向に一定の間隔を開けて並列状に配置し、植付センターケース51の前部と各植付サイドケース53,53の前部との間には連動シャフト54,54を介設して、これらケース51,53,53を連動連結している。各ケース51,53,53の左右側後部には左右一対のロータリケース(図示せず)を介して植付爪(図示せず)を取り付けている。これらケース51,53,53上には、苗載台支持フレーム57を介して、苗載台58を前高後低の傾斜姿勢にて左右方向に往復横摺動自在に支持している。そして、苗載台58の前面側(下面側)には苗載台58を往復横摺動(横送り)させる横送り機構59を配設して、同横送り機構59に苗載台58を連動連結している。苗載台58上には6条分の苗マットを載置可能としている。植付ミッションケース50には、入力軸55を前方へ向けて突設している。そして、前記した走行装置1に設けた第2動力取出軸34に、植付伝動シャフト60を介して、上記入力軸55を着脱自在に連動連結している。植付センターケース51の下方にはセンターフロート61を配置し、各植付サイドケース53,53の下方にはそれぞれサイドフロート62,62を配置している。
〔昇降機構2〕
昇降機構2は昇降リンク63と昇降シリンダ(図示せず)とローリングシリンダ(図示せず)を具備している。このようにして、昇降機構2により走行装置1の後方に植付装置3を前後方向の軸線廻りにローリング自在かつ昇降自在に連結している。
【0029】
上記のように構成した乗用田植機Aでは、圃場内を走行しながら6条分の苗の植え付け作業を行うことができる。
[施肥装置M]
施肥装置Mは、
図1に示すように、座席47の直後方に位置させて、車体カバー体42の後部に配設している。そして、施肥装置Mは、
図2及び
図3にも示すように、一方向(本実施形態では左右方向)に伸延する支持フレーム部70にその伸延方向に沿わせて複数(本実施形態では6個)の繰り出し部72を取り付け、各繰り出し部72の上端開口部には複数(本実施形態では6個)のホッパ本体73をそれぞれ連通連設する一方、各繰り出し部72の下端開口部には複数(本実施形態では6個)の施肥ホース部74をそれぞれ連通連結している。また、左側半部側の3個のホッパ本体73は左右方向に一体的に連結して、3個のホッパ本体73の各上面の開口部77を単一の左側の開閉蓋体75により
開閉して左側の施肥ホッパ76を形成している。一方、右側半部側の3個のホッパ本体73は左右方向に一体的に連結して、3個のホッパ本体73の各上面の開口部77を単一の右側の開閉蓋体75により開閉蓋して右側の施肥ホッパ76を形成している。
【0030】
支持フレーム部70は、左右一対の板状の取付体81,81を対面させて配置し、両取付体81,81の上前後部間に左右方向に直状に伸延する前後一対の上部フレーム形成体82,83を横架するとともに、両取付体81,81の下部間に左右方向に直状に伸延する下部フレーム形成体84を横架して枠組形成している。85は補強体である。また、両取付体81,81の下部間には、左右方向に直状に伸延する円管状の圧送風ダクト86を横架して配設している。圧送風ダクト86の左側端部には図示しない圧送風供給部を取り付けている。
【0031】
かかる支持フレーム部70に左右方向に隣接状態に支持された複数(本実施形態では6個)の繰り出し部72には、左右方向に伸延する繰り出し軸87を貫通状態に横架して、繰り出し軸87に各繰り出し部72内に配設した繰り出し機構(図示せず)を連動連結している。繰り出し軸87の中央部にはギヤケース88を介して第1動力取出軸36の上端部(終端部)を連動連結している。
【0032】
このように構成して、施肥装置Mでは、各繰り出し機構によりホッパ本体73内に収容された粒状の肥料を施肥ホース部74へ一定量ずつ繰り出すようにしている。そして、施肥ホース部74の基部に間欠的に繰り出された肥料には圧送風供給部により圧送風ダクト86を通して圧送風が圧送されて、肥料が施肥ホース部74を通して各苗植付条に植設された苗の近傍位置に施肥されるようにしている。
【0033】
上記のように構成した施肥装置Mにおいて、
図5に示すように、施肥ホッパ76の近傍に肥料袋Fを支持する支持体100を反転回動自在に配設している。そして、肥料袋Fには肥料流出口fを開口させて、肥料流出口fからホッパ本体73の開口部77へ肥料Hを流出可能となる位置まで支持体100を介して肥料袋Fが上昇回動される動作に、開閉蓋体75が回動されて開蓋される動作を連動させて、一部だけ開蓋されたホッパ本体73の開口部77に肥料流出口fが指向するようにしている。以下に、かかる構成を具体的に説明する。
【0034】
ホッパ本体73は、上下面が開口する四角形筒状に形成した上部形成体90と、上部形成体90の下端縁部にから下方へ漸次縮径させて漏斗状に形成した下部形成体91とから形成している。そして、3個のホッパ本体73の上部形成体90の側壁同士を左右幅方向に面接触させた状態で連設している。また、3個のホッパ本体73の上面の開口部を開閉蓋する単一の開閉蓋体75は、
図2〜
図4に示すように、左右方向に横長で扁平なキャップ状に形成しており、3個の各ホッパ本体73の後壁上部に蝶番等の枢支体92を介して後縁部75aを
開閉(回動)自在に枢支連結している。そして、開閉蓋体75の前縁部はホッパ本体73の前壁よりも一定幅W(
図4参照)だけ前方へ延設して庇部75bを形成している。このように一定幅Wだけ前方へ延設して形成した庇部75bの先端縁部とホッパ本体73の前壁上端縁部とは、
図5に示す仮想同一垂直面Kに配置された場合において、開閉蓋体75が、平面視にてホッパ本体73の開口部77の全面を閉塞するように形成している。ホッパ本体73と開閉蓋体75は、軽量かつ硬質材料で剛性の高い合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)で成形して、支持体100を堅実に保持する強度部材としても機能するようにしている。次に、支持体100の構成について説明する。
【0035】
〔支持体100の構成の説明〕
支持体100は、肥料Hを収容した肥料袋Fを載置可能に形成して、左右側の施肥ホッパ76,76にそれぞれ一つずつ取り付けるとともに、各支持体100,100は垂下姿勢と反転姿勢との間で姿勢変更可能としている。
【0036】
すなわち、支持体100は、
図2〜
図4に示すように、四角形板状の第1支持片101の先端縁部に、蝶番等の枢支片103を介して四角形板状の第2支持片102の基端縁部を枢支連結している。そして、第2支持片102は、第1支持片101に重合状態に折り畳んだ収納(不使用)姿勢(
図2に想像線で示す)と、第2支持片102を第1支持片101から略直角に張り出した状態に展開した使用姿勢(
図2に実線で示す)とに姿勢変更可能としている。104は第2支持片102を使用姿勢に保持する保持片である。
【0037】
第1支持片101は、左右幅が3個分のホッパ本体73の左右幅よりもやや幅狭で、上下幅がホッパ本体73の上端縁の位置から施肥ホース部74の下端部の位置までの縦幅よりもやや幅狭の四角形板状に形成して、第1支持片101の載置面内に肥料袋Fを横長状態に配置可能としている。
【0038】
第2支持片102は、第1支持片101と左右幅が同一で、縦幅が略半分の四角形板状に形成して、第2支持片102の載置面内に肥料袋Fの端面を配置可能としている。
【0039】
第1支持片101の右側端縁部の中途部には保持ベルト105の基端部を連結し、第1支持片101の左側端縁部の中途部に設けた係止片106に、保持ベルト105の先端部に複数個形成した係止孔107の内の一つを適宜着脱自在に係止している。つまり、保持ベルト105は、第1支持片101の左右側端縁部間において、収納(不使用)姿勢となした第2支持片102の上端部位置にて横架状に架け渡し可能となしている。
【0040】
したがって、使用姿勢となした第2支持片102上に肥料袋Fを横長状の横向きに載置し、同状態にて保持ベルト105を肥料袋Fの中途部に架け渡すことで、肥料袋Fを支持体100に保持させることができるとともに、肥料袋Fが内部に収容している粒状の肥料Hの流動性により下膨れ状に変形するのを防止して、肥料袋Fを所定の形状に保持させることができる。また、収納(不使用)姿勢となした第2支持片102の上端部位置に保持ベルト105を横架状に架け渡すことで、第2支持片102を収納(不使用)姿勢に保持させることができる。
【0041】
施肥ホッパ76を形成する左側のホッパ本体73の前壁の左側上部に、左側枢支突片110を前方へ向けて突設するとともに、右側のホッパ本体73の前壁の右側上部に、右側枢支突片111を前方へ向けて突設している。両枢支突片110,111の先端部間には第1支持片101の基端縁部を配置するとともに、左右方向に伸延する枢軸112を介して両枢支突片110,111間に第1支持片101の基端縁部を枢支している。
【0042】
開閉蓋体75に形成した庇部75bの左右側端面部の前部には、左右一対の蓋側アーム片113,113を前方へ向けて突設している。一方、第1支持片101の左右側端縁部の中途部には、左右一対の支持片側アーム片114,114をそれぞれ外側方へ向けて突設している。そして、枢支連結ピン116を介して蓋側アーム片113の先端部と上下方向に伸延する連動リンク115の上端部を枢支連結するとともに、支持片側アーム片114の先端部と連動リンク115の下端部を枢支連結して、支持体100の上昇回動動作に、開閉蓋体75の回動開蓋動作を連動させるようにしている。したがって、支持体100を上昇回動させるだけで、それに伴って開蓋されたホッパ本体73内に堅実に肥料Hを補給することができて、肥料Hの補給作業能率を向上させることができる。
【0043】
庇部75bの前端縁部には、それに沿わせて切断案内体120を前方へ突出状に設けている。切断案内体120は、3個分のホッパ本体73の左右幅と略同一横幅を有する平面視門型に形成して、庇部75bの前端縁面と切断案内体120の内周面とで左右方向に伸延する細幅の切断工具挿入孔121を形成している。
【0044】
このように構成して、切断工具挿入孔121中にカッター等の切断工具(図示せず)を上方から挿入して、切断案内体120に沿って切断工具を摺動させることで、支持体100上に載置された肥料袋Fの上端面に左右方向に直状の肥料流出口fを整然と切欠開口することができる。この際、肥料流出口fは、
図5に示すように、ホッパ本体73の開口部77へ肥料Hを流出可能となる位置まで支持体100を介して肥料袋Fが上昇回動された位置において、肥料袋Fの最下位置に配置されるようにしている。つまり、第1支持片101に対面している肥料袋Fの後面部の上端縁部に肥料流出口fが形成されるようにして、肥料流出口fの周縁部に肥料Hが残留しないようにしている。
【0045】
また、
図5に示すように、第1支持片101とホッパ本体73との間には肥料案内シート122を配置している。すなわち、肥料案内シート122は、弾性素材により各ホッパ本体73の開口部77の左右幅と略同一の左右幅を有する四角形シート状に形成して、第1支持片101の前面上部に左右方向に3枚の肥料案内シート122の前端縁部を並列状態に取り付けている。そして、各肥料案内シート122の後半部を各ホッパ本体73の前壁内面に沿わせそれらの内部に垂下させて配置している。このように構成して、肥料袋Fの肥料流出口fから流出される肥料Hが肥料案内シート122の上面を滑動して堅実に開口部77からホッパ本体73内に補給されるようにしている。つまり、第1支持片101とホッパ本体73との間に生じている隙間を肥料案内シート122により上方から被覆することで、肥料袋Fの肥料流出口fから流出された肥料Hがその隙間からホッパ本体73の外に漏出するのを防止している。
【0046】
本実施形態は上記のように構成しているものであり、次に、
図6を参照しながら施肥ホッパ76への肥料Hの補給作業を説明する。ここで、座席47は、予め枢支部を中心に前方へ回動させて、オペレータが着座不可能な不使用姿勢(
図1に想像線で示す)に姿勢変更することで、施肥装置Mの直前方を広く開放して、施肥装置Mの施肥ホッパ76への補給作業がスムーズに行えるようにしておく。
【0047】
(1)
図6(a)に示すように、支持体100の第1支持片101が下方へ垂下された位置において、保持ベルト105の架け渡し状態を解除するとともに、第2支持片102を収納姿勢から使用姿勢に姿勢変更する。続いて、第2支持片102上に肥料袋Fを横長状の横向きに載置するとともに、保持ベルト105を架け渡して支持体100に肥料袋Fを保持する。かかる状態において、切断工具挿入孔121中にカッター等の切断工具を上方から挿入し、切断工具挿入孔121中の一側端から他側端に向けて、切断案内体120に沿って切断工具を摺動させることで、支持体100上に載置された肥料袋Fの上端面に左右方向に直状の肥料流出口fを切欠開口する。この際、肥料流出口fは、肥料袋Fに簡単かつ堅実に切欠開口することができるため、この点からも、肥料Hの補給作業能率を向上させることができる。また、肥料袋Fの肥料流出口fは、肥料袋Fの最下位置に配置されているため、肥料流出口fの周辺に肥料Hが残留するのを防止することができる。そのため、肥料袋F内の残留肥料を掻き出す等の煩雑な手間を解消することができる。
【0048】
(2)
図6(b)に示すように、支持体100の基端縁部を中心に、その先端縁部を上方へ持ち上げる。この際、支持体100が上方へ持ち上げられるにしたがって、連動リンク115を介して開閉蓋体75の庇部75bが上方へ押し上げられて、開閉蓋体75が徐々に開蓋される。つまり、支持体100を持ち上げ量に、開閉蓋体75の開蓋量が比例する。
【0049】
(3)
図6(c)に示すように、支持体100の上方への持ち上げ動作に連動して開閉蓋体75が回動されて一部だけ開蓋されるとともに、ホッパ本体73の開口部77に肥料流出口fを指向させることができる。そして、支持体100上に載置された肥料袋Fの肥料流出口fから肥料Hが自然に流動を開始して流下する位置において、肥料袋Fの上面に開閉蓋体75の庇部75bの先端縁部が位置し、かかる庇部75bの先端縁部がホッパ本体73の前壁上端縁部の直上方に位置する。つまり、庇部75bの先端縁部とホッパ本体73の前壁上端縁部とが仮想同一垂直面Kに配置されて、開閉蓋体75が、平面視にてホッパ本体73の開口部77の全面を閉塞する。
【0050】
このように、肥料Hの補給に必要最小限の開蓋量だけ開閉蓋体75を補給直前に開蓋させて、ホッパ本体73内に肥料Hを補給することができるため、雨天時には、肥料袋Fから放出される肥料Hないしはホッパ本体73内に補給された肥料Hが雨に濡れ難い。しかも、肥料袋Fは支持体100に支持されているため、楽に肥料Hの補給作業を行うことができる。
【0051】
(4)
図6(d)に示すように、晴天時には、雨天時の場合よりも支持体100を大きく上方へ跳ね上げることで、ホッパ本体73内に肥料Hを迅速に補給することができる。
【0052】
[支持体を支持する構造の他実施形態の説明]
次に、
図7〜
図9を参照しながら支持体100を支持する構造の他実施形態について説明する。
【0053】
すなわち、本他実施形態では、
図7〜
図9に示すように、支持フレーム部70の前側の上部フレーム形成体82から左右一対の立ち上げアーム123,123をホッパ本体73の前壁に沿わせて立ち上げ状に立設している。左右一対の立ち上げアーム123,123は、施肥ホッパの前面側において、支持体100の左右幅よりも幅広で、かつ、施肥ホッパの左右幅よりも幅狭の間隔をあけて配置している。そして、立ち上げアーム123,123の上端は、庇部75bの直下方位置に配置している。124は立ち上げアーム123,123の中途部間同士を連結する連結補強片である。
【0054】
立ち上げアーム123,123の上端部間には第1支持片101の基端縁部を配置するとともに、左右方向に伸延する枢軸112を介して両立ち上げアーム123,123の上端部間に第1支持片101の基端縁部を枢支している。
【0055】
開閉蓋体75に形成した庇部75bの左右側端面部の前部には、左右一対の蓋側アーム片113,113を前方へ向けて突設している。一方、第1支持片101の左右側端縁部の中途部には、左右一対の支持片側アーム片114,114をそれぞれ外側方へ向けて突設している。そして、各支持片側アーム片114,114の中途部には立ち上げアーム123,123との干渉を回避するための干渉回避用屈曲部125,125を形成している。また、蓋側アーム片113の先端部と支持片側アーム片114の先端部との間には、上下方向に伸延する連動リンク115の上下端部をそれぞれ枢支連結している。
【0056】
このように、ホッパ本体73に支持体100を直接支持させることなく、支持フレーム部70の前側の上部フレーム形成体82から立ち上げて立設した左右一対の立ち上げアーム123,123に支持体100を支持させるように構成することで、ホッパ本体73に剛性を保持させる必要性やホッパ本体73強度部材として機能させる必要性がなくなる。つまり、支持体100の支持強度を向上させることができる。