(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981446
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】血液処理システム用チャンバー、血液チューブシステム及び血液処理システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
A61M1/36 111
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-545104(P2013-545104)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-506157(P2014-506157A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】EP2011006450
(87)【国際公開番号】WO2012084208
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月15日
(31)【優先権主張番号】10015895.5
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/425,409
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599117152
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケアー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト ライター
(72)【発明者】
【氏名】パオロ スタビリーニ
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−024990(JP,U)
【文献】
特開昭61−247468(JP,A)
【文献】
米国特許第04765959(US,A)
【文献】
特開昭58−010062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー壁で区画された少なくとも1つの空間と、該空間に連通される複数の血液用導入口(10,11)及び複数の別流体用導入口(20,21)とを備えた血液処理システム用チャンバーであって、
前記血液処理システム用チャンバーの前記空間内に突出する2つの管部(30,40)が設けられ、
前記2つの管部(30,40)のうちの一方の管部(30)に、前記複数の血液用導入口(10,11)が形成され、他方の管部(40)に前記複数の別流体用導入口(20,21)が形成されており、
前記血液処理システム用チャンバーの使用状態において、前記血液処理システム用チャンバーの前記空間が、血液、又は、血液と前記別流体若しくは他の流体との混合物によって、少なくとも部分的に満たされており、
前記2つの管部(30,40)は、前記血液用導入口(10,11)及び前記別流体用導入口(20,21)が前記血液処理システム用チャンバー内において前記血液又は流体の液面レベル(50)よりも下側に位置するような長さを有し、
前記血液処理システム用チャンバーの上側から見た断面形状が円形であり、
前記複数の血液用導入口(10,11)及び複数の別流体用導入口(20,21)は、対応する管部(30,40)において互いに対向する側部にそれぞれ配置されているとともに、前記血液処理システム用チャンバーの上側から見て、前記血液及び前記別流体が、それぞれ前記血液用導入口(10,11)及び前記別流体用導入口(20,21)から前記血液処理システム用チャンバーの径方向でもなければ接線方向でもない特定の方向のみに流出するように、前記側部に配置されていることを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項2】
請求項1に記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記2つの管部(30,40)は、互いに異なる長さ又は同じ長さを有することを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記2つの管部(30,40)の少なくとも1つは、前記血液処理システム用チャンバーの前記空間内に突出する外殻表面(31,41)及び先端部表面(32,42)を含み、
前記複数の血液用導入口(10,11)及び/又は前記複数の別流体用導入口(20,21)は、該血液用導入口及び/又は別流体用導入口の少なくとも一部分が前記外殻表面(31,41)に位置するように配置されていることを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記血液及び/又は前記別流体が、前記管部(30,40)の長手軸(L)に対して角度をもって前記管部(30,40)から流出するように、前記血液用導入口(10,11)及び/又は前記別流体用導入口(20,21)が前記管部(30,40)の前記側部に形成されていることを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項5】
請求項4に記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記角度は、30°〜150°の範囲内にあることを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記複数の血液用導入口(10,11)及び複数の別流体用導入口(20,21)が、対応する管部(30,40)において同じ高さ位置に配置されること、及び、
前記複数の血液用導入口(10,11)及び複数の別流体用導入口(20,21)が、同じサイズ又は異なるサイズを有することの少なくとも1つを満たすことを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記2つの管部(30,40)の少なくとも1つは、前記血液処理システム用チャンバーの前記空間内に突出する先端部に、壁(32,42)を有しており、
前記複数の血液用導入口(10,11)及び/又は複数の別流体用導入口(20,21)が、前記側部において前記壁(32,42)に隣接して配置されていることを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の血液処理システム用チャンバーにおいて、
前記血液処理システム用チャンバーは、ベース本体と、該ベース本体を閉じるための蓋部又はヘッド部(60)とを含み、
前記2つの管部(30,40)は、前記蓋部又はヘッド部(60)に配置されていることを特徴とする血液処理システム用チャンバー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の血液処理システム用チャンバーを少なくとも1つ備えることを特徴とする血液チューブシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の血液チューブシステムにおいて、
前記血液チューブシステムは、前希釈用ポート及び/又は後希釈用ポートを備え、
前記前希釈用ポート及び前記後希釈用ポートの一方又は両方が、前記別流体用導入口(20,21)が形成された管部(40)と流体接続されているか、又は、流体接続可能な状態にあることを特徴とする血液チューブシステム。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の血液処理システム用チャンバーを少なくとも1つ備えるか、又は、請求項9又は請求項10に記載の血液チューブシステムを少なくとも1つ備えることを特徴とする血液処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理システム用チャンバーに関するものであり、該チャンバーは、チャンバー壁で区画される少なくとも1つの空間と、該空間に連通される少なくとも1つの血液用導入口及び少なくとも1つの別流体用導入口とを備えるものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術によれば、体外血液回路の一部である、透析装置のダイアライザの下流に静脈側ドリップチャンバーを備え付けることが知られている。この静脈側ドリップチャンバーの機能は、前記ダイアライザ内で浄化された患者の血液を患者へ返血する際の気泡除去を確実に行うことである。
【0003】
先行技術によれば、例えば、浄化された透析液、又は、塩溶液などの輸液を、上記のようなドリップチャンバー内に導入することが、さらに知られている。このような供給は、前記ダイアライザの前の所謂前希釈、及び/又は、前記ダイアライザの後の所謂後希釈と連携して達成され得る。
【0004】
図4は、前記先行技術の実施形態を、前記のような静脈側ドリップチャンバーの蓋部又はヘッド部の形態で示し、該蓋部又はヘッド部の上面には、供給ポート100が、ダイアライザ内で浄化された血液用として配置されている。符号200は、前記輸液用の供給ポートを示す。
【0005】
図4からさらに理解され得るが、
図4に矢印で示されるように、血液は管部30を通じてチャンバー内に導入されるが、この場合、血液は、該管部30に設けられた導入口10を通じてチャンバー内に導入されることが知られている。
【0006】
前記輸液は、前記供給ポート200を通じて導入されるが、この場合、該輸液用の導入口は、前記チャンバー内の流体又は血液の液面レベル(符号50により示される)よりも上側に位置している。
図4に矢印で示されるように、前記輸液は、前記血液又は血液と輸液との混合物の液面上に、滴下されるか又は流れ落ちる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のようなドリップチャンバーの構成が有する欠点は、前記チャンバー内に存在する流体又は血液の液面上に、前記輸液が衝突することにより微小気泡が発生し、これにより、警報が作動するような状況が引き起こされ、場合によっては透析処理が停止し得るということである。
【0008】
従って、本発明の目的は、前記ドリップチャンバー内における微小気泡の形成を大方ないし完全に抑制するような上述のチャンバーを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、請求項1に記載の特徴を備える血液処理システム用チャンバー(以下、チャンバーともいう)によって解決される。
【0010】
従って、複数の血液用導入口、及び、複数の、例えば輸液のような別流体用導入口が、チャンバーの空間内に突出する2つの管部に形成される。すなわち、
図4に示される先行技術のチャンバーの構成に対し、血液用及び別流体用導入口が、血液又は血液と輸液との混合物が含まれるチャンバー空間内に突出する2つの管部に形成される。
【0011】
本発明によれば、さらに、前記チャンバー空間が、血液、又は、血液と別流体若しくは他の流体との混合物によって、少なくとも部分的に満たされていること、及び、2つの管部は、前記血液用導入口及び前記別流体用導入口がチャンバー内の血液又は流体の液面レベルよりも下側に位置するような長さを有する。このように、少なくとも前記チャンバーの使用状態(稼働状態)においては、チャンバー内に存在する血液の液面上、又は、チャンバー内に存在する血液と輸液若しくは他の流体との混合物の液面上に、僅かな高さからでさえも滴下が起こらないようにすることが確実にできる。また、本発明によれば、血液に加えて別流体も、チャンバー内に存在する血液又は流体の液面レベルよりも下側に導入される。
【0012】
このように、前記別流体の、既にチャンバー内に存在している流体又は血液の液面上への滴下を防止し、この結果、微小気泡が形成される可能性を低減することが可能である。
【0013】
「管部」という用語は、広義に解されるべきであり、血液又は別流体をチャンバー内に通すのに適切な、剛直及び柔軟な部材の両方を含む。従って、例えば、プラスチック、配管部材、ホースなどの固体部材が考えられる。
【0014】
前記管部の直径、寸法及び形状は、所望のものに広く選択され得る。例えば、前記管部の内径部及び外径部は円形であり得る。しかしながら、これと異なる形状も本発明には含まれる。
【0015】
前記チャンバーの使用状態において、前記2つの管部の少なくとも1つは、鉛直方向に、又は、鉛直方向に対して鋭角に延びるように配設されることが考えられる。従って、2つの管部が備えられ、これらが実質的に鉛直方向に配置され、これら管部のうちの1つが、前記血液用導入口を複数含むこと、及び、これら管部のうちの別の1つが、前記別流体用導入口を複数含むことが考えられる。
【0016】
前記2つの管部は、互いに平行に又は実質的に平行に延び得る。しかしながら、前記管部は、互いに角度を持って配置されることもあり得る。
【0017】
また、本発明では、
前記血液処理システム用チャンバーの上側から見た断面形状が円形であり、前記複数の血液用導入口及び複数の別流体用導入口は、対応する管部において互いに対向する側部にそれぞれ配置されているとともに、前記血液処理システム用チャンバーの上側から見て、前記血液及び前記別流体が、それぞれ前
記血液用導入口及び前記別流体用導入口から前記血液処理システム用チャンバーの
径方向でもなければ接線方向でもない特定の方向のみに流出するように、前記側部に配置されている。
【0018】
本発明におけるさらなる態様では、前記チャンバーの使用状態において、前記チャンバー空間は、血液、又は、血液と少なくとも1つの流体若しくは他の流体との混合物によって部分的に満たされ、該血液又は流体の液面レベルよりも上側に、エアクッションが配置される。
【0019】
さらに、前記2つの管部は、互いに異なる長さ又は同じ長さを有し得る。
【0020】
例えば、複数の血液用導入口を備える管部に対して、同じ長さ、又は、より短い、若しくは、より長い、複数の別流体用導入口を備える管部を設計することが考えられる。
【0021】
さらに、前記2つの管部の少なくとも1つは、前記チャンバー空間内に突出する外殻表面及び先端部表面を含み、複数の血液用導入口及び/又は複数の別流体用導入口は、該血液用導入口及び/又は別流体用導入口の少なくとも一部分又は全体が、前記外殻表面に位置するように配置され得る。本発明におけるこの態様により、血液又は流体を横から導入する、すなわち側面から導入する。本態様においては、前記血液及び/又は前記別流体は、前記管部の長手軸に一致する方向ではなくて、該長手軸に対して角度をもって延びる方向に導入される。前記角度は、前記管部の長手軸に対して、30°〜150°の範囲内に、好ましくは60°〜120°の範囲内に、特に好ましくは80°〜100°の範囲内にあることが考えられる。例えば、前記角度が約90°である場合は、血液はまず管部内を通り、その後、その方向から直角方向に、管部から血液用又は別流体用導入口を通ってチャンバー内に流れる。
【0022】
さらに、前記複数の血液用
導入口及び
前記複数の別流体用導入口は、同じ高さ位置、すなわち鉛直方向に延びる管部の場合は該管部の同じ鉛直方向の位置に配置されることが可能であり、前記複数の血液用
導入口及び
前記複数の別流体用導入口は、同じサイズ又は異なるサイズを有することも可能である。
【0023】
さらに、前記2つの管部の少なくとも1つは、前記チャンバー空間内に突出する先端部に壁を有し、前記複数の血液用導入口及び/又は複数の別流体用導入口が、前記壁に隣接して配置され得る。
【0024】
各管部毎に2つの血液用及び別流体用導入口を備え
る形態の代替として、2つよりも多い血液用及び別流体用導入口、例えば3つ又は4つの血液用及び別流体用導入口を各管部毎に形成することも、もちろん可能である。
【0025】
前記各管部の側部にそれぞれ配置された複数の血液用及び別流体用導入口を通じて、前記のように血液及び別流体を導入することは、前記チャンバー内で渦の形成を効果的に抑制するという利点があり、このことによって、微小気泡の発生を大方ないし完全に抑制するという利点がもたらされる。
【0026】
前記複数の血液用導入口又は前記複数の別流体用導入口は、前記血液又は前記別流体が、チャンバーの径方向
でもなければ接線方向でもない特定の方向であれば、チャンバー壁に向かう方向、チャンバー
の周方向、又は、これら
の方向並びにチャンバーの径方向
及び接線方向のうちの二方向の間の方向へ導入されるように配置され得る。
【0027】
さらに、前記2つの管部は、血液用導入口と別流体用導入口とが互いに離れて存在するように、互いに離れた位置に配置され得る。
【0028】
さらに、前記チャンバーは、ベース本体と、該ベース本体を閉じるための蓋部又はヘッド部とを含み、前記2つの管部は、前記蓋部又はヘッド部に配置され、好ましくは該蓋部又はヘッド部を貫通して延びていてもよい。前記蓋部又はヘッド部は、前記ベース本体に固く連結されるか、又は、前記ベース本体から取り外すことが可能である。固定タイプの設計の場合は、前記ベース本体と前記蓋部又はヘッド部とは、一体型として設計することが可能である。
【0029】
前記チャンバーは、ダイアライザの下流に配置される静脈側チャンバーとして使用される。
【0030】
前記別流体は、輸液、特に透析液、又は、例えば塩化ナトリウム溶液などの塩溶液であり得る。前記別流体が、前記チャンバー空間内で血液と混合され、該混合物が患者に供給される。
【0031】
さらに、本発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載のチャンバーを少なくとも1つ備える血液チューブシステムに関する。この血液チューブシステムは、前希釈用ポート及び/又は後希釈用ポートを備え、該前希釈用
ポート及び
該後希釈用ポートの一方又は両方が、前記別流体用導入口が形成された管部と流体接続されているか、又は、流体接続可能な状態にあり得る。
【0032】
さらに、本発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載のチャンバーを少なくとも1つ備えるか、又は、請求項9又は10に記載の血液チューブシステムを少なくとも1つ備える血液処理システムに関する。
【0033】
本発明の有利な態様においては、前記血液処理システムは、透析装置である。この透析装置は、血液透析、血液濾過、又は、血液透析濾過を行うよう構成され得る。
【0034】
さらに、前記透析装置によって前記別流体が供給されるようにすることが可能である。
【0035】
本発明のさらなる詳細及び利点については、以下の図面に示された実施形態を参照して、詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明に係るチャンバーの蓋部を斜め下方から見た図である。
【
図2】
図2は、血液用
導入口又は別流体用導入口を有する管部の断面図である。
【
図3】
図3は、血液及び別流体の流れの方向を示す、
図1の構成の概略上面図である。
【
図4】
図4は、先行技術の静脈側ドリップチャンバーの蓋部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、斜め下方から見た図であって、透析装置の体外血液回路の静脈側チャンバーのヘッド部又は蓋部60を示す。
【0038】
符号100は血液用の供給ポートを示し、符号200は輸液用の供給ポートを示す。供給ポート100は、前記体外血液回路に接続される。供給ポート100を通じ、ダイアライザで浄化された血液は、本発明に係る静脈側チャンバー内に導入される。
図1には、前記静脈側チャンバーの蓋部又はヘッド部60が示されている。
【0039】
輸液用の供給ポート200は、例えば、透析液、塩化ナトリウム溶液などのような、適切な輸液源に接続される。前記ポート200を通じ前記輸液が前記チャンバー内に供給される。図示された実施形態においては、前記供給は前記ダイアライザの下流でなされ、その結果、後希釈となる。
【0040】
しかしながら、原則として、本発明は、後希釈しての使用に限定されず、前希釈の領域におけるチャンバーの使用にも提供される。
【0041】
図1において、符号50は、前記チャンバー内に存在する血液又は流体の液面レベルを示す。前記流体は、血液のみか、又は、血液と前記輸液若しくは他の流体との混合物のいずれかからなる。さらに、
図1から理解され得るように、供給ポート100は、好ましくは、管部30と強固に又は一体的に接続され、供給ポート200は、好ましくは、管部30と平行に延びる管部40と強固に又は一体的に接続される。
図1から理解され得るように、管部30,40は、互いに離れた位置にある。供給ポート100,200は、管部30,40と一体のものであってよく、あるいは、管部30,40と適切な方法で連結されていてもよい。管部30,40及び/又は供給ポート100,200は、前記チャンバーの蓋部又はヘッド部60と一体のものであるか、あるいは、例えば蓋部又はヘッド部60内に挿入されるなどといった他の方法で、蓋部又はヘッド部60と連結されることも考えられる。
【0042】
符号Lは、2つの管部30,40の長手軸を示しており、管部30,40は、前記チャンバー内の空間に突出し、該チャンバー空間は、前記ヘッド部60又は前記蓋部60によってその上側が閉じられる。
【0043】
さらに
図1から理解され得るように、管部30,40の各々は、その外殻表面31,41に導入口10,21を備え、該導入口10,21を通じて、一方では血液が、そしてもう一方では輸液が、前記チャンバー内に既に存在している流体又は血液中に流入する。
【0044】
さらに
図1に示す通り、血液用導入口10及び輸液用(別流体用)導入口21が、前記チャンバー内に既に存在する流体又は血液の液面レベル50よりも下側に位置している。さらに
図1に示す通り、導入口10,21は、管部30,40の下部先端部32,42には配置されず、血液又は別流体が、管部30,40から横向きに又は少なくとも横方向に流出するように、横方向のみに又は少なくとも横方向にも向くように配置される。
【0045】
従って、本実施形態によれば、輸液用導入口及び血液用導入口は共に、前記チャンバー内に既に存在している血液、又は、血液と輸液若しくは他の流体との混合物の液面レベル50よりも下側に位置する。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、一方の血液用導入口と他方の別流体用導入口とが互いに離れて存在する。
【0047】
さらに
図1から理解され得るように、別流体用導入口を備える管部40は、血液用導入口10を備える管部30よりも僅かに短く形成されている。原理的に、前記2つの管部30,40を同じに設計すること、各々の導入口10,21の高さないし位置を同じレベルにすること、又は、管部40を管部30よりも長く設計することも考えられる。
【0048】
図2は、管部30又は管部40の断面を示す。
図2から理解され得るように、管部30,40は、蓋部の一体部分であり、好ましくは蓋部と一体成形される。従って、本発明では、一体型の輸液用ポートが実現される。
【0049】
図2より、血液供給用の管部30及び別流体供給用の管部40には、各々、先端壁32,42に直に隣接する2つの導入口10,11;20,21が形成されていることが分かる。
図3からも理解されるように、前記2つの導入口は、互いに対向配置され、その結果、血液又は別流体が、各々の管部30,40の互いに対向する側部から流出して、前記チャンバー内に既に存在する流体中に流入する。このことは、例えば
図3から理解され得る。ここで、符号30は血液供給用の管部を示し、符号10,11は血液用導入口を示す。これらの導入口は、管部30の側面、すなわち横方向に互いに反対向きの状態で配置され、その結果、
図3に示すように、血液は、管部分30から互いに反対に、すなわち反対方向に流出する。
【0050】
このことは、別流体供給用の管部40の形成にも当てはまる。ここにおいても、2つの反対向きの導入口20,21が備えられており、異なるサイズを有する。
図3に示されるように、管部30及び40から流出する際、血液及び別流体の流れの方向は平行である。しかしながら、一方の血液の流出と他方の別流体の流出とが非平行となる場合もまた、本発明には含まれる。
【0051】
原理的に、本発明はまた、各々の導入口10,11及び20,21が同じサイズであるように設計される場合も含む。導入口10,11及び20,21は、管部の同じ高さ位置に、又は異なる高さ位置に配置され得る。
【0052】
さらに
図3から理解され得るように、ここに示される実施形態においては、血液又は別流体の流入方向が、円筒形若しくは断面円形である容器、又はチャンバーの蓋部の外殻表面に対して径方向で
もなければ接線方向でもないように、前記導入口が配置されている。
ここでは、血液又は別流体の流入方向は、径方向と接線方向との間にある方向である。本発明の本態様によって、血液及び輸液のより良い混合が達成され、液面レベルがチャンバーの中心部で低下しかつチャンバーの側壁部側で上昇してしまうような乱流効果は生じない。本実施形態では、流体の液面レベル50又はチャンバー内の流体の液面は、概して平坦を維持しており、その結果渦形成が大方ないし完全に抑制され、さらにその結果として微小気泡又は泡の発生が抑制される。
【0053】
図1〜
図3に示された静脈側ドリップチャンバーは、血液用
導入口及び別流体用導入口を離れた位置に備え、血液用
導入口及び別流体用導入口は、管部に前記のように特別に設計されているので、血液及び/又は別流体の、チャンバー内に存在する流体又は血液の液面上への滴下が起こらないという利点だけではなく、渦形成、その結果としての泡形成又は微小気泡の形成が大方ないし完全に抑制されるという、さらなる利点も有している。1つ以上の管部30,40は、射出成形法により製造され得る。この方法において、追加の導入口11,21を備えることは、該方法を行うことが容易かつ安定しているという点で、一定の利点を有する。したがって、蓋部若しくはヘッド部60全体、又は、少なくとも管部30,40を、射出成形法によって製造することが好ましい。
【0054】
特に本発明に係るチャンバーは、血液透析濾過の後希釈、及び、オンラインHDF(血液透析濾過)の後希釈に適用するのに好都合である。
【0055】
従って、供給ポート200は、好ましくは、ダイアライザ内で血液を浄化した後に該血液に供給される輸液用のポートである。