特許第5981375号(P5981375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981375
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ロータリ耕耘機の草巻付き防止機構
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A01B33/08 P
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-66532(P2013-66532)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-187936(P2014-187936A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】萩原 智恵
(72)【発明者】
【氏名】黒原 孝仁
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−345307(JP,A)
【文献】 特開2005−113943(JP,A)
【文献】 特開2004−215625(JP,A)
【文献】 特開2002−200400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心回りに回転自在に支持された爪軸(2)の外周面に、爪軸方向及び周方向に離間して耕耘爪(3)を装着する多数の爪ブラケット(4)を固定し、爪軸方向両端側に位置する爪ブラケット(4)にそれぞれ支持部材(6)を設け、両支持部材(6)に草巻付き防止用の線状部材(5)の両端を取り付けたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構であって、
前記線状部材(5)は端部に径大の先端拡大部(7b)を形成した拡径端部材(7)を有し、前記支持部材(6)に拡径端部材(7)と係脱自在に係合する係合孔(8)を形成しており、
前記係合孔(8)は、拡径端部材(7)の先端拡大部(7b)が挿入可能な拡径孔(8a)と、この拡径孔(8a)から爪軸(2)に近づく方向に連通していて先端拡大部(7b)の抜け止めをしながら線状部材(5)を通す抜け止め溝(8b)とを有しており、
前記支持部材(6)は、爪ブラケット(4)の爪軸方向面に取り付けられていて、爪軸(2)の径外方向に面していて係合孔(8)の拡径孔(8a)を形成した外周面部(6a)と、爪軸方向に面していて抜け止め溝(8b)を形成した側面部(6b)とを有していることを特徴とするロータリ耕耘機の草巻付き防止機構。
【請求項2】
前記支持部材(6)は、爪軸(2)の周方向視略コ字状部材で形成されていて、このコ字状部材の中央辺部に外周面部(6a)を形成し、コ字状部材の一辺部を爪ブラケット(4)の爪軸方向の面に取り付け、コ字状部材の他辺部に抜け止め溝(8b)を形成した側面部(6b)を形成していることを特徴とする請求項に記載のロータリ耕耘機の草巻付き防止機構。
【請求項3】
軸心回りに回転自在に支持された爪軸(2)の外周面に、爪軸方向及び周方向に離間して耕耘爪(3)を装着する多数の爪ブラケット(4)を固定し、爪軸方向両端側に位置する爪ブラケット(4)にそれぞれ支持部材を設け、両支持部材に草巻付き防止用の線状部材(5)の両端を取り付けたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構であって、
前記線状部材(5)は端部に径大の先端拡大部(7b)を形成した拡径端部材(7)を有し、前記支持部材の一方の支持部材(6A)に拡径端部材(7)と係脱自在に係合する係合孔(8)を形成しており、
前記係合孔(8)は、拡径端部材(7)の先端拡大部(7b)が挿入可能な拡径孔(8a)と、この拡径孔(8a)から爪軸(2)に近づく方向に連通していて先端拡大部(7b)の抜け止めをしながら線状部材(5)を通す抜け止め溝(8b)とを有しており、
前記一方の支持部材(6A)は、爪ブラケット(4)の回転方向前面に取り付けられていて、爪軸(2)の径外方向に面していて係合孔(8)の拡径孔(8a)を形成した外周面部(6a)と、爪軸方向に面していて抜け止め溝(8b)を形成した側面部とを有していることを特徴とするロータリ耕耘機の草巻付き防止機構。
【請求項4】
前記支持部材の他方の支持部材(40)は、爪ブラケット(4)の回転方向前面に配置されていて、爪軸(2)の爪軸方向に面している側壁に外側面に開放された係合溝(40A)を形成していることを特徴とする請求項3に記載のロータリ耕耘機の草巻付き防止機構。
【請求項5】
軸心回りに回転自在に支持された爪軸(2)の外周面に、爪軸方向及び周方向に離間して耕耘爪(3)を装着する多数の爪ブラケット(4)を固定し、爪軸方向両端側に位置する爪ブラケット(4)にそれぞれ支持部材を設け、両支持部材に草巻付き防止用の線状部材(5)の両端を取り付けたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構であって、
前記線状部材(5)は端部に径大の先端拡大部(7b)を形成した拡径端部材(7)を有し、前記支持部材の一方の支持部材(6A)に拡径端部材(7)と係脱自在に係合する係合孔(8)を形成しており、
前記係合孔(8)は、拡径端部材(7)の先端拡大部(7b)が挿入可能な拡径孔(8a)と、この拡径孔(8a)から爪軸(2)に近づく方向に連通していて先端拡大部(7b)の抜け止めをしながら線状部材(5)を通す抜け止め溝(8b)とを有しており、
前記一方の支持部材(6A)は、前記耕耘爪(3)の周囲に配置されると共に爪ブラケット(4)に取り付けられていて、係合孔(8)の拡径孔(8a)を形成した外周面部(6a)と、抜け止め溝(8b)を形成した側面部とを有していることを特徴とするロータリ耕耘機の草巻付き防止機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘機の草巻付き防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、サイドドライブ式のロータリ耕耘装置では、軸心回りに回転自在に支持された爪軸の外周面に、先端に嵌合凹部を有する多数の爪ブラケットが爪軸の径外方向に突設され、その嵌合凹部に嵌合された耕耘爪の基端部を爪ブラケットにボルト固定することによって、耕耘爪が爪軸に径外方に突設されている。
前記爪軸には、草等の長稈が巻き付くのを防止するために、爪軸の爪軸方向両端の爪ブラケット間に長尺の線状部材を架設した草巻付き防止機構を設けている。
【0003】
この草巻付き防止機構の先行技術として、特許文献1に開示されたものがある。この先行技術は、長尺の鋼杆の両端に雄ネジを形成しておき、爪ブラケットに設けた支持部材に支持孔又は支持孔と支持孔から支持部材外側面に達する挿入溝とを有する係合溝を形成し、前記雄ネジを支持孔に孔心方向から又は係合溝に爪軸径外方向から挿入し、雄ネジに螺合する2個のナットを締結することにより、鋼杆の両端を支持部材に架設するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4138273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術は、雄ネジに螺合したナットを回動することにより、支持部材に対する鋼杆の端部の位置調整及び鋼杆の引っ張りができ、有用な技術であるが、鋼杆の両端が同じナット締結構造であるため、締結作業が非常に面倒になっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、草巻付き防止用の線状部材の端部を簡単かつ容易に架設できるようにしたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、軸心回りに回転自在に支持された爪軸2の外周面に、爪軸方向及び周方向に離間して耕耘爪3を装着する多数の爪ブラケット4を固定し、爪軸方向両端側に位置する爪ブラケット4にそれぞれ支持部材6を設け、両支持部材6に草巻付き防止用の線状部材5の両端を取り付けたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構であって、
前記線状部材5は端部に径大の先端拡大部7bを形成した拡径端部材7を有し、前記支持部材6に拡径端部材7と係脱自在に係合する係合孔8を形成しており、
前記係合孔8は、拡径端部材7の先端拡大部7bが挿入可能な拡径孔8aと、この拡径孔8aから爪軸2に近づく方向に連通していて先端拡大部7bの抜け止めをしながら線状部材5を通す抜け止め溝8bとを有しており、
前記支持部材6は、爪ブラケット4の爪軸方向面に取り付けられていて、爪軸2の径外方向に面していて係合孔8の拡径孔8aを形成した外周面部6aと、爪軸方向に面していて抜け止め溝8bを形成した側面部6bとを有していることを特徴とする。
【0008】
第2に、前記支持部材6は、爪軸2の周方向視略コ字状部材で形成されていて、このコ字状部材の中央辺部に外周面部6aを形成し、コ字状部材の一辺部を爪ブラケット4の爪軸方向の面に取り付け、コ字状部材の他辺部に抜け止め溝8bを形成した側面部6bを形成していることを特徴とする。
第3に、軸心回りに回転自在に支持された爪軸2の外周面に、爪軸方向及び周方向に離間して耕耘爪3を装着する多数の爪ブラケット4を固定し、爪軸方向両端側に位置する爪ブラケット4にそれぞれ支持部材を設け、両支持部材に草巻付き防止用の線状部材5の両端を取り付けたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構であって、
前記線状部材5は端部に径大の先端拡大部7bを形成した拡径端部材7を有し、前記支持部材の一方の支持部材6Aに拡径端部材7と係脱自在に係合する係合孔8を形成しており、
前記係合孔8は、拡径端部材7の先端拡大部7bが挿入可能な拡径孔8aと、この拡径孔8aから爪軸2に近づく方向に連通していて先端拡大部7bの抜け止めをしながら線状部材5を通す抜け止め溝8bとを有しており、
前記一方の支持部材6Aは、爪ブラケット4の回転方向前面に取り付けられていて、爪軸2の径外方向に面していて係合孔8の拡径孔8aを形成した外周面部6aと、爪軸方向に面していて抜け止め溝8bを形成した側面部とを有していることを特徴とする。
【0009】
第4に、前記支持部材の他方の支持部材40は、爪ブラケット4の回転方向前面に配置されていて、爪軸2の爪軸方向に面している側壁に外側面に開放された係合溝40Aを形成していることを特徴とする。
第5に、軸心回りに回転自在に支持された爪軸2の外周面に、爪軸方向及び周方向に離間して耕耘爪3を装着する多数の爪ブラケット4を固定し、爪軸方向両端側に位置する爪ブラケット4にそれぞれ支持部材を設け、両支持部材に草巻付き防止用の線状部材5の両端を取り付けたロータリ耕耘機の草巻付き防止機構であって、
前記線状部材5は端部に径大の先端拡大部7bを形成した拡径端部材7を有し、前記支持部材の一方の支持部材6Aに拡径端部材7と係脱自在に係合する係合孔8を形成しており、
前記係合孔8は、拡径端部材7の先端拡大部7bが挿入可能な拡径孔8aと、この拡径孔8aから爪軸2に近づく方向に連通していて先端拡大部7bの抜け止めをしながら線状部材5を通す抜け止め溝8bとを有しており、
前記一方の支持部材6Aは、前記耕耘爪3の周囲に配置されると共に爪ブラケット4に取り付けられていて、係合孔8の拡径孔8aを形成した外周面部6aと、抜け止め溝8bを形成した側面部とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、草巻付き防止用の線状部材の端部を簡単かつ容易に取り付けることができる。
即ち、請求項1に係る発明は、線状部材5の端部に径大の先端拡大部7bを形成し、支持部材6の係合孔8に拡径孔8aと抜け止め溝8bとを形成しているので、拡径孔8aに先端拡大部7bを挿入してから線状部材5を拡径孔8aから抜け止め溝8bに通すことにより、線状部材5の端部を爪軸方向端部の支持部材6に簡単かつ容易に係合することができ、線状部材5の架設作業が簡便にできる。特に、線状部材5の端部を支持部材6に単に引っ掛けるだけで係合が完了するので、泥が付着する圃場内での係合作業にも有利である。
【0011】
請求項1に係る発明は、支持部材6は、爪軸2の径外方向に面していて係合孔8の拡径孔8aを形成した外周面部6aと、爪軸方向に面していて抜け止め溝8bを形成した側面部6bとを有しているので、支持部材6への拡径端部材7の係合が容易であり、拡径端部材7の抜け止めを確実にできる。
【0012】
請求項に係る発明は、支持部材6は略コ字状部材で形成されているので、堅牢でかつ安価に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】草巻付き防止機構の分解正面図である。
図3】草巻付き防止機構の平面図である。
図4】同要部の正面図である。
図5図4のX−X線断面図である。
図6】ロータリ耕耘機の一部断面側面図である。
図7】本発明の第2実施形態を示す斜視図である。
図8】草巻付き防止機構の第1参考例を示す斜視図である。
図9】草切り爪の参考例を示す斜視図である。
図10】草巻付き防止機構の第2参考例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図6において、符号1はトラクタの後部に3点リンク機構12及び連結枠13を介して昇降可能に装着されるロータリ耕耘機であり、連結枠13は標準3点リンク仕様のロータリ耕耘機と特殊3点リンク仕様のロータリ耕耘機とを択一的に装着可能にしている。
前記連結枠13は3点リンク機構12の後端に連結され、上部に上下一対の上係合部14a、14bが設けられ、左右下部に下係合部15が設けられ、上下中途部にジョイント軸保持具16が設けられており、第1種(例えば、特殊3点リンク仕様)の作業機と第2種(例えば、標準3点リンク仕様)の作業機とが選択的に着脱自在に連結されるとともに、PTO軸とPIC軸17とを連結するジョイント軸18がジョイント軸保持具16によって保持されている。
【0015】
前記ロータリ耕耘機1は、PIC軸17を前方突出したギヤケース22に左右サポートアーム23を連結し、左右サポートアーム23の各外端に伝動ケース24とサイドフレーム25とを連結してロータリ機枠26を構成し、ギヤケース22の上部に設けたトップマスト27に上係合部14a又は14bと係合する上係合ピン28が設けられ、左右サポートアーム23から前方突出したブラケット30に下係合部15と係合する下係合ピン29が設けられている。
【0016】
ロータリ機枠26の伝動ケース24とサイドフレーム25の下部間に爪軸2を回転自在に支持し、この爪軸2に多数の爪ブラケット4を固着し、この爪ブラケット4に耕耘爪3
を取り付けて耕耘部Kが形成されている。
伝動ケース24とサイドフレーム25とには、耕耘部Kの上方を覆う主カバー33が設けられ、この主カバー33の後部に横軸34を介してリヤカバー35が枢支されている。このリヤカバー35は上リヤカバー35Uと下リヤカバー35Dとからなり、左右方向の連結軸36によって角度調整自在に連結されている。
【0017】
前記爪軸2の外周面に固定された多数の爪ブラケット4は、爪軸方向及び周方向に離間して配置されており、この爪ブラケット4は大きさの異なる断面コ字形状の部材を嵌め合わせて形成されており、その内部に耕耘爪3の基部を挿入し、それらにボルトを貫通して耕耘爪3を取り付けている。
爪軸2の爪軸方向両端の爪ブラケット4には、爪軸方向対面側に支持部材6(6A、6B)が設けられ、両端の支持部材6に線状部材5の両端が架設され、草巻付き防止機構10を構成している。
【0018】
草巻付き防止機構10の第1実施形態を図1〜6に示している。
前記線状部材5は、棒状鋼材又はワイヤで形成された鋼杆部5Aの両端部に金属製の拡径端部材7(7A、7B)を有している。両拡径端部材7A、7Bは、軸部7aとこの軸部7aの先端でそれより径大の球形状の先端拡大部7bとを有する。
支持部材6A側の拡径端部材7Aは、軸部7aの端部がカシメにより又は溶着により鋼杆部5Aに連結されている。
【0019】
支持部材6B側の拡径端部材7Bは、軸部7aに雄ネジ7cが形成され、鋼杆部5Aの端部に雌ネジ部材5Bが設けられ、この雌ネジ部材5Bを雄ネジ7cに螺合してロックナット11で廻り止めをして連結しており、これらによって長さ調整手段9が構成されている。
前記長さ調整手段9は、拡径端部材7Bを軸心廻りに回動することにより、雌ネジ部材5Bと雄ネジ7cとの螺合位置が調整され、線状部材5の架設の張りを調整することができる。
【0020】
両端の支持部材6A、6Bは互いに形状が対称形状であり、拡径端部材7A、7Bと係脱自在に係合する係合孔8を有し、爪ブラケット4の爪軸方向の対向側の面に固着されている。
両端の支持部材6A、6Bは、爪軸2の周方向視略コ字状部材で形成されていて、このコ字状部材の中央辺部に外周面部6aを形成し、コ字状部材の一辺部(固定部6c)を爪ブラケット4の爪軸方向の面に固着し、コ字状部材の他辺部に側面部6bを形成している。
【0021】
コ字状支持部材6(6A、6B)の外周面部6aには、拡径端部材7(7A、7B)の球形状の先端拡大部7bを挿入可能な拡径孔8aが形成され、外周面部6aから側面部6bにかけて抜け止め溝8bが形成され、これら拡径孔8a及び抜け止め溝8bによって係合孔8が形成されている。
抜け止め溝8bは先端拡大部7bと連通しており、その幅は軸部7aを挿通するが、拡径孔8aを挿通しない、即ち、抜け止めをする寸法となっている。
【0022】
図2に2点鎖線で示すように、線状部材5の端部の拡径端部材7を支持部材6に径外側から近づけて、先端拡大部7bを拡径孔8aに挿入していくと、軸部7aも抜け止め溝8bに入っていき、先端拡大部7bが拡径孔8aから径内側に抜けると、先端拡大部7bは抜け止め溝8bから爪軸方向には抜けられないことになる。
線状部材5の両端の拡径端部材7A、7Bを両端支持部材6A、6Bに係合した後、前記長さ調整手段9で両端拡径端部材7A、7Bを引っ張ることにより、線状部材5は張られた状態で両端爪ブラケット4に架設されることになる。
【0023】
図7は草巻付き防止機構の第2実施形態を示している。
この第2実施形態の草巻付き防止機構39は、爪軸方向一端側の支持部材6A及び拡径端部材7Aが前記第1実施形態の草巻付き防止機構10と同様に、支持部材6Aには拡径孔8a及び抜け止め溝8bを有する係合孔8が形成され、拡径端部材7Aには軸部7aの先端に円筒体の先端拡大部7bが形成されている。
【0024】
爪軸方向他端側の径方向視略L字状支持部材40は、爪軸2の爪軸方向に面している側壁に外側面に開放された係合溝40Aを形成している。この係合溝40Aは、線状部材5にワイヤを使用する場合は、溝の代わりに貫通孔で形成してもよい。
前記線状部材5の他端には雄ネジ41が設けられており、支持部材40の係合溝40Aに挿通されて、係合溝40Aを挟んでナット42を螺合して支持部材40に締結される。線状部材5は雄ネジ41を支持部材40に架設した状態で2個のナット42の位置を調整することにより、線状部材5の緊締及び他端の着脱ができる。これら雄ネジ41及び2個のナット42が長さ調整手段9を構成している。
【0025】
支持部材40は爪ブラケット4の回転方向前面に配置されていて、係合溝40Aは雄ネジ41を爪軸2の回転方向先行側から挿入する溝形状になっている。係合溝40Aは雄ネジ41を爪軸2の径外方向から挿入する溝形状にしてもよく、その場合は、支持部材40を爪ブラケット4の回転方向後面に配置することもできる。
線状部材5が抜け止め溝8b及び係合溝40Aの奥に係合するように、支持部材6A及び支持部材40は爪ブラケット4の回転方向前面に固着されている。
【0026】
支持部材6Aの拡径孔8aは孔心が爪軸2の径方向に向いているので、線状部材5の拡径端部材7は、円筒体を先端拡大部7bの軸芯を拡径孔8aの孔心に合わせて径外側から拡径孔8aに挿入される。
拡径端部材7の先端拡大部7bを拡径孔8aに貫通した状態で、軸部7aを爪軸2の爪軸方向に沿わせていくと、軸部7aは拡径孔8a内から抜け止め溝8bへ移行する。軸部7aが抜け止め溝8b内に入ると、支持部材6A内に入っている円筒状先端拡大部7bは抜け止め溝8bから抜け出すことができなくなり、線状部材5の一端が支持部材6Aに架設された状態になる。
【0027】
図8は草巻付き防止機構の第1参考例を示しており、支持部材45は平板に耕耘爪3の基部を挿通する挿通孔45aと、線状部材5の端部に設けたU金具46を止めるピン47を挿通する止め孔45bとを形成しており、爪ブラケット4の先端(爪軸2から見て径外端)に溶着している。
この第1参考例の支持部材45は爪ブラケット4に溶着されるので、爪軸2に草巻付き防止機構を組み付けた状態で耕耘爪3の取り換えができる。
【0028】
符号48は草切り爪を示しており、この草切り爪48は爪ブラケット4の外側面に配置され、耕耘爪3を取り付けるボルトで固定される。
図9は草切り爪48の参考例を示しており、前記第1参考例の支持部材45と草切り爪48とを一体成形したものであり、支持部材45を爪ブラケット4に溶着することにより、草切り爪48も爪ブラケット4に固着される。即ち、草切り爪48は直交2面を有し、一面に耕耘爪3を挿通する挿通孔48aとピン47を挿通する止め孔48bとが形成され、他面に草を切る切刃48cが形成されている。
【0029】
図10は草巻付き防止機構の第2参考例を示しており、支持部材49は、線状部材5の端部に設けたU金具46を止めるピン47(図8に示す)を挿通する止め孔49bを形成した平板を、爪ブラケット4の外面先端に溶着している。
この第2参考例の支持部材49も爪ブラケット4に溶着されるので、爪軸2に草巻付き防止機構を組み付けた状態で耕耘爪3の取り換えができる。
【0030】
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜7に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、支持部材6A、6Bは爪ブラケット4に溶接により固着されているが、それぞれ取付片を突出して、耕耘爪3を固定するボルトで爪ブラケット4の外面に固定するように構成してもよい。
【0031】
線状部材5は、棒状鋼材又はワイヤの端部に球体(先端拡大部7b)を溶着して拡径端部材7としてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ロータリ耕耘機
2 爪軸
3 耕耘爪
4 爪ブラケット
5 線状部材
5A 鋼杆部
5B 雌ネジ部材
6(6A、6B) 支持部材
6a 外周面部
6b 側面部
6c 固定部
7(7A、7B) 拡径端部材
7a 軸部
7b 先端拡大部
7c 雄ネジ
8 係合孔
8a 拡径孔
8b 抜け止め溝
9 長さ調整手段
10 防止機構
11 ロックナット
K 耕耘部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10