(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、1つまたは複数の前記無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに、IP(インターネットプロトコル)アドレスを求めるDHCP(動的ホスト構成プロトコル)要求を送信するステップと、
1つまたは複数の前記無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つからDHCP Offer応答の中で前記URIを受信するステップとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、前記URIを、ネットワーク層のブロードキャストパケットを介して、またはリンク層のブロードキャストフレームから、受信することを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、802.11プローブ要求に対する信号応答の中で前記URIを受信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、前記URIを、無線ネットワーク要素の1つまたは複数のSSID(サービスセット識別子)の中に符号化する、および/または、前記URIは、前記関連するローカル地図が格納されたネットワークアドレスを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願明細書の全体を通して「一例」、「1つの特徴」、または「例」について述べることは、その特徴および/または例に関連して説明される或る特定の特徴、構造、または特性が、主張される主題の少なくとも1つの特徴および/または例に含められることを意味する。本願明細書全体にわたる様々な箇所における「一例において」、「例」、「1つの特徴において」、または「特徴」という句の出現は、必ずしもすべて、同一の特徴および/または同一の例を指しているわけではない。さらに、それらの特定の特徴、構造、または特性が組み合わされて、1つまたは複数の例および/または特徴にされることも可能である。
【0010】
移動デバイスは、移動デバイスの場所または位置を特定することができる。一実施形態において、移動デバイスは、信号を無線で送信することができる他のデバイスに関する無線ネットワーク要素から無線で受信される信号に基づいて、移動デバイスの位置を推定することが可能である。例えば、移動デバイスは、いくつかの建物内などの、SPS(衛星測位システム)からのナビゲーション信号が利用できない区域内で利用される可能性がある。無線ネットワーク要素を、知られている位置で前記区域全体にわたって配置することが可能であり、移動デバイスは、移動デバイスから特定の無線ネットワーク要素までの距離を推定することができる。前記距離は、推定されることが可能であり、前記移動デバイスの位置を、既知の技術を使用して三角測量することが可能である。
【0011】
一実施形態において、移動デバイスは、付近の1つまたは複数のフェムトセルと通信することによって、移動デバイス自らの位置を推定することができる。本願明細書で使用される「フェムトセル」とは、小型のセルラ基地局を指している。前記フェムトセルは、ブロードバンド(例えば、DSL(デジタル加入者線)またはケーブルなどを介する)を介してサービスプロバイダのネットワークに接続することが可能である。フェムトセルは、フェムトセルに適合する可能な多くの技術のうちいくつかだけを挙げると、例えば、UTMS(Universal Mobile Telecommunications System)、LTE(Long Term Evolution)、EV-DO(Evolution-Data OptimizedまたはEvolution-Data Only)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、CDMA(符号分割多元接続)2000、またはTD-SCDMA(時分割シンクロナス符号分割多元接続)などの技術を利用することが可能である。また、フェムトセルは、統合されたWi-Fiを有することも可能である。往復時間測距を、フェムトセルを利用することによって実行することが可能である。
【0012】
移動デバイスは、いくつかの技術のうちの任意の1つを使用して、移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離を推定することができる。前記距離を推定する1つの方法は、或る特定の無線ネットワーク要素にプローブ要求信号を無線で送信することによるものである。前記プローブ要求を受信すると、無線ネットワーク要素は、応答信号を無線で送信することができる。移動デバイスは、移動デバイスがプローブ要求を送信してから、応答信号が受信される時点までの間の時間間隔(本願明細書で「往復時間」と称する)を測定することができる。無線で送信された信号は、光の速度などの既知の速度で伝わることが可能である。したがって、プローブ要求が送信されてから、応答が受信されるまでの間の往復時間に基づいて、距離を推定することが可能である。しかし、無線ネットワーク要素は、通常、プローブ要求が受信された時点から応答信号が送信される時点までの間の処理遅延を経験する。測定された時間間隔に基づく距離の正確な測定を確実にするため、移動デバイスは、測定された往復時間間隔から処理遅延の推定値を引いておいてもよい。しかし、異なる無線ネットワーク要素は、異なる処理遅延を経験する可能性がある。前記異なる処理遅延を正確に計算に入れるために、特定の無線ネットワーク要素に固有の処理遅延の推定を、所与の区域に関する注釈地図として移動デバイスに供給してもよい。プローブ要求を送信することから、応答信号を受信することまでの間の往復時間の測定値を取得し、さらに無線ネットワーク要素に固有の処理遅延を差し引くと、移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離の測定を、前記時間測定に基づいて推定することが可能である。
【0013】
本願明細書で使用される「無線ネットワーク要素」とは、無線通信デバイスがネットワークと通信することができるデバイスを指すことが可能である。例えば、無線ネットワーク要素は、アクセスポイント(例えば、Wi-Fiアクセスポイント)、フェムトセルなどを備えることが可能であり、さらに無線通信デバイスが、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、CDMA(符号分割多元接続)、TDMA(時分割多元接続)、FDMA(周波数分割多元接続)、OFDMA(直交周波数分割多元接続)、SC-FDMA(シングルキャリア周波数分割多元接続)などのセルラ通信技術、あるいは他の任意の適切な無線技術および/または無線標準を使用して、無線ネットワークに接続することを許すことが可能である。
【0014】
移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離を推定するための別の技術は、無線ネットワーク要素から受信信号の信号強度を測定することを含む。応答信号を、前述したとおり、プローブ要求に応答して無線ネットワーク要素から移動デバイスに送信することが可能であり、前記応答信号の強度を測定することが可能である。前記測定された信号強度に基づいて、移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離を推定することが可能である。あるいは、無線ネットワーク要素が、プローブ要求を最初に受信することなしに、信号を定期的にブロードキャストしてもよく、前記受信されたブロードキャスト信号の強度を測定してもよい。一実施形態において、無線ネットワーク要素は、既知の信号強度で信号を送信してもよい。例えば、全く障害物を有さない位置において、無線ネットワーク要素から送信された信号の強度は、所与の距離にわたって既知のレートで低下する。例えば、受信信号の信号強度が、前記信号が無線ネットワーク要素によって送信された強度の80.23%である場合、移動デバイスは、無線ネットワーク要素までの距離が、1つの例示的な実施形態では、100.45メートルであると推定することができる。他方、受信信号の信号強度が、前記信号が無線ネットワーク要素によって送信された強度の82.57%である場合、移動デバイスは、無線ネットワーク要素までの距離が、1つの例示的な実施形態では、91.35メートルであると推定することができる。信号強度は、距離につれて既知のレートで低下することが可能であり、無線ネットワーク要素から受信信号の信号強度の測定に基づいて、移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離を推定することが可能である。一例では、特定の無線ネットワーク要素に関する信号強度の距離に対するマッピングを示す或る区域に関する地図上の注釈を供給することが可能である。
【0015】
しかし、無線ネットワーク要素と移動デバイスの間の障害物の存在が、無線ネットワーク要素から移動デバイスに送信された信号の強度を低下させる可能性がある。例えば、屋内ロケーションにおいて、無線ネットワーク要素と移動デバイスの間の壁の存在が、送信された信号の強度を消失させる可能性がある。さらに、前記信号強度が消失させられる値は、前記壁を作っている材料に依存する可能性がある。例えば、ドライウォールで作られた壁は、コンクリートで作られた壁より少ない値しか、信号の強度を消失させない可能性がある。したがって、測定された信号強度に基づく移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離の正確な測定を確実にするため、前記障害物、あるいは信号強度を低下させる可能性がある他の要因の存在が考慮に入れてもよい。例えば、測定された信号強度を基準として距離を示す変換式を、無線ネットワーク要素に関して決定することが可能である。前記式は、無線ネットワーク要素から信号を受信する移動デバイスの位置に依存する。例えば、前記式は、移動デバイスが無線ネットワーク要素から50メートルであり障害物が全く存在しない場合と、移動デバイスが無線ネットワーク要素から50メートルの別のどこかに位置しているが信号が通らなければならない壁などのいくつかの障害物が存在する場合とでは、異なる重みを適用してもよい。前記式または数学的関係を、距離を推定する際に使用されるように移動デバイスに提供することが可能である。一実施形態において、前記式または数学的関係を、地図への注釈を介して提供してもよい。
【0016】
移動デバイスは、いくつかの無線ネットワーク要素までの距離を識別することができる。前述したとおり、前記無線ネットワーク要素のそれぞれの位置が知られている場合、移動デバイスは、移動デバイスの位置を三角測量することができる。
【0017】
一実施形態によれば、移動デバイスは、SPSからのナビゲーション信号が利用できない可能性がある特定の区域内に移動デバイスが存在する場合、ローカル地図にアクセスすることができる。前記ローカル地図は、例えば、ネットワーク上のロケーションに格納されて、インターネットを介してアクセスすることが可能である。前記ローカル地図を、取得し、その後、ユーザの移動デバイス上で表示することが可能である。前記地図は、例えば、ショッピングモール内の特定の店舗の位置を示すことが可能である。また、移動デバイスは、前記ローカル地図に関連する注釈を取得することも可能である。前記注釈を、一部の実施形態において、ローカル地図と同一のロケーションに格納することが可能である。しかし、前記注釈を、他の実施形態において、異なる1つまたは複数のロケーションに格納してもよい。前記注釈は、ローカル地図によって範囲に含まれる区域内の無線ネットワーク要素の存在を示すことが可能である。一実施形態において、前記注釈は、1つまたは複数の無線ネットワーク要素から受信信号の信号強度に基づいて、推定される処理遅延、ならびに1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための式を示すことが可能である。前記ローカル地図は、グローバル座標系ではなく、ローカル座標系を含んでいてもよい。ローカル座標系を利用することによって、ローカル地図を、例えば、WGS(世界測地系)84スタイルのグローバル座標などの地球中心の座標を参照することなしに提供することが可能である。ローカル地図は、ローカル地図自体の中に原点を有するローカル座標系において指定された屋内ロケーションについての構造上の情報を含むことが可能である。ローカル地図上の注釈は、ローカル地図上に示されたエンティティについての情報を備えることが可能である。
【0018】
前記ローカル座標系の使用は、いくつかの利点をもたらすことが可能である。例えば、測距が行われることが可能なデバイスをローカル座標系において位置特定することの方が、グローバル座標系内でそうすることより容易である可能性がある。既知のx, y座標格子を有する地図を所与として、アクセスポイント位置を、例えば、情報技術エンジニアによって、情報技術施設によって、あるいは地図上に単にそれらの位置の印を付けることによって、割り当てることが可能である。グローバル座標系において同様の位置付けを実行するのに、例えば、位置はまず、グローバル座標系において特定される。各ポイントがグローバル座標系内で固有に行われる場合、GPS信号を介するなどして、ナビゲーション信号に基づく位置固定を実行する必要がある可能性がある。しかし、建物内、または他の構造物内でナビゲーション信号に基づく位置固定を実行することは、困難である可能性があり、不正確で、遅い可能性が高い。
【0019】
あるいは、複数の位置固定を、ローカル基準座標系におけるピンポイント(pin point)からグローバル基準座標系に対して行うことが可能である。前記複数の位置固定を、ローカル座標をグローバル座標に変換するのに使用することが可能である。ローカル座標からグローバル座標への前記変換を実行するのに、ローカル座標系がまず、ローカル座標系内にネットワーク要素を正確に位置付け、生成し、または獲得することが可能である。ローカル座標からグローバル座標へのそのようなさらなる変換は、誤りの潜在的な源を持ち込む可能性があるとともに、余計な計算/作業を要求する可能性がある。
【0020】
或る区域に入ると、移動デバイスはまず、その区域に関連する特定のローカル地図を識別することが可能であり、次に、その地図を取得することが可能である。一実施形態において、移動デバイスは、プローブ要求をブロードキャストすることが可能であり、その区域内の無線ネットワーク要素から応答信号を受信することが可能である。前記応答信号のいくつか、またはすべてが、前記応答信号の送信元である無線ネットワーク要素のIDを示すことが可能なMAC ID(媒体アクセス制御識別子)を記述する情報を含んでいてもよい。前記MAC IDを受信すると、移動デバイスは、例えば、データベースまたはルックアップテーブルを参照して、前記無線ネットワーク要素に関連する地図のIDを特定することができる。一実施形態において、移動デバイスは、移動デバイスの無線インターネットサービスプロバイダを介してアクセス可能なデータベースにアクセスすることが可能である。あるいは、移動デバイスは、前記MAC IDが格納されている、既知のネットワークアドレスにアクセスして、前記MAC IDに関連するローカル地図を識別してもよい。
【0021】
一実施形態において、移動デバイスは、1つの特定のローカル地図に関連する無線ネットワーク要素からの信号、および異なるローカル地図に関連する他の無線ネットワーク要素からのさらなる信号を受信することが可能である。そのような実施形態において、移動デバイスは、少なくとも最小閾値信号強度を有する受信信号に関連するMAC IDを特定することが可能である。次に、移動デバイスは、データベースにアクセスして、前記MAC IDに関連するローカル地図を特定することが可能である。例えば、前記MAC IDの一部が、第1のローカル地図に関連しており、受信信号のMAC IDの一部が、第2のローカル地図に関連している場合、移動デバイスは、どちらのローカル地図が、より強い受信信号に関連しているかを識別することが可能である。次に、ユーザに、見込みのあるローカル地図のなかからユーザが位置付けられるローカル地図を選択する選択肢を提示することが可能である。
【0022】
関連するローカル地図を識別する他の方法を、他の実施形態において利用することが可能である。一部の実施形態において、或る区域に入ると、「URI」(Uniform Reference Identifier)を移動デバイスに無線で送信することが可能である。本願明細書で使用される「URI」は、情報が格納されるロケーションを指すことが可能である。例えば、URIは、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)などのいくつかのプロトコルのうちの任意の1つに従って、ローカル地図が格納されたネットワークアドレスを示すことが可能である。前記ネットワークアドレスは、可能な多くの例のうち2つだけを挙げると、インターネットアドレスまたはローカルエリアネットワークアドレスを備えることが可能である。URIを移動デバイスによって受信した後、移動デバイスは、参照アドレスまたはロケーションにアクセスして、関連するローカル地図を取得することができる。
【0023】
一実施形態において、ローカル地図を、例えば、ユーザの移動デバイスのディスプレイスクリーン上でユーザに提示するとともに、表示することが可能である。一部の実施形態において、無線ネットワーク要素に関する注釈を、ユーザから隠していてもよい。例えば、無線ネットワーク要素に関する前記注釈は、前記注釈が表示された地図を見づらくする可能性があり、ユーザに、前記無線ネットワーク要素についての情報を見たいという気持ちがない可能性があるため、注釈を隠していてもよい。しかし、他のタイプの注釈を、代わりに、ユーザに表示してもよい。多様な注釈を、ユーザの移動デバイスに提供するとともに、表示することが可能である。例えば、ユーザが或るショッピングモール内にいる場合に、注釈は、多くの例のなかでいくつかだけを挙げると、そのショッピングモール内の或る特定のレストランに空席があるかどうか、商品を購入するのに待ち時間の最も短い店内のキャッシュレジスタの位置、または公衆トイレが清掃のために閉まっているかどうかを示すことが可能である。
【0024】
前述したとおり、注釈を、1つまたは複数のロケーションから取得することが可能であり、さらにローカル地図を取得する異なるロケーションから取得することも可能である。例えば、ショッピングモール内の実施形態において、例えば、無線ネットワーク要素に関連する注釈を、第1のロケーションから取得することが可能であり、百貨店に関連する注釈を、第2のロケーションから取得することが可能であり、さらに、トイレなどのショッピングモールの共用区域に関連する注釈を、第3のロケーションから取得することが可能である。一実施形態において、移動デバイスは、様々なソースからローカル地図に関する様々な注釈を取得することができ、さらに、前記注釈の1つまたは複数を、ディスプレイデバイスを介してユーザに選択的に表示することができる。
【0025】
ユーザが、ローカル地図に関連する区域に移動し、ユーザの移動デバイスが、関連する局所的注釈および関連する注釈を識別して、取得した場合、移動デバイスは、その後、無線ネットワーク要素と関係する注釈を利用して、無線ネットワーク要素までの距離を算出することができる。例えば、前述したとおり、移動デバイスは、1つまたは複数の無線ネットワーク要素にプローブ要求を送信し、各無線ネットワーク要素からプローブ応答信号が受信されるまでの往復時間間隔を測定することができる。前記移動デバイスは、ローカル地図上の注釈によって示されるとおり、該当する無線ネットワーク要素に関係した処理関連の遅延を引くことができ、その後、無線ネットワーク要素までの距離を推定することができる。また、前記移動デバイスは、様々な無線ネットワーク要素からの受信信号の信号強度を測定して、測定された信号強度に少なくとも部分的に基づいて、前記無線ネットワーク要素までの距離を推定することもできる。前述したとおり、受信される信号強度と距離の間の事前定義された関係を、特定の無線ネットワーク要素に関する注釈としてローカル地図上に示すことが可能である。さらに、受信される信号強度と距離の間の前記事前定義された関係は、特定の無線ネットワーク要素と移動デバイスの間の障害物の特定のタイプに依存していてもよい。したがって、前記事前定義された関係に基づいて、距離を、受信信号の信号強度に基づいて推定することが可能である。一実施形態において、プローブ要求往復時間間隔から処理遅延を引いたものから推定された距離結果と、受信信号強度から推定された距離結果の組合せに関して、それぞれの重みを決定してもよい。これらの方法の1つが、より正確な結果をもたらすと判定された場合、より大きい重みが前記方法に適用されることが可能である。例えば、受信される信号強度から算出される距離の推定が、プローブ要求往復時間間隔から処理遅延を引いたものから推定される距離と比べて、正確さが劣ると推定される場合、0.60という重みを、プローブ要求往復時間間隔から処理遅延を引いたものから算出される距離に適用することが可能であるとともに、0.40という重みを、受信される信号強度から算出される距離に適用することが可能である。
【0026】
移動デバイスから少なくとも3つの無線ネットワーク要素までの距離が推定されている場合、移動デバイスは、次に、移動デバイスの位置を三角測量することができる。前記位置を推定した後、ユーザが位置している区域と関係する注釈を、前記ユーザに表示することが可能である。例えば、ショッピングモール内の或る特定の店舗までの道順を、ユーザの推定された位置に基づいてユーザに提供することが可能である。
【0027】
図1は、1つの特定の実施形態による既知の位置に設置された様々な無線ネットワーク要素を有するオフィスビルのフロア100の平面図である。図示されるとおり、第1の無線ネットワーク要素105、第2の無線ネットワーク要素110、第3の無線ネットワーク要素115、第4の無線ネットワーク要素120、および第5の無線ネットワーク要素125が、フロア100全体にわたって配置される。ユーザ130が、移動デバイス135を携帯して、フロア100全体にわたって移動することが可能である。オフィスビルが、フロア100を有していてもよいし、さらに潜在的に他の多くのフロアを有していてもよい。一実施形態において、移動デバイス135は、移動デバイス135が位置しているのと同一のフロア100上に位置する無線ネットワーク要素と通信することによって、移動デバイス135の位置を推定することができる。異なるフロアは、異なるフロア平面図を有することが可能であり、多くのバリエーションのなかでいくつかだけを挙げると、無線ネットワーク要素、オフィス、トイレ、図書室、カフェテリアの異なる配置を有することが可能である。
【0028】
移動デバイス135は、LCD(液晶ディスプレイ)、タッチ機能を有するスクリーン、あるいはグラフィカルユーザインタフェースを提示することができる他の任意のタイプのディスプレイなどのディスプレイスクリーンを有していてもよい。移動デバイス135のディスプレイは、ユーザ130にローカル地図を提示することができる。前記ローカル地図は、ユーザ130が移動デバイス135を持って移動しているフロア100の2次元フロア平面図、または前記フロア100のフロア平面図の一部分を提示することが可能である。フロア100上に移動すると、移動デバイス135は、その時点で移動デバイス135が位置しているフロア100を最初は知らない可能性があり、ユーザ130に提示すべきフロア100のローカル地図を有していない可能性がある。フロア100上に移動すると、移動デバイス135は、この事例では、フロア100である、移動デバイス135が現在、携帯されている場所に対応するローカル地図のIDを特定することが可能である。移動デバイスが、ユーザ130に提示されるべきローカル地図のIDを特定することができる様々な方法が存在する。提示されるべき適切なローカル地図のIDが特定された後、移動デバイス135は、前記ローカル地図を取得して、次に、前記ローカル地図を、例えば、移動デバイス135のディスプレイ上で提示することができる。
【0029】
或る特定の実施形態において、移動デバイスは、アクセスポイント、フェムトセルなどの様々な無線ネットワーク要素からのブロードキャストを受信することによって、移動デバイス135が位置する場所に関する適切なローカル地図を識別することができる。例えば、第1の無線ネットワーク要素105が、ビーコンメッセージを定期的にブロードキャストすることが可能である。前記ビーコンメッセージは、第1の無線ネットワーク要素105のMAD IDを示すことが可能である。前記MAD IDは、第1の無線ネットワーク要素の識別子を示すことが可能である。ビーコンメッセージからの前記MAD IDを抽出すると、移動デバイスは、データベースまたはルックアップテーブルにアクセスして、第1の無線ネットワーク要素105に対応するローカル地図のIDを特定することができる。例えば、前記データベースまたはルックアップテーブルのロケーション、および前記データベースまたはルックアップテーブルにアクセスする方法は、ユーザ130がフロア100上に移動デバイス135を携帯するのに先立って、知られていてもよい。一実施形態において、MAD ICに関するルックアップテーブルは、事前定義された1つまたは複数のデータベースロケーションに格納されることが可能である。あるいは、無線ネットワーク要素に関連するMAD IDが、前記データベースまたはルックアップテーブルの位置を示してもよい。他の実施形態において、MAD IDは、第1の無線ネットワーク要素105に対応するローカル地図を直接に示すことも可能である。
【0030】
一実施形態において、移動デバイス135は、フロア100上に位置する1つまたは複数の無線ネットワーク要素に、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11準拠のプローブ要求を送信することが可能である。前記802.11準拠のプローブ要求を受信すると、1つまたは複数の無線ネットワーク要素は、移動デバイス135に応答を送信することが可能である。前記応答の1つまたは複数は、フロア100に対応するローカル区域地図にアクセスすることができるURIを示す情報を含むことが可能である。
【0031】
移動デバイス135が、プローブ要求に対する応答を無線ネットワーク要素から受信した場合、移動デバイス135は、その後、前記無線ネットワーク要素と通信することができる。例えば、移動デバイス135が、或る特定のネットワーク要素にアクセスすることを許され、IP(インターネットプロトコル)アドレスを所望する場合、移動デバイス135は、前記IPアドレスを要求するDHCP(動的ホスト構成プロトコル)「Discover」要求を送信することが可能である。前記DHCP Discover要求を受信すると、無線ネットワーク要素は、移動デバイス135に割り当てるIPアドレスを含むDHCP「Offer」応答で応答することが可能である。その無線ネットワーク要素に関連付けられたローカル地図のロケーションを示すURIを、このDHCP Offer応答内に含めることも可能である。前記DHCP Offer応答を受信すると、移動デバイス135は、そのURIにアクセスして、関連付けられたローカル地図を取得することができる。例えば、URIを、インターネットまたは他の何らかのネットワークを介してアクセス可能なローカル地図データベース145の中に格納してもよい。
【0032】
一部の実施形態において、移動デバイス135が現在、位置している区域に対応するローカル地図のロケーションを示すURIを、ネットワーク層のブロードキャストパケットを介して移動デバイス135に送信することが可能である。ローカルサブネットに接続されたホストが、そのサブネット上のブロードキャストメッセージがないか受信待機することができる。前記ブロードキャストメッセージの1つまたは複数は、関係のあるURIを含むことが可能である。1つの形態のIP(インターネットプロトコル)サブネット固有のブロードキャストとは、255.255.255.255のようなIPアドレスのある特定のポートに配信されるメッセージである。様々なアドレスを利用する前記ブロードキャストにはサブネット固有の違いが存在する可能性があることを認識されたい。
【0033】
1つの特定の実施形態において、URIは、リンク層のブロードキャストフレームを介して移動デバイス135に送信されることが可能である。例えば、ローカル地図が取得されることが可能なURIのIDを含むフレームを定期的にブロードキャストするフロア100上に位置するエンティティが存在することが可能である。前記ブロードキャストフレームを、第1の無線ネットワーク要素105のような無線ネットワーク要素によって、あるいはブロードキャストメッセージ送信機160のような送信機を含むフロア100の範囲内の他の何らかの要素によって、ブロードキャストすることが可能である。ブロードキャストメッセージ送信機160は、例えば、圧縮されたフォーマット内で前記URIを含むフレームを定期的にローカルで送信することが可能である。前記ブロードキャストフレームを受信すると、移動デバイス135は、前記ブロードキャストフレーム内のURIを抽出して、次に、前記URIによって示されるアドレスに格納された、対応するローカル区域地図を取得することができる。
【0034】
一実施形態において、URIは、無線ネットワーク要素または送信機などのビーコン情報要素を介して移動デバイス135に送信されることが可能である。例えば、移動デバイス135に前記URIを送信するには個々に小さすぎる複数の要素を、そのURIを送信するために一緒に「結びつけ(stitched)」、または組み合わせることが可能である。
【0035】
一部の実施形態において、URIを、無線ネットワーク要素のSSID(サービスセット識別子)の中に符号化することが可能である。例えば、無線ネットワーク上のデバイスは、互いに通信するために或る特定のSSIDを利用する。例えば、第1の無線ネットワーク要素105のようなローカルエリアネットワーク要素が、第2の無線ネットワーク要素110または移動デバイス135のような、ローカルエリアネットワーク上の別の要素と通信する場合、SSIDを、送信メッセージの中に含めることが可能である。移動デバイス135が、第1の無線ネットワーク要素105から前記メッセージを受信した場合、前記SSIDからURIを抽出することが可能であり、次に、移動デバイス135は、そのURIによって示されるロケーションから、フロア100に対応するローカル区域地図を取得することができる。
【0036】
一実施形態において、URIを、無線ネットワーク要素のBSSID(基本サービスセット識別子)の中に符号化することが可能である。基本サービスセットとは、ある特定の実施形態において、IEEE802.11無線LANの基本的な構成要素(building block)を指すことが可能である。インフラストラクチャモードにおいて、1つの無線ネットワーク要素を、関連付けられたすべての無線デバイスまたは無線局と一緒に、基本サービスセットと呼ぶことが可能である。第1の無線ネットワーク要素105のような或る特定の無線ネットワーク要素が、移動デバイス135にSSIDとBSSIDの両方を送信することが可能である。URIを、前述したとおり、SSIDの中に、またはBSSID内に符号化することが可能である。例えば、SSIDとBSSIDをともに、第1の無線ネットワーク要素105から移動デバイス135へのメッセージの中で伝送することが可能である。前記メッセージを受信すると、BSSIDおよび/またはSSIDからURIを抽出することが可能である。1つの特定の実施形態において、移動デバイス135を、受信されたSSIDまたはBSSIDの中でURIを探索するようにプログラミングすることが可能である。
【0037】
前述したローカル地図の使用は、グローバル地図に優る多数の利点をもたらす。グローバル地図は、例えば、1つの集中ロケーションに格納される可能性がある。前記グローバル地図を、前記集中ロケーションにおいてアクセスすることが可能であり、且つ前記グローバル地図を取得する方法は、事前定義されている可能性がある。しかし、前記グローバル地図は、1つの集中ロケーションに格納されているため、前記グローバル地図を情報で更新するのが困難である、または面倒である可能性がある。例えば、ショッピングモール内の或る店舗のフロアプランが改装工程中に変更された場合、フロアプランの変更は、適時にグローバル地図において反映されない可能性がある。
【0038】
さらに、グローバル地図は、GPS(Global Positioning System)に関連する座標系、または他の何らかのSPS(衛星測位システム)によって定義される座標系などのグローバル座標系に関連付けられる可能性がある。
【0039】
他方、ローカル地図は、ローカル地図上に示される要素の変更を反映するように更新することが、はるかに容易であり得る。ローカル地図は、ローカル地図が比較的小さい担保範囲(field of coverage)しか有さないため、維持することがより容易である。前記ローカル地図を、インターネットによってアクセス可能なサーバ内などの、1つまたは複数のネットワークアクセス可能なロケーションに格納してもよい。
【0040】
さらに、前段で指摘したとおり、ローカル地図は、グローバル座標系に関連付けられなくてもよく、代わりに、ローカル地図は、GPS座標系、または他の何らかのSPSによって定義される座標系とは無関係であることが可能なローカル座標系に関連付けられてもよい。ローカル座標系における地図は、ローカル座標系における地図の中の変更された項目の位置が、GPSなどのナビゲーション信号を使用して、または座標間の変換を実行することによって、特定される必要がないため、グローバル座標系における地図と比べて、維持することがより容易である。
【0041】
ローカル地図に対応する注釈を、ローカル地図が取得される前に、取得されるのと同時に、または取得された後に、取得することが可能である。前記注釈を、例えば、
図1に示されるデータベース145の中、あるいは注釈データベース150またはサーバ155のような、他の何らかのデータベースまたはサーバの中に格納することが可能である。一実施形態において、移動デバイス135は、事前定義されたロケーションに位置する事前定義された注釈データベース150から前記注釈を取得することができる。あるいは、注釈データベース150のURIを、ローカル地図データベース145のURIが移動デバイス135に提供されるのと同様の仕方で、移動デバイス135に送信してもよい。他の実施形態において、注釈を、フロア100に対応するローカル地図がローカル地図データベース145から取得した後、移動デバイス135に送信することが可能である。例えば、移動デバイス135によってローカル地図データベース145からローカル地図が取得した後、ローカル地図データベース145からサーバ155にメッセージが送信することが可能である。その後、サーバ155が、注釈データベース150から、フロア100に対応するローカル地図に関する注釈を取得して、前記注釈を移動デバイス135に送信することが可能である。
【0042】
前述したとおり、前記注釈は、無線ネットワーク要素についての情報を含むことが可能である。例えば、注釈は、或る特定の無線ネットワーク要素によって送信された信号に関する推定処理遅延、および/または推定受信信号強度に関する数学的モデルを含むことが可能である。前記注釈を、後段で説明されるとおり、移動デバイスによって、移動デバイスと無線ネットワーク要素の間の距離を正確に推定するのに使用することが可能である。
【0043】
図2は、一実施形態による無線ネットワーク要素200を囲む区域の図である。また、
図2は、第1の壁205、第2の壁210、および障害物220も示す。移動デバイス215が、無線ネットワーク要素200によって送信された信号を受信することが可能であり、さらに無線ネットワーク要素200から移動デバイス215への送信信号の測定された時間間隔に少なくとも部分的に基づいて、無線ネットワーク要素200までの距離を推定することが可能である。
【0044】
移動デバイス215が無線ネットワーク要素200までの距離を推定することができる1つの方法は、無線ネットワーク要素200にプローブ要求を送信すること、および前記プローブ要求が送信されてから、無線ネットワーク要素200から応答信号が受信されるまでの間の時間間隔を測定することによってである。移動デバイス215が、無線ネットワーク要素200までの距離を測定することを所望する場合、移動デバイス215は、前記プローブ要求を付近の1つまたは複数の無線ネットワーク要素に送信することが可能である。前記プローブ要求は、応答信号が移動デバイス215に送り返されるべきことを示している。
【0045】
無線で送信された信号は、光の速度などの一定の速度で伝わることが可能である。信号が無線ネットワーク要素200から移動デバイス215まで伝わるのにどれだけの時間がかかるか、例えば、前記信号の「移動時間」を測定することによって、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を推定することが可能である。この例では、プローブ要求がまず、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200に送信され、次に、第2の信号、例えば、応答信号が、無線ネットワーク要素200から移動デバイス215に送信される。したがって、移動デバイス215からのプローブ要求の送信から、応答信号の受信までの間の移動時間間隔を、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を推定するために2で割ることが可能である。また、さらに、無線ネットワーク要素200が被る処理遅延の推定を、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200まで信号が伝送されている実際の時間の正確な測定を確実にするように考慮に入れてもよい。具体的には、移動デバイス215からのプローブ要求が無線ネットワーク要素200において受信されてから、無線ネットワーク要素200から移動デバイス215に応答信号が送信されるまでの期間が存在する。前記期間は、本願明細書で「処理遅延」と称する。前記処理遅延は、例えば、無線ネットワーク要素が、受信されたプローブ要求を処理して、前記プローブ要求にどのように応答すべきかを決定するために発生する。特定の無線ネットワーク要素に関する処理遅延を、前記処理遅延の以前の測定に基づいて推定することが可能である。前記処理遅延推定を、注釈データベースの中に格納することが可能であり、無線ネットワーク要素200までの距離を推定している場合、移動デバイス215によって取得するとともに、利用することが可能である。無線ネットワーク要素200に関する処理遅延の推定を、或る期間にわたって行われた実際の処理遅延の測定に基づいて、注釈データベースの中で更新してもよい。
【0046】
移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を推定する別の技術は、受信信号強度に基づく。例えば、所与の区域内の無線ネットワーク要素は、既知の信号強度で信号を送信することが可能である。あるいは、無線ネットワーク要素によって送信される信号内で、前記信号が送信された強度を示す符号を伝送してもよい。無線ネットワーク要素によって送信される信号は、信号がより遠くに伝わるにつれ、減衰する、または強度を失う可能性がある。無線で送信される信号は、信号の送信元である無線ネットワーク要素から離れて信号が遠くに伝わるにつれ、既知のレートで信号強度が減衰する可能性がある。したがって、受信される信号の信号強度を測定すること、および前記信号強度を、前記信号が無線ネットワーク要素によって送信された強度と比較することによって、前記信号を受信する移動デバイスから無線ネットワーク要素までの距離を推定することが可能である。
【0047】
しかし、前段で指摘したとおり、信号強度を消失させる可能性がある、移動デバイスと無線ネットワーク要素の間に置かれた障害物が存在する可能性がある。例えば、信号が、
図2に示される第1の壁205、または第2の壁210のような壁を通過して伝わらなければならない場合、前記信号は、前記信号が前記壁を通過して伝わらなくてもよい場合に失う強度と比べて、無線ネットワーク要素200から前記信号が離れて伝わるにつれ、より多くの強度を失う可能性がある。移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を正確に推定するために、前記障害物、あるいは信号強度を減衰させる可能性がある距離以外の他の任意の要因の存在を、距離を推定する際に計算に入れてもよい。信号強度を減衰させる可能性がある他の要因には、例えば、他の送信元がキャリアセンス動作(carrier sensing operation)を実行せず、既存の信号が存在する状況下で送信を回避しない場合の前記送信元からの干渉が含まれる。
【0048】
図2は、無線ネットワーク要素200から信号を受信し、受信信号の測定信号強度に基づいて無線ネットワーク要素200までの距離を推定する際に、移動デバイス215が位置していることが可能な異なる3つの位置を示す。移動デバイス215からのプローブ要求の受信に応答して、無線ネットワーク要素200によって信号を送信することが可能である。あるいは、無線ネットワーク要素200は、移動デバイス215によって受信されるビーコン、または他の何らかのメッセージもしくは信号をブロードキャストしてもよい。図示されるとおり、移動デバイス215が第1の位置225に位置している場合、前記信号を、全く壁または障害物を通過して伝わることなしに、直接に受信することが可能である。他方、移動デバイス215が第2の位置230に位置している場合、したがって、無線ネットワーク要素200から送信された信号は、第2の位置230に到達するのに先立って、第1の壁205を通過して伝わる。最後に、移動デバイス215が第3の位置235に位置している場合、無線ネットワーク要素200から送信された信号は、第3の位置235に位置する移動デバイス215に到達するために、障害物220を通過して伝わる必要がある可能性がある。
【0049】
壁または他の障害物などの物体を通過している間に信号の強度が減衰する量は、前記壁/障害物の厚さまたは密度、および前記壁/障害物が形成されている材料に依存する可能性がある。例えば、鋼鉄で形成された壁は、ドライウォール材料で形成された壁と比べて、より大きな量で信号強度を減衰させる可能性がある。
【0050】
1つの特定の実施形態において、無線ネットワーク要素までの距離を、移動時間と受信信号強度の両方に基づいて推定することが可能である。例えば、移動デバイスのおおよその位置を、移動時間測定に基づいて推定された距離に基づいて三角測量する場合、受信信号強度に基づいて距離を推定するための数学的モデルを、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離をさらに推定するのに利用することが可能である。前述したとおり、無線ネットワーク要素200によって送信された信号が距離とともに減衰する量は、無線ネットワーク要素200と移動デバイス215の間に壁および/または他の障害物が置かれているかどうかに少なくとも部分的に依存する。移動デバイス215のおおよその位置が、移動時間などの他の方法を介して知られている場合、受信信号強度と距離の間のおおよその数学的関係を、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を推定するのに利用することが可能である。例えば、移動デバイス215が第2の位置230の近くのどこかに位置していることが特定され得る場合、移動デバイス215によって受信信号の強度に基づいて移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を推定している場合に、第1の壁205の存在を計算に入れることが可能である。他方、移動デバイス215が第1の位置225の近くのどこかに位置していることが特定され得る場合、信号強度と距離の間の異なる関係を、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を推定するのに利用することが可能である。さらに、移動デバイス215が第3の位置235の近くのどこかに位置していることが特定され得る場合、信号強度と距離の間の異なる関係を、移動デバイス215から無線ネットワーク要素200までの距離を障害物220の存在を計算に入れて推定するのに利用することが可能である。注釈は、1つまたは複数の無線ネットワーク要素の少なくとも1つに関連する信号強度測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータを備えることが可能である。注釈は、1つまたは複数の無線ネットワーク要素の少なくとも1つに関連する往復時間測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータを備える。
【0051】
少なくとも3つの無線ネットワーク要素までの距離が算出された後、前記移動デバイスの位置を三角測量することが可能である。
【0052】
図3は、一実施形態による移動デバイスのディスプレイスクリーン300を示した図である。前記ディスプレイスクリーン300は、ユーザにローカル地図を提示するためのグラフィカルユーザインタフェースを備えることが可能である。ローカル地図は、ユーザにPOI(関心対象地点(Point of Interest))を提示することが可能である。POIは、事前定義されていてもよい。注釈は、少なくとも1つの事前定義されたPOIに対応する表記を備える。この例では、ショッピングモールのローカル地
図302がユーザに提示される。図示されるとおり、ローカル地
図302は、第1の店舗305、第2の店舗310、第3の店舗315、第4の店舗320、レストラン325、トイレ330、第5の店舗340、第6の店舗345、およびフードコート350などのPOIの表示を含む。説明を容易にするため、いくつかの無線ネットワーク要素も、それらの無線ネットワーク要素を、ローカル地
図302によって表されるショッピングモール内のどこに配置されているかを示すように表示する。しかし、一部の実施形態では、前記無線ネットワーク要素は、ユーザに表示されない可能性があることを認識されたい。
【0053】
この例では、ショッピングモールは、第1の無線ネットワーク要素355、第2の無線ネットワーク要素360、第3の無線ネットワーク要素365、第4の無線ネットワーク要素370、および第5の無線ネットワーク要素375を備える。
図1および
図2に関連して前述したとおり、前記無線ネットワーク要素によって送信された信号を、前記ショッピングモールに対応するローカル地図のID、および前記ローカル地図を取得することが可能なロケーションを特定するのに利用することが可能である。前記信号を、ローカル地
図302内の移動デバイスの位置自体を特定するのにさらに利用することが可能である。例えば、移動デバイス380を携帯しているユーザが、第3の店舗315と第5の店舗340の間の通路に位置している場合、ユーザおよび/または移動デバイス380を、ローカル地
図302上の前記位置に位置付けられているものとして表現することが可能である。一部の実施形態では、ユーザおよび/または移動デバイス380に近い位置を表現するローカル地
図302の部分だけを、ユーザに表示することが可能である。一度に部分的な地図だけしか提示しないことは、例えば、多くの店舗を有する大型のショッピングモールが前記ローカル地
図302内に表現される場合に、ローカル地
図320を、ユーザにより閲覧し易く、解釈し易くなるようにすることが可能である。
【0054】
前述したとおり、無線ネットワーク要素に関する注釈を、例えば、注釈データベースから取得することが可能である。無線ネットワーク要素に関する前記注釈を、移動デバイス380から1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を算出する際に利用することが可能である。無線ネットワーク要素に関する前記注釈は、一部の実施形態において、ローカル地
図302上でユーザに提示されない可能性がある。しかし、他の注釈を、ユーザに提示することが可能である。例えば、トイレ330が故障している、または清掃中である場合に、トイレ330のステータスをユーザに知らせる注釈を、ローカル地
図302上で表示することが可能である。したがって、ユーザは、トイレ330を使用するためにトイレまで移動することを回避することができ、さらに、代わりに、使用すべき異なるトイレを探すことができる。一部の実施形態において、前記注釈を、ローカル地図の中に示されるトイレ330の上に直接に表示することが可能である。前記注釈を、例えば、テキストで、または大きい「×」で反映することが可能であり、且つ前記トイレ330が利用できないことを示すようにローカル地
図302上のトイレ330の上に示すことが可能である。あるいは、注釈ウインドウ385を、ユーザに注釈を表示するのに利用してもよい。例えば、「レストランの向かいのトイレは、現在、利用できません」と書かれたテキスト注釈を表示することが可能である。
【0055】
また、さらなるタイプの注釈をユーザに表示することも可能である。例えば、レストラン325に利用可能な座席が存在する場合、前記座席が利用可能であることをユーザに知らせるメッセージを表示することが可能である。さらに、第2の店舗310で靴の特売が行われている場合、前記特売が行われていることを示す注釈をユーザに提示することが可能である。さらなるタイプの注釈には、ローカル地
図302上に表現される特定の店舗または他の場所に関する開店閉店時刻、エスカレータが故障しているかどうか、あるいはショッピングモールの特定の区域が混雑しているかどうかを含むことが可能である。一部の実施形態において、ユーザは、例えば、スタイラス、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、ボタン/キー、タッチパッド、コントロールスティック、または他の選択ツールを介して、第1の店舗305などの、ローカル地
図302の特定の区域を選択することができる。第1の店舗305を選択すると、第1の店舗305と関係する注釈をユーザに提示することが可能である。
【0056】
図4は、一実施形態による移動デバイス405にローカル地図および注釈を供給するためのシステム400の概略ブロック図である。ユーザが、移動デバイス405を、SPSからのナビゲーション信号が利用できない可能性がある区域などの、ローカル地図に対応する区域に持ち込んだ場合、前記移動デバイス405は、
図1および
図2に関連して前述したとおり、前記対応するローカル地図のID、および前記ローカル地図を獲得することが可能なロケーションを特定することが可能である。移動デバイス405は、その後、ローカル地図サーバ410からローカル地図を取得することができる。例えば、移動デバイス405は、ローカル地図に対応する区域に入ると、前記ローカル地図サーバ410のネットワークロケーションを示すURIを受信することが可能である。前述したとおり、前記ローカル地図は、ローカル座標系を利用することが可能である。例えば、前記ローカル座標は、原点を基準とした2次元座標で示すことが可能である。
【0057】
ローカル地図が取得された後、前記ローカル地図に関する注釈を、第1の注釈データベース415および第2の注釈データベース420などの1つまたは複数のソースから取得することが可能である。例えば、様々な無線ネットワーク要素と関係する注釈を、第1の注釈データベース415の中に格納することが可能であり、さらにローカル地図に関する他の情報をユーザに提供するための注釈を、第2の注釈データベース420の中に格納することが可能である。第1の注釈データベース415および第2の注釈データベース420のネットワークアドレスまたはロケーションは、移動デバイス405が、ローカル地図に対応する区域に入るのに先立って、移動デバイス405に知られていていてもよい。あるいは、例えば、前記第1の注釈データベース415および/または第2の注釈データベース420のロケーションを、ショッピングモールなどの、ローカル地図に対応する区域内に置かれた1つまたは複数の無線ネットワーク要素または送信機によって移動デバイス405にブロードキャストする、またはそれ以外で送信することも可能である。別の実施形態において、第1の注釈データベース415および第2の注釈データベース420の前記ネットワークアドレスまたはロケーションを、ローカル地図サーバ410の中に格納することが可能であり、さらに対応するローカル地図をローカル地図サーバ410から取得すると、移動デバイス405に供給することが可能である。
【0058】
図5は、一実施形態による所与の区域に関するローカル地図を獲得するためのプロセス500を示す流れ図である。最初に、動作505で、移動デバイスが、1つまたは複数の無線ネットワーク要素から無線で送信された1つまたは複数の信号を受信することが可能である。次に、動作510で、前記移動デバイスが、受信された1つまたは複数の信号に少なくとも部分的に基づいて、無線ネットワーク要素に関連するローカル地図のIDを特定することが可能である。また、移動デバイスは、前記ローカル地図を取得することが可能な、ネットワークアドレスなどのロケーションを示すURIを受信することも可能である。最後に、動作515で、関連するローカル地図、および関連するローカル地図に関連する注釈を取得することが可能である。例えば、前記注釈を、ローカル地図と同時に、またはローカル地図が取得した後に、受信することが可能である。一部の実施形態において、ローカル地図と注釈を、同一のロケーションに格納することが可能である。他の実施形態において、前記ローカル地図と注釈は、別々に格納されることが可能である。
【0059】
図6は、一実施形態による無線ネットワーク要素600の概略ブロック図である。図示されるとおり、無線ネットワーク要素600は、処理装置605、メモリ610、受信機615、および送信機620などの様々な要素を備えることが可能である。処理装置605は、受信機615と送信機620をともに制御することが可能である。処理装置605は、メモリ610の中に格納されたプログラムコードまたは命令を実行することが可能である。受信機615は、移動局(例えば、
図1の移動デバイス135)から、プローブ要求などの通信を受信することが可能である。送信機620は、プローブ要求への応答を移動局に送信することが可能である。また、受信機615および/または送信機620は、他の無線ネットワーク要素および/またはアクセスポイントと通信することも可能である。一部の実施形態において、無線ネットワーク要素600は、受信機615を含まなくてもよい。無線ネットワーク要素600は、1つまたは複数の移動通信デバイスにネットワークへのアクセスを提供することが可能である。無線ネットワーク要素600は、異なる多くのタイプの無線プロトコルおよび/または無線標準のなかのいくつかだけを挙げると、IEEE802.11、802.15、802.16、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、またはBluetooth(登録商標)などの1つまたは複数の無線プロトコルおよび/または無線標準規格を介して、前記移動通信デバイスと通信することが可能である。
【0060】
送信機および/または受信機などの回路は、例えば、WWAN(無線ワイドエリアネットワーク)、WLAN(無線ローカルエリアネットワーク)、WPAN(無線パーソナルエリアネットワーク)などの様々な無線通信ネットワークの使用を介して、機能を提供することが可能である。「ネットワーク」という用語と「システム」という用語は、しばしば、互換的に使用される。WWANは、CDMA(符号分割多元接続)ネットワーク、TDMA(時分割多元接続)ネットワーク、FDMA(周波数分割多元接続)ネットワーク、OFDMA(直交周波数分割多元接続)ネットワーク、SC-FDMA(シングルキャリア周波数分割多元接続)ネットワークなどであることが可能である。CDMAネットワークは、CDMA2000、W-CDMA(広帯域CDMA)などの1つまたは複数のRAT(無線アクセス技術)を実施することが可能である。CDMA2000は、IS-95標準、IS-2000標準、およびIS-856標準を含む。TDMAネットワークは、GSM(登録商標) (Global System for Mobile Communications)、D-AMPS(Digital Advanced Phone System)、または他の何らかのRATを実施することが可能である。GSM(登録商標)およびW-CDMAは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」 (3GPP)という名称のコンソーシアムからの文書において説明されている。CDMA2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」 (3GPP2)という名称のコンソーシアムからの文書において説明されている。3GPP文書および3GPP2文書は、公開されている。WLANは、IEEE802.11xネットワークであることが可能であり、さらにWPANは、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE802.15xネットワーク、または他の何らかのタイプのネットワークであることが可能である。また、これらの技術は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せに関して使用されることも可能である。これらの技術を、UMB(ウルトラモバイルブロードバンド)ネットワーク、HRPD(高レートパケットデータ)ネットワーク、CDMA2000 1Xネットワーク、GSM(登録商標)、LTE(Long Ter
m Evolution)、および/または以上に類するネットワークで使用されるように実施してもよい。
【0061】
図7は、一実施形態による移動デバイス700の或る特定の実施形態の概略ブロック図である。移動デバイス700は、無線トランシーバが、RFキャリア信号を、音声またはデータなどのベースバンド情報でRF搬送波上に変調するように構成され、さらに変調されたRF搬送波を復調して、前記ベースバンド情報を獲得するように構成されるMS(移動局)を備えることが可能である。
【0062】
移動デバイス700は、処理装置705、ユーザインタフェース710、送信機715、受信機720、およびメモリ725などのいくつかの要素を含むことが可能である。ユーザインタフェース710は、音声またはデータなどのユーザ情報を入力するため、または出力するための複数のデバイスを備えることが可能である。前記デバイスは、いくつかの例だけを挙げると、例えば、キーボード/キーパッド、ディスプレイスクリーン(例えば、タッチスクリーン)、マイクロフォン、スピーカ、ボタン、およびノブであってもよい。
【0063】
メモリ725を、説明または示唆されてきたプロセス、実施例、実施形態、または以上の例の1つまたは複数を実行するように実行可能であるマシン可読命令を格納するように構成してもよい。処理装置705を、前記マシン可読命令にアクセスして、前記マシン可読命令を実行するように構成してもよい。これらのマシン可読命令の実行を通して、処理装置705は、1つまたは複数の機能を実行するように移動デバイス700の様々な要素を導くことが可能である。
【0064】
送信機715は、アンテナを利用して、パケットベースの通信などの通信を他の無線デバイスに送信することが可能である。受信機720もやはり、前記アンテナを利用して、他の無線デバイスからパケットベースの通信などの通信を受信することが可能である。
【0065】
詳細な説明のいくつかの部分を、特定の装置、または専用のコンピューティングデバイスもしくはコンピューティングプラットフォームのメモリ内に格納されたバイナリデジタル信号に対する操作のアルゴリズムまたは記号表現で示す。本願明細書の文中において、特定の装置という単語、またはそれに類する単語には、汎用コンピュータが、プログラムソフトウェアからの命令に従って特定の機能を実行するようにプログラミングされると、前記汎用コンピュータが含まれる。アルゴリズム記述または記号表現は、信号処理分野または関連分野の当業者によって、他の同業者に自らの作業の内容を伝えるのに使用される技法の例である。アルゴリズムは、この場合、さらに一般的にも、所望される結果につながる自己矛盾のない動作シーケンスまたは類似する信号処理と考えられる。本願明細書の文中において、操作または処理には、物理量の物理的操作が関与する。通常、ただし、必然的にではなく、前記量は、格納される、転送される、組み合わされる、比較される、またはそれ以外で操作されることが可能な電気信号または磁気信号の形態をとることが可能である。
【0066】
ときとして、主に一般的な用法の理由で、前記信号をビット、データ、値、要素、シンボル、文字、項、数、数字などと呼ぶことが好都合であることが分かっている。しかし、これらの用語、または類似する用語のすべては、適切な物理量に関連付けられるべきであり、単に便利なラベルに過ぎないことを理解されたい。別段、明記されない限り、本願明細書の全体にわたって、「処理すること」、「算出すること」、「計算すること」、「特定すること」などの用語を利用する説明は、当然ながら専用コンピュータまたは類似する専用電子コンピューティングデバイスなどの、特定の装置のアクションまたはプロセスについて述べている。したがって、本願明細書の文中において、専用コンピュータまたは類似する専用電子コンピューティングデバイスは、専用コンピュータまたは類似する専用電子コンピューティングデバイスのメモリ、レジスタ、あるいは他の情報記憶デバイス、情報伝送デバイス、または情報表示デバイスの内部の物理的な電子的量または磁気的量として通常表すことによって、信号を操作することまたは変換することができる。例えば、特定のコンピューティング装置は、1つまたは複数の特定の機能を実行する命令がプログラミングされた1つまたは複数の処理装置を備えることが可能である。
【0067】
SPS(衛星測位システム)は、通常、エンティティが、送信機からの受信信号に少なくとも部分的に基づいて、地球上、または地球上空のエンティティの位置を特定することを可能にするために設置されている送信機のシステムを含む。前記送信機を、通常、決まった数のチップの繰り返すPN(擬似ランダム雑音)符号で印が付けられた信号を送信し、地上ベースの制御局上、ユーザ機器上、および/または宇宙飛翔体(space vehicle)上に配置してもよい。或る特定の例において、前記送信機を、地球周回軌道SV(人工衛星)上に配置してもよい。例えば、GPS(Global Positioning System)、ガリレオ(Galileo)、グロナス(Glonass)、またはコンパス(Compass)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星コンステレーション(constellation)におけるSVが、その衛星コンステレーションにおける他のSVによって送信されたPN符号とは区別できるPN符号で印が付けられた信号を送信することが可能である(例えば、GPSの場合のように、各衛星に関して異なるPN符号を使用して、またはグロナスの場合のように、異なる周波数上で同一の符号を使用して)。SPSに関して、グローバルなシステム(例えば、GNSS)、ならびに日本上空のQZSS(準天頂衛星システム)、インド上空のIRNSS(インド地域航法衛星システム)、中国上空の北斗(Beidou)などの様々な地域システム、および/または1つまたは複数のグローバルな航法衛星システムおよび/または地域航法衛星システムに関連する、または前記システムで使用できるようにされることが可能である様々な補強システム(例えば、SBAS(Satellite Based Augmentation System))が存在する。例として、限定としてではなく、SBASは、例えば、WAAS(広域補強システム)、EGNOS(European Geostationary Navigation Overlay Service)、MSAS(Multi-functional Satellite Augmentation System)、GAGAN(GPS Aided Geo Augmented NavigationまたはGPS and Geo Augmented Navigation system)および/または以上に類するシステムなどの、完全性情報、差分補正などを提供する補強システムを含むことが可能である。このため、本願明細書で使用されるSPSは、1つまたは複数のグローバルな航法衛星システムおよび/または補強システム、および/または地域の航法衛星システムおよび/または補強システムの任意の組合せを含むことが可能であり、SPS信号は、前記1つまたは複数のSPSに関連するSPS信号、SPS様の信号、および/またはその他の信号を含むことが可能である。
【0068】
MS(移動局)は、無線通信信号および/またはナビゲーション信号を受信することができる、セルラ通信デバイスもしくは他の無線通信デバイス、PSC(パーソナル通信システム)デバイス、PND(パーソナルナビゲーションデバイス)、PIM(パーソナル情報マネージャ)、PDA(携帯情報端末)などのデバイス、ラップトップデバイスもしくは他の適切な移動デバイスを指す。また、「移動局」という用語には、短距離無線接続、赤外線接続、有線接続、または他の接続などによって、PND(パーソナルナビゲーションデバイス)と通信するデバイスも含まれ、このことは、衛星信号受信、支援データ受信、および/または位置関連の処理がそのデバイスにおいて行われるか、PDNにおいて行われるかにかかわらない。また、「移動局」には、インターネット、Wi-Fiネットワーク、またはその他のネットワークを介するなどしてサーバと通信することができる無線通信デバイス、コンピュータ、ラップトップを含む、すべてのデバイスが含まれ、このことは、衛星信号受信、支援データ受信、および/または位置関連の処理が、そのデバイスにおいて行われるか、サーバにおいて行われるか、あるいはネットワークに関連する別のデバイスにおいて行われるかにかかわらない。以上のいずれの機能する組合せも「移動局」と考えられる。
【0069】
本願明細書で使用される方法は、特定の特徴および/または例によるアプリケーションに依存して様々な手段によって実施されることが可能である。例えば、前記方法は、ハードウェアで、ファームウェアで、ソフトウェアで、および/または以上の組合せで実施されることが可能である。例えば、ハードウェアがかかわる実施形態において、処理装置を、1つまたは複数のASIC(特定用途向け集積回路)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、DSPD(デジタル信号処理デバイス)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本願明細書で説明される機能を実行するように設計された他のデバイス、および/または以上の組合せの内部に実装してもよい。
【0070】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアがかかわる実施形態の場合、いくつかの方法は、本願明細書で説明される機能を実行するモジュール(例えば、手順、関数など)で実施されることが可能である。命令を実体化する任意のマシン可読媒体が、本願明細書で説明される方法を実施する際に使用されることが可能である。例えば、ソフトウェアコードを、移動局および/または無線ネットワーク要素のメモリの中に格納するとともに、そのデバイスの処理装置によって実行することが可能である。メモリを、処理装置の内部に、さらに/または処理装置の外部に実装することが可能である。本願明細書で使用される「メモリ」という用語は、任意のタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性、またはその他のメモリを指し、いずれの特定のタイプのメモリ、またはいずれの特定の数のメモリ、あるいはメモリが格納されるいずれの特定のタイプの媒体にも限定されない。
【0071】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令もしくはコードとして格納されることが可能である。例えば、データ構造が符号化されたコンピュータ可読媒体、およびコンピュータプログラムが符号化されたコンピュータ可読媒体である。コンピュータ可読媒体は、製造品の形態をとることが可能である。コンピュータ可読媒体には、物理的コンピュータ記憶媒体が含まれる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であることが可能である。例えば、限定としてではなく、前記コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、半導体ストレージ、または他のストレージデバイス、あるいは命令もしくはデータ構造の形態で所望されるプログラムコードを格納するのに使用されることが可能であるとともに、コンピュータによってアクセスされ得る他の任意の媒体を備えることが可能であり、本願明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)には、CD(コンパクトディスク)、レーザディスク、光ディスク、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクが含まれ、ただし、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再現するのに対して、ディスク(disc)は、レーザを使用してデータを光学的に再現する。また、以上の媒体の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲に含められなければならない。
【0072】
コンピュータ可読媒体上の格納に加えて、命令および/またはデータを、通信装置に含まれる伝送媒体上の信号として提供することも可能である。例えば、通信装置が、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含むことが可能である。これらの命令およびデータを、1つまたは複数の処理装置に、特許請求の範囲で概略が述べられる機能を実施させるように構成する。つまり、通信装置は、開示される機能を実行する情報を示す信号を有する伝送媒体を含む。第1の時点で、通信装置に含まれる伝送媒体は、開示される機能を実行する情報の第1の部分を含むことが可能である一方で、第2の時点で、通信装置に含まれる伝送媒体は、開示される機能を実行する情報の第2の部分を含むことが可能である。
【0073】
本願明細書で言及される「命令」は、1つまたは複数の論理操作を表す表現と関係する。例えば、命令は、1つまたは複数のデータオブジェクトに対して1つまたは複数の操作を実行するためにマシンによって解釈可能であることによって、「マシン可読」であり得る。しかし、このことは、命令の例に過ぎず、主張される主題は、これに関して限定されない。別の例において、本願明細書で言及される命令は、符号化されたコマンドを含むコマンドセットを有する処理装置によって実行可能である符号化されたコマンドと関係する。前記命令は、処理装置によって理解される機械語の形態で符号化されることが可能である。この場合も、これらは、命令の例に過ぎず、主張される主題は、これに関して限定されない。
【0074】
現在、例示的な特徴と考えられるものが図示され、説明されてきたが、主張される主題を逸脱することなく、他の様々な変形が行われることが可能であり、均等形態で置き換えられることが可能であることが当業者には理解されよう。さらに、本願明細書で説明される中心的概念を逸脱することなく、特定の状況を主張される主題の教示に適合させる多くの変形が行われることが可能である。したがって、主張される主題は、開示される特定の例には限定されず、前記主張される主題は、添付の特許請求の範囲、およびその他の均等物に含まれるすべての態様も含むことが可能であることが意図される。