特許第5981467号(P5981467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5981467-ガス弁装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981467
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ガス弁装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20160818BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F23K5/00 301C
   F16K31/44 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-8344(P2014-8344)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2015-137777(P2015-137777A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】脇田 章義
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−226673(JP,A)
【文献】 特開2008−145050(JP,A)
【文献】 特開2000−179833(JP,A)
【文献】 特開平08−254321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F16K 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁筐と、一端部に操作摘みが固定され、他端部が弁筐の一端の開口部に挿入される押し回し操作自在な操作軸と、操作軸の回動操作に連動して回動しガス流量を可変する弁筐内の回転弁体と、操作軸の回動範囲を制限するストッパ手段とを備えるガス弁装置であって、
ストッパ手段は、弁筐の一端の開口部内周面の周方向一部に形成した径方向内方に突出するストッパ突起と、操作軸に連動して回動する、弁筐の一端の開口部に挿入されたストッパ部材とで構成され、ストッパ部材に設けた爪部がストッパ突起に周方向から当接することで操作軸の回動範囲が制限されるようにしたものにおいて、
弁筐は、一端の開口部のストッパ突起を形成した部分が回転弁体の一端部と軸方向にオーバーラップするように形成され、
操作軸の他端部に、回転弁体の一端部に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に係合する係合部が一体に形成され、
ストッパ部材は、回転弁体の一端部に隣接する位置で、操作軸に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に外挿された環状の板状部材で構成され、この板状部材の外周縁の一部に、軸方向に屈曲した爪部となる折り曲げ片が形成されることを特徴とするガス弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁筐と、一端部に操作摘みが固定され、他端部が弁筐の一端の開口部に挿入される押し回し操作自在な操作軸と、操作軸の回動操作に連動して回動しガス流量を可変する弁筐内の回転弁体と、操作軸の回動範囲を制限するストッパ手段とを備えるガス弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガス弁装置では、ストッパ手段を、弁筐の一端の開口部内周面の一部に形成した径方向内方に突出するストッパ突起と、操作軸に連動して回動する、弁筐の一端の開口部に挿入されたストッパ部材とで構成し、ストッパ部材に設けた爪部がストッパ突起に周方向から当接することで操作軸の回動範囲が制限されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来例のものでは、弁筐を、その一端の開口部のストッパ突起を形成した部分が回転弁体の一端部よりも軸方向手前側に位置するように形成すると共に、ストッパ部材を操作軸の他端部に外挿される筒状部材で構成して、筒状部材の外周面に、ストッパ突起に当接する爪部を突設している。また、筒状部材の他端に、回転弁体の一端部に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に係合する係合部を延設し、操作軸の回動により筒状部材(ストッパ部材)を介して回転弁体が回動されるようにしている。
【0004】
ここで、従来例のものでは、弁筐の一端の開口部のストッパ突起を形成した部分が回転弁体の一端部よりも軸方向手前側に位置するため、弁筐の軸方向寸法が長くなって、ガス弁装置が大型化する不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−256915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、弁筐の軸方向寸法を短縮して小型化を図ることができるようにしたガス弁装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、弁筐と、一端部に操作摘みが固定され、他端部が弁筐の一端の開口部に挿入される押し回し操作自在な操作軸と、操作軸の回動操作に連動して回動しガス流量を可変する弁筐内の回転弁体と、操作軸の回動範囲を制限するストッパ手段とを備えるガス弁装置であって、ストッパ手段は、弁筐の一端の開口部内周面に形成した径方向内方に突出するストッパ突起と、操作軸に連動して回動する、弁筐の一端の開口部に挿入されたストッパ部材とで構成され、ストッパ部材に設けた爪部がストッパ突起に周方向から当接することで操作軸の回動範囲が制限されるようにしたものにおいて、弁筐は、一端の開口部のストッパ突起を形成した部分が回転弁体の一端部と軸方向にオーバーラップするように形成され、操作軸の他端部に、回転弁体の一端部に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に係合する係合部が一体に形成され、ストッパ部材は、回転弁体の一端部に隣接する位置で、操作軸に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に外挿された環状の板状部材で構成され、この板状部材の外周縁の一部に、軸方向に屈曲した爪部となる折り曲げ片が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、操作軸から回転弁体に直接回動力が伝達され、また、操作軸の回動に連動してストッパ部材たる板状部材が回動し、板状部材に形成した爪部たる折り曲げ片がストッパ突起に周方向から当接することで操作軸の回動範囲が制限される。そして、本発明では、弁筐の一端の開口部のストッパ突起を形成する部分が回転弁体の一端部と軸方向にオーバーラップするため、弁筐の一端の開口部のストッパ突起を形成する部分が回転弁体の一端部よりも軸方向手前側に位置する従来例のものに比し、弁筐の軸方向寸法を短縮して、ガス弁装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のガス弁装置の斜視図。
図2】実施形態のガス弁装置の切断側面図。
図3】実施形態のガス弁装置の要部の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図2を参照して、1は、ガスコンロに適用される本発明の実施形態のガス弁装置を示している。このガス弁装置1は、前後方向に長手の弁筐2と、一端部(前端部)に操作摘み(図示省略)が固定され、他端部(後端部)が弁筐2の一端(前端)の開口部21に挿入される押し回し操作自在な操作軸3と、弁筐2の後部に収納した電磁安全弁4と、弁筐2の前部に収納した、操作軸3の回動操作に連動して回動しガス流量を調節する回転弁体5と、操作軸3の回動範囲を回転弁体5が全閉となる消火位置と回転弁体5が全開となる点火位置との間に制限するストッパ手段6と、弁筐2の外面に取付けられる流路ブロック7とを備えている。尚、流路ブロック7には電磁弁71が組み込まれており、電磁弁71が閉弁したとき、これに並列のオリフィス72のみを介してコンロバーナにガスが供給されるようにしている。
【0011】
弁筐2には、電磁安全弁4の収納空間に連通するガス流入口22と、電磁安全弁4の収納空間と回転弁体5の収納空間との間の弁孔23と、回転弁体5の収納空間と流路ブロック7内のガス流路とを連通するガス流出口24とが形成されている。また、弁筐2内には、回転弁体5を貫通して操作軸3の後端に当接する前後方向に長手の押圧ロッド31が設けられており、操作軸3の後方への押し操作により押圧ロッド31を介して電磁安全弁4の弁体41が弁孔23を開く開弁位置に押動されるようにしている。
【0012】
弁筐2の前端には、操作軸3を挿通支持する支持枠25が取り付けられている。支持枠25は、前板部25aと後板部25bと両板部25a,25b間の連結板部25cとを有する断面略コ字状に形成されている。そして、後板部25bに、マイクロスイッチ8を取付けると共に、前板部25aと後板部25bとの間に、操作軸に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に外挿されるカム81を介設し、操作軸が所定の点火位置に回動されたときに、カム81の周面の突起81a(図3参照)がマイクロスイッチ8の検知レバー部に当接してマイクロスイッチ8がオンし、コンロバーナの点火が行われるようにしている。尚、煮こぼれ汁がマイクロスイッチ8にかからないよう、連結板部25cでマイクロスイッチ8を上方から覆っている。
【0013】
図3を参照して、ストッパ手段6は、弁筐2の一端(前端)の開口部21内周面の周方向の一部、具体的には180°離隔した2箇所に形成した径方向内方に突出するストッパ突起61と、操作軸3に連動して回動する、弁筐2の一端の開口部21に挿入されたストッパ部材62とで構成されている。そして、ストッパ部材62に設けた爪部62aがストッパ突起61に周方向一方と他方から当接することで操作軸3の回動範囲が制限されるようにしている。
【0014】
ここで、本実施形態では、弁筐2を、その一端の開口部21のストッパ突起61を形成した部分が回転弁体5の一端部(前端部)と軸方向にオーバーラップするように形成すると共に、操作軸3の他端部(後端部)に、回転弁体5の一端部に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に係合する係合部3aを一体に形成している。尚、回転弁体5の一端部には、軸方向の割溝51が形成されており、係合部3aは、この割溝51に係合する径方向の突起で構成されている。
【0015】
また、ストッパ部材62は、回転弁体5の一端部に隣接する位置で、操作軸3に軸方向に相対移動自在に且つ相対回転不能に外挿された環状の板状部材で構成されている。そして、ストッパ部材たる板状部材62の外周縁の一部、具体的には、180°離隔した2箇所には、軸方向(後方)に屈曲した爪部62aとなる折り曲げ片が形成されている。尚、板状部材62には、操作軸3の係合部3aが挿通されると共に、操作軸3の周面に形成したDカット面3bが接する孔縁部を有する係合孔62bが形成されている。そのため、操作軸の押し操作で係合部3aが係合孔62bの前方に抜け出ても、Dカット面3bが係合孔62bの孔縁部に係合して、板状部材62が操作軸3と一緒に回動する。
【0016】
また、回転弁体の一端部寄りの外周面の部分と内周面の部分には、夫々前向きの段部が設けられており、外周面の段部と板状部材62との間に、板状部材62を支持枠25に押し付けると共に回転弁体を弁筐2内に押し込むバネ63を介設し、内周面の段部と押圧ロッド31の前端の鍔部との間に、押圧ロッド31及び操作軸3を前方に付勢するバネ32を介設している。
【0017】
更に、操作軸3の係合部3aたる突起の前面に、突起よりも幅狭の突条3cを突設している。そして、操作軸3を消火位置に回動復帰させた状態では、突条3cが支持枠25の後板部25bに形成した図示しないスリット状の孔部に嵌合して、操作軸3が消火位置に回り止めされ、バネ32の付勢力に抗して操作軸3を押し操作したときに、突条3cが孔部から抜け出て、操作軸3の回り止めが解除されるようにしている。
【0018】
ここで、本実施形態によれば、操作軸3からこれに一体に形成した係合部3aを介して回転弁体5に回動力が伝達され、また、操作軸3の回動に連動してストッパ部材たる板状部材62が回動し、板状部材62に形成した爪部たる折り曲げ片62aがストッパ突起61に周方向から当接することで操作軸3の回動範囲が制限される。更に、本実施形態では、弁筐2の一端の開口部21のストッパ突起61を形成する部分が回転弁体5の一端部と軸方向にオーバーラップするため、弁筐の一端の開口部のストッパ突起を形成する部分が回転弁体の一端部よりも軸方向手前側に位置する上記従来例のものに比し、弁筐2の軸方向寸法を短縮して、ガス弁装置1の小型化を図ることができる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、弁筐2の外面に接合される流路ブロック7を設けているが、流路ブロック7は省略することも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1…ガス弁装置、2…弁筐、21…弁筐の一端の開口部、3…操作軸、3a…係合部、5…回転弁体、6…ストッパ手段、61…ストッパ突起、62…ストッパ部材,板状部材、62a…爪部,折り曲げ片。
図1
図2
図3