(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981438
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】プラグ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20160818BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-536998(P2013-536998)
(86)(22)【出願日】2011年11月3日
(65)【公表番号】特表2013-546131(P2013-546131A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】DE2011001926
(87)【国際公開番号】WO2012059086
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】202010015046.9
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505404172
【氏名又は名称】エルニ プロダクション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ユールゲン ラッペン
【審査官】
出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−167955(JP,A)
【文献】
特開2007−066890(JP,A)
【文献】
特開2007−042468(JP,A)
【文献】
特開2010−055852(JP,A)
【文献】
特開2008−192517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ筐体内に配置された複数の接触要素、及び、前記筐体(110)上に配置された張力緩和要素(200)を含み、前記接触要素及び前記張力緩和要素の両方は、SMT技術を使用することによって、プリント回路基板(10)に固定することができ、前記張力緩和要素(200)は、前記プラグ筐体の一部に固定することができ、かつ、前記プリント回路基板(10)に面する側に実質的に直角に曲がったシートメタル要素であり、前記シートメタル要素により、SMT固定のための支持面(220)を形成し、前記シートメタル要素は、逆極性保護に使用されるバー(150)に固定でき、
前記バー(150)は、嵌合方向(R)と前記嵌合方向と横断する方向の両方に前記プラグ筐体(110)を越えて突出し、
前記シートメタル要素は、前記バー(150)へのラッチ接続(211,212)によって固定できることを特徴とするプラグ。
【請求項2】
前記シートメタル要素は、二つのラッチ要素(211,212)のそれぞれが二つのグループに分類された四つのラッチ接続を含み、第1のグループ(211)は、前記プラグの上側にできるだけ近く配置され、第2のグループ(212)は、前記プリント回路基板(10)にできるだけ近く配置されることを特徴とする請求項1に記載されたプラグ。
【請求項3】
直角に曲げられ、かつ、前記張力緩和要素(200)を形成する前記シートメタル要素は、嵌合方向(R)に垂直で、かつ、前記筐体の側面を越えて突出する前記プリント回路基板(10)と平行に延びる長方形の支持面(220)を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載されたプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグ筐体内に配置された複数の接触要素とその筐体上に配置された複数の張力緩和要素とを含むプラグに関連する。ここで、接触要素と張力緩和要素の両方は、SMT技術を使用することによって、プリント回路基板に固定できる。
【背景技術】
【0002】
このようなプラグは、SMCプラグコネクタという製品名称で出願人により販売されており、例えば、出願人のパンフレットD074497、2月8日第3版で公開され、そのパンフレットは、出願人のウェブサイトhttp://www.erni.com/DB/PDF/SMC/ERNI-SMC-Board-on-d.pdfからダウンロードできる。これらのプラグコネクタにおいて、張力緩和要素は、プラグ筐体の縦方向の側面に位置し、プラグ筐体のプラスチックバー(kunststoffstege)を介して接続する固定要素の延長にしっかりと、プラグイン方向に対して側面に沿って横方向に、それぞれ固定される。張力緩和要素は、固定要素に固定され
、打ち抜かれて形成されたシートメタル部品である。シートメタル要素は、プリント回路基板に面する側でのSMT固定のための支持面を含む。これらの支持面は、筐体の狭い側面を越えて、横方向にそれぞれ突出する。
【0003】
これらのプラグはそのような張力緩和要素をそれぞれ含むオスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタとを含む。嵌合状態において、プラグイン工程は、横方向に突出するプラスチックバー(kunststoffstege)の厚さによってかなり制限される。嵌合信頼性の高レベルの条件の範囲内、即ち、最大相互挿入の条件の範囲内で、二つのプラグコネクタ部品(即ち、オスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタ)は、できるだけ深くお互いに挿入されることが、現在望ましい。したがって、プラスチックバー(kunststoffstege)は、二つのプラグコネクタ部品の相互挿入の深さがそのプラスチックバー(kunststoffstege)の厚さによって制限されるから、できるだけ薄い構造で形成されなければならない。しかしながら、これは、上記張力緩和要素がその一部によりバー(steg)上に一体化して形成された固定突起に固定されているから、最適な張力緩和の条件の範囲内で不可能である。しかしながら、薄いプラスチックバー(kunststoffstege)は、所望の安定性を有しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、一方で最大嵌合信頼性(即ち、オスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタの最大相互挿入)が確保され、他方で、最適な張力緩和が確保されるようなプラグを開発するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、張力緩和要素がプラグ筐体の一部に固定できるシートメタル要素であり、かつ、プリント回路基板に面する側で実質的に直角に曲げることによって、SMT固定のための支持面を形成するという上述されたプラグによって、達成される。張力緩和要素を固定することに使用されるプラスチックバー(kunststoffstege)を横方向に突出することを完全に省くことと、支持面を形成することによってプリント回路基板に面する側で曲げられ、プラグ筐体の一部に直接固定できるシートメタル部品として張力緩和要素を配置することとは、本発明の基本的な考え方である。結果として、プラスチックバー(kunststoffstegen)を横方向に突出することによって一体化して形成される固定装置は、完全に省略できる。プラスチックと比較してシートメタルがより高い安定性があるため、むしろ、張力緩和を形成するシートメタル要素自身がかなり薄い構造で支持面を形成する屈曲領域を備えることができる。したがって、最大嵌合、即ち、プラグコネクタ要素の最大相互挿入、及びそれによる嵌合信頼性のとても高いレベルが、可能である。
【0006】
独立請求項1に記載されたプラグの有利な開発および改良は、従属クレームで記載された手段によって可能になる。
【0007】
有利な実施形態は、シートメタル要素が逆極性保護のために同時に使用されるバー(stegen)に固定できることを開示する。これらのバー(stege)は、高張力にも耐えるプラグ筐体にシートメタル要素を特に安定して固定することを可能にする。バー(stege)は、同時に逆極性保護のために使用される。
【0008】
ある実施形態において、バー(stege)は、プラグイン方向と、プラグイン方向に対して横断する方向との両方向にプラグ筐体を越えて突出し、筐体の壁よりもかなり厚く、より大きな形状で形成されることが開示される。これは、シートメタル要素の固定の安定性の向上だけでなく、逆極性保護に対する丈夫さも向上する。
【0009】
もう一つの実施形態において、バー(stege)が筐体の内部に突出し、筐体の壁よりも厚く、より大きな形状を備えることが開示される。これは、シートメタル要素の固定の安定性の向上につながる。同時に、バー(stege)は、丈夫な逆極性保護として使用される。
【0010】
シートメタル要素は、多くの方法で、バー(stegen)に主に固定できる。接着接続、プレス接続又は同様のものが、主に考慮される。
【0011】
特に有利な実施形態は、シートメタル要素が、ラッチ接続によって、バー(stegen)に固定できることを開示する。そのようなラッチ接続は、シンプルな取り付けを可能にするだけでなくシンプルな生産、例えば、シートメタル要素
を打ち抜くことによる生産も可能にする。
【0012】
特に好ましい実施形態は、シートメタル要素は、二つのラッチ要素のそれぞれが二つのグループに分類された四つのラッチ接続を含み、第1のグループは、プラグの上側にできるだけ近く配置され、第2のグループは、プリント回路基板にできるだけ近く配置されることを開示する。これはまた、プラグに作用する回転力に対するプリント回路基板に固定したプラグの安定性を向上させる。張力緩和の丈夫さもこの方法によって、かなり向上する。
【0013】
好ましくは、直角に曲がったシートメタル要素が、筐体の側面を越えて突出することによって、プラグイン方向に垂直に、かつ、プリント回路基板に平行に延びる長方形の支持面を形成する。この構造は、支持面とともに、他の最先端の技術を除いて、中断なく連続的に配置した広い領域にわたって張力緩和要素を固定する。
【0014】
シートメタル要素は、特に大量生産においてとても早く正確に生産できる
、打ち抜かれて形成された部品であることが好ましい。屈曲工程、即ち、直角に配置された支持面の仕込み(ausbildung)とラッチ要素の仕込み(ausbildung)だけが
打ち抜く工程の後に必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施形態が図に示され、以下の明細書においてより詳細に説明され、図は、以下のことを示す。
【
図1】メスマルチポイントコネクタとしてプリント回路基板に配置された発明に係るプラグの等角図を示す。
【
図2】張力緩和のために使用されるシートメタル要素の組立前の
図1で図示されたプラグを示す。
【
図3】オスマルチポイントコネクタとして配置された発明に係るプラグコネクタの等角図を示す。
【
図4】嵌合前のメスマルチポイントコネクタとオスマルチポイントコネクタである発明に係る二つのプラグコネクタを示す。
【
図5】嵌合後の発明に係るオスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
プラグは、図を参照することによって、以下に説明され、そのプラグはメスマルチポイントコネクタ(
図1および
図2参照)としても、また、オスマルチポイントコネクタ(
図3参照)としても、配置できる。全体に符号100がついているメスマルチポイントコネクタは、バネ接触要素(示さず)が、既知の方法で中に配置された筐体110を含む。筺体110は、その上側111に刃形接触子が挿入可能な開口部120を含み、以下により詳細に説明される。バネ接触要素は、その底面側のSMTはんだパッド122を含み、はんだパッドは、サイドエリア112を超えて突出でき、プリント回路基板10上に配置される。バー(stege)は、筐体110の横方向に配置され、(
図1中の矢印Rで指定された)嵌合方向と、筐体を区切っている側面112,113を越えて嵌合方向と垂直の両方向に、筐体を越えて突出している。バー(stege)150は、角錐台のように成形され、かつ、オスマルチポイントコネクタとして配置された筐体(
図3)の一部の凹部に挿入するために設けられた突起152を含む。一方で、バー(stege)150は、逆極性保護のために使用され、他方では、張力緩和要素200は、配置されたシートメタル部品に固定できる。シートメタル部品は、実質的にL字状の輪郭を有し、垂直方向に延びる部210と直角に折り曲げられ、プリント回路基板10に平行に延びているシートメタル部220とを含む。
【0017】
垂直方向に延びるシートメタル部210は、二つのラッチ要素211の一つのグループがプラグコネクタ100の筐体110の上側111にできるだけ近くに隣接して配置され、さらなるペアのラッチ要素212が屈曲シートメタル部220とプリント回路基板10とのできるだけ近くに配置された合計四つのラッチ要素211,212を含む。二つのそれぞれのペアが嵌合方向において互いに最大距離に距離をとるという四つのラッチ要素の配置は、シートメタル部として配置された張力緩和要素200の安全な固定と、また、例えば、プラグ100のへ回転力によるプリント回路基板に固定したプラグ100の断絶に対する十分に高い丈夫さとを確保する。
【0018】
張力緩和要素200の屈曲部220は、プリント回路基板へのSMT固定のための支持面として使用される。前述の屈曲部220は、可能な限り最大の支持面を設けるために、嵌合方向に対して横方向に狭い側面113を超えて突出している実質的に長方形である。結果として、プリント回路基板にはんだ付けされたはんだパッド122が、効果的に張力を緩和し、高い引張荷重によるはんだパッド122の一つ以上の接触の不慮の遮断は、防止される。
【0019】
図1に示すように、シートメタル要素は、この目的のために設けられた凹部151のバー(steg)150に固定できる。しかしながら、これは必須ではない。主に、張力緩和要素200はまた、バー(steg)の外側(即ち、凹部なし)に付設できる。しかしながら、凹部151は、
図1に示すように、特にコンパクトな構造にできる。
【0020】
図2は、張力緩和要素200の固定直前の
図1に示すプラグコネクタを示す。同じ要素は、
図1と同じ参照符号を有する。ラッチ開口部153は、張力緩和要素200のラッチ要素211,212が係合する先の取り外された状態で認識することができる。張力緩和要素200は、シートメタル部
を打ち抜き、
打ち抜く工程は、屈曲工程、即ち、ラッチ要素211,212を曲げる工程と、部分220を長方形に曲げる工程とに続く必要がある。張力緩和要素200の固定化は、バー(stegen)150のラッチ開口部153をラッチすることによって生じる。
【0021】
図3は、オスマルチポイントコネクタとして配置されたプラグコネクタ300を示す。刃形接触子320は、そのプラグ内に配置される。上述したバー(stege)150を挿入できる凹部330は、刃形接触子の両側にそれぞれ設けられる。この目的のために、凹部330は、バー(stege)の上側に合わせた傾斜受入開口332を含み、側面が角錐台の形で形作られている。刃形接触子320のSMTパッド332は、プリント回路基板(示さず)にそれぞれ面するように設けられる。
【0022】
図3で示されるプラグ内に張力緩和要素200’も設けられ、張力緩和要素は、シートメタル部品として配置され、嵌合方向Rにかなり延び、かつ、プラグ筐体の内部に突出するメスマルチポイントコネクタとは対照的に、バー(steg)350にラッチ要素211’ ,212’によって固定できる部分210’と、実質的に長方形に折り曲げられた部分220’とを含む。凹部351は、張力緩和要素200’がプラグ筐体を越えて横方向に突出しないように、この場合もまた設けられる。バー(stege)350は、逆極性保護のためにこの場合も使用される。それらは、ラッチ接続を用いて張力緩和要素200’の最適な固定のために同時に使用される。バー(stege)350は、別の方法でプラグ筐体310の内部に突出できるラッチ要素211’ ,212’を用いて、固定を有効にする。屈曲部220’は、本願明細書ではプラグ筐体を越えて横方向に突出しないように曲げるが、刃形接触子320のSMTパッド322に対向して内側に向けられている。しかしながら、これは必須ではない。むしろ、屈曲部220’は、
図1,2とともに上述のように、外側に曲げることもできる。
図3で示された解決策は、プラグの特にコンパクトな構造を実現する。張力緩和要素200’の矩形領域220’によって形成される張力緩和は、プラグの側面の境界面をわずかに越えて突出する。
【0023】
図4は、本発明に係るプラグの
図1及び
図2に示されたメスマルチポイントコネクタと、嵌合直前の本発明に係るプラグの上に位置するオスマルチポイントコネクタとを示す。
図4は、また、プリント回路基板にそれぞれ配置された開口部(示さず)に係合するセンタリングピン359を示す。これらのセンタリングピンは、メスマルチポイントコネクタ内にそれぞれの方法でまた配置され、参照符号159(
図2参照)のある位置に設けられる。
【0024】
図4は、バー(stege)150がプラグ筐体110の側面の境界面112,113を超えて突出することをより詳細に示す。この突出は、逆極性保護のために使用される。さらに、この突出は、プラグの安定性、特に、バー(stegen)150上に配置される張力緩和要素200によって実現された張力緩和の安定性も向上する。
【0025】
図5は、最後に、オスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタとの嵌合状態を示す。オスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタの最大嵌合は、本発明に係る張力緩和要素200,200’の配置によって可能になる。オスマルチポイントコネクタ300は、張力緩和要素200の横方向に突出している屈曲部220の上に載る程度まで、メスマルチポイントコネクタ100に挿入できる。突出部220は、結果として安定性を損なうことなく、非常に薄い構造を実現できる屈曲シートメタル部からなるので、オスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタとの最大嵌合は、可能であり、プラグの両方の部品、即ち、オスマルチポイントコネクタとメスマルチポイントコネクタ、の最適な張力緩和の同時併用による高い嵌合信頼性は、屈曲部220により形成されるSMT領域が大きいため、結果として確保される。