(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981468
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/08 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
F23D14/08 C
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-12602(P2014-12602)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-140940(P2015-140940A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】赤木 万之
(72)【発明者】
【氏名】小代 卓史
【審査官】
吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−228179(JP,A)
【文献】
特開平08−135929(JP,A)
【文献】
特開平07−091620(JP,A)
【文献】
特開平06−249417(JP,A)
【文献】
特開平01−266412(JP,A)
【文献】
実開昭62−056921(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第01201992(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/08
F16B 5/00 − 5/12
F16B 7/00 − 7/22
F16L 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に対峙する一対の側板を有するバーナ本体と、バーナ本体を横方向両側から覆う一対の側板を有するバーナキャップとを備え、バーナ本体の両側板間に、主火炎を形成する上端の主炎口と、主炎口に混合気を供給する主混合気通路とが設けられ、バーナ本体の各側板とバーナキャップの各側板との間に、主火炎よりも燃焼カロリーの少ない補助火炎を形成する上端の補助炎口と、補助炎口に混合気を供給する補助混合気通路とが設けられたバーナであって、
バーナキャップの各側板の下縁部を、当該下縁部の一部がバーナ本体の各側板の主混合気通路に合致する部分の外面を横断する状態で、バーナ本体の両側板が面接触する接触フランジ部の外面に密着固定するものにおいて、
バーナ本体の各側板の主混合気通路に合致する部分のうちバーナキャップの各側板の下縁部が横断する部分をキャップ横断部として、キャップ横断部に、それより上方の部分に対し横方向内方に窪む凹部が形成されると共に、バーナキャップの各側板の下縁部のキャップ横断部に重なる部分に、それより上方の部分に対し横方向内方に窪んでキャップ横断部の凹部に嵌る嵌合部が形成され、凹部上縁と嵌合部上縁に夫々横方向段差が形成されて、凹部上縁の横方向段差に嵌合部上縁の横方向段差が対面することを特徴とするバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向に対峙する一対の側板を有するバーナ本体と、バーナ本体を横方向両側から覆う一対の側板を有するバーナキャップとを備え、バーナ本体の両側板間に、主火炎を形成する上端の主炎口と、主炎口に混合気を供給する主混合気通路とが設けられ、バーナ本体の各側板とバーナキャップの各側板との間に、主火炎よりも燃焼カロリーの少ない補助火炎を形成する上端の補助炎口と、補助炎口に混合気を供給する補助混合気通路とが設けられたバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバーナとして、バーナキャップの各側板の下縁部を、当該下縁部の一部がバーナ本体の各側板の主混合気通路に合致する部分の外面を横断する状態で、バーナ本体の両側板が面接触する接触フランジ部の外面にスポット溶接、円形カシメ、リベットカシメ等によって密着固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、バーナキャップの各側板の下縁部の接触フランジ部に重なる部分は、バーナ本体に密着して、シール性が確保される。然し、バーナキャップの各側板の下縁部のうちバーナ本体の各側板の淡混合気通路に合致する部分の外面を横断する部分は、当該部分が重なるバーナ本体の部分が中空で、スポット溶接、円形カシメ、リベットカシメ等ができないため、バーナ本体に確実には密着せず、補助混合気通路から混合気が漏れる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2690447号公報(
図15、16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、バーナ本体の各側板の主混合気通路が設けられた部分の外面を横断するバーナキャップの各側板の下縁部の部分でのシール性を向上できるようにしたバーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、横方向に対峙する一対の側板を有するバーナ本体と、バーナ本体を横方向両側から覆う一対の側板を有するバーナキャップとを備え、バーナ本体の両側板間に、主火炎を形成する上端の主炎口と、主炎口に混合気を供給する主混合気通路とが設けられ、バーナ本体の各側板とバーナキャップの各側板との間に、主火炎よりも燃焼カロリーの少ない補助火炎を形成する上端の補助炎口と、補助炎口に混合気を供給する補助混合気通路とが設けられたバーナであって、バーナキャップの各側板の下縁部を、当該下縁部の一部がバーナ本体の各側板の主混合気通路に合致する部分の外面を横断する状態で、バーナ本体の両側板が面接触する接触フランジ部の外面に密着固定するものにおいて、バーナ本体の各側板の主混合気通路に合致する部分のうちバーナキャップの各側板の下縁部が横断する部分をキャップ横断部として、キャップ横断部に、それより上方の部分に対し横方向内方に窪む凹部が形成されると共に、バーナキャップの各側板の下縁部のキャップ横断部に重なる部分に、それより上方の部分に対し
横方向内方に窪んでキャップ横断部の凹部に嵌る嵌合部が形成され
、凹部上縁と嵌合部上縁に夫々横方向段差が形成されて、凹部上縁の横方向段差に嵌合部上縁の横方向段差が対面することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、キャップ横断部の凹部に嵌合部が密着せずに、ガス漏れを生ずる隙間を生じても、この隙間は凹部上縁の横方向段差と嵌合部上縁の横方向段差との間で横方向に屈曲するため、隙間の通気抵抗が大きくなり、シール性が向上する。更に、キャップ横断部に凹部を設けることにより、主混合気通路内の混合気の流れに凹部の下流側で渦を生じ、燃料ガスと一次空気との混合が促進される効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態のバーナのバーナキャップを取外した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至
図3を参照して、1は本発明の実施形態のバーナである濃淡バーナを示している。この濃淡バーナ1は、横方向に対峙する一対の側板21,21を有するバーナ本体2と、バーナ本体1を横方向両側から覆う一対の側板31,31と、両側板31,31をその上縁で連結する前後複数個所のブリッジ部32とを有するバーナキャップ3を備えている。
【0010】
バーナ本体2の両側板21,21は、一枚の板をバーナ本体2の下縁となる折り曲げ線で合掌状態に折り曲げることにより形成されている。両側板21,21間には、主火炎を形成する上端の主炎口4と、主炎口4に混合気を供給する主混合気通路5とが設けられている。
【0011】
主混合気通路5は、両側板21,21を横方向に離隔するようにプレス加工することで形成した、バーナ本体2の下部前端に開口する流入口51aから後方にのびる主混合管部51と、主混合管部51の後端の上向きの下流端部から上方に向かって前後方向に広がるようにのびる下流側通路部52とで構成されている。主混合管部51の流入口51aの開口面積は比較的広く、この流入口51aに対向する主ガスノズル(図示せず)からの燃料ガスと共に比較的多量の一次空気が主混合管部51に流入して、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気が生成される。そして、この淡混合気が主炎口4から噴出して燃焼し、主火炎が形成される。
【0012】
また、バーナ本体2の両側板21,21の上部間には、主炎口4を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板41が介設されている。また、これら整流板41を前後複数個所の絞り部42で横方向に密着させて、主炎口4を前後複数のブロックに区画している。更に、バーナ本体2の各側板21の上部に、横方向外側の整流板41に接する凹条22を形成し、この凹条22よりも上方の側板21の部分と外側の整流板41との間に、混合気が噴出しない盲空隙43が画成されるようにしている。
【0013】
バーナ本体2の各側板21とバーナキャップ3の各側板31との間には、主火炎よりも燃焼カロリーの少ない補助火炎を形成する上端の補助炎口6と、補助炎口6に混合気を供給する補助混合気通路7とが設けられている。尚、バーナ本体2の主混合管部51よりも上側の部分には、バーナ本体2の前端に開口する流入口71aから後方に少しのびて終端する補助混合管部71が設けられている。そして、補助混合管部71の後部外側面に形成した流出孔71bから流出する混合気が補助混合気通路7を介して補助炎口6に導かれるようにしている。補助混合管部71の流入口71aの開口面積は比較的狭く、この流入口71aに対向する補助ガスノズル(図示せず)からの燃料ガスと共に比較的少量の一次空気が補助混合管部71に流入して、理論空燃比よりも燃料濃度の濃い濃混合気が生成され、この濃混合気が補助炎口6から噴出して燃焼し、補助火炎が形成される。また、バーナキャップ3の各側板31の上部の前後複数個所には、補助炎口6を前後複数のブロックに区画する凹部33が設けられている。
【0014】
バーナ本体2の主炎口4、主混合気通路5、補助混合管部71以外の部分は、バーナ本体2の両側板21,21を面接触させた接触フランジ部23になっている。そして、バーナキャップ3の各側板31の下縁部を、主混合管部51と補助混合管部71との間の接触フランジ部23の部分の外面及び主混合気通路5より後方の接触フランジ部23の部分の外面にスポット溶接、円形カシメ、リベットカシメ等で密着固定している。バーナキャップ3の各側板31の下縁部の一部は、バーナ本体2の各側板21の主混合気通路5に合致する部分、具体的には、主混合管部51の後端の上向きの下流端部に合致する部分の外面を前後方向に横断する。
【0015】
ここで、バーナ本体2の各側板21の主混合気通路5に合致する部分のうちバーナキャップ3の各側板31の下縁部が横断する部分をキャップ横断部とすると、キャップ横断部では、バーナ本体2が中空になるため、バーナキャップ3の各側板31の下縁部をスポット溶接、円形カシメ、リベットカシメ等で密着固定することができない。そのため、バーナキャップ3の側板31の下縁部のキャップ横断部に重なる部分がキャップ横断部に密着せず、補助混合気通路7内から混合気が漏れる可能性がある。
【0016】
そこで、本実施形態では、
図4に明示する如く、キャップ横断部に、それより上方の部分に対し横方向内方に窪む凹部24を形成すると共に、バーナキャップ3の各側板31の下縁部のキャップ横断部に重なる部分に、それより上方の部分に対し
横方向内方に窪んでキャップ横断部の凹部24に嵌る嵌合部34を形成している。
そして、凹部24上縁と嵌合部34上縁に夫々横方向段差24a,34aを形成し、凹部24上縁の横方向段差24aに嵌合部34上縁の横方向段差34aが対面するようにしている。
【0017】
これによれば、キャップ横断部の凹部24に嵌合部34が密着せずに、ガス漏れを生ずる隙間を生じても、この隙間は凹部24上縁の横方向段差24aと嵌合部34上縁の横方向段差34aとの間で横方向に屈曲するため、隙間の通気抵抗が大きくなって、シール性が向上し、補助混合気通路7内からのガス漏れを抑制できる。更に、キャップ横断部に凹部24を設けることにより、主混合気通路6内の混合気の流れに凹部24の下流側で渦を生じ、燃料ガスと一次空気との混合が促進される効果もある。
【0018】
尚、シール性を向上させる上で、凹部24上縁の段差24aは側板31の板厚以上とすることが望ましい。また、凹部24上縁の段差24aに嵌合部34上縁の段差34が密着するようにバーナ本体2にバーナキャップ3を組み付けて、シール性を可及的に向上させることも可能である。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、主炎口4と補助炎口6とから夫々理論空燃比よりも燃料濃度の希薄な淡混合気と燃料濃度の濃い濃混合気とを噴出させて濃淡燃焼させる濃淡バーナに本発明を適用したものであるが、バーナ本体とバーナキャップとを備える濃淡バーナ以外のバーナにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0020】
1…濃淡バーナ、2…バーナ本体、21…側板、23…接触フランジ部、24…キャップ横断部の凹部、24a…段差、3…バーナキャップ、31…側板、34…嵌め込み部、4…主炎口、5…主混合気通路、6…補助炎口、7…補助混合気通路。