特許第5981461号(P5981461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5981461一時ブロックフローを解決する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981461
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】一時ブロックフローを解決する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20160818BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20160818BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H04W28/06 110
   H04W28/04 110
   H04L1/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-555387(P2013-555387)
(86)(22)【出願日】2012年2月20日
(65)【公表番号】特表2014-512721(P2014-512721A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】SE2012050181
(87)【国際公開番号】WO2012115576
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/446,579
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】ヴィデル, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ディアッキナ, ジョン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン レーヴェンマーク, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シュリヴァ‐ベルトリング, ポール
(72)【発明者】
【氏名】スンドベリ, モルテン
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−533219(JP,A)
【文献】 特表2004−527158(JP,A)
【文献】 特開2009−218927(JP,A)
【文献】 特表2010−527207(JP,A)
【文献】 GERAN IMTC: Discussion on identifiers,3GPP TSG GERAN #48 GP-101953,2010年11月22日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_geran/TSG_GERAN/GERAN_48_San_Jose_del_Cabo/Docs/GP-101953.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 1/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
GERAN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と関連し且つ一時ローIDによって識別される一時ブロックフローと各々が関連する1つ以上のRLC/MACブロックによって基地局システムとの間でデータを交換する1つ以上の移動局を含む無線ネットワークにおいて前記一時ブロックフローを解決する方法であって、
RLC/MACヘッダ及びRLCデータブロックを含むRLC/MACブロックを受信するステップ(31)と、
前記RLC/MACヘッダ中の第1の一時フローID群から第1の一時フローIDを検索するステップ(32)と、
前記第1の一時フローIDを、割り当てられた一時フローIDと比較するステップ(33)と、
送信中のダウンリンクRLC/MACブロックの拡張一時フローIDフィールドを検索する前記移動局の能力を判定するステップ(34)と、
前記第1の一時フローIDが、前記割り当てられた一時フローIDと一致し、且つ関連した前記移動局に対して包括的一時フローIDを表す場合、前記RLC/MACブロックのペイロードを復号するステップ(37)と、
前記第1の一時フローIDが、前記割り当てられた一時フローIDと一致し、且つ拡張一時フローIDに対するコードポイントとして識別された場合、前記RLCデータブロックの少なくとも所定のフィールドを復号し且つ第2の一時フローID群から拡張一時フローIDを検索するステップ(35)であって、前記拡張一時フローIDは、PANフィールドのCRCビットと前記拡張一時フローIDとの排他的論理和によって付加されているところのステップ(35)と、
前記拡張一時フローIDを、割り当てられた拡張一時フローIDと比較するステップ(36)と、
前記拡張一時フローIDが、前記割り当てられた拡張一時フローIDと一致する場合、前記RLCデータブロックのペイロードを復号するステップ(37)と、
前記第1の一時フローIDが前記割り当てられた一時フローIDと一致しないか又は前記拡張一時フローIDが前記割り当てられた拡張一時フローIDと一致しない場合、前記RLC/MACブロックを無視するステップ(38)と、
新たなRLC/MACブロックを受信すると、前記RLC/MACブロックに対して上記のステップを繰り返すステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記RLC/MACヘッダ中のPAN標識からPANフィールドの優勢度を判定するステップ(41)と、
前記PAN標識がセットされている場合、前記一時フローIDによって前記RLC/MAC PANフィールドを復号するステップ(42)と、
前記PANフィールドが正しく復号されたか否かを判定するためにCRCビットを評価するステップ(43)と、
正しい復号であると判定された場合、前記RLC/MAC PANフィールドを読み取り、前記RLC/MAC PANフィールドに含まれる情報を関連する前記一時ブロックフローに適用する(44)が、そうでない場合は前記PANフィールドから復号された情報を無視するステップ(45)と
を更に含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は移動ネットワークの中の移動局(120)により実行されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記方法は移動通信ネットワークの中の基地局サブシステム(110)により実行されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
する前記移動局は、する前記移動局が拡張一時フローIDを認識する能力を基地局サブシステムに報知することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記移動局は、前記移動局が受信したRLC/MACブロックを拡張一時フローIDによって一時ブロックフローと関連付ける能力を前記基地局サブシステムに報知することを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
符号化前に前記拡張一時フローIDに追加される1つ以上のCRCビットを含めることにより、前記RLCデータブロック中の拡張一時フローIDフィールドの誤検出は防止されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
拡張一時フローIDフィールドは、前記一時ブロックフローと関連するすべてのRLCデータブロックに含まれることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記拡張一時フローIDフィールドは、前記RLCデータブロック中の1つ以上の事前定義済み位置に配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記RLCデータブロック中の拡張一時フローIDに対するエラー訂正性能は、前記RLC/MAC中の前記一時フローIDの前記エラー訂正性能と一致することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
PANフィールドに拡張一時フローID情報が含まれることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
共通ペイロードサイズを有する変調符号化方式に対する拡張一時フローIDフィールドは共通サイズで構成されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
移動通信網で使用するための移動局(120)であって、
アンテナユニット(610)と、無線通信チャネルを介して信号を送受信する送受信機ユニット(620)と、前記無線通信チャネルによって送信すべきデータパケットを生成する処理回路(630)とを備え、前記処理回路は、RLC/MACブロックのヘッダ中の一時フローIDを復号し、前記RLC/MACブロックのヘッダ中の前記一時フローIDにより指示される拡張一時フローIDが存在するか否かを判定し、RLCデータブロック中の所定のフィールドから前記拡張一時フローIDを復号し、前記拡張一時フローIDを、割り当てられた拡張一時フローIDとマッチングし、復号された前記拡張一時フローIDが割り当てられた一時フローIDと一致する場合に前記RLC/MACブロック中のペイロードを復号するように構成され
前記拡張一時フローIDは、PANフィールドのCRCビットと前記拡張一時フローIDとの排他的論理和によって付加されることを特徴とする移動局。
【請求項14】
前記拡張一時フローIDフィールドを復号する能力を報知可能であることを特徴とする請求項13記載の移動局。
【請求項15】
基地局サブシステム(110)であって、
アンテナユニット(510)と、無線通信チャネルを介して信号を送受信する送受信機ユニット(520)と、移動局からデータパケットを受信する処理回路(530)とを備え、前記処理回路は、RLCデータブロックの所定のフィールドで符号化されている拡張一時フローIDを前記移動局が認識可能であるという情報を前記移動局から受信するように構成され
前記拡張一時フローIDは、PANフィールドのCRCビットと前記拡張一時フローIDとの排他的論理和によって付加されることを特徴とする基地局サブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークにおいて一時ブロックフローを解決する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動ネットワークで発生するトラフィックの大半は、通常の通話、ネットサーフィン、MMSの送信、ビデオチャットなどの人間同士の対話を必要とするサービスで占められている。そのため、移動ネットワークは、主にそのような「ヒューマンタイプ通信」(HTC)サービスに適合するように設計され且つ最適化される。
【0003】
人間同士の対話を必要としないマシンタイプ通信(MTC)サービスの需要が高まっている。MTCサービスは、例えば車両制御、ガスメータ及び電力計の読み取り、更にはネットワーク監視、カメラ撮影などの広範囲の用途を含む。MTCデバイス及びHTCデバイスの数は、2020年までに合わせて約500億台に達するだろう。
【0004】
MTCデバイスの導入によって、GSM無線アクセスネットワークは、移動デバイスがネットワークを介してアクセスする回数及び通信する回数の急速な増加という問題に直面することになった。すべてのMTCデバイスは、人間側から開始するのではない通信をサポートする種類のデバイスである。GERAN及びUTRANなどの移動ネットワークがMTCアプリケーション及びMTCデバイスの膨大な市場をサポートできるようにするためには、MTC通信をサポートする移動ネットワークの能力を最適化することが重要である。パケット交換(PS)ドメインでは非常に多くの数のMTCデバイスが動作していると予測され、どの時点をとっても、大部分のデバイスがアプリケーションペイロードを送信又は受信するために活動していると予測できる。ネットワークにおけるパケット交換(PS)のトラフィック量は、絶え間なく急速に増え続けている。
【0005】
移動ネットワークの重大な問題の1つは、共有無線資源で同時データ転送が起こった場合に膨大な数のデータ通信しているデバイスを識別し、且つ適正にアドレス指定する能力である。利用可能なアドレス空間は十分ではない。この点でボトルネックとなると考えられ識別名のひとつは、いわゆる一時フローID(TFI)である。TFIは、特定の一時ブロックフロー(TBF)を識別するためにTBFごとにネットワークにより割り当てられ、且つそのTBFと関連する無線リンク制御/媒体アクセス制御(RLC/MAC)ブロックと共に送信される。
【0006】
移動ネットワークにより、各一時ブロックフローに一時フローID(TFI)値が割り当てられる。ある特定のTBFと関連するRLC/MACブロックは、RLCデータブロックの場合は、そのRLCデータブロックが送信される方向、すなわちアップリンク又はダウンリンクのいずれかの方向と共にTFIにより識別され、RLC/MAC制御メッセージの場合は、そのRLC/MAC制御メッセージが送信される方向及びメッセージ型と共に、TFIにより識別される。
【0007】
移動局(MS)がダウンリンクデータ又は制御ブロックを受信するたびに、MSは、含まれているTFIフィールドを使用して、そのブロックが当該MSと関連するTBFのうちいずれかのTBF(2つ以上のTBFであってもよい)に属するか否かを判定する。いずれかのTBFに属する場合、ブロックは当該MSを送信先として受信されたものである。そこで、対応するペイロードが復号され、そして上位層へ送出される。属さない場合、ブロックは廃棄される。アップリンク方向でも動作は同一である。すなわち、基地局サブシステム(BSS)は、TFI値を使用して、同一のTBFに属するブロックを識別する。
【0008】
TFI値は、TBFに使用されるすべてのパケットデータチャネル(PDCH)において、同一の方向、すなわちアップリンク方向又はダウンリンク方向の同時に存在するTBFの中で固有である。同一の方向の他のPDCHの他のTBF及び逆方向のTBFに対しては、同一のTFI値が同時に使用されてもよい。従って、TFIは、パケットデータチャネルPDCHなどの所定の資源における一意の識別子である。これにより、同時発生TBFの数が限定され、従って、同一の無線資源を共有できるデバイスの数も限定される。
【0009】
既存のTFIアドレス空間は、0〜31の範囲の2進数として符号化される5ビットから構成される。この値は、通常、TBFを割り当てる時点でネットワークにより移動局(MS)に提供される。提供できるTFI値の数は利用可能な5ビットにより限定されるので、32の個別の値を利用できる。従って、ある特定のタイムスロットで一度にアドレス指定できるのは互いに異なる32の移動デバイスである。これは十分であるように思われ、これまで重大な問題は起こっていない。ある時点で大部分のMTCデバイスがアプリケーションペイロードの送信又は受信のために活動していると予測できる場合、TFIアドレス指定空間を大幅に拡張することにより著しい改善が実現されると考えられる。将来、TFIアドレス指定空間が限界に達するだろうということを示すいくつかの予兆がある。
【0010】
前述のように、パケット交換トラフィック量が著しく増加し、送受信機(TRX)ごとのTBFの量もおそらく大幅に増加していることは間違いないだろう。何十人ものユーザが同一のアップリンクPDCHで多重通信することが有用になる状況もありえないことではない。2つ以上のPDCHで使用するために1つのTBFが割り当てられるならば(非常に頻繁に起こりうる例である)、PDCHごとの使用可能なTFIの数は大幅に減少する。例えば、8つのPDCHのすべてで全TBFが使用されていると想定する。すなわち、そうでない場合のPDCHあたりのTFIの数が32になるのと比較して、PDCHあたりのTFIの平均数は32/8=4になる。統計的多重化利得及び融通性を改善するためには、可能な限り多くのPDCHに1つのTBFを拡散することが望ましいので、この事態は、例えば送受信機(TRX)のような何らかの所与のPDCH群でサポート可能なTBFの潜在数を減少させてしまうという欠点を有する。
【0011】
近年、多重TBF手順によって同一のMSと関連する複数のTBFの使用が可能になるように3GPP規格が追加改正されたため、いずれかの所与のMSと関連するTBFの数は方向ごとに1つに限定されなくなる。例えば、1つの特定のMSがダウンリンク方向でネットサーフィンセッションのために1つのTBFを有し、進行中のVolp通話(又は例えばSpotifyによるオーディオストリーミングセッション)に対して別のTBFを有し、更に、MSNなどのメッセージングサービスに対して第3のTBFを有することも可能だろう。これらの特定のサービスをそれぞれ異なるTBFに分割することの利点は、言うまでもなく、それらのサービスがすべて異なるサービス条件を有するということであるが、更に多くのTFIが必要になるという欠点もある。
【0012】
SIEMENSの「Outstanding issues of the multiple TBF concept」(3GPP DRAFT;GP−011548)は、複数のTBFに対処する方法を開示する。この方法によれば、複数のTBFに対して2つ以上のTFI値を含むようにTFI割り当てフィールドが修正される。しかし、この文献は、TRXごとに必要になるTBFの追加量に対応するためにTFIアドレス指定空間を拡張するという問題には対応していない。
【0013】
国際公開第2011/099922号は、TFI値のアドレス指定空間を拡張することにより追加TFIアドレス指定を可能にする方法を開示する。この追加のアドレス指定空間は、RLC/MACブロック中の情報と共にレガシーアドレス指定空間のRFIを含む第2のTFI群によって実現される。
【0014】
しかし、そのようにTFIアドレス指定空間を拡張することによって移動ネットワークにおけるTBFの問題を解決しようとする方法は開示されていない。
【発明の概要】
【0015】
本発明の実施形態の目的は、TFIアドレス指定空間を拡張して無線通信システムにおけるTBFを解決する方法及び装置を提供することである。
【0016】
上記の目的は、無線ネットワークにおいて一時ブロックフロー(TBF)を解決する方法の一実施形態により達成される。無線ネットワークでは、各々が1つのTBFと関連する1つ以上のRLC/MACブロックによって、1つ以上の移動局(MS)が基地局システム(BSS)との間でデータを交換する。各TBFは、1つのMSに関連付けられ且つ一時フローID(TFI)によって識別される。TBFを解決する方法において、受信側エンティティは、RLC/MACヘッダ及びRLCデータブロックを含むRLC/MACブロックを受信する。RLC/MACヘッダ中の第1のTFI群から第1のTFIが検索され、第1のTFIは、当該TBFに割り当てられたTFIと比較される。追加TFIアドレス指定に対するMSの対応能力が判定される。第1のTFIが割り当てTFIと一致し且つ関連するMSに対して包括的TFIに対応すると判定された場合、RLC/MACブロックのペイロードが復号される。これに対し、第1のTFIが拡張TFI(eTFI)に対するコードポイントを表すと判定された場合、RLCデータブロックの所定のフィールドが復号化され且つRLCデータブロック中のこのフィールドからeTFIが検索される。eTFIは割り当てeTFIと比較される。一致するという結論が得られた場合、RLCデータブロックのペイロードが復号化される。第1のTFIが割り当てTFIと一致しないか又は復号化されたeTFIが割り当てeTFIと一致しない場合、RLC/MACブロックは無視される。TBFが解決されるまで、新たなRLC/MACブロックに対してこの方法が繰り返される。
【0017】
別の実施形態では、RLC/MACブロックのオプションのPANフィールドにeTFIフィールドが含まれる。PANフィールドにeTFIが含まれるので、TBFを解決する方法は、RLC/MACヘッダ中のPAN標識からPANフィールドの優勢度を判定するステップを含む。PAN標識がセットされている場合、RLC/MACのPANフィールドはTFIによって復号化される。PANフィールドが正しく復号化されたか否かを判定するために、PANフィールド中のCRCビットが評価される。復号化が正しいと判定された場合、RLC/MACのPANフィールドが読み取られ、そのフィールドに含まれる情報が関連TBFに適用される。復号化が正しくないと判定された場合、PANフィールドからの復号化情報は無視される。
【0018】
本発明に係る方法の一実施形態は、移動通信網における移動局又は基地局サブシステムで実行される。TBFと関連するMSは、そのMSがeTFIを認識可能であるか否か、又は、eTFIによって識別されるTBFと関連するRLC/MACブロックを受信可能であるか否か、又はその両方をBSSに報知する。
【0019】
符号化前にeTFIに追加される1つ以上のCRCビットを含めることにより、RLCデータブロックのeTFIフィールドの偽検出は防止される。RLCデータブロックにおけるeTFIのエラー修正性能は、RLC/MACヘッダにおけるTFIのエラー修正性能と一致する。
【0020】
本発明の更なる実施形態において、TBFと関連するすべてのRLCデータブロックにeTFIが含まれ、eTFIはRLCデータブロックの1つ以上の事前定義済み位置に配置される。
【0021】
本発明の他の実施形態では、eTFI情報はPANフィールドに含まれる。共通のペイロードサイズを有する変調符号化方式に対するeTFIフィールドは、共通のサイズで構成される。
【0022】
上記の目的は、移動通信網で使用するための移動局の一実施形態であって、アンテナと、無線通信チャネルを介して信号を送受信する送受信機と、無線通信チャネルを介して送信するためのデータパケットを生成する処理回路とを備える実施形態によっても達成される。移動局の一実施形態において、処理回路は、RLC/MACブロックのヘッダのTFIを復号し且つRLC/MACヘッダにそのTFIにより指示される拡張TFIが存在するか否かを判定するように構成される。処理回路は、RLCデータブロック中の所定のフィールドから拡張TFIを復号し且つそのeTFIを割り当てeTFIとマッチングするように更に構成される。eTFIと割り当てeTFIとが一致したならば、処理回路は、RLC/MACデータブロックのペイロードを復号する。
【0023】
更なる実施形態において、移動局は、eTFIフィールドを復号可能であるか否かを報知するように構成される。
【0024】
上記の目的は、アンテナと、無線通信チャネルを介して信号を送受信する送受信機と、移動局からデータパケットを受信する処理回路とを備え、処理回路は、移動局がRLCデータブロックの所定のフィールドに符号化されている拡張TFIを認識可能であるという情報を移動局から受信するように構成される基地局サブシステムの一実施形態によっても達成される。
【0025】
本発明に係る実施形態において、改善されたMSのダウンリンクRLC/MACブロック受信手順によれば、RLC/MACヘッダ中の第1のTFI群の1つのTFI、すなわちレガシーTFIと、対応するeTFIも割り当てられているMSに割り当てられたダウンリンクTFIとが一致する場合、MSが対応するRLC/MACブロックのペイロード部分からそのeTFIを抽出する。MSは、一致するeTFIを発見できない場合、割り当てられたTFIは同一であるが、eTFIの割り当ては異なる別のMSへRLC/MACブロックが送出されたと想定する。逆に、MSは、一致するeTFIを発見した場合、RLC/MACブロックはそのMSへ送出済みであると想定し、それに応じてRLC/MACブロックのペイロード部分を処理する。
【0026】
更に、本発明に係る実施形態において、改善されたBSSのアップリンクRLC/MACブロック受信手順によれば、RLC/MACヘッダ中のレガシーTFIと、BSSにより1つ以上のeTFI値が割り当てられているアップリンクTFIとが一致する場合、対応するRLC/MACブロックのペイロード部分からBSSがeTFIを抽出し、それにより、アップリンクRLC/MACブロックを送出した特定のMSを識別できる。
【0027】
最後に、本発明に係る実施形態において、改善されたMSのPANフィールド受信手順によれば、組み合わせTFI値(すなわちレガシーTFI値及びeTFI値から構成される)を利用するMSへPAN情報を供給できるように、レガシーTFI情報を含めるのに加えて、MSがeTFI情報を含むことが可能であるか否かが検査される。
【0028】
本発明の実施形態により、レガシー移動局に関して完全な後方互換性を保ちつつTFIアドレス指定空間を拡張できる。レガシー移動局と、TFIアドレス指定空間の拡張をサポートする移動局の双方で、GSM−GPRS/EGPRS無線アクセスネットワークにおいて利用可能なすべての機能を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、移動ネットワークを示す概略図である。
図2図2は、信号伝送を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態を示す概略フローチャートである。
図4図4は、本発明の一実施形態においてデータの確認応答の送信を示す概略フローチャートである。
図5図5は、本発明の基地局システムを示す概略ブロック図である。
図6図6は、本発明の移動局を示す概略ブロック図である。
図7図7は、拡張TFIを有するRLC/MACブロックの一実施形態を示す図である。
図8図8は、拡張TFIを有するRLC/MACブロックの別の実施形態を示す図である。
図9図9は、eTFIを有するPANフィールドの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明の実施形態を以下に更に詳細に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するために便宜上使用されているだけであり、本発明を限定することは意図されない。
【0031】
図1は、移動ネットワーク100を示す概略図である。図1の例示は、本発明に係る方法及び関連する機能が実行されるネットワークの全般的概要を提示することを目的としている。本発明に係る方法及びノードは3GPP GERAN環境で説明されるが、本発明は、この例に限定されない。
【0032】
無線通信システム100は、互いに通信するように配置されたネットワークノード110及び移動局MS120を備える。MS120は、ネットワークノード110により規定されるセル130の中に位置している。
【0033】
ネットワークノード110は、使用される無線アクセス技術及び用語に応じて、例えば基地局、ノードB、発展型ノードB(eNB又はeNode B)、基地送受信局、アクセスポイント基地局、基地局ルータ、無線基地局(RBS)、マクロ基地局、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、ホームeNodeB、中継器及び/又はリピータ、センサ、ビーコンデバイス、あるいは無線インタフェースを介して移動局120と通信するように構成された他の何らかのネットワークノードと呼ばれる場合もある。本明細書の以下の説明中、本発明に係る方法を理解しやすくするために用語「BSS」が使用される。
【0034】
移動局120は、例えば無線通信端末、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、無線プラットホーム、ユーザ機器ユニット(UE)、MTCデバイス、ポータブル通信デバイス、ラップトップ、コンピュータ又はBSS110と無線通信するように構成された他の何らかの種類のデバイスにより表される。
【0035】
BSS110は、例えばセル130内の移動局120に無線資源を割り当てるなど、セル130内の無線資源管理を制御する。移動ネットワークは、図1には示されないコアネットワークCNに接続される。
【0036】
RLC/MACブロックは、BSS110と移動局120との間で転送される。各RLC/MACブロックは、いわゆる一時フローID(TFI)によって識別される一時ブロックフローTBFと関連する。
【0037】
TFI値は、TBFに使用されるすべてのパケットデータチャネルPDCHにおいて同一方向の、すなわちアップリンク方向又はダウンリンク方向の同時に存在するTBFの中で固有である。同一方向の他のPDCHを介する他のTBF及び逆方向のTBFに対しては同一のTFIが同時に使用されてもよく、従って、TFIはPDCHなどの所与の資源において一意の識別子である。これにより、同時に存在するTBFの数が限定され、その結果、同一の無線資源を共有するデバイスの数が限定される。
【0038】
本発明に係る方法は、送信されるダウンリンクRLC/MACブロックの新たな別の拡張TFIフィールドに対するコードポイントとしてレガシーTFIアドレス指定空間を予約することにより、既存のTFIアドレス指定空間を拡張するという原理に基づく。図7及び図8に示されるように、eTFIフィールドは、RLC/MACデータブロック又は制御ブロックの事前定義済み位置に配置される。利用可能なTFIアドレス指定空間全体を拡張するために、レガシーTFIコードポイントはeTFIフィールドと組み合わされる。eTFIは、レガシーTFIフィールド又はレガシーアドレス指定空間から1つ以上の2進値、すなわちコードポイントを予約することによって取得され、送信中のダウンリンクRLC/MACブロック又は送信中のアップリンクRLC/MACブロックに新たな別のeTFIフィールドを導入する。利用可能な全TFIアドレス指定空間を取得するために、予約されたレガシーTFIコードポイントはeTFIフィールドと組み合わされる。
【0039】
新たなeTFI値と組み合わされるべきレガシーTFIコードポイントは、予約されるか又は動的に割り当てられる。従って、レガシーTBFの数と新たなTBFの数との関係は、移動ネットワークにより完全に調整されると共に、動作中も移動ネットワークにより動的に調整可能である。冗長情報によって、例えばペイロードに付加する前にeTFIフィールドに適用されたブロックコードにより、eTFIフィールドのロバスト性は確保される。このように、eTFIの受信はRLC/MACヘッダの既存のTFIの受信と同様にロバスト性を有する。RLC/MACブロック中の追加TFI情報に対するサポートを導入することにより、TFIのアドレス指定空間は拡張される。以下の説明中、この追加TFI情報はeTFIと呼ばれる。
【0040】
新たなeTFIに使用されるべきビットは、RLC/MACブロックのうち多くのブロックに存在する未使用予備ビットから取り出される。送信中のダウンリンクRLC/MACブロックの場合、どのダウンリンクRLC/MACヘッダの予備ビットの最大数も2である。
【0041】
移動デバイスは、その移動デバイスがeTFI、すなわちeTFIフィールドを理解可能であるか否か及び移動ネットワークが「eTFI対応能力を有する」移動デバイスにeTFIを割当てることが可能であるか否かを移動ネットワークに報知する必要がある。そこで、ネットワークと移動デバイスとの間で信号伝送するための適切な信号伝送プロトコルが本発明により導入される。これらのプロトコルは、移動デバイスが、MS無線アクセス能力IE中のeTFIフィールドを理解する移動デバイス自身の能力を移動デバイスに示させることを含み、理解可能である場合、この目的のために、このIEに1つ(あるいはより多くの)の追加ビットが追加される。図2は、eTFI対応能力に関連するMSとBSSとの間の信号伝送を示す。
【0042】
図3は、TBFを解決する方法の一実施形態を示す。ステップ31において、MS又はBSSの受信機はRLC/MACブロックを受信する。ステップ32において、従来のように、受信側エンティティの処理回路でRLC/MACヘッダからTFIが検索される。ステップ33において、受信側エンティティは、ヘッダのTFIが移動局に割り当てられたTFIと一致するか否かを検査する。ヘッダのTFIが割り当てられたTFIと一致しない場合、ステップ33において、受信側エンティティはRLC/MACブロックを無視する。ステップ32で、RLC/MACヘッダから検索されたTFIと割り当てられたTFIとの一致が判定された場合、受信側エンティティはステップ34へ進み、識別されたTBFと関連する移動局のeTFI対応能力を判定する。移動局がeTFI対応能力に欠けるレガシー移動局を表すと判定された場合、受信側エンティティは、RLCデータブロックのペイロードの復号動作を進める。拡張TFIアドレス指定空間をサポートするように構成された移動局である場合、ステップ35において、受信側エンティティは、少なくともRLCデータブロックの所定の関連フィールドを復号し且つeTFIフィールドを復号する。ステップ36において、受信側エンティティは、復号されたeTFIフィールドのコンテンツを割り当てられたeTFIとマッチングする。一致する場合、受信側エンティティは既存の手順に従って、ステップ37においてRLCデータブロックの残るコンテンツを復号することにより動作を継続する。一致しない場合、ステップ38において、受信されたRLC/MACブロックを無視することにより、1つのRLC/MACブロックからTBFコンテンツを解決する方法は終了する。TBFと関連するすべてのRLC/MACブロックが復号され終わるまで、新たに受信されるRLC/MACブロックに対して、図3に示される方法のステップが繰り返される。
【0043】
送信中のRLC/MACブロックごとに、eTFIに対応する追加のビットの「スペース」を発見する必要がある。eTFIフィールドは、RLC/MACヘッダの予備ビットを使用することにより搬送される。多くの型のRLC/MACヘッダは未使用の予備ビットを有する。それらの予備ビットが新たなeTFIフィールドを形成するために使用されてもよいだろう。別の方法は、すべての変調符号化方式(MCS)に対して新たなダウンリンクRLC/MACブロックを定義する。これに代わる第3の方法はRLCデータブロック中で長さ標識を使用する。
【0044】
図7は、変調符号化スキーム6(MCS−6)を使用する拡張TFIを有するRLC/MACブロックの一実施形態を示す。1つのRLCデータブロックのペイロードは、再送信時にMCS−3を使用して2つのRLCデータブロックに分割される。ペイロードの1回目の送信時、eTFIは、図7の位置7:1に示されるように符号化される。位置7:2は、RLCデータブロックのペイロードの事前定義済み位置にeTFIが挿入されることを示す。このペイロードの再送信が要求された場合、2つの異なるRLCデータブロックが使用されてもよい。そこで、ペイロードは、位置7:3で2つに分割され、分割された各々は新たなRLCデータブロックのペイロードを構成する。「A'」で示される新たな符号化済eTFIを含む分割された各半ペイロードは、一つのRLCデータブロックに符号化される(位置7:4及び7.5を参照)。新たな符号化済eTFI「A'」は同一のeTFI値に基づくが、
|A|=|A'|/2
という制限を伴う(以下の表1を参照)。式中、|A|は「A」で示される符号化済eTFIの長さを示し、|A'|は「A'」で示される符号化済eTFIの長さを示す。
【0045】
RLCデータブロックの再送信の場合、同一のペイロード群に属するのであれば、すなわち、各RLCデータブロックが同一の量のデータを搬送するのであれば、異なるMCSを使用可能である。この場合、eTFIも当初の送信時と同一のサイズで再送信されなければならない。図8は、2つのRLCデータブロックを搬送する1つのMCS−9無線ブロックが再送信時にそれぞれ1つのRLCデータブロックを搬送する2つのMCS−6無線ブロックに分割されることを示す。ペイロードの1回目の送信時に、eTFIは符号化され(位置8:1)、各RLCデータブロックのペイロードの事前定義済み位置に挿入される(位置8:2)。再送信時、各RLCデータブロックは個別に符号化され(位置8:3)、再送信される(位置8:4及び8:5)。すべての送信機会で、「A」で示される同一の符号化済eTFIが使用される。
【0046】
すべての変調符号化スキーム(MCS)に対して、既に開始時からRLC/MACヘッダ中にeTFIフィールドを含む新たなRLC/MACブロックが定義される。eTFIに必要とされる符号化ビットは、ダウンリンクRLC/MACブロックの他の部分から取得される。
【0047】
RLCデータ中にeTFIを含めるために、RLC/MACブロックの所与の変調符号化方式のエラー訂正性能は、RLC/MACヘッダの性能と一致しなければならない。これは、RLC/MACヘッダに現在のTFIが含まれているからである。例えば1つ以上のCRCビットを符号化前にeTFIに追加することにより、誤検出は十分に防止されるべきである。
【0048】
1つの無線ブロック中のすべてのRLCブロックはeTFIフィールドを含む。同一のペイロード群に属するMCSのフィールドに対して、同一サイズのeTFIフィールド、すなわち共通ペイロードサイズが使用される。これは、同一のペイロード群の中のブロックの冗長度漸増(incremental redundancy)機能及び再送信を可能にするために必ず同一のペイロードサイズ(eTFIフィールドを除く)が使用されるようにするためである。この規則の例外は、より大きいペイロードサイズを搬送するMCSからRLCブロックが分割された場合に使用されるEGPRSのMCS−2及びMCS−3に関して予測される。
【0049】
符号化済eTFIフィールドは、MCSのペイロード部分に付加され、レガシー動作の場合とまったく同様にパンクチャされ、インタリーブされ且つ無線ブロックの4つのバーストにマッピングされる。
【0050】
ペイロードが2つ以上のRLCデータブロックに分割された場合、各RLCデータブロックの符号化eTFIビットは、そのeTFIフィールドを復号化するのに十分な情報を含む。
【0051】
オプションのPANフィールドを使用してデータの送信確認応答を使用できるようにするために、既存のTFIフィールドは、拡張TFIフィールドと共に、CRCビット、すなわちPANフィールドのCRCビットを含む既存のフィールドにビット単位の排他的論理和(xor)方式で追加される。このことは、PANフィールドの既存の符号化及びeTFIを伴うTFIの符号化の双方に関して図9のステップ9:1〜9:3に示される。
【0052】
ステップ9:1において、TFIビットを除くPANビットが符号化され、ステップ9:2において10のCRCビットが追加される。ステップ9:3において、xor加算を使用して、CRCフィールドの終わりの5つのビット位置にTFIビットが追加される。
【0053】
ステップ9:1において、TFIビットを除くPANビットが符号化され、ステップ9:2において10のCRCビットが追加される。CRCフィールドの終わりの5つのビット位置に、ビット単位の排他又は加算を使用して、拡張TFIのTFIビットが追加される。CRCフィールドの初めの5つのビット位置に、xor加算を使用して、拡張TFIのeTFIビットが追加される。これはステップ9:3に示される。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態においてデータの確認応答の送出を示す概略フローチャートである。ステップ41において、受信側エンティティは、ステップ31でMS又はBSSにより受信されたRLC/MACブロック中のPAN標識の設定を検査し、且つRLC/MACブロックを受信する。PAN標識が判定されない場合、ステップ45において、データの受信を確認応答するための更なる動作は無視される。PAN標識がセットされていた場合、ステップ42において、受信側エンティティはPANフィールドの復号を試みる。この目的のために、ステップ42において、PANのCRCと割り当てられたTFI(レガシー移動局又は非レガシー移動局)又は組み合わせTFI(非レガシー移動局)とのexor演算が使用される。例えばPAN CRCビットによってPANフィールドが正しく復号化されているとステップ43で受信機が判定した場合、ステップ44において、受信機は、RLC/MAC PANを読み取り且つそのRLC/MAC PANに含まれる情報を指示されたTFI(レガシー移動局)又は組み合わせTFI(非レガシー移動局)と関連するTBFに適用する。PAN CRCビットがPANフィールドは正しく復号されていないことを示すと受信側エンティティが判定した場合、ステップ45において、更なる動作は無視される。
【0055】
図2は、移動ネットワークにおけるデータ交換のセットアップを示す簡略化された信号伝送図である。移動局から移動ネットワークへの信号伝送の場合、本明細書で説明されるようにeTFIを読み取ることが可能な移動局は、移動ネットワークに読み取り可能であることを報知しなければならない。これを実現する方法はいくつかあり、自明な方法は、移動局が読み取り可能であることを示すという方法である。そのような表示は、MS無線アクセス能力IEに含まれるか、又はレガシーアクセスバーストに追加される新たなアクセスバーストに含まれる。このアクセスバーストは新たな移動局により使用されることになる。移動ネットワーク中のネットワークノードは、そのような新たなアクセスバーストを検出するたびに、eTFIフィールドを読み取り可能な新たな移動局からそのアクセスバーストが発出されたことを知る。移動局がeTFIフィールドを読み取り可能であることを移動ネットワーク中のネットワークノードに指示する他の方法があることは言うまでもなく、本発明は、この情報を提供する手段の一例を示した上記の方法により限定されない。
【0056】
ネットワークノードから移動局への信号伝送の場合、すなわちダウンリンク信号伝送の場合、ネットワークノードは、TBFのすべて又は一部を識別するために使用されるレガシーTFI値に関する情報、すなわちコードポイントと、そのデバイスがレガシーTFIをTBFを識別する完全レガシーとして解釈すべきか又はeTFIフィールドに対するコードポイントとして解釈すべきかの指示とを提供しなければならない。コードポイントとして解釈すべき場合、TBFを識別するために割り当てられた新たなeTFI値に関する情報が提供されなければならない。これは、TBF割り当て時にネットワークノードからデバイスへ送信されるメッセージにそのような情報を含めるための本発明に係る別の方法である。
【0057】
本発明の移動局120の概略ブロック図が図6に示される。図示されるように、移動局120は、1つ以上のBSS110と通信するためのアンテナユニット610と、同様に1つ以上のBSS110と通信するために使用される送受信機ユニット620とを備える。
【0058】
移動局120は、移動局を全般的に制御すると共に、送受信機ユニットを特定して制御する処理回路630を更に備える。移動局120は、図1に示される移動局のように移動ネットワークを意図しており、移動ネットワーク11により1つ以上の一時ブロックフローTBFを割り当てられ且つネットワークノードからRLC/MACブロックを受信するように構成される。各RLC/MACブロックは前記TBFのうちの1つと関連する。移動局120は、主にアンテナユニット610、送受信機ユニット620の受信機部分Rx及び処理回路630により、TBFの割り当て並びにRLC/MACブロックを受信する。
【0059】
更に、移動局120は、受信されたRLC/MACと関連するTBFに移動ネットワーク100により割り当てられた一時フローID(TFI)によって、そのRLC/MACブロックを識別するように構成される。この識別は主に処理回路630によって実行される。移動局120は、第1のTFI群に属するTFI並びに第2のTFI群に属するTFIを認識するように構成される。第2のTFI群のTFIは、第1のTFI群のTFIにより与えられるコードポイントをRLC/MACブロック中の追加情報と共に含む。この認識は主に処理回路630によって実行される。
【0060】
実施形態において、移動局は、RLC/MACブロックをTBFによってネットワークノードへ送信し且つ第1のTFI群又は第2のTFI群のいずれかに属するTFIによって送信RLC/MACブロックをTBFと関連付けるように構成される。送信は、主に送受信機ユニット620の送信機部分Tx及びアンテナユニット610によって実行される。TFIによる送信RLC/MACブロックとTBFとの関連付けは、主に処理回路により実行される。
【0061】
実施形態において、移動局120は、その移動局120が第2のTFI群に属するTFIを認識すること、又は第2のTFI群に属するTFIによって送信RLC/MACブロックをTBFと関連付けること、又はその両方が可能であると基地局システム110に報知するように構成される。
【0062】
図5は、無線通信チャネルを介して信号を送受信する送受信機ユニット520を備える基地局サブシステム(BSS)110を示す。BSSの処理回路は、移動局120からデータパケットを受信する。処理回路は、移動局がRLCデータブロックの所定のフィールドで符号化されている拡張TFIを認識可能であるという情報を移動局から受信するように構成される。この情報は、図2の信号伝送図に示すように提供されてもよいが、eTFI対応能力をアクセスするために実現可能な他の方法も本発明の範囲内に含まれる。
【0063】
尚、以上の説明は新たなMTC装置を対象としていたが、将来現れると考えられるHTCデバイスに本発明を使用できないとする理由はまったくない。
【0064】
いくつかの実現形態において、ブロック中に示される機能又はステップは、動作図に示される順序以外の順序で実行されてもよい。関連する機能/動作に応じて、例えば、連続して示される2つのブロックは実際にはほぼ同時に実行されてもよいし、場合によってブロックが逆の順序で実行されてもよい。
【0065】
図面及び明細書に、本発明の例示的な実施形態を示した。しかし、本発明の原理から大きく逸脱することなく、上述の実施形態に対して多くの変形及び変更を実行できる。従って、特定の用語が使用されているが、それらの用語は説明のために一般的な意味で使用されているだけであり、本発明を限定する目的で使用されているのではない。
【0066】
本発明は、明細書において説明され且つ図面に示される実施形態の例に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内で自由に変更されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9