特許第5981428号(P5981428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5981428筋緊張性ジストロフィー・プロテインキナーゼ(DMPK)発現の調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981428
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】筋緊張性ジストロフィー・プロテインキナーゼ(DMPK)発現の調整
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20160818BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20160818BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12N15/00 G
   A61K45/00
   A61P21/00
   A61K31/7088
【請求項の数】21
【全頁数】130
(21)【出願番号】特願2013-520815(P2013-520815)
(86)(22)【出願日】2011年7月19日
(65)【公表番号】特表2013-538560(P2013-538560A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011044555
(87)【国際公開番号】WO2012012443
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年7月14日
(31)【優先権主張番号】61/365,762
(32)【優先日】2010年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/478,021
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/365,775
(32)【優先日】2010年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】594072971
【氏名又は名称】ユニバ−シティ オブ ロチェスタ−
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117813
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 憲広
(72)【発明者】
【氏名】シー・フランク・ベネット
(72)【発明者】
【氏名】スーザン・エム・フレアー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エイ・マクロード
(72)【発明者】
【氏名】サンジェイ・ケイ・パンディ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エイ・ソーントン
(72)【発明者】
【氏名】サーマン・ウィーラー
(72)【発明者】
【氏名】スオン・エイチ・チュヨン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・レガー
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・エム・ウェントワース
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/093783(WO,A1)
【文献】 特表2010−500023(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0016215(US,A1)
【文献】 RNA & Oligonucleotide therapeutics, 2010 April, p.35
【文献】 Science, 2009, vol.325, no.5938, p.336-339
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
18〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、そして配列番号85、109、12-18、20-55、57、59、60、63-65、72-84、89、91-95、97、98、102、104、106-108、110-114、118、120-124、127-133、135-138、140-143、145-149、152-156、161、162、166-199、202-207、211-225、227-229、240-263、265-268、271、272、275-285、294、296-300、302-315、317-366、368、370、372-376、378-467、469-486、488-491、499、501-512、518-520、527、530-533、535、538-541、544-546、551-555、557-565、568-628、630-642、644-648、654-663、665、670-673、675、676、679、681-688および691のいずれか1つで挙げられる配列の少なくとも18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する化合物。
【請求項2】
以下の核酸塩基配列
列番号:85、109、12-18、20-55、57、59、60、63-65、72-84、89、91-95、97、98、102、104、106-108、110-114、118、120-124、127-133、135-138、140-143、145-149、152-156、161、162、166-199、202-207、211-225、227-229、240-263、265-268、271、272、275-285、294、296-300、302-315、317-366、368、370、372-376、378-467、469-486、488-491、499、501-512、518-520、527、530-533、535、538-541、544-546、551-555、557-565、568-628、630-642、644-648、654-663、665、670-673、675、676、679、681-688または691で挙げられる核酸塩基配
含むか、またはからなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号1〜8または793〜801と100%相補的である、請求項1〜のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である請求項1〜のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である請求項に記載の化合物。
【請求項7】
少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含む、請求項1〜のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
少なくとも1つの修飾糖が2'-O-メトキシエチルを含む、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む、請求項1〜のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
前記修飾核酸塩基が5-メチルシトシンである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
連結ヌクレオシドからなる5'ウィングセグメント;
連結ヌクレオシドからなる3'ウィングセグメント
を含む請求項1〜11のいずれかに記載の化合物であって、
前記ギャップセグメントが5'ウィングセグメントおよび3'ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが修飾糖を含む、前記化合物。
【請求項13】
化合物の核酸塩基配列が配列番号85からなる、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなり、そして以下の:
10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる5'ウィングセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる3'ウィングセグメント
を含む請求項1〜13のいずれかに記載の化合物であって、
前記ギャップセグメントが5'ウィングセグメントおよび3'ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが2'-O-メトキシエチル糖を含み、そして各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、前記化合物。
【請求項15】
前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなる、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
化合物の核酸塩基配列が配列番号:109からなる、請求項14または15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩、および医薬的に許容可能な担体または希釈剤を含む組成物。
【請求項18】
動物体内におけるDMPK関連疾患またはその症候を、治療し、予防し、または改善する方法において使用するための、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物または請求項17に記載の組成物であって、前記動物に対して治療的有効量のこの化合物またはこの組成物を投与することを含む、前記組成物。
【請求項19】
DMPK関連疾患またはその症候が:
(a)筋緊張症、または
(b)スプライセオパシー、
である、請求項18に記載の化合物または組成物。
【請求項20】
DMPK関連疾患またはその症候が1型筋緊張性ジストロフィーである、請求項19に記載の化合物または組成物。
【請求項21】
DMPK関連疾患またはその症候がMBNL依存性スプライセオパシーである、請求項19に記載の化合物または組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本出願は、電子フォーマットで配列表とともに出願されたものである。配列表は、表題BIOL0134USL2SEQ.txt(2011年7月19日作成)のファイルとして提供されており、サイズは約216Mbである。配列表の電子フォーマットでの情報は、参照により本明細書中で援用される。
【0002】
動物におけるDMPK mRNAおよびタンパク質の発現を低減するための方法、化合物および組成物が、本明細書中で提供される。動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減するための方法、化合物、およびDMPK阻害剤を含む組成物も、本明細書中で提供される。このような方法、化合物および組成物は、例えば、動物における1型筋緊張性ジストロフィー(DM1)を処置し、防止し、または改善するために有用である。
【背景技術】
【0003】
1型筋緊張性ジストロフィー(DM1)は、7,500分の1の概算頻度の成人における最も一般的な型の筋ジストロフィーである(Harper PS., Myotonic Dystrophy. London: W.B. Saunders Company; 2001)。DM1は、DMPK1における非コードCTG反復の伸長により引き起こされる常染色体優性障害である。DMPK1は、サイトゾル型セリン/トレオニンキナーゼをコードする遺伝子である(Brook JD, et al., Cell, 1992, 68(4):799-808)。このキナーゼの生理学的機能および基質は、十分に確定されているわけではない。伸長CTG反復は、DMPK1の3’非翻訳領域(UTR)中に配置される。この突然変異は、伸長CUG反復(CUGexp)を含有するRNAの発現が細胞機能不全を誘導する過程であるRNA優性をもたらす(Osborne RJ and Thornton CA., Human Molecular Genetics., 2006, 75(2): R162-R169)。
【0004】
DMPK遺伝子は、常態では、3’非翻訳領域中に5〜37のCTG反復を有する。I型筋緊張性ジストロフィーでは、この数は有意に増して、例えば、50から3,500超までの範囲である(Harper, Myotonic Dystrophy (Saunders, London, ed.3, 2001); Annu. Rev. Neurosci. 29: 259, 2006; EMBO J. 19: 4439, 2000; Curr Opin Neurol.20: 572, 2007)。
【0005】
CUGexp路は、RNA結合タンパク質、例えばmuscleblind様(MBNL)タンパク質(スプライシング因子)と相互作用し、変異転写産物を核内フォーカス中に保持させる。このRNAの毒性は、RNA結合タンパク質の隔離およびシグナル伝達経路の活性化に由来する。動物モデルにおける研究は、CUGexp RNAの毒性が低減されると、DM1の表現型が逆転され得る、ということを示している(Wheeler TM, et al., Science., 2009, 325(5938):336-339; Mulders SA, et al., Proc Natl Acad Sci USA., 2009, 106(33):13915-1392O)。
【0006】
DM1では、骨格筋は最も重篤に影響を受ける組織であるが、しかしその疾患は、心筋および平滑筋、水晶体および脳に及ぼす重大な作用も有する。頭蓋筋、遠位肢筋および横隔膜筋は、優先的に影響を及ぼされる。手先の動作は早期に損なわれ、これが、長期間の重篤な能力障害を引き起こす。死亡年齢の中央値は55歳で、通常は呼吸不全による(de Die-Smulders CE, et al., Brain., 1998, 72i(Pt 8): 1557-1563)。
【0007】
アンチセンス技術は、ある種の遺伝子産物の発現を調整するための有効な手段として明らかになりつつあり、したがって、DMPK1の調整のための多数の治療的、診断的および研究用途において比類なく有用であることを立証し得る。CAG反復で標的にする完全修飾オリゴヌクレオチドの筋肉内注射は、マウスにおいて、CUGexp−MBNL1複合体の形成を遮断し、CUGexp転写物の核内フォーカスを分散させ、CUGexp転写物の核細胞質間輸送および翻訳を増強し、MBNLタンパク質を核質に放出し、MBNL依存性エキソンの選択的スプライシングを正常化し、そしてCUGexp発現トランスジェニックマウスにおける筋緊張症を排除することが示された(Wheeler TM, et al., Science., 2009, 325(5938):336-339; WO2008/036406)。
【0008】
現在、DM1の経過を変更し得る処置はない。したがって、疾患の負担は著しい。したがって、DM1を処置するための化合物、組成物および方法を提供することが、本明細書における目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
DMPKの発現を抑制するための、そしてDMPK関連疾患および/またはその症候を処置し、防止し、遅延し、または改善するための方法、化合物および組成物が、本明細書中で提供される。ある実施形態では、当該化合物および組成物は、突然変異体DMPKまたはCUGexp DMPKを抑制する。
【0010】
ある実施形態は、動物におけるDMPK発現の低減方法であって、DMPKに対して標的化される本明細書中にさらに記載されるような修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与することを包含する方法を提供する。
【0011】
ある実施形態は、動物におけるCUGexp DMPKを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減する方法であって、CUGexp DMPKに対して標的化される、本明細書中でさらに記載されるような、修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与することを包含する方法を提供する。CUGexp DMPK転写物は、核内リボヌクレアーゼによるアンチセンス・ノックダウンに特に感受性であると考えられるが、それは、それらの核内での長い滞留時間のためであり、この感受性は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの組織取込みに対する体内分布バリアにもかかわらず、筋肉のような関連組織中でのCUGexp DMPK転写物の有効なアンチセンス抑制を可能にすると思われる。例えば、Wheeler TM, et al., Science., 2009, 325(5938):336-339 およびWO2008/036406に記載されるようなCAG反復ASOのような、核内リボヌクレアーゼによる切断を引き出さないアンチセンス機序は、同一の治療的利点を提供しない。
【0012】
ある実施形態は、1型筋ジストロフィーを有する動物の処置方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、DMPKに対して標的化される、本明細書中でさらに記載されるような、修飾オリゴヌクレオチドを含む治療的有効量の化合物を動物に投与することを包含する。ある実施形態では、当該方法は、1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物を同定することを包含する。
【0013】
ある実施形態は、DM1の発症に関連した症候および結果、例えば筋肉強直、筋緊張症、障害性遠位性衰弱、顔面および顎筋肉の衰弱、嚥下困難、眼瞼の垂れ下がり(眼瞼下垂)、首の筋肉の衰弱、腕および足の筋肉の衰弱、持続性筋肉痛、過眠症、筋消耗、嚥下障害、呼吸不全、不規則心拍、心筋損傷、無感動、インスリン抵抗性および白内障を、処置し、防止し、遅延し、または改善する方法を提供する。ある実施形態は、小児におけるDM1の発症に関連した症候および結果、例えば発達遅延、学習問題、言語および発語問題、ならびに人格発達問題を処置し、防止し、遅延し、または改善する方法を提供する。
【0014】
ある実施形態は、病原性転写産物の切断を指示することにより、RNA優性を相殺するためにアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する方法を提供する。
【0015】
ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NM_001081560.1で記述されるような配列を有する(配列番号1として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKはGenBank寄託番号NT_011109.15(ヌクレオチド18540696から18555106まで切頭化)で記述されるような配列を有する(配列番号2として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NT_039413.7(ヌクレオチド16666001から16681000まで切頭化)で記述されるような配列を有する(配列番号3として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKはGenBank寄託番号NM 032418.1で記述されるような配列を有する(配列番号4として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号AI007148.1で記述されるような配列を有する(配列番号5として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号AI304033.1で記述されるような配列を有する(配列番号6として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BC024150.1で記述されるような配列を有する(配列番号7として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BC056615.1で記述されるような配列を有する(配列番号8として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BC075715.1で記述されるような配列を有する(配列番号793として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BU519245.1で記述されるような配列を有する(配列番号794として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号CB247909.1で記述されるような配列を有する(配列番号795として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号CX208906.1で記述されるような配列を有する(配列番号796として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号CX732022.1で記述されるような配列を有する(配列番号797として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号S60315.1で記述されるような配列を有する(配列番号798として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号S60316.1で記述されるような配列を有する(配列番号799として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NM 001081562.1で記述されるような配列を有する(配列番号800として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NM_001100.3で記述されるような配列を有する(配列番号801として本明細書中に組入れられる)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前記の一般的説明および以下の詳細な説明はともに、例示的且つ解説的であるに過ぎず、特許請求されるように、本発明を制限するものではない、と理解されるべきである。本明細書において、単数形の使用は、具体的に別記しない限り、複数を包含する。本明細書中では、「または」の使用は、別記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、「〜を包含している」、ならびに他の形態、例えば「〜を包含する」および「〜を包含した」という用語の使用は、限定的なものではない。さらにまた、「要素」または「構成成分」のような用語は、具体的に別記しない限り、1つの単位を含む要素および構成成分、ならびに1つより多い亜単位を含む要素および構成成分の両方を包含する。
【0017】
本明細書中で用いられる節の表題は、構成目的だけのためであり、記載される対象物を限定するよう意図されない。本出願中で引用されるすべての文書または文書の部分、例えば特許、特許出願、記事、書物および論文(これらに限定されない)は、本明細書中で考察される文書の部分に関して、ならびにそれらの全体において、参照により本明細書中で援用される。
【0018】
定義
具体的な定義が提供されない限り、本明細書中に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医学および薬学化学と結び付けて用いられる用語法、そしてその手順および技法は、当該技術分野で周知のものであり、一般に用いられる。標準技法は、化学合成および化学分析のために用いられ得る。許される場合、全ての特許、出願、公開出願およびその他の出版物、GenBank寄託番号、ならびに国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のようなデータベースおよび本明細書中の開示の全体を通して言及される他のデータにより得られる関連配列情報は、本明細書中で考察される文書の一部に関して、ならびにそれらの全体で、参照により本明細書中で援用される。
【0019】
別記しない限り、以下の用語は以下の意味を有する:
【0020】
「2’−0−メトキシエチル」(2’−MOEおよび2’−O(CH−OCHとも呼ばれる)は、フラノシル環の2’位置のO−メトキシエチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチル修飾糖は、修飾糖である。
【0021】
「2’−O−メトキシエチルヌクレオチド」は、2’−O−メトキシエチル修飾糖部分を含むヌクレオチドを意味する。
【0022】
「5−メチルシトシン」は、位置5に結合されるメチル基で修飾されるシトシンを意味する。5−メチルシトシンは、修飾核酸塩基である。
【0023】
「約」は、ある値の±7%以内を意味する。例えば、「化合物が、DMPKの少なくとも70%に影響を及ぼす」と記述される場合、それは、そのDMPKレベルが63%および77%の範囲内で抑制されることを意味する。
【0024】
「活性な薬学的作用物質」は、個体に投与された場合に治療効果を提供する薬学的組成物中の単数または複数の物質を意味する。例えば、ある実施形態では、DMPKに対して標的化されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、活性な薬学的作用物質である。
【0025】
「活性標的領域」または「標的領域」は、1つ以上の活性アンチセンス化合物が標的化される領域を意味する。「活性アンチセンス化合物」は、標的核酸レベルまたはタンパク質レベルを低減するアンチセンス化合物を意味する。
【0026】
「同時に投与される」は、2つの作用物質の薬理学的作用が同時に患者において現れる任意の方法での両方の同時投与を指す。同時投与は、両作用物質が単一薬学的組成物中で、同一剤形中で、または同一投与経路により投与される必要はない。両作用物質の作用は、同時にそれ自体を発現する必要はない。その作用は、ある期間中に重複する必要があるだけで、同一の時間の広がりを持つ必要はない。
【0027】
「投与すること」は、動物に作用物質を提供することを意味し、例としては、医療専門家による投与および自己投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
「作用物質」は、動物に投与された場合に、治療効果を提供し得る活性物質を意味する。「第一作用物質」は、本発明の治療用化合物を意味する。例えば、第一作用物質は、DMPKを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。「第二作用物質」は、本発明の第二治療用化合物(例えば、DMPKを標的化する第二アンチセンスオリゴヌクレオチド)および/または非DMPK治療用化合物を意味する。
【0029】
「改善」は、関連疾患、障害または症状の少なくとも1つの指標、徴候または症候の減少を指す。指標の重症度は、当業者に既知である主観的または客観的測定により確定され得る。
【0030】
「動物」は、ヒトまたは非ヒト動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ(これらに限定されない)、ならびに非ヒト霊長類、例えばサルおよびチンパンジー(これらに限定されない)を指す。
【0031】
「アンチセンス活性」は、アンチセンス化合物とその標的核酸とのハイブリダイゼーションに起因し得る任意の検出可能なまたは測定可能な活性を意味する。ある実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸またはこのような標的核酸によりコードされるタンパク質の量または発現の低減である。
【0032】
「アンチセンス化合物」は、水素結合により標的核酸とのハイブリダイゼーションを受け得るオリゴマー化合物を意味する。アンチセンス化合物の例としては、一本鎖および二本鎖化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、snoRNA、miRNAおよびサテライト反復配列が挙げられる。
【0033】
「アンチセンス抑制」は、アンチセンス化合物の非存在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較して、標的核酸と相補的なアンチセンス化合物の存在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルの低減を意味する。
【0034】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸の対応する領域またはセグメントとのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0035】
「二環式糖」は、2つの非ジェミナル炭素環原子の架橋により修飾されるフラノシル環を意味する。二環式糖は、修飾糖である。
【0036】
「二環式核酸」または「BNA」は、ヌクレオシドまたはヌクレオチドのフラノース部分が、フラノース環上の2つの炭素原子を連結し、それにより二環式環系を形成する架橋を含むヌクレオシドまたはヌクレオチドを指す。
【0037】
「キャップ構造」または「末端キャップ部分」は、アンチセンス化合物のいずれかの末端に組入れられている化学修飾を意味する。
【0038】
「化学的に別個の領域」は、同一アンチセンス化合物の別の領域と、何らかの点で、化学的に異なるアンチセンス化合物の領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を伴わないヌクレオチドを有する領域とは化学的に異なる。
【0039】
「キメラアンチセンス化合物」は、少なくとも2つの化学的に別個の領域を有するアンチセンス化合物を意味する。
【0040】
「同時投与」は、個体への2つ以上の作用物質の投与を意味する。2つ以上の作用物質は、単一薬学的組成物中であるか、または別個の薬学的組成物中であり得る。2つ以上の作用物質の各々は、同一投与経路または異なる投与経路により投与され得る。同時投与は、平行的または逐次的投与を包含する。
【0041】
「相補性」は、第一核酸および第二核酸の核酸塩基間の対合のための可能性を意味する。
【0042】
「連続核酸塩基」は、互いに直に隣接する核酸塩基を意味する。
【0043】
「CUGexp DMPK」は、伸長CUG反復配列(CUGexp)を含有する突然変異体DMPK RNAを意味する。野生型DMPK遺伝子は、5〜37個のCTG反復配列を3’非翻訳領域に有する。「CUGexp DMPK」において(例えば、1型筋緊張性ジストロフィー患者では)、この数は有意に増して、例えば50〜3,500超の範囲である(Harper, Myotonic Dystrophy (Saunders, London, ed.3, 2001); Annu. Rev. Neurosci. 29: 259, 2006; EMBO J. 19: 4439, 2000; Curr Opin Neurol.20: 572, 2007)。
【0044】
「希釈剤」は、薬理学的活性を欠くが、しかし薬学的に必要なまたは望ましい組成物中の成分を意味する。例えば、注射される組成物中の希釈剤は、液体、例えば生理学的食塩溶液であり得る。
【0045】
「DMPK」は、DMPKの任意の核酸またはタンパク質を意味する。DMPKは、CUGexp DMPK核酸を含めた突然変異体DMPKであり得る。
【0046】
「DMPK発現」は、DMPKをコードする遺伝子から転写されるmRNAのレベル、またはそのmRNAから翻訳されるタンパク質のレベルを意味する。DMPK発現は、当該技術分野で既知の方法、例えばノーザンまたはウエスタンブロットにより確定され得る。
【0047】
「DMPK核酸」は、DMPKをコードする任意の核酸を意味する。例えば、ある実施形態では、DMPK核酸は、DMPKをコードするDNA配列、DMPKをコードするDNAから転写されるRNA配列(例えば、イントロンおよびエキソンを含むゲノムDNA)、ならびにDMPKをコードするmRNAまたはプレmRNA配列を包含する。「DMPK mRNA」は、DMPKタンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0048】
「用量」は、単一投与において、または指定時間で提供される薬学的作用物質の指定量を意味する。ある実施形態では、用量は、1、2または多数回の、ボーラス、錠剤または注射で投与され得る。例えば、皮下投与が所望されるある実施形態では、所望用量は、単一回注射によっては容易に適応されない用量を要し、したがって、所望用量を達成するためには2回以上の注射が用いられ得る。ある実施形態では、薬学的作用物質は、長期間に亘って、または継続的に、注入により投与される。用量は、時間、日、週または月当たりの薬学的作用物質の量として記述され得る。
【0049】
「有効量」または「治療的有効量」は、当該作用物質を必要とする個体における所望の生理学的結果をもたらすのに十分な活性薬学的作用物質の量を意味する。有効量は、処置されるべき個体の健康および身体条件、処置されるべき個体の分類群、組成物の処方、個体の医学的状態の査定、ならびに他の関連要素によって、個体間で変わり得る。
【0050】
「完全相補性」または「100%相補性」は、第一核酸の核酸塩基配列の各核酸塩基が、第二核酸の第二核酸塩基配列中に相補的核酸塩基を有することを意味する。ある実施形態では、第一核酸はアンチセンス化合物であり、標的核酸が第二核酸である。
【0051】
「ギャップマー」は、RNアーゼH切断を支持する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1つ以上のヌクレオシドを有する外部領域間に配置されるキメラアンチセンス化合物を意味するが、この場合、内部領域を含むヌクレオシドは外部領域を含む単数または複数のヌクレオシドとは化学的に異なる。内部領域は「ギャップセグメント」として言及され、外部領域は「ウィングセグメント」として言及され得る。
【0052】
「ギャップ拡大」は、1〜6つのヌクレオシドを有する、5’および3’ウィングセグメント間に且つ直に隣接して配置される12以上の連続2’−デオキシリボヌクレオシドのギャップセグメントを有するキメラアンチセンス化合物を意味する。
【0053】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。ある実施形態では、相補的核酸分子としては、アンチセンス化合物および標的核酸が挙げられる。
【0054】
「1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物を同定すること」は、1型筋緊張性ジストロフィー、障害もしくは症状を有すると診断された動物を同定すること、または1型筋緊張性ジストロフィー、障害もしくは症状を発症する素因を有する動物を同定することを意味する。例えば、家族歴を有する個体は、1型筋緊張性ジストロフィー、障害または症状に罹り易い。このような同定は、個体の医療歴および標準臨床試験または査定を評価することを含めた任意の方法により成し遂げられ得る。
【0055】
「直に隣接する」は、直隣接素子間に介入素子が存在しないことを意味する。
【0056】
「個体」は、処置または治療のために選択されるヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0057】
「ヌクレオシド間結合」は、ヌクレオシド間のキメラ結合を指す。
【0058】
「連結ヌクレオシド」は、ヌクレオシド間結合により一緒に結合されるかまたは連結される隣接ヌクレオシドを意味する。
【0059】
「不適正核酸塩基」または「非相補的核酸塩基」は、第一核酸の核酸塩基が、第二または標的核酸の対応する核酸塩基と対合しえない場合を指す。
【0060】
「修飾ヌクレオシド間結合」は、天然ヌクレオシド間結合からの置換または任意の変化(すなわち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)を指す。
【0061】
「修飾核酸塩基」は、アデニン、シトシン、グアニン、チミジンまたはウラシル以外の任意の核酸塩基を指す。「非修飾核酸塩基」は、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基であるチミジン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を意味する。
【0062】
「修飾ヌクレオチド」は、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間結合、または修飾核酸塩基を独立して有するヌクレオチドを意味する。「修飾ヌクレオシド」は、修飾糖部分または修飾核酸塩基を独立して有するヌクレオシドを意味する。
【0063】
「修飾オリゴヌクレオチド」は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0064】
「修飾糖」は、天然糖からの置換または変化を指す。
【0065】
「モチーフ」は、アンチセンス化合物中の化学的に別個の領域のパターンを意味する。
【0066】
「筋緊張症」は、随意収縮または電気刺激後の筋肉の異常に遅い弛緩を意味する。
【0067】
「核内リボヌクレアーゼ」は、核中に見出されるリボヌクレアーゼを意味する。核内リボヌクレアーゼとしては、RNアーゼ H、例えばRNアーゼ H1およびRNアーゼ H2、二本鎖RNアーゼ droshaおよびその他の二本鎖RNアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
「天然ヌクレオシド間結合」は、3’−5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0069】
「天然糖部分」は、DNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)中に見出される糖を意味する。
【0070】
「核酸」は、単量体ヌクレオチドで構成される分子を指す。核酸としては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)が挙げられる。核酸は、単一分子中にこれらの素子の組合せも含み得る。「核酸塩基」は、別の核酸の塩基と対合し得る複素環式部分を意味する。
【0071】
「核酸塩基」は、別の核酸の塩基と対をなすことができる複素環部式部分を意味する。
【0072】
「核酸塩基配列」は、任意の糖、連結、または核酸塩基修飾とは無関係の連続核酸塩基の順序を意味する。
【0073】
「ヌクレオシド」は、糖と連結した核酸塩基を意味する。
【0074】
「ヌクレオシド模倣物」としては、オリゴマー化合物の1つ以上の位置での糖または糖および塩基(必ずしも連結ではない)を取り替えるために用いられる構造物、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ビシクロまたはトリシクロ糖模倣物、例えば非フラノース糖単位を有するヌクレオシド模倣物が挙げられる。
【0075】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分と共有結合されるリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0076】
「ヌクレオチド模倣物」としては、オリゴマー化合物の1つ以上の位置でのヌクレオシドおよび連結を取り替えるために用いられる構造物、例えば、ペプチド核酸またはモルホリノ(−N(H)−C(=O)−O−または他の非ホスホジエステルにより連結されるモルホリノ)が挙げられる。
【0077】
「オリゴマー化合物」または「オリゴマー」は、少なくとも1つの核酸分子の領域とハイブリダイズし得る連結単量体サブユニットのポリマーを意味する。
【0078】
「オリゴヌクレオチド」は、その各々が、互いに無関係に、修飾され得るかまたは非修飾であり得る連結ヌクレオシドのポリマーを意味する。
【0079】
「非経口投与」は、注射または注入による投与を意味する。非経口投与としては、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与または頭蓋内投与、例えばくも膜下腔内投与または脳室内投与が挙げられる。投与は、連続的、または長期的、または短期的、または間欠的であり得る。
【0080】
「ペプチド」は、アミド結合により、少なくとも2つのアミノ酸を連結することにより生成される分子を意味する。ペプチドは、ポリペプチドおよびタンパク質を指す。
【0081】
「薬学的組成物」は、個体に投与するのに適した物質の混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、1つ以上の活性作用物質および滅菌水溶液を含み得る。
【0082】
「製薬上許容可能な塩」は、アンチセンス化合物の生理学的に且つ薬学的に許容可能な塩、すなわち、親オリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を保持し、そこに望ましくない毒物学的作用を付与しない塩を意味する。
【0083】
「ホスホロチオエート結合」は、非架橋酸素原子の1つをイオウ原子で置き換えることにより、ホスホジエステル結合が修飾されるヌクレオシド間の連結を意味する。ホスホロチオエート結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。
【0084】
「部分」は、核酸の限定数の連続(すなわち連結)核酸塩基を意味する。ある実施形態では、一部分は、標的核酸の限定数の連続核酸塩基である。ある実施形態では、一部分は、アンチセンス化合物の限定数の連続核酸塩基である。
【0085】
「CUGexp DMPK RNAを優先的に低減する」は、正常DMPK対立遺伝子からのRNA転写物に比して、CUGexp DMPK対立遺伝子からのRNA転写物の優先的低減を指す。
【0086】
「防止する」は、疾患、障害または症状の開始または発症を、数分間から無期限まで、遅延するかまたは未然に防ぐことを指す。防止するは、疾患、障害または症状を発症する危険を低減することも意味する。
【0087】
「プロドラッグ」は、不活性形態で調製され、内因性酵素または他の化学物質もしくは条件の作用により、身体またはその細胞内で活性形態に転化される治療薬を意味する。
【0088】
「副作用」は、所望の作用以外の処置に起因する生理学的応答を意味する。ある実施形態では、副作用としては、注射部位反応、肝機能試験異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、ミオパシーおよび倦怠が挙げられる。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼ増大は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビン増大は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。
【0089】
「一本鎖オリゴヌクレオチド」は、相補的鎖とハイブリダイズされていないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0090】
「特異的にハイブリダイズ可能な」は、所望の作用を誘導するために十分な程度の相補性をアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび標的核酸間に有するが、一方、特異的結合が所望される条件下、すなわち、in vivo検定および治療的処置の場合の生理学的条件下で、非標的核酸に及ぼす作用が最小であるかまたは作用を全く示さないアンチセンス化合物を指す。
【0091】
「スプライセオパシー」は、特定組織において変更されたスプライス産物の発現をもたらす1つ以上のRNAの選択的スプライシングの変化を意味する。
【0092】
「皮下投与」は、皮膚の真下の投与を意味する。
【0093】
「糖代用物」は、「ヌクレオシド模倣物」という少しだけ広範な用語と重複するが、しかし、糖単位(フラノース環)の取替えのみを示すよう意図される。本明細書中で提供されるテトラヒドロピラニル環は、フラノース糖基がテトラヒドロピラニル環系に取り替えられた糖の一例を示す。
【0094】
「ターゲッティング」または「標的化」は、標的核酸と特異的にハイブリダイズし、所望の作用を誘導するアンチセンス化合物の設計および選択の過程を意味する。
【0095】
「標的核酸」、「標的RNA」および「標的RNA転写物」はすべて、アンチセンス化合物により標的化され得る核酸を指す。
【0096】
「標的セグメント」は、アンチセンス化合物が標的とする標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」は、標的セグメントの5’末端ヌクレオチドを指す。「3’標的部位」は、標的セグメントの3’末端ヌクレオチドを指す。
【0097】
「治療的有効量」は、個体に治療効果を提供する作用物質の量を意味する。
【0098】
「処置する」は、疾患、障害または症状の変更または改善を実行するために薬学的組成物を投与することを指す。
【0099】
「1型筋緊張性ジストロフィー」または「DM1」は、DMPKにおける非コードCTG反復の伸長により引き起こされる常染色体優性障害を意味する。この突然変異は、伸長CUG反復(CUGexp)を含有するRNAの発現が細胞機能障害を誘導する過程であるRNA優性をもたらす。CUGexp路は、RNA結合タンパク質と相互作用して、突然変異体転写産物を核内フォーカスに保持させる。このRNAの毒性は、RNA結合タンパク質の隔離およびシグナル伝達経路の活性化に由来する。
【0100】
「非修飾ヌクレオチド」は、天然核酸塩基、糖部分およびヌクレオシド間結合で構成されるヌクレオチドを意味する。ある実施形態では、非修飾ヌクレオチドは、RNAヌクレオチド(すなわち、β−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわち、β−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0101】
実施形態例
ある実施形態は、DMPK発現を抑制するための方法、化合物および組成物を提供する。
【0102】
ある実施形態は、動物におけるDMPK発現の低減方法であって、DMPKをターゲッティングする修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与することを包含する方法を提供する。
【0103】
ある実施形態は、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減する方法であって、DMPKに対して標的化される修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与すること(ここで、修飾オリゴヌクレオチドは、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減し、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する)を包含する方法を提供する。
【0104】
ある実施形態は、病原性転写産物の切断を指示することによるRNA優性を相殺するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与方法を提供する。
【0105】
ある実施形態は、Serca1のスプライセオパシーを低減する方法を提供する。ある実施形態では、本明細書中で提供される方法は、エキソン22包含を生じる。ある実施形態では、矯正スプライシングは、前脛骨、腓腹筋および四頭筋において生じる。
【0106】
ある実施形態は、m−Titinのスプライセオパシーの低減方法を提供する。ある実施形態では、本明細書中で提供される方法は、エキソン5包含を生じる。ある実施形態では、矯正スプライシングは、前脛骨、腓腹筋および四頭筋において生じる。
【0107】
ある実施形態は、Clcn1のスプライセオパシーの低減方法を提供する。ある実施形態では、本明細書中で提供される方法は、エキソン7a包含を生じる。矯正スプライシングは、前脛骨、腓腹筋および四頭筋において生じる。
【0108】
ある実施形態は、Zaspのスプライセオパシーの低減方法を提供する。ある実施形態では、本明細書中で提供される方法は、エキソン11包含を生じる。ある実施形態では、矯正スプライシングは、前脛骨、腓腹筋および四頭筋において生じる。
【0109】
ある実施形態は、1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物の処置方法であって、以下の:a)1型筋緊張性ジストロフィーを有する前記動物を同定すること;そしてb)DMPKに対して標的化される修飾オリゴヌクレオチドを含む治療的有効量の化合物を前記動物に投与することを包含する方法を提供する。ある実施形態では、動物に投与される治療的有効量の化合物は、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減し、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する。
【0110】
ある実施形態は、CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する方法であって、前記CUGexp DMPK RNAの非反復領域と相補的な修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを、1型筋緊張性ジストロフィーを有すること、またはCUGexp DMPK RNAを有することが疑われる対象に投与することを包含する方法を提供する。修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記CUGexp DMPK RNAと結合されると、CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する。
【0111】
ある実施形態は、CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する方法であって、1型筋緊張性ジストロフィーを有するか、またはCUGexp DMPK RNAを有する対象を選択すること;そして前記CUGexp DMPK RNAの非反復領域と相補的な化学的に修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に投与することを包含する方法を提供する。修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CUGexp DMPK RNAと結合されると、リボヌクレアーゼまたは核内リボヌクレアーゼを活性化し、それにより核中のCUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する。
【0112】
ある実施形態は、CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する方法であって、1型筋緊張性ジストロフィーを有するか、またはCUGexp DMPK RNAを有する対象を選択すること;そして前記CUGexp DMPK RNAの非反復領域と相補的な修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に全身投与することを包含する方法を提供する。修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、突然変異体またはCUGexp DMPK RNAと結合されると、突然変異体またはCUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する。
【0113】
ある実施形態は、それを必要とする対象における筋緊張症の低減方法を提供する。当該方法は、DMPK RNAの非反復領域と相補的な修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に投与することを包含するが、この場合、修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DMPK RNAと結合されると、リボヌクレアーゼまたは核内リボヌクレアーゼを活性化し、それにより筋緊張症を低減する。ある実施形態では、対象は、1型筋緊張性ジストロフィーを有するかもしくは有することが疑われ、または突然変異体DMPK RNAもしくはCUGexp DMPK RNAを有することが疑われる。ある実施形態では、DMPK RNAは、核内保持される。
【0114】
ある実施形態は、それを必要とする対象におけるスプライセオパシーの低減方法を提供する。当該方法は、DMPK RNAの非反復領域と相補的な修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に投与することを包含するが、この場合、修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DMPK RNAと結合されると、リボヌクレアーゼまたは核内リボヌクレアーゼを活性化し、それによりスプライセオパシーを低減する。ある実施形態では、対象は、1型筋緊張性ジストロフィーを有するかもしくは有することが疑われ、または突然変異体DMPK RNAもしくはCUGexp DMPK RNAを有することが疑われる。ある実施形態では、DMPK RNAは、核内保持される。ある実施形態では、スプライセオパシーはMBNL依存性スプライセオパシーである。
【0115】
ある実施形態では、当該方法の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドはキメラである。ある実施形態では、当該方法の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドはギャップマーである。
【0116】
本明細書中で提供される方法のある実施形態では、投与することは皮下である。ある実施形態では、投与することは静脈内である。
【0117】
ある実施形態では、当該方法の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DMPK RNAの非反復領域内の非コード配列を標的にする。ある実施形態では、オリゴヌクレオチドは、突然変異DMPK RNAのコード領域、イントロン、5’UTRまたは3’UTRを標的にする。
【0118】
本明細書中で提供される方法のある実施形態では、核内リボヌクレアーゼはRNアーゼ H1である。
【0119】
当該方法のある実施形態では、DMPK RNAは、筋肉組織において低減される。ある実施形態では、突然変異体DMPK RNA CUGexp DMPK RNAは優先的に低減される。
【0120】
ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NM_001081560.1で記述されるような配列を有する(配列番号1として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKはGenBank寄託番号NT_011109.15(ヌクレオチド18540696から18555106まで切頭化)で記述されるような配列を有する(配列番号2として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NT_039413.7(ヌクレオチド16666001から16681000まで切頭化)で記述されるような配列を有する(配列番号3として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKはGenBank寄託番号NM 032418.1で記述されるような配列を有する(配列番号4として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号AI007148.1で記述されるような配列を有する(配列番号5として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号AI304033.1で記述されるような配列を有する(配列番号6として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BC024150.1で記述されるような配列を有する(配列番号7として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BC056615.1で記述されるような配列を有する(配列番号8として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BC075715.1で記述されるような配列を有する(配列番号793として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号BU519245.1で記述されるような配列を有する(配列番号794として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号CB247909.1で記述されるような配列を有する(配列番号795として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号CX208906.1で記述されるような配列を有する(配列番号796として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号CX732022.1で記述されるような配列を有する(配列番号797として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号S60315.1で記述されるような配列を有する(配列番号798として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号S60316.1で記述されるような配列を有する(配列番号799として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NM 001081562.1で記述されるような配列を有する(配列番号800として本明細書中に組入れられる)。ある実施形態では、DMPKは、GenBank寄託番号NM_001100.3で記述されるような配列を有する(配列番号801として本明細書中に組入れられる)。
【0121】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも8連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも9、少なくとも10または少なくとも11連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0122】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも13または少なくとも14連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0123】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも15連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも16または少なくとも17連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0124】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも18連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも19連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0125】
ある実施形態では、本明細書中で提供される修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の以下の領域のうちのいずれか1つに対して標的化される:1178−1206、2159−2182、2174−2196、2426−2447、2450−2518、2679−2704または2697−2725。
【0126】
ある実施形態では、本明細書中で提供される修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の以下の領域のうちのいずれか1つに対して標的化される:178−223、232−253、279−299、366−399、519−541、923−975、1073−1105、1171−1196、1215−1246、1263−1324、1706−1734、1743−1763、1932−1979、1981−2003、2077−2108または2152−2173。
【0127】
ある実施形態では、本明細書中で提供される修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号2の以下の領域のうちのいずれか1つに対して標的化される:1251−1303、1305−1326、1352−1372、3762−3795、4170−4192、5800−5852、6124−6149、6168−6199、6216−6277、11979−12007、12016−12036、12993−13042、13044−13066、13140−13171または13215−13236。
【0128】
ある実施形態では、動物はヒトである。
【0129】
ある実施形態では、本発明の化合物または組成物は第一作用物質と呼ばれ、本発明の方法は、第二作用物質を投与することをさらに包含する。ある実施形態では、第一作用物質および第二作用物質は同時投与される。ある実施形態では、第一作用物質および第二作用物質は、逐次的にまたは同時に、併用投与される。
【0130】
ある実施形態では、投与は非経口投与を包含する。
【0131】
ある実施形態では、化合物は一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に配列番号1〜8および793〜801のいずれか1つと少なくとも95%相補的である。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に配列番号1〜8および793〜801のいずれか1つと100%相補的である。
【0132】
ある実施形態では、前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシド間結合は修飾ヌクレオシド間結合である。ある実施形態では、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0133】
ある実施形態では、前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは修飾糖を含む。ある実施形態では、少なくとも1つの修飾糖は二環式糖である。ある実施形態では、少なくとも1つの修飾糖は2’−O−メトキシエチルまたは4’−(CH−O−2’架橋(式中、nは1または2である)を含む。
【0134】
ある実施形態では、前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、修飾核酸塩基は5−メチルシトシンである。
【0135】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、以下の:a)連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;c)連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメントを含む。ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは修飾糖を含む。
【0136】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、以下の:a)10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;c)5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメントを含む。ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、そして前記修飾オリゴヌクレオチド中の各シトシンは5’−メチルシトシンである。
【0137】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは20連結ヌクレオシドからなる。
【0138】
ある実施形態は、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減する方法であって、10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメントおよび5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメントを有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与することを包含する方法を提供する。ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、前記修飾オリゴヌクレオチド中の各シトシンは5’−メチルシトシンである。
【0139】
ある実施形態は、本明細書中に記載される治療方法のいずれかで用いるための医薬品の製造における本明細書中に記載されるような任意の化合物の使用を提供する。例えば、ある実施形態は、1型筋緊張性ジストロフィーを処置し、改善し、または防止するための医薬品の製造における本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。ある実施形態は、DMPKの発現を抑制し、そしてDMPK関連疾患および/またはその症候を処置し、防止し、遅延しまたは改善するための医薬品の製造における、本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。ある実施形態は、動物におけるDMPK発現を低減するための医薬品の製造における、本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。ある実施形態は、動物におけるCUGexp DMPKを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減するための医薬品の製造における、本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。ある実施形態は、1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物を処置するための医薬品の製造における本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。ある実施形態は、DM1の発症に関連した症候および結果、例えば筋肉強直、筋緊張症、障害性遠位性衰弱、顔面および顎筋肉の衰弱、嚥下困難、眼瞼の垂れ下がり(眼瞼下垂)、首の筋肉の衰弱、腕および足の筋肉の衰弱、持続性筋肉痛、過眠症、筋消耗、嚥下障害、呼吸不全、不規則心拍、心筋損傷、無感動、インスリン抵抗性および白内障を、処置し、防止し、遅延し、または改善するための医薬品の製造における本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。ある実施形態は、病原性転写産物の切断を指示することにより、RNA優性を相殺するための医薬品の製造における本明細書中に記載されるような化合物の使用を提供する。
【0140】
ある実施形態は、本明細書中に記載されるような1型筋緊張性ジストロフィーを処置し、防止し、または改善するためのキットであって、a)本明細書中に記載されるような化合物;そして任意にb)本明細書中に記載されるような付加的作用物質または治療を包含するキットを提供する。キットは、1型筋緊張性ジストロフィーを処置し、防止しまたは改善するためのキットを用いるための機器またはラベルをさらに包含する。
【0141】
ある実施形態は、本明細書中に記載されるような治療方法のいずれかに用いるための、本明細書中に記載されるような任意の化合物または組成物を提供する。例えば、ある実施形態は、DMPKの発現を抑制し、そしてDMPK関連疾患および/またはその症候を処置し、防止し、遅延し、または改善するための、本明細書中に記載されるような化合物または組成物を提供する。ある実施形態は、動物におけるDMPK発現を低減するのに用いるための、本明細書中に記載されるような化合物または組成物を提供する。ある実施形態は、動物におけるCUGexp DMPKを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減するのに用いるための、本明細書中に記載されるような化合物または組成物を提供する。ある実施形態は、1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物を処置するのに用いるための、本明細書中に記載されるような化合物または組成物を提供する。ある実施形態は、DM1の発症に関連した症候および結果、例えば筋肉強直、筋緊張症、障害性遠位性衰弱、顔面および顎筋肉の衰弱、嚥下困難、眼瞼の垂れ下がり(眼瞼下垂)、首の筋肉の衰弱、腕および足の筋肉の衰弱、持続性筋肉痛、過眠症、筋消耗、嚥下障害、呼吸不全、不規則心拍、心筋損傷、無感動、インスリン抵抗性および白内障を、処置し、防止し、遅延し、または改善するのに用いるための、本明細書中に記載されるような化合物または組成物を提供する。ある実施形態は、病原性転写産物の切断を指示することにより、RNA優性を相殺するのに用いるための、本明細書中に記載されるような化合物または組成物を提供する。ある実施形態は、配列番号12〜156、160〜770および774〜792の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
【0142】
本明細書中に記載される方法で用いられ得る他の化合物も提供される。
【0143】
例えばある実施形態は、配列番号41、44、76、109、153、320、321、322、325、329、335および657の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、または少なくとも19連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する10〜80、12〜50、12〜30、15〜30、18〜24、19〜22、または20の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
【0144】
ある実施形態は、配列番号15、73、77、79、83、85、130、602、648、655、674および680のいずれかの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、または少なくとも19連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する10〜80、12〜50、12〜30、15〜30、18〜24、19〜22、または20の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
【0145】
ある実施形態は、配列番号1の核酸塩基664−683、773−792、926−945、927−946、928−947、931−950、935−954、941−960、2089−2108、2163−2182、2490−2509、2499−2518、2676−2695、2685−2704、2676−2695、2688−2707、2697−2716、2764−2783および2770−2789の等長部分と相補的な少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、または少なくとも19またはそれ以上の連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する10〜80、12〜50、12〜30、15〜30、18〜24、19〜22、または20の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する(ここで、核酸塩基配列は、配列番号1と相補的である)。
【0146】
ある実施形態は、配列番号2の核酸塩基812−831、3629−3648、4447−4466、4613−4632、5803−5822、5804−5823、5805−5824、5808−5827、5818−5837、6794−6813、12463−12482、13152−13171および13553−13572の等長部分と相補的な少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、または少なくとも19またはそれ以上の連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する10〜80、12〜50、12〜30、15〜30、18〜24、19〜22、または20の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する(ここで、核酸塩基配列は、配列番号2と相補的である)。
【0147】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0148】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号1〜8および793〜801のいずれかと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である。
【0149】
ある実施形態では、少なくとも1つのヌクレオシド間結合は修飾ヌクレオシド間結合である。
【0150】
ある実施形態では、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0151】
ある実施形態では、少なくとも1つのヌクレオシドは修飾糖を含む。
【0152】
ある実施形態では、少なくとも1つの修飾糖は二環式糖である。
【0153】
ある実施形態では、少なくとも1つの修飾糖は、2’−O−メトキシエチルを含む。
【0154】
ある実施形態では、少なくとも1つのヌクレオシドは修飾核酸塩基を含む。
【0155】
ある実施形態では、修飾核酸塩基は5−メチルシトシンである。
【0156】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、以下の:
連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含むが、この場合、ギャップセグメントは5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは修飾糖を含む。
【0157】
ある実施形態では、前記修飾オリゴヌクレオチドは、以下の:
10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含むが、この場合、ギャップセグメントは5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、そして各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0158】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは14連結ヌクレオシドからなる。
【0159】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは16連結ヌクレオシドからなる。
【0160】
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは20連結ヌクレオシドからなる。
【0161】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物としては、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣物、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAsが挙げられるが、これらに限定されない。オリゴマー化合物は、標的核酸に対して「アンチセンス」であり得るが、これは、水素結合を介して標的核酸とのハイブリダイゼーションを受け得ることを意味する。
【0162】
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、5’−3’方向で記される場合、それが標的化される標的核酸の標的セグメントの逆相補配列を含む核酸塩基配列を有する。ある種のこのような実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’−3’方向で記される場合、それが標的化される標的核酸の標的セグメントの逆相補配列を含む核酸塩基配列を有する。
【0163】
ある実施形態では、本明細書中に記載されるようなDMPKに対して標的化されるアンチセンス化合物は、10〜30ヌクレオチド長である。言い換えれば、アンチセンス化合物は、いくつかの実施形態では、10〜30連結核酸塩基である。他の実施形態では、アンチセンス化合物は、8〜80、10〜80、12〜30、12〜50、15〜30、18〜24、19〜22または20連結核酸塩基からなる修飾オリゴヌクレオチドを含む。ある種のこのような実施形態では、アンチセンス化合物は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79もしくは80連結核酸塩基長、または上記値のうちの任意の2つにより限定される範囲からなる修飾オリゴヌクレオチドを含む。ある実施形態では、これらの長さのうちのいずれかを有するアンチセンス化合物は、本明細書中に記載される例示的アンチセンス化合物のいずれかの核酸塩基配列を有する、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18または少なくとも19連続核酸塩基を含有する(例えば、配列番号12−156、160−770および774−792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも8連続核酸塩基)。
【0164】
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、短縮化または切頭化修飾オリゴヌクレオチドを含む。短縮化または切頭化修飾オリゴヌクレオチドは、5’末端から(5’切頭)、あるいは3’末端から(3’切頭)欠失される単一ヌクレオシドを有し得る。短縮化または切頭化オリゴヌクレオチドは、5’末端から欠失される2つのヌクレオシドを有し得るし、あるいは、3’末端から欠失される2つのサブユニットを有し得る。あるいは、例えば、5’末端から欠失される1つのヌクレオシドおよび3’末端から欠失される1つのヌクレオシドを有するアンチセンス化合物では、欠失ヌクレオシドは、修飾オリゴヌクレオチド全体に分散され得る。
【0165】
単一の付加的ヌクレオシドが延長オリゴヌクレオチド中に存在する場合、付加的ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの5’または3’末端に配置され得る。2つ以上の付加的ヌクレオシドが存在する場合、例えば、オリゴヌクレオチドの5’末端(5’付加)あるいは、3’末端(3’付加)に付加される2つのヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドでは、付加ヌクレオシドは互いに隣接し得る。
【0166】
あるいは、例えば、5’末端に付加される1つのヌクレオシドおよび3’末端に付加される1つのサブユニットを有するオリゴヌクレオチドでは、付加ヌクレオシドは、アンチセンス化合物全体に分散され得る。
【0167】
活性を失うことなく、アンチセンス化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドの長さを増大し、または低減することが可能であるし、および/または不適正塩基を導入することができる。例えば、Woolfet al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7305-7309, 1992)では、13〜25核酸塩基長の一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、卵母細胞注射モデルにおいて、標的RNAの切断を誘導するそれらの能力に関して試験した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端付近に8または11不適正塩基を有する25核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含有しないアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも少程度にではあるが、標的mRNAの特異的切断を指示することができた。同様に、標的特異的切断は、1または3つのミスマッチを有するものを含めて、13核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて達成された。
【0168】
Gautschi et al (J. Natl. Cancer Inst. 93:463-471, March 2001)は、bcl−2 mRNAとの100%相補性を有する、ならびにbcl−xL mRNAに対する3つのミスマッチを有するオリゴヌクレオチドの、in vitroおよびin vivoでbcl−2およびbcl−xLの両方の発現を低減する能力を実証した。
【0169】
さらに、このオリゴヌクレオチドは、in vivoでの強力な抗腫瘍活性を実証した。
【0170】
Maher and Dolnick (Nuc. Acid. Res. 16:3341-3358, 1988)は、一連のタンデム14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびにそれぞれ2または3つの前記タンデムアンチセンスオリゴヌクレオチド配列で構成される28および42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ウサギ網状赤血球検定において、ヒトDHFRの翻訳を阻止するそれらの能力に関して試験した。3つの14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々は単独では、28または42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドより控えめなレベルではあるが、翻訳を抑制し得た。
【0171】
アンチセンス化合物モチーフ
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、抑制活性増大、標的核酸に対する結合親和性増大、またはin vivoヌクレアーゼによる分解に対する耐性といったような特性をアンチセンス化合物に付与する、パターンまたはモチーフに配列される化学修飾サブユニットを有する。
【0172】
キメラアンチセンス化合物は、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する耐性増大、細胞取込み増大、標的核酸に対する結合親和性増大、および/または抑制活性増大を付与するよう修飾される少なくとも1つの領域を含有する。
【0173】
キメラアンチセンス化合物の第二の領域は、任意に、細胞エンドヌクレアーゼRNアーゼH(これは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する)のための基質として役立つ。
【0174】
ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物は、キメラアンチセンス化合物とみなされる。ギャップマーにおいて、RNアーゼH切断を支持する複数のヌクレオチドを有する内部領域は、内部領域のヌクレオシドとは化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外部領域間に配置される。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ギャップセグメントは、一般的に、エンドヌクレアーゼ切断のための基質として役立つが、一方、ウィングセグメントは、修飾ヌクレオシドを含む。ある実施形態では、ギャップマーの領域は、各々別個の領域を含む糖部分の型により区別される。ギャップマーの領域を区別するために用いられる糖部分の型は、いくつかの実施形態では、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド2’−修飾ヌクレオシド(このような2’−修飾ヌクレオシドは2’−MOEおよび2’−O−CHを特に含み得る)、ならびに二環式糖修飾ヌクレオシド(このような二環式糖修飾ヌクレオシドは、4’−(CH−O−2’架橋を有するものを包含し得る;ここで、n=1またはn=2)を包含する。好ましくは、各々の別個の領域は、均一糖部分を含む。ウィング−ギャップ−ウィングモチーフは、しばしば「X−Y−Z」として記載されるが、この場合、「X」は、5’ウィング領域の長さを表し、「Y」は、ギャップ領域の長さを表し、そして「Z」は、3’ウィング領域の長さを表す。本明細書中で用いる場合、「X−Y−Z」として記載されるギャップマーは、ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの各々に直隣接して配置されるような立体配置を有する。したがって、5’ウィングセグメントおよびギャップセグメント間、またはギャップセグメントおよび3’ウィングセグメント間に介入ヌクレオチドは存在しない。本明細書中に記載されるアンチセンス化合物のいずれかは、ギャップマーモチーフを有し得る。いくつかの実施形態では、XおよびZは同一であり、他の実施形態では、それらは異なる。好ましい一実施形態では、Yは、8〜15ヌクレオチドである。X、YまたはZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30またはそれ以上のヌクレオチドのいずれかであり得る。したがって、ギャップマーとしては、例えば5−10−5、4−8−4、4−12−3、4−12−4、3−14−3、2−13−5、2−16−2、1−18−1、3−10−3、2−10−2、1−10−1、2−8−2、6−8−6、5−8−5、1−8−1または2−6−2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、ギャップマー立体配置に関して上記されたようなウィング−ギャップまたはギャップ−ウィング立体配置、すなわちX−YまたはY−Z立体配置を有する「ウィングマー」モチーフを有する。したがって、ウィングマー立体配置としては、例えば5−10、8−4、4−12、12−4、3−14、16−2、18−1、10−3、2−10、1−10、8−2、2−13または5−13が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、5−10−5ギャップマーモチーフを保有する。
【0177】
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、ギャップ拡大モチーフを有する。
【0178】
ある実施形態では、これらのギャップマーまたはウィングマーモチーフのいずれかのアンチセンス化合物は、本明細書中に記載される例示的アンチセンス化合物のいずれかの核酸塩基配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18または少なくとも19連続核酸塩基(例えば、配列番号12−156、160−770および774−792のいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも8連続核酸塩基)を含有する。
【0179】
標的核酸、標的領域およびヌクレオチド配列
DMPKをコードするヌクレオチド配列としては、以下の配列が挙げられるが、これらに限定されない:GenBank寄託番号NM_001081560.1で記述されるような配列(配列番号1として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号NT_011109.15(ヌクレオチド18540696から18555106まで切頭化)で記述されるような配列(配列番号2として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号NT_039413.7(ヌクレオチド16666001から16681000まで切頭化)で記述されるような配列(配列番号3として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号NM 032418.1で記述されるような配列(配列番号4として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号AI007148.1で記述されるような配列(配列番号5として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号AI304033.1で記述されるような配列(配列番号6として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号BC024150.1で記述されるような配列(配列番号7として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号BC056615.1で記述されるような配列(配列番号8として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号BC075715.1で記述されるような配列(配列番号793として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号BU519245.1で記述されるような配列(配列番号794として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号CB247909.1で記述されるような配列(配列番号795として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号CX208906.1で記述されるような配列(配列番号796として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号CX732022.1で記述されるような配列(配列番号797として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号S60315.1で記述されるような配列(配列番号798として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号S60316.1で記述されるような配列(配列番号799として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号NM 001081562.1で記述されるような配列(配列番号800として本明細書中に組入れられる)、GenBank寄託番号NM_001100.3で記述されるような配列(配列番号801として本明細書中に組入れられる)。本明細書中に含有される実施例において各配列番号で記述される配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合または核酸塩基に対する任意の修飾とは無関係である、と理解される。このようなものとして、配列番号により限定されるアンチセンス化合物は、独立して、糖部分、ヌクレオシド間結合または核酸塩基に対する1つ以上の修飾を含み得る。Isis番号(Isis No)により記載されるアンチセンス化合物は、核酸塩基配列およびモチーフの組合せを示す。
【0180】
ある実施形態では、標的領域は、標的核酸の構造限定領域である。例えば、標的領域は、3’ UTR、5’ UTR、エキソン、イントロン、エキソン/イントロン接合、コード領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域、またはその他の限定核酸領域を包含し得る。DMPKに関する構造限定領域は、NCBIのような配列データベースからの寄託番号により得られ、このような情報は、参照により本明細書中に組入れられる。ある実施形態では、標的領域は、標的領域内の一標的セグメントの5’標的部位から、標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含し得る。
【0181】
ターゲッティングは、所望の作用が生じるよう、アンチセンス化合物がハイブリダイズする少なくとも1つの標的セグメントの確定を包含する。ある実施形態では、所望の作用は、mRNA標的核酸レベルの低減である。ある実施形態では、所望の作用は、標的核酸によりコードされるタンパク質のレベルの低減、または標的核酸と関連した表現型変化である。
【0182】
標的領域は、1つ以上の標的セグメントを含有し得る。標的領域内の複数の標的セグメントは、重複している可能性がある。あるいは、それらは、非重複性であり得る。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、約300以下のヌクレオチドにより分離される。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10ヌクレオチドであるか、およそその数値であるか、その数値以下であるか、およそその数値以下であるか、または前記の数値のうちの任意の2つにより限定される範囲である、多数のヌクレオチドにより分離される。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の5以下、または約5以下のヌクレオチドにより分離される。ある実施形態では、標的セグメントは連続している。本明細書中に列挙される5’標的部位または3’標的部位のいずれかである出発核酸を有する範囲により限定される標的領域が意図される。
【0183】
適切な標的セグメントは、5’UTR、コード領域、3’UTR、イントロン、エキソンまたはエキソン/イントロン接合内に見出され得る。開始コドンまたは停止コドンを含有する標的セグメントも、適切な標的セグメントである。適切な標的セグメントは、ある種の構造限定領域、例えば開始コドンまたは停止コドンを特異的に排除し得る。
【0184】
適切な標的セグメントの確定は、ゲノム全体を通して、標的核酸の配列と他の配列とを比較することを包含し得る。例えば、BLASTアルゴリズムを用いて、異なる核酸間の類似性を有する領域を同定し得る。この比較は、非特異的な方法で、選択標的核酸以外の配列(すなわち、非標的または非特異的配列)とハイブリダイズし得るアンチセンス化合物配列の選択を防止する。
【0185】
活性標的領域内のアンチセンス化合物の(例えば、標的核酸レベルの低減%により示されるような)活性における変動が存在し得る。ある実施形態では、DMPK mRNAレベルの低減は、DMPKタンパク質発現の抑制を示す。DMPKタンパク質のレベル低減も、標的mRNAの抑制を示す。さらに、表現型変化、例えば筋緊張症を低減すること、またはスプライセオパシーを低減することは、DMPK mRNAおよび/またはタンパク質発現の抑制を示し得る。
【0186】
ハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションは、本明細書中に開示されるアンチセンス化合物とDMPK核酸との間に起きる。ハイブリダイゼーションの最も一般的な機序は、核酸分子の相補的核酸塩基間の水素結合(例えば、ワトソン−クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン型水素結合)を伴う。
【0187】
ハイブリダイゼーションは、種々の条件下で起こり得る。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、ハイブリダイズされるべき核酸分子の性質および組成により決定される。
【0188】
配列が標的核酸と特異的にハイブリダイズ可能であるか否かを確定する方法は、当該技術分野で周知である(Sambrooke and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rdEd., 2001)。ある実施形態では、本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、DMPK核酸と特異的にハイブリダイズ可能である。
【0189】
相補性
アンチセンス化合物および標的核酸は、所望の作用(例えば、DMPK核酸のような標的核酸のアンチセンス抑制)が生じるよう、アンチセンス化合物の十分数の核酸塩基が標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合し得る場合、互いに相補的である。
【0190】
アンチセンス化合物は、介入または隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないよう、DMPK核酸の1つ以上のセグメントに亘ってハイブリダイズし得る(例えば、ループ構造、ミスマッチまたはヘアピン構造)。
【0191】
ある実施形態では、本明細書中で提供されるアンチセンス化合物またはその特定部分は、DMPK核酸、標的領域、標的セグメントまたはその特定部分と70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%(または少なくとも上記数値)または100%相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、DMPK核酸、標的領域、標的セグメントまたはその特定部分と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相補的であり、そして本明細書中に記載される例示的アンチセンス化合物の核酸塩基配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18または少なくとも19連続核酸塩基(例えば、配列番号12−156、160−770および774−792のうちのいずれか1つで挙げられる核酸塩基配列の少なくとも8連続核酸塩基)を含有する。標的核酸とのアンチセンス化合物の相補性%は、慣例的方法を用いて確定され得るし、アンチセンス化合物の全体に亘って測定される。
【0192】
例えば、アンチセンス化合物の20の核酸塩基のうちの18が標的領域と相補的であり、したがって特異的にハイブリダイズするであろうアンチセンス化合物は、90%相補性を示すだろう。この例では、残りの非相補的核酸塩基は、クラスター化していても、または相補的核酸塩基を挟まれていてもよく、互いとまたは相補的核酸塩基と連続である必要はない。このようなものとして、標的核酸と完全相補性の2つの領域が側面に位置する4つの非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、標的核酸と全体で77.8%の相補性を有し、したがって、本発明の範囲内であろう。標的核酸の一領域とのアンチセンス化合物の相補性%は、当該技術分野で既知のBLASTプログラム(基本的局所アラインメント検索ツール basic local alignment search tools)およびPowerBLASTプログラムを用いて慣例的に確定され得る(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403 410; Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649 656)。相同性%、配列同一性または相補性は、例えばギャッププログラム(ウィスコンシン配列解析パッケージ、バージョン8、Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison Wis.)により、Smith and Waterman(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482 489)のアルゴリズムを用いるデフォルト設定を用いて確定され得る。
【0193】
ある実施形態では、本明細書中で提供されるアンチセンス化合物またはその特定部分は、標的核酸またはその特定部分に対して、完全相補的(すなわち、100%相補的)である。例えば、アンチセンス化合物は、DMPK核酸、または標的領域、または標的セグメント、またはその標的配列に対して完全相補的であり得る。本明細書中で用いる場合、「完全相補的」は、アンチセンス化合物の各核酸塩基が標的核酸の対応する核酸塩基と正確に塩基対合し得ることを意味する。例えば、20核酸塩基アンチセンス化合物は、アンチセンス化合物と完全相補的である標的核酸の対応する20核酸塩基部分が存在する限り、400核酸塩基長である標的配列と完全相補的である。完全に相補的は、第一および/または第二核酸の特定部分に言及する場合にも用いられ得る。例えば、30核酸塩基アンチセンス化合物の20核酸塩基部分は、400核酸塩基長である標的配列と「完全に相補的」であり得る。30核酸塩基オリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は、各核酸塩基がアンチセンス化合物の20核酸塩基部分と相補的である対応する20核酸塩基部分を標的配列が有する場合、標的配列と完全相補的である。同時に、全30核酸塩基アンチセンス化合物は、アンチセンス化合物の残りの10核酸塩基も標的配列と相補的であるか否かによって、標的配列と完全相補的であり得る。
【0194】
非相補的核酸塩基の場所は、アンチセンス化合物の5’末端または3’末端であり得る。あるいは、単数または複数の非相補的核酸塩基は、アンチセンス化合物の内部位置に存在し得る。2つ以上の非相補的核酸塩基が存在する場合、それらは連続(すなわち、連結される)または非連続であり得る。一実施形態では、非相補的核酸塩基は、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウィングセグメント中に配置される。
【0195】
ある実施形態では、10、12、13、14、15、16、17、18、19または20核酸塩基長または前記の値までの核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、標的核酸、例えばDMPK核酸またはその特定部分に比して、4以下、3以下、2以下または1以下の非相補的核酸塩基(単数または複数)を含む。
【0196】
ある実施形態では、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30核酸塩基長または前記の値までの核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、標的核酸、例えばDMPK核酸またはその特定部分に比して、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の非相補的核酸塩基(単数または複数)を含む。
【0197】
本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、標的核酸の一部分と相補的であるものも包含する。本明細書中で用いる場合、「部分」は、標的核酸の領域またはセグメント内の限定数の連続(すなわち、連結された)核酸塩基を指す。「部分」は、アンチセンス化合物の限定数の連続核酸塩基も指し得る。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも8核酸塩基部分と相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも10核酸塩基部分と相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも15核酸塩基部分と相補的である。標的セグメントの標的セグメントの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20もしくはそれ以上の核酸塩基部分、またはこれらの値のうちの任意の2つにより限定される範囲と相補的であるアンチセンス化合物も意図される。
【0198】
同一性
本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、特定のヌクレオチド配列、配列番号、もしくは特定のIsis番号により表される化合物、またはその部分との限定%の同一性も有し得る。本明細書中で用いる場合、アンチセンス化合物は、それが同一核酸塩基対合能力を有する場合、本明細書中に開示される配列と同一である。例えば、開示DNA配列中にチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、ウラシルおよびチミジンがともにアデニンと対合するため、DNA配列と同一であるとみなされるだろう。本明細書中に記載されるアンチセンス化合物の短縮化および延長化バージョン、ならびに本明細書中で提供されるアンチセンス化合物に比して非同一塩基を有する化合物も意図される。非同一塩基は、互いと隣接し得るか、またはアンチセンス化合物全体に分散され得る。アンチセンス化合物の同一性%は、それが比較されている配列に比して、同一塩基対合を有する塩基の数によって算定される。
【0199】
ある実施形態では、アンチセンス化合物またはその部分は、本明細書中に開示される例示的アンチセンス化合物、または配列番号、またはその部分のうちの1つ以上と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である。
【0200】
修飾
ヌクレオシドは、塩基−糖組合せ物である。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基としても既知)部分は、普通は複素環式塩基部分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分と共有結合されるリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドに関しては、リン酸基は、糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分と連結され得る。オリゴヌクレオチドは、隣接ヌクレオシドと互いに共有結合することにより形成されて、線状高分子オリゴヌクレオチドを生成する。オリゴヌクレオチド構造内では、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成すると言及される。
【0201】
アンチセンス化合物に対する修飾は、ヌクレオシド間結合、糖部分または核酸塩基に対する置換または変化を包含する。修飾アンチセンス化合物は、しばしば、天然型よりも望ましいが、それは、望ましい特性、例えば細胞取込み増強、核酸標的に対する親和性増強、ヌクレアーゼの存在下での安定性増大、または抑制活性増大のためである。
【0202】
化学的に修飾されたヌクレオシドは、その標的核酸に対する短縮化または切頭化アンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を増大するためにも用いられ得る。したがって、このような化学修飾ヌクレオシドを有するより短いアンチセンス化合物に匹敵する結果がしばしば得られ得る。
【0203】
修飾ヌクレオシド間結合
RNAおよびDNAの天然ヌクレオシド間結合は、3’−5’ホスホジエステル結合である。1つ以上の修飾、すなわち非天然ヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物は、しばしば、天然ヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物を上回って選択されるが、それは、望ましい特性、例えば細胞取込み増強、核酸標的に対する親和性増強、ヌクレアーゼの存在下での安定性増大、または抑制活性増大のためである。
【0204】
修飾ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドは、リン原子を保持するヌクレオシド間結合、およびリン原子を有さないヌクレオシド間結合を包含する。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合としては、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデートおよびホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限定されない。リン含有および非リン含有結合の調製方法は、よく知られている。
【0205】
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。ある実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0206】
修飾糖部分
本発明のアンチセンス化合物は、任意に、糖基が修飾されている1つ以上のヌクレオシドを含有する。このような糖修飾ヌクレオシドは、ヌクレアーゼ安定性増強、結合親和性増大、またはいくつかの他の有益な生物学的特性をアンチセンス化合物に付与し得る。ある実施形態では、ヌクレオシドは、化学修飾リボフラノース環部分を含む。化学修飾リボフラノース環の例としては、置換基の付加(例えば、5’および2’置換基)、二環式核酸(BNA)を生成するための非ジェミナル環の架橋、S、N(R)またはC(R)(R)(R、RおよびRは、各々独立して、H、C〜C12アルキルまたは保護基である)によるリボシル環酸素原子の置換、ならびにその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。化学修飾糖の例としては、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(PCT国際出願 WO2008/101157、他の開示された5’,2’−ビス置換ヌクレオシドに関して2008年8月21に公開を参照)、または2’位置でのさらなる置換によるリボシル環酸素原子のSとの置換に、(公開米国特許出願US2005/0130923、2005年6月16日公開を参照)、あるいは、BNAの5’−置換(PCT国際出願 WO2007/134181、2007年11月22日公開を参照;この中で、LNAは、例えば、5’−メチルまたは5’−ビニル基で置換される)が挙げられる。
【0207】
修飾糖部分を有するヌクレオシドの例としては、5’−ビニル、5’−メチル(RまたはS)、4’−S、2’−F、2’−OCH、2’−OCHCH、2’−OCHCHFおよび2’−O(CHOCH置換基を含むヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。2’位置での置換基は、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C〜C10アルキル、OCF、OCHF、O(CHSCH、O(CH−O−N(R)(R)、O−CH−C(=O)−N(R)(R)およびO−CH−C(=O)−N(R)−(CH−N(R)(R)(ここで、R、RおよびRは、各々独立して、Hまたは置換もしくは非置換C〜C10アルキルである)からも選択され得る。
【0208】
二環式核酸(BNA)の例としては、4’および2’リボシル環原子間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられるが、これに限定されない。ある実施形態では、本明細書中で提供されるアンチセンス化合物は、架橋が以下の式のうちの1つを含む1つ以上のBNAヌクレオシドを包含する:4’−(CH)−O−2’(LNA);4’−(CH)−S−2’;4’−(CH−O−2’(ENA);4’−CH(CH)−O−2’および4’−CH(CHOCH)−O−2’(ならびにその類似体;米国特許第7,399,845号、2008年7月15日発行を参照);4’−C(CH)(CH)−O−2’(ならびにその類似体;PCT/US2008/068922(WO/2009/006478として公開された(2009年1月8日公開))を参照);4’−CH−N(OCH)−2’(ならびにその類似体;PCT/US2008/064591(WO/2008/150729(2008年12月11日公開)として公開された)を参照);4’−CH−O−N(CH)−2’(公開米国特許出願 US2004−0171570(2004年9月2日公開)参照);4’−CH−N(R)−O−2’(式中、RはH、C〜C12アルキル、または保護基である(米国特許第7,427,672号(2008年9月23日発行)参照);4’−CH−C(H)(CH)−2’(Chattopadhyaya et al, J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134参照);ならびに4’−CH−C(=CH)−2’(およびその類似体;PCT/US2008/066154(WO2008/154401として公開された(2008年12月8日公開))参照)。
【0209】
さらに二環式ヌクレオシドは、発表済み文献中で報告されている(例えば:Srivastava et al., J. Am. Chem. Soc, 2007, 129(26) 8362-8379; Frieden et al, Nucleic Acids
Research, 2003, 21, 6365-6372; Elayadi et al, Curr. Opinion Invens. Drugs, 2001, 2, 558-561; Braasch et al, Chem. Biol, 2001, 8, 1-7; Orum et al, Curr. Opinion Mol. Ther., 2001, 3, 239-243; Wahlestedt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 5633-5638; Singh et al., Chem. Commun., 1998, 4, 455-456; Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630; Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222; Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039;米国特許:7,399,845;7,053,207;7,034,133;6,794,499;6,770,748;6,670,461;6,525,191;6,268,490;米国特許公開番号:US2008−0039618;US2007−0287831;US2004−0171570;米国特許出願:12/129,154;61/099,844;61/097,787;61/086,231;61/056,564;61/026,998;61/026,995;60/989,574;国際出願 WO2007/134181;WO2005/021570;WO2004/106356;WO94/14226;ならびにPCT国際出願:PCT/US2008/068922;PCT/US2008/066154;およびPCT/US2008/064591参照)。前記の二環式ヌクレオシドの各々は、1つ以上の立体化学的糖立体配置、例えば、α−L−リボフラノースおよびβ−D−リボフラノースを有して調製され得る(PCT国際出願 PCT/DK98/00393(WO99/14226として1999年3月25日公開)参照)。
【0210】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、ペントフラノシル糖部分の4’および2’炭素原子間の架橋を含み、例としては、−[C(R)(R)]−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=NR)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R−、−S(=O)−および−N(R)−;ここで、:xは0、1または2であり;nは1、2、3または4であり;RおよびRは、各々独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換C〜C12アルキニル、C−C20アリール、置換C〜C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換へテロアリール、C〜C脂環式ラジカル、置換C〜C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)またはスルホニル(S(=O)−J)から独立して選択される1または1〜4連結基を含む架橋が挙げられるが、これらに限定されず;
およびJは、各々独立して、H、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換C〜C12アルキニル、C〜C20アリール、置換C〜C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C〜C12アミノアルキル、置換C〜C12アミノアルキルまたは保護基である。
【0211】
ある実施形態では、二環式糖部分の架橋は、−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−または−C(R)−O−N(R)−である。ある実施形態では、架橋は、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’および4’−CH−N(R)−O−2’−であり、ここで、Rは、各々独立して、H、保護基またはC〜C12アルキルである。
【0212】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、異性体立体配置によりさらに限定される。例えば、4’−(CH)−O−2’架橋を含むヌクレオシドは、α−L立体配置で、またはβ−D立体配置で存在し得る。従来、α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAは、アンチセンス活性を示したアンチセンスオリゴヌクレオチド中に組入れられている(Frieden et al, Nucleic Acids Research, 2003, 21, 6365-6372)。
【0213】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、4’−2’架橋を有するものを包含するが、この場合、このような架橋としては、α−L−4’−(CH)−O−2’、β−D−4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、4’−CH−N(R)−O−2’、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−S−2’、4’−CH−N(R)−2’、4’−CH−CH(CH)−2’および4’−(CH−2’(ここで、Rは、H、保護基またはC〜C12アルキルである)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、次式を有する:
【化1】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
−Q−Q−Q−は、−CH−N(Rc)−CH−、−C(=O)−N(R)−CH−、−CH−O−N(R)−、−CH−N(R)−O−または−N(R)−CH−O−CHであり;
Rcは、C〜C12アルキルまたはアミノ保護基であり;そして
およびTは、各々独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持体との共有結合である)。
【0215】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、次式を有する:
【化2】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持体との共有結合であり;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、置換C〜Cアルキル、置換C〜Cアルケニル、置換C〜Cアルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオールまたは置換チオールである)。
【0216】
一実施形態では、置換基は、各々独立して、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ、NJ、SJ、N、OC(=X)JおよびNJC(=X)NJ(ここで、J、JおよびJは、各々独立して、H、C〜Cアルキルまたは置換C〜Cアルキルであり、そしてXはOまたはNJである)から独立して選択される置換基で、一または多置換される。
【0217】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは次式を有する:
【化3】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持体との共有結合であり;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、置換C〜Cアルキル、置換C〜Cアルケニル、置換C〜Cアルキニルまたは置換アシル(C(=O)−)である)。
【0218】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは次式を有する:
【化4】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持体との共有結合であり;
は、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたは置換C〜Cアルキニルであり;
、q、qおよびqは、各々独立して、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたは置換C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシル、置換C〜Cアルコキシル、アシル、置換アシル、C〜Cアミノアルキルまたは置換C〜Cアミノアルキルである)。
【0219】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは次式を有する:
【化5】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持体との共有結合であり;
、q、qおよびqは、各々独立して、水素、ハロゲン、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、置換C〜C12アルコキシ、OJ、SJ、SOJ、S0、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJまたはN(H)C(=S)NJであり;
あるいはqおよびqは、一緒に、=C(q)(q)であり;
およびqは、各々独立して、H、ハロゲン、C〜C12アルキルまたは置換C〜C12アルキルである)。
【0220】
4’−CH−O−2’架橋を有するアデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミンおよびウラシル二環式ヌクレオシドの合成および調製は、それらのオリゴマー化、そして核酸認識特性とともに、記載されている(Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630)。二環式ヌクレオシドの合成は、WO98/39352およびWO99/14226にも記載されている。
【0221】
4’−2’架橋基、例えば4’−CH−O−2’および4’−CH−S−2’を有する種々の二環式ヌクレオシドの類似体も、調製されている(Kumar et al, Bioorg. Med. Chem. Lett, 1998, 8, 2219-2222)。核酸ポリメラーゼのための基質として用いるための二環式ヌクレオシドを含むオリゴデオキシリボヌクレオチド二重鎖の調製も、記載されている(Wengel等;WO99/14226)。さらに、2’−アミノ−BNA(新規立体配座制限高親和性オリゴヌクレオチド類似体)の合成は、当該技術分野で記載されている(Singh et al., J Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039)。さらに、2’−アミノ−および2’−メチルアミノ−BNAが調製されており、相補的RNAおよびDNA鎖を有するそれらの二重鎖の熱安定性が、以前に報告されている。
【0222】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、次式を有する:
【化6】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持体との共有結合であり;
、q、qおよびqは、各々独立して、H、ハロゲン、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシル、置換C〜C12アルコキシル、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJまたはN(H)C(=S)NJであり;そして
およびq又はqlおよびqkは、一緒に、=C(q)(q)であり(ここで、qおよびqは、各々独立して、H、ハロゲン、C〜C12アルキルまたは置換C〜C12アルキルである)。
【0223】
4’−(CH−2’架橋、およびアルケニル類似体架橋4’−CH=CH−CH−2’を有する1つの炭素環式二環式ヌクレオシドが記載されている(Frier et al, Nucleic Acids Research, 1997, 25(22), 4429-4443およびAlbaek et al, J. Org. Chem., 2006, 71, 7731-7740)。炭素環式二環式ヌクレオシドの合成および調製も、それらのオリゴマー化および生化学的研究とともに記載されている(Srivastava et al, J. Am. Chem. Soc. 2007, 129(26), 8362-8379)。
【0224】
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドとしては、以下で示されるような、(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)BNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)BNA、(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)BNA、(F)メチル(メチレンオキシ)(4’−CH(CH)−O−2’)BNA(束縛エチルまたはcEcとしても言及される)、(G)メチレン−チオ(4’−CH−S−2’)BNA、(H)メチレン−アミノ(4’−CH−N(R)−2’)BNA、(I)メチル炭素環式(4’−CH−CH(CH)−2’)BNA、(J)プロピレン炭素環式(4’−(CH−2’)BNAおよび(K)ビニルBNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【化7】


(式中、Bxは、塩基部分であり;そしてRは、独立して、H、保護基、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシである)。
【0225】
ある実施形態では、ヌクレオシドは、リボシル環を糖代替物と置き換えることにより、修飾される。このような修飾としては、代替環系(時として、DNA類似体として言及される)、例えばモルホリノ環、シクロヘキセニル環、シクロヘキシル環またはテトラヒドロピラニル環、例えば次式のうちの1つを有するものによるリボシル環の置換が挙げられるが、これらに限定されない:
【化8】
【0226】
ある実施形態では、糖代替物は、次式を有するものが選択される:
【化9】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をオリゴマー化合物と連結するヌクレオシド間結合基であり、あるいはTおよびTのうちの一方は、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をオリゴマー化合物またはオリゴヌクレオチドと連結するヌクレオシド間結合基であり、TおよびTのうちの他方は、H、ヒドロキシル保護基、連結共役基または5’もしくは3’−末端基であり;
、q、q、q、q、qおよびqは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたは置換C〜Cアルキニルであり;そして
およびRの一方は水素であり、他方は、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、OC(=X)NJ、NJC(=X)NJおよびCN(ここで、XはO、SまたはNJであり、J、JおよびJは、各々独立して、HまたはC〜Cアルキルである)から選択される)。
【0227】
ある実施形態では、q、q、q、q、q、qおよびqは、各々、Hである。ある実施形態では、q、q、q、q、q、qおよびqのうちの少なくとも1つは、H以外である。ある実施形態では、q、q、q、q、q、qおよびqのうちの少なくとも1つは、メチルである。ある実施形態では、RおよびRのうちの一方がFであるTHPヌクレオシドが提供される。ある実施形態では、Rはフルオロであり、RはHであり;Rはメトキシであり、RはHであり、そしてRはメトキシエトキシであり、RはHである。
【0228】
このような糖代替物としては、ヘキシトール核酸(HNA)、アルトリトール核酸(ANA)およびマンニトール核酸(MNA)(Leumann,C. J.,Bioorg. & Med. Chem.,2002,10, 841-854参照)として当該技術分野で言及されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、1つ以上の修飾シクロヘキセニルヌクレオシドを含むが、これは、天然ヌクレオシドにおけるペントフラノシル残基の代わりに6員シクロヘキセニルを有するヌクレオシドである。修飾シクロヘキセニルヌクレオシドとしては、当該技術分野で記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、所有者が共通する、公開済みのPCT出願 WO2010/036696(2010年4月10日公開)、Robeyns et al, J. Am. Chem. Soc, 2008, 130(6), 1979-1984; Horvath et al, Tetrahedron Letters, 2007, 48, 3621-3623; Nauwelaerts et al, J. Am. Chem. Soc, 2007, 129(30), 9340-9348; Gu et al., Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids, 2005, 24(5-7), 993-998; Nauwelaerts et al, Nucleic Acids Research, 2005, 33(8), 2452-2463; Robeyns et al., Acta Crystallographies Section F: Structural Biology and Crystallization Communications, 2005, F61(6), 585-586; Gu et al., Tetrahedron, 2004, 60(9), 2111-2123; Gu et al., Oligonucleotides, 2003, 13(6), 479-489; Wang et al, J. Org. Chem., 2003, 68, 4499-4505; Verbeure et al., Nucleic Acids Research, 2001, 29(24), 4941-4947; Wang et al, J. Org. Chem., 2001, 66, 8478-82; Wang et al, Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids, 2001, 20(4-7), 785-788; Wang et al, J. Am. Chem., 2000, 122, 8595-8602;公開PCT出願 WO06/047842;および公開PCT出願 WO01/049687参照;これらの記載内容は各々、参照によりその全体が本明細書中で援用される)。ある修飾シクロヘキセニルヌクレオシドは、次式を有する:
【化10】

(式中、Bxは、複素環式塩基部分であり;
およびTは、各々独立して、シクロヘキセニルヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物と連結するヌクレオシド間結合基であり、あるいはTおよびTのうちの一方は、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物と連結するヌクレオシド間結合基であり、TおよびTのうちの他方は、H、ヒドロキシル保護基、連結共役基または5’もしくは3’−末端基であり;そして
、q、q、q、q、q、q、qおよびqは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、置換C〜Cアルキニルまたは他の糖置換基である)。
【0230】
また、アンチセンス化合物中に組入れヌクレオシドを修飾するのに用いることができる多数の他の二環式および三環式糖代替環系が、当該技術分野で既知である(例えば、総説:Leumann, Christian J., Bioorg. & Med. Chem., 2002, 10, 841-854参照)。このような環系は、活性を増強するために種々の付加的置換を経る。
【0231】
修飾糖の調製方法は、当業者に周知である。このような修飾糖の調製を教示するいくつかの代表的米国特許としては、米国特許:第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第
5,639,873号;第5,646,265号;第5,670,633号;第5,700,920号;第5,792,847号および第6,600,032号、ならびに国際出願 PCT/US2005/019219(2005年6月2日出願、ならびにWO2005/121371として2005年12月22日に公開)(これらの記載内容は各々、参照によりその全体が本明細書中で援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0232】
修飾糖部分を有するヌクレオチドでは、核酸塩基部分(天然、修飾またはその組合せ)は、適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために保持される。
【0233】
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、修飾糖部分を有する1つ以上のヌクレオチドを含む。ある実施形態では、修飾糖部分は2’−MOEである。ある実施形態では、2’−MOE修飾ヌクレオチドは、ギャップマーモチーフ中に配列される。
修飾核酸塩基
【0234】
核酸塩基(または塩基)修飾または置換は、天然または合成非修飾核酸塩基と、構造的に区別可能であるが、機能的には互換性がある。天然および修飾核酸塩基はともに、水素結合に関与し得る。このような核酸塩基修飾は、ヌクレアーゼ安定性、結合親和性またはいくつかのその他の有益な生物学的特性をアンチセンス化合物に付与し得る。修飾核酸塩基としては、合成および天然核酸塩基、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)が挙げられる。ある核酸塩基置換、例えば5−メチルシトシン置換は、標的核酸へのアンチセンス化合物の結合親和性を増大するために特に有用である。例えば、5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃だけ増大することが示されている(Sanghvi, Y.S., Crooke, S.T. and Lebleu, B., eds., Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)。
【0235】
さらなる非修飾核酸塩基としては、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよびその他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよびその他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニル(−C≡C−CH)ウラシルおよびシトシン、ならびにピリミジン塩基のその他のアルキル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよびその他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよびその他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。
【0236】
複素環式塩基部分は、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環、例えば7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび2ピリドンで置き換えられているものも包含し得る。アンチセンス化合物の結合親和性を増大するために特に有用である核酸塩基としては、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6およびO−6置換プリン、例えば2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンが挙げられる。
【0237】
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるギャップ拡大アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、修飾核酸塩基は、5−メチルシトシンである。ある実施形態では、各シトシンは5−メチルシトシンである。
【0238】
組成物および薬学的組成物の処方方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、薬学的組成物または処方物の調製のために、製薬上許容可能な活性または不活性物質と混合され得る。薬学的組成物の処方のための組成物および方法は、多数の判定基準、例えば投与経路、疾患の程度または投与されるべき用量によって決まるが、これらに限定されない。
【0239】
DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物を適切な製薬上許容可能な希釈剤または担体と組合せることにより、薬学的組成物中で利用され得る。製薬上許容可能な希釈剤としては、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。PBSは、非経口的に送達されるべき組成物中で用いるのに適した希釈剤である。したがって、一実施形態では、本明細書中に記載される方法に用いられるのは、DMPK核酸に対して標的化されたアンチセンス化合物および製薬上許容可能な希釈剤を含む薬学的組成物である。ある実施形態では、製薬上許容可能な希釈剤はPBSである。ある実施形態では、アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0240】
アンチセンス化合物を含む薬学的組成物は、動物、例えばヒトへの投与時に、生物学的に活性な代謝産物またはその残留物を(直接または間接的に)提供し得る任意のその製薬上許容可能な塩、エステルもしくはこのようなエステルの塩、またはその他のオリゴヌクレオチドを包含する。したがって、例えば本開示は、アンチセンス化合物の製薬上許容可能な塩、プロドラッグ、このようなプロドラッグの製薬上許容可能な塩、およびその他の生物学的等価物に対しても作成される。適切な製薬上許容可能な塩としては、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0241】
プロドラッグは、活性アンチセンス化合物を生成するための、身体内の内因性ヌクレアーゼにより切断されるアンチセンス化合物の一端または両端での付加的ヌクレオシドの組入れを包含し得る。
【0242】
共役アンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、結果的に生じるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取込みを増強する1つ以上の部分または共役体と共有結合し得る。典型的共役基としては、コレステロール部分および脂質部分が挙げられる。さらなる共役基としては、炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸塩、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリンおよび色素が挙げられる。
【0243】
アンチセンス化合物は、一般的にアンチセンス化合物の一端または両端に結合して、例えば、ヌクレアーゼ安定性といったような特性を増強する1つ以上の安定化基を有するようにも修飾され得る。安定化基に含まれるのは、キャップ構造である。これらの末端修飾は、末端核酸を有するアンチセンス化合物がエキソヌクレアーゼ分解されるのを防ぎ、そして細胞内の送達および/または局在化を手助けし得る。キャップは、5’−末端(5’−キャップ)または3’−末端(3’−キャップ)に存在し得るか、あるいは両方の末端に存在し得る。キャップ構造は、当該技術分野で周知であり、例としては、逆位デオキシ脱塩基キャップが挙げられる。さらに、ヌクレアーゼ安定性を付与するためにアンチセンス化合物の一端または両端をキャップするために用いられ得る3’および5’−安定化基としては、WO03/004602(2003年1月16日公開)に開示されたものが挙げられる。
【0244】
細胞培養およびアンチセンス化合物処置
DMPK核酸のレベル、活性または発現に及ぼすアンチセンス化合物の作用は、種々の細胞型においてin vitroで試験され得る。このような分析に用いられる細胞型は、商業的供給業者(例えば、American Type Culture Collection, Manassus, VA; Zen-Bio, Inc., Research Triangle Park, NC; Clonetics Corporation, Walkersville, MD)から入手可能であり、細胞は、供給業者の使用説明書に従って、市販の試薬(例えばInvitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)を用いて培養される。細胞型の例としては、HepG2細胞、Hep3B細胞、初代培養肝細胞、A549細胞、GM04281繊維芽細胞およびLLC−MK2細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
アンチオリゴヌクレオチドのin vitro試験
アンチセンスオリゴヌクレオチドで細胞を処置するための方法が本明細書中に記載されるが、これは、他のアンチセンス化合物による処置のために適切に変更され得る。
【0246】
概して、細胞が培養液中で約60〜80%コンフルエントに達すると、細胞はアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置される。
【0247】
培養細胞中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために一般に用いられる一試薬としては、陽イオン性脂質トランスフェクション試薬 リポフェクチン(登録商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドはOPTI−MEM(登録商標)1(Invitrogen, Carlsbad, CA)中のリポフェクチン(登録商標)と混合されて、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度、ならびに典型的には2〜12μg/mL/100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドの範囲であるリポフェクチン(登録商標)濃度を達成する。
【0248】
培養細胞中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために用いられる別の試薬としては、リポフェクタミン2000(登録商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、OPTI−MEM(登録商標)1低減血清培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中のリポフェクタミン2000(登録商標)と混合されて、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度、ならびに典型的には2〜12μg/mL/100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドの範囲であるリポフェクタミン(登録商標)濃度を達成する。
【0249】
培養細胞中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために用いられる別の試薬としては、サイトフェクチン(登録商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、OPTI−MEM(登録商標)1低減血清培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中のサイトフェクチン(登録商標)と混合されて、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度、ならびに典型的には2〜12μg/mL/100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドの範囲であるサイトフェクチン(登録商標)濃度を達成する。
【0250】
培養細胞中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために用いられる別の技法としては、電気穿孔が挙げられる。
【0251】
細胞は、慣例的方法でアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置される。細胞は、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置の16〜24時間後に収穫され、その時点で、標的核酸のRNAまたはタンパク質レベルが、当該技術分野で既知の、そして本明細書中に記載される方法により測定される。概して、処置が多重反復実験で実施される場合、データは反復処置の平均として示される。
【0252】
用いられるアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞株によって変化する。特定細胞株のための最適アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定するための方法は、当該技術分野で周知である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リポフェクタミン2000(登録商標)、リポフェクチンまたはサイトフェクチンでトランスフェクトされる場合、典型的には1nM〜300nMの範囲の濃度で用いられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、電気穿孔を用いてトランスフェクトされる場合、625〜20,000nMの範囲のより高い濃度で用いられる。
【0253】
RNA単離
RNA解析は、総細胞内RNAまたはポリ(A)+mRNAに対して実施され得る。RNA単離の方法は、当該技術分野で周知である。RNAは、当該技術分野で周知の方法を用いて、例えばメーカーの推奨プロトコールに従って、トリゾール(登録商標)試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて調製される。
【0254】
標的レベルまたは発現の抑制の分析
DMPK核酸のレベルまたは発現の抑制は、当該技術分野で既知の種々の方法で検定され得る。例えば、標的核酸レベルは、例えばノーザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または定量的実時間PCRにより定量され得る。RNA解析は、総細胞内RNAまたポリ(A)+mRNAに対して実施され得る。RNA単離の方法は、当該技術分野で周知である。ノーザンブロット分析も、当該技術分野で慣例的である。定量的実時間PCRは、メーカーの使用説明書に従って用いられる市販のABI プリズム(登録商標)7600、7700または7900配列検出系(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、好都合に成し遂げられ得る。
【0255】
標的RNAレベルの定量的実時間PCR解析
標的RNAレベルの定量は、メーカーの使用説明書に従って、ABIプリズム(登録商標)7600、7700または7900配列検出系(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、定量的実時間PCRにより成し遂げられ得る。定量的実時間PCRの方法は、当該技術分野で周知である。
【0256】
実時間PCRの前に、単離RNAは、逆転写酵素(RT)反応に付され、これは、相補的DNA(cDNA)を生じ、次いでこれは、実時間PCR増幅のための基質として用いられる。RTおよび実時間PCR反応は、同一試料ウェル中で順次的に実施される。RTおよび実時間PCR試薬は、Invitrogen (Carlsbad, CA)から得られる。RT、実時間PCR反応は、当業者に周知の方法により実行される。
【0257】
実時間PCRにより得られる遺伝子(またはRNA)標的量は、その発現が一定である遺伝子、例えばシクロフィリンAの発現レベルを用いることにより、またはリボグリーン(登録商標)(Invitrogen, Inc. Carlsbad, CA)を用いて総RNAを定量することにより、正規化される。シクロフィリンA発現は、実時間PCRにより、標的と同時に、多重的に、または別々に実行することにより、定量される。総RNAは、リボグリーン(登録商標)RNA定量試薬(Invitrogen, Inc. Eugene,OR)を用いて定量される。リボグリーン(登録商標)によるRNA定量の方法は、Jones, L.J., et al, (Analytical Biochemistry, 1998, 265, 368-374)で教示されている。サイトフルオール(登録商標)4000計器(PE Applied Biosystems)は、リボグリーン(登録商標)蛍光を測定するために用いられる。
【0258】
プローブおよびプライマーは、DMPK核酸とハイブリダイズするよう設計される。実時間PCRプローブおよびプライマーの設計方法は当該技術分野で周知であり、プライマーエキスプレス(登録商標)ソフトウェア(Applied Biosystems, Foster City, CA)のようなソフトウェアの使用を包含し得る。
【0259】
タンパク質レベルの解析
DMPK核酸のアンチセンス抑制は、DMPKタンパク質レベルを測定することにより査定され得る。DMPKのタンパク質レベルは、当該技術分野で周知の種々の方法で、例えば免疫沈降、ウエスタンブロット解析(免疫ブロッティング)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、定量的タンパク質検定、タンパク質活性検定(例えば、カスパーゼ活性検定)、免疫組織化学法、免疫細胞化学法または蛍光活性化細胞分類法(FACS)で評価されるかまたは定量され得る。標的に対する抗体は、同定され、種々の供給元、例えば抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation, Birmingham, MI)から入手されるか、あるいは当該技術分野で周知の慣用的モノクローナルまたはポリクローナル抗体産生方法により調製され得る。
【0260】
アンチセンス化合物のin vivo試験
アンチセンス化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DMPKの発現を抑制し、表現型変化を生じるそれらの能力を査定するために、動物において試験される。試験は、正常動物で、または実験的疾患モデル、例えば筋緊張性ジストロフィー(DM1)のHSALRマウスモデルで実施され得る。
【0261】
HSALRマウスモデルは、DM1に関して確立されたモデルである(Mankodi, A. et al. Science. 289: 1769, 2000)。そのマウスは、遺伝子の3’UTR中に挿入された220CTG反復を有するヒト骨格アクチン(hACTA1)導入遺伝子を保有する。hACTAl−CUGexp転写産物は、骨格筋の核内フォーカス中に蓄積し、ヒトDM1の場合と同様の筋緊張症を生じる(Mankodi, A. et al. Mol. Cell 10: 35, 2002; Lin, X. et al. Hum. Mol. Genet. 15: 2087, 2006)。それゆえ、hACTA1導入遺伝子のアンチセンス抑制によるHSALRマウスにおけるDM1症候の改善が、DMPK転写産物のアンチセンス抑制によるヒト患者の同様の症候の改善を予測すると予期される。
【0262】
マウスにおけるCUGexpRNAの発現は、筋肉トランスクリプトームの広範なリモデリングを引き起こし、その多くは、MBNL1の消失により再生される。それゆえ、HSALRマウスにおけるトランスクリプトームの正規化が、DMPK転写産物のアンチセンス抑圧によるDM1患者におけるヒトトランスクリプトームの正規化を予測すると予期される。
【0263】
動物への投与のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、製薬上許容可能な希釈剤、例えばリン酸塩緩衝生理食塩水中に処方される。投与は、非経口経路の投与を包含する。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置期間後、RNAは組織から単離され、DMPK核酸発現における変化が測定される。DMPKタンパク質レベルの変化も測定される。
【0264】
スプライシング
筋緊張性ジストロフィー(DM1)は、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCTG反復伸長により引き起こされる(Brook, J.D. et al. Cell. 68: 799, 1992)。この突然変異は、伸長CUG反復(CUGexp)を含有するRNAの発現が細胞機能不全を誘導する過程であるRNA優性をもたらす(Osborne RJ and Thornton CA., Human Molecular Genetics., 2006, 75(2): R162-R169)。このようなCUGexpは、骨格筋の核内フォーカス中に保持される(Davis, B.M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:7388, 1997)。核内フォーカス中のCUGexpの蓄積は、ポリ(CUG)結合タンパク質、例えばMuscleblind様1(MBNL1)の隔離をもたらす(Miller, J. W. et al. EMBO J. 19: 4439, 2000)。MBLN1は、スプライシング因子であり、Serca1、CIC−1、TitinおよびZaspのような遺伝子のスプライシングを調節する。したがって、CUGexpによるMBLN1の隔離は、MBLN1が通常制御する遺伝子のエキソンの誤調節的選択的スプライシングを誘発する(Lin, X. et al. Hum. Mol. Genet. 15: 2087, 2006)。このような無調節を表示する動物における、例えばDM1患者およびHSALRマウスモデルにおける選択的スプライシングの補正は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置を含めて、処置の効力に関する有用な指標である。
【0265】
バイオマーカー例
マウスモデルにおけるDM1重症度は、少なくとも一部は、核または核内フォーカス中のCUGexp転写産物蓄積のレベルにより決定される。DM1重症度に関する有用な生理学的マーカーは、不随意性活動電位の高頻度実行の発症(筋緊張症)である。
指標例
【0266】
ある実施形態では、本明細書中に記載されるような1つ以上の薬学的組成物を投与することを包含する個体の処置方法が、本明細書中で提供される。ある実施形態では、個体は、1型筋緊張性ジストロフィー(DM1)を有する。
【0267】
したがって、処置を必要とする対象における1型筋緊張性ジストロフィーに関連した症候を改善するための方法が、本明細書中で提供される。ある実施形態では、1型筋緊張性ジストロフィーに関連した症候の開始の比率を低減するための方法が提供される。ある実施形態では、1型筋緊張性ジストロフィーに関連した症候の重症度を低減するための方法が提供される。ある実施形態では、DM1に関連した症候としては、筋肉強直、筋緊張症、障害性遠位性衰弱、顔面および顎筋肉の衰弱、嚥下困難、眼瞼の垂れ下がり(眼瞼下垂)、首の筋肉の衰弱、腕および足の筋肉の衰弱、持続性筋肉痛、過眠症、筋消耗、嚥下障害、呼吸不全、不規則心拍、心筋損傷、無感動、インスリン抵抗性および白内障が挙げられる。小児においては、症候は、発達遅延、学習問題、言語および発語問題、ならびに人格発達問題でもあり得る。
【0268】
ある実施形態では、当該方法は、DMPK核酸に対して標的化される治療的有効量の化合物を、それを必要とする個体に投与することを包含する。
【0269】
ある実施形態では、DMPK核酸に対して標的化されるアンチセンス化合物の投与は、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは少なくとも約99%、またはこれらの値の任意の2つにより限定される範囲のDMPK発現の低減を生じる。
【0270】
ある実施形態では、DMPKに対して標的化されるアンチセンス化合物を含む薬学的組成物は、1型筋緊張性ジストロフィーに罹患しているかまたは罹患し易い患者のための医薬剤の調製のために用いられる。
【0271】
ある実施形態では、本明細書中に記載される方法は、配列番号12〜156、160〜770および774〜792で挙げられる配列の本明細書中に記載されるような連続核酸塩基部分を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する。
【0272】
投与
ある実施形態では、本明細書中に記載されるような化合物および組成物は、非経口的に投与される。
【0273】
ある実施形態では、非経口投与は、注入によるものである。注入は、長期的または連続的または短期的または間欠的であり得る。ある実施形態では、注入された薬学的作用物質は、ポンプで送達される。ある実施形態では、非経口投与は、注射(例えばボーラス注射)によるものである。注射は、注射器で送達され得る。
【0274】
非経口投与としては、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与または頭蓋内投与、例えばくも膜下腔内投与もしくは脳室内投与が挙げられる。投与は、連続的、または長期的または短期的、または間欠的であり得る。
【0275】
ある実施形態では、投与することは、皮下、静脈内、脳内、脳室内、くも膜下腔内、もしくはオリゴヌクレオチドの全身作用を生じる別の投与(全身投与は、全身作用、すなわち、1つ超の組織中での作用を特徴とする)、またはCNSまたはCSFへの送達である。
【0276】
DM1のHSALRマウスモデルにおいてアルファ1アクチンの抑制および筋緊張症の低減により測定した場合の作用の持続時間は、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋を含めた筋組織において延長される(下記実施例参照)。アンチセンスオリゴヌクレオチドの4週間の皮下注射は、用量投与の終了後、少なくとも11週(77日)の間、HSALRマウスにおける四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋において、少なくとも70%のアルファ1アクチンの抑制を生じる。アンチセンスオリゴヌクレオチドの4週間の皮下注射は、用量投与の終了後、少なくとも11週(77日)の間、HSALRマウスにおける四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋において、筋緊張症の消失を生じる。
【0277】
ある実施形態では、本明細書中に記載されるような化合物または組成物の送達は、少なくとも77日間、標的mRNAおよび/または標的タンパク質の少なくとも70%下方調節を生じる。ある実施形態では、本明細書中に記載されるような化合物または組成物の送達は、少なくとも30日、少なくとも35日、少なくとも40日、少なくとも45日、少なくとも50日、少なくとも55日、少なくとも60日、少なくとも65日、少なくとも70日、少なくとも75日、少なくとも76日、少なくとも77日、少なくとも78日、少なくとも79日、少なくとも80日、少なくとも85日、少なくとも90日、少なくとも95日、少なくとも100日、少なくとも105日、少なくとも110日、少なくとも115日、少なくとも120日、少なくとも1年の間の、標的mRNAおよび/または標的タンパク質の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%下方調節を生じる。
【0278】
ある実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、77日毎に1回、注射または注入により送達される。ある実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、毎月1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、年2回または年1回、注射または注入により送達される。
併用療法例
【0279】
ある実施形態では、本発明の修飾オリゴヌクレオチドを含む第一作用物質は、1つ以上の第二作用物質と同時投与される。ある実施形態では、このような第二作用物質は、本明細書中に記載される第一作用物質と同一の1型筋緊張性ジストロフィーを処置するよう設計される。ある実施形態では、このような第二作用物質は、本明細書中に記載される第一作用物質とは異なる疾患、障害または症状を処置するよう設計される。ある実施形態では、このような第二作用物質は、本明細書中に記載されるような1つ以上の薬学的組成物の望ましくない副作用を処置するよう設計される。ある実施形態では、第二作用物質は、第一作用物質の望ましくない作用を処置するために第一作用物質と同時投与される。ある実施形態では、第二作用物質は、組合せ作用を生じるために第一作用物質と同時投与される。ある実施形態では、第二作用物質は、相乗作用を生じるために第一作用物質と同時投与される。
【0280】
ある実施形態では、第一作用物質および1つ以上の第二作用物質は、同一時間に投与される。ある実施形態では、第一作用物質および1つ以上の第二作用物質は、異なる時間に投与される。ある実施形態では、第一作用物質および1つ以上の第二作用物質は、単一薬学的処方物中で一緒に調製される。ある実施形態では、第一作用物質および1つ以上の第二作用物質は、別々に調製される。
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する方法であって、以下の:
a. 1型筋緊張性ジストロフィーを有するか、またはCUGexp DMPK RNAを有する対象を選択すること;そして
b. 前記CUGexp DMPK RNAの非反復領域と相補的な化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に投与すること
(ここで、前記化学修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記CUGexp DMPK RNAと結合されると、リボヌクレアーゼを活性化し、それにより前記CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する)
を包含する方法。
[態様2]CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する方法であって、以下の:
a. 1型筋緊張性ジストロフィーを有するか、またはCUGexp DMPK RNAを有する対象を選択すること;そして
b. 前記CUGexp DMPK RNAの非反復領域と相補的な化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に全身投与すること
(ここで、前記化学修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記CUGexp DMPK RNAと結合されると、前記CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する)
を包含する方法。
[態様3]CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する方法であって、以下の:
前記CUGexp DMPK RNAの非反復領域と相補的な化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、1型筋緊張性ジストロフィーを有すること、またはCUGexp DMPK RNAを有することが疑われる対象に投与すること
(ここで、前記化学修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記CUGexp DMPK RNAと結合されると、前記CUGexp DMPK RNAの優先的低減を達成する)
を包含する方法。
[態様4]1型筋緊張性ジストロフィーを有すること、または核内保持CUGexp DMPK RNAを有することが疑われる対象における筋緊張症の低減方法であって、以下の:
前記DMPK RNAの非反復領域と相補的な化学的修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に投与すること
(ここで、前記化学修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記DMPK RNAと結合されると、リボヌクレアーゼを活性化して、それにより筋緊張症を低減する)
を包含する方法。
[態様5]1型筋緊張性ジストロフィーを有すること、または核内保持CUGexp DMPK RNAを有することが疑われる対象におけるスプライセオパシーの低減方法であって、以下の:
突然変異体DMPK RNAの非反復領域と相補的な化学的修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記対象に投与すること
(ここで、前記化学修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドは、前記突然変異体DMPK RNAと結合されると、リボヌクレアーゼを活性化して、それによりスプライセオパシーを低減する)
を包含する方法。
[態様6]前記スプライセオパシーがMBNL依存性スプライセオパシーである態様5記載の方法。
[態様7]前記オリゴヌクレオチドがキメラである前記態様のいずれかに記載の方法。
[態様8]前記オリゴヌクレオチドがギャップマーである態様7記載の方法。
[態様9]前記投与が皮下投与である態様1〜8のいずれか一に記載の方法。
[態様10]前記投与が静脈内投与である態様1〜8のいずれか一に記載の方法。
[態様11]前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが突然変異体DMPK RNAの非反復領域内の非コード配列を標的にする態様8記載の方法。
[態様12]前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが突然変異体DMPK RNAのコード配列、イントロン、5’UTRまたは3’UTRを標的にする態様8記載の方法。
[態様13]前記リボヌクレアーゼがRNアーゼH1である前記態様のいずれかに記載の方法。
[態様14]前記優先的低減が筋肉組織においてである態様1〜3のいずれかに記載の方法。
[態様15]動物におけるDMPK発現の低減方法であって、DMPKに対して標的化された10〜30連結ヌクレオシド長の修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与すること(ここで、DMPKの発現は動物において低減される)を包含する方法。
[態様16]動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減し、筋緊張症を低減し、またはスプライセオパシーを低減する方法であって、DMPKに対して標的化された10〜30連結ヌクレオシド長の修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与すること(ここで、修飾オリゴヌクレオチドは、動物におけるDMPK発現を低減し、それにより動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減するか、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する)を包含する方法。
[態様17]1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物の処置方法であって、以下の:
a. 1型筋緊張性ジストロフィーを有する前記動物を同定すること;そして
b. DMPKに対して標的化される10〜30連結ヌクレオシド長の修飾オリゴヌクレオチドを含む治療有効量の化合物を前記対象に投与すること
(ここで、1型筋緊張性ジストロフィーを有する前記動物が処置される)
を包含する方法。
[態様18]DMPK発現の低減方法であって、10〜30連結ヌクレオシド長からなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に、配列番号1〜8または793〜801と少なくとも90%相補的な核酸塩基配列を有する化合物を動物に投与する(ここで、DMPKの発現が低減される)ことを包含する方法。
[態様19]DMPK発現を低減することが、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減するか、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する態様18記載の方法。
[態様20]動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減するか、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する方法であって、テトラトリコペプチド反復ドメイン39Bの発現を低減する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を動物に投与すること(ここで、修飾オリゴヌクレオチドは、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に、配列番号1〜8または793〜801と少なくとも90%相補的な核酸塩基配列を有する10〜30連結ヌクレオシドからなり、そしてCUGexp DMPK RNAの前記低減は、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減するか、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する)ことを包含する方法。
[態様21]1型筋緊張性ジストロフィーを有する動物の処置方法であって、以下の:
c. 1型筋緊張性ジストロフィーを有する前記動物を同定すること;そして
d. 10〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に、配列番号1〜8または793〜801と少なくとも90%相補的な核酸塩基配列を有する治療的有効量の化合物を前記動物に投与すること
(ここで、1型筋緊張性ジストロフィーを有する前記動物が処置される)
を包含する方法。
[態様22]動物に投与された治療的有効量の化合物が、動物におけるCUGexp DMPK RNAを優先的に低減するか、筋緊張症を低減するかまたはスプライセオパシーを低減する態様21記載の方法。
[態様23]前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる配列の少なくとも8連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する態様15〜22のいずれか一に記載の方法。
[態様24]前記動物がヒトである態様15〜23のいずれか一に記載の方法。
[態様25]前記化合物が第一作用物質である態様15〜24のいずれか一に記載の方法であって、第二作用物質を投与することをさらに包含する方法。
[態様26]前記第一作用物質および第二作用物質が同時投与される態様25記載の方法。
[態様27]投与が非経口投与を包含する態様15〜24のいずれか一に記載の方法。
[態様28]前記化合物が一本鎖修飾オリゴヌクレオチドからなる態様15〜27のいずれか一に記載の方法。
[態様29]前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に配列番号1〜8または793〜801のいずれか1つと少なくとも95%相補的である態様15〜28のいずれか一に記載の方法。
[態様30]前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、前記修飾オリゴヌクレオチドの全体に亘って測定した場合に配列番号1〜8または793〜801のいずれか1つと100%相補的である態様15〜28のいずれか一に記載の方法。
[態様31]前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である態様15〜30のいずれか一に記載の方法。
[態様32]各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である態様31記載の方法。
[態様33]前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含む態様15〜32のいずれか一に記載の方法。
[態様34]少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である態様33記載の方法。
[態様35]少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メトキシエチルまたは4’−(CH−O−2’架橋(式中、nは1または2である)を含む態様33記載の方法。
[態様36]前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む態様15〜35のいずれか一に記載の方法。
[態様37]前記修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである態様36記載の方法。
[態様38]前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
a. 連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
b. 連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
c. 連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様15〜37のいずれか一に記載の方法であって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが修飾糖を含む方法。
[態様39]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなり、そして以下の:
a. 10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
b. 5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
c. 5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様15〜38のいずれか一に記載の方法であって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして前記修飾オリゴヌクレオチド中の各シトシンが5’−メチルシトシンである方法。
[態様40]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなる態様15〜39のいずれか一に記載の方法。
[態様41]10〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、そして配列番号12〜156、160〜770および774〜792で挙げられる配列の少なくとも8連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する化合物。
[態様42]前記修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである態様41記載の化合物。
[態様43]前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号1〜8または793〜801と100%相補的である態様41または態様42記載の化合物。
[態様44]少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である態様41〜43のいずれかに記載の化合物。
[態様45]各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である態様44記載の化合物。
[態様46]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含む態様41〜45のいずれかに記載の化合物。
[態様47]少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である態様46記載の化合物。
[態様48]少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メトキシエチルを含む態様46記載の化合物。
[態様49]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む態様41〜48のいずれかに記載の化合物。
[態様50]前記修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである態様49記載の化合物。
[態様51]前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様41〜50のいずれかに記載の化合物であって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが修飾糖を含む化合物。
[態様52]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなり、そして以下の:
10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様41〜51のいずれかに記載の化合物であって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、そして各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である化合物。
[態様53]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなる態様41〜52のいずれかに記載の化合物。
[態様54]10〜30連結ヌクレオシドからなり、そして配列番号12〜156、160〜770および774〜792のいずれか1つで挙げられる配列から選択される核酸塩基配列の少なくとも8連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩並びに製薬上許容可能な担体または希釈剤を含む組成物。
[態様55]前記修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである態様54記載の組成物。
[態様56]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなる態様54または態様55記載の組成物。
[態様57]12〜30連結ヌクレオシドからなり、そして配列番号12〜156、160〜770および774〜792で挙げられる核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様58]一本鎖修飾オリゴヌクレオチドからなる態様57記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様59]前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号1〜8または793〜801と100%相補的である態様57または態様58記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様60]少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である態様57〜59のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様61]各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である態様60記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様62]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含む態様57〜61のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様63]少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である態様62記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様64]少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メトキシエチルを含む態様62記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様65]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む態様57〜64のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様66]前記修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである態様65記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様67]前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様57〜66のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの68の各ヌクレオシドが修飾糖を含む修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様68]前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様57〜67のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、各シトシンが5−メチルシトシンであり;そして各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様69]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなる態様57〜68のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[態様70]配列番号1の核酸塩基1178−1206、2159−2182、2174−2196、2426−2447、2450−2518、2679−2704または2697−2725の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が配列番号1と相補的である化合物。
[態様71]核酸塩基178−223、232−253、279−299、366−399、519−541、923−975、1073−1105、1171−1196、1215−1246、1263−1324、1706−1734、1743−1763、1932−1979、1981−2003、2077−2108または2152−2173の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が配列番号1と相補的である化合物。
[態様72]核酸塩基1251−1303、1305−1326、1352−1372、3762−3795、4170−4192、5800−5852、6124−6149、6168−6199、6216−6277、11979−12007、12016−12036、12993−13042、13044−13066、13140−13171または13215−13236の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が配列番号2と相補的である化合物。
[態様73]Serca1のスプライセオパシーの低減を、それを必要とする動物において行う方法であって、DMPKに対して標的化される10〜30連結ヌクレオシド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、それによりSerca1エキソン22包含を引き起こすことによる方法。
[態様74]m−Titinのスプライセオパシーの低減を、それを必要とする動物において行う方法であって、DMPKに対して標的化される10〜30連結ヌクレオシド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、それによりm−Titinエキソン5包含を引き起こすことによる方法。
[態様75]Clcn1のスプライセオパシーの低減を、それを必要とする動物において行う方法であって、DMPKに対して標的化される10〜30連結ヌクレオシド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、それによりClcn1エキソン7a包含を引き起こすことによる方法。
[態様76]Zaspのスプライセオパシーの低減を、それを必要とする動物において行う方法であって、DMPKに対して標的化される10〜30連結ヌクレオシド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、それによりZaspエキソン11包含を引き起こすことによる方法。
[態様77]配列番号12−156、160−770および774−792の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物。
[態様78]配列番号41、44、76、109、153、320、321、322、325、329、335および657の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物。
[態様79]配列番号15、73、77、79、83、85、130、602、648、655、674および680の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物。
[態様80]配列番号1の核酸塩基664−683、773−792、926−945、927−946、928−947、931−950、935−954、941−960、2089−2108、2163−2182、2490−2509、2499−2518、2676−2695、2685−2704、2676−2695、2688−2707、2697−2716、2764−2783および2770−2789の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記核酸塩基配列が配列番号1と相補的である化合物。
[態様81]配列番号2の核酸塩基812−831、3629−3648、4447−4466、4613−4632、5803−5822、5804−5823、5805−5824、5808−5827、5818−5837、6794−6813、12463−12482、13152−13171および13553−13572の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記核酸塩基配列が配列番号2と相補的である化合物。
[態様82]前記修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである態様77〜81記載の化合物。
[態様83]前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号1〜8または793〜801と100%相補的である態様77〜82のいずれかに記載の化合物。
[態様84]少なくとも1つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である態様77〜83のいずれかに記載の化合物。
[態様85]各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である態様84記載の化合物。
[態様86]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖を含む態様77〜85のいずれかに記載の化合物。
[態様87]少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である態様86記載の化合物。
[態様88]少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メトキシエチルを含む態様86記載の化合物。
[態様89]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む態様77〜88のいずれかに記載の化合物。
[態様90]前記修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである態様89記載の化合物。
[態様91]前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様77〜90記載の化合物であって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、そして各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが修飾糖を含む化合物。
[態様92]前記修飾オリゴヌクレオチドが、以下の:
10の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント;
5つの連結ヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含む態様77〜91のいずれかに記載の化合物であって、前記ギャップセグメントが5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメント間に配置され、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル糖を含み、そして各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である化合物。
[態様93]前記修飾オリゴヌクレオチドが14連結ヌクレオシドからなる態様77〜92のいずれかに記載の化合物。
[態様94]前記修飾オリゴヌクレオチドが16連結ヌクレオシドからなる態様77〜93のいずれかに記載の化合物。
[態様95]前記修飾オリゴヌクレオチドが20連結ヌクレオシドからなる態様77〜94のいずれかに記載の化合物。
[態様96]態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれか一に記載の化合物を含む薬学的組成物。
[態様97]動物におけるDM1の処置方法であって、それを必要とする動物に、態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれかに記載の化合物、または態様54〜56および96のいずれか一に記載の組成物を投与することを包含する方法。
[態様98]動物におけるDM1の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号12〜156、160〜770および774〜792の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様99]動物におけるDM1の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号41、44、76、109、153、320、321、322、325、329、335および657の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様100]動物におけるDM1の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号15、73、77、79、83、85、130、602、648、655、674および680の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様101]動物におけるDM1の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号1の核酸塩基664−683、773−792、926−945、927−946、928−947、931−950、935−954、941−960、2089−2108、2163−2182、2490−2509、2499−2518、2676−2695、2685−2704、2676−2695、2688−2707、2697−2716、2764−2783および2770−2789の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物(ここで、前記核酸塩基配列は配列番号1と相補的である)を投与することを包含する方法。
[態様102]動物におけるDM1の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号2の核酸塩基812−831、3629−3648、4447−4466、4613−4632、5803−5822、5804−5823、5805−5824、5808−5827、5818−5837、6794−6813、12463−12482、13152−13171および13553−13572の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物(ここで、前記核酸塩基配列は配列番号2と相補的である)を投与することを包含する方法。
[態様103]前記修飾オリゴヌクレオチドがDMPK mRNAレベルを低減する態様98〜102のいずれかに記載の方法。
[態様104]前記修飾オリゴヌクレオチドがDMPKタンパク質発現を低減する態様98〜103のいずれかに記載の方法。
[態様105]前記修飾オリゴヌクレオチドがCUGexp DMPKを低減する態様98〜104のいずれかに記載の方法。
[態様106]前記修飾オリゴヌクレオチドがCUGexp DMPKを優先的に低減する態様105記載の方法。
[態様107]CUGexpの選択的低減が筋肉組織においてである態様106記載の方法。
[態様108]動物における筋緊張症の処置方法であって、それを必要とする動物に、態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれかに記載の化合物、または態様54〜56および96のいずれか一に記載の組成物を投与することを包含する方法。
[態様109]動物における筋緊張症の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号12〜156、160〜770および774〜792の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様110]動物における筋緊張症の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号41、44、76、109、153、320、321、322、325、329、335および657の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様111]動物における筋緊張症の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号15、73、77、79、83、85、130、602、648、655、674および680の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様112]動物における筋緊張症の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号1の核酸塩基664−683、773−792、926−945、927−946、928−947、931−950、935−954、941−960、2089−2108、2163−2182、2490−2509、2499−2518、2676−2695、2685−2704、2676−2695、2688−2707、2697−2716、2764−2783および2770−2789の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物(ここで、前記核酸塩基配列は配列番号1と相補的である)を投与することを包含する方法。
[態様113]動物における筋緊張症の処置方法であって、それを必要とする動物に、配列番号2の核酸塩基812−831、3629−3648、4447−4466、4613−4632、5803−5822、5804−5823、5805−5824、5808−5827、5818−5837、6794−6813、12463−12482、13152−13171および13553−13572の等長部分と相補的な少なくとも12連続核酸塩基の一部分を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物(ここで、前記核酸塩基配列は配列番号2と相補的である)を投与することを包含する方法。
[態様114]動物におけるMBLN依存性スプライセオパシーの低減方法であって、それを必要とする動物に、態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれかに記載の化合物、または態様54〜56および96のいずれか一に記載の組成物を投与することを包含する方法。
[態様115]動物におけるMBLN依存性スプライセオパシーの低減方法であって、それを必要とする動物に、配列番号12〜156、160〜770および774〜792の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する12〜30連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを包含する方法。
[態様116]Serca1、m−Titin、Clcn1およびZaspのいずれかのスプライシングが補正される態様115記載の方法。
[態様117]投与することが全身投与である態様98〜116のいずれかに記載の方法。
[態様118]投与することが非経口投与である態様98〜117のいずれかに記載の方法。
[態様119]前記全身投与が皮下投与、静脈内投与、脳室内投与およびくも膜下腔内投与である態様118記載の方法。
[態様120]前記投与が筋肉内投与でない態様98〜19のいずれかに記載の方法。
[態様121]前記動物がヒトである態様98〜120のいずれかに記載の方法。
[態様122]動物におけるDM1を処置するのに用いるための、態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれかに記載の化合物。
[態様123]動物における筋緊張症を低減するのに用いるための、態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれかに記載の化合物。
[態様124]動物におけるMBLN依存性スプライセオパシーを低減するのに用いるための、態様41〜53、57〜72および77〜95のいずれかに記載の化合物。
【実施例】
【0281】
非限定的開示および参照による援用
本明細書中に記載されるある化合物、組成物および方法はある実施形態に従って具体性を伴って記載されているが、以下の実施例は、本明細書中に記載される化合物を例証するためだけに役立つものであって、それらを限定するものではない。本出願中で引用される参考文献は、各々、参照によりその全体が本明細書中で援用される。
【0282】
実施例1:ヒト骨格筋細胞(hSKMC)におけるヒト筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)のアンチセンス抑制
ヒトDMPK核酸に対して標的化されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、in vitroでのDMPK RNA転写産物に及ぼすそれらの作用に関して試験した。20,000細胞/ウェルの密度での培養hSKM細胞を、電気穿孔を用いて100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK RNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、ヒトプライマープローブ組RTS3164(順向配列 AGCCTGAGCCGGGAGATG、本明細書中では配列番号9として示される;逆向配列 GCGTAGTTGACTGGCGAAGTT、本明細書中では配列番号10として示される;プローブ配列 AGGCCATCCGCACGGACAACCX、本明細書中では配列番号11として示される)で測定した。DMPK RNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量により調整した。結果は、非処理対照細胞に比して、hDMPKの抑制%として示される。
【0283】
表1および2におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは5−10−5ギャップマーであって、この場合、ギャップセグメントは、10の2’−デオキシヌクレオシドを含み、そして各ウィングセグメントは5つの2’−MOEヌクレオシドを含む。各ギャップマー全体に亘るヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体に亘る全シトシン残基は、5−メチルシトシンである。「標的開始部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化される5’末端ヌクレオシドを示す。「標的終止部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化される3’末端ヌクレオシドを示す。表1に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号1(GenBank寄託番号 NM_001081560.1)を標的にする。表2に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号2(ヌクレオチド18540696〜18555106から切頭化されたGenBank寄託番号 NT 011109.15の相補体)を標的にする。
【0284】
いくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記条件下でのヒトDMPKmRNAレベルの有意の抑制を実証した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表2】
【0285】
表1および2からのアンチセンスオリゴヌクレオチドも、上記と同様の条件を用いて検定で試験し、mRNAレベルをヒトプライマープローブ RTS3162(順向配列 CGGGCCGTCCGTGTT、本明細書中では配列番号157として示される;逆向配列 CTTTGCACTTTGCGAACCAA、本明細書中では配列番号158として示される;プローブ配列 CATCCTCCACGCACCCCCACCX、本明細書中では、配列番号159として示される)。結果を、表3に示す。DMPK mRNA発現も、3’UTRの近くのDMPK遺伝子を標的にするRTS3162により査定した。第二プライマープローブを用いて、全DMPK遺伝子の発現が抑制されていたことを確認した。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0286】
実施例2:CUG反復をターゲッティングするアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
多重CUG反復配列を含有するmRNA転写産物をターゲッティングするアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドの化学的性質およびそれらの配列を、表4に示す。糖型を示す記号を、塩基の後に下付文字で示しており、例を以下に示す:b=2’−O−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アセトアミドリボース;d=2’−デオキシリボース;e=2−O−メトキシエチルリボース;f=2’−アルファ−フルオロ−2’−デオキシリボース;g=2’−O−2[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチルリボース;h=3’−フルオロ−HNA;k=(S)−cEt;1=LNA(ロックド核酸);n=2’−O−(N−メチルアセトアミド)リボース;o=2’−O−ジメチルアミノオキシエチル(DMAOE)リボース;p=PNA;r=プロピルリボース;およびx=アミノ酸コア。複素環名は、アデニン、シトシン、チミンおよびグアニンに関する標準記号で、5−メチルシトシンに関しては「mC」、ならびにリシン側鎖に関しては「K」で明記される。リンカーは、糖型の後に下付きで示されており、以下の記号を用いて示される:g=富PNA−グリシン;a=アミノ酸;およびs=チオエートエステル。
【表4】
【0287】
実施例3:ヒト骨格筋細胞におけるヒトDMPKの用量依存的アンチセンス抑制
hSKMCにおけるDMPKのin vitro抑制を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド(実施例1参照)のうちのいくつかを、種々の用量で試験した。細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で播種し、電気穿孔を用いて、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMおよび20,000nM濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK mRNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、本明細書中に上記のプライマープローブ組RTS3164を用いて測定した。DMPK mRNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量に対して正規化した。結果を、非処理細胞に比して、DMPKの抑制%として表5に示す。
【0288】
試験アンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記条件下でのDMPK mRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表5-1】
【表5-2】
【0289】
表5からのアンチセンスオリゴヌクレオチドも、本明細書中上記のプライマープローブ組RTS3162で試験した。結果を、表6に示す。DMPK mRNA発現も、3’UTRの近くのDMPK遺伝子を標的にするRTS3162により査定した。第二プライマープローブを用いて、全DMPK遺伝子の発現が抑制されていたことを確認した。
【表6-1】
【表6-2】
【0290】
実施例4:ヒト骨格筋細胞におけるヒトDMPKの用量依存的アンチセンス抑制
hSKMCにおけるDMPKのin vitro抑制を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド(実施例3参照)のうちのいくつかを、種々の用量で試験した。細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で播種し、電気穿孔を用いて、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMおよび20,000nM濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK mRNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、本明細書中に上記のプライマープローブ組RTS3164を用いて測定した。DMPK mRNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量に対して正規化した。結果を、非処理細胞に比して、DMPKの抑制%として表7に示す。
【0291】
試験アンチセンスオリゴヌクレオチドの大多数は、上記条件下でのDMPK mRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表7-1】
【表7-2】
【0292】
実施例5:ヒト骨格筋細胞におけるヒトDMPKの用量依存的アンチセンス抑制
いくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドをヒトDMPKmRNAを標的にするよう設計して、hSKMCにおいて種々の用量で試験した。いくつかの他のアンチセンスオリゴヌクレオチドをヒトアクチンmRNAを標的にするよう設計して、これも、hSKMCにおいて種々の用量で試験した。新規設計ギャップマーは、2−10−2 MOEまたは3−10−3 MOEギャップマーである。2−10−2 MOEギャップマーは、14ヌクレオシド長であって、この場合、ギャプセグメントは10の2’−デオキシヌクレオシドを含み、各ウィングセグメントは2つの2’−MOEヌクレオシドを含む。3−10−3 MOEギャップマーは、16ヌクレオシド長であって、この場合、ギャップセグメントは10の2’−デオキシヌクレオシドを含み、各ウィングセグメントは3つの2’−MOEヌクレオシドを含む。各ギャップマー全体に亘るヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体に亘る全シトシン残基は、5−メチルシトシンである。「標的開始部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化される5’末端ヌクレオシドを示す。「標的終止部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化される3’末端ヌクレオシドを示す。表8に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号2(ヌクレオチド18540696〜18555106から切頭化されたGenBank寄託番号 NT 011109.15の相補体)として本明細書中で示されるヒトDMPKゲノム配列、または配列番号801(GenBank寄託番号 NM_001100.3)として本明細書中で示されるヒトアクチン配列を標的にする。
【0293】
細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で播種し、電気穿孔を用いて、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMおよび20,000nM濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK mRNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、本明細書中に上記のプライマープローブ組RTS3162を用いて測定した。DMPK mRNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量に対して正規化した。結果を、非処理対照細胞に比して、DMPKの抑制%として表8に示す。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、同様の条件下でRTS3164を用いても試験した。結果を、表9に示す。
【0294】
試験アンチセンスオリゴヌクレオチドの多くは、上記条件下でのDMPK mRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表8】
【表9】
【0295】
実施例6:DM1繊維芽細胞におけるヒト筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)をターゲッティングするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた用量応答試験
大型CUG反復を保有する突然変異型のDMPK mRNAは完全に転写され、ポリアデニル化されるが、しかし、核内に閉じ込められたままとなる(Davis et al, 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 94, 7388-7393)。これらの突然変異核保持mRNAは、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)の最も重要な病理学的特徴の1つである。DM1繊維芽細胞における突然変異DMPK mRNAのアンチセンス抑制を、試験した。
【0296】
DMPK遺伝子は、正常では、3’非翻訳領域中に5〜37のCTG反復を有する。I型筋緊張性ジストロフィーでは、この数は有意に拡大され、50〜3,500超の範囲であり得る(Harper, Myotonic Dystrophy (Saunders, London, ed.3, 2001); Annu. Rev. Neurosci. 29: 259, 2006; EMBO J. 19: 4439, 2000; Curr Opin Neurol. 20: 572, 2007)。DM1繊維芽細胞を、4,500細胞/ウェルの密度で播種し、サイトフェクチン試薬を、9.4nM、18.8nM、37.5nM、75.0nM、150.0nMおよび300.0nM濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドとともに用いてトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK RNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、本明細書中に上記のプライマープローブ組RTS3164を用いて測定した。DMPK mRNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量に対して正規化した。結果を、非処理対照細胞に比して、DMPKの抑制%として表10に示す。
【0297】
同様の条件での検定を、DMPK転写産物の3’末端を標的にする、本明細書中に上記のRTS3162を用いても実施した。結果を、非処理対照細胞に比して、DMPKの抑制%として表11に示す。
【0298】
試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記条件下でのDMPK mRNAの用量依存的抑制を実証した。
【表10】
【表11】
【0299】
実施例7:ヒト骨格筋細胞(hSKMc)におけるヒトDMPKのアンチセンス抑制
ヒトDMPK核酸に対して標的化されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、in vitroでのDMPK RNA転写産物に及ぼすそれらの作用に関して試験した。20,000細胞/ウェルの密度での培養hSKM細胞を、電気穿孔を用いて10,000nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより測定した。DMPK RNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量により調整した。結果は、非処理対照細胞に比して、DMPKの抑制%として示される。
【0300】
表12および13におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは5−10−5ギャップマーであって、この場合、ギャップセグメントは、10の2’−デオキシヌクレオシドを含み、そして各ウィングセグメントは5つの2’−MOEヌクレオシドを含む。各ギャップマー全体に亘るヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体に亘る全シトシン残基は、5−メチルシトシンである。「標的開始部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトゲノム遺伝子配列において標的化される5’末端ヌクレオシドを示す。「標的終止部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトゲノム配列において標的化される3’末端ヌクレオシドを示す。表12に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号1(GenBank寄託番号 NM_001081560.1)を標的にする。表13に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号2(ヌクレオチド18540696から18555106まで切頭化されたGenBank寄託番号 NT 011109.15の相補体)を標的にする。
【0301】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかは、上記条件下でのDMPK mRNAレベルの有意の抑制を実証した。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【表12-11】
【表12-12】
【表12-13】
【表12-14】
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【表13-6】
【表13-7】
【表13-8】
【表13-9】
【表13-10】
【表13-11】
【表13-12】
【表13-13】
【表13-14】
【表13-15】
【0302】
実施例8:マウス初代培養肝細胞におけるマウスDMPKのアンチセンス抑制
マウスDMPK核酸に対して標的化されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、in vitroでのDMPK RNA転写産物に及ぼすそれらの作用に関して試験した。35,000細胞/ウェルの密度での培養マウス初代培養肝細胞を、電気穿孔を用いて8,000nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより測定した。DMPK RNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量により調整した。結果は、非処理対照細胞に比して、DMPKの抑制%として示される。
【0303】
表14,15および16におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは5−10−5ギャップマーであって、この場合、ギャップセグメントは、10の2’−デオキシヌクレオシドを含み、そして各ウィングセグメントは5つの2’−MOEヌクレオシドを含む。各ギャップマー全体に亘るヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体に亘る全シトシン残基は、5−メチルシトシンである。「マウス標的開始部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがマウス遺伝子配列において標的化される5’末端ヌクレオシドを示す。「マウス標的終止部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがマウス遺伝子配列において標的化される3’末端ヌクレオシドを示す。表12に列挙されたアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号3(ヌクレオチド16666001から16681000まで切頭化されたGenBank寄託番号 NT 039413.7)を標的にする。表13のアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号4(GenBank寄託番号 NM_032418.1)を標的にする。表14のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号5(GenBank寄託番号 AI007148.1)、配列番号6(GenBank寄託番号 AI304033.1)、配列番号7(GenBank寄託番号 BC024150.1)、配列番号8(GenBank寄託番号 BC056615.1)、配列番号793(GenBank寄託番号 BC075715.1)、配列番号794(GenBank寄託番号 BU519245.1)、配列番号795(GenBank寄託番号 CB247909.1)、配列番号796(GenBank寄託番号 CX208906.1 )、配列番号797(GenBank寄託番号 CX732022.1)、配列番号798(GenBank寄託番号 S60315.1)または配列番号799(GenBank寄託番号 S60316.1)を標的にする。さらに、配列番号800(GenBank寄託番号 NM_001081562.1)をターゲッティングするヒトアンチセンスオリゴヌクレオチド ISIS 451421も、この検定に含まれたが、それは表14に列挙されている。
【0304】
表14、15および16のマウスオリゴヌクレオチドは、ヒト遺伝子配列とも交差反応性であり得る。「ミスマッチ」は、マウスオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列とミス対合している核酸塩基の数を示す。マウスオリゴヌクレオチドとヒト配列との間の相補性が大きいほど、マウスオリゴヌクレオチドはヒト配列とより高い可能性で交差反応し得る。表14、15および16のマウスオリゴヌクレオチドを、配列番号800(GenBank寄託番号 NM_001081562.1)と比較した。「ヒト標的開始部位」は、ギャップマーがヒト遺伝子配列において標的化される5’末端ヌクレオシドを示す。「ヒト標的終止部位」は、ギャップマーがヒト遺伝子配列において標的化される3’末端ヌクレオシドを示す。
【0305】
試験アンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかは、上記条件下でのDMPK mRNAレベルの有意の抑制を実証した。試験アンチセンスオリゴヌクレオチドのうちのあるものは、ヒト遺伝子配列と交差反応性である。
【表14-1】
【表14-2】
【表15】
【表16】
【0306】
実施例9:マウス初代培養肝細胞におけるマウスDMPKの用量依存的アンチセンス抑制
マウス初代培養肝細胞におけるDMPKのin vitro抑制を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド(実施例8参照)のうちのいくつかを、種々の用量で試験した。細胞を、35,000細胞/ウェルの密度で播種し、電気穿孔を用いて、1,000nM、2,000nM、4,000nM、8,000nMおよび16,000nM濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、DMPK転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、プライマープローブ組RTS3181(順向配列 GACATATGCCAAGATTGTGCACTA、配列番号771として本明細書中で示される;逆向配列 CACGAATGAGGTCCTGAGCTT、配列番号772として本明細書中で示される;プローブ配列 AACACTTGTCGCTGCCGCTGGCX、配列番号773として本明細書中で示される)を用いて測定した。DMPK転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量に対して正規化した。結果を、非処理対照細胞に比して、DMPKの抑制%として表17に示す。
【0307】
試験アンチセンスオリゴヌクレオチドの大多数は、上記条件下でのDMPK mRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表17】
【0308】
実施例10:HepG2におけるヒトアルファ1骨格アクチンのアンチセンス抑制
マウスモデル中に挿入された場合に、DM1の症候を引き起こし得る伸長CTG反復配列を保有し得る遺伝子であるヒトアルファ1骨格アクチン核酸に対して標的化されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、in vitroでのアルファ1アクチンRNA転写産物に及ぼすそれらの作用に関して試験した。20,000細胞/ウェルの密度での培養HepG2細胞を、電気穿孔を用いて10,000nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間後、RNAを細胞から単離し、α1アクチンRNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより測定した。アルファ1アクチンRNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量により調整した。結果は、非処理対照細胞に比して、α1アクチンの抑制%として示される。
【0309】
表18におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは5−10−5ギャップマーであって、この場合、ギャップセグメントは、10の2’−デオキシヌクレオシドを含み、そして各ウィングセグメントは5つの2’−MOEヌクレオシドを含む。各ギャップマー全体に亘るヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体に亘る全シトシン残基は、5−メチルシトシンである。「標的開始部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化される5’末端ヌクレオシドを示す。「標的終止部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化される3’末端ヌクレオシドを示す。表18に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて、配列番号801(GenBank寄託番号 NM_001100.3)を標的にする。
【0310】
試験アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、上記条件下でのアルファ1アクチン mRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表18】
【0311】
実施例11:
HepG2細胞におけるヒトアルファ1アクチンの用量依存的アンチセンス抑制
HepG2細胞におけるアルファ1アクチンのin vitro抑制を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド(実施例8参照)のうちのいくつかを、種々の用量で試験した。細胞を、20,000細胞/ウェルの密度で播種し、電気穿孔を用いて、625nM、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMおよび20,000nM濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間後、RNAを細胞から単離し、アルファ1アクチンRNA転写産物レベルを、定量的実時間PCRにより、プライマープローブ組RTS3154(順向配列 CCACCGCAAATGCTTCTAGAC、配列番号785として本明細書中で示される;逆向配列 CCCCCCCATTGAGAAGATTC、配列番号786として本明細書中で示される;プローブ配列 CTCCACCTCCAGCACGCGACTTCTX、配列番号787として本明細書中で示される)を用いて測定した。アルファ1アクチンRNA転写産物レベルを、リボグリーン(登録商標)により測定した場合の総RNA含量に対して正規化した。結果を、非処理対照細胞に比して、アルファ1アクチンの抑制%として表19に示す。
【0312】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかは、上記条件下でのアルファ1アクチン mRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表19】
【0313】
実施例12:トランスジェニックマウスにおける筋肉内投与によるヒトアルファ1アクチンのin vivoアンチセンス抑制
筋緊張性ジストロフィーの処置のためのアンチセンス抑制の作用を試験するために、適切なマウスモデルが必要であった。HSALRマウスモデルは、DM1に関して確立されたモデルである(Mankodi, A. et al. Science. 289: 1769, 2000)。そのマウスは、遺伝子の3’UTR中に挿入された220CTG反復を有するヒト骨格アクチン(hACTA1)導入遺伝子を保有する。hACTAl−CUGexp転写産物は、骨格筋の核内フォーカス中に蓄積し、ヒトDM1の場合と同様の筋緊張症を生じる(Mankodi, A. et al. Mol. Cell 10: 35, 2002; Lin, X. et al. Hum. Mol. Genet. 15: 2087, 2006)。それゆえ、hACTA1導入遺伝子のアンチセンス抑制によるHSALRマウスにおけるDM1症候の改善が、DMPK転写産物のアンチセンス抑制によるヒト患者の同様の症候の改善を予測すると予期される。
【0314】
ヒト骨格アクチンの3’UTR中に250CUG反復を有する導入遺伝子をFVB/Nマウスに挿入することにより、HSA(ヒト骨格アクチン)LR(長反復)DM1マウスを生じた。導入遺伝子は、CUG反復RNAとしてマウスにおいて発現されるが、これは、筋緊張性ジストロフィー(DM1)を有する患者のヒト組織試料で観察されるものと同様に、核中に保持されて、核内含有物またはフォーカスを形成する。
【0315】
in vitroでの統計学的に有意の用量依存的抑制を実証したISIS 190403およびISIS 445238(実施例11参照)を、in vivoでヒトアルファ1アクチンRNA転写産物を低減するそれらの能力に関して評価した。
【0316】
処置
HSALRマウスを、12時間明暗周期で保持して、通常のPurinaマウス用固形飼料を自由に摂取させた。動物を少なくとも7日間研究施設中で馴化させた後、実験を開始した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をPBS中で調製し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。オリゴヌクレオチドを、注射用に0.9%PBS中に溶解した。
【0317】
マウスを2つの処置群に分けた。2群には、片側の前脛骨筋中に、0.8nMの用量でISIS 190403またはISIS 445238の直接筋肉内注射を施した。各マウスの対側性前脛骨筋には、PBSの筋肉内注射を1回投与した。PBSを注射した筋肉は、対照として働いた。
【0318】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、両側の前脛骨筋からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表20に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0319】
結果は、ISIS 190403およびISIS 445238による処置がマウスにおけるアルファ1アクチンRNAの抑制を生じたことを示す。
【表20】
【0320】
実施例13:トランスジェニックマウスにおける筋肉内投与によるヒトアルファ1アクチンの用量依存的アンチセンス抑制
in vitroでの統計学的に有意の用量依存的抑制を実証したISIS 445236(実施例11参照)を、in vivoでヒトアルファ1アクチンRNA転写産物を低減するその能力に関して評価した。
【0321】
処置
HSALRマウスを、12時間明暗周期で保持して、通常のPurinaマウス用固形飼料を自由に摂取させた。動物を少なくとも7日間研究施設中で馴化させた後、実験を開始した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をPBS中で調製し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。オリゴヌクレオチドを、注射用に0.9%PBS中に溶解した。
【0322】
マウスを3つの処置群に分けた。その群には、片側の前脛骨筋中に、0.2nM、0.4nMまたは0.8nMの用量でISIS 445236の直接筋肉内注射を施した。各マウスの対側性前脛骨筋には、PBSの筋肉内注射を1回投与した。PBSを注射した筋肉は、対照として働いた。
【0323】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、両側の前脛骨筋からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表21に示すように、ISIS 445236による処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を、すべての投与量で低減した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0324】
結果は、ISIS 445236による処置が、上記条件下でのアルファ1アクチンmRNAレベルの有意の抑制を生じたことを示す。
【表21】
【0325】
筋電図検査による筋緊張症の査定
筋緊張症は、筋繊維の弛緩遅延のためである反復性活動電位を指す。この現象は、筋緊張性ジストロフィーの患者において、ならびにHSALRマウスにおいて観察される。EMG針を筋緊張性筋肉中に挿入すると、挿入による活性が普通では終結する時間を過ぎて数秒まで、電気的活動が延長される。筋緊張性放電の周波数は50〜100インパルス/秒の範囲である。
【0326】
筋電図検査により筋緊張を測定し、以下のように等級分けした:等級0は、任意の針挿入により引き出される筋緊張がないことを指す(0%);等級1は、50%未満の針挿入により引き出される筋緊張を指す;等級2は、50%より多くの針挿入により引き出される筋緊張を指す;そして等級3は、100%針挿入により引き出される筋緊張を指す。
【0327】
筋電図検査の前に、100mg/kgのケタミン、10mg/kgキシラジンおよび3mg/kgアセプロマジンのカクテルを腹腔内注射により、マウスを麻酔した。左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に対して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表22に示す。これは、ISIS 445236で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。
【表22】
【0328】
選択的スプライシングの補正
DM1/HSALRマウスモデルにおいて、核内の伸長CUG RNAの蓄積は、ポリ(CUG)結合タンパク質、例えばMuscleblind様1(MBLN1)の隔離をもたらす(Miller, J. W. et al. EMBO J. 19: 4439, 2000)。Serca1遺伝子の選択的スプライシングを制御する、スプライシング因子MBLN1は、伸長CUGフォーカス中に隔離される。これは、この遺伝子の選択的スプライシングの調節不全を誘発する。このような選択的スプライシングに及ぼすヒトアルファ1アクチンのアンチセンス抑制の作用を評価するために、メーカーの使用説明書に従って、RNイージー脂質組織ミニキット(Qiagen)を用いて、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋から総RNAを精製した。cDNA合成およびPCR増幅のための遺伝子特異的プライマーを用いて、Superscript IIIワンステップRT−PCR系およびプラチナTaqポリメラーゼ(Invitrogen)で、RT−PCRを実施した。Serca−1のための順向および逆向プライマーは、Bennett and Swayze (Annu. Rev. Pharmacol. 2010; 50: 259-93)に記載されている。PCR産物をアガロースゲル上で分離し、SybrGreen I核酸ゲル染色(Invitrogen)で染色し、フジフィルム LAS−3000 インテリジェントダークボックスを用いて画像処理した。
【0329】
PBS中でのSerca1スプライシングのPCR産物は、MBLN1の誤調節の結果として、エキソン22消失を実証した。ISIS 445236による処置は、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋におけるエキソン22含入ならびにSerca1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0330】
したがって、アルファ1アクチンのアンチセンス抑制はSerca1スプライシング誤調節を補正したが、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置が核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積を低減したことを示す。核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積低減は、MBLN1隔離を補正し、それにより正常スプライシングを起こさせる。
【0331】
実施例14:トランスジェニックマウスにおける皮下投与によるヒトアルファ1アクチンのin vivoアンチセンス抑制
ISIS 190403、ISIS 445236およびISIS 445238を、in vivoでのヒトアルファ1アクチンRNA転写産物を低減するそれらの能力に関して評価した。
【0332】
処置
HSALRマウスを、12時間明暗周期で保持して、通常のPurinaマウス用固形飼料を自由に摂取させた。動物を少なくとも7日間研究施設中で馴化させた後、実験を開始した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をPBS中で調製し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。オリゴヌクレオチドを、注射用に0.9%PBS中に溶解した。
【0333】
マウスを4つの処置群に分けた。最初の3群には、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量でISIS 190403、ISIS 445236またはISIS 445238の皮下注射を施した。第4群には、4週間の間、週2回、PBSの皮下注射を施した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0334】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋(左右)、腓腹筋(左右)および前脛骨筋(左右)からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表23に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減した。結果を、対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0335】
ISIS 445236およびISIS 45238はともに、上記条件下でのアルファ1アクチンmRNAレベルの有意の抑制を実証した。
【表23】
筋肉中のアルファ1アクチンの蛍光in situハイブリダイゼーション
【0336】
凍結筋肉組織切片を、PBS溶液中の新鮮な3%パラホルムアルデヒド中で15〜20分間固定し、その後、それらをPBSで5分間、2回すすいだ。0.5%トリトンX−100で5分間、核を透過処理して、その後、組織を正常ヤギ血清で30分間ブロッキングした。切片を、テキサスレッド(Integrated DNA Technologies)で5’−標識化した、アルファ1アクチンに対して標的化される2’−O−メチルRNAとともにインキュベートした。切片をDAPIで対比染色して、核を標識した。切片を封入し、標準蛍光顕微鏡で観察した。Metavueソフトウェアにより画像を得て、Autoquantソフトウェアにより逆重畳積分を達成した。
【0337】
ISIS 445236およびISIS 445238で処置したマウスからの筋肉組織切片はすべて、リボ核内フォーカスでアルファ1アクチンシグナルの蛍光強度低減を示したが、これは、ヒトアルファ1アクチン mRNAのアンチセンス抑制ならびに核内フォーカスにおけるRNAの低減を示している。
【0338】
筋電図検査による筋緊張症の査定
筋緊張症は、筋繊維の弛緩遅延のためである反復性活動電位を指す。この現象は、筋緊張性ジストロフィーの患者において、およびHSALRマウスにおいて観察される。EMG針を筋緊張性筋肉中に挿入すると、挿入による活性が普通では終結する時間を過ぎて数秒まで、電気的活動が延長される。筋緊張性放電の周波数は50〜100インパルス/秒の範囲である。
【0339】
筋電図検査により筋緊張を測定し、以下のように等級分けした:等級0は、任意の針挿入により引き出される筋緊張がないことを指す(0%);等級1は、50%未満の針挿入により引き出される筋緊張を指す;等級2は、50%より多くの針挿入により引き出される筋緊張を指す;そして等級3は、100%針挿入により引き出される筋緊張を指す。
【0340】
筋電図検査の前に、腹腔内への100mg/kgのケタミン、10mg/kgキシラジンおよび3mg/kgアセプロマジンまたは250mg/kgの2,2,2−トリブロモエタノールを用いて、マウスを麻酔した。左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表24に示す。これは、ISIS 445236およびISIS 445238で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。
【表24】
【0341】
選択的スプライシングの補正
Serca1スプライシング、m−Titinスプライシング、CIC−1塩化物チャンネル遺伝子(Clcn1)スプライシングおよびZaspスプライシングを制御するスプライシング因子MBLN1は、伸長CUGフォーカス中に隔離される。MBNL1隔離は、これらの遺伝子の各々の調節不全スプライシングを誘発する。スプライシングに及ぼすヒトアルファ1アクチンのアンチセンス抑制の作用を評価するために、実施例13に記載した通りに、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋から総RNAを精製し、RT−PCRを実施した。Serca−1、m−Titin、Clcn1およびZaspのための順向および逆向プライマーは、Bennett and Swayze (Annu. Rev. Pharmacol. 2010; 50: 259-93)に記載されている。
【0342】
PBS処置HSALRマウスにおいて、Serca1スプライシングは、エキソン22消失により実証されるように、誤調節される。ISIS 445236およびISIS 445238の各々による処置は、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋におけるエキソン22含入ならびにSerca1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0343】
PBS処置HSALRマウスにおいて、m−Titinスプライシングは、エキソン5含入により実証されるように、誤調節される。ISIS 445236およびISIS 445238の各々による処置は、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋におけるエキソン5のスキッピングならびにm−Titin遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0344】
PBS処置HSALRマウスにおいて、Clcn1スプライシングは、エキソン7a含入により実証されるように、誤調節される。ISIS 445236およびISIS 445238の各々による処置は、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋におけるエキソン7aのスキッピングならびにClcn1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0345】
PBS処置HSALRマウスにおいて、Zaspスプライシングは、エキソン11含入により実証されるように、誤調節される。ISIS 445236およびISIS 445238の各々による処置は、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋におけるエキソン11のスキッピングならびにZasp遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0346】
したがって、アルファ1アクチンのアンチセンス抑制はSerca1、m−Titin、Clcn1およびZaspスプライシング誤調節を補正したが、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置が核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積を低減したことを示す。核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積低減は、MBLN1隔離を補正し、それにより正常スプライシングを起こさせる。
【0347】
実施例15:トランスジェニックマウスにおけるヒトアルファ1アクチンのin vivoアンチセンス抑制
HSALRマウスにおける筋緊張症に関するISIS 445236およびISIS 445238によるヒトアルファ1アクチンRNA転写産物のアンチセンス抑制を、さらに評価した。
【0348】
処置
HSALRマウスを、3つの処置群に分けた。最初の2群には、2週間の間、週2回、25mg/kgの用量でISIS 445236またはISIS 445238の皮下注射を施した。第3群には、2週間の間、週2回、PBSの皮下注射を施した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0349】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表25に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0350】
ISIS 445236およびISIS 45238はともに、上記条件下でのアルファ1アクチンmRNAレベルの有意の抑制を実証した。
【表25】
【0351】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表26に示す。これは、ISIS 445236およびISIS445238で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。
【表26】
【0352】
選択的スプライシングの補正
Serca1の選択的スプライシングに及ぼすISIS190401の作用を評価するために、実施例13に記載したものと同様の手順で、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋から精製した総RNAを分析した。
【0353】
PBS処置HSALRマウスでは、Serca1スプライシングは、MBLN1の誤調節の結果として、エキソン22消失により実証されるように、誤調節される。ISIS 445236およびISIS445238の各々による処置は、前脛骨筋および四頭筋におけるエキソン22のほぼ完全な含入ならびにSerca1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0354】
したがって、アルファ1アクチンのアンチセンス抑制はSerca1スプライシング誤調節を補正したが、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置が核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積を低減したことを示す。核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積低減は、MBLN1隔離を補正し、それにより正常スプライシングを起こさせる。
【0355】
実施例16:トランスジェニックマウスにおけるヒトアルファ1アクチンの用量依存的アンチセンス抑制
ISIS 445236およびISIS 445238によるヒトアルファ1アクチンRNA転写産物の用量依存的抑制を、評価した。
【0356】
処置
HSALRマウスに、4週間の間、週2回、2.5mg/kg、8.5mg/kgまたは25.0mg/kgの用量でISIS 445236またはISIS 445238を皮下注射した。対照群には、4週間の間、週2回、PBSを皮下注射した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0357】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋(Quad)、腓腹筋(Gastroc)および前脛骨筋(TA)からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表27に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0358】
両アンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記条件下での、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋におけるアルファ1アクチンmRNAレベルの用量依存的抑制を実証した。
【表27】
【0359】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋(Quad)、左右の腓腹筋(Gastroc)、左右の前脛骨筋(TA)および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表28に示す。これは、ISIS 445236およびISIS445238で処置したマウスにおける筋緊張の有意の用量依存的低減を実証する。
【表28】
【0360】
選択的スプライシングの補正
Serca1の選択的スプライシングに及ぼすISIS190401の作用を評価するために、実施例13に記載したものと同様の手順で、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋から精製した総RNAを分析した。
【0361】
PBS処置HSALRマウスでは、Serca1スプライシングは、MBLN1の誤調節の結果として、エキソン22消失により実証されるように、誤調節される。8.5mg/kgまたは25.0mg/kgの用量で、週2回(または17.0mg/kg/週および50.0mg/kg/週)での、ISIS 445236およびISIS445238の各々による処置は、3つの筋肉型すべてにおけるエキソン22の完全な含入ならびにSerca1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0362】
したがって、アルファ1アクチンのアンチセンス抑制はSerca1スプライシング誤調節を補正したが、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置が核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積を低減したことを示す。核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積低減は、MBLN1隔離を補正し、それにより正常スプライシングを起こさせる。
【0363】
実施例17:トランスジェニックマウスにおけるヒトアルファ1アクチンのHSAコード領域をターゲッティングするオリゴヌクレオチドによるin vivoアンチセンス抑制
HSALRマウスにおける筋緊張症に関するISIS 190401(5’−GCGGTCAGCGATCCCAGGGT−3’(配列番号788)、配列番号1の標的開始部位1028)によるヒトアルファ1アクチンRNA転写産物のアンチセンス抑制を、評価した。
【0364】
処置
HSALRマウスに、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量でISIS 190401を皮下注射した。対照群には、2週間の間、週2回、PBSを皮下注射した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0365】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表29に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0366】
ISIS 190401による処置は、上記条件下での、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋におけるアルファ1アクチンmRNAレベルの有意の抑制を生じた。
【表29】
【0367】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表30に示す。これは、ISIS 190401で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。
【表30】
【0368】
選択的スプライシングの補正
Serca1の選択的スプライシングに及ぼすISIS190401の作用を評価するために、実施例13に記載したものと同様の手順で、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋から精製した総RNAを分析した。
【0369】
PBS処置HSALRマウスでは、Serca1スプライシングは、MBLN1の誤調節の結果として、エキソン22消失により実証されるように、誤調節される。ISIS 190401による処置は、3つの筋肉型すべてにおけるエキソン22の完全な含入ならびにSerca1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じた。
【0370】
したがって、アルファ1アクチンのアンチセンス抑制はSerca1スプライシング誤調節を補正したが、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置が核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積を低減したことを示す。核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積低減は、MBLN1隔離を補正し、それにより正常スプライシングを起こさせる。
【0371】
実施例18:トランスジェニックマウスにおけるヒトアルファ1アクチンをターゲッティングするオリゴヌクレオチドによるアンチセンス抑制の作用の持続時間
HSALRマウスにおけるISIS 445236によるヒトアルファ1アクチンRNA転写産物のアンチセンス抑制の作用の持続時間を評価した。
【0372】
処置
HSALRマウスに、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量でISIS 445236を皮下注射した。対照群には、2週間の間、週2回、PBSを皮下注射した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。最終用量投与の6週間後に、マウスを分析した。
【0373】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の6週間後、動物を屠殺し、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表31に示すように、ISIS 445236による処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減し、この作用は少なくとも6週間持続した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0374】
ISIS 445236による処置は、上記条件下での、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋におけるアルファ1アクチンmRNAレベルの有意の抑制を生じた。
【表31】
【0375】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表32に示す。これは、ISIS 445236で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。したがって、ISIS 445236によるアルファアクチンのアンチセンス抑制の作用は、少なくとも6週間持続された。
【表32】
【0376】
実施例19:トランスジェニックマウスにおける筋肉内投与によるCUG反復を有するmRNAのアンチセンス抑制のin vivo作用
HSALRマウスにおける筋緊張に及ぼす多重CUG反復を含有するmRNA転写産物のアンチセンス抑制の作用を、評価した。CUG反復をターゲッティングする、そして種々の長さを有する3つのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、マウスにおける筋緊張を抑制するに際してのそれらの有効性に関して検定した。ISIS 444745(AGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCA(配列番号789))は、均一2’−O−メトキシエチルオリゴヌクレオチドであり、25ヌクレオチド長で、ホスホロチオエート主鎖を有する。ISIS 444746(AGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号790))は、均一2’−O−メトキシエチルオリゴヌクレオチドであり、20ヌクレオチド長で、ホスホロチオエート主鎖を有する。ISIS 444749(GCAGCAGCAGCAGCA(配列番号791))は、均一2’−O−メトキシエチルオリゴヌクレオチドであり、15ヌクレオチド長で、ホスホロチオエート主鎖を有する。ISIS 445236は、陽性対照として検定に含まれた。
【0377】
処置
HSALRマウスを、3つの処置群に分けた。群には、前脛骨筋中に、0.4nMの用量で、ISIS 444745、ISIS 444746またはISIS 444749の直接筋肉内注射を施した。各マウスの対側性前脛骨筋には、PBSの筋肉内注射を1回投与した。PBS注射筋肉は、対照として働いた。
【0378】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、前脛骨筋(左右)からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表33に示すように、ISIS 444745による処置のみが、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【表33】
実施例20:トランスジェニックマウスにおける筋肉内投与によるCUG反復を有するmRNAのin vivo用量依存的抑制
【0379】
ISIS 444745およびISIS 444746を、in vivoでヒトアルファ1アクチン mRNAを低減するその能力に関してさらに評価した。
【0380】
処置
HSALRマウスを、12時間明暗周期で保持して、通常のPurinaマウス用固形飼料を自由に摂取させた。動物を少なくとも7日間研究施設中で馴化させた後、実験を開始した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をPBS中で調製し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。オリゴヌクレオチドを、注射用に0.9%PBS中に溶解した。
【0381】
マウスを6つの処置群に分けた。その群のうちの3つには、片側の前脛骨筋中に、0.2nM、0.5nMまたは1.0nMの用量でISIS 444745の直接筋肉内注射を施した。別の3郡には、片側の前脛骨筋中に、0.2nM、0.5nMまたは1.0nMの用量でISIS 444746の直接筋肉内注射を施した。各マウスの対側性前脛骨筋には、PBSの筋肉内注射を1回投与した。PBS注射筋肉は、ISISオリゴヌクレオチドで処置した対応するマウスに対する対照として働いた。
【0382】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表34に示す。これは、ISIS 444745またはISIS 444746で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。ISIS 444745およびISIS 444746によるアルファアクチンのアンチセンス抑制の作用は、少なくとも6週間持続した。
【表34】
【0383】
実施例21:トランスジェニックマウスにおける筋肉内投与によるCUG反復を有するmRNAのアンチセンス抑制のin vivo作用
HSALRマウスにおける筋緊張に及ぼす多重CUG反復を含有するmRNA転写産物のアンチセンス抑制の作用を、評価した。ISIS 445236は、陽性対照として検定に含まれた。
【0384】
処置
HSALRマウスを、5つの処置群に分けた。最初の3群には、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量で、ISIS 444745、ISIS 444746またはISIS 444749の皮下注射を施した。第4群には、4週間の間、週2回、PBSの皮下注射を施した。第5群には、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量で、ISIS 445236の皮下注射を施した。PBS注射群は対照として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0385】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表35に示す。
【0386】
ISIS 445236による処置は、筋緊張症における有意の低減をもたらした。ISIS 444745およびISIS 444746による処置も、試験した組織のいくつかで、筋緊張の低減を生じた。
【表35】
【0387】
実施例22:トランスジェニックマウスにおける皮下投与による長いCUG反復 mRNA(HSALRマウス)および短いCUG反復(HSASRマウス)の用量依存的抑制
長いCUG反復(HSALRマウス)を含有するmRNA転写産物および短いCUG反復(HSASRマウス)を含有するmRNA転写産物の用量依存的抑制を、評価した。HSA−短反復(HSASR)マウスは、HSALRマウスと同一の導入遺伝子を発現するが、但し、250でなく5つのCUG反復が3’UTR中に挿入される。HSASRマウスは、筋緊張症、スプライシング変化、または任意の他の観察可能な筋緊張症表現型を有さない。ISIS 445236を、この検定に用いた。
【0388】
処置
HSALRマウスを、4つの処置群に分けた。最初の3群には、4週間の間、週2回、2.5mg/kg、8.5mg/kgまたは25.0mg/kgの用量でISIS 445236を皮下注射した。第4群には、4週間の間、週2回、PBSを皮下注射した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。HSASRマウスも4群に分けて、同様に処置した。
【0389】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋(左右)、腓腹筋(左右)および前脛骨筋(左右)からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。結果を表36および37に示したが、これは、対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わされる。HSALRマウスの筋肉中の核保持長反復の抑制は、HSASRマウスの筋肉中の非核保持短反復と比較して、より大きかった。
【表36】
【表37】
実施例23:トランスジェニックマウスにおけるヒトDMPKのin vivoアンチセンス抑制
【0390】
LC15マウス、系統Aは、全ヒトDMPK 3’UTRを含有するトランスジェニックマウスである(ロチェスター大学のWheeler等により開発された)。当該マウスは、FVBバックグラウンドと戻し交配されたマウスの第二世代である。導入遺伝子は、CUG反復RNAとしてマウスで発現され、これは、筋緊張性ジストロフィー(DM1)を有する患者のヒト組織試料で観察されるものと同様に、核中に保持されて、核封入体またはフォーカスを形成する。DMPK導入遺伝子中に、350〜400のCUG反復が存在する。これらのマウスは、DM1の早期徴候を表示し、それらの筋肉中にいかなる筋緊張も示さない。
【0391】
in vitroでの統計学的に有意の用量依存的抑制を実証したISIS 445569、ISIS 444404、ISIS 444436およびISIS 473810(実施例5参照)を、in vivoでヒトDMPK RNA転写産物を低減するその能力に関して評価した。
【0392】
処置
LC15、系統Aマウスを、12時間明暗周期で保持して、通常のPurinaマウス用固形飼料を自由に摂取させた。動物を少なくとも7日間研究施設中で馴化させた後、実験を開始した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をPBS中で調製し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。オリゴヌクレオチドを、注射用に0.9%PBS中に溶解した。
【0393】
マウスを5つの処置群に分けた。最初の3群には、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量で、ISIS 445569、ISIS 444404またはISIS 444436の皮下注射を施した。第4群には、4週間の間、週2回、12.5mg/kgの用量で、ISIS 473810の皮下注射を施した。第5群には、4週間の間、週2回、PBSの皮下注射を施した。PBS注射群は対照として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0394】
DMPK RNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋からの組織を単離した。DMPKの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表38に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトDMPK RNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、DMPK転写産物の抑制%として表わす。
【表38】
【0395】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。LC15は筋緊張症を有さないため、対照群も処置群も、試験したいかなる筋肉においてもいかなる筋緊張も表示しなかった。
【0396】
実施例24:トランスジェニックマウスにおけるヒトDMPKのin vivoアンチセンス抑制
LC15マウス、系統Dは、全ヒトDMPK 3’UTRを含有するトランスジェニックマウスである(ロチェスター大学のWheeler等により開発された)。当該マウスは、FVBバックグラウンドと戻し交配されたマウスの第三世代である。導入遺伝子は、CUG反復RNAとしてマウスで発現され、これは、筋緊張性ジストロフィー(DM1)を有する患者のヒト組織試料で観察されるものと同様に、核中に保持されて、核封入体またはフォーカスを形成する。DMPK導入遺伝子中に、350〜400のCUG反復が存在する。これらのマウスは、DM1の早期徴候を表示し、それらの筋肉中にいかなる筋緊張も示さない。
【0397】
ISIS 445569、ISIS 444404、ISIS 444436およびISIS 473810を、in vivoでヒトDMPK RNA転写産物を低減するその能力に関してさらに評価した。
【0398】
処置
LC15、系統Dマウスを、12時間明暗周期で保持して、通常のPurinaマウス用固形飼料を自由に摂取させた。動物を少なくとも7日間研究施設中で馴化させた後、実験を開始した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をPBS中で調製し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過することにより滅菌した。オリゴヌクレオチドを、注射用に0.9%PBS中に溶解した。
【0399】
マウスを6つの処置群に分けた。最初の3群には、4週間の間、週2回、25.00mg/kgの用量で、ISIS 445569、ISIS 444404またはISIS 444436の皮下注射を施した。第4群には、4週間の間、週2回、12.50mg/kgの用量で、ISIS 473810の皮下注射を施した。第5群には、4週間の間、週2回、6.25mg/kgの用量で、ISIS 473810の皮下注射を施した。第6群には、4週間の間、週2回、PBSの皮下注射を施した。PBS注射群は対照として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。
【0400】
DMPK RNAの抑制
最終用量投与の24時間後、動物を屠殺し、四頭筋からの組織を単離した。DMPKの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表39に示すように、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置は、ヒトDMPK RNA転写産物発現を低減した。結果を、PBS対照に比して、DMPK転写産物の抑制%として表わす。
【0401】
結果は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置がマウスにおけるDMPK mRNAの抑制を生じたことを示す。
【表39】
【0402】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。LC15は筋緊張症を有さないため、対照群も処置群も、試験したいかなる筋肉においてもいかなる筋緊張も表示しなかった。
【0403】
実施例25:SXLトランスジェニックマウスモデルにおけるヒトDMPKのin vivoアンチセンス抑制
hDMPKターゲッティングASO 444401および299471を用いて、ヒラメ筋における標的ノックダウンをSXLマウスで測定した。SXLマウスは、全DMPK遺伝子およびプロモーターに関する遺伝子導入動物であり、DMPK遺伝子の3’UTR中に1000のCUG反復配列を含有する。マウスに、4週間の間に、週2回、50mg/kgを用量投与した(n=3匹/群、但し、生理食塩水注射対照に関しては、n=2)。Taqman検定の結果は、ISIS 444401またはISIS 299471による処置がmut−hDMPK mRNAレベルを有意に低減したが、しかし内因性マウスDmpk mRNAレベルに及ぼす作用は無視可能であった。
【0404】
したがって、ISIS 444401およびISIS 299471は、ヒトDMPKmRNA転写産物を選択的に標的にする。
【0405】
実施例26:トランスジェニックマウスにおけるヒトアルファ1アクチンをターゲッティングするオリゴヌクレオチドによるアンチセンス抑制の作用の持続時間
HSALRマウスにおけるISIS 190401によるヒトアルファ1アクチンRNA転写産物のアンチセンス抑制の作用の持続時間を評価した。
【0406】
処置
HSALRマウスに、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量でISIS 190401を皮下注射した。対照群には、4週間の間、週2回、PBSを皮下注射した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群とを比較した。最終用量投与の15週間後に、マウスを分析した。
【0407】
アルファ1アクチンRNAの抑制
最終用量投与の15週間後、動物を屠殺し、四頭筋、腓腹筋および前脛骨筋からの組織を単離した。アルファ1アクチンの実時間PCR解析のためにRNAを単離し、18sRNAに対して正規化した。表40に示すように、ISIS 190401による処置は、ヒトアルファ1アクチンRNA転写産物発現を低減し、この作用は少なくとも15週間持続した。結果を、PBS対照に比して、アルファ1アクチン転写産物の抑制%として表わす。
【0408】
ISIS 190401による処置は、上記条件下でのアルファ1アクチンmRNAレベルの有意の抑制を生じた。
【表40】
【0409】
筋電図検査による筋緊張症の査定
左右の四頭筋、左右の腓腹筋、左右の前脛骨筋および腰部傍脊柱筋に関する筋電図検査を、30ゲージ同心針電極を用いて、各筋肉に関して最低10回の針挿入により、以前に記載されたように(Kanadia et al, 2003, Science, 302: 1978-1980)実施した。各群の4匹のマウスで観察された平均筋緊張等級として、データを表41に示す。これは、ISIS 190401で処置したマウスにおける筋緊張の有意の低減を実証する。したがって、ISIS 190401によるアルファアクチンのアンチセンス抑制の作用は、少なくとも15週間持続された。
【表41】
【0410】
選択的スプライシングの補正
Serca1の選択的スプライシングに及ぼすISIS190401の作用を評価するために、実施例13に記載したものと同様の手順で、前脛骨筋、腓腹筋および四頭筋から精製した総RNAを分析した。
【0411】
PBS処置HSALRマウスでは、Serca1スプライシングは、エキソン22消失により実証されるように、誤調節される。ISIS 190401による処置は、3つの筋肉型すべてにおけるエキソン22のほぼ完全な含入ならびにSerca1遺伝子の選択的スプライシングの正常化を生じ、これは、15週間後でさえ持続された。
【0412】
したがって、アルファ1アクチンのアンチセンス抑制はSerca1スプライシング誤調節を補正したが、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置が核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積を低減したことを示す。核内フォーカスにおけるCUGexpの蓄積低減は、MBLN1隔離を補正し、それにより正常スプライシングを起こさせる。
【0413】
実施例27:ヒトアクチンのアンチセンス抑制のトランスクリプトーム作用のマイクロアレイ解析
伸長CUG反復を有するアクチンmRNAの発現は、筋肉トランスクリプトームの広範なリモデリングを引き起こす。ISIS 190401およびISIS 445236の全体的トランスクリプトーム作用を評価するために、マイクロアレイ解析をHSALRマウスにおいて利用した。
【0414】
処置
HSALRマウスに、4週間の間、週2回、25mg/kgの用量でISIS 190401またはISIS 445236を皮下注射した。対照群には、4週間の間、週2回、PBSを皮下注射した。PBS注射群は対照群として機能し、これと、オリゴヌクレオチド処置群と比較した。
【0415】
マイクロアレイによるトランスクリプトーム解析
野生型またはHSALRマウスの四頭筋から、RNAを単離した。Agilentバイオアナライザーを用いて、RNA完全性を立証した(RNA完全性数>7.5)。MouseRef−8 v2.0発現ビーズチップキット(Illumina, San Diego)を用いて、メーカーの推奨に従って、RNAを相補的RNA(cRNA)にプロセシングして、マイクロビーズ上でハイブリダイズした。BeadStudioソフトウェア(Illumina)を用いて、画像データを定量化した。シグナル強度を、変位値正規化した。列特異的オフセットを用いて、正規化前に2未満のあらゆる値を回避した。CUG、UGCまたはGCU反復の6以上のヌクレオチドを有するすべてのプローブ組からのデータを削除して、ハイブリダイゼーション混合物中の伸長反復(mRNA中のCUG反復由来のcRNA中のCAG反復)が当該プローブ中の反復配列と交差ハイブリダイズし得る可能性を排除した。その発現がアレイで容易に定量されない遺伝子を排除するために、<0.1の検出可能性に関するP値を示すプローブを、全試料で削除した。群間の比較を要約し、平均発現レベルの倍率変化およびt検定により等級順位を付けた。ソフトウェアパッケージR(Butler et al. Diabetes. 2002; 51: 1028-34)を用いて、野生型、ISISオリゴヌクレオチド処理およびPBS処置マイクロアレイ試料に関して、主成分分析を実施した(Levin et al. In Antisense Drug Technology: Principles, Strategies, and Applications, S.T. Crooke, Ed. (CRC Press, Boca Raton, 2008), pp 183-215; Geary et al. DrugMetab. Dispos. 2003; 31: 1419-28)。主成分は、三次元内の各試料における発現変動の大多数の捕捉を可能にした。各試料の最初の3つの主成分を、プロットした。
【0416】
非処置野生型およびHSALRマウスの主成分分析は、広範に分離されたクラスターにおける野生型マウスからのHSALRの分離を実証した。これに対比して、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置HSALRマウスは野生型により近くに群をなしたが、これは、トランスクリプトーム正規化に関する全体的傾向を示唆している。HSALRトランスジェニックマウスと野生型マウスとの比較は、下記の表42に示すように、その発現レベルが2倍以上変更された93の転写産物を同定した(P<0.0001)。これらの転写産物に関する誤調節の程度は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関して低減されるかまたは正規化された(88%誤調節転写産物はISIS 445236に応答した(P<0.05;ISIS 445236対PBS対照)が、一方、90%はISIS 190401に応答した)。
【0417】
オフ−ターゲットノックダウンを有する転写産物を考察するために、その発現がアンチセンスオリゴヌクレオチド処置HSALRマウスにおいて低減されるすべての転写産物を同定した(いずれかのオリゴヌクレオチドにより>2倍低減、P<0.0001、n=41転写産物)。これらの判定基準により下方調節された転写産物はすべて、HSALRマウスにおいて上方調節を実証した。唯一の例外であるコラーゲン6アルファ2は、オフ−ターゲット切断に起因するとは思われないが、それは、非重複配列を有する2つのアンチセンスオリゴヌクレオチドにより下方調節されたためであった。
【0418】
これらの結果は、4週間のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置が、オフ−ターゲット作用を伴わずに筋肉トランスクリプトームの全般的改善を生じた、ということを示す。
【表42-1】
【表42-2】
【表42-3】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]